2008年12月号
特集

物流資格ガイド 

DECEMBER 2008  14 めており、積極的な広報活動を今後の最優先事項 の一つに掲げている。
 「前回の受験者数は五二〇人。
これは企業にお けるロジスティクスの重要性を鑑みると非常に少 ないと考えている。
周知活動を強化し、次回は少 なくとも倍の受験者数を目指したい」(JAVA DAの伊藤昭能力評価部長)  企業回りなどで担当者に話をすると、好感を持 たれることが大半な一方、「実務では役に立たな い」と厳しい声をもらうこともあったという。
伊 藤部長は「様々な意見を聞き、内容の昇華に反映 したい」としている。
 内容充実による権威付けや周知活動などを含 め、まったくこれからの資格だが、公的資格とい うことや受験者の低負担などのファクターを考え ると、今後急速に普及が進む可能性は十分ある。
物流管理分野唯一の公的資格 手軽さ・信頼で今後一気に普及する可能性 ロジスティクス管理 2級・3級 2級 ★★ 3級 ★  厚生労働省傘下の中央職業能力開発協会(JA VADA)が〇七年度に開始したビジネス・キャ リア検定試験のうちの一つ。
 特徴は何といっても公的資格ということだろう。
これまでロジスティクス管理に関する資格は存在 したが、そのすべてが民間資格。
これから物流資 格を取得しようと考える人にとって「公的」とい うファクターは受験動機に訴求する可能性が十分 ある。
企業側にとっては、明確な人材評価のツー ルとして利用できるという利点もある。
 もう一つ特徴を挙げるなら、他のロジスティク ス管理関連の資格と比較して、受験者の負担が少 ないということだ。
長期にわたるカリキュラムを 修了する必要もなければ、受験資格もない。
空い た時間に勉強して試験に挑めばよい。
 時間的負担もさることながら、金銭的な負担も 比較的軽い。
いわゆる「一発試験」なので、必要 な費用は基本的に受験代と約三〇〇〇円のテキス ト代のみ。
ただし、認定講座を受講する場合には 別途費用が発生する。
例えば認定講座実施機関の うちの一社、流通研究社/RCCの場合、3級合 格コースが一〇万九二〇〇円、2級コースが十二 万六〇〇〇円となっている(いずれも十三週間・ 五二時間)。
 開始間もないということもあり、まだ資格の知 名度は低い。
実際、荷主企業のロジスティクス担 当者に尋ねても「知らない」という返答が少なく ない。
資格を運営するJAVADAもこの点は認 資格種類/運営組織 公的資格/中央職業能力開 発協会(JAVADA) 概要 主に荷主企業のロジスティクス業務担当者に 向けた資格。
ロジスティクスに関する知識を体系 的に理解していることを証明する。
二〇〇七年 に開始された 取得方法 筆記試験に合格すること。
試験形式は 多肢選択問題五〇問で試験時間は一二〇分。
標 準テキストを使って独学するか、不安であれば複 数の団体が開講している認定講座を受講して試 験に臨むことができる 合格基準 得点率六〇%が目安 前回受験者数(合格率) 2級:一六五人(三六%)  3級:三五五人(五五%) 累計合格者数 2級:六〇人 3級:一九五人 受験資格 誰でも受験可 試験日程 毎年三月 受験地 全国四七都道府県 取得費用 受験料は2級が五二五〇円、3級が 四二〇〇円。
2級の標準テキストが三〇四五円、 3級の標準テキストが二七三〇円。
認定講座を 受講する場合は別途料金が発生する  例:流通研究社/RCCの認定講座の場合、3 級合格コースが一〇万九二〇〇円、2級コース が十二万六〇〇〇円となっている(いずれも一 三週間・五二時間) 難易度 3級は標準テキストでの独学で十分合格 レベルに達することができる。
2級は難易度も 大きく上がるので認定講座を受講するのが望ま しい。
全国各地で開催するので地方の人も受け やすい 2級標準テキスト 価格は3045円 3級標準テキスト 価格は2730円 特集 15  DECEMBER 2008 荷主向け資格のスタンダード 人脈を求めて受験する物流会社も物流技術管理士★★  取材活動の中で、この資格が刷られている名 刺を目にすることが頻繁にある。
それもそのはず、 物流技術管理士は運営団体である日本ロジステ ィクスシステム協会(JILS)が発足して以来、 一六年間で累計六五〇〇人以上もの取得者を輩 出している物流管理分野のスタンダードとして位 置付けられる資格なのだ。
 資格保有者は保管や荷役、流通加工、情報シ ステムなど物流機能をマネジメントしていくため に必要な知識や管理技法を身につけていること が社会的に証明される。
 受講者の約七割は物流企業の中堅管理者が占 める。
以前は荷主企業のロジスティクス担当者 の割合が多かったが、ここ五、六年で逆転した。
JILS人材教育部の中島弘志部長は「荷主企 業の物流業務アウトソーシングが進み、一方の物 流業者は業務を受託するため荷主の立場からロ ジスティクスを理解する必要が出てきた」と理由 を説明する。
ネームバリューが大きい分、物流企 業の担当者が取得すれば荷主から事業を受託す る際の武器にもなる。
 メリットは他にもある。
取得するには七カ月に 及ぶ講座を修了する必要があるが、その間、同 じ顔ぶれと机を並べることになる。
それぞれの 業種も物流企業を筆頭に製造業、流通と幅広い。
交流を深め、情報交換や人脈を築く格好の場と なる。
事実、講座での出会いがきっかけでビジネ スに結びついた例も珍しくないという。
 受講希望者は年々増加している。
東京では受 け入れ枠が二年先まで受講待ちが出たほど。
二 〇〇七年から講座を一つ増設することでなんと か対応した。
 合格率は九〇%以上と高い。
しかし、甘い気 持ちで受講すると痛い目にあう。
合格への道は 決して平坦ではない。
 受講者が最も苦しむのが本業との兼ね合いだ。
七カ月に及ぶ平日の講座(受講延べ日数二一日 間)に通い続けるのは容易ではない。
時間も朝 から夕方までとほぼ丸一日。
欠席をすれば減点 対象となり、五日以上欠席したり、所定単元を 欠席するとその時点で失格となってしまう。
加 えて筆記試験対策や論文作成などもある。
講義 の後に会社に戻って残業したり、休日を返上す る覚悟が必要だ。
 取得費用も他の物流資格と比較して高額。
ポ ケットマネーでポンと出せる金額ではない。
現実 的には勤務先の支援なしでは取得は難しい。
実際、 合格者のほとんどが勤務先支援のもとで取得し ている。
 「勤務先の企業も約五〇万円の受講料を支払う のだから、誰でも良いというわけではない。
そ れに見合う優秀で熱意がある人材に受講させる のは当然。
結果、九〇%という合格率になって いるのでは」と中島部長は語る。
取得するには、 まず勤務先に「講座に行ってこい」と言われる 人材になる必要がありそうだ。
資格種類/運営組織 民間資格/日本ロジスティ クスシステム協会(JILS) 概要 保管や荷役、流通加工、情報システムなど 物流機能をマネジメントしていくために必要な 知識や管理技法を身につけていることを証明す る資格。
対象は物流関連部門の中堅管理者など 取得方法 七カ月にわたる講座(受講日数延べ二 一日間)を修了し、会期中に行われる二回の筆 記試験、論文試験、面接試験で合格点に達する こと 合格基準 筆記試験、論文試験、面接試験で満点 の六〇%以上で、欠席や論文提出の遅延は減点 対象となる 前回受験者数(合格率) 約一二〇人(約九〇%) 累計合格者数 約六五〇〇人 受講資格 物流実務経験二年程度、もしくは物流 技術管理士補の有資格者 受講日程 東京三回(五月〜一〇月、七月〜翌年 二月、九月〜翌年三月)、大阪二回(六月〜十二 月、一〇月〜翌年三月)、名古屋一回(九月〜翌 年三月) 受講地 東京、大阪、名古屋 取得費用 受講料はJILS協会員四七万二五〇 〇円、非協会員五七万七五〇〇円(テキスト代、 合宿費、飲料代、審査料含む)。
物流技術管理士 補の有資格者は五万二五〇〇円引き 難易度 合格率は九〇%と高いが、本業をこなし ながら講座に出席するのはかなり煩雑。
初回は 合宿もある。
筆記試験対策や論文作成にも手間 を取られる。
費用も相対的に高い DECEMBER 2008  16 業界きってのエリート資格 取得すれば一目置かれるロジスティクス経営士 ★★★ ロジスティクス 経営士 物流技術管理士 グリーン ロジスティクス 管理士 国際物流管理士 物流技術管理士補 ・国際物流関連部門の中間管理者 ・国際物流実務2 年以上 ・新入社員および新任担当者 ・下記いずれかの講義で所定の単 位を取得した者 (?)産業能率大学の所定の通信講 座 (?)JILSのロジスティクス基礎講座 (?)東京海洋大学院の食品流通 安全管理学 ・経営幹部および幹部候補 ・物流技術管理士または国際物流管理士 の資格取得後、実務経験3 年以上 ・物流関連部音の中堅管理者 ・物流実務経験2 年程度または物流技術 管理補の有資格者 ・物流、環境部門のリーダー層(課 長クラス) ・グリーンロジスティクスチェックリス トを事前に記入 JILS の資格制度と主な受講要件  日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が 運営する資格の中で、最上位に君臨するのがロジ スティクス経営士だ。
ロジスティクスに関する適正 な知識と理解を持つ経営層を育てるという名目で、 七年前に発足した。
取得するには六カ月(受講日 数延べ一四日間)にわたる講座を修了し、論文試 験と面接試験に合格する必要がある。
 講座内容は「ロジスティクスと経営戦略」、「コ ーポレート・ガバナンスとリスクマネジメント」な ど経営全般にわたる。
講師陣には一線で活躍する 実務家や有名コンサルタント、大学教授などが顔 を揃える。
全日程の六〇%以上の出席と、所定の 単元への出席が修了要件となっている。
 論文試験ではケースの分析と課題把握能力など が問われる。
面接ではプレゼンテーション能力など が評価の対象となる。
論文と面接試験の合計を一 〇〇点満点とし、このうち八〇点以上が合格ライ ン。
配点は論文が四〇点、面接が六〇点だ。
 濃い時間を共に過ごした同期とは「同じ釜の飯 を食った」間柄の人脈が広がる。
しかも受講者は それぞれが決裁権を持つ経営層。
軽い立ち話から 大きなビジネスが花開くことも。
 ロジスティクス経営士はその取得難易度の高さ で有名だ。
取得に要する時間や費用もあるが、そ れだけではない。
ある取得者はこう漏らす。
「は っきり言ってJILSのほかの資格はまじめに講 義を受けさえすれば、ほとんど落ちることはない。
ただし、ロジスティクス経営士だけは別。
講座の レベルは高く、油断するとすぐに置いていかれる。
試験も合格点に達していなければ容赦はされない。
合格率七〇%と聞くと高いように思われるかも 知れないが、むしろ各企業の経営幹部を集めて三 〇%も落としているという方が正確だろう」  JILSとしてもこの資格を業界の権威とした いという気持ちがある。
難易度が高すぎるとの声 があってもレベルは落とせない。
業界屈指のステ ータスを持つ資格であることは間違いない。
資格種類/運営組織 民間資格/日本ロジスティ クスシステム協会(JILS) 概要 ロジスティクスを経営トップの視点から企 画・立案するための能力を有することを証明す る資格。
企業の経営幹部および幹部候補生が取 得対象 取得方法 六カ月に及ぶ講座(受講日数延べ一四 日間)を修了し、論文・面接試験で規定の得点 以上の結果を残すこと 合格基準 講座には全日程のうちの六〇%以上の 出席、所定単元の出席などが求められる。
試験で は論文試験と面接試験の合計点(一〇〇点満点) が八〇点以上であること。
配点内訳は論文四〇 点、面接六〇点 前回受講者数(合格率) 約三〇人(約七〇%) 累計合格者数 一三一人 受講資格 以下の要件のどちらかに当てはまる者 ?ロジスティクス関連の実務経験が五年程度ある 部長職クラス以上または部長職候補、ならびに 幹部候補 ?物流技術管理士、国際物流管理士の資格取得後、 実務を三年以上経験した幹部候補者 受講日程 毎年一〇月〜翌年三月 受講地 東京 取得費用 JILS協会員四二万円、非協会員 五二万五〇〇〇円、物流技術管理士または国際 物流士の資格所有者は五万二五〇〇円引き 難易度 取得費用、取得に要する時間、試験自体 の内容、どれをとっても難易度はトップレベル にある。
取得するためには並々ならぬ努力と覚 悟が必要 特集 17  DECEMBER 2008 環境負荷低減は錦の御旗 受講者の狙いはコスト削減にありグリーンロジスティクス管理士★★  今や環境関連の資格は百花繚乱。
ご多分に漏れ ず物流業界にも三年前に登場している。
それが日 本ロジスティクスシステム協会(JILS)の運営 するグリーンロジスティクス管理士。
これまでに八 八人が取得している。
資格保有者の役割は自社や 取引先を含めたサプライチェーン全体のCO2排出 量を算出し、その低減方法を提案することだ。
 取得方法は六カ月 に及ぶ講座(受講日 数延べ十一日)を修 了し、単元別の筆記 試験、総合試験、レ ポートで、それぞれ 合格基準以上の得点 を獲得することが求 められる。
 講座では全日程の 六〇%以上の出席、 グループ討議を連続 して二日間以上受講 していることなどが 修了要件となってい る。
内容は様々な物 流改革案に留まらず、 環境負荷低減活動を 社内外に説明する上 で不可欠な「環境関 連法規」、「環境負荷 算出方法」、「マネージメント方法(PDCA)」な どを体系的に学ぶ。
 グループ討議のテーマでは毎回、時事性に富ん だ環境トピックを取り上げる。
ある資格取得者は 「講座時間の枠を超えて討議した。
その過程で様々 な業界の受講者仲間と結束を深めることができた」 と魅力を語る。
 単元別の筆記試験や総合試験、レポート提出に おいては、それぞれ満点の六割以上が合格基準と なる。
このほか、グループ討議時の取り組み姿勢 なども合否の判定に加味される。
 JILSが運営する他の資格と同様、本業をこ なしながらの受講となるので、やはり勤務先の支 援のもとで取得するのが一般的。
加えて取得後も 定期的な更新があるので、そこにも留意する必要 がある。
 環境への社会的な意識は年々高まっており、多 くの企業がCO2排出量削減案を発表している。
排 出量の算定方法を熟知し、その低減方法を提案で きるグリーンロジスティクス管理士の存在は、確か に時代のニーズに合致している。
ただし、企業経 営層や受講者の本音は別にあるようだ。
 ある経営者は「確かに時代に即した資格だ。
た だ『環境負荷の低減』は錦の御旗にすぎない。
受 講者や受講者を派遣する企業の真の狙いは表裏一 体でもある『コスト削減』だろう」と語る。
いず れにしても、地球温暖化説が世界のコンセンサス である限り、普及していく可能性は高い。
グリーンロジスティクス管理士講座 受講者分析(第1 期〜第3 期) 受講者数 97 人 製造業 17% 50 代 20% 30 代 45% 一般 18% 主任・係長 30% 部長 18% 課長 30% 40 代 28% 物流子会社 34% 流通業 8% 小売・ 物流事業者 32% その他 9% 業種役職 役員 4% 60 代 2% 20 代 5% 年齢 資格種類/運営組織 民間資格/日本ロジスティ クスシステム協会(JILS) 概要 企業や取引先を含むサプライチェーンの CO2排出量を計算し、その低減方法を提案で きる能力を証明する資格。
対象は製造業、流通 業、物流業のロジスティクスや物流、環境部門 のリーダー層 取得方法 六カ月に及ぶ講座(受講日数延べ十一 日間)を修了し、単元別の筆記試験や総合試験、 レポート試験において一定以上の得点を獲得す ること 合格基準 講座には全日程の六〇%以上の出席が 求められる。
筆記試験、レポートの合格基準は それぞれ満点の六〇%以上。
講座の欠席は減点 対象になる 前回受講者数(合格率) 約三〇人(約八〇%) 累計合格者数 八八人 受講資格 ロジスティクスや物流、環境関連部 門のリーダー層で、グリーンロジスティクス チェックリストを事前に記入し、事務局へ提出 すること 受講日程 毎年七月〜十二月 受講地 東京 取得費用 JILS協会員二九万四〇〇〇円、非 協会員三六万七五〇〇円、物流技術管理士また は国際物流管理士の資格所有者は三万六七五〇 円引き 難易度 JILSの資格の中では費用的には負担 が少ないが、やはり丸一日の講義に延べ十一日 間出席するのは簡単ではない。
勤務先の支援が 不可欠 DECEMBER 2008  18 日本で生まれたSCM国際資格 企業における活動実績を書類で審査SCORアドバイザー  サプライチェーンカウンシル(SCC)は、世 界八カ所に支部を持つ国際的なSCM研究団体 だ。
複数部門、企業間にまたがるSCMのビジネ スプロセスを標準化するためのツールとして、「S C O R( Supply Chain Operations Reference- Model)」を開発。
その普及活動を行っている。
 「SCORアドバイザー(以下、アドバイザー)」 は、SCOR普及のためのインストラクター的な 役割を担う者に対して、SCCが認定する資格だ。
この制度が開始したのは二〇〇三年。
当初は日本 支部が単独で始めた。
その後、米国のSCC本部 も、SCOR普及の起爆剤としてこの制度に注目 し、〇五年には世界中の支部で展開されることな った。
 ちなみに米国のSCC本部は「SCORプロフ ェッショナル(以下、プロフェッショナル)」とい う資格試験制度も設けている。
書類審査のみのア ドバイザーとは異なり、プロフェッショナルでは筆 記試験を行っている。
受験資格も異なる。
アドバ イザーは一年以上の実務経験を条件としているが、 プロフェッショナルは四日間の基礎講習を受講す ればよい。
 これまでのところ日本支部からプロフェッショ ナルを受験した人はいない。
「アドバイザーは実務 経験に重きを置いている分、プロフェッショナル よりも実践的」と、SCC日本支部の小野耕司事 務局長はいう。
 アドバイザーには企業のSCMプロジェクトにお けるリーダー的役割も求められる。
SCC会員企 業の中部電力は二〇〇〇年以降、調達分野におけ るSCM改革に取り組んできた。
その際にアドバ イザーは社内や関係会社をとりまとめ、中心的な 役割を果たした。
北海道電力や東京電力も、中部 電力の事例を参考に資格取得を進めている。
 アドバイザーの取得者数は、〇六年に当初の目 標だった五〇人をクリアした。
だが、まだまだ世 間の認知度は低い。
アドバイザーの経験をコンサ ルに活かしている人もいるが、資格が直接収入や 昇格につながるといったことはないという。
それ でも、「将来はアドバイザーの資格を持っているこ とで優遇される時代が間違いなく来る」と小野氏 は強調する。
 その兆候は見え始めている。
米国では〇八年三 月、国防総省、SCC、IBMなどが中心となっ てコンソーシアムを立ち上げた。
国を挙げてSC ORを使ったSCM人材の育成を行うという一大 プロジェクトだ。
日本でもいくつかの大学が動き 出している。
静岡大学ではSCORベースのSC M講義を行っている。
東京大学、立命館大学、多 摩大学も検討中だという。
 「若い頃からSCMについて学ぶことは重要だ し、大賛成。
SCORベースのSCMの考え方や コンセプトを身に付けた学生が社会に出るように なればおもしろい。
今はまだ黎明期。
将来的にS CORはSCMのデファクトスタンダードになるだ ろう」と、小野事務局長は期待している。
★ 資格種類/運営組織 民間資格/SCC日本支部 概要 SCC日本支部が独自で始めた資格制度。
SCM担当者が対象。
資格の有効期限は五年で、 セミナーを受けることで更新できる 取得方法 書類審査に合格すること。
受験生は「S CORアドバイザー認定申請書」と「SCM活動 内容」を記入し、SCC日本支部に提出。
認定会 議で過半数以上の賛成を得ることで認定される 合格基準 筆記試験はなく、SCMに関する実績 が問われる 前回受験者数(合格率) 四人(一〇〇%) 累計合格者数 六二人 受験資格 以下のすべての条件を満たしていること ?SCC日本支部の会員企業、または団体の構成 員であること ?SCORを活用したSCM活動の実務経験を一 年以上有すること ?SCORワークショップの受講経験を有するこ と ?SCORワーキンググループの活動経験、また は同等の活動経験を有すること ?SCORのボードメンバー、公認インストラク ター、ワーキンググループリーダーのいずれか の推薦を受けること 日程 年一回。
九月に募集を開始し、一〇月末に 締め切り。
十二月に合否が決定する 試験地 日本 取得費用 無料 難易度 試験こそないものの、論功行賞的な意味 合いもあり、誰でも挑戦できるというものでは ない 特集 19  DECEMBER 2008 米SOLEの主催する超難関資格 日本人受験者はいまだゼロ CPL (Certified Professional Logisticians) ★★★  CPL( Certified Professional Logistician)は、 本誌でもおなじみのSOLE( The International Society of Logistics)が実施する資格制度。
一九 七二年にスタートした。
ロジスティクス業務に従 事する技術者の職業的地位向上や、ライフサイク ルコスト(LCC)エンジニアの養成など、ロジ スティクス人材の充実が目的だった。
 この資格を取得するまでには数々のハードルが 待ち受けている。
受験資格にはロジスティクスの 実務経験が必要になる。
これは受験生の持つ学 位によって異なるが、最も短い博士(大学院博 士後期課程修了者)でも三年の実務経験が求め られる。
修士(大 学院博士前期課 程修了者)で四 年、学士(大卒) で五年と学位に 反比例するかた ちで年数が上が っていき、準学 士( 短大および 高専卒)と学位 のない者に至っ ては九年もの実 務経験が受験の 前提条件となる。
 受験地はS O L E 本部のあ る米国のみ。
日本では行われていない。
試験は、 ?システムマネジメント、?システム設計と開発、 ?調達と製造支援、?流通と顧客支援──と分 野ごとに筆記試験が課せられる。
試験時間はそ れぞれ二時間で、計八時間も拘束されることと なる。
 筆記試験の使用言語はもちろん英語。
難易度 はSOLE日本支部幹事の瀬良光弘氏に「いく らなんでも高過ぎる」と言わしめるほど。
 こうした声は米国本土でも同様だったようだ。
SOLE本部は二〇〇五年に資格制度を大幅に 見直した。
初級コースとしてDL(Demonstrated Logistician)、D S L( Demonstrated Senior Logistician)、D M L( Demonstrated Master Logistician)の三ステージ、中級コースとしてC ML( Certified Master Logisticians)を設置し た。
レベル別に資格を用意することで、受験生 は現在の実力・キャリアに応じた資格に挑戦がで きるようになり、上級レベルのCPLまで無理 なく段階を踏んで進むことが可能になった。
駆 け出しロジスティシャンにとってはモチベーション の維持にもつながる。
 試験制度は拡充されたが、SOLEの各資格 を受験した日本人はまだいないのが現状だ。
S OLEの資格は米国では収入や昇進などで優遇 されているという。
日本での受験が可能になる など条件さえ緩和されれば、広まる可能性は十 分にあるだろう。
難易度 博士 修士 学士 準学士 学位なし CPL ★★★ 3 4 5 9 9 CML ★★ 2 2 4 7 8 DML ★ 2 2 3 6 7 DSL ★ 1 1 2 4 5 DL ★ 0.5 0.5 1 2 3 SOLE の資格認定プログラム別の受験資格 学位別に必要な実務経験年数 資格種類/運営組織 民間資格/SOLE米国本 部 概要 ロジスティクス担当者を対象に、ロジス ティクス分野の高度な専門性を問う試験を行う 取得方法 筆記試験に合格すること。
筆記試験は ?システムマネジメント ?システム設計と開発 ?調達と製造支援 ?流通と顧客支援  の四つが行われ、その全てに合格しなければな らない。
試験時間は各二時間 合格基準 公表していない 前回合格者数(合格率) 公表していない(日本人 はゼロ) 累計合格者数 公表していない(日本人はゼロ) 受験資格 ロジスティクスの実務経験や教育経験 が必要になる。
実務経験年数は受験生の学位に よって異なる。
博士は三年、修士は四年、学士 は五年、準学士と学位のない者は九年 試験日程 年二回。
五月と十一月に実施される 試験地 米国 取得費用 SOLE会員は一二五ドル(約一万二 五〇〇円)。
非会員は二七五ドル(約二万七五〇 〇円)。
※一ドル一〇〇円換算 難易度 SOLE本部自ら「ロジスティクス分野 における最上級資格」とうたっているだけあり、 受験資格として必要になる実務経験年数は長 く、ロジスティクス分野における高度な専門知 識が必要な筆記試験を四つも受けなければなら ないなど、難易度は極めて高い DECEMBER 2008  20 作業スタッフの実務能力を資格で証明 でも現場経験だけじゃ受からない ロジスティクス・ オペレーション 2級 ★★ 3級 ★  ロジスティクス管理と同様、昨年から中央職業 能力開発協会(JAVADA)がスタートした公 的資格。
主な対象者は物流企業で輸送や荷役、梱 包などを行う現場スタッフ。
こちらも2級と3級 に分かれている。
これまで現場スタッフは重機免 許の有無などが人事評価の対象になることが多か ったが、専門の検定資格の登場によって新たな評 価基準が根付く可能性が出てきた。
 試験の出題範囲は3級が「輸送包装・荷役・保 管の概要」、「輸送の概要」、「約款と物流保険の概 要・関連法規・関連JIS」。
2級が「輸送包装 とユニットロード」、「物流センターシステム」、「輸 配送システム」となっている。
 試験の形式は選択問題が五〇問。
制限時間は一 二〇分となっている。
実務に関わる問題がメーン だが、現場経験だけでは合格するのは難しい。
国 際輸送や保険、約款を含むなど、通常業務では馴 染みのない分野にまで試験範囲が及ぶためだ。
実 際に経験豊富な既知の物流現場スタッフに例題を 出してみたが「とても六割は取れない」とのこと。
やはり相応の受験対策は必要だ。
 JAVADAの標準テキストを用いて学習する のが良いだろう。
3級であればテキストのみの学 習で十分合格レベルに到達できる。
ただ、2級を 受験する場合や、時間とお金に余裕があり効率的 に学習したいなら、各教育機関や企業がJAVA DA作成のテキストを用いて開講している認定講 座を勧める。
認定講座を実施している団体は別表 の通りだが、受講料や受講期間、通信・通学とい った受講スタイルなどは各団体で差異があるので、 詳細はJAVADAのホームページを参照してほ しい。
 例としては、ロジスティクス管理のページで紹介 した流通研究社/RCCの例がそのままロジステ ィクス・オペレーションでも当てはまるほか、日 本マテリアル・ハンドリング(MH)協会では3級 を対象に受講時間四二時間で八万四〇〇〇円のコ ースを用意している。
中にはロジスティクス管理 と併願で受験するツワモノもいるとか。
 ちなみに、MH協会が運営するロジスティクス・ MH管理士の養成講座を受講した場合は、ロジス ティクス・オペレーションの2級とほぼ同レベルに 達するとされている。
ロジスティクス管理・オペレーション 認定講座実施機関 NMR流通総研 流通研究社/ RCC (財)社会経済生産性本部 (財)ゆうちょ財団 日本MH協会 イー・ロジット 丸和運輸機関(社員対象) 管理2、管理3、オペ2、オペ3 管理2、管理3、オペ2、オペ3 管理2、管理3、オペ2、オペ3 管理3 オペ3 管理3 オペ2、オペ3 注)管理:ロジスティクス管理 オペ:ロジスティクス・オペレーション 2:2 級 3:3 級 実施団体対象資格 資格種類/運営組織 公的資格/中央職業能力開 発協会(JAVADA) 概要 主に庫内オペレーションを遂行するために 必要な知識を備えていることを証明。
人事評価 ツールとしての役割も期待される。
受験者層は 物流企業の輸送、保管、荷役、包装などのオペ レーション担当者 取得方法 筆記試験に合格すること。
試験形式は 多肢選択問題五〇問で試験時間は一二〇分。
標 準テキストを使って独学するか、複数の団体が 開講している認定講座を受講して試験に臨むこ ともできる 合格基準 得点率六〇%が目安 前回受験者数(合格率) 2級:一四六人(三五%)  3級:三〇〇人(四八%) 累計合格者数 2級:五一人 3級:一四四人 受験資格 誰でも受験可 試験日程 毎年三月 試験地  全国四七都道府県 取得費用 受験料は2級が五二五〇円、3級が 四二〇〇円。
2級の標準テキストが二九四〇円、 3級の標準テキストが二八三五円。
認定講座を 受講する場合は別途料金が発生する。
例:財団 法人社会経済生産性本部の場合、2級を対象に 二万二〇〇〇円(会員は一万七六〇〇円)の通 信研修を実施している 難易度 オペレーション作業の経験が豊富でも準 備なしには合格は難しい。
標準テキストでの学 習はマスト。
2級の受験に関しては認定講座の 利用が望ましい  2級・3級 特集 21  DECEMBER 2008 輸送包装の技法から設計まで 二度の合宿研修で徹底フォロー包装管理士★★  「包装管理士」は、日本包装技術協会(JP I)が主催する「包装管理士講座」修了時の試 験合格者に与えられる資格だ。
講座は毎年六月 のオリエンテーションと包装に関する基本講義を 兼ねた二泊三日の合宿研修で幕を開ける。
合宿 後は全国六支部に分かれ、段ボールやプラスチッ ク容器、金属容器といった材料に関する基本講 義をの受講を経て「輸送包装」、「生活者包装」 のコース別専門講義に移る。
 輸送包装コースでは、製品輸送時における木 箱や段ボールなど包装資材の設計や緩衝包装技 法などがテーマとなる。
生活者包装コースでは、 商品のパッケージデザインや商品の包装技法など を学ぶ。
七月末には「包装論文」を提出。
大学 でいう卒業論文だ。
 九月上旬に行われるケーススタディ合宿では、 輸送包装コースなら木箱を対象にした重量物包 装設計演習、段ボールを対象にした軽量物包装 設計演習と、専門コースをさらに細分化して実 習を行う。
全コース修了後、筆記試験と面接試 験を実施する。
先に提出した包装論文と併せて 評価され、合否が決する。
 この講座で特筆すべき点は、やはり二度に及 ぶ合宿研修だろう。
ともに愛知県豊橋市で開催 され、全国の受講者が一堂に集う。
JPIの酒 井光彦常務理事は「通信教育や単なる試験だけ ではなく講義や合宿を行うのは、講師と受講生 が意思の疎通を図り、交流を深めるため。
ここ に力を入れている」と説明する。
 包装管理士の資格取得後は、「包装アカデミー」 講座に挑戦することができる。
講座修了後の試 験合格者には「包装専士」の称号が与えられる。
また、資格取得者が中心となって、「日本包装管 理士会(IPP)」、「日本包装専士会」といった OB団体が組織されており、フォローアップ研修 やセミナーなどを行っている。
資格種類/運営組織 民間資格/日本包装技術協 会 概要 日本唯一の包装人材育成のための長期講座。
受講者は「輸送包装」か「生活者包装」のどち らかのコースを専攻する。
輸送包装コースは、物 流、外装の開発・営業担当者。
生活者包装コー スは、医薬品、食品、印刷会社の開発・営業担 当者が対象となる 取得方法 「包装管理士講座」を受講し、実習、論 文、筆記試験、面接試験の全項目で合格すること 合格基準 研修委員会が毎回基準点を設定してい る。
公表はしていない 前回受講者数(合格率) 約三八〇人(例年八〇〜 八五%で推移) 累計取得者数 九五二七人 受講資格 ?日本包装技術協会の法人会員、また は個人会員であること、?包装関連業務に四年 以上の実務経験があり、所属事業所(代表者ま たは上司)の推薦を受けること、?高校卒業以 上の基礎学力を有する二二歳以上の者 受講日程 六月上旬に講座が始まり、九月上旬に 試験が行われる。
会期は十三日。
受講地 講義は全国六支部(東京、大阪、名古屋、 福岡、仙台、札幌)で実施。
二度の合宿研修は 愛知県豊橋市で開催される 取得費用 三〇万三〇〇円。
テキストや資料代、合 宿研修時の宿泊費、試験の受験費用が含まれる。
難易度 三カ月に及ぶ講座の出席は大変だが、講 義をしっかり聴いていれば十分合格できる 7/25 (金) 資格取得までのフロー ※下記日程は今年のスケジュール 6/4(水)〜 6(金) 9/3(水)〜5(金) 9/3 (水) 9/5 (金) 包装論文提出 ケーススタディ(合宿) 包装管理士試験 資格取得 材料教科講義(全員共通) 食品包装演習 医薬品包装 演習 生活商品 包装演習 新商品パッケージ デザイン演習 重量物包装 設計演習 軽量物包装 設計演習 ?包装論文評価、筆記試験 ?面接試験 オリエンテーションと統括教科講義(全員共通)合宿 生活者包装コース講義輸送包装コース講義 DECEMBER 2008  22 受講者の8割が3PL事業担当者 現場改善提案力を養うロジスティクス・MH管理士★★  物流センターの効率化ノウハウを学ぶための資 格がロジスティクス・MH管理士だ。
受講者の八 割以上を3PL企業の社員が占める。
荷主企業へ の提案力を培い、業務受託のための武器にするの が狙いだ。
 取得方法は二カ月にわたる講座(受講日数延べ 十一日間)を修了すること。
全日程のうち七日間 以上の出席、ケーススタディの全日出席が修了要 件となっている。
筆記試験は行っていない。
 講座の内容は「マテハンシステム」、「運搬車両」、 「物流センター配送マネジメントと運用」など関連 知識を幅広く学ぶ。
物流センターの見学なども行 う。
受講料は一七万八〇〇〇円で、テキスト代や センター見学料なども含まれる。
 資格を運用する日本マテリアル・ハンドリング (MH)協会の越野滋夫常務理事・事務局長が「講 座の目玉」と胸を張るのがケーススタディ。
具体 的な進め方は次の通りだ。
 受講者は四人から五人のグループに分かれる。
次 に物流センター業務のアウトソーシングを検討して いる荷主企業を想定する。
この荷主企業について は近年の売上推移や物流センターの規模、取り扱 いアイテム数、配送先店舗の情報など細かく条件 が設定されている。
各グループはその想定企業に 現場改善の提案を行う。
 与えられた条件を基に提案先の問題や課題を抽 出し、戦略を立案、最終的な解決策をグループご とに明確化する。
解決策が定まったら、それに向 けての物流システムフロー、物流フロー、庫内レ イアウトなど実施計画を検討する。
 次に入出荷、検品、保管、配送など具体的な庫 内オペレーションをシュミレーションし、採用する マテハン機器や物流センターシステムを決定する。
「ここで重要なのは採用するマテハンシステムや物 流センターシステムは必ずしも最新のものが優れ ているわけではないということ。
提案先の様々な 条件を勘案して、最適なものを選定する必要があ る」(越野事務局長)  以上の流れを各グループが提案書にまとめ、最 後にプレゼンテーションを行う。
 提案書を評価するのは、MH協会員や担当講師 から紹介された荷主企業の上層部が大半。
それぞ れの企業で実際に決裁権を持つ評価員のため、出 される意見はシビアだ。
それが「実地で役に立つ」 と受講生の好評を得ている。
最後に担当講師の提 案書が模範解答として示される。
 三六年の歴史を持つ同資格だが、一〇年ほど前 まではケーススタディは存在しなかった。
コンベア の種類など、センター内の機器に関する知識を学 び、筆記試験で合否を判定していたが、「もっと 実践的な講座を」という声を反映し、導入された。
 筆記試験がなく、合格率も一〇〇%なので易し く感じるかもしれないが、丸一日の講座に十一日 間出席するのは簡単ではない。
また、マテハンの 基礎知識が無いと講座についていくこと自体が難 しいかもしれない。
資格種類/運営組織 民間資格/日本マテリア ル・ハンドリング(MH)協会 概要 物流センターの効率化を提案・実施するた めの資格。
講座では物流センターの現場改善方 法やセンターの要となる品揃えと輸配送につい ての基礎知識などを学ぶ。
主な受講者は3PL 業務の担当者。
ほかに、企業の物流を担う管理 者および物流責任者、自社物流システムの企画・ 立案者なども受講する 取得方法 二カ月にわたる講座(受講日数延べ十 一日間)を修了すること。
筆記試験は行わない が、ケーススタディの改善提案書の提出が求め られる 合格基準 以下の両要件を満たすこと ?講座全日程の三分の二(七日間)以上に出席す ること ?ケーススタディ全日程に出席すること 前回受験者数(合格率) 一八人(一〇〇%) 累計取得者数 五〇〇人強 受講資格 物流基礎学力を有し、物流関連業務二 年以上の経験を有する者 受講日程 毎年一〇月〜十二月 受講地 東京 取得費用 受講料一七万八〇〇〇円(テキスト代、 センター見学代込) 難易度 筆記試験は行わない。
講座に規定回数以 上出席すれば取得できるため比較的ハードルは 低い。
実際に前回の合格率は一〇〇%だ。
しか し、講座は延べ十一日間にわたり、時間は丸一 日。
しかもその全てが平日に行われる。
やはり 本業へのしわ寄せは避けられない。
特集 23  DECEMBER 2008 貿易関連資格の王様 出題形式変更で近年は難化傾向通関士★★★  通関士は貿易関連では唯一の国家資格だ。
実 際に通関士として働かなくとも、物流業者や荷 主企業で輸出入に関わる仕事をする上で、通関 の知識は役に立つ。
世間の認知度も高く通関士 の資格取得は一種のステータスにもなっている。
 通関とは税関から輸出入の許可を受け、貨物 を通過させること。
通関ができなければ輸出貨 物は船積みできず、輸入貨物は引き取りができ ない。
荷主が自分で手続きを行うこともできるが、 専門知識が必要で手間がかかるため、通関業者 (大部分は倉庫会社やフォワーダーなどが兼ねて いる)に任せるのが一般的。
この通関手続きの 代行に必要なのが通関士の資格であり、通関業 者は各営業所ごとに通関士を一人は置かなけれ ばならない。
 通関士は貨物の関税分類を判断し、多くの書 類を管理する。
手続きに一つでも不備があれば 許可は下りない。
トラブルがあった場合には輸出 入業者に代わって解決に当たる。
このための知 識と能力を測るのが通関士試験だ。
 試験合格には半年程度、計五〇〇時間前後の 勉強が必要といわれている。
資格予備校などが 実施している対策講座を受ける人も多い。
既に 通関業務に従事している人や通関業務関連企業 の従業員は、業界団体の日本通関業連合会の通 信研修を受けることもできる。
 試験の受験者数は一九九〇年代の資格ブーム で九八年には一万一六三九人を記録したが、二 〇〇〇年から 〇七年までは 一万人前後で 推移している。
通関士試験に 合格しても通 関士として働 くのは合格者 の三分の一程 度。
学生の受 験者も一割程 度を占めているようだ。
 一方の合格率は〇六年に大きく下がり、過去 最低の七・〇%。
六七年の試験開始以来、初め て一〇%を切った。
〇七年も五項目のうち「そ の他実務」の合格基準が下げられたが、試験の 合格率は七・七%とほぼ横ばい。
関係者は試験 について「かなり難易度は上がっている」と口 を揃える。
 原因は出題形式の大幅な変更。
記述式がな くなって負担が減った一方、択一式で選択する 回答がなかった場合は「0」を選択し、選択式 では五肢の中から「正しいもの」と「誤ってい るもの」を複数選択しなければならなくなった。
「バランスよく幅広い知識を問い、難易度はでき るだけ例年変わらないようにしている」(財務省 関税局業務課)が、あやふやな知識では通用し なくなっている。
14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 35 30 25 20 15 10 5 0 88年 90 年 92 年 94 年 96 年 98 年 00 年 02 年 04 年 06 年 (人) (%) 合格率平均 16.8% 受験者数(人) 合格率(%) 受験者数と合格率の推移 資格種類/運営組織 国家資格/財務省 概要 輸出入者に代わって通関手続を代理・代行 するのに必要な資格。
通関士として働くことを 目指す人のほか、通関知識を身に付け、業務に 生かす目的での受験者も多い 取得方法 筆記試験に合格すること。
試験科目は 通関業法、関税法等、通関実務の三科目五項目。
官庁、通関業者での業務・事務従事者は一部が 免除される。
合格しても、通関士として業務を 行うには通関業者に勤務し、管轄税関長の確認 を受けなければならない 合格基準 各項目で概ね六〇%の得点率が必要。
ただし二〇〇七年は通関実務のうち「その他実 務」の項目の合格ラインが、五〇%に下がった 前回受験者数(合格率) 一万六九五人(七・七%、 〇七年) 累計合格者数 三万六三三三人 受験資格 制限なし 試験日程 毎年一〇月上旬 試験地 全国十三都市 取得費用 受験手数料三〇〇〇円。
参考書と模擬 試験での独学の費用は数万円。
日本関税協会や 資格予備校の講座を受けると、通信教育講座は 三万円からスクーリングも含めれば八万円くら い、資格予備校の通学・DVD講座は十二万円〜 三〇数万円。
日本通関業連合会主催の通信研修 (スクーリング込み)は四万円(三科目コース) 難易度 〇六年の合格率は過去最低の七%とな り、初めて一〇%を切った。
延べ五〇〇時間程 度の勉強が必要といわれている。
DECEMBER 2008  24 輸出入全域にわたる実務をカバー 四段階でステップアップ貿易実務検定C級 ★ B級 ★★ 準A級 ★★ A級  ★★★  英語も含めた貿易実務の知識と能力を測る、国 内唯一の資格。
同じ貿易というカテゴリーでは、レ ベル的には貿易実務検定のA級に相当する「AI BA認定貿易アドバイザー」があるが、これは貿 易取引の支援者育成を目的としたもの。
これに対 して貿易実務検定は、実務家の知識の向上とスキ ルアップを目的としている。
 英検のようにC級からB級、準A級、A級へと ステップアップしていく仕組み。
知識ゼロから貿 易実務のプロ、コンサルタントを目指すところま でをカバーする。
専門用語を理解し、定型業務の 処理や書類作成ができるか、実務で判断業務を行 う能力があるかまでを段階的に検定する。
準A級 までが実務家向け。
A級はコンサルタント志向の 人が対象だ。
 開始からまだ一〇年と新しい資格だが、貿易実 務では唯一の資格ということもあり、C級、B級 の受験者数が伸びている。
業界内では基準の一つ として浸透しつつあるという。
通関士と併せて取 得することも多い。
特に初心者向けのC級は、企 業や学生の団体受験が増えている。
規模が大きい 企業では、C級からB級程度を自社向けにカスタ マイズして研修制度に取り入れることも多いとい う。
また派遣会社は貿易事務に人材を派遣する際、 C級取得の有無をみる。
登録スタッフの教育プロ グラムに利用するケースも目立っている。
 検定を運営する日本貿易実務検定協会は、一九 九八年一月、通関士資格などのスクール運営を行 うマウンハーフジャパンの片山立志社長が設立し た。
それ以前は貿易実務に関する講座を開講して いるスクールでも、講師によって内容も教え方も 異なり、偏りなく体系的、段階的に学べるものが なかった。
このため、実務家や講師と協力し、業 務を網羅する標準化されたカリキュラムを策定し たという。
 日常の現場業務では、会社や人によって、やり 方が違うことはよくあること。
イレギュラーな方 法をとらなければ、処理できないこともある。
し かし、正しい知識を習得した上で業務を行うこと は、貿易に関わるさまざまなリスクを減らすこと につながる。
問題発生時には、解決の筋道を効率 的に立てられる。
「正しい知識・方法を学び、そ れを深めていくことで、スキルアップにつなげて ほしい」と片山社長は考えている。
級別の出題範囲 科目 内容 A級 準A級 B級 C 級 貿易と環境 貿易経済知識 貿易の流れ 貿易金融 貿易書類 貿易法務 貿易税務 通関知識 貿易保険 外国為替 港湾知識 航空貨物 クレーム マーケティング知識 商業英単語 英文解釈 英作文 △ △ △ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ △ × × ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ △ △ ○ △ △ × ○ △ △ × ○ △ △ × × × × △ ○ ○ ○ △ ○ ○ ○ △ ○ ○ × × 貿易マーケティング ○ ○ △ × 貿易実務 英語貿易実務 ○:出題 △:極めて基礎的な事項を出題 ×:出題なし 資格種類/運営組織 民間資格/日本貿易実務検 定協会 概要 貿易実務の能力・知識を客観的に測る。
難 易度の低い順にC級、B級、準A級、A級に分 かれる。
受験者は商社関係者が多い 取得方法 筆記試験に合格すること 合格基準 C級は得点率約八〇%、B級は約七 〇%が基準。
A級・準A級は試験委員が受験者数 と成績などにより毎回定めるが、得点率六〇% 前後が目安のようだ 前回受験者数(合格率) C級:二二一五人(六 三・〇%)、B級:七九二人(四〇・四%)、準 A級:一六九人(三三・一%)、A級:六九人 (五・七%) 累計合格者数 C級:二万五〇七〇人、B級:六 五六七人、準A級:四三七人、A級:三八人 受験資格 特になし 試験日程 C級・B級は三月、七月、十二月、準 A級は七月、十二月、A級は三月のみ 試験地 仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、 福岡、沖縄など 取得費用 受験料はC級五八〇〇円、B級六九〇 〇円、準A級八五〇〇円、A級一万二〇〇〇円 で併願割引もある。
オフィシャルテキストによ る独学の場合、費用は一万円程度。
協会の対策 講座は約二万円〜一〇万円弱、大学の公開講座 や資格スクールでは五万円前後〜三〇万円弱 難易度 C級、B級までは独学で合格可能。
しか し準A級、A級は対策講座を利用した方がよい ようだ 特集 25  DECEMBER 2008 世界企業のマネジャーを対象に グローバル・ロジスティクスを伝授国際物流管理士★★  日本ロジスティクスシステム協会(JILS) は三〇年前から国際物流管理士制度を開始し、 国際物流に必要な専門知識と管理技法を備えた スペシャリストを育成してきた。
資格保有者は累 計一二二一人に上る。
 資格は七カ月に及ぶ講座(受講日数延べ二〇 日間)を修了し、六回のレポート試験と一回の 筆記試験の結果 を考慮して認定 される。
講座は 「輸出入業務」、 「海上輸送」、「航 空輸送」、「国際 物流のリスクマ ネジメントと保 険」などを体系 的に学習するほ か、「世界の最 新物流事情」な ども学ぶ。
 ケーススタデ ィも充実してい る。
グローバル に事業を展開し ている企業のロ ジスティクス改 革を題材にグル ープで取り組む。
サプライチェーンマップ分析や、在庫分析、生産 の需給プロセス分析などSCMの視点で様々な現 状分析を行い、課題の抽出と改善、改革の手順 を学ぶ。
港湾、フォワーダー、空港施設の現地見 学なども実施される。
 講座修了要件は全日程のうち七〇%以上出席 すること、一つの単元を全日欠席することがな いことなど。
 レポート試験と筆記試験では、それぞれの得点 が七〇点以上(一〇〇点満点)であること、レ ポート試験と筆記試験の平均点(一〇〇点満点) から欠席点を引いた得点が七〇点以上であるこ となどが求められる。
なお、欠席は一日につき 一点減点となる。
 講座は一日七時間から八時間程度。
全て平日 に行われる。
六回に及ぶレポート試験や筆記試験 もあり、その準備にも時間を取られる。
受講料 も四二万円と高く、勤務先の理解と支援は必須 となる。
 発足当初の受講者は荷主企業の社員が大半だ ったが、近年では物流事業者の受講率が高くな ってきている。
荷主企業の物流業務アウトソーシ ングが進み、3PL事業などが台頭したためと 考えられる。
 受講者の役職は一般社員が半分以上を占め、 年齢層は三〇代が六五%以上となっている。
業 種は物流子会社が三四・三%、次いで倉庫業が 二二・九%となっている。
国際物流管理士資格認定講座 受講者分析(前回) 受講者数 29 社/ 35 人 製造業 17.1% 50 代以上 2.9% 20 代 11.5% 30 代 65.7% 一般 54.3% 係長 5.7% 部長 2.9% 主任・ 課長 37.1% 40 代 20% 物流子会社 34.3% 運輸業 11.4% 倉庫業 22.9% 情報関連 2.9% その他 11.4% 業種年齢役職 役員 0% 資格種類/運営組織 民間資格/日本ロジスティ クスシステム協会(JILS) 概要 国際物流に必要な専門知識と管理技法を備 えたスペシャリストの能力を証明。
グローバル 展開する企業で、国際物流業務に携わる中堅管 理者および担当者向けの資格 取得方法 七カ月にわたる講座(受講日数延べ二 〇日間)を修了し、筆記試験、六回のレポート 試験でそれぞれ合格点を獲得すること 合格基準 筆記試験やレポート試験で七〇%以上 の得点を獲得すること。
講座全日程の七〇%以 上の出席などが修了要件に含まれる。
欠席など は減点対象となる 前回受験者数(合格率) 三五人(約九〇%) 累計取得者数 一二二一人 受講資格 国際物流関連部門の中堅管理者。
国際 物流関連業務に従事し、二年以上の経験がある こと 受講日程 毎年九月〜翌年三月 受講地 東京 取得費用 JILS会員四二万円、非会員五二万 五〇〇〇円、物流技術管理士または物流技術管 理士補の資格所有者は五万二五〇〇円の割引が 適用される 難易度 平日に行われるカリキュラムに出席し続 けるのは困難。
講座への出席だけではなく、筆 記試験の対策なども必要。
加えて六回のレポー トも実務家にとっては重荷になる。
費用も四二 万円と相対的に高いので、勤務先の理解・支援 がなければ合格は難しい DECEMBER 2008  26 陸海空一貫物流を体系的に学ぶ 第一人者を講師に実務から条約まで国際複合輸送士★★  一九八五年に始まった。
約三七〇社の海運フ ォワーダーが加盟するJIFFAが教育事業の一 環として実施し、人材育成と業界全体のレベルア ップを図っている。
会員企業からは社員研修の 一つとしても利用されている。
人事考課に反映 することもあり、業界での認知度は高い。
初心 者には厳しい内容のため、受講年齢層は三〇代 前半が多いようだ。
 会員企業数の増加に加え、最近では商社など 会員外からの受講が多く、受講者数は増加して いる。
東京会場での受講者は一五〇人、関西は 八〇〜一〇〇人前後だが、会場の都合で申し込 みを断らざるを得ないことがあるという。
 認定試験自体は学習の成果を確認するための もので、合格率は非常に高い。
ただし、容易で はないのが、講座への出席。
受験資格を得るた めには八〇%以上の出席というハードルをクリア しなければならない。
講座は約一カ月にわたっ て延べ一〇日間(試験日を含む)、平日の朝から 夕方まで行われる。
もちろん自宅学習も必要だ。
それでも出席率が八〇%に満たず、受験資格を 得られなくなるのは少数だという。
 国際複合輸送を体系的に学ぶことのできるカ リキュラムが組まれている。
しかも講師には企業 の実務家だけでなく国土交通省、大学、弁護士 事務所などから、各分野の第一人者を招く。
J IFFA発行で三年に一回改訂される四〇〇ペ ージ近い参考書「国際複合輸送の手引」と認定 講座専用のテキストを使い、講師によっては追加 資料を配布する。
 なお、JIFFAは「国際複合輸送士資格認 定講座」のほか、初心者向けの「フォワーディン グ業務基礎研修会」や「国際複合輸送業務集中 講座」、語学研修として「実用英語通信文講座」、 「初級/中級中国語講座」なども開催。
語学研修 講座でも修了試験の合格者には修了証を授与し ている。
カリキュラムの一例 1日目 ・国際複合輸送の現状と課題 ・国際取引契約とINCOTERMS ・運送書類とICC 信用状統一規則 2日目 ・コンテナ航路の現状と展望 ・運送責任に関する条約(海上運送) ・運送責任に関する条約(航空・陸上 運送) 3日目 ・国際物品運送に係わる国内関連法規 ・貨物保険と運送人の賠償責任保険 ・銀行買取と外国為替 4日目 ・輸出入通関前の手続 ・輸出通関実務 ・輸入通関実務 5日目 ・フレイトフォワーダーとその役割 ・船荷証券と複合運送証券 ・Sea WaybillとFCR 6日目 ・国際航空貨物の取扱実務 ・Air Waybill と運送約款 ・梱包の概要と動向 7日目 ・運送上のカーゴクレーム処理 ・フォワーディング業務上のトラブルへの対処法 ・アセアン地域内の物流 8日目 ・中国の複合輸送と通関事情 ・北米の複合輸送と通関事情 ・欧州の複合輸送と通関事情 9日目 ・冷凍・冷蔵貨物の取扱い ・危険物の取扱い ・国際物流業界におけるIT 10日目 ・認定試験 資格種類/運営組織 民間資格/日本インターナ ショナルフレイトフォワーダーズ協会(JIF FA) 概要 主に海上輸送を使った国際複合輸送(一貫 物流)サービスの専門的な知識・ノウハウを認 定する。
国際複合輸送の専門家を目指す三年程 度の実務経験者または国際複合輸送担当の中堅 管理者で所属会社の推薦を受けた人のほか、荷 主の国際物流管理スタッフ等、国際複合輸送の 専門知識を体系的に学びたい人が対象 取得方法 延べ一〇日間・約三〇科目の認定講座 の八〇%以上を受講した上で、筆記試験に合格 すること 合格基準 試験の得点率六〇%以上 前回受講者数(合格率) 二〇〇七年度は計二二 三人(九六・九%) 累計合格者数 三五〇一人 受講資格 特になし 受講日程 東京は例年一〇〜十一月、関西/名古 屋は二〜三月 受講地 東京(毎年)、関西(三年に二回、会場 を神戸から大阪に変更予定)、名古屋(三年に 一回) 取得費用 会員は九万四五〇〇円(テキスト代含 む)、会員外は一五万七五〇〇円(同) 難易度 試験そのものはほとんどの受講者がパス する。
ただし、平日に開催される延べ一〇日間 の認定講座の八〇%以上に出席しなければなら ず、仕事との両立には負担が大きい。
周囲の理 解と協力が不可欠となる 特集 27  DECEMBER 2008 世界中で通用する国際資格 フォワーダーの実務能力を向上IATA/FIATAディプロマ★★  世界中の航空会社が加盟するIATA(国際 航空運送協会)とフォワーダーが加盟するFIA TA(国際貨物輸送業者協会連合会)が共催す る国際資格。
両者による貨物教育プログラムに基 づき、一九七七年に始まった。
現在は世界八〇 カ国で実施されている。
 もともとは航空フォワーダーやIATA公認貨 物代理店の従業員が対象だったが、今では航空 会社、上屋会社従業員からメーカー、商社など の物流担当者、航空貨物業界への就職を希望す る学生まで受験者が広がっている。
受験をカリキ ュラムに取り入れる専門学校もあり、人気は高 くなっているといえるだろう。
 海外では航空関連業界に就職・転職する際 の条件の一つとされているが、日本では必要な 知識を身につけていることの証明に利用される。
資格手当を支給したり、昇進の要件にしている 企業もある。
また、国土交通省から航空フォワ ーディング業の許可を受けるには、IATA公認 代理店資格が必要であり、公認代理店になるに は営業所に基礎コースと危険物コースのディプロ マ資格者をそれぞれ置かなければない。
 日常的に関連業務に携わっていない人には、 まず英語がカベになる。
国際資格だけにテキス ト、試験ともに英語が基本だ。
航空貨物輸送業 務に必要な英語はある程度決まっているとはいえ、 単語や言い回しを覚えなければならない。
 加えて幅広い知識が必要になる。
テキストと日 本語の副読本で一〇〇〜二〇〇時間はかけて自 宅学習しなければいけないとされている。
試験 前に開催される事前講習会では講師がポイントを 教え、質問を受け付け、自宅学習の成果を確認 できるようになっている。
このため、任意参加 でも出席率は高い。
 試験は実務に直結した内容だ。
基礎コースで は世界地理から時刻表の見方と利用法、航空機 の種類と機能、航空貨物運送状(エアウェービ ル)の作成、運賃計算まで業務上不可欠な基礎 知識が問われる。
 上級コースでは高度で複雑な運賃計算、スケジ ュールやエアウェービルの作成などについての専 門知識が試される。
問題数は基礎コースに比べ て少ないが、運賃計算ではさまざまなケースに応 じて、より安い運賃を組み立てていかなければ ならない。
 危険物コースはIATAの危険物規則と危険 物の取り扱い、輸送梱包、危険物申告書とエア ウェービルの作成など、危険物輸送に関する専門 知識が問われる。
一度合格しても二年に一度の 更新が義務付けられているのが基礎・上級コー スとは異なる点。
二年に一度、危険物規則の大 きな改正があるため、常に最新知識を身につけ る必要があるからだ。
 どのコースでも一度登録すれば有効期間内は 二回まで受験可能。
ただし、危険物資格の更新 の場合は一発勝負になっている。
資格種類/運営組織 民間資格/日本では航空貨 物運送協会(JAFA) 概要 国際航空貨物輸送業務に関する知識、技能 を世界共通のテキストと試験で認定する。
対象 者はフォワーダーやIATA公認貨物代理店で の業務従事者など 取得方法 筆記試験に合格すること。
事前講習会 は任意参加 合格基準 基礎・上級コースは試験の得点率七 〇%、危険物コースは八〇% 前回受験者数(合格率) 日本では基礎コース一七 七四人、上級コース四七六人、危険物コース八 〇七人(各コースとも六〇%弱。
すべて二〇〇 七年度合算) 累計合格者数 日本では基礎コース一万三三八七 人、上級コース四三三九人、危険物コース五六 八五人 受験資格 特になし 試験日程 基礎・上級コースの試験は四月と一〇 月。
危険物コースは四月、六月、一〇月の試験 のほか、二月に二日半の講習と試験がセットに なっている危険物セミナーもある 試験地 主要三都市〜約七都市 取得費用 基礎コースの受講料はJAFA会員四 万三〇〇〇円(会員外五万三〇〇〇円)、上級 コースは会員四万円(同五万円)、危険物コース は会員四万円(同五万円)、更新は会員三万五〇 〇〇円(同四万五〇〇〇円)。
JAFAとは関係 はないが、対策講座もある。
受講料は約五万円 難易度 テキスト、試験ともに基本は英語。
業務 の未経験者には語学力がカベになる。
DECEMBER 2008  28 トラック運送会社の幹部を育成 長期研修で経営スキルと人脈を構築物流経営士★★  「物流経営士」は、一九九八年に全日本トラ ック協会(全ト協)が創設した資格認定制度だ。
運送会社の経営者や管理職クラスを対象に、運 送業経営のノウハウを教育することが目的。
受講 者の年齢は三〇代が多く、運送会社の幹部候補 向けの講座といえる。
創設以来毎年九〇人近い 資格取得者を輩出し、累計の有資格者は九一四 人になる。
 全ト協は講座や試験を直接運営しているわけで はなく、カリキュラムや履修時間など講座の実施 規定、試験内容や合格基準といった資格制度の全 体をプロデュースする立場にある。
 カリキュラムは次の六分野から構成される。
?物流一般に関する知識 ?物流業務に関する知識 ?経営管理に関する知識 ?営業戦略に関する知識 ?演習 ?修了論文  この分野ごとにそれぞれ具体的な講義内容や 講義時間数を設定している。
 なかでも最も重要視しているのが、?経営管 理だ。
主なテーマは「財務管理」、「経営計画」、 「労務管理」、「運行管理」の四つで、それぞれ最 低六時間以上の講義を課している。
トータルの 講義時間は六分野の中で最も長い。
 この規定に従いながら、全ト協より講座実施 機関として承認を受けた「東京都トラック運送事 業人材養成等財団」と「中部トラック総合研修 センター」が、講座や試験を運営している。
そ れぞれ独自で運営しているため、講座の日程や 取得費用、受講者数などには違いが見られる(詳 細は上段概要を参照)。
合格者の選定も両機関 が行っている。
両機関から報告された合格者は、 最終的に全ト協が物流経営士として認定する。
 資格制度を開始して一〇年が経つものの、知 名度はまだ低く、現在の課題は物流経営士とい う資格を世間一般に周知させることだという。
 「名刺に物流経営士の肩書きを入れている物流 マンを見る機会は増えてきた。
だが、物流業界 ではある程度認知されていても、他の業界の人 からすると『何それ?』といったレベル」と全ト 協の杉崎禎浩経営改善事業部課長。
 その要因の一つとして、講座実施機関が東 京と名古屋の二カ所しかないことが挙げられる。
受講者は必然的にその両エリア周辺に限られて しまう。
将来的には全国展開を目標にしている。
また、運転免許証のような顔写真入りの認定書 を発行するなど、認知度向上のために検討を重 ねている。
 物流経営士の資格を取ることで、収入や昇進 などで評価されるといったこともまだない。
「こ の資格の認知度が上がり、取得することでインセ ンティブが得られるようになれば、キャリアパス の一つのツールとして発展していくだろう」と杉 崎課長は展望を語る。
資格種類/運営組織 民間資格/全日本トラック 協会(以下、全ト協)、東京都トラック運送事業 人材育成等財団(以下、財団)、中部トラック総 合研修センター(以下、センター) 概要 全ト協が創設した資格。
物流企業の経営者、 管理職クラスが対象。
講座修了後、試験に合格 することで取得できる 取得方法 財団の「物流経営士認定講座」またはセ ンターの「物流大学校講座」を受講する。
六〇% 以上の出席率と修了論文によって修了となる。
さらに修了後行われる筆記試験に合格すること で資格を取得できる 合格基準 筆記試験一〇〇点満点中、六〇点以上 で合格 前回受験者数(合格率) 財団:三二人(八八%)、 センター:六五人(九四%) 累計合格者数 九一四名 講座日程 財団:約一〇カ月(〇八年一〇月二二日 〜〇九年八月五日)。
講義時間は計一四五時間。
センター:四月から翌年三月の一年間。
講義時 間は一〇二・五時間 試験地 東京、愛知 取得費用 財団:東京都トラック協会三五万円、会 員外四〇万円。
センター:四五万円(各都道府県 トラック協会の会員には、全ト協より五万円が 助成金として支給される)※両機関ともに資料・ テキスト代、合宿費、試験料が含まれている 難易度 講座をしっかり受講すれば落ちることは まずないが、講義時間が膨大 特集 29  DECEMBER 2008 運送業のコンプライアンス責任者 車両三〇台ごとに一人以上必要運行管理者(貨物) ★  運行管理者(貨物)は貨物自動車運送事業法に 基づき、ドライバーの乗務割の作成、ドライバーの 疲労や健康状態の把握、睡眠・休憩施設の保守管 理、貨物自動車の過積載を防止するための指導・ 監督など、業務用自動車の運行の安全を確保する ための業務を行う。
トラック三〇台につき一人以 上の運行管理者の専任が義務付けられている。
 試験問題の形式は基本的に変わらない。
全て選 択問題で構成される。
分野別の出題数は、貨物自 動車運送事業法関係が八問、道路運送車両法関係 が四問、道路交通法関係が五問、労働基準法関係 が六問、その他実務上の知識や能力関係が七問の 計三〇問だ。
 主な受験者は運送会社の管理者だが、学生が 資格取得を目指すケースもあるという。
その際は、 自動車事故対策機構の全国の支所で「基礎講習」 を受けることで受験が可能になる。
講習は一六時 間。
三日に分けて行われる。
 また、実務経験が五年以上ある人は、同機構が 行う五回の「指導講習」を受講すれば、試験を受 けなくても運行管理者の資格を取得することがで きる。
資格の有効期限はない。
その代わり、国土 交通省が定期的に開催している講習会に参加しな ければならない。
 合格率は通年で四〇〜五〇%台で推移してい る。
試験は毎年二回行われるが、例年第二回の 合格率は第一回より高くなる傾向がある。
例えば、 二〇〇五年度第一回は四〇・五%、第二回は五 三・五%。
〇六年度第一回は三九・八%、第二回 は四四・六%。
〇七年度第一回は三七・九%、第 二回は六九・七%といったように。
一回目の試験 に落ちた受験生が再チャレンジするため、このよ うな結果になると推察される。
 〇八年八月に行われた第一回試験の合格率は 二四・一%で、過去最低の結果になってしまった。
運行管理者試験センターの庄司誠業務課長は「試 験の難易度は例年と変わらない。
確かに試験範囲 は広範で大変だと思う。
けど、それは運行管理者 になる人には幅広い法の知識を持ってもらいたい から。
決して難関ではない」と説明する。
70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 60 50 40 30 20 10 0 (人) (%) 98 年度 99 年度 2000 年度 01 年度 02 年度 03 年度 04 年度 05 年度 06 年度 07 年度 08 年度 第1回 受験者数 合格率 合格者数 ※98 年度〜07 年度は第1回、第2回試験トータルの値となる 運行管理者(貨物)の受験者数、合格者数の推移 資格種類/運営組織 国家資格/運行管理者試験 センター 概要 貨物と旅客の二種類がある。
ここでは貨物 を紹介。
対象は貨物、旅客自動車運送事業を行 う事業者全て 取得方法 筆記試験に合格すること。
出題数は合 計三〇問で、一問一点の三〇点満点。
?貨物自 動車運送事業法、?道路運送車両法、?道路交 通法、?労働基準法、?その他運行管理者の業 務に関し必要な実務上の知識や能力──の五分 野から出題される 合格基準 ?出題分野(右?〜?)それぞれで正 解が最低一問以上であること ?得点が一八点以上(六〇%以上)であること 前回受験者数(合格率) 二万九七九二人(二四・ 一%) 累計合格者数 三八万六六四八人 受験資格 事業用自動車(事業の種別は問わない) の運行に関して、一年以上の実務経験を有する こと。
もしくは自動車事故対策機構が行ってい る基礎講習を修了すること 試験日程 年二回。
例年、第一回の試験は八月の 第四日曜日、第二回は三月の第一日曜日に実施 している 試験地 全国四七都道府県で実施 取得費用 七〇〇〇円(受験料が六〇〇〇円で、受 験申請書が一部一〇〇〇円)。
基礎講習の受講料 は八五〇〇円(テキスト代含む) 難易度 試験の合格率は例年四〇〜五〇%だが、 実務経験が五年以上あれば指導講習の受講だけ でも資格が取れる

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