2007年9月号
keyperson

米UPSサプライチェーンソリューションニック・コスティデス ITポートフォリオ担当バイスプレジデント

5  SEPTEMBER 2007 ブリード』に統合していく必要がある。
ロードマップを作って、この統合作業 に取り組んでいる」 ICタグ本格導入は当面ない ──ICタグに関する投資計画は?  「現状では宅配貨物、エクスプレス 事業に関してはバーコードを使った光 学スキャンの仕組みのほうがニーズに 合っていると判断している。
大手小売 業に納品するパレットにICタグを貼 付するという使い方については、既に 『UPSワールドシップ』と呼ぶサー ビスの一つのオプションとして、我々 の倉庫管理システム(WMS)と接 続させるかたちで対応しているが、現 状では顧客のニーズはそれほど高くは ない」 ──宅配貨物の一つひとつにタグが貼 付されるようになるのは、いつ頃だと 予測しているか。
 「少なくとも五年以上は先のことに なるだろう。
当社もすぐに飛びつこう とは考えていない。
ICタグではなく、 別のツールや技術が普及することにな る可能性も否定はできない。
例えば『ス マートダスト(Smart Dust:賢い塵)』 あるいは『モート(Mote)』と呼ばれ る最新のマイクロデバイスも登場して いる。
将来の技術革新を正確に予測 することはできない」 買い手が輸送サービスを選ぶ ──この一〇年のITの革新はロジス ティクスに何をもたらしたか。
 「何よりディマンドチェーンへのシフ トが大きい。
売り手と買い手の立場 が逆転し、これまでプッシュだったサ プライチェーンがプルに変わった。
ま たeコマースでビジネスができるよう になったことで、売り手側では物理的 に店舗を構えて商売をする必要がなく なった。
国境などの境界もなくなって きている。
まさしく世界がフラット化 してきた」 ──物流会社にとってITの普及はプ ラス面ばかりではなかった。
例えばe メールの普及によって、先進国の郵便 局は皆、物量の減少に悩まされている。
 「少なくとも当社は、ディマンド チェーンへのシフトに恩恵を受けてい る。
インターネットを介して注文する 割合が増えたことで、輸送サービスを 選択する権利は売り手側から買い手側、 最終ユーザーに移った。
その結果とし て当社の選ばれる機会が増えている。
ドキュメント類のボリュームも、当社 の翌日配達便に関しては減っていない」 ──この一〇年で物流業界では淘汰 と上位集中が急速に進んだ。
これに もITの革新は影響しているか。
 「ITが重要な競争条件であったこ とは確かだ。
当社はITによって航空 輸送、海上輸送、通関、国内配送といっ たすべての機能をシームレスにした。
どのような運び方をしても荷主は自分 の荷物が今どこにあるのかを把握でき る。
この可視化が、当社に絶対的な 競争優位をもたらした」 ──しかし、物流の可視化をアピール しているのはUPSだけではない。
国 際インテグレーター同士を比べれば、 そこに大きな違いはないのでは。
 「当社はまずエクスプレス便の可視 化で他社に先行した。
そして現在は マルチモーダルな輸送、庫内作業、在 庫管理、アフターセールスなど、トー タルサプライチェーンの全ての領域に おける可視化の実現で先行している。
そこに当社の強みがある」 ──IT投資における次のテーマは。
 「可視化をより進めていく。
また近年、 当社は多くの企業買収を行ってきた。
そのなかには、これまで当社が持って いなかったITケイパビリティを有し ている物流企業も含まれている。
最近 だと大手フォワーディング会社のフ リッツとメンローを買収したが、彼ら の持つシステムと当社のシステムを評 価して、それぞれの分野で最良のシス テムを組み合わせて『ベスト・オブ・ 米UPSサプライチェーンソリューション ニック・コスティデス ITポートフォリオ担当バイスプレジデント 「可視化が物流企業のITを差別化する」  ITの活用能力が物流市場における重要な競争条件となっている。
荷主は 物流の可視化を望んでいる。
それに応えることのできる情報提供機能で物流企 業が選別される。
UPSでIT投資戦略を指揮する責任者が、物流ITの差 別化ポイントと同社の今後の展開について解説する。
(聞き手・本誌編集発行人 大矢昌浩)

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