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佐高信
経済評論家
59 JULY 2006
そのコッケイさを新聞は書かなかった。 い
や、書けなかった。 あまりの小泉純一郎の厚
顔に度胆を抜かれたからかもしれない。
私の目にした限り、『週刊現代』が「編集後
記」で、そして、『週刊新潮』が六月一日号で
取り上げた程度である。
過日の党首討論で、民主党代表の小沢一郎
から、
「教育の基本的な責任はどこにあるか」
と尋ねられた小泉は、
「基本的には親にあると思う。 まず最初に、
生まれた子に対し、しっかり寄り添うのが基
本だ。 教育の原点は、まず幼児期に周辺の
方々が子供をしっかり抱いて、そっと降ろし
て寝かせる。 私はいかなる法律より以前に、
大人がこれを十分認識して子供を育てるべき
だと思う」
もちろん、この「大人」の中には小泉自身
も含まれているのだろう。 しかし、『週刊新潮』
では、この発言に民主党関係者からこんな声
がとびだした、と書いてある。
「小泉さんには三人の子供がいるが、三男を
身ごもっている時に前妻と離婚し、少なくと
も生まれてから総理になるまで、この三男と
は会っていない。 だから、この子に寄り添っ
ても抱いてもいない。 よくあんなことが言え
たものですねえ」
「会っていない」どころか、小泉の母親、す
なわち三男にとっては祖母の葬儀に訪れた前妻と三男を追い返したといわれる。 あるいは、
それは秘書の仕業かもしれない。 しかし、小
泉の意志なくして秘書がそんなことができる
だろうか。 これについては主に『週刊現代』
で小泉を追及してきた松田賢弥が『無情の宰
相 小泉純一郎』(講談社文庫)にこんなこと
を書いている。
松田が小泉の別れた妻、佳代子に、小泉の
したたかな秘書、飯島勲が、離婚の原因を、
「夫人だからといって、甘やかすわけにはい
かない。 選挙区に入るようになると、子供の
幼稚園の予備校だ、外車が欲しいなどと言い
出した。 二人にとっては?政治の道をとるか、
別れるか〞の決断だった」
と語っているが、と尋ねると、彼女は、
「飯島さんはそんなに偉くなられたんですか。
私
は選挙は遮二無二やりました。 小泉は落ち
てもおかしくないような状態だったんです。
もし落ちたら、小泉家はどうなるんだろう。
そう思うと、夜も眠れず、居ても立ってもい
られませんでした。 朝から晩まで、スケジュ
ールがびっしりと組まれていて、代議士の妻
が行くとみんな喜んでくれました」
と反論したという。 松田によれば、彼女が
健気に奮闘したことは小泉の古くからの選挙
参謀も認めているとか。
いずれにせよ、小泉に教育(とくに親子の)
について語る資格がないことは明らかだろう。
しかし、お上品な大手紙の記者たちは、これ
ほどおかしい小泉の教育論について、それを
批判することはない。 また、小泉の驚くべき
「下ネタ」連発を一行も報じないのである。
六月三日付けの『日刊ゲンダイ』が副大臣
を集めての仰天!「コンドーム」談義を書い
ている。 それによれば、五月三○日の会食で、
厚労副大臣の赤松正雄が、
「きのう、エイズ検査普及のために、女優の
田中好子さんと一緒に新宿駅前でコンドーム
を配ってきました」
と発言するや、小泉が突然、
「なんで生まないのにコンドーム(今度産む)
なんだよ」
と低劣なギャグを入れ、続けて、
「昔は衛生サックって言ったんだ」
「膨らませたよ」
などと興奮気味にまくし立て、隣にいた経
産副大臣の松あきら(元宝塚)を固まらせた
とか。 こうしたことを報じない大手紙は、下
品で低劣な小泉を結果的にかばっていること
になるのではないか。
親としての責任を放棄した首相の?教育論〞
批判はもとより一行も報じない大手各紙
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