2009年3月号
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ピーター・メトカーフオリバー・ワイト・アジアパシフィック パートナー

5  MARCH 2009 SCMの閉塞感を打ち破る ──「S&OP」はオリバー・ワイト 社が一九八八年に開発した手法です。
それがなぜ今になって、日本で注目 されているのでしょうか。
 「二つあると思います。
一つは閉塞 感です。
SCMが日本に普及して既 に一〇年近くが経ちますが、現在の SCM担当者は在庫削減に追われる ばかりで、事業計画を見通してギャ ップを解消するという本来の役割を 果たせないでいる。
その突破口をS& OPに求めているのではないでしょ うか。
もう一つ。
これまで日本には、 S&OPについて書かれた書籍や資 料が全くありませんでした。
そのた めS&OPという言葉が、長い間ほ とんど知られてこなかった」 ──S&OPに何が期待できますか。
ピーター・メトカーフ オリバー・ワイト・アジアパシフィック パートナー から始まります。
正確な需要予測と は、一切の制約を配慮せずに弾き出 した最大需要です。
その結果、需要 が生産やロジスティクスのキャパシテ ィよりも大きい場合には、事前にそ の手当てをしておく必要があります。
具体的には、二四カ月単位のS&O P計画を常にローリングさせて環境 の変化に対応し、長期の事業戦略と 短期の計画を結びつけるといったプ ロセスが必要になります」  「会社全体の活動を統合するには、 オペレーションと財務を同じ数字に 基づいて管理し、適切なフォーカス、 頻度で活動を調整しなければなりま せん。
そうした事業戦略と日常のオ ペレーションをリンクさせる戦術が重 要なのです。
そのベストプラクティス を提供するのが我々の役割です」 ──日本企業も製販調整会議等は従 来から行っています。
それとS&O Pは何が違うのでしょうか。
 「大きくは違いません。
日本企業だ って従来から様々なかたちでS&O Pを実施してきたはずです。
ただし、 それが正しいやり方で実行されてい るかどうか。
ベストプラクティスと照 らし合わせることで確認できます。
そ こに問題が隠れているという自覚こ そ、S&OPが日本で注目され始め た理由なのではないでしょうか」  「多くの企業が現在、需要の急減に 襲われています。
SCMを進めたこと で、小さな波には対応できるように なったものの、現在直面している大 波は、従来の手法では対応しようが ない。
従来のSCMの手法は、在庫 を減らしてコストを削減するというア プローチで効率性(efficiency)の向 上を目指すものでした。
それに対し てS&OPは有効性(effectiveness) に着目し、売り上げの拡大を図りま す。
今日のような環境では有効なア プローチだと思います」 ──確かに我々にはSCMで売り上 げを増やそうという発想が、これま であまりありませんでした。
 「S&OPは売り上げ拡大に向けた 活動と明確に結びついています。
通 常、企業は五年間なら五年間の長期 的な事業計画を立てます。
それを年間 の販売計画や予算に落とし込むわけ ですが、従来のやり方では本来のポテ ンシャルを発揮できずに終わってしま う可能性が高い。
事業計画と実行計 画が統合されていないからです」 ──統合とは具体的には?  「S&OPのプロセスは、長期的か つ正確な需要予測を作成するところ 「経営戦略とオペレーションを統合せよ」  経営戦略とSCMのオペレーションを統合する「S&OP(Sales & Operations Planning)」と呼ばれる手法が、欧米の産業界では 広く普及している。
この二月、サプライチェーンカウンシル日本支 部はS&OPのスペシャリストを招き、その全容を初めて日本に 本格的に紹介した。
           (聞き手・大矢昌浩) ●統合管理プロセスの特徴 視野 フォーカス 頻度 基準 成果 関与 意志決定 プロセス 24カ月単位のローリング 4カ月以上 月次 製品群/市場群 ギャップ解消戦略 経営陣と中間管理職 戦略と戦術 戦略と戦術を統合する ためのプロセス 3〜12カ月 2〜3カ月 週次/四半期毎 各SKUと全体 生産調整 中間管理職 短期的戦術 実績を検証する会議 ベストプラクティス平均的な会社 オリバー・ワイト社資料より ●統合管理プロセスの特徴 視野 フォーカス 頻度 基準 成果 関与 意志決定 プロセス 24ヵ月単位のローリング 4ヵ月以上 月次 製品群/市場群 ギャップ解消戦略 経営陣と中間管理職 戦略と戦術 事業計画と戦略を統合するためのプロセス 3〜12ヵ月 2〜3 ヶ月 週次/四半期毎 各SKUと全体 生産調整 中間管理職 短期的戦術 実績を検証する会議 良い会社ダメな会社 Oliver Wight 社資料より

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