ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2008年3号
CLIP
「価値発現」のロジスティクスを解く 多摩大学大学院修士論文集の第二弾が刊行

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2008  66  本書は、多摩大学大学院経営情 報学研究科CLO(チーフ・ロジ スティクス・オフィサー)コース・ SCMドメインの修士論文集第二 集。
ソニー・グループで調達・物流 を統括していた多摩大学研究開発 機構ロジスティクス経営・戦略研究 所所長の水嶋康雅教授が監修した。
 水嶋氏は経営戦略の視点からの 物流・ロジスティクスの本質とは 「必要とされるモノそのものに、本 来的に内在する価値を、そのモノ を必要とする人にとっての価値とし て現すこと」とする。
つまり、「モ ノの価値を発現すること」に真の 意味があり、「顧客満足を起点とす る全体最適のサプライネットワーク を実現することが経営の役割であ る」、と説く。
 部分最適の業務効率改善を目指 すのではなく、ロジスティクスはサ 「価値発現」のロジスティクスを解く 多摩大学大学院修士論文集の第二弾が刊行 プライネットワークにおける経営戦 略である、という視点から、日本 語で書かれた日本初の論文集とし て第一集は刊行された。
今回の第 二集はそれに続くものとなる。
 収録されている論文は「日本企業 における物流アウトソーシング進行 要因に関する研究│ITがもたら したケイパビリティの構造変化│」 (岡本紀彦氏)、「製造業におけるグ ローバルサプライチェーンの最適境 界バランス│予測不可能な市場に おける考察│」(小林由季氏)、「サ プライチェーン・マネジメントにお ける成功要因・阻害要因のロジステ ィクス・コンサルティング視点から の研究」(岩崎雅之氏)の三編。
執 筆者はメーカーの物流業務や、アウ トソーシング・コンサルティング業 務を行う社会人。
多摩大学大学院 での院生としての勉学・研究の成 果をまとめた。
それぞれの論文の 冒頭では研究の目的、背景や問題 意識、論文の構成をわかりやすく 紹介している。
 サプライネットワーク全体の最適 化を図るためには、原理原則を踏 まえての考察と研究が欠かせない。
大学や研究機関だけでなく、行政 や産業界で企画・戦略立案、調査 などに携わる実務家や企業の経営 層の指標となる一冊だ。
  多摩大学大学院経営情報学研究科CLOコ ース・SCMドメイン修士論文第二集「サプラ イネットワークにおける『価値発現』ロジステ ィクスの研究」 監修者・水嶋康雅、発行所・ 多摩大学研究開発機構ロジスティクス経営・戦 略研究所、発行・二〇〇八年一月一〇日、定 価・三一五〇円(税込)  みずほ情報総研は二月一五日、家電 量販店のエディオン高井戸店でICタグ を活用した事故製品の所在把握に関す る実証実験を行った。
 家電メーカーは製品事故が発生した際 の、製品の所在把握と回収に頭を抱え ていた。
事故発生時、メーカーは新聞広 告やテレビCMで消費者に告知する。
し かし事故製品の回収率は低く、大半は 現状を把握することすら困難だった。
 今回の実験では製造段階で、あらか じめICタグを製品内に内蔵。
家電量 販店での製品購入時、消費者の持つポ イントカードと製品のICタグの情報を ハンディリーダで読み取る。
ポイントカ ードの発行を通じて既に量販店のデータ ベースに登録されている名前、住所、電 話番号などの個人情報と、製品のIC タグに記入されている製造年月日、メ ーカー名、商品名、型番といった個品 情報を紐付ける。
ポイントカードを持っ ていない消費者には同意の上、個人情 家電にICタグ内蔵し事故製品の所在把握 みずほ情報総研がエディオンで実証実験 報を店頭端末に直接入力する。
 紐付けされた情報は「製品安全情報 管理システム」に登録され、量販店が管 理する。
製品に事故が発生すれば、メー カーは量販店に対象商品の情報を送信。
量販店はこの情報を基に、製品安全情 報管理システムから購入者を検索。
購入 者の個人情報をメーカーに送信する。
 これによってメーカーは迅速かつ正確 な製品把握が可能になる。
消費者は事 故製品による被害やリスクの軽減だけで なく、複雑な型番を照合したり、メー カーへ問い合わせる手間を省くことがで きる。
回収率の向上も期待される。
 来年四月には「改正消費生活用製品 安全法」が施行され、新たに「長期利用 製品安全点検制度」が導入される。
経 年劣化による重大事故発生の危険性が 高い製品の点検体制の整備や情報配信 を、メーカーに求める制度だ。
そのため、 消費者のICタグへの理解は喫緊の課 題になっている。
経済産業省商務流通 グループの渡邊宏製品安全課長は、「現 在、全国で消費者に向けた説明会を行 っている。
個人情報保護の観点から理 解が進まないことが懸念されたが、反 響は大きい」と説明する。
 また、東京エディオンの外山晋吾代表 取締役は「ICタグは製品の安全管理 のみならず、物流施設や店内バックヤー ドでの在庫管理など、小売りにもメリ ットがある」と導入に期待を寄せた。
ポイントカードと製品に内蔵されたICタ グを交互に読み取り、情報を紐付ける。
ICタグはシール型のものを使用しており、 製品の箱の外からでも読み取りが可能だ

購読案内広告案内