2008年1月号
物流不動産市場レポート
物流不動産市場レポート
九 州福岡を中心に施設の新規供給増加道路インフラが充実した佐賀にも注目
物流不動産市場レポート
JANUARY 2008 88
第7回
多様な業種の物流施設が集まっている。
箱崎 埠頭では日本レップが今年三月に「J─REP ロジステーション福岡?(延床面積約二万七千 平米)」、「J─REPロジステーション福岡?(同 約四万四千平米)」の二棟の竣工を予定している。
また、同エリアで造成されているアイランド シティは、博多港の港湾機能の強化や宅地開 発計画が行われる人工島で、最新鋭の国際コ ンテナターミナルの建設も予定されている。
現 在港湾ゾーンで分譲が行われており、イヌイ建 物が進出を予定するなど、今後の企業の展開 が期待される。
しかし、周辺の工業用地と比 べ分譲単価は若干割高になる。
福岡空港周辺は、多の津や九州自動車道福 岡IC周辺に古くから大型施設が集積している。
このエリアは、航空貨物需要もさることなが ら、九州自動車道を利用することで九州全域 を配送拠点として位置付けることができるなど、 物流施設立地としての利便性が高く評価され ている。
福岡が新規着工量を牽引 近年、首都圏、近畿圏、中部圏などの大都 市圏で、不動産投資家による大型物流施設の 開発が相次いでいる。
開発立地は全国的に広 域化しており、一五〇〇万人の消費規模を擁 する九州圏にも広がりつつある。
昨年九月には、 九州で初めてとなる自走式のマルチテナント型 大型物流施設が竣工するなど、近年物流施設 用地として不動産投資家からの注目を集めて おり、賃貸型物流施設マーケットは拡大傾向に ある。
九州の物流施設の新規着工動向は、人口や 産業が集積している福岡県が大きなシェアを占 めている(図1)。
二〇〇六年には、福岡県と 佐賀県の供給量が大きく伸びているが、これ は不動産投資家などによる大型施設の供給が 顕在化したためだ。
賃貸型物流施設のマーケッ トをみると、現状では中型〜大型の賃貸施設 は少なく、マーケット自体は首都圏などに比べ 九 州 福岡を中心に施設の新規供給増加 道路インフラが充実した佐賀にも注目 シービー・リチャードエリス 福岡支店インダストリアル営業部 野田勝秀 生駒データサービスシステム 鈴木公二 ると、まだまだ大きいとはいえない。
しかし、 物流効率化を追求する荷主企業による施設の 統廃合の動きは今後も増加することが予想され、 その受け皿となる大型施設の供給は進むと思わ れる。
福岡県 博多港周辺に施設集中 九州一の都市である福岡市は、博多市街地、 博多港、福岡空港がそれぞれ一〇キロメート ル圏内に位置している。
さらに九州自動車道、 福岡都市高速道路などの高速道路網も充実し ており、陸海空のインフラを活用できるため、 物流施設用地として適している。
近年取扱貨 物量が増加している博多港は、韓国最大の港 である釜山港から二〇〇キロメートル圏にあり、 アジア諸国に最も近い中枢国際港湾として今後 も貨物量の増加が期待される。
博多港周辺は、九州で最も物流施設が集積 しているエリアだ。
博多港最大の埠頭である箱 崎埠頭や、隣接する香椎パークポートを中心に 89 JANUARY 2008 設に対するニーズは増加傾向だが、荷主企業の 物流コスト削減の動きは続いており、賃料水準 が上昇に転じる気配はみられず、横ばいで推 移している。
佐賀県 交通利便性良好な鳥栖市に集中 鳥栖市は福岡県に隣接しており、博多など 福岡県中心部への交通利便性が良好だ。
同市 は九州自動車道、大分自動車道、長崎自動車道、 国道三号線など主要な幹線道路が通る交通の 要衝であり、九州全域を配送エリアとして捉え ることができる。
また、同市周辺は、福岡市 内に比べ土地価格が低廉なため、賃料水準が 割安というメリットがある。
このように、物流 施設用地としての立地優位性を有している同 エリアは、荷主企業の施設の統廃合拠点とし て不動産投資家などからの注目を集めている。
施設の新規着工量は、〇四年に約三万三千 平米だったものが、〇六年には約一〇万六千 平米と、三倍以上増加している。
既存の賃貸 施設はまだまだ少ないが、今後の開発が期待 される。
施設の供給は、鳥栖ジャンクション周辺に集 中している。
コマーシャル・アールイーが昨年 三月に「鳥栖インターチェンジ蔵上倉庫(延床 面積約一万四千平米)」を竣工した。
また、プ ロロジスが今年二月に「プロロジスパーク鳥栖 ?(同約七万三千平米)」の竣工を予定してい る。
同社は「プロロジスパーク鳥栖?(同約三 万七千平米)」の建設も発表している。
施設の新規着工量は、〇四年の約二二万九 千平米から、〇六年には約四六万三千平米と、 倍増している。
施設の供給動向をみると、玄 海キャピタルマネジメントが昨年九月、粕屋郡 宇美町に九州初となる自走式のマルチテナン ト型物流施設「福岡南流通センター(延床面 積約四万平米)」を竣工した。
また、プロロジ スが糟屋郡久山町に「プロロジスパーク久山」 の建設を発表した。
博多港港湾部における物 流用地の供給が限定的となっていることから、 当エリアで不動産投資家が物流用地を物色する 動きが増えている。
募集賃料動向は三〇〇〇円/坪程度と、こ こ数年安定的に推移している(図2)。
大型施 福岡は古くから貿易の拠点として栄え てきた、歴史のある街だ。
中国・韓国な どのアジア諸国と近いことから、これら の国との海外貿易が盛んに行われており、 博多港の輸入コンテナ取扱高は年々増加 している。
また、釜山まで三時間弱の定 期船も周航するなど、韓国と非常に近い 関係にあり、韓国からの旅行客もとても 多い。
そのため、福岡市内の地下鉄など 交通案内は、日本語、英語表記以外に中 国語、韓国語も併記している。
福岡市内の交通案内事情 (千?) 1,000 800 600 400 200 0 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 20.0 10.0 0.0 −10.0 −20.0 (円/坪) (%) 2002 2003 2004 2005 2006 2007 上 図2 福岡県の賃料動向 平均賃料 3,540 3,370 3,320 3,070 3,050 3,130 −4.8 −8.1 2.6 8.1 −8.9 変動率 (年) 2002年2003年2004年2005年2006年 図1 九州の新規着工動向 福岡県佐賀県長崎県 大分県宮崎県鹿児島県 熊本県 329 105 36 53 41 63 58 84 102 86 67 96 84 56 71 45 77 43 68 61 61 77 54 44 23 34 43 82 33 47 106 266 229 271 463
箱崎 埠頭では日本レップが今年三月に「J─REP ロジステーション福岡?(延床面積約二万七千 平米)」、「J─REPロジステーション福岡?(同 約四万四千平米)」の二棟の竣工を予定している。
また、同エリアで造成されているアイランド シティは、博多港の港湾機能の強化や宅地開 発計画が行われる人工島で、最新鋭の国際コ ンテナターミナルの建設も予定されている。
現 在港湾ゾーンで分譲が行われており、イヌイ建 物が進出を予定するなど、今後の企業の展開 が期待される。
しかし、周辺の工業用地と比 べ分譲単価は若干割高になる。
福岡空港周辺は、多の津や九州自動車道福 岡IC周辺に古くから大型施設が集積している。
このエリアは、航空貨物需要もさることなが ら、九州自動車道を利用することで九州全域 を配送拠点として位置付けることができるなど、 物流施設立地としての利便性が高く評価され ている。
福岡が新規着工量を牽引 近年、首都圏、近畿圏、中部圏などの大都 市圏で、不動産投資家による大型物流施設の 開発が相次いでいる。
開発立地は全国的に広 域化しており、一五〇〇万人の消費規模を擁 する九州圏にも広がりつつある。
昨年九月には、 九州で初めてとなる自走式のマルチテナント型 大型物流施設が竣工するなど、近年物流施設 用地として不動産投資家からの注目を集めて おり、賃貸型物流施設マーケットは拡大傾向に ある。
九州の物流施設の新規着工動向は、人口や 産業が集積している福岡県が大きなシェアを占 めている(図1)。
二〇〇六年には、福岡県と 佐賀県の供給量が大きく伸びているが、これ は不動産投資家などによる大型施設の供給が 顕在化したためだ。
賃貸型物流施設のマーケッ トをみると、現状では中型〜大型の賃貸施設 は少なく、マーケット自体は首都圏などに比べ 九 州 福岡を中心に施設の新規供給増加 道路インフラが充実した佐賀にも注目 シービー・リチャードエリス 福岡支店インダストリアル営業部 野田勝秀 生駒データサービスシステム 鈴木公二 ると、まだまだ大きいとはいえない。
しかし、 物流効率化を追求する荷主企業による施設の 統廃合の動きは今後も増加することが予想され、 その受け皿となる大型施設の供給は進むと思わ れる。
福岡県 博多港周辺に施設集中 九州一の都市である福岡市は、博多市街地、 博多港、福岡空港がそれぞれ一〇キロメート ル圏内に位置している。
さらに九州自動車道、 福岡都市高速道路などの高速道路網も充実し ており、陸海空のインフラを活用できるため、 物流施設用地として適している。
近年取扱貨 物量が増加している博多港は、韓国最大の港 である釜山港から二〇〇キロメートル圏にあり、 アジア諸国に最も近い中枢国際港湾として今後 も貨物量の増加が期待される。
博多港周辺は、九州で最も物流施設が集積 しているエリアだ。
博多港最大の埠頭である箱 崎埠頭や、隣接する香椎パークポートを中心に 89 JANUARY 2008 設に対するニーズは増加傾向だが、荷主企業の 物流コスト削減の動きは続いており、賃料水準 が上昇に転じる気配はみられず、横ばいで推 移している。
佐賀県 交通利便性良好な鳥栖市に集中 鳥栖市は福岡県に隣接しており、博多など 福岡県中心部への交通利便性が良好だ。
同市 は九州自動車道、大分自動車道、長崎自動車道、 国道三号線など主要な幹線道路が通る交通の 要衝であり、九州全域を配送エリアとして捉え ることができる。
また、同市周辺は、福岡市 内に比べ土地価格が低廉なため、賃料水準が 割安というメリットがある。
このように、物流 施設用地としての立地優位性を有している同 エリアは、荷主企業の施設の統廃合拠点とし て不動産投資家などからの注目を集めている。
施設の新規着工量は、〇四年に約三万三千 平米だったものが、〇六年には約一〇万六千 平米と、三倍以上増加している。
既存の賃貸 施設はまだまだ少ないが、今後の開発が期待 される。
施設の供給は、鳥栖ジャンクション周辺に集 中している。
コマーシャル・アールイーが昨年 三月に「鳥栖インターチェンジ蔵上倉庫(延床 面積約一万四千平米)」を竣工した。
また、プ ロロジスが今年二月に「プロロジスパーク鳥栖 ?(同約七万三千平米)」の竣工を予定してい る。
同社は「プロロジスパーク鳥栖?(同約三 万七千平米)」の建設も発表している。
施設の新規着工量は、〇四年の約二二万九 千平米から、〇六年には約四六万三千平米と、 倍増している。
施設の供給動向をみると、玄 海キャピタルマネジメントが昨年九月、粕屋郡 宇美町に九州初となる自走式のマルチテナン ト型物流施設「福岡南流通センター(延床面 積約四万平米)」を竣工した。
また、プロロジ スが糟屋郡久山町に「プロロジスパーク久山」 の建設を発表した。
博多港港湾部における物 流用地の供給が限定的となっていることから、 当エリアで不動産投資家が物流用地を物色する 動きが増えている。
募集賃料動向は三〇〇〇円/坪程度と、こ こ数年安定的に推移している(図2)。
大型施 福岡は古くから貿易の拠点として栄え てきた、歴史のある街だ。
中国・韓国な どのアジア諸国と近いことから、これら の国との海外貿易が盛んに行われており、 博多港の輸入コンテナ取扱高は年々増加 している。
また、釜山まで三時間弱の定 期船も周航するなど、韓国と非常に近い 関係にあり、韓国からの旅行客もとても 多い。
そのため、福岡市内の地下鉄など 交通案内は、日本語、英語表記以外に中 国語、韓国語も併記している。
福岡市内の交通案内事情 (千?) 1,000 800 600 400 200 0 4,000 3,500 3,000 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 20.0 10.0 0.0 −10.0 −20.0 (円/坪) (%) 2002 2003 2004 2005 2006 2007 上 図2 福岡県の賃料動向 平均賃料 3,540 3,370 3,320 3,070 3,050 3,130 −4.8 −8.1 2.6 8.1 −8.9 変動率 (年) 2002年2003年2004年2005年2006年 図1 九州の新規着工動向 福岡県佐賀県長崎県 大分県宮崎県鹿児島県 熊本県 329 105 36 53 41 63 58 84 102 86 67 96 84 56 71 45 77 43 68 61 61 77 54 44 23 34 43 82 33 47 106 266 229 271 463
