2005年1月号
ケース
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紀文フレッシュシステム――情報システム
JANUARY 2005 32共配事業を軸にサ ビス展開紀文フレ シ システム KFS は現在 全国二四カ所の物流ネ トワ クを駆使してチルド温度帯 マイナス五度 プラス五度 の共同配送事業を展開している 共配事業のほかにもセンタ 運営や流通加工などを幅広く手掛け 食品分野における実力派の定温物流事業者として知られる 同社は一九八四年に紀文食品の物流子会社として設立された 親会社の物流業務を全面的に受託し その運営を通じてノウハウを蓄積した その後は営業タ ゲ トを紀文グル プ以外に拡大し 九三年に紀文食品の情報子会社と合併してからは情報システムの開発・運用も手がけるようにな た 分社化から二〇年という社歴は 並み居る食品メ カ の物流子会社のなかにあ ては決して長いほうではない だが この間に同社は 紀文グル プ向けの売上構成比が四割を切るまでの見事な自立を成し遂げている その一方で 親会社に対しては年々 一定以上の金額の物流コスト低減に貢献してきた 外部荷主の開拓によ て親会社への依存度を下げ コスト削減に貢献することが物流子会社の使命という考え方に立つならば KFSは間違いなく物流子会社として優等生企業の一つといえるだろう 同社の物流事業は 親会社の業務受託以外に 1共同配送 2百貨店納品代行サ ビ受注から配送実績管理までを一元化主軸のチルド共配で売上倍増を狙う全国でチルド物流を展開している紀文フレッシュシステムが、共同配送事業の強化に向けて情報システムの刷新を進めている。
携帯電話を使った運行管理システムとの連携によって配送状況もリアルタイムで管理できる体制が整う。
業務の標準化や損益管理の徹底、車両の有効活用などを進めて経営改善を図り、顧客サービスの向上を狙う。
紀文フレッシュシステム――情報システム33 JANUARY 2005ス および3量販チ ンやコンビニエンスストア向けの物流センタ 業務受託サ ビス などの事業からなる 二〇〇三年度の売上高一八〇億円のうち 物流事業の売り上げが一五四億円を占めている 物流事業のなかでも軸とな ているのが共配だ 北海道から九州まで全国に展開する二四の物流拠点では 練製品などの加工食品や日配品 カ ト野菜 デザ ト類など さまざまな商品を一台のトラ クに積み合わせて 百貨店やス パ コンビニエンスストア 外食チ ンなどの店舗や物流センタ 向けに共同配送を手掛けている さらに拠点間を幹線輸送で結ぶネ トワ クも構築し 広域での共同配送にも対応している チルド物流では厳密な温度管理が欠かせないうえ リ ドタイムが短い KFSは 高度の輸送品質が求められるこの分野に特化しながら 共同配送によるコスト低減というメリ トを提供することによ て新規顧客の開拓に成功してきた もちろん 同社は百貨店納品代行サ ビスや物流センタ 業務の受託サ ビスでも早くから実績を積んできた とりわけ納品代行は 昨今 百貨店業界で指定納品代行制への移行が進んでいることを背景にしながら力を入れている分野だ ただし こうした事業も 共同配送という仕組みのうえに成り立 ている 同社のビジネスは あくまでも共同配送事業を基盤としているのである 湿度帯を細かく区分しかし最近は この共同配送の事業環境が厳しさを増している もともと同社の手掛けるチルド物流は 取り扱う商品ごとに温度帯などの管理基準がまちまちで難易度が高い 例えば 同じ菓子でも チ コレ トは一五度前後の温度帯が品質保持に適しているが 和菓子はこれよりも少し高めの一八度くらいが望ましい あまり低すぎると餅菓子などが固くな てしまうからだ 一方 シ トケ キなどの洋菓子は八度以下でないと生クリ ムが溶けてしまう わずかの温度変化で劣化するカ ト野菜などの取り扱いにも細心の注意が必要だ 荷扱いにも慎重さが要求される レタスなどの葉野菜は冷風を嫌うので 輸送中に冷蔵装置の送風が直接当たらないように布をかぶせるなどの工夫が必要だ 洋菓子はトラ クの振動が激しいだけで破損する恐れがある これだけ特性の異なる商品を 同一車両で共同配送するのは生易しいことではない そこにあえてタ ゲ トを置いたからこそ KFSはこれまで差別化に成功してきた だが積み合わせる荷物が多様化するにつれて共同配送の難易度は上が てくる この状況に 昨今の共同配送の広域化が拍車をかけている チルド製品のかつての商圏は地域内需給が中心で 配送は四〇〇キロ圏内におさま ていた ところが流通の広域化とともに配送圏も拡大 KFSが広域での共同配送に積極的に取り組んできたこともあ て 今では六〇〇キロ近い東京 大阪間の輸送のウエ トがかなり高くな ている 同社の物流拠点はほぼ二〇〇キロ間隔に設けてあり 基本的に拠点ごとにエリア単位で共同配送を行 ている これが広域配送になると エリアをまたが て配送することになる ノンアセ ト型で物流事業を展開しているKFSは自社車両を一台も保有しておらず 輸配送業務は実運送事業者にすべて委託している また二十四カ所ある拠点のなかには運営をすべて外部委託しているところもあるた青森配送センター 新潟配送センター 郡山配送センター 北上センター 仙台センター 札幌センター 恵庭センター 成田センター 船橋センター 平和島センター 横浜センター 埼玉センター 山梨配送センター 長野配送センター 静岡センター 北陸センター 名古屋センター 熊本配送センター 関西センター 岡山センター 坂出センター 広島センター 鳥栖第一センター 鳥栖第二センター RDC(▲) 7 FDC(■) 11 TC( ) 6total 24拠点 紀文フレッシュシステムの全国ネットワーク め 配送が広域化すると 配送指示や実績の収集 売り上げやコストの配分などの管理業務が複雑にな てくる このように物流事業そのものの内容が変質する一方で 外部環境も厳しさを増している 大型車両の速度規制や排ガス規制が強化される中で 顧客の物流合理化ニ ズはますます強ま ている さらに常温帯やフロ ズン帯を扱う物流事業者や3PL事業者などがチルド物流の分野に相次いで参入し 競争は一層激化しつつある サ ビスを区分して作業を標準化こうした厳しい環境下にある共同配送事業を再構築するため KFSは二〇〇三年に基幹情報システムの開発に着手した 前述したような業務の難易度の高さから 従来の同社の共配業務はあまりシステム化が進んでおらず 作業を職人技に頼る部分が多か た 拠点ごとに異なる地域特性も 作業の標準化を遅らせる要因として働いた だが さまざまなニ ズを柔軟に取り込めて かつ広域共配に対応できるように事業基盤を強化するには 標準化と基幹となる情報システムの構築が不可欠だ た システム構築に向けて同社は まず共同配送の商品を デザ ト便 外食チ ン便 センタ 共配便などに区分する考え方をと た 荷扱いや温度帯などの特性によ て管理方法やサ ビス内容を分け それぞれのサ ビスに応じた価格設定を行うという一つの営業戦略である 厳しい温度管理を要する商品については 温度帯によ て専用の作業ラインを設ける 振動に弱い洋菓子などは配送をエアサスペンシ ンつきの車両に限定する 納品時間の厳格な外食チ ン向けのサ ビスでは 指定納品時間のきめ細かな管理に重点を置く こうしてサ ビスごとに切り分け 付加価値による差別化を図 たうえでコスト競争力でも優位に立とうという狙いである 新たな基幹システムのキ ワ ドは 標準化 だ 全拠点に共通のシステムを導入して 貨物が入荷してから出荷するまでの情報の流れを一元管理することを目指した この基幹システムを KFSはロジステ クス・コア・システム Kitlogi と名づけた 共同配送を実施する拠点での受注から 仕分けなどの構内作業 輸配送 請求・支払いまでを一貫して管理できる 荷主の仕組みを上位システムと位置づけて Kitlogi そのものは受注システムや構内作業システムとい たサブシステムとして構成されている 顧客から受ける出荷関連情報を受注システムで処理し 入荷予定情報や出庫・仕分け指示情報を作成 これをもとに構内作業を行い 配送計画を立てる さらに実績管理を行 て請求・支払いまで一元的に処理する すでに述べたように 同社の物流拠点では JANUARY 2005 34ロジスティクス・システムの全体図 実績報告 ・在庫実績 ・入出荷実績 ・受注情報 (電話・FAX、 EOS、メール) ・入荷予定 ・仕分指示 ・出荷指示 請求書 共配受注 入荷予定 出庫指示 仕分指示 入荷実績 仕分実績 在庫実績 出荷実績 納品実績 配送予定 作業料実績 入荷実績・ 仕分個口数 売上計上 荷主上位システム (小売・メーカー・卸業・運送事業者等) 納品実績 支払計上 【OMS】 請求管理 サブシステム 【OMS】 支払管理 サブシステム 【TMS】 輸配送管理 サブシステム 【WMS】 構内作業サブシステム (共配型/通過型/在庫型) 【OMS】 受注サブシステム WEB WEB 各担当者 配送指示 納品実績 携帯電話 車載端末等 ・売上分析 ・原価分析 ・コース別分析 ・配送コース シミュレーション Kitlogi(ロジスティクス・コア・システム) 配送予定 配送指示実績 支払明細 パ トナ Web運行管理 システム 配車管理 コース管理 整備管理 請求・支払管理 社員・給与明細 GPS荷物追跡 遠隔監視 Kittruck届 先 荷 主 納品実績 (時間・温度等) 納品実績 (時間・温度等) 【DAS】 データ分析 サブシステム 実績情報 予定情報 35 JANUARY 2005共配事業だけでなく百貨店納品代行や物流センタ 代行などさまざまな業務を手掛けている オペレ シ ンの内容にも通過型・在庫型・共配型などいくつかのタイプがある 扱う貨物によ て管理水準やサ ビス水準もまちまちだ ただし いずれも最終的には共同配送というサ ビスに集約される このため Kitlogi では 拠点で扱うすべての貨物について 共同配送という切り口で一元管理している Kitlogi には 在庫管理や仕分け指示などそれぞれのサ ビスに必要な機能がついているが これらの機能はいわばオプシ ンのようなものだ どの貨物が どの車両で どのように共同配送されたかを管理することが Kitlogi の最も重要な機能とな ている われわれの事業は共同配送を軸に成り立 ている 基幹システムも配送管理に重点を置いて構築した これを活用することで 安く運ぶための施策を打つことができるようになる と米島英紀ロジステ クス企画部ロジシステム営業企画担当長は強調する これまでは基幹情報システムがなか たため 作業ベ スで一日の売り上げを把握するのがなかなか難しか た これが Kitlogi の稼働によ て 構内作業や輸配送の売り上げはもちろん 配送コ ス別の損益なども毎日 管理できる これらの情報をもとに 日々の運用の中で車両を有効活用し 経営改善のスピ ドを上げていくことが可能になる と米島担当長は期待している 運行管理システムをASPで提供 Kitlogi による配送管理機能を補う狙いで これと連携して運用する運行管理システム Kittruck も別途開発した Kittruck は KDDIのGPS 全地球測位システム 機能付きの携帯電話を使 て インタ ネ ト経由で運行管理を行うシステムだ ITコンサルタント会社のKTコンサルタントと共同で開発した 配車管理やコ ス管理のほか車両整備管理 請求・支払い管理 勤怠・給与管理など 運送会社にと て必要な業務管理の機能がパ ケ ジ化されている 輸配送業務を委託している運送会社に KFSがASP アプリケ シ ン・サ ビス・プロバイダ として提供して運用してもらう そして同システムで管理する情報のなかから 同社の貨物に関する配送実績だけを公開してもらう 実際の運用は まず Kitlogi で配送コ ス 配送予定情報 を作成し この情報をもとに Kittruck で実務を管理するという流れになる Kittruck のサ バからドライバ がコ ス別の配送指示情報を携帯電話にダウンロ ドして 画面表示に従 て配送を行い 一軒ずつ納品が終わるたびに 配送完了 を入力 この情報を携帯電話からサ バに送り サ バで配送状況をリアルタイムに管理する KFSの米島担当長は 車両ごとの一日の配送時間などがひと目で分かるようになるので 運送会社に車両の有効活用を提案して回転率ア プを図ることができる と開発の狙いを語る また Kittruck は これまでドライバ が手書きで作成していた運転日報をデ タ化し 実績管理も容易にする 効率化は運送会社との協力なしにはできない 配送実績をデ タ化して共有することでそれが可能になる このシステムで運送会社もわれわれも体力をつけてコスト削減を進め 荷主に還元していきたい 同 という サ バで管理する配送状況は インタ ネ ト経由で荷主とも共有する 従来 業務を外部委託している拠点では 配送状況の把握が難しく 荷主からの問い合わせに応えるまでに時間を要していた 広域配送になると納品時間を管理しにくくなるという問題もあ た だが情報を共有化すれば 荷主もリアルタイムで配送状況を把握できるようにな て顧客サ ビスは向上する これもシステムを開発した狙いの一つだ た ロジスティクス企画部の米島英紀氏JANUARY 2005 36最寄りの車に集荷を指示 Kittruck にはいくつかのユニ クな特徴がある まず auの第三世代携帯電話が持つ独自の センタ プ シ 機能 によ て サ バ側から車両の位置情報を測位することができる サ バシステムからコマンドを送 て携帯電話のアプリケ シ ンを動かし 携帯電話が自動的にGPSで車両の位置を測位して緯度経度情報をサ バに送るため ドライバ は何も操作しなくていい 急な集荷依頼があ た場合などには この方法で集荷先に最も近くにいる車両を探し出し サ バから携帯電話に集荷指示のメ セ ジを通知することが可能だ わざわざ専用の衛星通信システムなどを使 て動態管理をしなくても 必要な時にリアルタイムで車両位置を検索できるため 通信コストを節減することが可能だ さらに同社は現在 au携帯電話の Bluetooth という近距離無線技術を使 て モバイルプリンタ やバ コ ドリ ダ デジタルタコメ タ と連携させて運用することも検討している これを実現できればBluetoothの機能によ て 集荷指示などのメ セ ジを通知するだけでなく 携帯電話を経由してプリンタ にメ セ ジを出力することも可能になる この機能を利用すれば たとえば集荷先でオ ダ シ トのバ コ ドをスキ ン入力し 携帯電話経由でサ バに送るとい た運用が可能になる そうすれば集荷実績がサ バに自動的に入力され この情報がそのまま配送指示情報になる ドライバ がその場で携帯プリンタ から受領書を発行するのも簡単だ デジタルタコメ タ で収集するデ タを必要な時にサ バに吸い上げて 配送の効率化に活用していくことも検討中で いまシステム開発を進めているのだという Kitlogi は二〇〇四年二月に開発を終え 三月から導入を開始した これまでに埼玉 名古屋 関西 仙台の四センタ で稼動しているほか 平和島など四カ所で導入を準備している 今年度中にも 全国二四カ所の拠点のうち共配事業をメ ンとする一八拠点に導入していく予定だ 一方 Kittruck は二〇〇四年一〇月に名古屋センタ で運用を開始しており この二月をめどにモバイルや携帯端末と連動したシステムとして本格稼動させる 今後は同社の協力会社以外の一般の運送会社にも販売していく計画だ KFSでは 早期に二つの情報システムを全国に展開していく考えだ 作業の標準化と効率化を進めて経営改善のスピ ドを速めるとともに 売り上げの飛躍的な拡大を狙う 二〇〇三年度に約五〇億円だ た共同配送事業の売り上げを 三年間で一〇〇億円へ倍増させるという大きな目標を掲げている フリ ジ ナリスト・内田三知代 「Kittruck」の運用フロー 荷主 システム 顧客(荷主・届先) 納品実績確認 顧客との情報共有による差別化 固定データ通信料による安心運用 周辺機器との連携による拡張性 運送会社業務機能一体化による効率化 (ASPトータル管理システム) 出勤報告 納品報告 終了報告 通話 受注 発注 受領書印刷 納品書印刷 モバイルオフィス 車載端末 無線ハンズフリー 無線リーダー 無線プリンタ セイフティーレコーダー 運行デ タ 安全運転指導 携帯 電話網 Web配送依頼データ 衛星通信(GPS) センタープッシュ機能 配車チャート GPS車輛位置 運行日報管理
携帯電話を使った運行管理システムとの連携によって配送状況もリアルタイムで管理できる体制が整う。
業務の標準化や損益管理の徹底、車両の有効活用などを進めて経営改善を図り、顧客サービスの向上を狙う。
紀文フレッシュシステム――情報システム33 JANUARY 2005ス および3量販チ ンやコンビニエンスストア向けの物流センタ 業務受託サ ビス などの事業からなる 二〇〇三年度の売上高一八〇億円のうち 物流事業の売り上げが一五四億円を占めている 物流事業のなかでも軸とな ているのが共配だ 北海道から九州まで全国に展開する二四の物流拠点では 練製品などの加工食品や日配品 カ ト野菜 デザ ト類など さまざまな商品を一台のトラ クに積み合わせて 百貨店やス パ コンビニエンスストア 外食チ ンなどの店舗や物流センタ 向けに共同配送を手掛けている さらに拠点間を幹線輸送で結ぶネ トワ クも構築し 広域での共同配送にも対応している チルド物流では厳密な温度管理が欠かせないうえ リ ドタイムが短い KFSは 高度の輸送品質が求められるこの分野に特化しながら 共同配送によるコスト低減というメリ トを提供することによ て新規顧客の開拓に成功してきた もちろん 同社は百貨店納品代行サ ビスや物流センタ 業務の受託サ ビスでも早くから実績を積んできた とりわけ納品代行は 昨今 百貨店業界で指定納品代行制への移行が進んでいることを背景にしながら力を入れている分野だ ただし こうした事業も 共同配送という仕組みのうえに成り立 ている 同社のビジネスは あくまでも共同配送事業を基盤としているのである 湿度帯を細かく区分しかし最近は この共同配送の事業環境が厳しさを増している もともと同社の手掛けるチルド物流は 取り扱う商品ごとに温度帯などの管理基準がまちまちで難易度が高い 例えば 同じ菓子でも チ コレ トは一五度前後の温度帯が品質保持に適しているが 和菓子はこれよりも少し高めの一八度くらいが望ましい あまり低すぎると餅菓子などが固くな てしまうからだ 一方 シ トケ キなどの洋菓子は八度以下でないと生クリ ムが溶けてしまう わずかの温度変化で劣化するカ ト野菜などの取り扱いにも細心の注意が必要だ 荷扱いにも慎重さが要求される レタスなどの葉野菜は冷風を嫌うので 輸送中に冷蔵装置の送風が直接当たらないように布をかぶせるなどの工夫が必要だ 洋菓子はトラ クの振動が激しいだけで破損する恐れがある これだけ特性の異なる商品を 同一車両で共同配送するのは生易しいことではない そこにあえてタ ゲ トを置いたからこそ KFSはこれまで差別化に成功してきた だが積み合わせる荷物が多様化するにつれて共同配送の難易度は上が てくる この状況に 昨今の共同配送の広域化が拍車をかけている チルド製品のかつての商圏は地域内需給が中心で 配送は四〇〇キロ圏内におさま ていた ところが流通の広域化とともに配送圏も拡大 KFSが広域での共同配送に積極的に取り組んできたこともあ て 今では六〇〇キロ近い東京 大阪間の輸送のウエ トがかなり高くな ている 同社の物流拠点はほぼ二〇〇キロ間隔に設けてあり 基本的に拠点ごとにエリア単位で共同配送を行 ている これが広域配送になると エリアをまたが て配送することになる ノンアセ ト型で物流事業を展開しているKFSは自社車両を一台も保有しておらず 輸配送業務は実運送事業者にすべて委託している また二十四カ所ある拠点のなかには運営をすべて外部委託しているところもあるた青森配送センター 新潟配送センター 郡山配送センター 北上センター 仙台センター 札幌センター 恵庭センター 成田センター 船橋センター 平和島センター 横浜センター 埼玉センター 山梨配送センター 長野配送センター 静岡センター 北陸センター 名古屋センター 熊本配送センター 関西センター 岡山センター 坂出センター 広島センター 鳥栖第一センター 鳥栖第二センター RDC(▲) 7 FDC(■) 11 TC( ) 6total 24拠点 紀文フレッシュシステムの全国ネットワーク め 配送が広域化すると 配送指示や実績の収集 売り上げやコストの配分などの管理業務が複雑にな てくる このように物流事業そのものの内容が変質する一方で 外部環境も厳しさを増している 大型車両の速度規制や排ガス規制が強化される中で 顧客の物流合理化ニ ズはますます強ま ている さらに常温帯やフロ ズン帯を扱う物流事業者や3PL事業者などがチルド物流の分野に相次いで参入し 競争は一層激化しつつある サ ビスを区分して作業を標準化こうした厳しい環境下にある共同配送事業を再構築するため KFSは二〇〇三年に基幹情報システムの開発に着手した 前述したような業務の難易度の高さから 従来の同社の共配業務はあまりシステム化が進んでおらず 作業を職人技に頼る部分が多か た 拠点ごとに異なる地域特性も 作業の標準化を遅らせる要因として働いた だが さまざまなニ ズを柔軟に取り込めて かつ広域共配に対応できるように事業基盤を強化するには 標準化と基幹となる情報システムの構築が不可欠だ た システム構築に向けて同社は まず共同配送の商品を デザ ト便 外食チ ン便 センタ 共配便などに区分する考え方をと た 荷扱いや温度帯などの特性によ て管理方法やサ ビス内容を分け それぞれのサ ビスに応じた価格設定を行うという一つの営業戦略である 厳しい温度管理を要する商品については 温度帯によ て専用の作業ラインを設ける 振動に弱い洋菓子などは配送をエアサスペンシ ンつきの車両に限定する 納品時間の厳格な外食チ ン向けのサ ビスでは 指定納品時間のきめ細かな管理に重点を置く こうしてサ ビスごとに切り分け 付加価値による差別化を図 たうえでコスト競争力でも優位に立とうという狙いである 新たな基幹システムのキ ワ ドは 標準化 だ 全拠点に共通のシステムを導入して 貨物が入荷してから出荷するまでの情報の流れを一元管理することを目指した この基幹システムを KFSはロジステ クス・コア・システム Kitlogi と名づけた 共同配送を実施する拠点での受注から 仕分けなどの構内作業 輸配送 請求・支払いまでを一貫して管理できる 荷主の仕組みを上位システムと位置づけて Kitlogi そのものは受注システムや構内作業システムとい たサブシステムとして構成されている 顧客から受ける出荷関連情報を受注システムで処理し 入荷予定情報や出庫・仕分け指示情報を作成 これをもとに構内作業を行い 配送計画を立てる さらに実績管理を行 て請求・支払いまで一元的に処理する すでに述べたように 同社の物流拠点では JANUARY 2005 34ロジスティクス・システムの全体図 実績報告 ・在庫実績 ・入出荷実績 ・受注情報 (電話・FAX、 EOS、メール) ・入荷予定 ・仕分指示 ・出荷指示 請求書 共配受注 入荷予定 出庫指示 仕分指示 入荷実績 仕分実績 在庫実績 出荷実績 納品実績 配送予定 作業料実績 入荷実績・ 仕分個口数 売上計上 荷主上位システム (小売・メーカー・卸業・運送事業者等) 納品実績 支払計上 【OMS】 請求管理 サブシステム 【OMS】 支払管理 サブシステム 【TMS】 輸配送管理 サブシステム 【WMS】 構内作業サブシステム (共配型/通過型/在庫型) 【OMS】 受注サブシステム WEB WEB 各担当者 配送指示 納品実績 携帯電話 車載端末等 ・売上分析 ・原価分析 ・コース別分析 ・配送コース シミュレーション Kitlogi(ロジスティクス・コア・システム) 配送予定 配送指示実績 支払明細 パ トナ Web運行管理 システム 配車管理 コース管理 整備管理 請求・支払管理 社員・給与明細 GPS荷物追跡 遠隔監視 Kittruck届 先 荷 主 納品実績 (時間・温度等) 納品実績 (時間・温度等) 【DAS】 データ分析 サブシステム 実績情報 予定情報 35 JANUARY 2005共配事業だけでなく百貨店納品代行や物流センタ 代行などさまざまな業務を手掛けている オペレ シ ンの内容にも通過型・在庫型・共配型などいくつかのタイプがある 扱う貨物によ て管理水準やサ ビス水準もまちまちだ ただし いずれも最終的には共同配送というサ ビスに集約される このため Kitlogi では 拠点で扱うすべての貨物について 共同配送という切り口で一元管理している Kitlogi には 在庫管理や仕分け指示などそれぞれのサ ビスに必要な機能がついているが これらの機能はいわばオプシ ンのようなものだ どの貨物が どの車両で どのように共同配送されたかを管理することが Kitlogi の最も重要な機能とな ている われわれの事業は共同配送を軸に成り立 ている 基幹システムも配送管理に重点を置いて構築した これを活用することで 安く運ぶための施策を打つことができるようになる と米島英紀ロジステ クス企画部ロジシステム営業企画担当長は強調する これまでは基幹情報システムがなか たため 作業ベ スで一日の売り上げを把握するのがなかなか難しか た これが Kitlogi の稼働によ て 構内作業や輸配送の売り上げはもちろん 配送コ ス別の損益なども毎日 管理できる これらの情報をもとに 日々の運用の中で車両を有効活用し 経営改善のスピ ドを上げていくことが可能になる と米島担当長は期待している 運行管理システムをASPで提供 Kitlogi による配送管理機能を補う狙いで これと連携して運用する運行管理システム Kittruck も別途開発した Kittruck は KDDIのGPS 全地球測位システム 機能付きの携帯電話を使 て インタ ネ ト経由で運行管理を行うシステムだ ITコンサルタント会社のKTコンサルタントと共同で開発した 配車管理やコ ス管理のほか車両整備管理 請求・支払い管理 勤怠・給与管理など 運送会社にと て必要な業務管理の機能がパ ケ ジ化されている 輸配送業務を委託している運送会社に KFSがASP アプリケ シ ン・サ ビス・プロバイダ として提供して運用してもらう そして同システムで管理する情報のなかから 同社の貨物に関する配送実績だけを公開してもらう 実際の運用は まず Kitlogi で配送コ ス 配送予定情報 を作成し この情報をもとに Kittruck で実務を管理するという流れになる Kittruck のサ バからドライバ がコ ス別の配送指示情報を携帯電話にダウンロ ドして 画面表示に従 て配送を行い 一軒ずつ納品が終わるたびに 配送完了 を入力 この情報を携帯電話からサ バに送り サ バで配送状況をリアルタイムに管理する KFSの米島担当長は 車両ごとの一日の配送時間などがひと目で分かるようになるので 運送会社に車両の有効活用を提案して回転率ア プを図ることができる と開発の狙いを語る また Kittruck は これまでドライバ が手書きで作成していた運転日報をデ タ化し 実績管理も容易にする 効率化は運送会社との協力なしにはできない 配送実績をデ タ化して共有することでそれが可能になる このシステムで運送会社もわれわれも体力をつけてコスト削減を進め 荷主に還元していきたい 同 という サ バで管理する配送状況は インタ ネ ト経由で荷主とも共有する 従来 業務を外部委託している拠点では 配送状況の把握が難しく 荷主からの問い合わせに応えるまでに時間を要していた 広域配送になると納品時間を管理しにくくなるという問題もあ た だが情報を共有化すれば 荷主もリアルタイムで配送状況を把握できるようにな て顧客サ ビスは向上する これもシステムを開発した狙いの一つだ た ロジスティクス企画部の米島英紀氏JANUARY 2005 36最寄りの車に集荷を指示 Kittruck にはいくつかのユニ クな特徴がある まず auの第三世代携帯電話が持つ独自の センタ プ シ 機能 によ て サ バ側から車両の位置情報を測位することができる サ バシステムからコマンドを送 て携帯電話のアプリケ シ ンを動かし 携帯電話が自動的にGPSで車両の位置を測位して緯度経度情報をサ バに送るため ドライバ は何も操作しなくていい 急な集荷依頼があ た場合などには この方法で集荷先に最も近くにいる車両を探し出し サ バから携帯電話に集荷指示のメ セ ジを通知することが可能だ わざわざ専用の衛星通信システムなどを使 て動態管理をしなくても 必要な時にリアルタイムで車両位置を検索できるため 通信コストを節減することが可能だ さらに同社は現在 au携帯電話の Bluetooth という近距離無線技術を使 て モバイルプリンタ やバ コ ドリ ダ デジタルタコメ タ と連携させて運用することも検討している これを実現できればBluetoothの機能によ て 集荷指示などのメ セ ジを通知するだけでなく 携帯電話を経由してプリンタ にメ セ ジを出力することも可能になる この機能を利用すれば たとえば集荷先でオ ダ シ トのバ コ ドをスキ ン入力し 携帯電話経由でサ バに送るとい た運用が可能になる そうすれば集荷実績がサ バに自動的に入力され この情報がそのまま配送指示情報になる ドライバ がその場で携帯プリンタ から受領書を発行するのも簡単だ デジタルタコメ タ で収集するデ タを必要な時にサ バに吸い上げて 配送の効率化に活用していくことも検討中で いまシステム開発を進めているのだという Kitlogi は二〇〇四年二月に開発を終え 三月から導入を開始した これまでに埼玉 名古屋 関西 仙台の四センタ で稼動しているほか 平和島など四カ所で導入を準備している 今年度中にも 全国二四カ所の拠点のうち共配事業をメ ンとする一八拠点に導入していく予定だ 一方 Kittruck は二〇〇四年一〇月に名古屋センタ で運用を開始しており この二月をめどにモバイルや携帯端末と連動したシステムとして本格稼動させる 今後は同社の協力会社以外の一般の運送会社にも販売していく計画だ KFSでは 早期に二つの情報システムを全国に展開していく考えだ 作業の標準化と効率化を進めて経営改善のスピ ドを速めるとともに 売り上げの飛躍的な拡大を狙う 二〇〇三年度に約五〇億円だ た共同配送事業の売り上げを 三年間で一〇〇億円へ倍増させるという大きな目標を掲げている フリ ジ ナリスト・内田三知代 「Kittruck」の運用フロー 荷主 システム 顧客(荷主・届先) 納品実績確認 顧客との情報共有による差別化 固定データ通信料による安心運用 周辺機器との連携による拡張性 運送会社業務機能一体化による効率化 (ASPトータル管理システム) 出勤報告 納品報告 終了報告 通話 受注 発注 受領書印刷 納品書印刷 モバイルオフィス 車載端末 無線ハンズフリー 無線リーダー 無線プリンタ セイフティーレコーダー 運行デ タ 安全運転指導 携帯 電話網 Web配送依頼データ 衛星通信(GPS) センタープッシュ機能 配車チャート GPS車輛位置 運行日報管理
