2005年1月号
3PL活用術

テスコ×エクセル

51 JANUARY 2005ベンダ 一〇〇社にICタグ一九二四年に創業したテスコは英国最大の食品ス パ である 現在の年商は約五兆八〇〇〇億円 ち うど日本のイオンとイト ヨ カ堂の年商を合算したくらいの規模だ 店舗数は約二三〇〇 海外進出も盛んで すでにアジアではタイ 韓国 台湾 マレ シアへの進出を済ませている 間もなく日本にも本格上陸を果たす予定だ テスコの創業者はジ ク・コ エン卿で 同氏が一九一九年にロンドンのイ スト・エンド市場でドライグロサリ の販売を始めたのが小売業参入のき かけだ た その後 英国陸軍との取引拡大に成功するなど発展を遂げていき 一九二九年には初めて テスコ という名称の店舗をバ トン・オ クのエ ジウ アにオ プンした 米国では一九三〇年代に入ると セルフサ ビス型のス パ マ ケ トが相次いで誕生した セルフサ ビス型ス パ マ ケ トとは幅広い品揃えの商品を大量に陳列し 少人数のスタ フで店舗を運営するというモデルである 現在では広く普及しているこのモデルを テスコが採り入れたのは一九四八年 以来 同社はセルフサ ビス型のス パ マ ケ トを中心に店舗網を拡げてい た こうして欧州を代表する小売業として成長を遂げたテスコは同業他社の手本となるような先進的な取り組みを数多く展開している 1ハイパ マ ケ ト 総合デ スカウントストア の出店 2グリ ンスタンプやポイントカ ド制度の導入 3駐車場および屋上駐車場付き店舗の開発 4小売り店舗でのガソリン販売 5物流センタ へのAGV 無人搬送車 導入 6ICタグの実証実験の実施 テスコ×エクセル英国最大の食品ス パ であるテスコは欧州ト プの3PLであるエクセルに物流センタ の運営を委託している エクセルはすべての従業員に平等に昇進のチ ンスを与えることで 物流現場で働く従業員の やる気 を引き出している テスコはエクセルの管理ノウハウで現場の生産性がさらに向上することを期待している サン物流開発 鈴木準 代表最 終 回テスコの店舗数は約2300。
間もなく日本にも本格上陸する予定▼3PLパ トナ ▼荷主短期集中連載 JANUARY 2005 52とい た取り組みは いずれもテスコが業界の先端を走 てきた このうち近年とりわけ注目を集めているのは6ICタグの実証実験である 他社に先駆けて二〇〇三年九月に 第一フ ズとして物流センタ 店舗間で実証実験を実施した テスコでは物流段階で商品を紛失するケ スが多く 今回の実験はICタグを使 て 物流のどの段階で商品を紛失してしま ているのか をきちんと把握することが目的だ た 第一フ ズの実験結果を踏まえたうえで 早くも二カ月後の同年十一月には 二〇〇四年九月から納入業者上位一〇〇社を対象にICタグを活用した物流管理を開始する という導入計画の詳細を明らかにした その後 P&Gやユニリ バ ジレ トなど納入業者五社をパ トナ とした第二フ ズの実証実験を済ませるなどICタグの本格導入に向けた準備を着々と進めている インタ ネ ト上で買い物ができる オンラインス パ 事業への関心も高い 同社のオンラインス パ は一週間に約一二〇〇万人が買い物に訪れる巨大シ ピングサイトと化しているからだ 同事業の売上高は年間約五〇〇億円 ピ ク時には注文の処理件数は一時間当たり一五〇〇件以上に達するという 企業買収で欧州最大の3PLに現在 テスコは英国内に物流センタ を二四カ所保有している このうちの一つである Didcotセンタ はロンドンの南西部に位置する 日配品や生鮮食品など約一〇〇〇アイテムを扱う同センタ の一日当たりの入荷量は大型トラ ク六〇台分 これを一二八店舗向けに仕分け 配送している 同センタ の運営を任されているのは欧州を代表する3PLのエクセルだ 同社の年商は約八〇〇〇億円 3PLでは欧州第二位だ たが 二〇〇四年八月に同業のチベ ト&ブリテンの株式を取得したことで ト プの座に躍り出た 従業員七万四〇〇〇人 世界一二〇カ国に営業拠点を展開する巨大3PLとして生まれ変わ た 近年 エクセルは日本での動きを活発化させている 二〇〇四年六月には富士通の物流子会社である富士通ロジステ クスを買収した 現在 グロ バルサプライチ ンをカバ できるネ トワ クを武器に 日本企業との取引拡大を目指し営業攻勢をかけている エクセルの看板を掲げたトラ クが走行している様子を頻繁に目にするようになるなど同社の日本における認知度は徐々に高まりつつある も とも海外進出を積極化しているとはいえ 地域別売上高をみると まだまだ欧州への依存度が高いことがわかる 売上高比率は英国三二% 欧州二〇% 米国三三% アジア太平洋一五% 収入の半数以上を欧州で稼いでいる計算になる エクセルの特徴の一つは厳しい倫理規定を設けている点だ 社員はすべての取引先に対して忠誠 公正に 敬意を持 て接することが要求される また国連の人権宣言などに従い 子供を労働力として利用することや 強制的な労働を固く禁じている 従業員の待遇は平等だ 能力と資格があれテスコから物流センターの運営を任されているエクセルは、チベット&ブリテンの買収で欧州最大の3PLとなったテスコの「Didcotセンター」は日配品など約1000アイテムを扱う。
カバーするのは128店舗。
1日の入荷量はトラック60台分に達する 53 JANUARY 2005ば 学歴がなくても管理職として登用される 人種や性別などによる差別もない 英国内の教育カリキ ラムを修了した従業員にはすべて昇進のチ ンスを与えている 実際 同社の管理職には現場出身者が多い 会社側は従業員とのコミ ニケ シ ンを重視しており 欧米企業にしては珍しく 社内報の発行にも力を入れている また社内で従業員たちはBuddy 仲間 と呼ばれ 幹部社員といつでも面談できる体制 オ プンドア方式 にあるという 地球環境問題にも前向きに取り組んでいる 環境対策を講じることは会社の成長と競争力強化に有効であると判断しているためだ 環境問題への対応は企業経営にと て新たなコストア プ要因になる側面もあるが 同社の場合は環境問題を 負の要素 としては捉えていない 同社の顧客層を業種別に分類すると 消費財 の比率が二六%とも とも高い 次いで テクノロジ が二二% リテ ル 小売り 一九% 自動車産業 十二%と続く 手作業で処理するTC型センタ 話を Didcotセンタ に戻そう 物流センタ の作業フロ は前号で紹介したマ クス&スペンサ とほとんど変わらない 1ベンダ からの商品はプラスチ クコンテナに入れられ ド リ 車に積み重ねられたかたちで納品される 2入荷商品のコンテナに貼られたラベルのバ コ ドをスキ ン 店別仕分け用ラベルを発行する 3ラベルを見ながら 店別に用意されたロ ルボ クスパレ トに商品を仕分けていく 4各店舗に配送する という典型的なTC型 通過型 センタ の作業フロ とな ている センタ では作業をマニ アル 手作業 で処理しているが 自動仕分け機などを導入している他のセンタ に比べ 作業生産性は高いという 恐らく 取扱商品の特性上 自動仕分け機の処理スピ ドを高められないため マニ アルで対応しているだろう ただしピ キングのミス率は〇・三%と 同じようにマニ アルで処理している日本の小売業向け物流センタ と比べると精度が低い 日本の小売業は経営規模こそ欧米企業に遠く及ばないが 物流の面ではすでに世界のト プクラスにあるということを再確認できた ちなみに同センタ で働く従業員の欠勤率 全労働時間当たり は庫内作業者で六% ドライバ で四・五%に達する 英国の産業全体の平均値よりやや高めだ センタ では欠勤者の補充に派遣業者を活用しているという 「Didcotセンター」は通過型センター。
各ベンダーからの商品を在庫せずに店舗別に仕分け、配送するすずき・じゅん 58年東京経済大学卒業、62年セーラー万年筆に入社。
70年長崎屋入社、物流部長、電算部長、物流子会社社長などを歴任。
92年に独立し、物流コンサルティング会社のサン物流開発を設立した。
小売業を中心に物流センター構築などのプロジェクトに数多く参画する。
欧米の物流センターに詳しいコンサルタントとして知られている。
エクセルの顧客層 消費財 26% テクノロジー 22% 自動車産業 12% 自動車産業 12% 小売業 19% 小売業 19% ヘルスケア  5% 化学品  5% 工業製品    7% その他  4% 

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