2009年9月号
ケース
ケース
米UPS 金融危機
SEPTEMBER 2009 54
金融危機
米UPS
稼ぎ頭の米国内宅配便の利益率が半減
グローバル事業は中国最優先が鮮明に
住宅メーカーの積水ハウスは業界で初めて、新築
施工現場で発生する廃棄物のゼロエミッションを達
成した。
現場で分別を行い、集荷拠点を経由して 自社のリサイクル施設に回収する仕組みを作ること で、廃棄物の発生量を大幅に削減した。
さらに部 材の設計段階から発生抑制を図るため、回収時に ICタグで廃棄物情報を収集するシステムの構築を めざしている。
〇九年に入って利益が半減 米UPSは七月、二〇〇九年度第2四半 期(四〜六月)の決算を発表した。
売上高は 一〇八億二九〇〇万ドル(一兆二八七億五五 〇〇万円)で前年同期比一六・七%減。
営業 利益は八億九五〇〇万ドルで同三八・四%減。
最終利益は同四九%減の四億四五〇〇万ド ルという大幅な減収減益となった。
潜在株式 調整後の一株当たりの利益も、〇・四四ドル (同四八・二%減)とほぼ半減した(図1)。
決算説明会で、同社のスコット・デイビ ス会長兼CEOは、「第2四半期の数字は、 (米国内外の)厳しい経済環境をはっきりと 示す結果となった」と語った。
全体の業績の足を引っ張っているのは、売 上高の六割強を占める米国内の宅配便部門の 落ち込みだ。
物量が前年同期比で四・六%の 減少となった。
DHLが米国内の市場から撤 退したことを受けて、航空宅配便はほぼ横這 いを維持したものの、陸上宅配便が五・四% 落ち込んだ(図2)。
宅配便一個当たりの収入は七・八%減少し た。
その原因として同社は、燃料サーチャー ジが下がったこと、一個当たりの貨物の重量 が減ったこと、貨物が安い商品群に流れたこ と──などを挙げている。
カート・キューン CFO(最高財務責任者)は、「米国の景気 が後退しているにもかかわらず、運賃は採算 割れする水準までは落ちていない。
しかし依 然として値下げ要請は強い」という。
過去五年の同社の決算数字をみると、全体 の営業利益率は〇五年の一四・四%をピーク として、〇八年度は十一・六%にまで落ちて いる(図3、営業利益率には各期とも特別損 失を除いて調整した数字を用いている)。
さらに過去一年の四半期ごとの営業利益率 の推移をみると、利益率が昨年の世界同時不 況を境として急速に悪化したことがはっきり としてくる(図4)。
〇八年の第3四半期に は、全体で十二%台だった営業利益率が〇九 年の第1四半期と第2四半期には八%台にま で下がっている。
とりわけ営業利益率の落ち込みが顕著なの が、先に挙げた主力事業の国内宅配便部門 で、一年間で営業利益率は半分のレベルにま で落ち込んでいる。
これに対して国際宅配便 部門は、売上高こそ国内宅配便と同様に大幅 な減少となっているが、営業利益率という点 ではまだ十三%という高い水準を維持してい る。
国際宅配便部門の物量は、〇九年第1四 半期まで前年同期比で一%台の減少で済んで UPSの業績は2009年に入り急落している。
主力 である米国内宅配便部門の営業利益率が半減し、国 際宅配便でも物量が大きく落ち込んでいる。
業務効 率化を進めると同時に、投資案件を絞り込み、手元 資金の積み増しに動く。
ただし、中国ビジネスは最 優先事項として投資を継続する。
スコット・デイビス会長兼 CEO 55 SEPTEMBER 2009 いた。
それが第2四半期にはマイナス五%台 に悪化している。
貨物一個当たりの収入も、 第1四半期が一五%台の減少で、第2四半 期が一七%台の減少だ。
これは為替の変動に 加えて、アジアや欧州でも昨年秋以来の世界 同時不況の影響がでているため、と同社は見 ている。
国内宅配便をテコ入れ 今後の見通しについてキューンCFOは、 「米国内や国際ビジネスの落ち込みは、一段 落してきた感がある。
しかし取扱量は前年の レベルと比べると、まだ低いままにとどまる だろう。
いつビジネスが上向き始めるのかは、 現時点ではまだ見えてこない」と語っている。
そのため財務面では投資案件を絞り込んで いる。
〇九年上半期の投資額は六億ドル台に とどまっている。
過去三年間において、年間 の投資額が二六〜三〇億ドルという水準であ ったのに対して、半分以下の数字だ。
そのか わり手元資金を積み増した。
〇九年上半期は 二億ドル近く増やして合計で二七億ドルのフ リー・キャッシュフローを確保した。
デイビスCEOは「最終利益で四〇%台の 減収となりながらも、キャッシュフローを増 やしている企業は決して多くはない。
この点 は、強調しても強調しすぎることはない」と 胸を張る。
国内宅配便部門の業務効率化としては、こ れまでに総労働時間の七%削減、トラックの 図2 第2 四半期の宅配便の物量と収入 米国内宅配便 翌日配達の航空宅配 2、3 日かけて輸送する航空宅配 陸上宅配 米国内合計 国際宅配 輸入 輸出 合計 総合計 1,180 ‐0.3% 17.41 -20.0% 879 0.1% 11.59 -17.5% 10,406 -5.4% 7.24 -3.5% 12,465 -4.6% 8.51 -7.8% 1,079 -4.3% 6.92 -19.7% 740 -7.3% 35.41 -15.7% 1,819 -5.5% 18.51 -17.6% 14,284 -4.7% 9.78 -10.5% (注1)物量は一日当たりの平均の数値で、単位は1000 個。
(注2)収入は貨物一個当たりで、単位はドル。
(注3)増減率は、前年度同期比の数字。
物量 増減率 収入 増減率 図1 UPS の2009 年第2 四半期の決算数字 売上高 前年同期比増減率 米国内宅配便 67 億8900 万ドル -12.0% 国際宅配便 22 億4600 万ドル -23.8% サプライチェーン&フレイト 17 億9400 万ドル -23.3% 総売上高 108 億2900 万ドル -16.7% 営業経費 給与と福利厚生 63 億3000 万ドル -2.9% その他 36 億400 万ドル -28.3% 総営業経費 99 億3400 万ドル -14.0% 営業利益 米国内宅配便 4 億7600 万ドル -47.1% 国際宅配便 2 億9300 万ドル -28.0% サプライチェーン&フレイト 1 億2600 万ドル -14.9% 総営業利益 8 億9500 万ドル -38.4% その他の支出入 投資 ▲2200 万ドル ─ 利子 ▲1 億8100 万ドル 74.0% 支出入の合計 ▲2 億300 万ドル 125.6% 税引き前利益 6 億9200 万ドル -49.3% 法人税 2 億4700 万ドル -49.7% 最終利益 4 億4500 万ドル -49.0% 潜在株式調整後後一株当たりの利益 0.44ドル -48.2% 図3 UPS の過去5 年の業績の推移 売上高 36,582 42,581 47,547 49,692 51,486 最終利益 3,333 3,870 4,202 382 3,003 営業利益率 13.6% 14.4% 14.0% 14.1%(注1) 11.6%(注2) (注1)特別損失を修正した営業利益の数字。
2007年度には、61億ドルのチー ムスターの組合員の年金の払い額などの一回だけの支出が発生した。
そ れを含めると、営業利益率は1.2%。
(注2)特別損失を修正した営業利益率の数字。
2008 年度には、フレイト部門の 「のれん代」などの一回だけの支出が発生した。
それを含めると10.5%と なる。
2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 (単位:百万ドル) 図4 UPSの四半期ごとの利益率の推移 16 14 12 10 8 6 4 2 0 (%) (注)各部門の営業利益には、特別損失を除いて調整した数字 を用いた。
14.2 11.7 10.9 13.1 12.4 5.6 14.9 13.1 13.0 8.1 8.2 8.3 7.0 7.0 2.6 2.3 国際宅配便 合 計 米国内宅配便 サプライチェーン&フレイト 08年 第3四半期 08年 第4四半期 09年 第1四半期 09年 第2四半期 SEPTEMBER 2009 56 走行距離五%削減、飛行機の運航時間六% 削減等のコスト削減策を実施している。
業務の効率化と並行して、サービスの向上 策も打った。
第1四半期には、朝一〇時半ま での配達先を、郵便番号で二万三〇〇〇件 以上の地域にまで広げた。
さらに第2四半期 には、「UPSアドバンテージ・セールス・プ ログラム」を立ち上げ、同社の商品が信頼性 やスピード、技術の面で同業他社と比べて優 れていることを盛んにピーアールしている。
投資を絞り込む中でも、総額一〇億ドルを 予定しているケンタッキー州ルイビルのハブ空 港「ワールドポート」への拡張工事への投資 については継続している。
七月には一部の仕 分け施設の拡張工事が終わった。
従来と比べ て一五%の能力増となる一時間で三五万個の パッケージを仕分ける能力を備えた。
二〇一〇年に最終的な拡張工事が終われば、 一時間に四一万六〇〇〇個のパッケージの仕 分け能力を持つことになる。
米国内のパッケ ージを「ワールドポート」に集中させることで、 UPSのネットワークの効率化を図る。
加え て、これまでより大型の貨物機を飛ばすこと で、一層のコストダウンを図る考えだ。
また、同社は一月に米国市場から撤退した ドイツポストDHLの貨物の半分以上を取り 込んだとする。
DHLの貨物の単価は、UP Sと比べ一〇%前後安かったために、取り込 んだすべての貨物を同じ商品群に置き換える ことはできなかった。
しかしDHLが米国市 柱とする。
過去五年にわたって年間営業利益 率が五%を超えたことがないため、UPSの 「お荷物」とされてきた部門だ。
〇九年第1四半期も営業利益率は二%台 だった。
それが第2四半期では七%に跳ね上 がった。
同部門のうちロジスティクス部門は、 運賃負担力の高い医療産業とハイテク産業に 的を絞って貨物をとりこんできたのが功を奏 してきたと、キューンCFOは分析する。
「ロジスティクス部門は過去半年においてタ ーゲットを絞り込むことに大いに成功してきた。
ハイテク産業と医療産業において非常に魅力 的なソリューションを生み出してきた。
また、 場で一定のシェアを握っていたことを 考えると、その撤退が景気後退とい う逆風のなかでUPSの国内部門の底 上げにつながったことは確かだ。
同社の広報担当のノーマン・ブラッ ク氏によると、DHLが米国市場か ら撤退したことは、国内の宅配便だ けでなく、国外の宅配便の取り込みに もつながっているという。
むしろ「U PSにとって、DHL撤退の本当の 意味は、米国以外の地域におけるD HLの顧客が、DHLとの取引をや めて国際的なネットワークで強みを持 つUPSに乗り換えようとしている点 にある」 しかし、UPSやフェデックスの国 内宅配便事業の物量は従来から米国 のGDP(国内総生産)や鉱業生産指数の景 気動向に密接に連動している。
そのため米国 の景気回復が本格化するまで、国内宅配便事 業の業績が大きく回復することは難しいとみ られている。
3PL部門とLTLは収益性が改善 一方で明るい材料もある。
過去一年で、部門ごとの営業利益率を大き く改善しているのが、サプライチェーン&フレ イト部門だ。
この部門は、ロジスティクス業 務とLTL(Less Than Truckload:日本の 特別積み合わせ貨物輸送に相当)業務を二本 図5 UPS の2009 年上半期の決算数字 売上高 前年同期比増減率 米国内宅配便 137 億3800 万ドル -11.1% 国際宅配便 44 億8600 万ドル -21.4% サプライチェーン&フレイト 35 億4300 万ドル -21.6% 総売上高 217 億6700 万ドル -15.2% 営業経費 給与と福利厚生 126 億6200 万ドル -2.8% その他 74 億9200 万ドル -22.8% 総営業経費 201 億5400 万ドル -11.3% 営業利益 米国内宅配便 8 億6000 万ドル -53.7% 国際宅配便 5 億8700 万ドル -29.1% サプライチェーン&フレイト 1 億6600 万ドル -36.4% 総営業利益 16 億1300 万ドル -45.3% その他の支出入 投資 -900 万ドル ─ 利子 -2 億6300 万ドル 10.5% 支出入の合計 -2 億7200 万ドル 62.9% 税引き前利益 13 億4100 万ドル -51.8% 法人税 4 億9500 万ドル -50.5% 最終利益 8 億4600 万ドル -52.4% 潜在株式調整後の一株当たり利益 0.84ドル -51.2% 57 SEPTEMBER 2009 には、荷主企業がパッケージを使うときでも、 LTLを使うときでも、リアルタイムで全体 最適ができるように手助けするように訓練を してきた」 労使ともストライキの余裕はない UPSの経営を考える上で、避けて通るこ とができないのが同社と全米トラック運転手 組合「チームスターズ」との関係だ。
米国内 の従業員三四万人強のうち約二四万人がチー ムスターズに所属している。
ライバルである フェデックスとの比較において、これまでU PSにおけるチームスターズの存在は同社の 人件費増につながっており、経営の重荷にな っていると指摘されてきた。
実際、九七年の労働契約更新の際には、土 壇場までチームスターズとの交渉がまとまら ずに、一五日間にわたるストライキにつなが った。
このストのために、七億ドル以上の売 上高の減少を余儀なくされただけでなく、こ のとき多くの荷主が同業他社に流れた。
〇六年度に、チームスターズとの新たな労 働協約を結んだときにも、四万五〇〇〇人の 従業員が「セントラルステーツ複数企業年金 制度」から脱退したことに関連して、六一億 ドルを支払っている。
この支払いがなければ、 四〇億ドルを超える最終利益が出ていたはず だが、この支出のために、実際の最終利益は 十分の一以下の三億ドル台に落ち込んだ。
こうしたUPSとチームスターズとの関係 を否定的にとらえる見方に対し、ブラック氏 はこう反論する。
「九七年のストは、UPSの一〇五年の歴 史の中で唯一のストだ。
ストを経験してわれ われが学んだことは、UPSもチームスター ズももう二度とストを行う余裕はないという ことだ。
もう一度ストが起これば、荷主企業 はライバルに流れていく。
だから〇二年の契 約更新時には、期限より二カ月早く更新にこ ぎつけたし、〇八年の契約更新には一〇カ月 前から準備にあたり万全を期した」 「〇六年度に支払った六一億ドルについて 言えば、UPSとチームスターズの双方にメ リットがある?Win─Win?の支払いだ った。
UPSは四万五〇〇〇人の従業員の 年金をよりよい制度のものに移行することで、 将来の支出を低く抑えることができた。
また、 先の年金制度は財政危機に直面しており、そ のまま加入していても将来の年金額が減るこ とが予測されたため、チームスターズにとっ てもプラスになった」 UPSの米国内のドライバーの平均給与は 新しい業務を受注する際は、事前に、将来に わたり高い利益率を確保できるかどうかを厳 しく精査してから引き受けることにした。
い くつかの拠点を縮小したり、業務の効率化も 図った。
それが今期の高い利益率につながっ ている」 LTLにおいても同様に、以前からの取り 組みが実を結びつつあるとキューンCFOは 説明する。
「LTLにおいても、永続的で、同業他社 と差異化できるようなサービス作りに取り組ん できた。
とくに荷主企業との情報技術を結ぶ ことに(積極的に)投資してきた。
その結果、 現在では、世界の約五〇万社の荷主が、(コ ンピュータ上で)自動的に貨物を追跡できる 仕組みが出来上がった。
また当社の営業マン カート・キューンCFO 図6 UPS の組織図 ※一部割愛 UPS UPSエアライン 通関 陸上業務 米国業務 各国での業務 輸出業務 国際業務 UPSサプライチェーン・ソリューションズ ロジスティクス&輸送 輸送&フレイト フォワーディング業務 国際貿易サービス サプライチェーン&フレイト UPSグランド・フレイト LTL業務 貸切業務 約七万五〇〇〇ドル(福利厚生などを除いた 額)と、業界一の高さにある。
UPSは、高 い給与水準を堅持していることが質の高いド ライバーを確保しサービス品質を維持するこ とにつながっているとする。
UPSがチームスターズという?縛り?が ある中で経営してきたのに対して、フェデッ クスはこれまで、組合活動の影響をほとんど 受けることなく自由度の高い経営を行うこと ができた。
UPSとは異なり、組合活動に対 する制約の大きな鉄道労働法が適用されてき たからだ。
しかし今年五月、米下院で、フェデック スにもUPSと同じ全米労働関係法(The National Labor Relations Act)を適用すべ きだとして、フェデックスの従業員が従来よ り自由に組合活動のできる法案が可決された。
現在、上院での審議が進んでいる(本号六九 が多いところにハブ拠点を構えることで内部 のコストダウンにつながる」(ブラック氏)とい う狙いだ。
現在のUPSにとって、日本はアジア戦略 の重要な一部という位置づけだ。
日本国内の 業務において、UPSは一九九〇年にヤマト 運輸(現・ヤマトホールディングス)と合弁で ヤマトUPSを設立した。
しかし二〇〇四年 に合弁を解消して、新たにUPSジャパンを 設立し、独自路線に踏み出している。
これについてブラック氏は「合弁関係は解 消したけれども、依然としてヤマトとは良好 な関係を継続している」という。
実際、ヨー ロッパや北米向けの宅急便の航空輸送は現在 もUPSが請け負っている。
また、UPSも 日本国内で貨物量の薄い地域への配送をヤマ トに委託している。
しかし、日本発アジア向けの国際宅配便に おいては、「日本の荷主企業がアジア全域に 投資を続けることによって、日本発中国向け の輸出貨物がUPSの国際宅配便のネットワ ークに流れ込んできている」とするUPSと、 宅急便のアジア進出を目論むヤマトは直接バ ッティングする。
今後ヤマト以外の日系物流企業と新たなパ ートナーシップを結ぶ可能性についてUPS は、「当社には常に顧客のサービスレベルの向 上につながるような業務提携などの可能性を 受け入れる用意がある」(ブラック氏)と否定 していない。
(ジャーナリスト 横田増生) 頁の海外トレンド報告参照)。
これに対してUPSは、フェデックスは同 じ業態なのだから、適用する法律も同じにす べきだとして、有力政治家などに積極的にロ ビー活動を行っている。
中国への投資を最優先 国際宅配便部門では、中国ビジネスの強化 を最大のテーマに据えている。
ブラック氏は 「UPSの国際宅配便部門にとって中国市場 の開拓は最優先事項だ。
宅配便業務とロジス ティクス業務の両部門で、中国国内でトップ レベルの業者となることを狙っている。
その ために顧客のニーズに合わせた投資を今後も 続けていく」という。
中国での地歩を固めるため、二〇一〇年第 1四半期には、総投資額二億ドル近くをかけ た新しいハブ拠点が深圳で稼働する。
これま でフィリピンの旧米軍基地クラークに構えて いたハブ拠点を移す。
深圳のハブ拠点の敷地面積は八万九〇〇〇 平方メートルで、当初の貨物の処理能力は一 時間当たり一万八〇〇〇個だが、必要に応じ てこれを二倍まで引き上げることができるよ うにした。
「香港や中国本土の南部から貨物の出荷量 が増加しているのに対応して、深圳にハブを 置くことで、アジア向けの貨物の輸送時間を 一日短縮することができる。
それがサービス レベルを高めることにつながる。
また貨物量 SEPTEMBER 2009 58 (注)1ドル=95円で換算 《企業概要》 社名 UPS(United Parcel Services) 本社 ジョージア州アトランタ 創業 1907 年 株式 1999 年にニューヨーク証券市場に上場 会長兼CEO スコット・デイビス 売上高 514 億8600 万ドル 従業員 41 万5000 人 (うちアメリカ国内は34 万5000 人) 宅配車両 10 万1687 台 航空機 542 機(チャーター機314 機を含む) ハブ拠点 アメリカ7カ所、米国外向け6カ所
現場で分別を行い、集荷拠点を経由して 自社のリサイクル施設に回収する仕組みを作ること で、廃棄物の発生量を大幅に削減した。
さらに部 材の設計段階から発生抑制を図るため、回収時に ICタグで廃棄物情報を収集するシステムの構築を めざしている。
〇九年に入って利益が半減 米UPSは七月、二〇〇九年度第2四半 期(四〜六月)の決算を発表した。
売上高は 一〇八億二九〇〇万ドル(一兆二八七億五五 〇〇万円)で前年同期比一六・七%減。
営業 利益は八億九五〇〇万ドルで同三八・四%減。
最終利益は同四九%減の四億四五〇〇万ド ルという大幅な減収減益となった。
潜在株式 調整後の一株当たりの利益も、〇・四四ドル (同四八・二%減)とほぼ半減した(図1)。
決算説明会で、同社のスコット・デイビ ス会長兼CEOは、「第2四半期の数字は、 (米国内外の)厳しい経済環境をはっきりと 示す結果となった」と語った。
全体の業績の足を引っ張っているのは、売 上高の六割強を占める米国内の宅配便部門の 落ち込みだ。
物量が前年同期比で四・六%の 減少となった。
DHLが米国内の市場から撤 退したことを受けて、航空宅配便はほぼ横這 いを維持したものの、陸上宅配便が五・四% 落ち込んだ(図2)。
宅配便一個当たりの収入は七・八%減少し た。
その原因として同社は、燃料サーチャー ジが下がったこと、一個当たりの貨物の重量 が減ったこと、貨物が安い商品群に流れたこ と──などを挙げている。
カート・キューン CFO(最高財務責任者)は、「米国の景気 が後退しているにもかかわらず、運賃は採算 割れする水準までは落ちていない。
しかし依 然として値下げ要請は強い」という。
過去五年の同社の決算数字をみると、全体 の営業利益率は〇五年の一四・四%をピーク として、〇八年度は十一・六%にまで落ちて いる(図3、営業利益率には各期とも特別損 失を除いて調整した数字を用いている)。
さらに過去一年の四半期ごとの営業利益率 の推移をみると、利益率が昨年の世界同時不 況を境として急速に悪化したことがはっきり としてくる(図4)。
〇八年の第3四半期に は、全体で十二%台だった営業利益率が〇九 年の第1四半期と第2四半期には八%台にま で下がっている。
とりわけ営業利益率の落ち込みが顕著なの が、先に挙げた主力事業の国内宅配便部門 で、一年間で営業利益率は半分のレベルにま で落ち込んでいる。
これに対して国際宅配便 部門は、売上高こそ国内宅配便と同様に大幅 な減少となっているが、営業利益率という点 ではまだ十三%という高い水準を維持してい る。
国際宅配便部門の物量は、〇九年第1四 半期まで前年同期比で一%台の減少で済んで UPSの業績は2009年に入り急落している。
主力 である米国内宅配便部門の営業利益率が半減し、国 際宅配便でも物量が大きく落ち込んでいる。
業務効 率化を進めると同時に、投資案件を絞り込み、手元 資金の積み増しに動く。
ただし、中国ビジネスは最 優先事項として投資を継続する。
スコット・デイビス会長兼 CEO 55 SEPTEMBER 2009 いた。
それが第2四半期にはマイナス五%台 に悪化している。
貨物一個当たりの収入も、 第1四半期が一五%台の減少で、第2四半 期が一七%台の減少だ。
これは為替の変動に 加えて、アジアや欧州でも昨年秋以来の世界 同時不況の影響がでているため、と同社は見 ている。
国内宅配便をテコ入れ 今後の見通しについてキューンCFOは、 「米国内や国際ビジネスの落ち込みは、一段 落してきた感がある。
しかし取扱量は前年の レベルと比べると、まだ低いままにとどまる だろう。
いつビジネスが上向き始めるのかは、 現時点ではまだ見えてこない」と語っている。
そのため財務面では投資案件を絞り込んで いる。
〇九年上半期の投資額は六億ドル台に とどまっている。
過去三年間において、年間 の投資額が二六〜三〇億ドルという水準であ ったのに対して、半分以下の数字だ。
そのか わり手元資金を積み増した。
〇九年上半期は 二億ドル近く増やして合計で二七億ドルのフ リー・キャッシュフローを確保した。
デイビスCEOは「最終利益で四〇%台の 減収となりながらも、キャッシュフローを増 やしている企業は決して多くはない。
この点 は、強調しても強調しすぎることはない」と 胸を張る。
国内宅配便部門の業務効率化としては、こ れまでに総労働時間の七%削減、トラックの 図2 第2 四半期の宅配便の物量と収入 米国内宅配便 翌日配達の航空宅配 2、3 日かけて輸送する航空宅配 陸上宅配 米国内合計 国際宅配 輸入 輸出 合計 総合計 1,180 ‐0.3% 17.41 -20.0% 879 0.1% 11.59 -17.5% 10,406 -5.4% 7.24 -3.5% 12,465 -4.6% 8.51 -7.8% 1,079 -4.3% 6.92 -19.7% 740 -7.3% 35.41 -15.7% 1,819 -5.5% 18.51 -17.6% 14,284 -4.7% 9.78 -10.5% (注1)物量は一日当たりの平均の数値で、単位は1000 個。
(注2)収入は貨物一個当たりで、単位はドル。
(注3)増減率は、前年度同期比の数字。
物量 増減率 収入 増減率 図1 UPS の2009 年第2 四半期の決算数字 売上高 前年同期比増減率 米国内宅配便 67 億8900 万ドル -12.0% 国際宅配便 22 億4600 万ドル -23.8% サプライチェーン&フレイト 17 億9400 万ドル -23.3% 総売上高 108 億2900 万ドル -16.7% 営業経費 給与と福利厚生 63 億3000 万ドル -2.9% その他 36 億400 万ドル -28.3% 総営業経費 99 億3400 万ドル -14.0% 営業利益 米国内宅配便 4 億7600 万ドル -47.1% 国際宅配便 2 億9300 万ドル -28.0% サプライチェーン&フレイト 1 億2600 万ドル -14.9% 総営業利益 8 億9500 万ドル -38.4% その他の支出入 投資 ▲2200 万ドル ─ 利子 ▲1 億8100 万ドル 74.0% 支出入の合計 ▲2 億300 万ドル 125.6% 税引き前利益 6 億9200 万ドル -49.3% 法人税 2 億4700 万ドル -49.7% 最終利益 4 億4500 万ドル -49.0% 潜在株式調整後後一株当たりの利益 0.44ドル -48.2% 図3 UPS の過去5 年の業績の推移 売上高 36,582 42,581 47,547 49,692 51,486 最終利益 3,333 3,870 4,202 382 3,003 営業利益率 13.6% 14.4% 14.0% 14.1%(注1) 11.6%(注2) (注1)特別損失を修正した営業利益の数字。
2007年度には、61億ドルのチー ムスターの組合員の年金の払い額などの一回だけの支出が発生した。
そ れを含めると、営業利益率は1.2%。
(注2)特別損失を修正した営業利益率の数字。
2008 年度には、フレイト部門の 「のれん代」などの一回だけの支出が発生した。
それを含めると10.5%と なる。
2004 年度 2005 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 (単位:百万ドル) 図4 UPSの四半期ごとの利益率の推移 16 14 12 10 8 6 4 2 0 (%) (注)各部門の営業利益には、特別損失を除いて調整した数字 を用いた。
14.2 11.7 10.9 13.1 12.4 5.6 14.9 13.1 13.0 8.1 8.2 8.3 7.0 7.0 2.6 2.3 国際宅配便 合 計 米国内宅配便 サプライチェーン&フレイト 08年 第3四半期 08年 第4四半期 09年 第1四半期 09年 第2四半期 SEPTEMBER 2009 56 走行距離五%削減、飛行機の運航時間六% 削減等のコスト削減策を実施している。
業務の効率化と並行して、サービスの向上 策も打った。
第1四半期には、朝一〇時半ま での配達先を、郵便番号で二万三〇〇〇件 以上の地域にまで広げた。
さらに第2四半期 には、「UPSアドバンテージ・セールス・プ ログラム」を立ち上げ、同社の商品が信頼性 やスピード、技術の面で同業他社と比べて優 れていることを盛んにピーアールしている。
投資を絞り込む中でも、総額一〇億ドルを 予定しているケンタッキー州ルイビルのハブ空 港「ワールドポート」への拡張工事への投資 については継続している。
七月には一部の仕 分け施設の拡張工事が終わった。
従来と比べ て一五%の能力増となる一時間で三五万個の パッケージを仕分ける能力を備えた。
二〇一〇年に最終的な拡張工事が終われば、 一時間に四一万六〇〇〇個のパッケージの仕 分け能力を持つことになる。
米国内のパッケ ージを「ワールドポート」に集中させることで、 UPSのネットワークの効率化を図る。
加え て、これまでより大型の貨物機を飛ばすこと で、一層のコストダウンを図る考えだ。
また、同社は一月に米国市場から撤退した ドイツポストDHLの貨物の半分以上を取り 込んだとする。
DHLの貨物の単価は、UP Sと比べ一〇%前後安かったために、取り込 んだすべての貨物を同じ商品群に置き換える ことはできなかった。
しかしDHLが米国市 柱とする。
過去五年にわたって年間営業利益 率が五%を超えたことがないため、UPSの 「お荷物」とされてきた部門だ。
〇九年第1四半期も営業利益率は二%台 だった。
それが第2四半期では七%に跳ね上 がった。
同部門のうちロジスティクス部門は、 運賃負担力の高い医療産業とハイテク産業に 的を絞って貨物をとりこんできたのが功を奏 してきたと、キューンCFOは分析する。
「ロジスティクス部門は過去半年においてタ ーゲットを絞り込むことに大いに成功してきた。
ハイテク産業と医療産業において非常に魅力 的なソリューションを生み出してきた。
また、 場で一定のシェアを握っていたことを 考えると、その撤退が景気後退とい う逆風のなかでUPSの国内部門の底 上げにつながったことは確かだ。
同社の広報担当のノーマン・ブラッ ク氏によると、DHLが米国市場か ら撤退したことは、国内の宅配便だ けでなく、国外の宅配便の取り込みに もつながっているという。
むしろ「U PSにとって、DHL撤退の本当の 意味は、米国以外の地域におけるD HLの顧客が、DHLとの取引をや めて国際的なネットワークで強みを持 つUPSに乗り換えようとしている点 にある」 しかし、UPSやフェデックスの国 内宅配便事業の物量は従来から米国 のGDP(国内総生産)や鉱業生産指数の景 気動向に密接に連動している。
そのため米国 の景気回復が本格化するまで、国内宅配便事 業の業績が大きく回復することは難しいとみ られている。
3PL部門とLTLは収益性が改善 一方で明るい材料もある。
過去一年で、部門ごとの営業利益率を大き く改善しているのが、サプライチェーン&フレ イト部門だ。
この部門は、ロジスティクス業 務とLTL(Less Than Truckload:日本の 特別積み合わせ貨物輸送に相当)業務を二本 図5 UPS の2009 年上半期の決算数字 売上高 前年同期比増減率 米国内宅配便 137 億3800 万ドル -11.1% 国際宅配便 44 億8600 万ドル -21.4% サプライチェーン&フレイト 35 億4300 万ドル -21.6% 総売上高 217 億6700 万ドル -15.2% 営業経費 給与と福利厚生 126 億6200 万ドル -2.8% その他 74 億9200 万ドル -22.8% 総営業経費 201 億5400 万ドル -11.3% 営業利益 米国内宅配便 8 億6000 万ドル -53.7% 国際宅配便 5 億8700 万ドル -29.1% サプライチェーン&フレイト 1 億6600 万ドル -36.4% 総営業利益 16 億1300 万ドル -45.3% その他の支出入 投資 -900 万ドル ─ 利子 -2 億6300 万ドル 10.5% 支出入の合計 -2 億7200 万ドル 62.9% 税引き前利益 13 億4100 万ドル -51.8% 法人税 4 億9500 万ドル -50.5% 最終利益 8 億4600 万ドル -52.4% 潜在株式調整後の一株当たり利益 0.84ドル -51.2% 57 SEPTEMBER 2009 には、荷主企業がパッケージを使うときでも、 LTLを使うときでも、リアルタイムで全体 最適ができるように手助けするように訓練を してきた」 労使ともストライキの余裕はない UPSの経営を考える上で、避けて通るこ とができないのが同社と全米トラック運転手 組合「チームスターズ」との関係だ。
米国内 の従業員三四万人強のうち約二四万人がチー ムスターズに所属している。
ライバルである フェデックスとの比較において、これまでU PSにおけるチームスターズの存在は同社の 人件費増につながっており、経営の重荷にな っていると指摘されてきた。
実際、九七年の労働契約更新の際には、土 壇場までチームスターズとの交渉がまとまら ずに、一五日間にわたるストライキにつなが った。
このストのために、七億ドル以上の売 上高の減少を余儀なくされただけでなく、こ のとき多くの荷主が同業他社に流れた。
〇六年度に、チームスターズとの新たな労 働協約を結んだときにも、四万五〇〇〇人の 従業員が「セントラルステーツ複数企業年金 制度」から脱退したことに関連して、六一億 ドルを支払っている。
この支払いがなければ、 四〇億ドルを超える最終利益が出ていたはず だが、この支出のために、実際の最終利益は 十分の一以下の三億ドル台に落ち込んだ。
こうしたUPSとチームスターズとの関係 を否定的にとらえる見方に対し、ブラック氏 はこう反論する。
「九七年のストは、UPSの一〇五年の歴 史の中で唯一のストだ。
ストを経験してわれ われが学んだことは、UPSもチームスター ズももう二度とストを行う余裕はないという ことだ。
もう一度ストが起これば、荷主企業 はライバルに流れていく。
だから〇二年の契 約更新時には、期限より二カ月早く更新にこ ぎつけたし、〇八年の契約更新には一〇カ月 前から準備にあたり万全を期した」 「〇六年度に支払った六一億ドルについて 言えば、UPSとチームスターズの双方にメ リットがある?Win─Win?の支払いだ った。
UPSは四万五〇〇〇人の従業員の 年金をよりよい制度のものに移行することで、 将来の支出を低く抑えることができた。
また、 先の年金制度は財政危機に直面しており、そ のまま加入していても将来の年金額が減るこ とが予測されたため、チームスターズにとっ てもプラスになった」 UPSの米国内のドライバーの平均給与は 新しい業務を受注する際は、事前に、将来に わたり高い利益率を確保できるかどうかを厳 しく精査してから引き受けることにした。
い くつかの拠点を縮小したり、業務の効率化も 図った。
それが今期の高い利益率につながっ ている」 LTLにおいても同様に、以前からの取り 組みが実を結びつつあるとキューンCFOは 説明する。
「LTLにおいても、永続的で、同業他社 と差異化できるようなサービス作りに取り組ん できた。
とくに荷主企業との情報技術を結ぶ ことに(積極的に)投資してきた。
その結果、 現在では、世界の約五〇万社の荷主が、(コ ンピュータ上で)自動的に貨物を追跡できる 仕組みが出来上がった。
また当社の営業マン カート・キューンCFO 図6 UPS の組織図 ※一部割愛 UPS UPSエアライン 通関 陸上業務 米国業務 各国での業務 輸出業務 国際業務 UPSサプライチェーン・ソリューションズ ロジスティクス&輸送 輸送&フレイト フォワーディング業務 国際貿易サービス サプライチェーン&フレイト UPSグランド・フレイト LTL業務 貸切業務 約七万五〇〇〇ドル(福利厚生などを除いた 額)と、業界一の高さにある。
UPSは、高 い給与水準を堅持していることが質の高いド ライバーを確保しサービス品質を維持するこ とにつながっているとする。
UPSがチームスターズという?縛り?が ある中で経営してきたのに対して、フェデッ クスはこれまで、組合活動の影響をほとんど 受けることなく自由度の高い経営を行うこと ができた。
UPSとは異なり、組合活動に対 する制約の大きな鉄道労働法が適用されてき たからだ。
しかし今年五月、米下院で、フェデック スにもUPSと同じ全米労働関係法(The National Labor Relations Act)を適用すべ きだとして、フェデックスの従業員が従来よ り自由に組合活動のできる法案が可決された。
現在、上院での審議が進んでいる(本号六九 が多いところにハブ拠点を構えることで内部 のコストダウンにつながる」(ブラック氏)とい う狙いだ。
現在のUPSにとって、日本はアジア戦略 の重要な一部という位置づけだ。
日本国内の 業務において、UPSは一九九〇年にヤマト 運輸(現・ヤマトホールディングス)と合弁で ヤマトUPSを設立した。
しかし二〇〇四年 に合弁を解消して、新たにUPSジャパンを 設立し、独自路線に踏み出している。
これについてブラック氏は「合弁関係は解 消したけれども、依然としてヤマトとは良好 な関係を継続している」という。
実際、ヨー ロッパや北米向けの宅急便の航空輸送は現在 もUPSが請け負っている。
また、UPSも 日本国内で貨物量の薄い地域への配送をヤマ トに委託している。
しかし、日本発アジア向けの国際宅配便に おいては、「日本の荷主企業がアジア全域に 投資を続けることによって、日本発中国向け の輸出貨物がUPSの国際宅配便のネットワ ークに流れ込んできている」とするUPSと、 宅急便のアジア進出を目論むヤマトは直接バ ッティングする。
今後ヤマト以外の日系物流企業と新たなパ ートナーシップを結ぶ可能性についてUPS は、「当社には常に顧客のサービスレベルの向 上につながるような業務提携などの可能性を 受け入れる用意がある」(ブラック氏)と否定 していない。
(ジャーナリスト 横田増生) 頁の海外トレンド報告参照)。
これに対してUPSは、フェデックスは同 じ業態なのだから、適用する法律も同じにす べきだとして、有力政治家などに積極的にロ ビー活動を行っている。
中国への投資を最優先 国際宅配便部門では、中国ビジネスの強化 を最大のテーマに据えている。
ブラック氏は 「UPSの国際宅配便部門にとって中国市場 の開拓は最優先事項だ。
宅配便業務とロジス ティクス業務の両部門で、中国国内でトップ レベルの業者となることを狙っている。
その ために顧客のニーズに合わせた投資を今後も 続けていく」という。
中国での地歩を固めるため、二〇一〇年第 1四半期には、総投資額二億ドル近くをかけ た新しいハブ拠点が深圳で稼働する。
これま でフィリピンの旧米軍基地クラークに構えて いたハブ拠点を移す。
深圳のハブ拠点の敷地面積は八万九〇〇〇 平方メートルで、当初の貨物の処理能力は一 時間当たり一万八〇〇〇個だが、必要に応じ てこれを二倍まで引き上げることができるよ うにした。
「香港や中国本土の南部から貨物の出荷量 が増加しているのに対応して、深圳にハブを 置くことで、アジア向けの貨物の輸送時間を 一日短縮することができる。
それがサービス レベルを高めることにつながる。
また貨物量 SEPTEMBER 2009 58 (注)1ドル=95円で換算 《企業概要》 社名 UPS(United Parcel Services) 本社 ジョージア州アトランタ 創業 1907 年 株式 1999 年にニューヨーク証券市場に上場 会長兼CEO スコット・デイビス 売上高 514 億8600 万ドル 従業員 41 万5000 人 (うちアメリカ国内は34 万5000 人) 宅配車両 10 万1687 台 航空機 542 機(チャーター機314 機を含む) ハブ拠点 アメリカ7カ所、米国外向け6カ所
