2001年3月号
キーマン

「私の仕事、私の情報源」

――仕事の情報源として何を重視 していますか。
いくつかの経営者クラブに入っ ています。
ベンチャーキャピタル の人達や、公認会計士の人達とか、 ベンチャー起業に関心のある方と は積極的に会っています。
勉強会 にも参加するしね。
そのなかで知 り合った人達に、金融機関の人を 紹介してもらったり。
ベンチャー に関心のある人的交流会に参加し、 そこからまた輪が広がっていくと いう流れです。
結局、業界人との付き合いだけ では成長できないんですよ。
仕事 を取った取られたという話ばかり になってしまう。
仕事を拡大して いくための情報が入ってこない。
そう思ったので、一気につき合い 方を変えちゃったんです。
最近は 物流の人と会うことも、物流の話 をすることもめっきり少なくなり ました。
自分の仕事って何なのか を考えると、物流じゃないのかな と思うことすらあります。
――確かに物流以外の分野にサー ビス範囲を大きく拡げていますね。
物流業というより「よろずアウ トソーシング」業ですね。
実際、 ある外資系企業との取り引きでは、 カタログ作成とウェブサイトの構 築から、顧客管理、マーケティン グ分析、物流管理、配送までをす べて当社にアウトソーシングして もらっています。
こうした案件が、 どんどん多くなっている。
物流事業の収入が今でも大きい のだけれど、従来の物流ビジネス のやり方とは基本的なスタンスが 全く違ってきた。
荷主との契約も、 運賃がどうこうではなく、売り上 げの何%かをフィーとしてもらう といった内容だしね。
顧客に提案 するときは、膨大な量の書類を提 出します。
まず事業を実現するう えで必要なシミュレーションを出 し、お客さんに一つずつチェック してもらいます。
具体的な方法や、 いつまでに達成するかというスケ ジュールを詰めるんです。
――SBS自身はアウトソーシン グしないんですか。
コールセンターの規模が足りな いとかいう場合には他社を使うこ ともある。
また、印刷のように自 社で手掛けていない事業もありま す。
しかし、基本的にはすべてグ ループ内でやります。
自社で現場 を持っていないとノウハウを蓄積 することができません。
何でもか んでもアウトソーシングしていて はコストの判断もできない。
自社 で手掛けるからこそ、お客さんに対しても高いか安いかの判断をし てあげることができる。
そうやっ て最適の事業シミュレーションを 作り上げることが僕らの役目です。
3PLってそういうものでしょ。
物流だけでなく、どうやったら荷 主の商売が上手くいくか、モノが 売れるようになるかという仕組み まで提案できないと価値がない。
ところが実際には3PLといいな がら、売ることは荷主任せにして いる。
マーケティングにしろロジ スティクスにしろ、最終的にどう やってモノを売るかが目的です。
それが顧客満足につながるんです。
の世界です。
通常一万ケースを作る生産ライ ンでは多くても一万一〇〇〇ケー スなのに、かたや一万ケースの処 理を前提とする物流センターでは、 一〇万ケースの物量を処理しよう としている。
本当は「NOと言え る物流」が必要なんですが、これ が言えない。
精神主義と人海戦術でなんとかしようとしてしまう。
物 流コンサルティングという私の仕 事は、こうした物流マンの立場を 代弁することができるんです。
――ロジスティクスに関する情報 をどうやって入手していますか。
情報というのは読むだけでは身 に付きません。
自分なりに整理し たり、書いたり、実際に手掛けて みる必要がある。
だから私は、人 との出会いを重視しています。
現 場で実務を手掛けた人達の話は説 得力がある。
現場の課題に直面し てきたとか、実際に現場を見たと いう人達の話は貴重です。
読むだ けの知識とは深さが違います。
幸い最近では、講演をしたり本 を書いたりする仕事が増えていま す。
これまで私がこだわってきた コンサルティングという業務とは 少し違うんですが、これほどあり がたい仕事はありません。
なんせ 情報が向こうから集まってくるん ですから。
ですから最近は、スケ ジュールが許す限り講演などをや るようにしています。
――専門メディアの評価は。
流行のテーマにワーッと飛びつ いて、はやし立てる姿勢には首を 傾けざるを得ませんね。
メディア の使命として、時代の方向性を示 すことも必要ですが、それしかな いという論調は偏向でしかありま せん。
実際の中身は、ほとんどな いんですから。
専門メディアに限 った話ではありませんが、こうし た報道姿勢には納得がいきません。
専門メディアの情報で重宝して いるのは、データ物やアンケート 物ですね。
例えば「メーカーの物 流部長は物流をコア業務と捉えて いるか」といったアンケートには 非常に興味があります。
しかし、 残念なことに満足できるデータはごくわずかです。
たいてい設問が おかしかったり、サンプル数が少 なくて信憑性に欠けていたりする。
可能であれば同じような項目のア ンケートを定期的に実施して、荷 主と物流業者の実態を伝えて欲し いのですが、現状のロジスティク ス専門メディアにはこれがありま せん。
寂しい話です。
創刊準備号30 「荷主には商売の仕組みを提案する」 エスビーエス 鎌田正彦 社長 ――物流の面白さとは何ですか。
物流には手応えがあります。
あ る意味で生産と似ているんですが、 きちんとロジックを積み上げてい けば必ず結果が出る。
この点が感 性に頼りがちなマーケティングの ような分野と決定的に違います。
なかにはヤマ勘に頼っている人達 も少なくありませんが、本当はI E(Industrial Engineering )に 代表されるようにきわめて理詰め 「『NO』と言える物流現場になろう」 カサイ経営 河西健次 社長 ――日本では物流学者の陰が薄い ように思います。
そもそも学者は要素技術の細部 について実務家にかないっこない んです。
物流業者は物流の体系自 体をテーマにすべきだというのが、 僕の昔からの主張です。
ところが 大部分の学者は体系をやらないで 技術をやるか、もしくは体系を超 えてすごく大きくテーマを拡げて しまうかに分かれてしまって、中 間の体系論がない。
――先生の著書「運輸業のマーケ ティング」は十数年経った今読ん でも新鮮です。
あれは物流の本というよりも、 むしろサービス業のマーケティン グを書いた本なんです。
僕はもと もとマーケティングと流通を研究 テーマとしていましたから、マー ケティングの視点で運輸業の経営 を分析したのです。
本を書く上では、国内よりむし ろ米国の運輸業を参考にしました。
UPSとフェデックス、そしてU SPS、米国の郵便ですね。
よく 調べてみると、この三社は扱うマ ーケットが明らかに違う。
明確に 差別化されている。
これが運輸業 のマーケット・セグメンテーショ ンかと驚かされました。
日本でも 消費財メーカーならどこでもやっ ているが、運輸ではどこもやって いなかった。
そして、この考えに国内で一番 最初に乗ってくれたのがヤマト運 輸の小倉昌男さんでした。
「宅急 便」をマーケティング的に分析し ていくと、あれが何故あそこまで 伸びたのかよく理解できる。
――続編を書く予定は。
確かにマーケティング論で運輸 を語るというアプローチは今でも 面白いと思います。
改めて書けば 新しいことが言えそうです。
現在、 取り組んでいるチャネル論が終わ ったら書くことになると思います。
実はあの本の前に私は「物流とマ ーケティング」という本を書いて いるんです。
これは運輸ではなく 物流です。
チャネル問題と物流、 販売促進に物流がどう使われるか というテーマでした。
これが現在 のチャネル論に結びつく。
マーケ ティングの分野ではチャネル論が 必須です。
ところが物流にはチャ ネル論に該当する部分がない。
そ れで取り組んでいるのです。
るのですが、うまくいきませんで した。
新たなコード体系を導入し ようとしても、すでに独自のコー ドで実務を動かしていた各部門の 抵抗が強かった。
次善の策として コード自体を長くして対応しよう という案も出ましたが、入力の負 担などを考えると現実的ではなか った。
この経験を踏まえて、GL Sではトップダウンの全社的な課 題としてコードの統一に取り組む ことになったんです。
――そうまでして取り組んだ理由 は。
何より売る側からの要請が大き かった。
グループ内のコードが統 一されていないと、POSシステムで商品を管理している量販店に も迷惑がかかる。
本来は工場でソ ースマーキングしたコードで、受 発注から販売管理までを管理でき るというのが理想です。
すでに世 の中では当たり前といってもいい。
しかし、キャノンの一部の業務は、 部分最適の積み上げで大きくなっ たところがあります。
結果として生産のコード、輸出 業務で使うコード、販売のための コードといった具合に商品コード が分かれてしまった。
そうすると、 販売店が出す請求コードと製品コ ードが違うなどという物理的な問 題があちこちで出てきてしまいま す。
SCMでは市場と生産の同期 化が欠かせません。
商品コードの 不統一がボトルネックになってし まうんです。
もちろん、それまでも販売店側 からの要請はありました。
こちら も必要性は認識していたんですが、 コストもかかるし、手間もかかる ため先延ばしになっていた。
事業 部の立場では、わざわざコードを 統一しなくてもデータ変換などで 対応できると考えていたんです。
もう一つの大きな狙いは、情報 を見えるようにすることです。
在 庫を削減しようにも、どれくらい の在庫があるのか把握する必要が ある。
そのためにも商品コードの 統一が欠かせなかったんです。
――コード統一の次の課題は。
次はカメラや複写機などの各事 業部ごとに、生産と販売の仕組み を最適化していく必要があります。
これは事業部主導でやるんですが、 ここでまた生産と販売が勝手にやると部分最適に陥りかねません。
その調整をするのがGLSの役割 です。
いま取り組んでいる商品コ ードの統一は、いわばインフラ整 備です。
第一ステップと言っても いい。
これを使ってサプライチェ ーンをどう変えるかは第二ステッ プですが、ようやくその段階に入 りつつあるところです。
31 創刊準備号 「要素技術ではなく体系自体を追う」 神奈川大学 中田信哉 教授 「コードの統一がSCMの第一ステップ」 キヤノン 高橋良夫業務本部GLS推進部 部長 ――GLS推進部の主要テーマは 何ですか。
在庫ですね。
スローガンとして 掲げたのは、無在庫経営とリード タイムの短縮です。
しかし、当社 の連結グループ全体を在庫という 視点でみるには、各国の事業部ご とに商品コードがバラバラになっ ているという課題がありました。
これを統一することがGLSの最 初の仕事です。
実は当社は数年前にも一度、コ ードの統一に取り組んだことがあ 物流キーマン 「私の仕事、私の情報源」

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