2005年1月号
進化のゆくえ
進化のゆくえ
時代が求める新たな卸売事業
JANUARY 2005 46が続くなかで小売りは 利益改善のカギとして 卸とメ カ の利益構造に関心を抱くようにな た そして それは今や 関心 の域を超えて 問題意識 にまでな ている GMSとSMにと て今中間期は極めて厳しいものだ た 消費税の総額表示による割高感の影響と 猛暑 そして度重なる台風の襲来というトリプルパンチに 小売り自身の出店増による競争激化が加わ た デフレによる客単価の下落も続くなかで 縮小するパイを奪い合う凄絶な状況が生まれた 今中間期 既存店の売り上げが前年を上回 た小売企業はわずか数社川上に向かう小売りの関心総合量販店 GMS やス パ マ ケ ト SM の利益率が悪化の一途をたど ている この傾向に歯止めをかけ 改善するための解答を模索する過程で 小売企業は流通の川上に位置する卸売企業とメ カ のコスト構造に真剣な眼差しを向けるようにな た 従来 小売りにと て 川中や川上のコスト構造は関係のない話とされてきた いわば所与のものとして受け入れてきたわけだ しかし ズルズルと坂道を下るような利益率の低下傾向のみ この状況は 出店による店舗増が続く限りしばらく変わりそうにない 結果として今中間期の決算では 上場しているGMSとSMのうち三割が減収を余儀なくされた また 四割の企業が本業をあらわす営業利益を減らし 約五割で営業利益率が低下した その原因を決算数値から見ていくと 上場しているGMSとSMの約七割の企業の売上総利益率 粗利率 が低下していることが分かる つまり 売り上げが減少し 売上総利益率が低下する一方で 多くのGMSとSMの販管費率は横這いか上昇 悪化 したため 全体の四プリモ・リサーチ・ジャパン 鈴木孝之 代表 第4回時代が求める新たな卸売事業利益率の低下に歯止めをかけたい小売企業の関心は 必然的に流通の川上へと向かう そこでは有力小売企業とメ カ による直接取引が注目される一方で これまで中間流通を担 てきた卸売企業の存在意義が改めて問い直されることになる 新しい時代の小売業のビジネスモデルを支援することが 卸の命運を決するカギになる 47 JANUARY 2005割が営業減益にな たということだ 近年 GMSとSMは 利益率が低く安定性の低い事業とな ている かつて安定していたSMも楽観できる状況にはない このまま競争が激化すれば不況業種に転落する可能性すらある 販管費 経費 率を引き下げられる余地は限られている このため営業利益率を改善するためには 売上総利益率の改善が最大の課題となる そこで小売企業は かつてのようにバイイングパワ を振りかざすだけではない 構造的な商品調達コストの引き下げに本腰を入れはじめた 具体的には 1仕入原価の引き下げ 2粗利益率の高いPB商品の開発と拡販 3メ カ との直接取引 を強く志向するようにな たのである 小売りが本格的にPB商品を開発しようとすれば メ カ と直接交渉をするようになる また 直接取引では 文字通り小売りとメ カ が卸を介さずにビジネスを行う いずれも中間流通コストをカ トしようとする動きだ 中間流通マ ジンを取り込む売上総利益率を改善したい小売りの多くが 卸の領域に踏み込んで 卸のコストを排除するか マ ジンの一部を取り込もうとしている このような動きは 小売企業の規模が卸売業者に比べて小さく 両者の力の差が歴然としていた時代にはありえなか た それが小売企業が力をつけてきたことで変わ た加工食品や日用雑貨品とい た分野のト プ企業の売上規模をみると そのことがよく理解できる 加工食品卸の業界では 連結売上高が一兆二〇〇〇 一兆三〇〇〇億円の国分と菱食が断トツで規模が大きく 五〇〇〇億円台の伊藤忠食品と加藤産業が続いている 日雑卸については あらたが四二〇〇億円 パルタ ク三八〇〇億円という二強構造にな ており 三番手に位置する中央物産の売上規模は一〇〇〇億円台とぐ と小さくなる 卸の売上高は小売りの仕入高に相当するため 両者の経営規模を同じ土俵で比較したければ 卸の売上高をもう少し膨らませて考える必要がある だがこの点を考慮しても 近年の小売りが卸に対する交渉力を急速に強めているのは明らかだ 大手小売りグル プの売上規模は イオンのGMSとSMの売上合計が約三兆七〇〇〇億円なのを筆頭に イト ヨ カ堂は一兆九〇〇〇億円 ダイエ 一兆八〇〇〇億円と続いている これを商品カテゴリ 別に見ると いくつかの重要なカテゴリ において すでに中堅卸を上回る売上規模に達していることが想像できる ここから必然的に小売りのなかに 自分たちよりも仕入額の小さい卸から商品を調達するのではなく メ カ から直接仕入れるのが当たり前という直取志向が出てくる 今後の統合再編によ ては 小売企業の規模は一気に拡大する可能性が高い そうなれば部門別の売上規模もますます大きくなる このような小売企業の巨大化は メ カ との直接取卸業界と小売業界の売上規模は徐々に近づいている ピーク年 572兆円(1991年) 148兆円(1997年) 2002年 413兆円 135兆円 ピーク年比減 ▲159兆円 ▲13兆円 (%) (▲28%) (▲9%) 卸売業 小売業 ’82 ’85 ’88 ’91 ’94 ’97 ’99 ’02 卸売業 399 428 446 572 514 480 495 413 小売業 94 102 115 142 143 148 144 135単位:兆円 700 600 500 400 300 200 100 0売上規模 (単位:兆円) 卸売業 小売業 ’82 ’85 ’88 ’91 ’94 ’97 ’99 ’022002年度の商業統計より JANUARY 2005 48に必要な売上規模に達しつつあるイオンのような一部の小売企業が 卸売業のマ ジンを取り込み 自らの営業利益率の改善に結びつけようとする努力は 今後もますます拡大していくことだろう こうした直接取引による成果が明らかになれば ライバルの小売企業にと ては脅威となる これに対抗するために経営規模を拡大する流れが活発化し 小売業界のさらなる統合再編が動き出すはずだ このような過程を経ながら巨大な小売企業が出現し 日本市場でも小売業界の寡占化が進んでいくことになると思われる 同様に変質する卸業界すでに売上高が一兆円規模で 業界シ ア一〇%を握る小売企業が続々と生まれている 百貨店 総合量販店 ス パ マ ケ ト 家電専門店 コンビニエンスストア ドラ グストア引の拡大へと 必ずつながる 小売企業が直接取引に動く背景には 卸段階のマ ジンを取り込み 自らの売上総利益率を改善するという狙いがあるからだ ちなみに卸売業の売上総利益率をみると 加食卸が六 九% 日雑卸は十一% 十三%とな ている 影響力を増す一方で利益率の低下に頭を悩ます小売企業が 卸に落ちているこうしたマ ジン 売上総利益率 を自ら手にしたいと考えるのは自然の成り行きだ た もちろん直接取引では 小売りが卸の機能を肩代わりするため 新たなコスト負担が発生する それでも直接取引に積極的な小売企業は ここで効率的な仕事 より具体的には物流を合理化することによ て 卸より少ないコストで中間流通を運営できると考えている 万一 ここで卸と同じコストがかか たとしても 卸の営業利益率がそ くり自分たちのものになり その分は利益率の改善につながるはずという図式である 卸売業の営業利益率はそこそこに安定しており 加食卸では一%前後ある 日雑卸は企業によ てバラツキがあるが 直接取引を実現できれば 最低限の成果として加工食品と同程度の営業利益率を取り込むことは可能だろう たとえ想定外のコスト負担が膨らんでも 卸が手にしている売上総利益率の半分程度は利益として残せる と小売りは見込んでいる GMSとSMにと て利益率の改善はま たなしのテ マだ すでにメ カ との直接取引上場している大手卸売企業の業績の推移 菱 食 (7451) 伊藤忠食品 (2692) 加藤産業 (9869) パルタック (8283) あらた(連結)※ (2733) 中央物産 (9852) 食 品 ※あらた=統合により、2003年3月期から連結決算開始。
連結が会社の実体を表す。
雑 貨 決 算 期( 単 体 ) 売 上 高 前年同期比(%) ( 営 業 収 益 ) 前年同期比(%) 営 業 利 益 前年同期比(%) 経 常 利 益 前年同期比(%) 純 利 益 前年同期比(%) 02/12 03/12 04/12(予) 02/9 03/9 04/9 02/9 03/9 04/9 03/9 04/9 03/3 04/3 03/3 04/3707,458 726,085 740,000 474,984 485,824 518,333 418,180 431,432 445,495 359,835 384,671 ― ― 103,840 100,421+4.6 +2.6 +1.9 ▲0.7 +2.3 +6.7 +2.6 +3.2 +3.3 ― ― ▲3.0 ▲3.3― ― ― ― ― ― ― ― ― (361,019)(386,196) ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― ― ― +13.4 +7.0 ― ― ― ―8,570 6,576 5,830 5,131 5,212 5,148 5,559 6,049 5,258 5,662 ― ― 721 507+3.7 ▲23.3 +7.8 ▲12.0 +1.6 +8.5 +8.0 +8.8 +19.5 +7.7 ― ― ― ▲29.79,542 7,622 7,700 6,421 5,770 5,861 5,676 6,203 6,845 7,632 8,614 ― ― 754 652+4.4 ▲20.1 +1.0 +6.4 ▲10.1 +1.6 +8.2 +9.3 +10.3 +15.9 +12.9 ― ― +30.6 ▲13.54,722 4,033 4,160 3,449 3,137 3,241 2,771 3,550 3,734 3,513 4,020 ― ― 244 467+114.0 ▲14.6 +3.1 +14.1 ▲9.0 +3.3 ― +28.1 +5.2 +6.3 +14.4 ― ― +72.6 +91.4決 算 期( 連 結 ) 売 上 高 前年同期比(%) ( 営 業 収 益 ) 前年同期比(%) 営 業 利 益 前年同期比(%) 経 常 利 益 前年同期比(%) 純 利 益 前年同期比(%) 02/12 03/12 04/12(予) 02/9 03/9 04/9 02/9 03/9 04/9 03/9 04/9 03/3 04/3 03/3 04/31,056,554 1,061,408 1,250,000 493,259 505,631 536,172 470,471 483,535 500,265 388,636 420,576 111,824 107,798+24.9 +0.5 +1.9 +0.0 +2.5 +6.0 +2.1 +2.8 +3.5 ― +8.2 ▲3.1 ▲3.6― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―8,626 9,054 ― 6,074 5,248 5,441 5,412 6,019 6,404 1,209 1,294 602 567+2.1 +5.0 ― +7.1 ▲13.6 +3.7 +8.3 +11.2 +6.4 ― +7.1 ― ▲5.89,869 10,039 12,500 6,610 5,900 6,151 5,805 6,324 7,025 7,642 8,008 612 702+3.9 +1.7 +24.5 +4.9 ▲10.7 +4.3 +11.5 +8.9 +11.1 ― +4.8 +60.2 +14.74,916 5,228 5,750 3,597 3,173 3,372 2,788 3,932 3,809 5,393 5,928 350 546+119.1 +6.3 +10.0 +9.4 ▲11.8 +6.3 +264.9 +41.0 ▲3.1 ― +9.9 +573.1 +56.049 JANUARY 2005など 小売業界のほとんどの分野で出現したり 出現するのが時間の問題とな ている 卸売企業は こうした統合再編によ て巨大化する小売企業と同等の力を持つ必要がある さらに小売企業の大型化は店舗網の広域化を伴 ており 卸もサ ビス網の広域化を図らなければいけない このような動きについていけなければ小売りとの取引を失うことになるため 卸は否応なく対応せざるを得ない 卸売企業が広域化・総合化に走る動きも 当然のことながら業界の統合再編につながる 現に医薬品 日用雑貨 加工食品の分野で統合再編が進行した 今後 GMSとの関連からSM業界が三 五グル プに統合されていくであろうことを考えると これに併せる形で卸売企業の統合も進む可能性が高い 小売業界と同様に 卸売業界でも大型化と市場の寡占化が進むはずだ では卸売企業が大型化 巨大化 総合化 広域化に向か たとして 果たしてそれだけで生き延びられるのだろうか 前述したように一部の小売企業は 卸を必要としないメ カ との直接取引を志向している イオンは直接取引を拡大中だし 米ウ ルマ トもそこに向かう姿勢を明確にしている 小売企業が直接取引を実現するには幾つかの条件を満たす必要があるため ほんの一握りの企業にしか実現できる話ではない ただ一握りの企業の話とはい ても 業界シ アの一〇%を握ろうとしている企業の取り組みである 仮にそこでの取引を失 たり 長期的に取引が細 ていくとすれば 卸売業者にと ては大きな打撃をこうむることになる このような状況に直面する卸売企業がとるべき戦略の一つが 小売企業の組織化 だ 卸を必要としている小売企業と自らを組織化・系列化することで 生き残るための道筋を見出すのである 広域化と総合化だけが道ではない直接取引を実現した一部の小売企業が卸から離脱するのは避けられない だが それ以外の大多数の小売企業は依然として卸を必要としている とくに小規模な小売企業は 卸による総合的なサ ビスを望んでいる 卸が組織化と絡めて総合的なリテ ルサ ビスを提供できるようになれば そこでは単なる商品供給以上の関係が成り立つ JANUARY 2005 50ングの利便性を提供するためだ この食品と雑貨が客数を増やすうえで貢献しているのは事実だが 問題はこの部門の粗利益率が低いために 全体の粗利益率まで低下してしま ている点だ 健康と美をテ マとするコンセプトシ プの確立を目指していながら 食品や雑貨の分野でこれを徹底できていないところに 問題の本質がある 本来であれば たとえば食品であれば健康飲料や健康食品を中心に売場を作るべきなのだ 主要食品メ カ はこの分野で多様な商品群を持 ているのだから このドラ グストアは売場づくりや棚割りなどで食品メ カ と協働 コラボレ シ ン すればいい ところが現実には 個別の小売企業が直接 こうした取り組みをメ カ と行うのは容易ではない このときに 企画力を持つ卸売企業が メ カ と小売企業との橋渡し役をしてくれれば話が円滑に進む さらにその卸売企業が 複数のメ カ とのコラボレ シ ンを主導するところまで手掛けられれば メ カ 卸 小売りの三者が得られる効果はより大きくなる 実際 あるドラ グストアは 卸を上手く活用しながら食品メ カ 五社とのコラボレ シ ンを実現させた そうすることで粗利益率の高い付加価値商品を上手に品揃えし 販売することに成功している 結果としてこのドラ グストアは 全国レベルでみても上何よりも卸売業者は 小売企業が求める機能の変化をきちんと認識し それを見越した手を打 ていく必要がある 巨大化する一部の小売企業に顕著なのだが 最近は卸の主要機能の一つである物流機能を 卸売業者ではなくロジステ クス専門企業に委託する傾向が強ま ている すでに専門企業も育 ており 卸は事業の中核である物流機能を奪われつつある この傾向は今後 より一層強まると思われる 物流機能に依存できなくな た卸売企業は 商品力・企画力・提案力を強化して ここに注力する必要がある 大手の小売企業といえども企画力には少なからず課題を抱えている まして中小規模の小売企業となれば 有効な提案に飢えている 卸売企業がメ カ と小売りの間を取りも て 双方の利害が一致するような企画を提案すれば 卸としての評価は間違いなく高まるはずだ コラボレ シ ンを仲介するドラ グストアの事例を紹介しよう いま大多数のドラ グストアはデ スカウント型へと舵を切 ているが 一方で少数ではあるが 健康と美 をテ マとする かかりつけ薬局 を志向するチ ンが存在する ただし そこには大きな問題がある 実際に かかりつけ薬局 の売場を見ると 健康と美とはおよそ縁遠い食品や雑貨が品揃えされているのである 利用者にワンスト プシ ピ位の販売実績をあげるようにな た 卸の生きる道は 広域化と総合化だけではない 専門分野に特化して企画力や提案力を磨き 小売企業とメ カ の双方に必要な機能を提供するという生き方だ てありえる それが専門性を持つ小売企業の独自コンセプトの実現に不可欠であれば その小売企業の 系列卸 ともいうべき立場から 一緒に成長し続けることが可能になるのである すずき・たかゆき 東京外国語大学卒業 一九六八年西友入社 店長 シカゴ駐在事務所長などを経て 八九年バ クレ ズ証券に入社しアナリストに転身 九〇年メリルリンチ証券入社 小売業界担当アナリストとして日経アナリストランキングで総合部門第二位が二回 小売部門第一位が三回と常に上位にランクインし 調査部のフ ストバイスプレデント シニアアナリストを最後に二〇〇三年に独立 現在はプリモ・リサ チ・ジ パン代表 著書に イオングル プの大変革 日本実業出版社 ほか 週刊誌などでの執筆多数
連結が会社の実体を表す。
雑 貨 決 算 期( 単 体 ) 売 上 高 前年同期比(%) ( 営 業 収 益 ) 前年同期比(%) 営 業 利 益 前年同期比(%) 経 常 利 益 前年同期比(%) 純 利 益 前年同期比(%) 02/12 03/12 04/12(予) 02/9 03/9 04/9 02/9 03/9 04/9 03/9 04/9 03/3 04/3 03/3 04/3707,458 726,085 740,000 474,984 485,824 518,333 418,180 431,432 445,495 359,835 384,671 ― ― 103,840 100,421+4.6 +2.6 +1.9 ▲0.7 +2.3 +6.7 +2.6 +3.2 +3.3 ― ― ▲3.0 ▲3.3― ― ― ― ― ― ― ― ― (361,019)(386,196) ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― ― ― +13.4 +7.0 ― ― ― ―8,570 6,576 5,830 5,131 5,212 5,148 5,559 6,049 5,258 5,662 ― ― 721 507+3.7 ▲23.3 +7.8 ▲12.0 +1.6 +8.5 +8.0 +8.8 +19.5 +7.7 ― ― ― ▲29.79,542 7,622 7,700 6,421 5,770 5,861 5,676 6,203 6,845 7,632 8,614 ― ― 754 652+4.4 ▲20.1 +1.0 +6.4 ▲10.1 +1.6 +8.2 +9.3 +10.3 +15.9 +12.9 ― ― +30.6 ▲13.54,722 4,033 4,160 3,449 3,137 3,241 2,771 3,550 3,734 3,513 4,020 ― ― 244 467+114.0 ▲14.6 +3.1 +14.1 ▲9.0 +3.3 ― +28.1 +5.2 +6.3 +14.4 ― ― +72.6 +91.4決 算 期( 連 結 ) 売 上 高 前年同期比(%) ( 営 業 収 益 ) 前年同期比(%) 営 業 利 益 前年同期比(%) 経 常 利 益 前年同期比(%) 純 利 益 前年同期比(%) 02/12 03/12 04/12(予) 02/9 03/9 04/9 02/9 03/9 04/9 03/9 04/9 03/3 04/3 03/3 04/31,056,554 1,061,408 1,250,000 493,259 505,631 536,172 470,471 483,535 500,265 388,636 420,576 111,824 107,798+24.9 +0.5 +1.9 +0.0 +2.5 +6.0 +2.1 +2.8 +3.5 ― +8.2 ▲3.1 ▲3.6― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―8,626 9,054 ― 6,074 5,248 5,441 5,412 6,019 6,404 1,209 1,294 602 567+2.1 +5.0 ― +7.1 ▲13.6 +3.7 +8.3 +11.2 +6.4 ― +7.1 ― ▲5.89,869 10,039 12,500 6,610 5,900 6,151 5,805 6,324 7,025 7,642 8,008 612 702+3.9 +1.7 +24.5 +4.9 ▲10.7 +4.3 +11.5 +8.9 +11.1 ― +4.8 +60.2 +14.74,916 5,228 5,750 3,597 3,173 3,372 2,788 3,932 3,809 5,393 5,928 350 546+119.1 +6.3 +10.0 +9.4 ▲11.8 +6.3 +264.9 +41.0 ▲3.1 ― +9.9 +573.1 +56.049 JANUARY 2005など 小売業界のほとんどの分野で出現したり 出現するのが時間の問題とな ている 卸売企業は こうした統合再編によ て巨大化する小売企業と同等の力を持つ必要がある さらに小売企業の大型化は店舗網の広域化を伴 ており 卸もサ ビス網の広域化を図らなければいけない このような動きについていけなければ小売りとの取引を失うことになるため 卸は否応なく対応せざるを得ない 卸売企業が広域化・総合化に走る動きも 当然のことながら業界の統合再編につながる 現に医薬品 日用雑貨 加工食品の分野で統合再編が進行した 今後 GMSとの関連からSM業界が三 五グル プに統合されていくであろうことを考えると これに併せる形で卸売企業の統合も進む可能性が高い 小売業界と同様に 卸売業界でも大型化と市場の寡占化が進むはずだ では卸売企業が大型化 巨大化 総合化 広域化に向か たとして 果たしてそれだけで生き延びられるのだろうか 前述したように一部の小売企業は 卸を必要としないメ カ との直接取引を志向している イオンは直接取引を拡大中だし 米ウ ルマ トもそこに向かう姿勢を明確にしている 小売企業が直接取引を実現するには幾つかの条件を満たす必要があるため ほんの一握りの企業にしか実現できる話ではない ただ一握りの企業の話とはい ても 業界シ アの一〇%を握ろうとしている企業の取り組みである 仮にそこでの取引を失 たり 長期的に取引が細 ていくとすれば 卸売業者にと ては大きな打撃をこうむることになる このような状況に直面する卸売企業がとるべき戦略の一つが 小売企業の組織化 だ 卸を必要としている小売企業と自らを組織化・系列化することで 生き残るための道筋を見出すのである 広域化と総合化だけが道ではない直接取引を実現した一部の小売企業が卸から離脱するのは避けられない だが それ以外の大多数の小売企業は依然として卸を必要としている とくに小規模な小売企業は 卸による総合的なサ ビスを望んでいる 卸が組織化と絡めて総合的なリテ ルサ ビスを提供できるようになれば そこでは単なる商品供給以上の関係が成り立つ JANUARY 2005 50ングの利便性を提供するためだ この食品と雑貨が客数を増やすうえで貢献しているのは事実だが 問題はこの部門の粗利益率が低いために 全体の粗利益率まで低下してしま ている点だ 健康と美をテ マとするコンセプトシ プの確立を目指していながら 食品や雑貨の分野でこれを徹底できていないところに 問題の本質がある 本来であれば たとえば食品であれば健康飲料や健康食品を中心に売場を作るべきなのだ 主要食品メ カ はこの分野で多様な商品群を持 ているのだから このドラ グストアは売場づくりや棚割りなどで食品メ カ と協働 コラボレ シ ン すればいい ところが現実には 個別の小売企業が直接 こうした取り組みをメ カ と行うのは容易ではない このときに 企画力を持つ卸売企業が メ カ と小売企業との橋渡し役をしてくれれば話が円滑に進む さらにその卸売企業が 複数のメ カ とのコラボレ シ ンを主導するところまで手掛けられれば メ カ 卸 小売りの三者が得られる効果はより大きくなる 実際 あるドラ グストアは 卸を上手く活用しながら食品メ カ 五社とのコラボレ シ ンを実現させた そうすることで粗利益率の高い付加価値商品を上手に品揃えし 販売することに成功している 結果としてこのドラ グストアは 全国レベルでみても上何よりも卸売業者は 小売企業が求める機能の変化をきちんと認識し それを見越した手を打 ていく必要がある 巨大化する一部の小売企業に顕著なのだが 最近は卸の主要機能の一つである物流機能を 卸売業者ではなくロジステ クス専門企業に委託する傾向が強ま ている すでに専門企業も育 ており 卸は事業の中核である物流機能を奪われつつある この傾向は今後 より一層強まると思われる 物流機能に依存できなくな た卸売企業は 商品力・企画力・提案力を強化して ここに注力する必要がある 大手の小売企業といえども企画力には少なからず課題を抱えている まして中小規模の小売企業となれば 有効な提案に飢えている 卸売企業がメ カ と小売りの間を取りも て 双方の利害が一致するような企画を提案すれば 卸としての評価は間違いなく高まるはずだ コラボレ シ ンを仲介するドラ グストアの事例を紹介しよう いま大多数のドラ グストアはデ スカウント型へと舵を切 ているが 一方で少数ではあるが 健康と美 をテ マとする かかりつけ薬局 を志向するチ ンが存在する ただし そこには大きな問題がある 実際に かかりつけ薬局 の売場を見ると 健康と美とはおよそ縁遠い食品や雑貨が品揃えされているのである 利用者にワンスト プシ ピ位の販売実績をあげるようにな た 卸の生きる道は 広域化と総合化だけではない 専門分野に特化して企画力や提案力を磨き 小売企業とメ カ の双方に必要な機能を提供するという生き方だ てありえる それが専門性を持つ小売企業の独自コンセプトの実現に不可欠であれば その小売企業の 系列卸 ともいうべき立場から 一緒に成長し続けることが可能になるのである すずき・たかゆき 東京外国語大学卒業 一九六八年西友入社 店長 シカゴ駐在事務所長などを経て 八九年バ クレ ズ証券に入社しアナリストに転身 九〇年メリルリンチ証券入社 小売業界担当アナリストとして日経アナリストランキングで総合部門第二位が二回 小売部門第一位が三回と常に上位にランクインし 調査部のフ ストバイスプレデント シニアアナリストを最後に二〇〇三年に独立 現在はプリモ・リサ チ・ジ パン代表 著書に イオングル プの大変革 日本実業出版社 ほか 週刊誌などでの執筆多数
