2009年5月号
値段
値段
川崎汽船
MAY 2009 44
〇八年度3Qは八二%の経常減益
我が国の大手海運会社は、二〇〇三年以降
の過去五年以上にわたり、世界景気の拡大に
伴う貿易規模拡大とともに収益規模を急激に
伸張させてきた。
それが昨秋以降、突然の需 要減少に直面している。
グローバル経済環境 は想像を超えるスピードで悪化し、取扱数量 の減少、需給ギャップ拡大を背景とする市況 急落により、収益トレンドは鋭角的に悪化し ている。
川崎汽船は日本郵船、商船三井に次いで我 が国海運大手三社の一角を占めるが、コンテ ナ事業の収益ウェイトが相対的に高い。
スポ ット輸送と長期輸送からなり、一定の安定利 益が見込める非コンテナ事業(鉄鉱石や石炭 など固体のばら積み貨物を輸送するドライバ ルク、タンカーなど)に比べ、一般的にコン テナ事業は需給状況やマーケット心理を反映 しやすく収益変動が大きいとされる。
こうし たことなどから、川崎汽船は株式市場では相 対的にボラティリティ(株価変動性)の高い 銘柄として認識されるケースが多い。
ドライバルク市況が本格的に上昇し始める 以前の〇二年度と〇七年度の利益水準を比較 すると、経常利益規模は日本郵船が約四倍、 商船三井が約九倍、川崎汽船は約五倍にそれ ぞれ拡大した。
一方、株価上昇率は、本格的 に上昇し始めた〇二年一〇月時点から〇七年 秋のピークにかけて、日本郵船が約三倍、商 船三井が約九倍であったのに対し、川崎汽船 は実に約十一倍への上昇を記録したのである。
もっともボラティリティが高いということ は、収益トレンドの改善過程において大幅な 株価上昇が見込まれる反面、収益悪化局面に おいては株価下落リスクが増幅されるという ことであり、現状は将にそうした状況下にあ る。
〇七年一〇月の高値から現在(三月一 九日)までの株価下落率は日本郵船が七〇%、 商船三井が七六%に対し川崎汽船は八三%に 達している。
実際の収益見通しとして、川崎汽船が他の 二社と比較してより厳しい状況にあるのかど うかを検証したい。
まず、事業環境が順風か ら逆風に転じた〇八年度第3四半期(〇八年 一〇〜十二月)の決算状況をみてみよう。
〇八年度第3四半期経常利益の前年同期 比増減率は、日本郵船の五二%減、商船三井 の六三%減に対し、川崎汽船は八二%減と最 も減益幅が大きかった。
また、各社の第4四 半期(〇九年一〜三月)経常損益予想を比較 川崎汽船 コンテナ事業の赤字解消が大きな課題 分離・合弁会社化など抜本的な対策を 日本郵船、商船三井と比べて収益の落ち込 みが激しい。
コンテナ事業への依存度が高く、 同事業の低迷を非コンテナ事業でカバーしづ らいためだ。
海運需要の低迷が続けばコンテ ナ事業の赤字は大きな重しとなる。
これまで よりも踏み込んだ経営判断が求められている。
板王亮 クレディ・スイス証券 株式調査部 第49回 45 MAY 2009 すると、各社とも経常赤字予想だが、予想赤 字幅は日本郵船の一一一億円、商船三井の九 三億円に対し、川崎汽船は一四七億円と実額 ベースでも最も大きな赤字計上を予想してい る。
各社が想定する事業環境の前提に差があ ることを考慮しても、川崎汽船の収益性が相 対的に脆弱であることを否定するのは難しい。
一〇年度に赤字転落の可能性も 海運業界の事業環境を見渡すと、コンテナ、 ドライバルク、タンカーなどほぼすべての分野 で状況は悪化している。
コンテナ事業も厳し い環境であるが、過去五年間にわたる海運各 社の利益拡大の立役者であったドライバルク 事業の市況悪化はコンテナ以上に厳しい。
ド ライバルクを代表するケープサイズ(積載重量 一五万〜一七万トン前後の大型ばら積み船) 市況は現状、〇七年度平均を八〇%以上下回 る水準に低下している。
商船三井のドライバルクの事業規模は川崎 汽船の二倍以上だ。
事業環境を考えれば、商 船三井の収支悪化の方が川崎汽船よりも深刻 ではないかと思われるのだが、実際は必ずし もそうとはいえない。
なぜだろうか。
端的にいえは、コンテナ事業の見込み赤字 額が極めて大きいためである。
川崎汽船は〇 八年度通期はコンテナ事業で三三八億円の経 常赤字を見込んでいる(〇七年度実績は四七 億円の黒字)。
過去数年のように、ドライバルク事業が空 前の利益を生み出していた状況下では、コン テナ事業が数百億円規模の赤字を計上しても 全体としてのインパクトはそれほど大きくな かったといえるが、今後、ドライバルクを始 めとする非コンテナ事業の収益性が〇三年以 前の状況に戻っていくとなればコンテナ事業 の大幅赤字は大問題である。
単純化して考えてみよう。
川崎汽船の〇八 年度予想経常利益は六七〇億円。
コンテナ部 門は三三八億円の赤字であるから、コンテナ 以外の予想利益は一〇〇八億円である。
〇九 年度のコンテナ部門の赤字額が変わらず、非 コンテナ収益が半減すれば経常利益全体では 七五%減の一六六億円となる。
一〇年度も同 額のコンテナ赤字が続き、非コンテナ収益が さらに半減すると仮定すれば、経常損益は八 六億円の赤字に転じてしまう。
同様のシミュレーションを商船三井に当て はめると、〇九年度の経常利益減少率は五 四%、一〇年度も五八%と大幅な減益になる とはいえ、なお四〇〇億円以上の経常利益を 残すことができる。
問題なのは、非コンテナ部門の収支がこの ような悪化傾向をたどる可能性が、現実的な 問題となりつつあるということである。
株価の世界では赤字か黒字かは極めて大き な意味を持つ。
例えば、代表的なバリュエーシ ョン指標であるPER(株価収益率:株価÷ 一株当たり純利益)の場合、分母が〇以下に なるため株価がいくらになっても計算不能と なり、株価の下値めどが測り難くなるのであ る。
コンテナ船は供給過剰が続く 川崎汽船にとっては、コンテナ事業の赤字 解消が喫緊の経営課題となるのであるが、そ のプロセスは確立されているのだろうか? 筆 者の見解では、特に外部環境からみて短期的 な赤字解消のハードルはかなり高そうだ。
二大コンテナ航路であるアジア─北米、ア ジア─欧州間の荷動きは前年比マイナスで推 移しており、特に欧州航路では今後マイナス (円) 図1 川崎汽船の過去10年間の株価推移 《出来高》 幅がさらに拡大する可能性が高いと思われる。
世界の主要コンテナ船社はほぼ例外なく赤字 採算となるなかで、航海スピードの減速やサ ービスの減便、迂回(アジア─欧州航路でス エズ運河経由から喜望峰回りに変更など)、係 船などによってスペース供給量を削減し、何 とか消席率(利用率)の低下を食い止めてい る状況だ。
今年四月の欧州航路運賃交渉、五月の北米 航路運賃交渉では揃って値上げに動く公算が 大きい。
しかし、当面の運賃下落に歯止めが かかったとしても需給関係そのものが容易に 改善するとは考えにくい。
現状ある世界のコンテナ船のうち、一割以 上が係船などの待機状態にあると伝えられて いる。
加えて今後二〜三年にわたり、年間一 〇%以上のペースで新造船竣工による供給拡 大が見込まれている。
コンテナ船の場合、主 要航路に投入される大型船は船齢の若いもの がほとんどで、スクラップによる供給削減も 見込みにくい。
すなわち、需要面でよほどの 急回復が見られない限り、本質的な供給過剰 が続くとみられるためである。
事業統合すれば世界トップクラス 川崎汽船では〇九年度、コンテナ事業で一 五〇億円規模のコスト削減を計画している。
安定収益源の拡大に向け、オフショア船(洋 上の石油・ガス田の開発を支援する専用船) への投資拡大も予定している。
しかし、安定 収益の厚みを増すには相応の投資と時間が必 要である。
コンテナ事業の不安定な収益性に 由来する株価面でのディスカウント傾向は継 続する可能性が高いだろう。
同社は〇四年度からコンテナ事業の収支を 公表しているが、〇七年度までの四年間の累 計経常利益は六七〇億円強。
〇八年度は三三 八億円の経常赤字が見込まれており、同額の 赤字が〇九年度も続けばその時点で累計利益 は消滅する。
現体制で安定的な利益計上への道筋が見通 せないのであれば、同事業のスピンオフなど も経営の選択肢として真剣に考慮すべきかも しれない。
日本郵船、商船三井の二社も同様 の構造問題に苦しんでいるとすれば、三社の 事業を集約して合弁企業化することは必ずし も非現実的とはいえまい。
三社のコンテナ船の運航規模(TEUベー ス)を単純合算すれば世界のトップ3となり (図2)、理論的には装置産業に重要な規模の メリットをとりつつリスクの分散化も図れる。
一方で三社はドライバルクなどの分野では世 界的にみてもそれぞれトップクラスのオペレ ーターであり、コンテナ事業を切り離したと しても存在感が薄れることはないと思われる。
海運業界は国内、海外を問わず合併・買収を 繰り返してきた業界である。
これまでより踏 み込んだ経営判断が求められる局面に差し掛 かりつつあることは確かであろう。
MAY 2009 46 ハンブルク│シュド 陽明海運 川崎汽船 OOCL 韓進海運 商船三井 日本郵船 APL COSCO ハパックロイド エバーグリーン CMA-CGM MSC マースクライン 200 150 100 50 0 (単位:万TEU) 注:08年10 月時点。
自社船、用船の合計。
MDSトランスモーダル“Container Shipping Data”より作成 図2 コンテナ輸送大手の船隊規模(TEU ベース)と邦社3 社の合計値 日本郵船+商船三井 +川崎汽船 CSCL (中国海運) いたざき おおすけ 一九八 八年三月神戸市外国語大学 卒。
同年四月岡三証券入社。
その後、シュローダー証券、I NGベアリング証券を経て、 二〇〇一年二月にクレディ・ スイス証券に入社。
八八年以 来、運輸セクターを中心にア ナリスト活動を展開している。
著者プロフィール
それが昨秋以降、突然の需 要減少に直面している。
グローバル経済環境 は想像を超えるスピードで悪化し、取扱数量 の減少、需給ギャップ拡大を背景とする市況 急落により、収益トレンドは鋭角的に悪化し ている。
川崎汽船は日本郵船、商船三井に次いで我 が国海運大手三社の一角を占めるが、コンテ ナ事業の収益ウェイトが相対的に高い。
スポ ット輸送と長期輸送からなり、一定の安定利 益が見込める非コンテナ事業(鉄鉱石や石炭 など固体のばら積み貨物を輸送するドライバ ルク、タンカーなど)に比べ、一般的にコン テナ事業は需給状況やマーケット心理を反映 しやすく収益変動が大きいとされる。
こうし たことなどから、川崎汽船は株式市場では相 対的にボラティリティ(株価変動性)の高い 銘柄として認識されるケースが多い。
ドライバルク市況が本格的に上昇し始める 以前の〇二年度と〇七年度の利益水準を比較 すると、経常利益規模は日本郵船が約四倍、 商船三井が約九倍、川崎汽船は約五倍にそれ ぞれ拡大した。
一方、株価上昇率は、本格的 に上昇し始めた〇二年一〇月時点から〇七年 秋のピークにかけて、日本郵船が約三倍、商 船三井が約九倍であったのに対し、川崎汽船 は実に約十一倍への上昇を記録したのである。
もっともボラティリティが高いということ は、収益トレンドの改善過程において大幅な 株価上昇が見込まれる反面、収益悪化局面に おいては株価下落リスクが増幅されるという ことであり、現状は将にそうした状況下にあ る。
〇七年一〇月の高値から現在(三月一 九日)までの株価下落率は日本郵船が七〇%、 商船三井が七六%に対し川崎汽船は八三%に 達している。
実際の収益見通しとして、川崎汽船が他の 二社と比較してより厳しい状況にあるのかど うかを検証したい。
まず、事業環境が順風か ら逆風に転じた〇八年度第3四半期(〇八年 一〇〜十二月)の決算状況をみてみよう。
〇八年度第3四半期経常利益の前年同期 比増減率は、日本郵船の五二%減、商船三井 の六三%減に対し、川崎汽船は八二%減と最 も減益幅が大きかった。
また、各社の第4四 半期(〇九年一〜三月)経常損益予想を比較 川崎汽船 コンテナ事業の赤字解消が大きな課題 分離・合弁会社化など抜本的な対策を 日本郵船、商船三井と比べて収益の落ち込 みが激しい。
コンテナ事業への依存度が高く、 同事業の低迷を非コンテナ事業でカバーしづ らいためだ。
海運需要の低迷が続けばコンテ ナ事業の赤字は大きな重しとなる。
これまで よりも踏み込んだ経営判断が求められている。
板王亮 クレディ・スイス証券 株式調査部 第49回 45 MAY 2009 すると、各社とも経常赤字予想だが、予想赤 字幅は日本郵船の一一一億円、商船三井の九 三億円に対し、川崎汽船は一四七億円と実額 ベースでも最も大きな赤字計上を予想してい る。
各社が想定する事業環境の前提に差があ ることを考慮しても、川崎汽船の収益性が相 対的に脆弱であることを否定するのは難しい。
一〇年度に赤字転落の可能性も 海運業界の事業環境を見渡すと、コンテナ、 ドライバルク、タンカーなどほぼすべての分野 で状況は悪化している。
コンテナ事業も厳し い環境であるが、過去五年間にわたる海運各 社の利益拡大の立役者であったドライバルク 事業の市況悪化はコンテナ以上に厳しい。
ド ライバルクを代表するケープサイズ(積載重量 一五万〜一七万トン前後の大型ばら積み船) 市況は現状、〇七年度平均を八〇%以上下回 る水準に低下している。
商船三井のドライバルクの事業規模は川崎 汽船の二倍以上だ。
事業環境を考えれば、商 船三井の収支悪化の方が川崎汽船よりも深刻 ではないかと思われるのだが、実際は必ずし もそうとはいえない。
なぜだろうか。
端的にいえは、コンテナ事業の見込み赤字 額が極めて大きいためである。
川崎汽船は〇 八年度通期はコンテナ事業で三三八億円の経 常赤字を見込んでいる(〇七年度実績は四七 億円の黒字)。
過去数年のように、ドライバルク事業が空 前の利益を生み出していた状況下では、コン テナ事業が数百億円規模の赤字を計上しても 全体としてのインパクトはそれほど大きくな かったといえるが、今後、ドライバルクを始 めとする非コンテナ事業の収益性が〇三年以 前の状況に戻っていくとなればコンテナ事業 の大幅赤字は大問題である。
単純化して考えてみよう。
川崎汽船の〇八 年度予想経常利益は六七〇億円。
コンテナ部 門は三三八億円の赤字であるから、コンテナ 以外の予想利益は一〇〇八億円である。
〇九 年度のコンテナ部門の赤字額が変わらず、非 コンテナ収益が半減すれば経常利益全体では 七五%減の一六六億円となる。
一〇年度も同 額のコンテナ赤字が続き、非コンテナ収益が さらに半減すると仮定すれば、経常損益は八 六億円の赤字に転じてしまう。
同様のシミュレーションを商船三井に当て はめると、〇九年度の経常利益減少率は五 四%、一〇年度も五八%と大幅な減益になる とはいえ、なお四〇〇億円以上の経常利益を 残すことができる。
問題なのは、非コンテナ部門の収支がこの ような悪化傾向をたどる可能性が、現実的な 問題となりつつあるということである。
株価の世界では赤字か黒字かは極めて大き な意味を持つ。
例えば、代表的なバリュエーシ ョン指標であるPER(株価収益率:株価÷ 一株当たり純利益)の場合、分母が〇以下に なるため株価がいくらになっても計算不能と なり、株価の下値めどが測り難くなるのであ る。
コンテナ船は供給過剰が続く 川崎汽船にとっては、コンテナ事業の赤字 解消が喫緊の経営課題となるのであるが、そ のプロセスは確立されているのだろうか? 筆 者の見解では、特に外部環境からみて短期的 な赤字解消のハードルはかなり高そうだ。
二大コンテナ航路であるアジア─北米、ア ジア─欧州間の荷動きは前年比マイナスで推 移しており、特に欧州航路では今後マイナス (円) 図1 川崎汽船の過去10年間の株価推移 《出来高》 幅がさらに拡大する可能性が高いと思われる。
世界の主要コンテナ船社はほぼ例外なく赤字 採算となるなかで、航海スピードの減速やサ ービスの減便、迂回(アジア─欧州航路でス エズ運河経由から喜望峰回りに変更など)、係 船などによってスペース供給量を削減し、何 とか消席率(利用率)の低下を食い止めてい る状況だ。
今年四月の欧州航路運賃交渉、五月の北米 航路運賃交渉では揃って値上げに動く公算が 大きい。
しかし、当面の運賃下落に歯止めが かかったとしても需給関係そのものが容易に 改善するとは考えにくい。
現状ある世界のコンテナ船のうち、一割以 上が係船などの待機状態にあると伝えられて いる。
加えて今後二〜三年にわたり、年間一 〇%以上のペースで新造船竣工による供給拡 大が見込まれている。
コンテナ船の場合、主 要航路に投入される大型船は船齢の若いもの がほとんどで、スクラップによる供給削減も 見込みにくい。
すなわち、需要面でよほどの 急回復が見られない限り、本質的な供給過剰 が続くとみられるためである。
事業統合すれば世界トップクラス 川崎汽船では〇九年度、コンテナ事業で一 五〇億円規模のコスト削減を計画している。
安定収益源の拡大に向け、オフショア船(洋 上の石油・ガス田の開発を支援する専用船) への投資拡大も予定している。
しかし、安定 収益の厚みを増すには相応の投資と時間が必 要である。
コンテナ事業の不安定な収益性に 由来する株価面でのディスカウント傾向は継 続する可能性が高いだろう。
同社は〇四年度からコンテナ事業の収支を 公表しているが、〇七年度までの四年間の累 計経常利益は六七〇億円強。
〇八年度は三三 八億円の経常赤字が見込まれており、同額の 赤字が〇九年度も続けばその時点で累計利益 は消滅する。
現体制で安定的な利益計上への道筋が見通 せないのであれば、同事業のスピンオフなど も経営の選択肢として真剣に考慮すべきかも しれない。
日本郵船、商船三井の二社も同様 の構造問題に苦しんでいるとすれば、三社の 事業を集約して合弁企業化することは必ずし も非現実的とはいえまい。
三社のコンテナ船の運航規模(TEUベー ス)を単純合算すれば世界のトップ3となり (図2)、理論的には装置産業に重要な規模の メリットをとりつつリスクの分散化も図れる。
一方で三社はドライバルクなどの分野では世 界的にみてもそれぞれトップクラスのオペレ ーターであり、コンテナ事業を切り離したと しても存在感が薄れることはないと思われる。
海運業界は国内、海外を問わず合併・買収を 繰り返してきた業界である。
これまでより踏 み込んだ経営判断が求められる局面に差し掛 かりつつあることは確かであろう。
MAY 2009 46 ハンブルク│シュド 陽明海運 川崎汽船 OOCL 韓進海運 商船三井 日本郵船 APL COSCO ハパックロイド エバーグリーン CMA-CGM MSC マースクライン 200 150 100 50 0 (単位:万TEU) 注:08年10 月時点。
自社船、用船の合計。
MDSトランスモーダル“Container Shipping Data”より作成 図2 コンテナ輸送大手の船隊規模(TEU ベース)と邦社3 社の合計値 日本郵船+商船三井 +川崎汽船 CSCL (中国海運) いたざき おおすけ 一九八 八年三月神戸市外国語大学 卒。
同年四月岡三証券入社。
その後、シュローダー証券、I NGベアリング証券を経て、 二〇〇一年二月にクレディ・ スイス証券に入社。
八八年以 来、運輸セクターを中心にア ナリスト活動を展開している。
著者プロフィール
