2005年1月号
特集
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ヤマト運輸の決断 「メール便でも郵政を凌駕する」
JANUARY 2005 16郵政を許すわけにはいかない 二〇〇四年はヤマト運輸と日本郵政公社とのツバ競り合いが盛んに報道されました しかも これまでのヤマトは官との戦いで常に世論を追い風にできていましたが 今回は必ずしもそうとは言えません 郵政公社の問題は 本来であれば当社だけではなく 物流業界全体で取り組まなければならないテ マであるはずだ それが当社だけの問題のようにな てしま ているのは 話の持 て行き方が悪か たと言われても仕方がない しかし当社としては郵政を許すわけにはいかない 今の議論では郵貯については銀行法に従う 簡保も保険法で行く ところが貨物は従来のままだという つまり郵政は貨物運送法の制約を受けずに貨物運送を行うという話にな ている その結果 貨物運送の営業許可を持たない いわゆる 白ナンバ のトラ クが全国を走り回ることになる 無秩序に肥大化していく巨大な白ナンバ 事業者が生まれるわけだ あまりにも公平を逸している 物流業界は郵政に舐められているというしかない 郵政は二〇〇四年二月に 冊子小包 の大口割引で一冊 五五円という料金を打ち出しました それに日本通運と佐川急便が乗りました 日通や佐川が集荷したメ ル便を郵政が冊子小包として配送するという形です あれは完全に官の横暴であ て 独占の餌だ 五五円という料金は定価の二九〇円から実に八一%引きだ それでペイしているという根拠は何もない そうや て郵政がコストを無視した料金を提示すれば 日通や佐川が自分で努力してネ トワ クを作ろうとしなくなるのも当然だ 今の郵政のや ていることは民間のネタ潰しだ しかし 消費者側から見れば安いほうがいいという意見もあります 確かにそうだろう しかし 郵政の横暴を今許せば いずれ赤字と値上げを繰り返してきた平成六年以前の状態に戻 てしまう そのことが理解されていない そもそも当社がメ ル便を開始したのは 郵政が平成六年に前年の赤字を理由に冊子小包の大幅な値上げをしたのがキ カケだ た 官の独占に対抗して 民間でもできるということを証明するために我々は良質なネ トワ ク作りを目指してきた その結果 独占に風穴が空いた 独占の弊害は明らかだ 宅急便を始めた二九年前 ハガキの郵便料金は二〇円だ た それが今は五〇円だから二・五倍に上が ている 一方 宅急便の二九年前の料金は一個五〇〇円だ 現在の当社の平均単価が六八八円だから四割も上が ていない これは競争があ たからだ 独占になれば 赤字にな たから値上げしますという話がまた通 てしまう ロ ソンを巡るコンビニ集荷の縄張り争いも話題になりました 当社は長い時間と手間をかけてコンビニさんと一緒に一つのビジネスモデルを築いてきた しかも コンビニ側から宅急便を扱いたいと言われたことなど一度もない 全てこちらからお願いしてコンビニさんに承諾してもらい コンビニに行けば宅急便が送れるという一つのモデルを作り上げてきた そこに後から官が割り込んでくるというのは全くおかしい ロ ソン側はゆうパ クと宅急便の併売を提案していましたが それも蹴 た理由は 併売はモデルとして成り立たない もともとコンビニは 全ての商品を店頭に並べているわけではない Interview「メール便でも郵政を凌駕する」ヤマト運輸が宅急便を開発したことで日本の宅配市場は約10倍以上に拡大した。
同じことをメール便市場でも起こす。
同時に宅急便のターゲットを中ロット貨物に拡大することでBtoB物流も取り込む。
汎用型の物流プラットフォームによって国内市場を丸呑みしようという戦略だ。
(聞き手・大矢昌浩)ヤマト運輸 山崎 篤 社長第4部17 JANUARY 2005特 集 決断 ヤマト運輸の 決断 一番利便性の高い 一番経済効率の良い商品しか置かない それは宅配便でも同じだ 併売では店舗のオペレ シ ンが複雑になる また万が一 荷物が着かないとい た場合には どこの宅配便を使 たのか確認しなければならない 荷物を出したほうには どこを使 たという意識はない 当然 混乱する 一社でや たほうがト タルの効率が良いのは明らかだ しかも当社でもコンビニ経由の荷物は年間約四〇〇〇万個に過ぎない コンビニの店舗をざ くり四万店として一店当たり年間一〇〇〇個 つまり一日三個程度という計算だ それに対して当社はコンビニの店舗に一日四回集荷に行 ている 二社で分けあえるほどのボリ ムではない ロ ソン以外のコンビニの対応はどうでし う ロ ソンを皮切りに他のコンビニが併売や郵政側に流れるのが ヤマトとしては一番怖いはずです ゆうパ クと併売させて欲しいという要望はある 少なくとも一社はこの十二月の ロ ソンなどの 結果を見て考えたいと言 ている しかし 併売はあり得ない 逆にセブンイレブンは この年末に宅急便の販促キ ンペ ンを打ちましたね セブンさんはサ ビスの違いを良く理解してくれている 郵政の宅配貨物のネ トワ クはできあが ていない 郵政の末端配送 毛細血管の部分は自転車やバイクなどの二輪をメ ンとした部隊だ そこに二〇キロの荷物が入り込んでも処理できない メ ル便と宅配貨物では重量で換算すると一〇〇倍の違いがある 当然 必要なハ ドも違 てくる 大が小を兼ねることはあ ても 小は大を兼ねられない 郵政の運用している二輪車と四輪の台数を考えれば 現在の末端の委託率がどれくらいのレベルにあるのかは明らかだ もちろん郵政は白ナンバ に番号を振るだけで すぐに増車できるのだからリソ スを確保すること自体はできるだろう しかし 品質はどうか コストが合うのか それを担 ている人たちは生活できているのかという問題がある 実際 郵政の下請けで配送を行 てきた軽自動車の 一人親方 たちは悲鳴を上げている メ ル便で需要を創造する その一方 ヤマトはメ ル便の配送に課題がありそうです 二〇〇四年には未配達事故も起きました 確かにメ ル便の未配達の問題では お客様に迷惑をかけてしま た 現在 メ ル便の配送体制の見直しを進めている これまで当社は一冊当たりいくらという単価契約を結んだ業務委託という形で 約四万人の クロネコメイト を組織してメ ル便を配送してきた それを改めメ ル便の配送を担当する メ ル便ドライバ MD という新たな職制を作る つまり 社員中心の配送体制に移行する 業務委託では品質の点 そしてサ ビスの完結責任がどうしても薄くなる 宅配のネ トワ クを業務委託で組もうとしている郵政とは逆の動きだ しかし社員による配送となると それだけ固定費も膨らんでしまいます だから配送密度を上げる必要がある 当社のメ ル便のネ トワ クは今 過渡期にある 都市圏のビルであれば 一軒で一日何百通も配送がある しかし地方では一軒当たりの投函が複数口にな ていない 一人当たり一日七〇〇通を配れるだけの密度が必要だ 同時にMDの勤務体系も検討している 固定勤務か それとも波動にフレキシブルに対応する体制にできるのか そのためには勤務時間や給与体系をどうするか ローソンとの取扱店契約解消について、ヤマトは2004年8月26・27日付けの全国54紙に意見広告を掲載(下)写真。
郵政公社の民業圧迫を厳しく非難した。
その後、ヤマトは郵政を正式に提訴。
郵政も徹底的に抗戦する構えで両者の争いは法廷論争に発展しているクロネコヤマトは変えません 宅急便をご利用のみなさまへ 来る11月18日 木 より コンビニエンスストアチ ン・ロ ソンで宅急便ならびに宅急便関連商品・サ ビスの取り扱いを停止することになりました これでお客様の身近な窓口がひとつ減ることになりますが この不便さを解消し これまで通りの便利さでご利用いただけるよう クロネコヤマトはより一層の努力を重ねていきます 残念ながら クロネコヤマトの契約が打ち切られました ロ ソン本部は8月17日 火 クロネコヤマトに対して宅急便の取扱店契約を中途解約するとの通告をしました ロ ソン本部は 最終的に宅配サ ビスに ゆうパ ク を選んだことになります かねてからロ ソン本部は 宅急便 と ゆうパ ク のどちらも取り扱いたいとの意向を示していました しかしながら クロネコヤマトはどうしてもそれに納得できないのです みなさんはクロネコヤマトのわがままと思われるかもしれません しかし わたしたちクロネコヤマトは お客様の便利を最優先で考える企業風土に生きています そして 他の宅配業者ともお客様のためという土俵で正々堂々競争したいと思 ています これまでもたくさんの競争があり お互いに切磋琢磨しながらお客様によりよい商品・よりよいサ ビスを提供してきたという自負があります 公平な競争がしたいのです 公正な競争がしたいのです その原則が守られない競争にはあえて挑みたくない それがクロネコヤマトの企業姿勢なのです そのことに クロネコヤマトはお客様無視だ とのお叱りもあるでし う けれども それを覚悟で あえてわたしたちはこの原則を貫き通したいのです 日本郵政公社は独占事業であげた利益をもとに競争しようとしています まずお伝えしないといけないのは 日本郵政公社の業務はすべて民間に開かれているわけではない ということです 言いかえれば 日本郵政公社には 民間企業が手を出せない領域があり それを独占しています 手紙やハガキは日本郵政公社の独占事業なのです だから 手紙やハガキの料金に 自由競争はありません その一方 みなさんは驚かれるかもしれませんが 日本郵政公社は民間と競合する冊子小包 民間でいうメ ル便 で 大口のお客様に大幅な料金割引制度を適用しています クロネコヤマトは日本郵政公社との競争に賛成です ただし 公正ならば 民間企業はすこしでも大きな利益をあげ 法人税を払い そしてなるべく多くを株主や従業員に還元するよう頑張 ています とくに宅配便業界は わたしたち民間企業が 企業努力を重ねて新商品・新サ ビスを開発し 全国津々浦々にお届けできるネ トワ クをつくり 現在の規模まで市場を拡大させてきました いま このわたしたちの市場に 日本郵政公社がロ ソンを足がかりに入 てこようとしています さらに日本郵政公社は 税制面などでさまざまな優遇措置を受けているという事実があります はたして それが公平なのか はたして それが公正なのか 日本郵政公社が 民間が切り拓いた市場で競争をしかけるのはフ アプレ と言えるでし うか クロネコヤマトはお客様に支えられてはじめて存在できる民間企業です クロネコヤマトはお客様のためにある その企業姿勢を変えません 宅急便をはじめクロネコヤマトの商品・サ ビスは すべてお客様の便利を追求してカタチにな たものです そしてこれからも さらなる便利な商品・サ ビスを新しいアイデアで創出していきます これこそが未来までクロネコヤマトが変えない企業姿勢であり お客様から選ばれる民間企業としてあるべき企業姿勢であると考えます JANUARY 2005 18それを労働組合とも相談しながら進めている 聞くところによると郵政は二軒に一軒の配送密度があるそうです ボリ ム面でキ チア プするのは難しいのでは 郵政の配送密度はも と高いのではないか 世帯数を考えれば二軒に一件だとしても その一軒には二通行 ている計算になる 確かに現状の差は大きい しかし キ チア プできないとは思 ていない そもそも当社は限られたパイを郵政から奪おうとしているわけではない 新しい需要を作ろうとしている 一人当たりの郵便通数をアメリカと日本で比較すると アメリカが年間約七〇〇通であるのに対し日本は約二〇〇通しかない 独占によ て利用者にそ ぽを向かれれば使わなくな てしまうが 新たな利便性を実現すればニ ズを掘り起こすことができる 例えば これまでA4サイズは三つ折りにしなければ通常料金では送れなか た 当社がメ ル便を開発したことでA4サイズを折らずに送れるようにな た 現在の郵便以上のボリ ムをも た新市場を開拓できると見ているわけですか 当然だろう 宅急便を作 た時と一緒だ 当社が宅急便を作 た昭和五一年の郵便小包は年間約一億八〇〇〇万個だ た 当社はもちろんゼロ これに対して二〇〇三年の一般小包はまさに一億八〇〇〇万個で 二九年前と全く変わ ていない それに対して当社は一〇億個だ 宅配市場全体では三〇億個に拡大した メ ル便でも同じことを起こす 二〇〇三年度に当社のメ ル便は一六一%の伸びを示した 今期も前年比で五一%ぐらい伸びそうだ 市場は当社の登場を待 てくれていた この伸びからすれば キ チア プもそう遠い話ではない お客様のご満足さえあれば 最終的には郵政を打ち負かすことができる しかし 宅急便のネ トワ クを完成させるために ヤマトは二十一年をかけました メ ルもそれに匹敵する時間と投資がかかるのでは 宅急便の時と違 て今回は装置としては既にできている 宅急便が現在約一〇億個ある これに対してメ ル便も一〇億通だが メ ル便一〇億通のボリ ムは宅急便の一〇〇〇万個分に過ぎない そのためラストワンマイルの配送体制以外のハ ドの部分は大きな問題にならない 物流市場の宅急便化が進む 集配拠点の倍増による増収効果は期待通り出ていますか 確実に出ている 拠点を細分化したことで集荷の回数を増やすことができるようにな た つまり物理的な輸送距離が短くな たことで輸送機会が増えた 何度もお客様のところに顔を出すことで従来は見えていなか た荷物が見えてきた 従来は白ナンバ で自家配送するしかなか た荷物を獲得できるようにな てきた 一段高いステ ジで仕事ができるようにな てきている 一般的には宅配便市場も既に飽和に近付いていると言われています そうは思わない むしろ物流市場は どんどん宅配便向きにな てきていると見ている もはや国内貨物輸送量の総量は増えない むしろ減 ている バブル崩壊以降は毎年一%ぐらいずつ国内輸送量は減少している 輸送の短絡化 在庫の圧縮 流通の簡素化 あるいは経済自体のスピ ドア プの影響のだろう 究極的には顧客が見つかるまで作らない受注生産に 企業経営がシフトしている この傾向は今後も加●年間国民1人当たりの郵便利用通数上位20か国・地域(2001年) 日本の郵便利用状況は先進国中最低レベル 資料:日本郵政公社「郵便2003」より 7068007006005004003002001000562 503 444 437 436 370 348 345 345 337 273265264263 215207199187184米国 ノルウ 単位:通・個 スウ デン オランダ スイス フランス カナダ ルクセンブルグ フ ンランド ベルギ 英国 スロヴ ニア デンマ ク オ ストラリア ドイツ アイスランド 日本 シンガポ ル アイルランド 香港 特 集 決断 ヤマト運輸の 決断 19 JANUARY 2005速する それに伴い物流の小ロ ト化 多頻度化 スピ ド化が進んでいる つまり当社向きの流れにな てきている つまり従来は路線便 特別積み合わせ便 で運んでいた荷物が小ロ ト化することで宅配便市場に流れてきているということですね その通りだ 従 て宅配便の市場は 従来なか た付加価値をつけていくことでまだまだ伸びると見ている 同時に貸し切り便で運んでいた荷物が路線便にも流れている 十一月にヤマトが発売した ボ クスチ タ 便 はまさに路線便市場を狙 たものですね そうだ 日本にはまだ七〇〇万台の自家用トラ クが動いている 貸し切りや自家用トラ クの積載率を高めるために荷主が荷物をまとめようとすれば どうしても配送日数が長くな てしまう それを当社は中ロ トで定期的に運ぶ 基本的な発想は 六〇〇キログラムの宅急便 だ BtoBの中ロ トの荷物を宅急便のインフラに乗せる 従来は貸し切りで運んでいた貨物や 路線貨物でも複数個数口で処理していた貨物をロ ルボ クスに乗せて運ぶという 六〇〇キログラムのユニ ト輸送だ 同時に決済サ ビスも強化しています 二〇〇四年十一月には総合信販会社のフ インクレジ トを買収しました これもBtoB向けですね 物流には常に所有権の移転が絡んでくる その意味で物流 情報 決済の三つを統合したサ ビスには当然 ニ ズがある それに対し今まではtoCの分野に限定してサ ビスを提供してきたが その領域を拡げようということだ 具体的には従来の決済サ ビスは代金と荷物を引き替えるだけだ た それに対して月末締めでまとめて支払うというような決済にも対応できるようにするなど 色々と検討している 二〇〇五年度からの中期経営計画で具体策を提示する 大手外資とはモデルが違う 決済以外の分野で買収の可能性は キ シ フロ は潤沢ですが 潤沢というほどではないが ようやく無借金にな て様々な事業投資に振り向けることができるようにはな てきた これまで当社は基本的に自前主義で来たが 周辺事業で我々の持 ていないノウハウや 自前で構築するには時間がかかり過ぎる機能については提携と同時に買収も選択肢になる 国際事業における買収は? 基本的には今後も当社の主軸は国内ネ トワ クだ 海外事業も対日本の物流がテ マ 宅急便というサ ビスをそのまま海外に持 ていこうとは思わない 国際インテグレ タ とはモデルが違う 逆に国際インテグレ タ が日本国内の宅配便市場に本格的に参入してくるリスクはありませんか 一兆円規模の投資をしない限り 外資が当社と同じレベルのインフラを持つことはできない 品質という面では なおさら難しい 外資が大きな脅威になるとは考えていない UPSとの提携を解消し ドイツポストと新たに提携を結んだ理由は? UPSとは資本提携を解消しただけで現在も友好な協力関係を維持している もともとUPSとは従来からメ ル便については補完関係にない 一方のドイツポストとの提携は メ ル便の国内配送を当社に委託するという内容だから性質が違う ただしドイツポストとの提携を通して将来は日本発の国際メ ル便を本格化させようとは考えている PROFILEやまざき・あつし1945年生まれ。
早稲田大学卒。
69年、ヤマト運輸(当時・大和運輸)入社。
大阪主管支店長、北東京主管支店長などを経て、93年に関西支社長。
95年に取締役。
99年に常務取締役営業戦略本部長。
2003年6月、代表取締役社長に就任。
現在に至る。
同じことをメール便市場でも起こす。
同時に宅急便のターゲットを中ロット貨物に拡大することでBtoB物流も取り込む。
汎用型の物流プラットフォームによって国内市場を丸呑みしようという戦略だ。
(聞き手・大矢昌浩)ヤマト運輸 山崎 篤 社長第4部17 JANUARY 2005特 集 決断 ヤマト運輸の 決断 一番利便性の高い 一番経済効率の良い商品しか置かない それは宅配便でも同じだ 併売では店舗のオペレ シ ンが複雑になる また万が一 荷物が着かないとい た場合には どこの宅配便を使 たのか確認しなければならない 荷物を出したほうには どこを使 たという意識はない 当然 混乱する 一社でや たほうがト タルの効率が良いのは明らかだ しかも当社でもコンビニ経由の荷物は年間約四〇〇〇万個に過ぎない コンビニの店舗をざ くり四万店として一店当たり年間一〇〇〇個 つまり一日三個程度という計算だ それに対して当社はコンビニの店舗に一日四回集荷に行 ている 二社で分けあえるほどのボリ ムではない ロ ソン以外のコンビニの対応はどうでし う ロ ソンを皮切りに他のコンビニが併売や郵政側に流れるのが ヤマトとしては一番怖いはずです ゆうパ クと併売させて欲しいという要望はある 少なくとも一社はこの十二月の ロ ソンなどの 結果を見て考えたいと言 ている しかし 併売はあり得ない 逆にセブンイレブンは この年末に宅急便の販促キ ンペ ンを打ちましたね セブンさんはサ ビスの違いを良く理解してくれている 郵政の宅配貨物のネ トワ クはできあが ていない 郵政の末端配送 毛細血管の部分は自転車やバイクなどの二輪をメ ンとした部隊だ そこに二〇キロの荷物が入り込んでも処理できない メ ル便と宅配貨物では重量で換算すると一〇〇倍の違いがある 当然 必要なハ ドも違 てくる 大が小を兼ねることはあ ても 小は大を兼ねられない 郵政の運用している二輪車と四輪の台数を考えれば 現在の末端の委託率がどれくらいのレベルにあるのかは明らかだ もちろん郵政は白ナンバ に番号を振るだけで すぐに増車できるのだからリソ スを確保すること自体はできるだろう しかし 品質はどうか コストが合うのか それを担 ている人たちは生活できているのかという問題がある 実際 郵政の下請けで配送を行 てきた軽自動車の 一人親方 たちは悲鳴を上げている メ ル便で需要を創造する その一方 ヤマトはメ ル便の配送に課題がありそうです 二〇〇四年には未配達事故も起きました 確かにメ ル便の未配達の問題では お客様に迷惑をかけてしま た 現在 メ ル便の配送体制の見直しを進めている これまで当社は一冊当たりいくらという単価契約を結んだ業務委託という形で 約四万人の クロネコメイト を組織してメ ル便を配送してきた それを改めメ ル便の配送を担当する メ ル便ドライバ MD という新たな職制を作る つまり 社員中心の配送体制に移行する 業務委託では品質の点 そしてサ ビスの完結責任がどうしても薄くなる 宅配のネ トワ クを業務委託で組もうとしている郵政とは逆の動きだ しかし社員による配送となると それだけ固定費も膨らんでしまいます だから配送密度を上げる必要がある 当社のメ ル便のネ トワ クは今 過渡期にある 都市圏のビルであれば 一軒で一日何百通も配送がある しかし地方では一軒当たりの投函が複数口にな ていない 一人当たり一日七〇〇通を配れるだけの密度が必要だ 同時にMDの勤務体系も検討している 固定勤務か それとも波動にフレキシブルに対応する体制にできるのか そのためには勤務時間や給与体系をどうするか ローソンとの取扱店契約解消について、ヤマトは2004年8月26・27日付けの全国54紙に意見広告を掲載(下)写真。
郵政公社の民業圧迫を厳しく非難した。
その後、ヤマトは郵政を正式に提訴。
郵政も徹底的に抗戦する構えで両者の争いは法廷論争に発展しているクロネコヤマトは変えません 宅急便をご利用のみなさまへ 来る11月18日 木 より コンビニエンスストアチ ン・ロ ソンで宅急便ならびに宅急便関連商品・サ ビスの取り扱いを停止することになりました これでお客様の身近な窓口がひとつ減ることになりますが この不便さを解消し これまで通りの便利さでご利用いただけるよう クロネコヤマトはより一層の努力を重ねていきます 残念ながら クロネコヤマトの契約が打ち切られました ロ ソン本部は8月17日 火 クロネコヤマトに対して宅急便の取扱店契約を中途解約するとの通告をしました ロ ソン本部は 最終的に宅配サ ビスに ゆうパ ク を選んだことになります かねてからロ ソン本部は 宅急便 と ゆうパ ク のどちらも取り扱いたいとの意向を示していました しかしながら クロネコヤマトはどうしてもそれに納得できないのです みなさんはクロネコヤマトのわがままと思われるかもしれません しかし わたしたちクロネコヤマトは お客様の便利を最優先で考える企業風土に生きています そして 他の宅配業者ともお客様のためという土俵で正々堂々競争したいと思 ています これまでもたくさんの競争があり お互いに切磋琢磨しながらお客様によりよい商品・よりよいサ ビスを提供してきたという自負があります 公平な競争がしたいのです 公正な競争がしたいのです その原則が守られない競争にはあえて挑みたくない それがクロネコヤマトの企業姿勢なのです そのことに クロネコヤマトはお客様無視だ とのお叱りもあるでし う けれども それを覚悟で あえてわたしたちはこの原則を貫き通したいのです 日本郵政公社は独占事業であげた利益をもとに競争しようとしています まずお伝えしないといけないのは 日本郵政公社の業務はすべて民間に開かれているわけではない ということです 言いかえれば 日本郵政公社には 民間企業が手を出せない領域があり それを独占しています 手紙やハガキは日本郵政公社の独占事業なのです だから 手紙やハガキの料金に 自由競争はありません その一方 みなさんは驚かれるかもしれませんが 日本郵政公社は民間と競合する冊子小包 民間でいうメ ル便 で 大口のお客様に大幅な料金割引制度を適用しています クロネコヤマトは日本郵政公社との競争に賛成です ただし 公正ならば 民間企業はすこしでも大きな利益をあげ 法人税を払い そしてなるべく多くを株主や従業員に還元するよう頑張 ています とくに宅配便業界は わたしたち民間企業が 企業努力を重ねて新商品・新サ ビスを開発し 全国津々浦々にお届けできるネ トワ クをつくり 現在の規模まで市場を拡大させてきました いま このわたしたちの市場に 日本郵政公社がロ ソンを足がかりに入 てこようとしています さらに日本郵政公社は 税制面などでさまざまな優遇措置を受けているという事実があります はたして それが公平なのか はたして それが公正なのか 日本郵政公社が 民間が切り拓いた市場で競争をしかけるのはフ アプレ と言えるでし うか クロネコヤマトはお客様に支えられてはじめて存在できる民間企業です クロネコヤマトはお客様のためにある その企業姿勢を変えません 宅急便をはじめクロネコヤマトの商品・サ ビスは すべてお客様の便利を追求してカタチにな たものです そしてこれからも さらなる便利な商品・サ ビスを新しいアイデアで創出していきます これこそが未来までクロネコヤマトが変えない企業姿勢であり お客様から選ばれる民間企業としてあるべき企業姿勢であると考えます JANUARY 2005 18それを労働組合とも相談しながら進めている 聞くところによると郵政は二軒に一軒の配送密度があるそうです ボリ ム面でキ チア プするのは難しいのでは 郵政の配送密度はも と高いのではないか 世帯数を考えれば二軒に一件だとしても その一軒には二通行 ている計算になる 確かに現状の差は大きい しかし キ チア プできないとは思 ていない そもそも当社は限られたパイを郵政から奪おうとしているわけではない 新しい需要を作ろうとしている 一人当たりの郵便通数をアメリカと日本で比較すると アメリカが年間約七〇〇通であるのに対し日本は約二〇〇通しかない 独占によ て利用者にそ ぽを向かれれば使わなくな てしまうが 新たな利便性を実現すればニ ズを掘り起こすことができる 例えば これまでA4サイズは三つ折りにしなければ通常料金では送れなか た 当社がメ ル便を開発したことでA4サイズを折らずに送れるようにな た 現在の郵便以上のボリ ムをも た新市場を開拓できると見ているわけですか 当然だろう 宅急便を作 た時と一緒だ 当社が宅急便を作 た昭和五一年の郵便小包は年間約一億八〇〇〇万個だ た 当社はもちろんゼロ これに対して二〇〇三年の一般小包はまさに一億八〇〇〇万個で 二九年前と全く変わ ていない それに対して当社は一〇億個だ 宅配市場全体では三〇億個に拡大した メ ル便でも同じことを起こす 二〇〇三年度に当社のメ ル便は一六一%の伸びを示した 今期も前年比で五一%ぐらい伸びそうだ 市場は当社の登場を待 てくれていた この伸びからすれば キ チア プもそう遠い話ではない お客様のご満足さえあれば 最終的には郵政を打ち負かすことができる しかし 宅急便のネ トワ クを完成させるために ヤマトは二十一年をかけました メ ルもそれに匹敵する時間と投資がかかるのでは 宅急便の時と違 て今回は装置としては既にできている 宅急便が現在約一〇億個ある これに対してメ ル便も一〇億通だが メ ル便一〇億通のボリ ムは宅急便の一〇〇〇万個分に過ぎない そのためラストワンマイルの配送体制以外のハ ドの部分は大きな問題にならない 物流市場の宅急便化が進む 集配拠点の倍増による増収効果は期待通り出ていますか 確実に出ている 拠点を細分化したことで集荷の回数を増やすことができるようにな た つまり物理的な輸送距離が短くな たことで輸送機会が増えた 何度もお客様のところに顔を出すことで従来は見えていなか た荷物が見えてきた 従来は白ナンバ で自家配送するしかなか た荷物を獲得できるようにな てきた 一段高いステ ジで仕事ができるようにな てきている 一般的には宅配便市場も既に飽和に近付いていると言われています そうは思わない むしろ物流市場は どんどん宅配便向きにな てきていると見ている もはや国内貨物輸送量の総量は増えない むしろ減 ている バブル崩壊以降は毎年一%ぐらいずつ国内輸送量は減少している 輸送の短絡化 在庫の圧縮 流通の簡素化 あるいは経済自体のスピ ドア プの影響のだろう 究極的には顧客が見つかるまで作らない受注生産に 企業経営がシフトしている この傾向は今後も加●年間国民1人当たりの郵便利用通数上位20か国・地域(2001年) 日本の郵便利用状況は先進国中最低レベル 資料:日本郵政公社「郵便2003」より 7068007006005004003002001000562 503 444 437 436 370 348 345 345 337 273265264263 215207199187184米国 ノルウ 単位:通・個 スウ デン オランダ スイス フランス カナダ ルクセンブルグ フ ンランド ベルギ 英国 スロヴ ニア デンマ ク オ ストラリア ドイツ アイスランド 日本 シンガポ ル アイルランド 香港 特 集 決断 ヤマト運輸の 決断 19 JANUARY 2005速する それに伴い物流の小ロ ト化 多頻度化 スピ ド化が進んでいる つまり当社向きの流れにな てきている つまり従来は路線便 特別積み合わせ便 で運んでいた荷物が小ロ ト化することで宅配便市場に流れてきているということですね その通りだ 従 て宅配便の市場は 従来なか た付加価値をつけていくことでまだまだ伸びると見ている 同時に貸し切り便で運んでいた荷物が路線便にも流れている 十一月にヤマトが発売した ボ クスチ タ 便 はまさに路線便市場を狙 たものですね そうだ 日本にはまだ七〇〇万台の自家用トラ クが動いている 貸し切りや自家用トラ クの積載率を高めるために荷主が荷物をまとめようとすれば どうしても配送日数が長くな てしまう それを当社は中ロ トで定期的に運ぶ 基本的な発想は 六〇〇キログラムの宅急便 だ BtoBの中ロ トの荷物を宅急便のインフラに乗せる 従来は貸し切りで運んでいた貨物や 路線貨物でも複数個数口で処理していた貨物をロ ルボ クスに乗せて運ぶという 六〇〇キログラムのユニ ト輸送だ 同時に決済サ ビスも強化しています 二〇〇四年十一月には総合信販会社のフ インクレジ トを買収しました これもBtoB向けですね 物流には常に所有権の移転が絡んでくる その意味で物流 情報 決済の三つを統合したサ ビスには当然 ニ ズがある それに対し今まではtoCの分野に限定してサ ビスを提供してきたが その領域を拡げようということだ 具体的には従来の決済サ ビスは代金と荷物を引き替えるだけだ た それに対して月末締めでまとめて支払うというような決済にも対応できるようにするなど 色々と検討している 二〇〇五年度からの中期経営計画で具体策を提示する 大手外資とはモデルが違う 決済以外の分野で買収の可能性は キ シ フロ は潤沢ですが 潤沢というほどではないが ようやく無借金にな て様々な事業投資に振り向けることができるようにはな てきた これまで当社は基本的に自前主義で来たが 周辺事業で我々の持 ていないノウハウや 自前で構築するには時間がかかり過ぎる機能については提携と同時に買収も選択肢になる 国際事業における買収は? 基本的には今後も当社の主軸は国内ネ トワ クだ 海外事業も対日本の物流がテ マ 宅急便というサ ビスをそのまま海外に持 ていこうとは思わない 国際インテグレ タ とはモデルが違う 逆に国際インテグレ タ が日本国内の宅配便市場に本格的に参入してくるリスクはありませんか 一兆円規模の投資をしない限り 外資が当社と同じレベルのインフラを持つことはできない 品質という面では なおさら難しい 外資が大きな脅威になるとは考えていない UPSとの提携を解消し ドイツポストと新たに提携を結んだ理由は? UPSとは資本提携を解消しただけで現在も友好な協力関係を維持している もともとUPSとは従来からメ ル便については補完関係にない 一方のドイツポストとの提携は メ ル便の国内配送を当社に委託するという内容だから性質が違う ただしドイツポストとの提携を通して将来は日本発の国際メ ル便を本格化させようとは考えている PROFILEやまざき・あつし1945年生まれ。
早稲田大学卒。
69年、ヤマト運輸(当時・大和運輸)入社。
大阪主管支店長、北東京主管支店長などを経て、93年に関西支社長。
95年に取締役。
99年に常務取締役営業戦略本部長。
2003年6月、代表取締役社長に就任。
現在に至る。
