2008年4月号
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グリーン・サプライチェーンの実態をベリングポイントがグローバル調査

APRIL 2008  74  ビジネスコンサルティング大手の ベリングポイントは今年二月、「グリ ーン・サプライチェーングローバル 調査報告書」を発表した。
サプライ チェーンの観点から日米欧の有力企 業の環境対策を分析したもので、本 誌(LOGI─BIZ)も協賛企業 として参画している。
 同調査によると、環境対策の実施 率と取り組み年数で日本企業は欧米 企業を圧倒している。
また日本の取 り組みは主に製造業が主導している のに対し、欧米はサービス業主導型 であることが分かった。
 同調査は日米欧各地域の主要企 業六〇一社(欧米企業:サービス業 中心に約九三%、日本企業:製造業 の大企業中心に約七%)からのアン ケート回答結果と二〇社(日本企業 三社)のインタビューを基に、環境 対策の実施状況やコスト効果を、製 品設計/調達/製造/物流/回収の サプライチェーン機能別に分析した もの(調査期間:二〇〇七年六月 から同十一月)。
 調査結果の概要は以下の通り。
環境対策を促す二大要因は 法規制と企業イメージ  環境対策の上位二大要因として、 法規制と企業イメージの向上が挙げ グリーン・サプライチェーンの実態を ベリングポイントがグローバル調査 られている。
業種的には、製造業 よりもサービス業や物流業で企業イ メージの向上を重視する傾向がある (図1)。
事業計画立案時に環境へのイ ンパクトを考慮する企業は多い が、対策は未着手  全体で八三%の企業が事業計画 立案時に環境に配慮していると回答 したが、実際に対策を実行している 企業は三五%に過ぎないことが分か った。
企業規模が大きいほど環境対 策の実施率は高く、大企業における 実施率は四七%と、中小規模企業 の二倍以上である(図2・3)。
国別に見た企業の環境対策実 施状況では日本企業がトップ。
八五%が五年以上環境対策に 取り組む  日本企業の八五%が五年以上環 境対策に取り組んでいると回答し たが、英/仏/米ではそれぞれ、三 二%/二二%/五二%であった(図 4・5)。
 国別の取り組み実績の差は、回答 した日本企業の環境対策関連部門 保有率が九五%だったのに対し、全 回答企業では五五%に留まることか らも明らかである(図6)。
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 0% 5% 10% 15% 20% 25% イノベーション (プロセス/製品) 専門家からの要請 その他 ライバル会社の行動 新市場に進出するチャンス コスト削減 経営層のリーダーシップ 企業イメージ向上 環境規制24% 20% 14% 13% 11% 9% 4% 3% 2% 図1 事業戦略に環境対策を取り入れる理由 10 億ドル 以下 10 億ドル 〜35 億ドル 50 億ドル 〜100 億ドル 100 億ドル 以上 78% 79% 83% 86% 93% 23% 19% 32% 39% 93% フランス北米欧州英国日本 事業戦略立案時に環 境問題を考慮している グリーンサプライチェ ーンを実施している 事業戦略立案時に環 境問題を考慮している グリーンサプライチェ ーンを実施している 63% 87% 88% 22% 77% 21% 33% 47% はい 83% いいえ 12% 不明 5% 図2 事業戦略策定時に環境対策を検討事項に    含めている企業の割合 図4 環境対策を実施している企業の国別割合図3 環境対策を実施している企業の売上規模別割合:全体平均35% 75  APRIL 2008 環境対策の二大阻害要因は対 策そのものおよび関連法規制 に関する情報不足  環境対策を実施していない企業が 挙げる最大の理由は、法規制や対策 (戦略)の立て方などに関する情報 不足(三六%)である。
その他の要 因として、対策の複雑さ(一八%) や費用(額および投資効果:合計二 〇%)が挙げられている(図7)。
サプライチェーンにおいて最も 多くの環境対策が実行されて いる分野は物流  機能別の環境対策実施率では、物 流が八一%で一番高く、設計とリ バースロジスティクスがそれぞれ五 九%と出遅れている。
 物流対策が先行している主な理由 として、欧州や北米の流通経路が長 いこと、トラック輸送が主体である こと、および近年の燃料高騰が挙げ られる(図8)。
 今回の調査結果を受け、ベリング ポイントのサプライチェーンマネー ジメントチーム本木昌裕マネージン グディレクターは、以下のように述 べている。
 「過去の公害対策やISO活動、 欧米の法規制対応および京都議定 書に関する取り組みなどにより、日 本企業は環境対策の実施率におい て欧米企業を大きくリードしている ことが確認された。
しかし、そのリ ードの大半は産業部門によるもので ありサービス業や運輸業の貢献度は 低い。
逆に、欧米では消費者に近 い業種ほど環境意識の高まりが著し い。
サプライチェーンの上流と下流 で日米欧の優位が入れ替わっている 可能性がある」  「また、即効性のある対策や効果 の大きい対策が欧米企業の方に多く 残されていると思われる。
日本企業 においては、一九九〇年代以降国内 設備投資は低迷を続けてきたが、今 後設備改造/更新/統合/移転が進 むと思われるので、その際、抜本的 な環境対策を行う余地を検討する必 要があるのではないか」  「法規制が環境対策を推進する最 大の要因であることが分かったので、 企業の自主的対応を尊重することは もちろんであるが、実効性の高い施 策を目指した規制当局の速やかな対 応も求められる。
輸出依存度の高い 日本は輸出先国の法規制に大きく影 響される。
これまで受身的な対応が 多かったと思われるが、今後はルー ル作りにおいても欧米企業をリード する必要がある」  なお本調査に関するエグゼク ティブサマリーはベリングポイン トのホームページ( http://www. bearingpoint.co.jp/library/ research.html)からダウンロードで きる。
図5 国別に見た環境対策実施年数 図8 サプライチェーン機能別の環境対策取り組み状況図7 グリーンサプライチェーンを実施しない理由 図6 国別環境対策関連部門保有率 100% 80% 60% 40% 20% 0% 1年未満 フランス 1〜3 年3〜5 年5年以上不明 北米欧州英国日本 120% 100% 80% 60% 40% 20% 0% 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 全体平均 設計 調達 製造 物流 リバース ロジスティクス 日本フランス英国米国 環境対策関連部門保有率法規制重視率 40% 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 情報不足 複雑すぎて 実施できない 費用が 掛かり過ぎる 投資費用効果が 見合わない 実行義務はない その他 36% 59% 66% 65% 81% 59% 18% 11% 9% 6% 20%

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