2008年10月号
物流不動産市場レポート
物流不動産市場レポート
大阪府湾岸部に供給集中するも需要は堅調内陸部は大型施設に品薄感みられる
物流不動産市場レポート
OCTOBER 2008 72
物流拠点の集約・統合の動き自体は活発で
あることや、荷主企業の物流業務を一括受託
する大手物流会社の需要が高いことから、大
規模面積を確保可能な物件に対する需要は底
固く推移している。
近年、不動産投資家等による大型施設の開 発が相次いだことも影響し、昨年後半から空 室率が上昇を示していたが、最近は順調に空 室の消化が進んでいる。
今年の不動産投資家等の開発動向は、プ ロロジスが二月、大阪市此花区に「プロロジ スパーク舞州?(延べ床面積一〇万五二三平 米)」を竣工した。
今後はオリックス不動産が〇九年三月、堺 市で「堺ロジスティックセンター(同六万四九 〇〇平米)」、日本レップが〇九年、大阪市西 淀川区で「J─REPロジステーション西淀川 (同六万六一一六平米)」、プロロジスが同此花 区で「プロロジスパーク大阪(同一五万五〇 着工面積は四〇万平米前後で推移 大阪府は八五〇万を超える人口を擁する、 関西圏を代表する巨大消費地だ。
製造業が集 積しているため、付随するかたちで物流施設 の需要が多く、湾岸部を中心に多数の施設が 集中している。
施設着工面積は、最盛期の一九九〇年代前 半には一五〇万平米に迫りつつあったが、そ の後は減少している。
一時的な増減こそあっ たものの、二〇〇〇年以降は概ね三〇〜四〇 万平米で推移している(図1)。
〇四年以降、工場閉鎖による跡地や遊休地 を利用した物流施設に注目が集まり、外資系 不動産投資家等を中心に投資実績が蓄積され ている。
〇五年、〇六年と着工面積は回復基 調を示しつつあった。
しかし、〇七年は改正 建築基準法の影響などを受け、着工面積は大 きく減少している。
〇六年、〇七年と大型マルチテナント型施 設の供給が集中的に行われたこともあり、湾 岸部を中心に空室がみられる。
物件の二極化も進んでいる。
利便性の高い 配送型施設の需要は底堅く、賃料水準も安定 的に推移しているものの、保管を主体とした 多層階型施設は空室が長期化するケースもみ られる(図2)。
湾岸部 テナント獲得競争が激化 大阪南港や北港は世界の主要港とのサービ ス航路を有しており、関西圏における海の玄 関口となっている。
阪神高速が利用できるな ど、大阪市内中心部といった消費地への交通 利便性も良く、物流拠点としての競争力は高 い。
同エリアには自家用倉庫が比較的少なく、 主に海上貨物関連の大規模な営業倉庫が多く 集積している。
第16回 大阪府 湾岸部に供給集中するも需要は堅調 内陸部は大型施設に品薄感みられる シービー・リチャードエリス 北村健次 シービー・リチャードエリス総合研究所 鈴木公二 73 OCTOBER 2008 手物流業者からは五〇〇〇坪を超えるニーズ もみられる。
空室も順調に消化している。
し かし、開発用地の供給はほとんどみられず、 既存の物件も少ないことから大型施設に対す る品薄感がみられる。
大型施設の賃料動向は安定的に推移してい るが、物流部門に対する企業のコスト圧縮意 識は依然として強く、概ね横ばい傾向で推移 している。
今年の不動産投資家等の開発動向は、日本 レップが二月、摂津市に「J─REPロジステ ーション摂津(同一万二八一三平米)」、四月 に茨木市に「J─REPロジステーション茨城 (同一万三三一三平米)」をそれぞれ竣工した。
〇〇平米、竣工時期未定)」の竣工を予定し ている。
内陸部 大型施設の需要は堅調 名神高速、中国自動車道、近畿自動車道な どの道路インフラが充実しており、陸上輸送 の拠点となっている。
底堅い需要によって、需給バランスは安定 的に推移している。
なかでも利便性、機能性 の高い大型施設に対する引き合いは多い。
大 北京オリンピックが閉幕したのは記 憶に新しいが、もともと大阪は国内候 補都市として、世界各国の有力都市 と競っていた。
メーン会場を大阪市此花区の北港に ある人工島「舞洲」とし、総合スポー ツ公園「舞洲スポーツアイランド」に メーンスタジアムやサッカー場、体育 館「舞洲アリーナ」などに主要競技施 設を集約する計画だった。
その後世界選考で落選してしまい、 舞洲地区は遊休化してしまった。
し かし、物流施設用地としての利便性 の高さから、ここ数年でプロロジスが 大型施設を相次ぎ開発している。
現在、 建設予定を含めると六棟にもなる。
五輪の選手村の予定地でもあった舞 洲地区だが、現在ではプロロジスの大 型施設が立ち並ぶ「プロロジス村」の 様相を呈している。
選手村から物流施設村へ 五輪開催候補地の現在に迫る 図1 大阪府の新規着工面積と棟数の推移(?) (棟) 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 床面積棟数 図2 大阪府の中・大型物流施設の平均賃料 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 -15.0 00 年01年02 年03 年04 年05 年06 年07年08 年 上期 3,970 4,200 3,990 4,060 3,790 3,870 3,910 3,640 4,040 -9.8 5.8 -5.0 1.8 -6.7 2.1 1.0 -6.9 11.0 変動率 (%) 平均賃料 (円/坪) (円/坪) (%)
近年、不動産投資家等による大型施設の開 発が相次いだことも影響し、昨年後半から空 室率が上昇を示していたが、最近は順調に空 室の消化が進んでいる。
今年の不動産投資家等の開発動向は、プ ロロジスが二月、大阪市此花区に「プロロジ スパーク舞州?(延べ床面積一〇万五二三平 米)」を竣工した。
今後はオリックス不動産が〇九年三月、堺 市で「堺ロジスティックセンター(同六万四九 〇〇平米)」、日本レップが〇九年、大阪市西 淀川区で「J─REPロジステーション西淀川 (同六万六一一六平米)」、プロロジスが同此花 区で「プロロジスパーク大阪(同一五万五〇 着工面積は四〇万平米前後で推移 大阪府は八五〇万を超える人口を擁する、 関西圏を代表する巨大消費地だ。
製造業が集 積しているため、付随するかたちで物流施設 の需要が多く、湾岸部を中心に多数の施設が 集中している。
施設着工面積は、最盛期の一九九〇年代前 半には一五〇万平米に迫りつつあったが、そ の後は減少している。
一時的な増減こそあっ たものの、二〇〇〇年以降は概ね三〇〜四〇 万平米で推移している(図1)。
〇四年以降、工場閉鎖による跡地や遊休地 を利用した物流施設に注目が集まり、外資系 不動産投資家等を中心に投資実績が蓄積され ている。
〇五年、〇六年と着工面積は回復基 調を示しつつあった。
しかし、〇七年は改正 建築基準法の影響などを受け、着工面積は大 きく減少している。
〇六年、〇七年と大型マルチテナント型施 設の供給が集中的に行われたこともあり、湾 岸部を中心に空室がみられる。
物件の二極化も進んでいる。
利便性の高い 配送型施設の需要は底堅く、賃料水準も安定 的に推移しているものの、保管を主体とした 多層階型施設は空室が長期化するケースもみ られる(図2)。
湾岸部 テナント獲得競争が激化 大阪南港や北港は世界の主要港とのサービ ス航路を有しており、関西圏における海の玄 関口となっている。
阪神高速が利用できるな ど、大阪市内中心部といった消費地への交通 利便性も良く、物流拠点としての競争力は高 い。
同エリアには自家用倉庫が比較的少なく、 主に海上貨物関連の大規模な営業倉庫が多く 集積している。
第16回 大阪府 湾岸部に供給集中するも需要は堅調 内陸部は大型施設に品薄感みられる シービー・リチャードエリス 北村健次 シービー・リチャードエリス総合研究所 鈴木公二 73 OCTOBER 2008 手物流業者からは五〇〇〇坪を超えるニーズ もみられる。
空室も順調に消化している。
し かし、開発用地の供給はほとんどみられず、 既存の物件も少ないことから大型施設に対す る品薄感がみられる。
大型施設の賃料動向は安定的に推移してい るが、物流部門に対する企業のコスト圧縮意 識は依然として強く、概ね横ばい傾向で推移 している。
今年の不動産投資家等の開発動向は、日本 レップが二月、摂津市に「J─REPロジステ ーション摂津(同一万二八一三平米)」、四月 に茨木市に「J─REPロジステーション茨城 (同一万三三一三平米)」をそれぞれ竣工した。
〇〇平米、竣工時期未定)」の竣工を予定し ている。
内陸部 大型施設の需要は堅調 名神高速、中国自動車道、近畿自動車道な どの道路インフラが充実しており、陸上輸送 の拠点となっている。
底堅い需要によって、需給バランスは安定 的に推移している。
なかでも利便性、機能性 の高い大型施設に対する引き合いは多い。
大 北京オリンピックが閉幕したのは記 憶に新しいが、もともと大阪は国内候 補都市として、世界各国の有力都市 と競っていた。
メーン会場を大阪市此花区の北港に ある人工島「舞洲」とし、総合スポー ツ公園「舞洲スポーツアイランド」に メーンスタジアムやサッカー場、体育 館「舞洲アリーナ」などに主要競技施 設を集約する計画だった。
その後世界選考で落選してしまい、 舞洲地区は遊休化してしまった。
し かし、物流施設用地としての利便性 の高さから、ここ数年でプロロジスが 大型施設を相次ぎ開発している。
現在、 建設予定を含めると六棟にもなる。
五輪の選手村の予定地でもあった舞 洲地区だが、現在ではプロロジスの大 型施設が立ち並ぶ「プロロジス村」の 様相を呈している。
選手村から物流施設村へ 五輪開催候補地の現在に迫る 図1 大阪府の新規着工面積と棟数の推移(?) (棟) 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 1,600,000 1,400,000 1,200,000 1,000,000 800,000 600,000 400,000 200,000 0 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 年年年年年年年年年年年年年年年年年年年 床面積棟数 図2 大阪府の中・大型物流施設の平均賃料 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 -15.0 00 年01年02 年03 年04 年05 年06 年07年08 年 上期 3,970 4,200 3,990 4,060 3,790 3,870 3,910 3,640 4,040 -9.8 5.8 -5.0 1.8 -6.7 2.1 1.0 -6.9 11.0 変動率 (%) 平均賃料 (円/坪) (円/坪) (%)
