2009年9月号
ケース
ケース
ファンケル 物流拠点
SEPTEMBER 2009 46
物流拠点
ファンケル
ICタグを実用化した新センターが安定稼働
先端プロジェクトの苦闘と残された課題
住宅メーカーの積水ハウスは業界で初めて、新築
施工現場で発生する廃棄物のゼロエミッションを達
成した。
現場で分別を行い、集荷拠点を経由して 自社のリサイクル施設に回収する仕組みを作ること で、廃棄物の発生量を大幅に削減した。
さらに部 材の設計段階から発生抑制を図るため、回収時に ICタグで廃棄物情報を収集するシステムの構築を めざしている。
WMSの開発が間に合わない 化粧品や健康食品を製造・販売するファン ケルは昨年八月、千葉県柏市に「関東物流セ ンター」を稼働した。
それまで八カ所に分散 していた常温品の拠点を一カ所に集約。
当日 出荷の強化や宅配時の荷分かれを解消するこ とでサービスレベルを向上すると共に、物流 コストの削減を狙った。
ファンケルの投資額は事前のコンサル費用 なども含めて約十二億円。
建物とマテハンに ついては3PLパートナーの日立物流が別に 約一〇億円を投じ、これをファンケルがリー スで利用するという体制になっている。
新センターの構築に当たってファンケルの物 流部門は、WMSやマテハンごと3PLに委 託する一般的なアウトソーシングのかたちを とらなかった。
作業領域ごとに異なる協力会 社と直接契約を交わし、現場運営は日立物流、 マテハンはダイフク、WMSはNECを選ん だ(本誌〇七年九月号参照)。
ファンケルをトップに、日立物流、ダイフ ク、NECの三社が並列に位置するかたちで、 二〇〇六年三月に?四社共同プロジェクト? を発足させた。
ここに別途、契約した物流コ ンサルタントも参加して、新たな物流センタ ーの構築を進めた。
スタートから約一年後、プロジェクトは想 定外の問題に直面した。
NECによるWMS の開発が間に合わず、全体のスケジュールが 遅れてしまうことが判明したのである。
NECをパートナーに選んだ理由は、同社 が持つ「エクスプランナーLg」というWM Sパッケージを活用するメリットを見込んだか らだ。
既製品をベースにすれば、短期間で安 定したシステムを立ち上げられるという判断 があった。
ところが実際には、要件定義の段 階で壁に突き当たってしまった。
ファンケルは四つの異なる流通チャネルを運 営している。
主力とする通信販売、直営店販 売、卸売販売、海外販売である。
各チャネル によって出荷やピッキングの指示や方法が異 なることから、既存のパッケージを大幅に手 直ししなければ使えないことが分かった。
在庫管理や入出荷管理といった共通業務を 処理する基幹システムに、直接それらの機能 を組み込むには少なくともあと半年は必要だ った。
各チャネルに対応する機能をサブシス テムとして開発しパッケージと接続する方法 でも、当初の予定より稼働時期が二カ月遅れ ることを覚悟しなければならない。
物流プロジェクトを牽引してきたファンケル のカスタマーサービスユニット物流企画グルー 8カ所に分散していた常温品の物流拠点をすべて 集約し、昨年8月に「関東物流センター」を稼働さ せた。
1万4000枚のICタグを導入した最先端拠点だ。
ICタグの本格的な実用化という前例のないプロジェ クトを軌道に乗せるためには、多くの難題をクリア する必要があった。
カスタマーサービスユニット 物流企画グループの永坂順二 マネージャー 47 SEPTEMBER 2009 プの永坂順二マネージャーは、苦渋の選択を 迫られた。
「本来は共通システムとして作り込 めれば一番よかった。
だが、それよりもとに かくプロジェクトを前進させなければならな かった」と永坂氏。
結局、計八個のサブシス テムを外付けする方法を選んだ。
当初の稼働予定だった昨年六月の時点で、 ダイフクによるマテハンの設置や、日立物流 による建物や設備、そして庫内作業のための 人材の準備は万端だった。
しかし、WMSの 開発が遅れたことで、新センターの稼働日は 八月十一日にずれ込んでしまった。
その後、ファンケルにとって年間のピーク 期である一〇月末からのお歳暮シーズンに間 に合わせるため、旧拠点からの移行作業を急 ピッチで実施。
一〇月一六日に何とか本稼働 にこぎつけることができた。
一万四〇〇〇枚のICタグを活用 幸い稼働してからは、新センターは一度も 止まることなく順調に動いている。
本稼働か らほどなく突入したお歳暮シーズンも無事に 乗り切った。
昨年末で終結させる予定だった プロジェクトは少し延長したものの、今年三 月末には解散した。
分散していた物流拠点を集約し、アウトソ ーシングの領域を拡大したことで、物流部門 のスリム化も実現した。
主に現場業務に携わ っていた人員を圧縮し、旧体制では二〇人以 上いたファンケルの物流担当者は七人(正社 員は五人)まで減った。
現場の作業者も八カ 所合計で約三〇〇人いたのが、新センターで は一三〇人を切るレベルになっている。
それ だけ省力化を進めた。
総延長二・八キロのコンベヤライン、八四 〇〇間口のケース自動倉庫、通販品を仕分け るデジタル・ピッキング・システム、そのD PSラインに自動補充する仕組み、委託宅配 業者別に荷物を仕分けるソーター──。
パレ ットラックによる保管エリアを除けば、セン ター内のかなりの部分を自動化した。
そして、コンベヤラインは合計一万四〇〇 〇枚のICタグで制御されている。
このセン ターの最大の特徴だ。
近年、物流分野におけ るICタグの活用はさまざまな意味で注目さ れてきた。
だが多くは実証実験の域を出てい ない。
コスト負担力の大きい高級品の管理な どの事例はあっても、一般的な物流センター での成功例はほとんど聞こえてこない。
これに対してファンケルのセンターは一万 四〇〇〇個のICタグと、一六四個のリーダ ー/ライターを駆使して製品のピッキングや仕 分けを実施している。
バーコードで管理して いたマテハン制御のかなりの部分をICタグ に置き換えた。
コスト効率の関係で、入出庫 業務や自動倉庫の制御などまだバーコードを 使っている部分もあるが、数少ないICタグ の実用化事例だ。
現にこのセンターは関連業 界からおおいに注目され、すでに六〇〇人を 超す見学者を受け入れているという。
新センターでICタグを使うというアイデ アは、ベンダー側からの提案ではなく、ファ ンケルが自ら掲げた方針だ。
ICタグの活用 ファンケル「関東物流センター」の概要 所在地:千葉県柏市、建物:6階建て延べ床面積 約3万6000?(ファンケル使用分は約1万6000 ?)、取扱品目:約2,500、業務量:1日に1万 7000件余りを処理(通販16000件、直営店舗 向け250件、量販店向け700件、卸売り150件 など)、現場運営会社:日立物流、WMS:NEC、 マテハン:ダイフク 4 社による拠点構築プロジェクトのスケジュール 2007 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 ダイフク PJ team NEC PJ team FANCL PJ team 日立物流 PJ team 1 2 3 4 5 6 7 8 詳細 計画 設計・製造 /開発 据付 工事 要件定義概要設計 新物流センター建築 RFID開発 製造 詳細 設計 事前連携テスト 結合テスト 総合テスト 2008 SEPTEMBER 2009 48 が?ファンケルらしい挑戦的な課題?にふさ わしいと考えた。
〇六年三月に同社が社内プロジェクトを立 ち上げ、半年かけて物流改革の青写真を作っ たときに、すでにICタグの活用を決めてい た。
このとき物流センターの見学などを重ね て、バケット(庫内専用ケース)にタグを添 付してコンベヤを制御するのであれば実用化 できるという手応えを掴んでいた。
コンベヤ上を移動するバケットは軌道が安 定しているため、データの読み取りも比較的 容易だ。
電波の到達距離の短いHF帯(一 三・五六メガヘルツ)のタグでも十分に使え ると判断して、UHF帯のタグに注目が集ま りつつあった中で、あえて技術的に安定期に 入っていたHF帯のタグを選択した。
パートナーを選ぶときにも、「まずはマテハ ンベンダーから最初に決めた。
当時、ICタ グを活用する技術を確立していたマテハンメ ーカーはなかった。
われわれと一緒に取り組 むことを前提に良い提案をしてくれたダイフ クさんを選んだ」と永坂マネージャー。
そのダイフクを、ICタグのプロである大 日本印刷がバックアップするという体制を構 築。
WMSの要件定義が終わった〇七年八月 から、制御システムの設計と開発に入った。
数万回に上るテストを繰り返す 多少のリスクを承知で選んだやり方だった だけに、課題は山積していた。
読み取り精度 各エリアのバケットを同期化 製品を4階の保管エリアへ 画面に従って全数検品 保管エリアでケースピッキング 容量計算に基づき梱包 通販品の低頻度ピッキング 大型製品のピッキングライン バケットのICタグに情報付加 運送会社別に仕分け 通販品の高頻度ピッキング 8400間口のケース自動倉庫 ICタグ付きバケットの送り出し 関東物流センターの鳥瞰図 4F 店舗・流通・海外ピッキングライン 店舗・流通・海外整列ライン 店舗・流通・海外検品ライン 通販検品ライン 通販ペラ・冊子ピッキングライン 通販SA 品ピッキングライン 通販AB 品ピッキングライン 通販大物ピッキングライン 通販C 品ピッキングライン 通販オーダースタートライン パレットラック パレットラック ケース自動倉庫 自動補充システム タクト式DPS パレットラック 運送会社別ソーター 入出荷場 3F 1F 49 SEPTEMBER 2009 りの機能を実現できた。
処理能力の向上によ って、従来は一五時三〇分までに受注しな ければ同日中に出荷できなかった締め時間を、 一七時三〇分まで延長できた。
これによって 当日出荷の割合は従来の七八%から八八%に 向上した。
誤出荷率も〇・〇三%から〇・〇 一%以下に抑制できるようになった。
残された課題 ただし、プロジェクトで試算していた「年 間物流コストの二億円削減」という目標につ いては苦戦を強いられている。
最大の誤算は、 売上高の伸び悩みだ。
自動化機器を多用した このセンターは従来比で二倍、一日四万件の 出荷能力を持っている。
しかも「かなりシス テマチックな構成になっている。
このため作 業者の生産性を高めるなどの現場の努力で運 営コストを改善できる余地が少ない」と永坂 マネージャーは明かす。
ファンケルの単体売上高は、二〇〇〇年か ら〇六年三月期までは毎年平均六〜七%ずつ 伸びていた。
仮にそのままのペースなら、今 期は九〇〇億円程度になっていた計算だ。
し かし現実には、成長は〇七年三月期の七六五 億円をピークに頭打ちとなり、〇九年三月期 の売上高は七三八億円となっている。
今期も 大幅な伸びは期待できそうにない。
独特の役割分担によって、3PLとしての 日立物流が継続的なコスト削減を実現しにく い構図が生まれている点も見逃せない。
この センターで日立物流は、建物・設備のオーナ ーと、現場の運営業者という二つの役割を担 っている。
これは同社が一般的に手掛けてい る3PL案件の包括的な受託とはかなり異な っている。
ファンケルをはじめとする関係四 社が共同でプロジェクトを進めてきた経緯が あるとはいえ、現場作業の生産性を高めるだ けのコスト削減には限界がある。
結果として、今期の物流コストの見込みは、 「現状では約一億円程度の削減」にとどまっ ている。
もちろん現場改善などを通じた努力 は続けるし、工夫の余地もまだ残されている。
しかし物量が低迷するなかで、大幅にコスト 削減を上積みするのは簡単ではなさそうだ。
(フリージャーナリスト・岡山宏之) とコンベヤスピードの関係、アンテナとタグの 向きの問題、二段重ねのバケットにそれぞれ 付けられたタグの同時の読み取り──こうし た課題を一つずつクリアしていく必要があっ た。
大日本印刷が都内に構えるラボに機材と ファンケルの商品を持ち込み、一〇カ月間で 数万回に上るテストを繰り返した。
庫内作業で使うハンディターミナルについ ても、ICタグに対応した機種が必要だった。
当初は、端末が大きすぎる、画面が小さい、 重いといった難点ばかりが目立ち、満足でき る機種はなかった。
結局、端末メーカーのフ ルノに特注した。
バーコードとICタグの両 方を同じように読め、しかも使い勝手が既存 の機種に劣らない端末を六五台導入した。
ICタグだけでは作業者が目視で情報を確 認できないという問題も解決しなければなら なかった。
これにはまずタグに五ケタの固有ナ ンバーを振ることで対応した。
そして工程上、 作業者が荷物の内容まで理解している必要の ある業務については、「リライタブルタグ」と 呼ばれるICタグを採用した。
小売りチェー ンが顧客に配布するポイントカードなどで使 われる技術で文字を電子的に書いたり消した りできるツールである。
一枚あたり約五〇〇 円したが約四〇〇〇枚導入した。
綿密な準備の甲斐あって、ICタグを駆使 した新センターが実現した。
すでに本稼働か ら一〇カ月経ったが、大きな問題は発生して いない。
センター全体としても、ほぼ予定通 桁数の多いバーコード ピックタクト方式を採用 特注したハンディ端末 リライタブルのタグを活用 ICタグだけではない先進設備の数々
現場で分別を行い、集荷拠点を経由して 自社のリサイクル施設に回収する仕組みを作ること で、廃棄物の発生量を大幅に削減した。
さらに部 材の設計段階から発生抑制を図るため、回収時に ICタグで廃棄物情報を収集するシステムの構築を めざしている。
WMSの開発が間に合わない 化粧品や健康食品を製造・販売するファン ケルは昨年八月、千葉県柏市に「関東物流セ ンター」を稼働した。
それまで八カ所に分散 していた常温品の拠点を一カ所に集約。
当日 出荷の強化や宅配時の荷分かれを解消するこ とでサービスレベルを向上すると共に、物流 コストの削減を狙った。
ファンケルの投資額は事前のコンサル費用 なども含めて約十二億円。
建物とマテハンに ついては3PLパートナーの日立物流が別に 約一〇億円を投じ、これをファンケルがリー スで利用するという体制になっている。
新センターの構築に当たってファンケルの物 流部門は、WMSやマテハンごと3PLに委 託する一般的なアウトソーシングのかたちを とらなかった。
作業領域ごとに異なる協力会 社と直接契約を交わし、現場運営は日立物流、 マテハンはダイフク、WMSはNECを選ん だ(本誌〇七年九月号参照)。
ファンケルをトップに、日立物流、ダイフ ク、NECの三社が並列に位置するかたちで、 二〇〇六年三月に?四社共同プロジェクト? を発足させた。
ここに別途、契約した物流コ ンサルタントも参加して、新たな物流センタ ーの構築を進めた。
スタートから約一年後、プロジェクトは想 定外の問題に直面した。
NECによるWMS の開発が間に合わず、全体のスケジュールが 遅れてしまうことが判明したのである。
NECをパートナーに選んだ理由は、同社 が持つ「エクスプランナーLg」というWM Sパッケージを活用するメリットを見込んだか らだ。
既製品をベースにすれば、短期間で安 定したシステムを立ち上げられるという判断 があった。
ところが実際には、要件定義の段 階で壁に突き当たってしまった。
ファンケルは四つの異なる流通チャネルを運 営している。
主力とする通信販売、直営店販 売、卸売販売、海外販売である。
各チャネル によって出荷やピッキングの指示や方法が異 なることから、既存のパッケージを大幅に手 直ししなければ使えないことが分かった。
在庫管理や入出荷管理といった共通業務を 処理する基幹システムに、直接それらの機能 を組み込むには少なくともあと半年は必要だ った。
各チャネルに対応する機能をサブシス テムとして開発しパッケージと接続する方法 でも、当初の予定より稼働時期が二カ月遅れ ることを覚悟しなければならない。
物流プロジェクトを牽引してきたファンケル のカスタマーサービスユニット物流企画グルー 8カ所に分散していた常温品の物流拠点をすべて 集約し、昨年8月に「関東物流センター」を稼働さ せた。
1万4000枚のICタグを導入した最先端拠点だ。
ICタグの本格的な実用化という前例のないプロジェ クトを軌道に乗せるためには、多くの難題をクリア する必要があった。
カスタマーサービスユニット 物流企画グループの永坂順二 マネージャー 47 SEPTEMBER 2009 プの永坂順二マネージャーは、苦渋の選択を 迫られた。
「本来は共通システムとして作り込 めれば一番よかった。
だが、それよりもとに かくプロジェクトを前進させなければならな かった」と永坂氏。
結局、計八個のサブシス テムを外付けする方法を選んだ。
当初の稼働予定だった昨年六月の時点で、 ダイフクによるマテハンの設置や、日立物流 による建物や設備、そして庫内作業のための 人材の準備は万端だった。
しかし、WMSの 開発が遅れたことで、新センターの稼働日は 八月十一日にずれ込んでしまった。
その後、ファンケルにとって年間のピーク 期である一〇月末からのお歳暮シーズンに間 に合わせるため、旧拠点からの移行作業を急 ピッチで実施。
一〇月一六日に何とか本稼働 にこぎつけることができた。
一万四〇〇〇枚のICタグを活用 幸い稼働してからは、新センターは一度も 止まることなく順調に動いている。
本稼働か らほどなく突入したお歳暮シーズンも無事に 乗り切った。
昨年末で終結させる予定だった プロジェクトは少し延長したものの、今年三 月末には解散した。
分散していた物流拠点を集約し、アウトソ ーシングの領域を拡大したことで、物流部門 のスリム化も実現した。
主に現場業務に携わ っていた人員を圧縮し、旧体制では二〇人以 上いたファンケルの物流担当者は七人(正社 員は五人)まで減った。
現場の作業者も八カ 所合計で約三〇〇人いたのが、新センターで は一三〇人を切るレベルになっている。
それ だけ省力化を進めた。
総延長二・八キロのコンベヤライン、八四 〇〇間口のケース自動倉庫、通販品を仕分け るデジタル・ピッキング・システム、そのD PSラインに自動補充する仕組み、委託宅配 業者別に荷物を仕分けるソーター──。
パレ ットラックによる保管エリアを除けば、セン ター内のかなりの部分を自動化した。
そして、コンベヤラインは合計一万四〇〇 〇枚のICタグで制御されている。
このセン ターの最大の特徴だ。
近年、物流分野におけ るICタグの活用はさまざまな意味で注目さ れてきた。
だが多くは実証実験の域を出てい ない。
コスト負担力の大きい高級品の管理な どの事例はあっても、一般的な物流センター での成功例はほとんど聞こえてこない。
これに対してファンケルのセンターは一万 四〇〇〇個のICタグと、一六四個のリーダ ー/ライターを駆使して製品のピッキングや仕 分けを実施している。
バーコードで管理して いたマテハン制御のかなりの部分をICタグ に置き換えた。
コスト効率の関係で、入出庫 業務や自動倉庫の制御などまだバーコードを 使っている部分もあるが、数少ないICタグ の実用化事例だ。
現にこのセンターは関連業 界からおおいに注目され、すでに六〇〇人を 超す見学者を受け入れているという。
新センターでICタグを使うというアイデ アは、ベンダー側からの提案ではなく、ファ ンケルが自ら掲げた方針だ。
ICタグの活用 ファンケル「関東物流センター」の概要 所在地:千葉県柏市、建物:6階建て延べ床面積 約3万6000?(ファンケル使用分は約1万6000 ?)、取扱品目:約2,500、業務量:1日に1万 7000件余りを処理(通販16000件、直営店舗 向け250件、量販店向け700件、卸売り150件 など)、現場運営会社:日立物流、WMS:NEC、 マテハン:ダイフク 4 社による拠点構築プロジェクトのスケジュール 2007 3 4 5 6 7 8 9 10 1112 ダイフク PJ team NEC PJ team FANCL PJ team 日立物流 PJ team 1 2 3 4 5 6 7 8 詳細 計画 設計・製造 /開発 据付 工事 要件定義概要設計 新物流センター建築 RFID開発 製造 詳細 設計 事前連携テスト 結合テスト 総合テスト 2008 SEPTEMBER 2009 48 が?ファンケルらしい挑戦的な課題?にふさ わしいと考えた。
〇六年三月に同社が社内プロジェクトを立 ち上げ、半年かけて物流改革の青写真を作っ たときに、すでにICタグの活用を決めてい た。
このとき物流センターの見学などを重ね て、バケット(庫内専用ケース)にタグを添 付してコンベヤを制御するのであれば実用化 できるという手応えを掴んでいた。
コンベヤ上を移動するバケットは軌道が安 定しているため、データの読み取りも比較的 容易だ。
電波の到達距離の短いHF帯(一 三・五六メガヘルツ)のタグでも十分に使え ると判断して、UHF帯のタグに注目が集ま りつつあった中で、あえて技術的に安定期に 入っていたHF帯のタグを選択した。
パートナーを選ぶときにも、「まずはマテハ ンベンダーから最初に決めた。
当時、ICタ グを活用する技術を確立していたマテハンメ ーカーはなかった。
われわれと一緒に取り組 むことを前提に良い提案をしてくれたダイフ クさんを選んだ」と永坂マネージャー。
そのダイフクを、ICタグのプロである大 日本印刷がバックアップするという体制を構 築。
WMSの要件定義が終わった〇七年八月 から、制御システムの設計と開発に入った。
数万回に上るテストを繰り返す 多少のリスクを承知で選んだやり方だった だけに、課題は山積していた。
読み取り精度 各エリアのバケットを同期化 製品を4階の保管エリアへ 画面に従って全数検品 保管エリアでケースピッキング 容量計算に基づき梱包 通販品の低頻度ピッキング 大型製品のピッキングライン バケットのICタグに情報付加 運送会社別に仕分け 通販品の高頻度ピッキング 8400間口のケース自動倉庫 ICタグ付きバケットの送り出し 関東物流センターの鳥瞰図 4F 店舗・流通・海外ピッキングライン 店舗・流通・海外整列ライン 店舗・流通・海外検品ライン 通販検品ライン 通販ペラ・冊子ピッキングライン 通販SA 品ピッキングライン 通販AB 品ピッキングライン 通販大物ピッキングライン 通販C 品ピッキングライン 通販オーダースタートライン パレットラック パレットラック ケース自動倉庫 自動補充システム タクト式DPS パレットラック 運送会社別ソーター 入出荷場 3F 1F 49 SEPTEMBER 2009 りの機能を実現できた。
処理能力の向上によ って、従来は一五時三〇分までに受注しな ければ同日中に出荷できなかった締め時間を、 一七時三〇分まで延長できた。
これによって 当日出荷の割合は従来の七八%から八八%に 向上した。
誤出荷率も〇・〇三%から〇・〇 一%以下に抑制できるようになった。
残された課題 ただし、プロジェクトで試算していた「年 間物流コストの二億円削減」という目標につ いては苦戦を強いられている。
最大の誤算は、 売上高の伸び悩みだ。
自動化機器を多用した このセンターは従来比で二倍、一日四万件の 出荷能力を持っている。
しかも「かなりシス テマチックな構成になっている。
このため作 業者の生産性を高めるなどの現場の努力で運 営コストを改善できる余地が少ない」と永坂 マネージャーは明かす。
ファンケルの単体売上高は、二〇〇〇年か ら〇六年三月期までは毎年平均六〜七%ずつ 伸びていた。
仮にそのままのペースなら、今 期は九〇〇億円程度になっていた計算だ。
し かし現実には、成長は〇七年三月期の七六五 億円をピークに頭打ちとなり、〇九年三月期 の売上高は七三八億円となっている。
今期も 大幅な伸びは期待できそうにない。
独特の役割分担によって、3PLとしての 日立物流が継続的なコスト削減を実現しにく い構図が生まれている点も見逃せない。
この センターで日立物流は、建物・設備のオーナ ーと、現場の運営業者という二つの役割を担 っている。
これは同社が一般的に手掛けてい る3PL案件の包括的な受託とはかなり異な っている。
ファンケルをはじめとする関係四 社が共同でプロジェクトを進めてきた経緯が あるとはいえ、現場作業の生産性を高めるだ けのコスト削減には限界がある。
結果として、今期の物流コストの見込みは、 「現状では約一億円程度の削減」にとどまっ ている。
もちろん現場改善などを通じた努力 は続けるし、工夫の余地もまだ残されている。
しかし物量が低迷するなかで、大幅にコスト 削減を上積みするのは簡単ではなさそうだ。
(フリージャーナリスト・岡山宏之) とコンベヤスピードの関係、アンテナとタグの 向きの問題、二段重ねのバケットにそれぞれ 付けられたタグの同時の読み取り──こうし た課題を一つずつクリアしていく必要があっ た。
大日本印刷が都内に構えるラボに機材と ファンケルの商品を持ち込み、一〇カ月間で 数万回に上るテストを繰り返した。
庫内作業で使うハンディターミナルについ ても、ICタグに対応した機種が必要だった。
当初は、端末が大きすぎる、画面が小さい、 重いといった難点ばかりが目立ち、満足でき る機種はなかった。
結局、端末メーカーのフ ルノに特注した。
バーコードとICタグの両 方を同じように読め、しかも使い勝手が既存 の機種に劣らない端末を六五台導入した。
ICタグだけでは作業者が目視で情報を確 認できないという問題も解決しなければなら なかった。
これにはまずタグに五ケタの固有ナ ンバーを振ることで対応した。
そして工程上、 作業者が荷物の内容まで理解している必要の ある業務については、「リライタブルタグ」と 呼ばれるICタグを採用した。
小売りチェー ンが顧客に配布するポイントカードなどで使 われる技術で文字を電子的に書いたり消した りできるツールである。
一枚あたり約五〇〇 円したが約四〇〇〇枚導入した。
綿密な準備の甲斐あって、ICタグを駆使 した新センターが実現した。
すでに本稼働か ら一〇カ月経ったが、大きな問題は発生して いない。
センター全体としても、ほぼ予定通 桁数の多いバーコード ピックタクト方式を採用 特注したハンディ端末 リライタブルのタグを活用 ICタグだけではない先進設備の数々
