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2009年2月号
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入江仁之 シスコIBSG マネージングパートナー

3  FEBRUARY 2009 生産性を劇的に上げる ──生産性向上というテーマに経営 コンサルタントとして改めて取り組ん でいるそうですね。
 「日本の労働生産性は先進七カ国 中最下位です。
製造現場は極めて優 秀なのに、ホワイトカラーやサービス 業の生産性が低い。
企業もそうです が日本の政府機関など、いかにも効 率が悪い。
そこに最先端のビジネスモ デルを持ち込んで劇的な生産性向上 を実現したい」 ──コンサルタントとして?  「ただし、コンサルティングフィー は取りません。
私の所属するIBS Gは、インターネット企業のシスコ システムズのコンサルティング部門で、 その役割は顧客の改革を支援して当 社に対するロイヤルティを高めること 入江仁之 シスコIBSG マネージングパートナー ──どうすれば、そうした知識労働 者の生産性を向上できますか。
 「解決策はたくさんありますが基本 は能率性と有効性の向上です。
付加 価値を生まない業務を削減して、顧 客の要望に効果的に対応できる組織 を実現するんです。
例えば、高細密 の映像モニターをインターネットの回 線で結べば、その場にいかなくても 現場を把握し、コミュニケーションを とることができる。
海外からでも現 場をコントロールできる」  「その技術を会議に使えば、必要 な時に必要な人材を集めることがで きる。
社内だけでなくサプライヤー とのコミュニケーションの生産性を飛 躍的に改善できる。
その結果、サプ ライチェーンのコラボレーションの仕 組みが変わります。
あるいは配送ド ライバーに『スマートフォン(コンピ ューターを内蔵した携帯電話)』を配 布して情報武装する」 ──SCMの風景が変わる。
 「そうです。
米国の人気テレビドラ マの『24─TWENTY FOUR─』をご 存じですよね。
CTU(テロ対策ユ ニット)の基地から現場のジャック・ バウアーに必要な情報をリアルタイ ムで送る。
あの世界ですよ」 ──何だか、狐に化かされているよ うな気も‥‥ にあります。
メンバーは戦略コンサル ティングファームのパートナー経験者 ばかりですが、基本的に無料で活動 しています」 ──無料のコンサルティング?  「例えばオバマ政権のICT委員会 の八人のメンバーのうち、二人がI BSGのコンサルタントです。
彼ら は社会インフラの新しいビジョンを政 府に提言し、それを実現していく。
そ の結果、ネットの活用が進めば、シ スコが圧倒的なシェアを握るネット ワーク機器やソリューションの市場規 模も拡大するというわけです。
日本 の政府機関に対しても既に提案を始 めました」 ──しかし、最先端のビジネスモデル と言っても、それほど新しいものが これから出てくるとは思えません。
 「サーバーベースの業務システムを 使って仕事を自動化、合理化すると いうアプローチは確かに成熟しまし た。
しかし、ERPに落とし込めな い仕事、マニュアル化できない仕事、 意志決定などクリエイティブな仕事 に携わっている知識労働者の働き方 や組織のあり方には、向上の余地が まだ膨大に残されています」 ──SCMで言うと?  「在庫の数や金額など、SCMの係 数管理の仕組みは既に多くの会社が 当初のビジョンを達成しているわけで す。
いま問題になっているのは例外 管理です。
システム上の在庫を、本 当に注文に引き当てて良いのか。
製 品不良やミスなどのトラブルは発生 していないのか。
それを判断して意 志決定するところに知識労働者が投 入されて、他のワーカーとコミュニケ ーションをとって対応している」 「SCMの風景は近く一変する」  サプライチェーンの自動化技術は既に成熟した。
いまや数字 で管理できる業務はすべてITと機械が処理してくれる。
次 のテーマは自動化できない意志決定を担う知識労働者の生産 性向上だ。
日本の労働生産性は先進国中最下位にある。
それ だけ改善の余地は大きい。
      (聞き手 大矢昌浩)

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