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ソリューションの相場と効力
若手コンサル残酷物語
コンサルティング料金は基本的にコンサルタントの
稼働時間で決まる。 トップコンサルタントともなると、
単価は一カ月当たり一〇〇〇万円にも上る。 しかも、
契約期間中ずっと現場に張り付いているわけではない。
このクラスのコンサルタントは通常、複数の案件を掛
け持ちしている。 それぞれの顧客に費やせる時間は限
られている。 時給に換算すれば一〇万円以上になるこ
ともある。
必ずしも高過ぎるとは言い切れない。 単価は市場が
決めている。 コンサルタントが勝手に背伸びをした単
価を設定しても、顧客がつかなければビジネスが成り
立たない。 いったん上げた単価はまず下げられない。
その前に職を失
う。 つまり時給一〇万円でも、ニーズ
があるのだ。 そんなコンサルタントが現在、物流をテ
ーマにしている。
九〇年代を通じて、大手コンサル会社はいずれも、
最先端の経営理論を駆使した戦略の立案と、ITの
活用をメシの種にしてきた。 しかし、結果としてプロ
ジェクトの多くは失敗に終わった。 強力なコンセプト
に基づいて完成度の高い戦略は立てた。 大金を投じて
新しいシステムも構築した。 しかし、期待したような
成果が上がらない。
理屈だけではビジネスは動かない――そんな反省か
らソリューションの矛先がオペレーションの強化にシ
フトしている。 そこでは物流オペレーションの再構築
が中
心的課題の一つになっている。 実際、コンサル業
界では、物流を熟知した人材が現在、引っ張りだこに
なっている。
これまでコンサル業界において物流は、中堅以下の
専門コンサル会社や個人コンサルタントが扱う地味な
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テーマだった。 料金相場も日当で一〇万円程度。 五
万円以下という単価も珍しくなかった。 それが需要の
増加によって近年、上昇している。 さらには戦略系や
IT系の大手コンサル会社が物流分野に本格的に参
入してきたことで、物流コンサルティングのマーケッ
トが大きく変化し始めた。
「以前は個人営業の中小企業診断士並みだった専門コ
ンサルタントの日当が今では一五万円前後、高ければ
三〇万円ぐらいまで跳ね上がっている。 逆に大手が値
段を下げてきているので、料金面で逆転するケースも
増えている」と、国内独立系コンサル会社に勤務する
コンサルタントはいう。
もと
もとコンサルティング料金は価格設定が曖昧で、
案件ごとに相対で決まるケースが多かった。 個人コン
サルタントはもとより、大手コンサル会社でも新規顧
客との最初の契約や、有名企業相手で取り組み実績
を広報活動やノウハウ蓄積に使えるような案件では、
大幅に値引きすることが珍しくなかった。 それに加え
て最近では、大手コンサル会社によるダンピングに近
い動きまで目立つようになっている。
それでも会社に利益は残る。 大手コンサル会社に所
属するコンサルタントは最低でも一人当たり年間二〇
〇〇万円以上を売り上げる。 経費はほとんどが人件
費だ。 多少の値引きはコンサルタントの給料を下げる
ことで吸収できる。 薄利多売であっても扱い件数を増
やせば売上増が見込める。
割りを喰っているのは、若手のコンサルタントだ。
MBA取得後に外資系大手に入社して二年目のコン
サルタントは「勤務時間はだいたい九時〜五時。 とい
っても朝の九時から次の日の朝の五時までだから一日
二〇時間労働だ。 それでいて残業代はほとんど付かな
い。 現在の年収は五〇〇万円を少し越える程度。 ま
ともに時給を計算すれば一〇〇〇円くらいにしかなら
ない」という。
新たなキャリアの選択肢
若手コンサルタントには気の毒だが、これまで大規
模なグローバル企業でなければ手が届かないと考えら
れていた大手コンサル会社のソリューションが、意外
に手頃な値段になってきた。 昨年、大手コンサル会社
にサポートを依頼した、ある物流子会社の担当者は
「八カ月のプロジェクトで総額が約四五〇〇万円だっ
た。 派遣されたコンサルタントは計七人。 うち四人は
延べ三カ月間にわたって常駐してくれた。 決して高く
はないだろう」という。
一方で、3PLやマテハンベンダーによる提案営業
も厚みを増してきている。 これまでのようなアウトソ
ーシングの導入支援や、現場のオペレーション設計だ
けでなく、ネットワーク全体の再編や、需給
プロセス
の見直しによる在庫削減まで手掛けるようになっている。 この場合でもコンサルティング料金は基本的に無
料だ。
もっとも実質的には、それが運用後の支払い物流費
やマテハン価格に上乗せされることになる。 顧客にメ
リットがあっても、ベンダー側が不利になるような提
案も期待できない。 無料だから得とは限らない。 その
ため、最近では通常の営業活動から全く切り離して、
コンサル事業の専門部隊を設置する3PLやベンダー
も増えている。
物流コンサルティングの裾野が広がってきた。 今や
中堅以下の荷主企業や物流企業にとっても、コンサル
ティングの活用
は身近なものになっている。 同時に物
流の実務家には、コンサルタントがキャリアとしての
有力な選択肢の一つになっている。
(大矢昌浩)
主な顧客層
個人コンサル 国内独立系 外資系
本業の顧客 中堅までの国内企業 中堅〜大手の日本企業 グローバル企業
業務プロセスの設計/改革 ロジスティクス管理指導 ロジスティクス改革の支援 戦略立案、IT活用支援
無料。 あるいは実費。 ただし、
最近では、コンサル専門部隊を
設置するケースも増えてきた。
その場合は国内独立系と同水準。
安い。 現場を知っている。 プラ
ンを立てるだけでなく、実際に
運用するところまでつき合うこと
になるので、理屈倒れが少ない。
あくまで“ひも付き”の提案で
あること。 提案自体は無料でも
結果的に高くつく可能性がある。
提供するソリューションも限定的。
月額の顧問契約が多い。 日当に
すれば5 万円ぐらいから。 定価
を決めずにクライアントの懐具合
を見て料金を決める傾向あり。
実務経験が豊富。 料金面や契約
内容の融通も利く。 テーマがハ
マれば、最高のコストパフォー
マンスを発揮する。
専門外のことを知らない。 経営
的な視点を欠いた提案によって
個別最適に陥ることが少なくない。
要は人次第。
日当10 万円〜 20 万円が普通。
平均すれば15 万円ぐらい。 た
だし5 万円でやるところもあれば、
30 万円とるところも。
日本企業の実態が分かっている
ので比較的、無茶な提案はしない。
独自の理論/テクニックを持って
いるところが多い。
戦略提案や国際ビジネスの領域
では外資系に見劣りする。 合理性
を欠いた精神論を振りかざすと
ころも少なくない。
最低ラインが月当たり200 万円
程度。 上は青天井。 戦略系が最
も高い。 IT 系は単価は安いが総
額は最高。
最新の経営理論をカバー。 提案
に信頼感がある。 IT 系の場合は
単価も若手コンサルタントなら
国内独立系と変わらない。
とくに戦略系は値段が高い。 言
いっ放しでせっかくのレポートが
絵に描いた餅に終わるケースが
少なくない。
物流分野の主な
ソリューション
料金相場
長所
短所
提案営業
(3PL/マテハン/IT)
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