2009年4月号
ARC
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グローバルな景気後退はSCP(サプライチェーン・プランニング)市場に甚大な影響を与える
APRIL 2009 88
グローバルな景気後退は
SCP(サプライチェーン・プランニング)市場に甚大な影響を与える
景気後退がSCP市場に与える影響は甚
大である。
二〇〇五年から〇八年の年平均 成長率(CAGR)は十一・三パーセント で、市場規模は一四億ドルに達した。
しか し景気後退の影響を受け〇九年は縮小に転じ、 一〇年にはやや持ち直すものの、これまで のような成長基調に戻るのは十一年になっ てからと予測されている。
結果的に、十三 年までの五年間の伸び(CAGR)は三・四% に過ぎないと思われる。
「SCP( Supply Chain Planning)の世 界市場動向調査」の主著者であるARCサ ービスディレクターのスティーブ・バンカーは 次のように語っている。
「サプライチェーン・ソリューションは不況 下でもっとも重要な課題であるコスト削減に つながるため、企業は引き続きSCPへの投 資をするだろう。
前回の不況時、ソフトウェ アのサプライヤー各社はそのように主張した。
だがそれは誤りであった。
不況下であれ好況 下であれ、新たに事業を始める企業は初めに SCPを導入するし、既に導入している企 業の多くもSCPへの投資を継続するのであ る。
そのためSCPサプライヤーは、必要と される機能と特徴を持つソリューション開発 への投資を止めるわけにはいかない」 ARCでは今後一年でSCP市場は約四 パーセント縮小すると見ている。
もっとも、 四パーセントで収まれば上出来と言ってよい だろう。
前回の不況時には、約一〇パーセン トというもっと大きな減少であった。
過去の経験から言えば、不況時には投資 回収期間が短ければ短いほど良い。
SCP ソリューションのうち、多段階最適化に基づ く在庫最適化という一つのタイプだけが、一 年以内に投資回収をすることができる。
S CPソリューションの大半は投資回収期間が 約二年である。
なかでも売れ筋の生産計画 と需要管理は、不況時には投資回収期間が さらに長くなる。
大規模な不況の発生といったような大き な外的要因がある場合、需要計画ツールで 正確な予測をすることは非常に困難である。
予測精度が回復するのは、不況が数四半期 続いた後になる。
生産計画の投資回収期間 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (百万ドル) SCP の世界市場規模予測 (年) ©2008 ARC Advisory Group 本コーナーでは米国の大手調査会社、A RCアドバイザリーグループの市場調査 報告書について紹介している。
今回はS CP市場の今後五年の見通しについての レポートを取り上げる。
89 APRIL 2009 も長くなる傾向にある。
生産計画の投資回 収上の重要ファクターの一つが処理量の増加 であり、それに伴って処理能力も増加する。
しかし不況時には大概、処理能力は制約に ならない。
そのため頻繁なスケジュール変更 への対応、オーダーペギングの活用、工程在 庫や作業の削減といったことのために、生 産計画を使うことができる。
だがそれでも 生産計画導入の主な動機が失われることに 変わりはない。
ARCでは、財政上の問題でSCP の注文がキャンセルされていると伝え聞 く。
過去の不況時、こうした理由でキ ャンセルが出たという事例は聞いたこと がない。
不況になってもすべての産業が減速するわ けではない。
しかし今回の不況では、SC Pが対象とする主要産業──電機電子、機 械製造、食品飲料、化学、日用雑貨、小売 り──などのいずれにおいてもその影響を免 れないことが判明した。
食品飲料と日用雑 貨については、消費者は食料品や紙おむつ などを買わないわけにはいかないので、他 の産業に比べ影響は少ないと見られる。
ただ、 こうした分野でも消費者は低価格商品を選 択するようになるだろう。
これらを考慮に入れても、なぜ我々AR Cは〇九年にたった四パーセントしか減らな いと考えているのか? 市場の急激な縮小 圧力に対し、保守契約収入が重要な防火壁 となっていると我々は見ている。
ソフトウェ ア販売や導入サービスの収入に比べ、保守契 約収入ははるかに予測可能で安定的なので ある。
現在の全売り上げに対する保守契約 の割合は、過去の不況時よりはるかに高く なっている。
理由はどうあれ、SCPサプライヤー は徐々にSaaS(Software as a Service) モデルへと移行しつつある。
既に移行が 完了したサプライヤーのなかには、不況 下でのSaaSモデルには競争優位性が あるということに気づいたところもあ るだろう。
物流現場改善を専門とするコンサルティング会社、 日本ロジファクトリーが具体的な事例を披露。
手法の説 明だけでなく、クライアントとのやりとりやコンサルタント の心の動きまで、改善プロジェクトの経過をリアルに描 写。
本誌2003年1月号から連載の「事例で学ぶ現場改 善」を加筆修正。
「経営のテコ入れは物流改善から」 青木正一 著 (明日香出版社) \1,890(税込) 2005年3月発行 白トラの一人親方からスタートして、一代で会社を 一部上場企業にまで成長させたオーナー創業者の 一代記。
笑えます!泣けます! 本誌2003年4月号〜2004年11月号に掲載した 「やらまいか̶̶ハマキョウレックスの運送屋繁盛 記」を加筆修正。
「やらまいか!」 大須賀正孝 著(ダイヤモンド社) \1,575(税込) 2005年5月発行 「物流コストを半減せよ!̶Mission」 湯浅和夫 著 (かんき出版) \1,575(税込) 2005年2月発行 物流コンサルティング業界のカリスマが小説形式 のノウハウ本に挑戦。
「大先生」と「美人弟子」「体力 弟子」の3人組が、常識破りの物流理論で、クライア ントの課題を次々に解決。
本誌2002年4月号から連載の「物流コンサル道 場」を単行本化。
二〇〇五年から〇八年の年平均 成長率(CAGR)は十一・三パーセント で、市場規模は一四億ドルに達した。
しか し景気後退の影響を受け〇九年は縮小に転じ、 一〇年にはやや持ち直すものの、これまで のような成長基調に戻るのは十一年になっ てからと予測されている。
結果的に、十三 年までの五年間の伸び(CAGR)は三・四% に過ぎないと思われる。
「SCP( Supply Chain Planning)の世 界市場動向調査」の主著者であるARCサ ービスディレクターのスティーブ・バンカーは 次のように語っている。
「サプライチェーン・ソリューションは不況 下でもっとも重要な課題であるコスト削減に つながるため、企業は引き続きSCPへの投 資をするだろう。
前回の不況時、ソフトウェ アのサプライヤー各社はそのように主張した。
だがそれは誤りであった。
不況下であれ好況 下であれ、新たに事業を始める企業は初めに SCPを導入するし、既に導入している企 業の多くもSCPへの投資を継続するのであ る。
そのためSCPサプライヤーは、必要と される機能と特徴を持つソリューション開発 への投資を止めるわけにはいかない」 ARCでは今後一年でSCP市場は約四 パーセント縮小すると見ている。
もっとも、 四パーセントで収まれば上出来と言ってよい だろう。
前回の不況時には、約一〇パーセン トというもっと大きな減少であった。
過去の経験から言えば、不況時には投資 回収期間が短ければ短いほど良い。
SCP ソリューションのうち、多段階最適化に基づ く在庫最適化という一つのタイプだけが、一 年以内に投資回収をすることができる。
S CPソリューションの大半は投資回収期間が 約二年である。
なかでも売れ筋の生産計画 と需要管理は、不況時には投資回収期間が さらに長くなる。
大規模な不況の発生といったような大き な外的要因がある場合、需要計画ツールで 正確な予測をすることは非常に困難である。
予測精度が回復するのは、不況が数四半期 続いた後になる。
生産計画の投資回収期間 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 2008 2009 2010 2011 2012 2013 (百万ドル) SCP の世界市場規模予測 (年) ©2008 ARC Advisory Group 本コーナーでは米国の大手調査会社、A RCアドバイザリーグループの市場調査 報告書について紹介している。
今回はS CP市場の今後五年の見通しについての レポートを取り上げる。
89 APRIL 2009 も長くなる傾向にある。
生産計画の投資回 収上の重要ファクターの一つが処理量の増加 であり、それに伴って処理能力も増加する。
しかし不況時には大概、処理能力は制約に ならない。
そのため頻繁なスケジュール変更 への対応、オーダーペギングの活用、工程在 庫や作業の削減といったことのために、生 産計画を使うことができる。
だがそれでも 生産計画導入の主な動機が失われることに 変わりはない。
ARCでは、財政上の問題でSCP の注文がキャンセルされていると伝え聞 く。
過去の不況時、こうした理由でキ ャンセルが出たという事例は聞いたこと がない。
不況になってもすべての産業が減速するわ けではない。
しかし今回の不況では、SC Pが対象とする主要産業──電機電子、機 械製造、食品飲料、化学、日用雑貨、小売 り──などのいずれにおいてもその影響を免 れないことが判明した。
食品飲料と日用雑 貨については、消費者は食料品や紙おむつ などを買わないわけにはいかないので、他 の産業に比べ影響は少ないと見られる。
ただ、 こうした分野でも消費者は低価格商品を選 択するようになるだろう。
これらを考慮に入れても、なぜ我々AR Cは〇九年にたった四パーセントしか減らな いと考えているのか? 市場の急激な縮小 圧力に対し、保守契約収入が重要な防火壁 となっていると我々は見ている。
ソフトウェ ア販売や導入サービスの収入に比べ、保守契 約収入ははるかに予測可能で安定的なので ある。
現在の全売り上げに対する保守契約 の割合は、過去の不況時よりはるかに高く なっている。
理由はどうあれ、SCPサプライヤー は徐々にSaaS(Software as a Service) モデルへと移行しつつある。
既に移行が 完了したサプライヤーのなかには、不況 下でのSaaSモデルには競争優位性が あるということに気づいたところもあ るだろう。
物流現場改善を専門とするコンサルティング会社、 日本ロジファクトリーが具体的な事例を披露。
手法の説 明だけでなく、クライアントとのやりとりやコンサルタント の心の動きまで、改善プロジェクトの経過をリアルに描 写。
本誌2003年1月号から連載の「事例で学ぶ現場改 善」を加筆修正。
「経営のテコ入れは物流改善から」 青木正一 著 (明日香出版社) \1,890(税込) 2005年3月発行 白トラの一人親方からスタートして、一代で会社を 一部上場企業にまで成長させたオーナー創業者の 一代記。
笑えます!泣けます! 本誌2003年4月号〜2004年11月号に掲載した 「やらまいか̶̶ハマキョウレックスの運送屋繁盛 記」を加筆修正。
「やらまいか!」 大須賀正孝 著(ダイヤモンド社) \1,575(税込) 2005年5月発行 「物流コストを半減せよ!̶Mission」 湯浅和夫 著 (かんき出版) \1,575(税込) 2005年2月発行 物流コンサルティング業界のカリスマが小説形式 のノウハウ本に挑戦。
「大先生」と「美人弟子」「体力 弟子」の3人組が、常識破りの物流理論で、クライア ントの課題を次々に解決。
本誌2002年4月号から連載の「物流コンサル道 場」を単行本化。
