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JULY 2005 82
■現場改善の数々
現場を案内してもらいながら、数々の改善に関する説明を聞いた。
たとえば「ロケーション体系」と「ロケーション番号」の表示を工
夫し、場内の何処にいても自分のいる場所と行くべき場所が一目で
わかるようにしてある。 その結果、移動時間短縮が図られた。
大型分析機の木枠梱包をスチールコンテナに換え、軽量化をはた
し、木材の薫蒸を排し、モーダルシフト、静脈物流への貢献を果た
した。
従来はデジタルピッキングを行っていたが、作業者の待ち時間を
なくすためにピッキングを全て摘み取り方式に変更した結果、作業
効率向上とスペースの有効活用を実現した。
棚に高さを表示をすることで、製品をフォークリフトでとるか、
踏み台で取るか一目瞭然にした。 ハンディターミナルに一筆書き出
庫指示を行い、作業者の移動距離を削減した。
同一フロアーで梱包エリア、事務所を隣接させ作業進捗が見通せ
るように工夫し、かつ当日の作業量と進捗状況を現場掲示板に明示
することによって、要員の流動的活用を迅速に行えるよう配慮して
いる。
また、作業の空き時間を利用して、廃ダンボールを倉庫内で梱包
材へ加工し、資源の再利用をはかり、環境への配慮と効率化を果た
している――。 その他にも、実に多くの改善事例を見せてもらった。
■保税エリアの設置
倉庫内に保税エリアを設置し、事務所を隣接させることによって、
輸出申告から輸出許可取得までをスピードアップした。 さらに成田
空港へ直送することにより、出荷指示受領からピッキング、梱包、
輸出完了までをシームレス、かつスピーディなオペレーションを実
現した。
5 特徴
オリンパスロジテックスのキーワードは「スピード&アクション」。
国内外で生産されるオリンパス製品を、顧客の需要に応じて、間違
いなくスピーディに供給することが使命であり、そのために拠点を
1カ所に統合した。 社名の“LOGITEX”はロジスティクスとテクノ
ロジーを組み合わせたものだが、最後の“X”は未知の可能性を表
しているのだという。
6 おわりに
昨年、聞いたロジスティクス大賞受賞の現場を、少々時間は経っ
てしまったが見学させてもらった。 大きな発想(拠点統合)と、絶
え間なく進められるきめ細かい現場改善の結晶が、大賞の受賞に繋
がっていることを改めて実感することができた。
フォーラムのシリーズ第8回目は、6月15日にロジスティクス技術
の研究ということで「RFID」第2回を開催した。 その内容は次月号
で報告する。 第9回は7月13日に環境ロジスティクスの研究として津
久井先生の話を伺う予定。
また、8月は米国フロリダ州オーランドで「SOLE2005」(8月16日
〜18日)が開催される。 SOLE東京支部では有志を募って参加する
予定ですので、皆様のご参加をお待ちしております。
このフォーラムは年間計画に基づいているが、単月のみの参加も
可能。 1回の参加費は6,000円となるため、ご希望の方は下記の事務
局まで(sole_consult@jmac.co.jp)。
SOLE報告
The International Society of Logistics
次回フォーラムのお知らせ
SOLE東京支部フォーラムの報告
SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティク
ス技術やロジスティクス・マネジメントに関する活発な意見交換、
議論を行い、会員相互の啓発に努めている。 今回はシリーズ第7回と
して5月18日に行われたロジスティクス施設見学、「オリンパスロジ
テックス」について報告する。
* * *
1 はじめに(見学会の趣旨)
昨年1月の新春恒例の特別研究会では、「ロジスティクス大賞」(日
本ロジスティクスシステム協会=JILS)の受賞企業であるオリンパ
スロジテックスの取り組みについて話を聞いた。 その際に会員から、
実際の物流現場を見学したいという強い希望があり、今回それが実
現した。
2 会社ならびに「東京センター」の概要
オリンパスロジテックスはオリンパス100%出資の物流子会社(創
立1974年)で、国内/海外生産を含めたオリンパス製品の保管・包
装・輸送などの物流管理業務を手掛けている。
「東京センター」は5階建て、総延べ床面積は約8500坪、従業員
数は約180人である。 取り扱い製品は映像情報分野の製品(2000ア
イテム)、医療分野(7000)、ライフサイエンス分野(6000)、産業情
報分野(1300)、その他(700)など合計で17000アイテム。 サイズ、
形状ともにバラエティに富んでいる。
また、取り扱い製品の価格帯は、1セットが1000万円を超える製
品(血液分析機)や、1パレット500万円(デジカメ)、1カートン300
万円(内視鏡)といった高価なものをはじめ、カタログの類まで幅
広い。
3 東京センターの組織体制と業務
組織体制としては、総・人・経を担当する業務グループ、物流改
革・システムなどを担当する物流革新グループのスタッフ系、それ
に製品事業別担当のライン系の3グループからなる。 ライン系業務の
ほとんどは外部委託している。
東京センター設立の最大の狙いは、かつては八王子地区や長野県
の伊那地区に分散していた15拠点を川崎に統合・集約し、要員構成
の変更(外部委託)による人件費削減、横持ちを含む輸配送費削減、
要員流動化による生産性向上という。 その結果、10億円のコスト低
減につながったという。
4 現場見学の様子
まず、会社紹介のビデオを拝見した後、パワーポイントを使った
プレゼンテーションを受け、いよいよ現場を見学することになった。
■クレーム情報の社内掲示と品質会議
最初に、食堂の壁に貼られたクレーム情報の掲示を見た。 誤出荷
が発生したときは、発生現場で直ちに「品質会議」を開催し、原因
の徹底追究、対策の検討を行い、その結果をセンター要員全員に知
らしめるために掲示しているのだという。
ポイントは、「現象」(何が起こったのか)、「原因」(なぜ起こった
のか)、「損害金額」(いくら損したか)、「対策」(今後どうするか)
を明示すること、特に損害を金額表示することが重要だと言う。 も
ともと誤出荷が頻発していたわけではないが、現在の発生率は
11PPM(クレーム件数/発送個数)となっている。
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