2001年4月号
特集

日本の3PL市場 欧米ロジスティクス市場の最前線

APRIL 2001 30 アメリカの典型的なサードパーテ ィ・ロジスティクス・プロバイダー (3PL)として一層のビジネス展開 が期待されていたカリバー・ロジステ ィクス社(Caliber Logistics )は現在、 フェデックス社(FedEx )の一部門と なっている。
航空貨物とハイ・バリュ ー品目を専門的に取扱っていたカリフ ォルニアのスカイウエイ・フレイト・ シ ス テ ム 社 ( Skyway Freight Systems )は、昨年店を閉じた。
さらに、今年に入り倉庫系のロジス ティクス市場で第二位のGATXロジ スティクス社(GATX Logisitics )は 船社APLのロジスティクス子会社に 買収された。
これらは奇しくも筆者が 数年前にインタービューし、彼らの戦 略に共感し、将来の発展を期待してい た3PLであった。
それだけではない。
サンフランシス コの伝統的な通関業者ハーパー・ロビ ンソン社(Harper Robinson )は、こ れまでサークル・インターナショナル 社(Circle International )として国際 市場で活躍していたが、昨年、国内航 空貨物フォワーダーEGLの傘下に入 った。
アメリカの No. 1の航空貨物フォワー ダーAEIがドイツ郵便(Deutsche Post World Net )の傘下に入り、ダ ンザス ―AEI社(Danzas-AEI )と なったことはご周知の通りである。
そ してこのたびUPSが、一九三三年 創立の老舗通関業者であり現在は国 際フレイト・フォワーダーとしてグロ ーバルな活動を展開しているフリッツ 社(Fritz Companies )を手に入れ た。
EUの統合にともなう欧州市場の変 動に比べ、アメリカの物流市場はこれ まで比較的平静にみえたが、ここのと ころ動きが活発になっている。
本稿で は、米・欧のロジスティクス・プロバ イダーに焦点をあて、かれらの現況に ついて概観することとする。
欧米ロジスティクス市場の最前線 欧米の物流市場では現在、企業買収と戦略的提携に よるグローバルな覇権争いが加速している。
米国では フェデックスとUPSの両インテグレーターの総合化、 巨大化に注目が集まっている。
欧州ではドイツ郵便を 始めとした各国の郵便事業局と大手フォワーダーが入 り乱れて、大規模な再編劇を演じている。
平田義章 国際ロジスティクス・アドバイザー 第4部 31 APRIL 2001 1 . アメリカ市場の3PL (1) サービスの誕生 一九七〇年代の後半から始まったア メリカ政府の規制改革が進められるな かで、八〇年代末から九〇代の初頭に かけて、トラックを中心とする国内輸 送市場に新しい動きがでてきた。
これ まで一〇〇年にわたり厳しい規制を実 施 し て き た I C C ( I n t e r s t a t e Commerce Commission ; 州際交通委 員会)による届け出タリフ主義 ※1 の崩 壊である。
それまでの航空、陸上輸送業界への 新規参入、運賃規制などの厳しい経済 規制が大幅に緩和され、荷主企業が要 望していた市場への競争原理の導入が 可能となったわけである。
その顕著な 例が、フェデックスをはじめとするイ ンテグレーター ※2 の急成長であり、ロ ジスティクス市場の開拓であった。
書類と小口貨物の定時サービスは、 広範なユーザーのビジネス・ニーズに 合致し、アメリカの国内市場で急速 に成長した。
アメリカでは、書類と小 口貨物の輸送には郵便しかなく、ド ア・ツウ・ドアと時間指定のサービス は、新たな市場を創造することとなっ た。
アメリカの典型的なインテグレー ターであるフェデックス、UPS、D HLは、基盤とする自国市場はもと よりヨーロッパ、アジアなど全世界市 場を席巻し、サービスの拡大をはかっ ている。
アメリカでは元来、トラックの運賃 と運行に関する規制が極めて厳格であ り、個別荷主へ自由に運賃を提示し、 荷主の要請にしたがって自由にトラッ クを運行することが不可能であった。
届け出たタリフ・レートを厳守し、認 可されたルートのみを運行することが 基本であった。
しかしながら、過剰規制の廃止がも たらす経済効果を狙った米国議会の施 策の転換により、まったく新しい環境 が醸成されることとなった。
フォワー ダーは航空機を所有できないなどの所 有権の制限が解除され、異なる輸送モ ード間の買収・合併も可能となり、自 由な?ドア・ツウ・ドア〞サービスの 組み立てができることとなった。
キャリア・荷主間の契約も当事者間 の取り決めにより自由に締結されるこ ととなり、輸送市場は、従来の不特定 多数の荷主へのコモン・キャリアとし てのサービスの提供から、特定荷主と の契約によるコントラクト・キャリア のサービスへと変換していった。
アメリカの輸送市場は、このような 背景のもとで、輸送の効率化によるコ スト削減を求める荷主のニーズと、そ のニーズに対応し新しい輸送サービス を創造しようとする業者側の試みが合 致し、荷主に代わり第三者としてロジ スティクスの改善を業とするサードパ ーティ・ロジスティクス・プロバイダ ーが出現した。
ちなみに、トラック業者のディレク トリィとして有名な「Leonard's Guide 」 の「九七年版?National Third-Party Logistics Directory 〞」をみると、従 業員二人という規模の会社を含め合計 約一五〇〇社が3PLとして記載され ている。
他に信頼できる3PLの業者数につ いての統計はないが、おそらく実際に 稼動している業者だけを数えても、特 定荷主のハウス・プロバイダーを含め れば現在約数百社はあろうといわれて いる。
いかに多くの人々が新しいビジ ネス・チャンスを求めているかがうか がえる。
このようにして、アメリカでは、八 〇年代から高まってきた経済界のロジ スティクスの改革指向と、並行してお こなわれた行政の規制撤廃への大胆な 施策があいまって、荷主ならびに輸送 業界に共通の経済効果をもたらす新し い形態のサービスが誕生した。
(2) ロジスティクス・サービス それでは、3PLのコア・ビジネス とは何であろうか。
商品の売買に従事する当事者以外の 者は、キャリア、フォワーダー、ブロ ※1 “filed rate doctrine” 届け出た タリフ・レートからの逸脱はすべて 違法とする厳格なタリフ・レートの 適用。
一九九五年のICC解体によ り陸上輸送のタリフ規制は廃止され た。
現在レート規制を行っているの はFMC(F e d e r a l M a r i t i m e Commission; 連邦海事委員会)の みである。
※2 Integrated Carrier とは、自ら 航空機を運航し、かつ陸上でトラッ クによる集配サービスを提供するキ ャリアである。
アメリカの規制改革 により「フレイト・フォワーダーは キャリアを所有できない」などの所 有権の制限が解除され、自社で一貫 サービスを提供するインテグレータ ーが誕生した。
APRIL 2001 32 ーカー、倉庫会社など、すべてロジス ティクス・サービスを提供する3PL になり得る。
単なるキャリアあるいは パブリック(一般)倉庫との相違点は、 ロジスティクス・サービスを提供でき るか否かにある。
3PLの基本機能は、特定荷主企業 のサプライチェーン運営の改善とロジ スティクス・コストの低減にあり、荷 主と3PL間の契約は、原則的にロジ スティクスの運営に関するパフォーマ ンス契約である。
3PLのサービスが開始された当初、 3PLは、機材、施設を保有するアセ ット・ベースと運営資産をもたないノ ンアセット・ベースのプロバイダーに 分類されていた。
しかし、現在では、 アセットを保有するか否かが決め手に なるわけではなく、どのようにアセッ トを管理し、有効活用するかにかかっ ていると考えられるようになっている。
例えば特定荷主に専属的な輸送サービ スを提供する場合は、機材とドライバ ーを3PL自ら管理する方が有利とさ れている。
3PLの一般的なサービスの内容は、 倉庫運営と在庫管理、輸送および輸送 管理、その他付加価値サービスを含め たサプライチェーンの運営(Supply Chain Management; SCM )およびロ ジスティクス情報システムの開発と運 営などがある。
その比率はアメリカの 3PLコンサルタント、アームストロ ング社(Armstrong & Associates ) の調査によると次の通り分類されてい る(表1)。
表1の内容は、国際輸送を除き、す べて国内サービスである。
総合サービ スとは、倉庫と輸送管理の機能を結合 したもの。
専属契約輸送(Dedicated Contract Carriage; DCC )は、荷主の 自家輸送を代行するアウトソース業務 である。
複合輸送とは、国内のインタ ーモーダル輸送の手配にかかわるサー ビスの提供をいう。
また「リード・ロジスティクス・プ ロバイダー(Lead Logistics Provider; LLP )」は、インバウンドのサプライチ ェーンとアウトバウンドのディストリ ビューション・チェーンのすべてを管 理する複合サービスの提供者のことで ある。
これら各サービスの運営に関連し、 ITサポート、金融サービス、ロジス ティクス・コンサルティングなども3 PLとしての不可欠なサービスとなっ ている。
なお、現状では、一社の3PLで大 手荷主企業のすべてのサプライチェー ンを統括するまでにはいたっていない。
したがって、荷主と複数の3PLとの 間に入り荷主のために総合的なコント ロールを行うフォースパーティ・ロジ スティクス・プロバイダー(4PL) ※3 が必要だといわれている。
多国籍企業の活動がグローバル化し ているなかで、国際ロジスティクスの 効率運営を求める大手荷主企業のニー ズは急増している。
ノースイースタン大学のリーブ博士 ( Dr. Robert C. Lieb )が行った二〇〇 〇年度の調査結果によると、フレイ ト・フォワーディングと通関が新しく 3PLのサービスに加わったという。
これは、SCMの範囲が国際的に広まっていることを意味する。
多国籍企業のニーズに最もよく対応 できるのは、現状では国際フレイト・ フォワーダーだといわれている。
しか し国際フレイト・フォワーダーは、キ ャリアと同様不特定多数の顧客に対し 共通なサービスを提供するのが通例で あり、特定の顧客に対し同顧客のロジ スティクス改善のためのサービスを提 供しない限り、ロジスティクス・プロ バイダーとはいえない。
ロジスティクス・サービスとは、優 秀な人材と顧客のSCMの最適化をは かるためのソフトウェアの開発をコア 機能とする新しいビジネスと位置付け られてきた。
しかし、現実にアメリカの3PLと いわれているプロバイダーがすべて特 定荷主のロジスティクス改善のための サービスを提供しているかどうか、必 ずしも判然としない。
※3 「これからのサプライチェーンの 運営には、スピードとグローバル化 と柔軟性が要求され、これまでの3 PLのサービスを超え、より総合的 なサプライチェーン・ソリューショ ンを提供する4PL(Fourth Party Logistics) が出現する」 James W. Moore, Associate Partner, Andersen Consulting, Fourth Party Logistics, A New Supply Chain Model Emerges, Annual Conference Proceedings, Toronto, Ontario, October 17-20, 1999, Council of Logistics Management, pp.211-218 ※4 非居住者トラックの国内営業を 禁止すること。
例えば、イギリスの トラックはフランス国内でトラック 運送を行えないなど。
一九九八年七 月一日に撤廃された。
26 24 13 12 11 7 4 2 サービスの内容 倉庫管理(在庫管理他) 輸送管理(輸送の最適化、運賃管理) 付加価値サービス(据付他高度サービス) 総合サービス(輸送管理と倉庫管理) 専属契約輸送(自家輸送の代行) 国際輸送(国際SCMの運営)   複合輸送(国内複合輸送の運営) リード・ロジスティクス・プロバイダー 表1 3PLのサービス内容 出所:Who's Who in Logistics? Armstrong's Guide to Third Party Logistics Providers, SeventhEdition, Vol.2, Armstrong & Associates, 1999, p. 18. サードパーティー使用顧客998社の調査による。
構成比(%) 33 APRIL 2001 (3) 3PLの市場規模 アームストロング社によると、九九 年の3PL部門の総収入は前年度に比 べ一六・五%増の四六〇億ドル(約五 兆三〇〇〇億円)、利益率は五%、ネ ット収入は二五〇億ドル(二兆九〇〇 〇億円)だという。
さらに今後三〜四 年の間は年率一五〜二〇%の成長率を 示すと予測されている。
他の多くの調 査でも3PLビジネスの継続的伸張が 予想されている。
目下、3PL事業についての統計資 料がないため数字的な確認はできない が、荷主企業の3PL使用の継続的な 増加などの事実から、趨勢として3P Lビジネスは着実に拡大しているとみ る。
参考までに、最近のアメリカの大 手3PLの顔ぶれと事業内容は次の通 りである(表2)。
(4) 今後の動向 こうしてアメリカの3PLは、規制 改革のなかから誕生し独自の市場を形 成するまでに至った。
その事業内容は いまだ契約輸送と倉庫管理が主力であ るが、顧客のビジネスのグローバル化 にともない、3PLにも国際規模のサ ービスが要求されてきている。
各モードのキャリアのサービスと3 PLサービスとの基本的な相違は、キ ャリアがそれぞれの単一輸送機能の提 供者であるのに対し、ロジスティク ス・プロバイダーは、それらのプロセ スの改革をはかることにある。
当然の ことながらそれらプロセスの改善を実 行するためには、卓越したソフトウエ アの開発と人材の確保が必須である。
現在アメリカで急速に拡大されつつ あるのが「オンライン貨物市場」であ り、eコマースが進展するなかで一つ の市場を形成しようとしている。
この サービスは、貨物機材とスペース情報 の提供から、入札(見積依頼)情報の 提示、関係者間の情報交換、ロジステ ィクス用ソフトの開発など渾然として はいるが、新たなビジネスの動きがみ られる。
これらの新しい勢力は、従来 の伝統的な3PLのサービスと競合し つつある。
いま、3PLにはユーザー から評価される独自のロジスティク ス・サービスの創造が求められている。
アメリカの3PLビジネスは、ここ 一〇年の間に法的環境の変化とユーザ ーのニーズを背景として急速に成長し てきた。
アメリカ経済の世界市場への 拡大とともに3PLのコンセプトは世 界的にも広まっている。
輸送市場に一 つの新しい分野が形成されたことは事 実である。
しかし、アメリカのサード パーティー・ロジスティクスはアメリ カの土壌で育った新しい製品であり、 同様のアプローチが他の文化圏で成功 するか否かは判然としない。
2 . 欧州の輸送市場 (1) 総合フレイト・フォワーダーと ロジスティクス会社 九三年のEU統合によりヨーロッパ 市場は劇的な変化をむかえた。
各国間 の輸出入通関は廃止され、輸送の分野 においてもEU市場内での自由化が促 進された。
トラックのカボタージュ ※4 も 廃止され、鉄道と郵便事業の民営化も推進すべき課題となっている。
ヨーロッパ大陸では、伝統的にフレ イト・フォワーダーがヨーロッパ域内 の内陸輸送を掌握しており、大手は域 外の海外拠点を拡充し、国際フレイ ト・フォワーダーとして世界的なネッ トワークを構築している。
かれらのコ ア・ビジネスは次の通りである。
●陸上輸送 ●海運および航空のフレイト・フォワ ーディング ●ロジスティクス ●その他(エクスプレスなど) さらに、大手は、IT機能の積極的 な強化を図り、総合SCMサービス・ プロバイダーとしてロジスティクスな らびにeコマース市場への参入を指向 している。
EU市場における代表的な フレイト・フォワーダーは、表3に記 載の通りである。
ヨーロッパ大陸では、歴史的にこれ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Ryder* Penske Logistics Schneider Dedicated Exel America Tibbett & Britten North American Fritz AEI UPS Logistics Expeditors 1287.4 959.0 875.0 802.0 651.8 650.0 578.0 506.7 487.8 442.5 47.5 20.0 45.1 23.3 5.9 18.2 13.4 52.2 38.7 59.1 8,800 8,670 8,000** 1,342 8,700 7,423** 4,000 6,360 リース,DCC, SCM LLP, DCC DCC LLP, 倉庫・輸送 倉庫・輸送 輸送・倉庫 フォワーディング フォワーディング グローバルSCM フォワーディング 表2 アメリカの3PLトップ10社 (単位:百万USドル、1999) ネット収入 ネット利益 人 員 11,500 12,376 コア・ビジネス 注)* Ryder Logistics + Ryder Dedicated **1998実績 出所:Who's Who In Logistics, Armstrong' s Guide to Third Party Logistics Providers, Eighth Edition,Vol. 2, p. 10より作成 会社名 Danzas* Schenker K hne & Nagel Panalpina MSAS** 国 籍 スイス ドイツ スイス スイス イギリス 6001 mEUR (7389) 5200 mEUR (6403) 6636 mCHF (5102) 5441 mCHF (4183) 1645 mGBP (3098) 人 員 30599 27700 12605 11015 14800 *Deutsche Post Groupの傘下にあり、アメリカのエア・フレイト・フォワーダ AEIを合併Danzas AEIとなったが、上記にはAEIの実績は算入されていない。
**MSASGlobal Logisticsを所有するOcean Group plcとExel Logisitcsを所有する NFC plcが合併し、新会社Exel plcが2000年5月に設立された。
EUR(ユーロ): 123.13円、CHF(スイスフラン):76.88円、GBP(英ポンド):188.30 円 (各 1999平均TTS)。
表3 EU市場における主要フレイト・フォワーダー( 単位:(億円)1999) 総収入 注) 出所:各社ホームページより作成。
APRIL 2001 34 らの国際フレイト・フォワーダーが域 内の輸送と倉庫業務を取り扱ってきた。
ただし、イギリスでは、立地条件およ び歴史的背景から国際フレイト・フォ ワーダーは成長せず、むしろ、倉庫・ 配送業務を取り扱うロジスティクス会 社が新しいビジネスを開発し、EU統 合の機会をとらえ急激に活動を拡大し てきた。
主だった企業は表4の通り。
またロジスティクス会社の標準的なサ ービスは以下の通りである。
●倉庫・配送 ●輸送と輸送管理 ●消費者関連サービス ●その他(ロジスティクス・サービス など) (2) 郵便・エクスプレス市場 目下、EUの郵便事業の自由化につ いては、各加盟国間で合意に達するま でにいたっていないため時期は未定だ が、趨勢は規制緩和の方向へ向かって いる。
ドイツ郵便、オランダ郵便 ( TPG )を始めとして、フランス郵便 ( La Poste )、イギリス郵便(The Post Office )などもEUの郵便自由化に備 え、自己の市場シェア拡大のため、民 間競合企業の買収作戦を極めて積極的 に展開している。
かれらが規模の拡大 による営業効果をねらっていることは 明白である。
顕著な例は、オランダ郵便によるオ ーストラリアの大手エクスプレスTN Tの買収、ドイツ郵便によるヨーロッ パ、アメリカの大手フォワーダー・ダ ンザスおよびAEIの買収、DHL株 の五一%取得、フランス郵便のドイツ 第二の小口輸送会社DPD株の八五% 取得などである。
これらの例は、各国 郵便局のヨーロッパ単一市場のなかで のシェア拡大のための戦略といえよう。
なお、UPS、DHLとさらに最近 ヨーロッパ市場に復帰したフェデック スなどのアメリカ勢がヨーロッパのエ クスプレス市場のシェア拡大を図って いるが、ドイツ郵便のDHL株の過半 数の取得、フランス郵便とフェデック スの提携などによりヨーロッパ市場で の新たな局面が展開されている。
郵便ならびにエクスプレス会社は、 B to B(対企業)、B to C(対消費者) を含めたeコマース市場へ参入するの に最も適したネットワークの保持者と いえよう。
特に郵便局は、独自の金 融サービスをロジスティクス部門にも 運用することができ、極めて有利であ る。
(3) ヨーロッパのロジスティクス 以上概観したように、「ヨーロッパ の輸送とロジスティクス」市場は、E Uの統合が進行するなかで、伝統的な フレイト・フォワーダー、歴史的に比 較的新しいロジスティクス会社、エ ア・エクスプレス・オペレーターなど に加え、各国の郵便局の参入により急 激な変貌の時期を迎えている。
もちろんヨーロッパでも3PLのコ ンセプトは充分認識されており、4P L、LLPの役割も理解されている。
ちなみに、ヨーロッパの3PLの平均 成長率は、年一二〜一五%、英国市場 では、五〜八%といわれる※5。
ただ し、ヨーロッパでは、輸送の仕組みや 雇用制度などの相違もありアメリカ的な3PLの運営が必ずしも成功すると はいえない。
EUの統合が行われたと はいえ、各国単位の異なった制度が現 存している。
ヨーロッパのトラック業者はおおむ ね中小以下の企業である。
SCMの効 率化とコスト削減が共通の課題ではあ るが、域内の「ワン・ストップ・ショ ッピング」的ロジスティクス・サービ スの提供は必ずしも容易ではない。
い ま、域内オペレーションの大半は、大 手フレイト・フォワーダーにより仕切 られているが、ヨーロッパでも、アメ リカで行われているような輸送を運営 するノンアセット・ベースの3PLの 誕生がみられるという ※6 。
「輸送とロジスティクス」というと らえ方がヨーロッパ流の概念であり、 基本的にはアセット・ベースのオペレ ーションが主流である。
ヨーロッパの 3PLは、キャリア、エクスプレス・ ※5 Dr. Melvyn J. Peters, 3PL jitters on the continent, American Shipper, November 2000 p. 26. ※6 Thomas A. Foster, Eight s t e p s t o a E u r o p e a n logistics strategy, Logistics Management & Distribution Report, 04/01/2000, p. 3. Exel Tibbett & Britten Hays TDG 2519 (4743) 1312 (2470) 1030 (1939) 424 (798) 38588 31000 26000 8330 GBP:188.30円(1999平均TTS) 総収入 注) (単位:百万GBP(億円)1999) 表4 イギリスの主要ロジスティクス会社 人 員 出所:各社ホームページおよびThe DB Logistics Services    Guide 2000,Distribution Business, Jan/Feb 2000より作成 35 APRIL 2001 オペレーター、郵便などが競合するな かで、やはりフレイト・フォワーダー が主役となろう。
アメリカ流の3PL という表現が適切か否かは定かではな い。
3 . 国際的なM&Aが激化 筆者が数年前ニューヨークで某3P Lをインタビューした時、「サードパー ティーとは荷主でない第三者である」 ことを意味し、今後4PL、5PLの 出現もあり得るといっていたことを記 憶しているが、本当に4PLなどとい う言葉が使われるようになってきた。
3PLとは、やはりアメリカ的な表 現であり、アメリカのトラック、鉄道、 航空、フレイト・フォワーダーなどの 機能と、それぞれ分離された輸送のシ ステムの間に生まれてきた新しいプロ ダクトである。
果たしてDCCといわれる自家輸送 の委託業務が純粋な意味での3PLサ ービスといえるのか。
また国際ビジネ スのグローバル化にともない国際フレ イト・フォワーダーのサービスに対す る認識が高まり、フレイト・フォワー ダー即3PLとみなされているきらい もあるが、フォワーディング業務と3 PLのサービスは明確に区別する必要 があろう。
アメリカの3PL市場といえども目 下、4PL、LLPなどのコンサルテ ィングの機能を主とするプロバイダー はそう多くない。
むしろ輸送、倉庫あ るいはフォワーディングなどのサービ スを自ら提供するネットワーク・オペ レーターが多いようである。
また、フェデックスによるカリバー、 UPSによるフリッツ、APLによる GATXロジスティクスの買収にみら れるように、大手輸送企業が3PLお よびフレイト・フォワーダーを買収す る傾向が強い。
アメリカでは、特にフ ェデックスとUPS両インテグレータ ーの総合化、巨大化が注目される。
数年前まで、3PLはロジスティク ス・ソフトの自己開発、ソフト専業者 との共同開発などにより特定荷主に対 して独自のソフトウェアを提供してい た。
しかし今日、eコマースの急激な 拡大にともない新しい「オンライン貨 物市場」が生まれ、多くの新規業者が 参入するようになった。
そして、この 新しいeビジネスは、従来の3PLと 競合することともなっている。
このような背景のもとで、規制廃止 の産物として生まれた3PLではある が、顧客のニーズに応え継続的な発展 を保つためには、さらにサービスの高 度化を図る以外にない。
ヨーロッパの大手フレイト・フォワ ーダーは、ロジスティクス部門の強化 が必須であることを十分認識している。
かれらの中には、アメリカの3PLの 買収を慎重に考慮しているものもいる という。
ヨーロッパの大手フレイト・ フォワーダーは、金融サービスの提供 も始めており、一部は既に4PLのコ ンサルティング部門を設置していると いう ※7 。
EU市場の大きな動きは、ドイツ郵 便の例にみられる企業買収戦略の展開 であり、多くの企業買収と戦略的提携 により市場の構造が著しく変化してきている。
ドイツ郵便の傘下にあるダン ザス ―AEI、イギリスのMSASと 合併したエクセル社(Exel )、ドイツ のシェンカー社(Schenker )、スイス のキューネ&ナーゲル社(Kühne & N a g e l ) お よ び パ ナ ル ピ ナ 社 ( Panalpina )などの最大手クラスのフ ォワーダーが、ヨーロッパのロジステ ィクス市場を牛耳ることになるかもし れないが、かれらはアメリカ的な3P Lとはいえない。
今後の新しいビジネス展開の可能性 としては、eコマースを含むメール・ エクスプレス分野であり、国際ビジネ スの拡大を背景とした航空ならびに海 運のフレイト・フォワーディングであ ろう。
しかしながら、荷主との専属的 な関係のもとでさらに開発されていく のがロジスティクス・サービスであり、 情報技術の進展とともに新たな可能性 が探求されていくこととなる。
※7 Dr. Melvyn J. Peters, op.cit., p.26.

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