2008年12月号
SOLE

セキュリティのグローバリズムが台頭

SOLE 日本支部フォーラムの報告 The International Society of Logistics DECEMBER 2008  82 三%、「配置/分配/輸送」に二〇 %、「ライフサイクル・ロジスティク ス」に三%が配置されている。
 また、フォルラーはDoDが今年 五月に人材活用の指針である「Lo gistics Human Capital Strategy」 を公表しており、既に具体的な作 業に入っていると報告した。
同指 針は四年ごとに見直される国防の 基本政策を述べた「QDR200 6( Quadrennial Defense Review 2006)」に沿ったもので、QDRに 謳われた「能力別人材管理」、「機 能別人材管理」および「キャリア・ アップ管理」を具体化している(図 1)。
 一方、キニーによると、NAS Aにおけるロジスティクス改革の当 面のテーマは、二〇一〇年にスペー ス・シャトルを成功裡に引退させる ことであるという。
合い言葉は?ゼ ロサム戦略?だ。
これは現に所有し ているシャトル計画の資源(遺産) の再配置にかかわる経費を自給自足 で賄うことを意味する。
 コスト面での制約を厳守しつつシ ャトル計画から撤退するには、費用 対効果に照らした現実的撤退計画 の立案・遂行が必要だ。
遺産の再 配備に関する革新的な手法を見つけ ることもロジスティクス改革のテー マになっている。
 撤退の具体的な範囲として、 ?一万七〇〇〇人の人員、契約社 員の整理 ?六五四施設の整理 ?一二〇万品目を超える部品の整理、 再利用 ?総額一二〇億ドルに上る調達関連 事業 ?総額五七億ドルの施設整理費用 ? 一二〇〇社以上の供給元の整 理・再配置 が挙げられていた。
NASAにとっ てシャトルからの撤退が改革を意味 していることを実感した。
 シャトル撤退計画以外にも、国際 宇宙ステーション(ISS)への移行、 開発から運用への施策の転換、衛星 の商業サービスへの展開、といった 大きなテーマをNASAは抱えてい る。
キニーはこれらのテーマにおけ る具体的な戦略目標として、?一〇 年までシャトルを安全裡に打ち上げ ること、?ISS計画を完成させる こと、?新たな乗員探査船( Crew Exploration Vehicle)を一四年まで に開発し打ち上げること、?二〇年 までに月面活動を開始すること、? 太陽系およびその圏外へ探査を拡大 させること、?人間ロボット工学を 用いた持続性のあるプロジェクトを 米オーランドの年次総会報告(後編) セキュリティのグローバリズムが台頭  前回に引き続き、米国フロリダ 州オーランドで開催された年次総会 「SOLE2008」の会議の概要 を報告する。
会議後半では「ロジス ティクスの変革とグローバル・エコ ノミー」のメーン・テーマの下、D oD(米国国防総省)やNASA、 DHS(米国国土安全保障省)、産 業界の関係者により活発な議論が行 われた。
(防衛大学校・宝崎隆祐教授) 三〇万人の要員を育成・管理 ──第二日パネルディスカッション ?「Human Capital Development as a Prerequisite for Logistics Transformation(ロジスティクス変 革に必要不可欠の人的資源開発)」  ロジスティクスに欠かせない人的 資源の開発・教育・維持に関する討 議が、フロリダ工科大学学長のカタ ネス博士( Dr.Anthony Catanese) の司会で行われた。
パネリストはD oDのフォルラー(Randy Fowler)、 NASAのキニー(Susan Kinney、 ロジスティクス・ダイレクター)およ び産業界を代表してのゼネラル・ダ イナミクス(General Dynamics:G D)のバンス(James Vance、上級 ILSマネージャー)である。
 フォルラーは人的資源の重要性を 改めて強調した上で、人材のタイプ をI─People(狭い分野の専門家)、 T─People(ある部門の専門家でかつ 広い分野に関する知識があるが、ロ ジスティクスを熟知しない人間)お よびE─People(エンタープライズ・ ロジスティシャン:広い分野に精通 しているロジスティシャン)に分類。
現在の構成比率としてはI、T、E の順に多いが、近い将来ではT、I、 Eに、そして遠い将来的にはE、T、 Iの順序になる必要があると述べた。
 DoDにおける現在のロジスティ クス要員数は二八万五〇〇〇人とい う驚くべき数であり、「メンテナンス 支援」に五四%、「調達管理」に二 83  DECEMBER 2008  これらの国の成長率は近年六%程 度あり、先進国のインフラが今や老 朽化し維持に莫大な経費がかかって いるのに対し、CEE諸国で整備 されつつあるインフラは新しく、経 済活動を推し進める基盤を提供する。
ただし、これらの国に対する先進国 からの投資はほとんどがプライベー トなものであり、政府機関による公 的投資は投資リスクのために様子見 をしており、低調とのことである。
 ウォーカーは、経済のグローバル 化のみならずテロを要因とするセキ ュリティ分野のグローバルリズムも目 立つようになっており、ロジスティ クス改革にとって、スピードと効率 性をもってこれらの不安定要素に対 処することが大切であると述べた。
 ネムファコスはグローバル経済の マイナス部分を挙げ、原油高騰に伴 うインフレ加速、ロシア、中国の商 取引におけるルール違反等、従来に はなかった不安定要素について言及。
今後は倫理感やカルチャーがグロー バル経済に大きな影響を及ぼすこと になるだろう、と警告した。
グロー バリズムに起因した食の安全性が声 高に叫ばれる日本の現状は、少なか らず米国と共通しているのだろうと 感じた次第である。
 最後にケーリー博士は、原油や エネルギー対策に限った意見として、 グローバル化の負の側面 ── 第三日プレナリーセッション 「The Global Economics Trends Driving Logistics Transformation (ロジスティクス変革を加速するグロ ーバル経済のトレンド)」  ロッキード・マーチンの子会社P AEのモア(John Moore)社長が司 会を務め、パネリストとしてグラン ト・ソーントン( Grant Thornton) 社のトランパート(Paul Trampert) 取締役、ルイス・バーガー・グルー プ( The Louis Berger Group)の ウォーカー( Larry Walker)副社 長、ランド(Rand)社のネムファコ ス( Charles Nemfakos、上級フェ ロー)、フロリダ工科大学のケーリ ー博士( Dr. Sammuel Keeley)が 参加。
現代におけるグローバル経済 の特徴や分析が披露された。
 トランパートは経済解説でよく使 用されるGDPのグラフを聴衆に示 しながら、いわゆるBRICs諸国 の躍進振りを再確認してみせた。
特 に、中国とインドは安定的に七〜九 %という高成長を続けていて(ちな みに米国やカナダは二%ほどである) 注目すべき国ではあるが、同時に 中東欧のCEE諸国( Central and Eastern Europe)やアフリカを見逃 してはいけないと主張した。
推進すること、?開 発計画に関する国際 協力を推進し、衛星 の商業的運用へ参入 すること──を挙げて いた。
 最後のパネリスト として登場したバン スは、ロジスティク スの定義と範囲を明 確にし、ロジスティ クス要員を育成する ための認定制度をも っと普及させる必要 のあることを強調し た。
背景には、産業 界にとどまらず消費 者およびアカデミア との共同作業によっ て産・官・学を横断 する標準認定制度を 策定することにより、 ロジスティクス制度の 標準化、プロ化をも っと押し進めるべきで あるという主張があ る。
そういった普及 活動や標準化を通じ て、社会全体におけ るロジスティクスの人 材育成が加速される と説くのである。
Quadernnial Defense Review (QDR) ●Competency-  Based Planning ●Performance Based  Management ●Opportunities for  Personal Growth AT&L Human Capital Strategic Plan ●Goal 1 High  Performing,Agile  and Ethical  Workforce ●Goal 4 Cost-  Effective Joint  Logistics Support  for the Warfighter DoD Logistics Human Capital Strategy ●Defined Logistics  Workforce  Categories ●Assessed Future  Logistics Trends DoD Logistics Human Capital Strategy ●Defined Logistics  Competencies ●Developed  Logistics  Proficiencies ●Developed Human  Capital Strategy  Vision ●Identify Training,  Education, and  Developmental  Assignments and  Assess Gaps to Meet  Future Requirements ●Develop Logistics  Career Development  Framework(LCDF)  Assessment Process ●Identify  Organization(S)and  Plan for Pilot LCDF  Implementation ●ImPlement  LCDF  Across DoD  Logistics  Community 2006 2007 2008 2009+ 図1 DoD のロジスティクス人材戦略。
国防の基本政策「QDR 2006」を展開させている DECEMBER 2008  84 カッション?では、米統合参謀本 部のサムラール少将( MG Michael Sumrall)が司会進行を務めた。
パ ネリストは前DoD人事担当次官で 現ランド社のロストカー博士( Dr. Bernard Rostker)、 DHS監察局 のバンガードナー(Donald Bumgar dner、緊急時調達管理担当ダイレ クター)、ディベロップメント・オル タナティブス( Development Alter natives)社のウォルシュ(Karen Wa lsh、主席開発スペシャリスト)であ る。
 ロストカー博士はDoDのような 組織を構成する四つの主要要素とし て、人的資源、契約、予算、組織 を挙げ、各要素がそれぞれ三つずつ の機能によって支えられている三脚 椅子の概念図を我々に示した。
 バンガードナーは、災害対策にお ける革新的ロジスティクス基盤の重 要性をFEMA(米国連邦緊急事態 管理庁)の観点から解説した。
FE MAは「国のロジスティクスの調整 者として、地方における緊急事象に 対処するため、国家レベルのロジス ティクスの調整や復旧活動に関する 効果的な計画立案、管理、維持支 援を行う」機関であるが、過去に次 のような教訓がある。
 FEMAのロジスティクス・イン フラやサプライチェーン(SC)は の現状を披露した。
 メカトロニクス分野では複合材や ナノテク素材といった素材技術、シ リコン基板上の電子回路であるME M S( Micro Electro Mechanical Systems)といったメカニクス、リ チウム・イオン・ポリマー二次電池 や燃料電池といった電源技術に注 目が集まっている。
サイバネティク ス分野では、センサーによる適応制 御、自立性および認知機能を用いた 通信・制御が注目すべき技術要素で ある。
IT分野においては、分散制 御、マルチエージェント、柔軟性の あるネットワークの確立、創発的な 行動に関する研究が中心となってい るとのことであった。
 カリナンは、ロジスティクスとは 「何らかの活動や企業の機能性を最 大限発揮する管理法を支援する科 学的な技術や手法」であると定義し、 経営管理の目的と活動の効率性をつ なぐ橋としての機能と任務を意識し ながら、ロジスティクス技術を適用 すべきであることを力説した。
FEMAのロジスティクス改革 —— 第三日パネルディスカッシ ョン?「Logistics for Global Sustainment(世界経済を支えるロ ジスティクス)」  昼過ぎから始まったパネルディス あると述べ、それらの活動において ロジスティクスを熟知した戦略的ロ ジスティシャンが必要であるとした。
 その上で、ロジスティクス部門へ の技術応用に際しては、オペレーシ ョン・ロスがあるためリスクマネジ メントを取り入れる必要があるとの 見解を示し、知識の蓄積やデータ処 理といった情報力を強化するために はIT技術によるサポートは不可欠 であると付け加えた。
 ベリッジ社長はFHTCCの活動 内容について紹介した。
FHTCC は産業界に必要な労働力の確保・発 掘を支援し、ハイテク産業の育成を 目指す組織である。
フロリダ州の大 学を中心に教育界から学生一七五〇 人、教官二五〇人、三〇〇以上の 会社・機関が参加し、総額一四億 ドル・九〇〇のプロジェクトを推進 しているという。
一九九八年以来 独自の認定制度を導入した技術研修 会を四〇回以上開催し、通算一七 五〇名の参加者があったという実績 を披露、就職説明会を主催して労働 力の開拓に努めていると語った。
 ジョーンズは技術屋らしくロボテ ィクス技術に関する一般向けの解説 を行ってくれた。
ロボティクス技術 として、先端技術の進展が顕著であ る三つの分野、すなわちメカトロニ クス、サイバネティクスおよびIT 米国内には一〇〇年分の消費量を賄 う原油が埋蔵されており、代替エネ ルギーの開発より国内の新油田を開 拓すべきであるとの持論を展開。
エ ネルギー消費を規制する政府の政策 を暗に非難した。
情報力強化にはITが不可欠 ──第三日パネルディスカッション 「Transformational Advancements in Logistics Technology(ロジステ ィクス技術の革新的発展)」  午前中のパネルディスカッショ ンIは、クーガー・ソフトウェア (Cougaar Software)社長のキャリコ 博士( Dr.Todd Carrico)の司会の 下に行われた。
パネリストは米国陸 軍のアルブライト( Joseph Albright、 Situational Awareness担当ダイレク ター)、フロリダ・ハイテク・コリド ー・カウンシル(Florida High Tech Corridor Council:FHTCC)の ベリッジ( Randolph Berridge)社 長、サンディア国立研究所のジョー ンズ( James Jones、技術研究員)、 プロダクティビティ・エイペックス ( Productivity Apex)社のカリナン (Maurice Callinan)社長が務めた。
 アルブライトが議論の口火を切り、 陸軍が抱えるロジスティクス活動と してERP( Enterprise Resource Planning)に現在約八〇〇〇タスク 85  DECEMBER 2008 貧弱で、災害対処に不向きなシステ ムだった。
緊急事態に備えるため の備品やサービスの事前準備や契約 も不十分で、組織的、管理的な欠 陥を持っていた。
バンガードナーは、 改善のために重要視すべき四つの要 素として、人的資源、システム、S Cおよび利害関係者(被害者、地方 自治体、連邦政府等)との恒常的協 力関係を挙げた。
 そのような改善活動の産物とし て、FEMAは援助物資、災害対 策物資の管理システム「LIMS? ( Logistics Information Management System ?)」、施設や物資の 所在や状況把握のためのソフトウエ ア「Total Asset Visibility (TA V ) Suite」およびデータベースと しての「Automated Deployment Database」といったシステムを開発 したことを紹介。
また国内の主な物 資拠点(図2)を示し、災害物資の 備蓄・配送拠点が計九カ所に存在す ることや、緊急災害時においては複 数国との間で災害対策物資の供給協 定を結んでいることを報告した。
 一方、ウォルシュは軍関係者とし てアフガンに進駐した経験から、海 外におけるロジスティクス活動には 現地の状況を取り込む必要があり、 長期にわたる場合には現地での人材 育成が必要であると述べている。
 以上の全体会議が終わると、三日 目のペーパーセッションに割り当て られた一般発表が四つの会議室に分 かれて行われ、その後の一五時四五 分から閉会式が行われた。
今年の企 画担当者であったネムファコスが数 人のパネリストと再び登場し、来年 のテーマとして「グローバル・セキ ュリティにおけるロジスティクス」を 発表した。
9・ 11 以来米国内では セキュリティが第一優先となってお り、ロジスティクスにとっても看過 できない事態になっている。
輸入品 が危ないからといって、荷揚げされ るすべてのコンテナを検閲すること は不可能だ。
このような状況にロジ スティクスはどう対処するのかとい う問いを聴衆に投げかけた後、その 答えを来年ダラスでの会議において みんなで考えようと呼びかけて、三 日間の国際会議の幕が下りた。
次回フォーラムのお知らせ  次回フォーラムは12月9日(火) 「ロジスティクスと管理会計」エイチ・ エ・エイチ ソリューションの福田誠代 表の講演を予定している。
このフォー ラムは年間計画に基づいて運営して いるが、単月のみの参加も可能。
1回 の参加費は6,000円。
ご希望の方は 事務局(sole-j-offi ce@cpost.plala. or.jp)までお問い合わせください。
New Cumberland,PA Tobyhanna,PA Windsor,CT Tinton Falls,NJ Burlington,NJ Lancaster,PA Baltinore,MD Lorton,VA Richmond,VA Richmond,VA Norfolk,VA Cherry Point,NC Columbia,SC Greensboro,NC Charlotte,NC Atlanta,GA Anniston,AL Montgomery,AL Forest Park,GA Albany,GA Jacksonville,FL Orlando,FL Pensacola,FL Hattiesburg,MS Corpus Christi,TX Austin,TX San Antonio,TX Dallas,TX Oklahoma,OK Pine Bluff,AR Texarkana,TX St.Louis,MO St.Joseph,MO Whitehill,OH Dayton,OH Indianapolis,IN Noblesville,IN Waterloo,IA Clearfield,UT Reno,NV Sharpe,CA Tracy,CA Dublin,CA Sharpe Army Depot Los Angeles,CA San Diego,CA Barstow,CA Umatilla,OR Bremerton,WA 図2 FEMAは災害物資の備蓄・配送拠点を国内6カ所、国外の米国領3カ所の計9カ所に置いている Frederick,MD Cumberland,MD Mt.Weather,VA Fort Worth,TX Atlanta,GA NAS Moffett Field,CA Mexico Canada Distribution Center Defense Logistics Agency American Red Cross GSA Distribution Center Emergency Housing Site and Ditribution Center

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