2008年7月号
物流不動産市場レポート

神奈川県施設需要は港湾・内陸部ともに堅調賃料水準は横ばいで下げ止まり傾向

物流不動産市場レポート JULY 2008  82 点としての利便性は高い。
 古くから大型物流施設が集積しているため、 全体的に建物の老朽化が進んでいる。
港湾エ リアにおける商慣習の変化や規制緩和、不動 産投資家等による大型賃貸施設の供給など、 新たな動きも多くみられる。
 市況動向は、大型施設や冷凍・冷蔵対応施 設に対するニーズが高い。
ここ数年は拠点集 約の動きが活発なこともあり、大規模面積を 確保可能な物件に対する引き合いは多い。
 今年の不動産投資家等の開発動向をみると、 ラサールインベストメントマネージメントが三 月、川崎市川崎区に「ロジポート川崎(延べ 床面積一六万二八五平米)」、AMBプロパテ ィジャパンが五月、横浜市鶴見区に「AMB 鶴見ディストリビューションセンター(同六万 九六七八平米)」、日本レップが五月、川崎市 東扇島に「J─REPロジステーション東扇島 (同四万四八四六平米)」をそれぞれ竣工した。
倉庫着工面積は増加に転じる  神奈川県は横浜港と川崎港の二つの特定重 要港湾を擁し、京浜工業地帯から内陸部にか けて大規模な工業地域を形成している。
また、 県内に八〇〇万人を超える人口を抱えており、 日本有数の商圏を有している。
このように生 産地と消費地が近接したマーケットは、その 流通機能を担う物流業界にとっても重要なエ リアといえる。
 同県の倉庫着工面積は、バブル期以降一貫 して減少し続けており、ここ数年は低水準で の推移となっていたが、二〇〇六年、〇七年 は六〇万平米を超える水準まで着工量が伸び ている(図1)。
これは、不動産投資家等に よる大型マルチテント型施設の着工が相次い だことが大きな要因と思われ、今後も一定水 準の着工が行われることが予想される。
 市況動向は、横浜市および川崎市の湾岸 部や、内陸部の交通の要衝である厚木IC周 辺等の大型優良倉庫に対する需要は、比較的 堅調に推移している。
物流拠点の集約のみな らず、拡張や新規開設といった需要もみられ、 特に一〇〇〇坪以上の中・大型クラスや冷凍、 冷蔵対応施設の引き合いは堅調である。
 湾岸部ではコンテナ貨物を中心に横浜港の 取扱貨物量が増加傾向で、物流ニーズが高ま っている。
しかし、港湾関連の法規制や大型 用地の供給が限定的ということもあり、近年 では内陸部の動きも目立つ。
 賃料水準は横ばいに推移しており下げ止ま り感がみられるものの、企業のコスト削減意 識は依然強く上昇の気配は乏しい(図2)。
横浜湾岸 大型施設の供給活発  羽田空港に近接し、首都高速湾岸線や横浜 港、川崎港など充実したインフラを抱えている。
都心部へのアクセスも良好であるため物流拠 第13回 神奈川県 施設需要は港湾・内陸部ともに堅調 賃料水準は横ばいで下げ止まり傾向 シービー・リチャードエリス インダストリアル営業本部 菅野智孝 生駒データサービスシステム 鈴木公二    83  JULY 2008 ている。
関西、中部圏からの中継拠点として、 都心部、横浜中心部への配送を見据えた広域 管轄の施設に対する潜在的な需要が高い。
 港湾部に比べ賃料水準は低廉で、大型物件 も多いことから、相模原市・厚木市に大型施 設を構える企業が増えている。
大型施設が厚 木ICを中心に集積している。
 施設需要は大型物件が中心で、一定規模を 満たした使い勝手が良い物流施設についての 引き合いが多い。
近年は不動産投資家等によ る大型施設開発が相次いでいる。
一方、中小 の市場競争力に劣る物流施設は、空室が長期 化し賃料設定の見直しを迫られるケースもみ られる。
 不動産投資家等の開発動向は、オリックス 不動産が今夏、横浜市瀬谷区に「横浜町田I Cロジスティクスセンター(仮称、延べ床面積 六万一二一三平米)」、コマーシャル・アール イーが今年九月、相模原市に「CRE相模原 物流センター(仮称、同二万三三六二平米)」、 プロロジスが来年六月、座間市に「プロロジ スパーク座間?(同十三万九二一一平米)の 竣工を予定されている。
 今後は、日本レップが今年十一月、川崎市 水江町に「J─REPロジステーション水江町 (同十二万六五二三平米)の竣工を予定して いる。
また、ニューシティコーポレーションが 横浜市に「ニューシティ横浜ロジスティックパ ークA・B・C・D棟(総床面積五七万一〇 〇〇平米)」を開発している。
竣工予定時期 はA棟が来年で、B〜D棟は未定だ。
内陸部 厚木IC周辺に施設集中  東名高速道路を中心に広域道路網を持つた め、大型倉庫・配送センターの受け皿となっ  川崎市川崎区の湾岸部に位置する 東扇島地区は首都圏でも有数の物流 施設集積地であり、首都圏の食品ター ミナルとしての役割も担っている。
平 日は大型トラックが行き交い、人通り は少ない。
飲食店も少なく、同エリア で働く人たちは昼食を仕出し弁当やコ ンビニなどで簡単に済ませているようだ。
 しかし、休日は平日とは違う顔を 見せる。
同エリアに存在する川崎マリ エンは、バーベキュー場やテニスコー ト、体育館などを擁する多目的施設 で、家族連れでにぎわっている。
また、 川崎マリエンのタワー棟九階にあるス カイレストラン「マンマ・ミーア」は、 東扇島や川崎港を一望できるなど展望 は抜群。
ベイエリアの夜景スポットと しても人気が高い。
物流施設街で夜景を満喫 !? 穴場観光スポットに迫る 図1 神奈川県の新規着工面積と件数 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 2,000 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 (?) (棟) 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 床面積棟数 図2 神奈川県の中・大型物流施設の募集賃料 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 2006 年 2007年 上期 2007年 下期 4,810 4,670 4,300 4,230 4,410 4,570 4,520 4,460 4,490 -6.4 -2.9 -7.9 -1.6 4.3 3.6 -1.1 -1.3 0.7 変動率 (%) 平均賃料 (円/坪) (円/坪) (%)

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