2009年5月号
NEWS

海外トレンド報告

MAY 2009  58 2009年3月発表分 米YRCワールドワイド 傘下の業務統合などで再建にめど ■同社プレスリリース 3・2など  倒産の瀬戸際にある米国のトラッ ク大手輸送、YRCワールドワイド は、子会社の業務統合やデポの閉鎖 により、従業員を約二三五〇人削 減する。
コスト削減効果は年間二億 ドル以上の見込み。
思い切ったリス トラで再建にめどをつけたい考えだ。
 三月一日付で、傘下のイエロート ランスポートとロードウエイの業務 を統合した。
新たな事業体の名称は 「YRC」。
統合により、二社の全 従業員三万七〇〇〇人の五%強に 当たる二〇〇〇人を削減する計画だ。
一方、センターについては二社が単 独で事業を行うのに比べ、一〇〇カ 所以上増えるという。
 さらに、四月三日までに傘下のU SFホーランドが東海岸に持つデポ 十一か所を閉鎖し、従業員三五〇 人を削減する。
 市場は一連のリストラ策を好感を 持って受けとめており、二ドルを切 っていた同社の株価は三月に入って 上昇し、五ドル近くまで回復してきた。
キューネ+ナーゲル 最高益の中で四五〇〇人削減 ■AFP通信 3・3など  スイスのキューネ+ナーゲルは、 二〇〇八年十二月期決算が過去最 高だったにもかかわらず、全従業員 の一〇%弱に当たる四五〇〇人を削 減すると発表した。
 〇八年十二月時点の同社の従業 員数は五万四〇〇〇人だったが、既 に一月中に一八〇〇人を解雇した。
クラウス・ミハエル・キューネ会長 は「当面の間、貨物取扱量の減少 が続くだろう。
当社は厳格なコスト 管理と業務の効率化で対応していき たい」と語った。
英ロイヤルメールの経営トップ TNTのCEOを名指しで非難 ■カーディアン紙 3・9など  ロイヤルメールの経営トップ、ア ダム・クロージア氏は、オランダの TNTがロイヤルメール傘下の国際 宅配業者、ジェネラル・ロジスティ クス・システムズ(GLS)から「不 当に」荷主を奪っていると非難した。
クロージア氏の政府関係者あての 電子メールで明らかになったもので、 TNTのピーター・バッカーCEO (最高経営責任者)の実名を挙げて いた。
 クロージア氏は同メールで「GL Sの報告によると、同社の複数の大 手荷主がTNTからアプローチを受 けており、その中でTNTはGLS を買収することになっていると吹聴 している。
例えばポーランドの大手 荷主は、バッカーCEOから直接こ うした内容のメールを受け取ってい る」と書いている。
GLSは一時 期売却対象として名前が挙がったが、 その後英国政府は同社の高収益を理 由に対象から外していた。
 一方、T N Tはガーディアン紙 の取材に対して、同社が「不正に」 ロイヤルメールの荷主にアプローチ した事実はない、と反論している。
 政府は現在、ロイヤルメールの経 営再建策の一つとして、株式の三〇% を売却し一部民営化する方向を打ち 出しており、TNTはこれまで株式 売却先の筆頭とみられていた。
 しかし英国内には、郵便事業と いう国のインフラを外国資本に売却 することに対して根強い反発がある。
今回、ロイヤルメールのトップがT NTのトップを名指しで非難したこ とで、政府は今後一層難しいかじ取 りを迫られることになる。
米コンウェイ 一億ドル規模のコスト削減 ■同社プレスリリース 3・ 11  米国の大手トラック輸送業者コン ウェイは、人件費の削減を柱とする コスト削減計画を発表した。
二〇〇 九年一月〜二月期、主力の特別積み 合わせ部門の物量が前年同期に比べ 一〇%以上の減少となったことを受 け、確定拠出年金「401k」へ の積み立ての一時停止、役員と従業 員の給与カットなどを実施する。
総 額一億〜一億三〇〇〇万ドル(九八 億円〜一二七億四〇〇〇万円)を 削減する計画。
ドイツポスト 社名変更し物流と郵便事業に注力 ■同社プレスリリース 3・ 11  ドイツポストのフランク・アペ ルCEOは、同社の中期経営計画 「戦略二〇一五」を発表した。
今後、 社名を「ドイツポストDHL」に変 更し、物流事業業務と郵便事業に 注力する。
 社名変更は傘下の金融機関ポスト バンクをドイツ銀行に売却するため。
計画では二〇一五年までに売上高を 毎年一〜二%伸ばしていくとしてい る。
ロジスティクス業務ではより高 品質なサービスの提供を戦略の柱と し、郵便事業では電子技術を使った 新しい付加価値サービスを拡充する という。
仏ジオディス 同業者の二部門を買収 ■同社プレスリリース 3・ 13 59  MAY 2009 為替レート:1ドル=98円、1ユーロ= 130円  フランス国鉄傘下のロジスティク ス業者ジオディスは、フランスの同 業他社の「ジロー・アンテルナショ ナル(Giraud International)」のうち、 鉄鋼輸送部門と中欧・東欧輸送部 門の二部門を買収する。
二部門とも に貸切輸送業者で、直近の売上高 は合計一億二七〇〇万ユーロ(一六 五億一〇〇〇万円)。
 鉄鋼輸送部門の最大の荷主はアル セロール・ミタル。
売上高のほぼ半 分を占める。
中欧・東欧輸送部門 の主要荷主は米ユニリーバや米キャ タピラーなど。
両部門の従業員数は 計四〇〇人弱で、トラクターとトレ ーラー六〇〇台を保有する。
 ジロー・アンテルナショナルは二 〇〇五年にフランスの投資ファンド によって買収されていた。
英テスコ センター業務を一部内製化 ■ロジスティクス・インテリジェンス 3・ 18 など  英国の小売最大手、テスコは、物 流センター業務の一部を内製化する ことを決めた。
三月末で英国中央部 のノーザンプトンシャーにある「フ ァーストウェー物流センター」の利 用を打ち切った。
これを受け、同セ ンターを運営していたDHLエクセ ルサプライチェーンは三〇〇人の従 業員のうち一五〇人を解雇し、一五 〇人を配置転換で吸収した。
 同センターの取扱貨物は冷蔵商品 と鉄道貨物だった。
テスコは同セン ターではアイテム数と物量の増加に 対応しきれないと判断し、利用停止 を決めたという。
同社の広報担当者 は「今回の決定は全社的にSCM戦 略を見直した結果であり、センター の業務内容に問題があったからでは ない」と強調。
今後、同センターで の業務をどこに移管するのかについ ては明らかにしていない。
 大手小売業や製造業は過去二〇 年近くにわたり、ロジスティクス業 務の外部委託を進めてきた。
英国 はそうした動きの発祥の地だったが、 その英国の小売り最大手が一部にし てもロジスティクス業務を内製化し たことは、今後、同業他社やメーカ ーの動きに影響しそうだ。
フェデックスが米下院の法案に反発 ボーイング機の発注撤回か ■AP通信社 3・ 26 など  フェデックスは、ボーイングに発 注していた貨物機三〇機の発注を撤 回する可能性を示唆している。
現在、 米下院で審議中の法案が成立すれば、 フェデックスの従業員がこれまでの 鉄道労働法( The Railway Labor Act)ではなく、全米労働関係法(The National Labor Relations Act)の 適用を受けるのに反発。
発注先のエ アバスへの変更もチラつかせている。
 鉄道労働法と全米労働関係法の 最も大きな違いは、組合活動に関す る規制の多寡にある。
 全米労働関係法は、従業員が地 域ごとに組合を組織することを認め ている。
鉄道労働法でも従業員は組 合を作ることはできるが、組合員が 投票によって懸案事項を決定する際 には、全組合員による一斉投票が条 件になる。
このため、支店や地域ご との組合活動が大きく制限される。
 フェデックスの従業員の組織化を 進めてきたチームスターズ(全米ト ラック運転手組合)は、法案が成立 すればフェデックスが?一人親方? として契約してきたドライバーにと って、地域ごとでこれまで以上に自 由な組合活動が可能になり、その結 果、フェデックスは年間四億二六〇 〇万ドル(四一七億四八〇〇万円) の支出増に追い込まれるだろうとし ている。
 またブルームバーグは、組合活動 が活発になれば、フェデックスは過 去にさかのぼり、未払い金として二 五億ドル(二四五〇億円)を支出し なければならない可能性がでてくる、 と指摘する。
 フェデックスは一九七〇年代の創 業以来、従業員は鉄道労働法の範 疇に入るとされてきた。
鉄道労働法 は名称に「鉄道」とあっても、今で は航空機の業務に直接かかわる従業 員に適用される。
フェデックスの配 送ドライバーや物流センターの作業 員は、航空機の業務とは直接関係な いにもかかわらず、これまで鉄道労 働法の適用を受けると規定されてき た。
 一方、UPSは陸上輸送のトラッ ク業者として発足したために、同社 の従業員は全米労働関係法の範疇に 入るとされてきた。
 一機当たりの価格が二億二五〇 〇万ドル(二二〇億五〇〇〇万円) に上るボーイングの貨物機三〇機は、 ボーイングとエンジンを製造するゼ ネラル・エレクトリックで数千人分 の雇用を生み出すといわれている。
 フェデックスは、従業員の組合活 動の規則の分類が変更となれば経営 上の負担が増すことになり、ボーイ ングからの貨物機購入は難しくなる、 と主張。
欧州のエアバスへの発注先 変更を切り札として、下院に圧力を かける狙いのようだ。
   フェデックスの広報担当者、モー リー・レーン氏は「当社の(ボーイ ングへの貨物機の発注キャンセルを 検討するという)決定は、議会の破 壊的な決定を基に考えた慎重な判断 だ。
議会に米国内の雇用を減らすの ではなく、増やす機会を与えるもの だ」と語った。

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