2008年3月号
物流不動産市場レポート
物流不動産市場レポート
三大都市圏 物流施設賃貸市況分析
MARCH 2008 82
物流不動産市場レポート
連結した。
これにより、圏央道沿線エリアで 企業進出がみられた。
圏央道は今後五年程度 で全線開通する見通しで、周辺エリアの物流 拠点としてのポテンシャルの向上が期待される。
湾岸部での施設の供給は依然続いている。
し かし、交通利便性の高い東京都内や隣接した 浦安などのエリアでは、大型用地の取得が困 難になっていることもあり、近郊の船橋、習 志野などのエリアへと、需要が広域化してい る。
内陸部では、物流玄関口といわれる東名道 の厚木ICや、常磐道の柏IC周辺などで大 型施設の供給が進んでいる。
前述の圏央道一 部区間の開通など、インフラが整備されたこ ともあり、埼玉県北部などのエリアでも動き がみられる。
今期の首都圏の中・大型施設の募集賃料は、 埼玉県で前年同期比一・四%減となったが、東 京都、千葉県、神奈川県は上昇している(図 1)。
東京都は、〇七年上半期は九・二%減と 落ち込んだものの、今期は十二・一%増とな り、〇六年の水準まで回復した。
しかし、大 型施設用地は限定的で、新規供給や空室物件 が少ないことが影響し、ニーズ自体は東京周 辺エリアに流れる傾向にある。
募集動向をみ る限り、近年は底堅く安定的に推移している といえるが、物流コスト削減の動きが続いて いることもあり、賃料水準はしばらくの間大 きく上昇することはないとみられる。
首都圏のマルチテナント型物流施設の空室 率は〇六年三月期以降、〇六年十二月期を除 特別編 三大都市圏 物流施設賃貸市況分析 生駒データサービスシステム 瀬尾茂之 鈴木公二 〇七年下半期 シービー・リチャードエリスと生駒データサービスシステムは、共同で「倉 庫・配送センター市況レポート」を年に二回発表している。
国内主要都市の 倉庫等物流施設の市況動向を調査・分析したものだ。
対象施設は三七九一棟 で、主用途が倉庫であり、かつ一般募集された施設が調査対象となる。
そこ で今回は物流不動産レポート特別編として、首都圏、中部圏、関西圏の三大 都市圏の最新の賃貸市況動向を中心に、物流不動産市場のトレンドを解説する。
国内全般 大型施設中心に需要増 物流施設への不動産投資の動きは依然活発 で、物流施設に特化した投資法人として日本 ロジスティクスファンド投資法人に続き、今期 は産業ファンド投資法人が二〇〇七年一〇月 に、J─REITへ上場を果たしている。
〇七年に福岡県で、九州で初となる自走式 マルチテナント型物流施設が竣工され、仙台で もマルチテナント型施設の開発が発表されるな ど、不動産投資家等の開発立地は、関東、関 西、中部の三大都市圏のみならず、徐々に地 方へと拡大している。
物流業界の動向は、大都市圏を中心に効率 化を求めた統廃合や物流業務のアウトソーシ ングの動きが依然続いており、この動きは地 方にまで波及している。
この動きを受け、物 流企業が求める施設規模は大型施設が顕著で、 大都市圏での統廃合が前提であれば、延床面 積二〇〇〇〜三〇〇〇坪以上の施設に対する ニーズが増加している。
関東圏 圏央道一部開通で内陸部に期待 千葉、東京、川崎、横浜へと連なる湾岸部、 国道一六号線、埼玉県南部を中心とする内陸 部、常磐、東北、関越、中央、東名自動車道 など高速道路のIC(インターチェンジ)周辺 に物流施設が集積している。
〇七年、圏央道 あきる野IC〜八王子JCT(ジャンクショ ン)の一部区間が開通し、中央道、関越道が 83 MARCH 2008 いて八%前後と安定的に推移している(図2)。
直近の〇七年十二月期は二棟の竣工があった ものの、五・三%と低下した。
大型施設の供 給は続いているが、需要も伸帳し続けている ため、空室消化は順調に進んでいるといえる。
不動産投資家等による新規開発案件の推移 は、〇二年以降着実に増加している(図3)。
〇五、〇六年には五〇万平米以上まで急拡大 し、〇七年も一〇〇万平米に迫る勢いで開発 が行われた。
今年は一二〇万平米を超える供 給が予定されており、施設の供給が加速して いる。
中部圏 大型需要の顕在化は限定的 内陸部の愛知県小牧周辺や名古屋港周辺で 物流施設の集積がみられる。
〇五年三月の愛 知万博開催に伴い、東海環状道の豊田東JC T〜美濃関JCTの一部区間が開通したこと で、交通利便性が向上した。
これにより、同 環状道周辺に工場や商業施設の進出がみられ るようになった。
自動車関連企業の業績が好調で、関連した 荷動きも活発だ。
荷主企業が物流業務をアウ トソーシングする動きは増加傾向にあり、物 流企業の施設ニーズも大型化している。
愛知県の中・大型施設の賃料動向は、〇三 年以降三〇〇〇円前後で安定的に推移してい る(次頁図4)。
大型の優良物件に対するニー ズは底堅く、賃料水準も安定しているが、一 方、施設運営において、周辺環境に難がある ものや多層階などの利便性に劣る物件につい ては、賃料水準は下落しており、二極化が進 03年 1 2月 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07 年 08 年 09 年以降 04年 3 月 04年 6 月 04年 9 月 04年 12 月 05年 6 月 05年 9 月 05年 12 月 05年 3 月 06年 6 月 06年 9 月 06年 12 月 06年 3 月 07年 6 月 07年 9 月 07年 12 月 07年 3 月 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 (%) 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 (千?) 図2 首都圏のマルチテナント型物流施設空室率 図3 不動産開発会社等による新規供給の推移 20 148 78 559 500 971 1,237 664 注)供給実績は各社プレスリリースベースを基 に集計し、メーカー、物流会社など自社に よる開発を含まず、不動産投資家、ディベ ロッパー等による開発案件を対象とする。
11.3 10.1 10.4 5.0 4.6 3.1 11.7 9.5 9.1 7.5 8.6 8.1 5.1 8.4 8.9 7.7 5.3 図1 中・大型賃料水準(倉庫・配送センター) (予定) (予定) 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 変動率(%) 平均募集賃料(円/坪) 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 変動率(%) 平均募集賃料(円/坪) 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 -13.8 0.2 2.7 -5.3 -2.8 -6.3 -2.1 -0.8 6.1 5.3 -1.4 5,070 4,370 4,380 4,150 4,150 4,260 4,140 3,880 3,800 3,770 4,000 4,210 2.1 9.2 -6.4 -7.2 -2.9 -7.9 4.3 3.6 -1.1 -1.3 0.7 -1.2 -1.6 -2.0 -1.0 -3.5 2.3 -0.4 1.6 -2.4 -9.2 12.1 6,280 6,410 5,950 5,890 5,730 5,770 5,570 5,700 5,680 5,770 5,630 5,110 4,760 5,200 5,140 4,810 4,490 4,670 4,300 4,230 4,410 4,570 4,520 4,460 神奈川県 平均募集賃料変動率 平均募集賃料変動率 -0.2 -4.2 3.0 1.3 3.5 2.8 2.1 2.1 -6.4 -2.1 -22.5 4.950 4,940 3,830 3,670 3,890 3,780 3,830 3,750 3,880 3,630 3,730 3,810 埼玉県千葉県 東京都 物流不動産市場レポート MARCH 2008 84 んでいる。
〇五年、〇六年と二年続けて不動産投資家 等による施設供給が行われなかったが、〇七 年は内陸の高速道路IC周辺と、中部国際空 港周辺で開発がみられた(図5)。
地域経済が 良好で、潜在的な施設ニーズもあると思われ るが、市街化調整区域が多いという地域特性 や利便性の高い土地での供給や、既存物件の 空室が少ないことから、需要の顕在化が限定 的となっている。
首都圏と比べると供給実績 はまだまだ少ないが、小牧周辺エリアを中心 に開発計画がみられるなど、今後の動向に注 目したい。
関西圏 施設の供給過多で湾岸部の競争激化 関西圏は首都圏に次ぐ消費規模を擁してお り、物流施設に対する潜在的ニーズも高いエリ アだ。
施設は、大阪港周辺の此花、住之江や 尼崎港湾部、内陸部の高速道路沿線に集積し ている。
アジア向けの貿易は好調を維持しており、港 湾部の取扱貨物量は増加傾向だ。
飲料、食品 メーカーなどの荷主企業の動きが活発で、物 流効率化を求めた施設の統廃合の動きが年々 増加している。
施設の需給動向は、湾岸部において大型 施設の供給増が続き、需給バランスは緩和傾 向にある。
だが同時期の竣工物件については、 テナント獲得競争が激化しており、施設竣工 後テナント誘致に時間を要するケースがみら れる。
他方、内陸部においては空室改善が概 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 平均募集賃料(円/坪) 変動率(%) 97年 98 年 99 年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07 年上半期 07 年下半期 4,970 4,820 4,400 3,970 4,200 3,990 4,060 3,790 3,870 3,910 3,920 4,060 平 均 募 集 賃 料 変 動 率 図6 中・大型賃料水準(倉庫・配送センター) 大阪府 06 年9月 06 年 12 月 07 年6月 07 年9月 07 年 12 月 07 年3月 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0 (%) 図7 関西圏のマルチテナント型 物流施設空室率 04 年 05 年 06 年 07 年 08 年 09 年以降 500 400 300 200 100 0 (千?) 図8 不動産開発会社等による 新規供給の推移 注)供給実績は各社プレスリリースベースを 基に集計し、メーカー、物流会社など 自社による開発を含まず、不動産投資 家、ディベロッパー等による開発案件 を対象とする。
148 96 430 464 334 221 (予定) (予定) 250 200 150 100 50 0 (千?) 04年 05 年 06 年 07 年 32 210 56 50 図5 不動産開発会社等による新規供給の推移 注)供給実績は各社プレスリリースベースを基に 集計し、メーカー、物流会社など自社によ る開発を含まず、不動産投資家、ディベロッ パー等による開発案件を対象とする。
6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 平均募集賃料(円/坪) 変動率(%) 97年 98 年 99 年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07 年上半期 07 年下半期 3,380 3,260 3,370 3,310 3,120 3,220 3,030 2,940 2,900 3,270 2,930 3,020 平均募集賃料変動率 -3.6 3.4 -1.8 -5.7 3.2 -5.9 -3.0 -1.4 12.8 -10.4 3.1 図4 中・大型賃料水準(倉庫・配送センター) 愛知県 08 年 09 年以降 (予定) (予定) -3.0 -8.7 -9.8 5.8 -5.0 1.8 -6.7 2.1 1.0 0.3 3.6 6.4 16.7 15.4 9.4 25.5 26.1 85 MARCH 2008 ね進んでおり、特に大型供給は見られず、品 薄感が強まっている。
大阪府の平均募集賃料は、今期は三・六% 増加の四〇六〇円となっており、〇五年以降、 わずかではあるが上昇を続けている(図6)。
中・大型施設に関しては安定的に推移してい るといえるが、ここ数年の新規供給の多さか ら需要獲得のための賃料調整がみられる。
マルチテナント型施設の空室率は、今期の 〇七年九月期で二五・五%、〇七年十二月期 で二六・一%と、いずれも高い水準を示して いる(図7)。
これまでは大型施設の供給に 対し、それなりの需要もあったため、空室消 化も比較的良好だったが、近年は湾岸エリア での空室が目立ち始めている。
また、新規物 件の空室消化も良好とはいえず、既存の施設 についても空室が消化しないまま、周辺の開 発計画が進んでいる状況だ。
不動産開発会社等による開発動向をみる と、〇六年、〇七年ともに湾岸部を中心に四 〇万平米を超える施設の供給があった(図8)。
今年も三〇万平米を超える施設の供給が予定 されており、現状の需給バランスを考慮する と、供給過剰の懸念は否めない。
お問い合わせ先 生駒データサービスシステム 東京本社 瀬尾茂之/鈴木公二 住所:東京都港区浜松町二─二─一二 電話番号:〇三(五四七〇)八九四一 2007年下半期全国最新市況 平均賃料平均預託金 3,230円3.0カ月 3,510円3.8カ月 北海道 平均賃料平均預託金 3,360円4.2カ月 3,700円4.5カ月 宮城県 平均賃料平均預託金 4,120円3.2カ月 4,270円3.3カ月 埼玉県 平均賃料平均預託金 3,940円3.7カ月 4,450円4.8カ月 千葉県 平均賃料平均預託金 6,610円4.0カ月 7,280円4.7カ月 東京都 平均賃料平均預託金 5,480円3.8カ月 5,660円4.3カ月 神奈川県 平均賃料平均預託金 3,160円4.6カ月 4,290円5.3カ月 愛知県 平均賃料平均預託金 2,860円5.0カ月 4,400円5.1カ月 石川県 平均賃料平均預託金 2,950円6.2カ月 3,090円3.8カ月 滋賀県 平均賃料平均預託金 4,750円6.4カ月 5,050円6.7カ月 京都府 平均賃料平均預託金 4,920円7.0カ月 5,560円7.7カ月 大阪府 平均賃料平均預託金 4,190円7.4カ月 4,650円7.0カ月 兵庫県 平均賃料平均預託金 2,630円5.2カ月 4,130円6.1カ月 香川県 平均賃料平均預託金 2,850円6.6カ月 4,350円6.5カ月 岡山県 平均賃料平均預託金 2,500円6.0カ月 高知県 平均賃料平均預託金 3,680円6.4カ月 4,330円8.1カ月 広島県 平均賃料平均預託金 3,110円5.4カ月 4,770円7.5カ月 福岡県 平均賃料平均預託金 2,630円5.0カ月 3,570円6.2カ月 鹿児島県 ─ ─ ※上段は倉庫・配送センター、下段は事務所兼倉庫 ●対象 主な用途が倉庫・配送センター、事務所 兼倉庫であり、一般募集された施設 ●賃料 2007年7月〜12月までの期間の新規募 集賃料(円/坪)を棟数平均して算出 ●預託金 2007年7月〜12月までの期間の預託金 を棟数平均して算出。
また算出された預 託金を平均賃料(円/坪)で割り、平均 預託金を算出
これにより、圏央道沿線エリアで 企業進出がみられた。
圏央道は今後五年程度 で全線開通する見通しで、周辺エリアの物流 拠点としてのポテンシャルの向上が期待される。
湾岸部での施設の供給は依然続いている。
し かし、交通利便性の高い東京都内や隣接した 浦安などのエリアでは、大型用地の取得が困 難になっていることもあり、近郊の船橋、習 志野などのエリアへと、需要が広域化してい る。
内陸部では、物流玄関口といわれる東名道 の厚木ICや、常磐道の柏IC周辺などで大 型施設の供給が進んでいる。
前述の圏央道一 部区間の開通など、インフラが整備されたこ ともあり、埼玉県北部などのエリアでも動き がみられる。
今期の首都圏の中・大型施設の募集賃料は、 埼玉県で前年同期比一・四%減となったが、東 京都、千葉県、神奈川県は上昇している(図 1)。
東京都は、〇七年上半期は九・二%減と 落ち込んだものの、今期は十二・一%増とな り、〇六年の水準まで回復した。
しかし、大 型施設用地は限定的で、新規供給や空室物件 が少ないことが影響し、ニーズ自体は東京周 辺エリアに流れる傾向にある。
募集動向をみ る限り、近年は底堅く安定的に推移している といえるが、物流コスト削減の動きが続いて いることもあり、賃料水準はしばらくの間大 きく上昇することはないとみられる。
首都圏のマルチテナント型物流施設の空室 率は〇六年三月期以降、〇六年十二月期を除 特別編 三大都市圏 物流施設賃貸市況分析 生駒データサービスシステム 瀬尾茂之 鈴木公二 〇七年下半期 シービー・リチャードエリスと生駒データサービスシステムは、共同で「倉 庫・配送センター市況レポート」を年に二回発表している。
国内主要都市の 倉庫等物流施設の市況動向を調査・分析したものだ。
対象施設は三七九一棟 で、主用途が倉庫であり、かつ一般募集された施設が調査対象となる。
そこ で今回は物流不動産レポート特別編として、首都圏、中部圏、関西圏の三大 都市圏の最新の賃貸市況動向を中心に、物流不動産市場のトレンドを解説する。
国内全般 大型施設中心に需要増 物流施設への不動産投資の動きは依然活発 で、物流施設に特化した投資法人として日本 ロジスティクスファンド投資法人に続き、今期 は産業ファンド投資法人が二〇〇七年一〇月 に、J─REITへ上場を果たしている。
〇七年に福岡県で、九州で初となる自走式 マルチテナント型物流施設が竣工され、仙台で もマルチテナント型施設の開発が発表されるな ど、不動産投資家等の開発立地は、関東、関 西、中部の三大都市圏のみならず、徐々に地 方へと拡大している。
物流業界の動向は、大都市圏を中心に効率 化を求めた統廃合や物流業務のアウトソーシ ングの動きが依然続いており、この動きは地 方にまで波及している。
この動きを受け、物 流企業が求める施設規模は大型施設が顕著で、 大都市圏での統廃合が前提であれば、延床面 積二〇〇〇〜三〇〇〇坪以上の施設に対する ニーズが増加している。
関東圏 圏央道一部開通で内陸部に期待 千葉、東京、川崎、横浜へと連なる湾岸部、 国道一六号線、埼玉県南部を中心とする内陸 部、常磐、東北、関越、中央、東名自動車道 など高速道路のIC(インターチェンジ)周辺 に物流施設が集積している。
〇七年、圏央道 あきる野IC〜八王子JCT(ジャンクショ ン)の一部区間が開通し、中央道、関越道が 83 MARCH 2008 いて八%前後と安定的に推移している(図2)。
直近の〇七年十二月期は二棟の竣工があった ものの、五・三%と低下した。
大型施設の供 給は続いているが、需要も伸帳し続けている ため、空室消化は順調に進んでいるといえる。
不動産投資家等による新規開発案件の推移 は、〇二年以降着実に増加している(図3)。
〇五、〇六年には五〇万平米以上まで急拡大 し、〇七年も一〇〇万平米に迫る勢いで開発 が行われた。
今年は一二〇万平米を超える供 給が予定されており、施設の供給が加速して いる。
中部圏 大型需要の顕在化は限定的 内陸部の愛知県小牧周辺や名古屋港周辺で 物流施設の集積がみられる。
〇五年三月の愛 知万博開催に伴い、東海環状道の豊田東JC T〜美濃関JCTの一部区間が開通したこと で、交通利便性が向上した。
これにより、同 環状道周辺に工場や商業施設の進出がみられ るようになった。
自動車関連企業の業績が好調で、関連した 荷動きも活発だ。
荷主企業が物流業務をアウ トソーシングする動きは増加傾向にあり、物 流企業の施設ニーズも大型化している。
愛知県の中・大型施設の賃料動向は、〇三 年以降三〇〇〇円前後で安定的に推移してい る(次頁図4)。
大型の優良物件に対するニー ズは底堅く、賃料水準も安定しているが、一 方、施設運営において、周辺環境に難がある ものや多層階などの利便性に劣る物件につい ては、賃料水準は下落しており、二極化が進 03年 1 2月 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07 年 08 年 09 年以降 04年 3 月 04年 6 月 04年 9 月 04年 12 月 05年 6 月 05年 9 月 05年 12 月 05年 3 月 06年 6 月 06年 9 月 06年 12 月 06年 3 月 07年 6 月 07年 9 月 07年 12 月 07年 3 月 14.0 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 (%) 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 (千?) 図2 首都圏のマルチテナント型物流施設空室率 図3 不動産開発会社等による新規供給の推移 20 148 78 559 500 971 1,237 664 注)供給実績は各社プレスリリースベースを基 に集計し、メーカー、物流会社など自社に よる開発を含まず、不動産投資家、ディベ ロッパー等による開発案件を対象とする。
11.3 10.1 10.4 5.0 4.6 3.1 11.7 9.5 9.1 7.5 8.6 8.1 5.1 8.4 8.9 7.7 5.3 図1 中・大型賃料水準(倉庫・配送センター) (予定) (予定) 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 変動率(%) 平均募集賃料(円/坪) 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 -25 変動率(%) 平均募集賃料(円/坪) 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 97年 98年 99年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07上 半 期 07下 半 期 -13.8 0.2 2.7 -5.3 -2.8 -6.3 -2.1 -0.8 6.1 5.3 -1.4 5,070 4,370 4,380 4,150 4,150 4,260 4,140 3,880 3,800 3,770 4,000 4,210 2.1 9.2 -6.4 -7.2 -2.9 -7.9 4.3 3.6 -1.1 -1.3 0.7 -1.2 -1.6 -2.0 -1.0 -3.5 2.3 -0.4 1.6 -2.4 -9.2 12.1 6,280 6,410 5,950 5,890 5,730 5,770 5,570 5,700 5,680 5,770 5,630 5,110 4,760 5,200 5,140 4,810 4,490 4,670 4,300 4,230 4,410 4,570 4,520 4,460 神奈川県 平均募集賃料変動率 平均募集賃料変動率 -0.2 -4.2 3.0 1.3 3.5 2.8 2.1 2.1 -6.4 -2.1 -22.5 4.950 4,940 3,830 3,670 3,890 3,780 3,830 3,750 3,880 3,630 3,730 3,810 埼玉県千葉県 東京都 物流不動産市場レポート MARCH 2008 84 んでいる。
〇五年、〇六年と二年続けて不動産投資家 等による施設供給が行われなかったが、〇七 年は内陸の高速道路IC周辺と、中部国際空 港周辺で開発がみられた(図5)。
地域経済が 良好で、潜在的な施設ニーズもあると思われ るが、市街化調整区域が多いという地域特性 や利便性の高い土地での供給や、既存物件の 空室が少ないことから、需要の顕在化が限定 的となっている。
首都圏と比べると供給実績 はまだまだ少ないが、小牧周辺エリアを中心 に開発計画がみられるなど、今後の動向に注 目したい。
関西圏 施設の供給過多で湾岸部の競争激化 関西圏は首都圏に次ぐ消費規模を擁してお り、物流施設に対する潜在的ニーズも高いエリ アだ。
施設は、大阪港周辺の此花、住之江や 尼崎港湾部、内陸部の高速道路沿線に集積し ている。
アジア向けの貿易は好調を維持しており、港 湾部の取扱貨物量は増加傾向だ。
飲料、食品 メーカーなどの荷主企業の動きが活発で、物 流効率化を求めた施設の統廃合の動きが年々 増加している。
施設の需給動向は、湾岸部において大型 施設の供給増が続き、需給バランスは緩和傾 向にある。
だが同時期の竣工物件については、 テナント獲得競争が激化しており、施設竣工 後テナント誘致に時間を要するケースがみら れる。
他方、内陸部においては空室改善が概 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 平均募集賃料(円/坪) 変動率(%) 97年 98 年 99 年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07 年上半期 07 年下半期 4,970 4,820 4,400 3,970 4,200 3,990 4,060 3,790 3,870 3,910 3,920 4,060 平 均 募 集 賃 料 変 動 率 図6 中・大型賃料水準(倉庫・配送センター) 大阪府 06 年9月 06 年 12 月 07 年6月 07 年9月 07 年 12 月 07 年3月 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0 (%) 図7 関西圏のマルチテナント型 物流施設空室率 04 年 05 年 06 年 07 年 08 年 09 年以降 500 400 300 200 100 0 (千?) 図8 不動産開発会社等による 新規供給の推移 注)供給実績は各社プレスリリースベースを 基に集計し、メーカー、物流会社など 自社による開発を含まず、不動産投資 家、ディベロッパー等による開発案件 を対象とする。
148 96 430 464 334 221 (予定) (予定) 250 200 150 100 50 0 (千?) 04年 05 年 06 年 07 年 32 210 56 50 図5 不動産開発会社等による新規供給の推移 注)供給実績は各社プレスリリースベースを基に 集計し、メーカー、物流会社など自社によ る開発を含まず、不動産投資家、ディベロッ パー等による開発案件を対象とする。
6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 15 10 5 0 -5 -10 -15 平均募集賃料(円/坪) 変動率(%) 97年 98 年 99 年 00 年 01 年 02 年 03 年 04 年 05 年 06 年 07 年上半期 07 年下半期 3,380 3,260 3,370 3,310 3,120 3,220 3,030 2,940 2,900 3,270 2,930 3,020 平均募集賃料変動率 -3.6 3.4 -1.8 -5.7 3.2 -5.9 -3.0 -1.4 12.8 -10.4 3.1 図4 中・大型賃料水準(倉庫・配送センター) 愛知県 08 年 09 年以降 (予定) (予定) -3.0 -8.7 -9.8 5.8 -5.0 1.8 -6.7 2.1 1.0 0.3 3.6 6.4 16.7 15.4 9.4 25.5 26.1 85 MARCH 2008 ね進んでおり、特に大型供給は見られず、品 薄感が強まっている。
大阪府の平均募集賃料は、今期は三・六% 増加の四〇六〇円となっており、〇五年以降、 わずかではあるが上昇を続けている(図6)。
中・大型施設に関しては安定的に推移してい るといえるが、ここ数年の新規供給の多さか ら需要獲得のための賃料調整がみられる。
マルチテナント型施設の空室率は、今期の 〇七年九月期で二五・五%、〇七年十二月期 で二六・一%と、いずれも高い水準を示して いる(図7)。
これまでは大型施設の供給に 対し、それなりの需要もあったため、空室消 化も比較的良好だったが、近年は湾岸エリア での空室が目立ち始めている。
また、新規物 件の空室消化も良好とはいえず、既存の施設 についても空室が消化しないまま、周辺の開 発計画が進んでいる状況だ。
不動産開発会社等による開発動向をみる と、〇六年、〇七年ともに湾岸部を中心に四 〇万平米を超える施設の供給があった(図8)。
今年も三〇万平米を超える施設の供給が予定 されており、現状の需給バランスを考慮する と、供給過剰の懸念は否めない。
お問い合わせ先 生駒データサービスシステム 東京本社 瀬尾茂之/鈴木公二 住所:東京都港区浜松町二─二─一二 電話番号:〇三(五四七〇)八九四一 2007年下半期全国最新市況 平均賃料平均預託金 3,230円3.0カ月 3,510円3.8カ月 北海道 平均賃料平均預託金 3,360円4.2カ月 3,700円4.5カ月 宮城県 平均賃料平均預託金 4,120円3.2カ月 4,270円3.3カ月 埼玉県 平均賃料平均預託金 3,940円3.7カ月 4,450円4.8カ月 千葉県 平均賃料平均預託金 6,610円4.0カ月 7,280円4.7カ月 東京都 平均賃料平均預託金 5,480円3.8カ月 5,660円4.3カ月 神奈川県 平均賃料平均預託金 3,160円4.6カ月 4,290円5.3カ月 愛知県 平均賃料平均預託金 2,860円5.0カ月 4,400円5.1カ月 石川県 平均賃料平均預託金 2,950円6.2カ月 3,090円3.8カ月 滋賀県 平均賃料平均預託金 4,750円6.4カ月 5,050円6.7カ月 京都府 平均賃料平均預託金 4,920円7.0カ月 5,560円7.7カ月 大阪府 平均賃料平均預託金 4,190円7.4カ月 4,650円7.0カ月 兵庫県 平均賃料平均預託金 2,630円5.2カ月 4,130円6.1カ月 香川県 平均賃料平均預託金 2,850円6.6カ月 4,350円6.5カ月 岡山県 平均賃料平均預託金 2,500円6.0カ月 高知県 平均賃料平均預託金 3,680円6.4カ月 4,330円8.1カ月 広島県 平均賃料平均預託金 3,110円5.4カ月 4,770円7.5カ月 福岡県 平均賃料平均預託金 2,630円5.0カ月 3,570円6.2カ月 鹿児島県 ─ ─ ※上段は倉庫・配送センター、下段は事務所兼倉庫 ●対象 主な用途が倉庫・配送センター、事務所 兼倉庫であり、一般募集された施設 ●賃料 2007年7月〜12月までの期間の新規募 集賃料(円/坪)を棟数平均して算出 ●預託金 2007年7月〜12月までの期間の預託金 を棟数平均して算出。
また算出された預 託金を平均賃料(円/坪)で割り、平均 預託金を算出
