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2009年12月号
特集

第5部 レイバーマネジメントに挑む

DECEMBER 2009  30    ?日々決算?の前提条件  ──ハマキョウレックス   ハマキョウレックスの高丘センター(静岡県浜松市) は、大手通販会社の物流拠点だ。
延べ床面積約七万 九〇〇〇平方メートルの敷地内に、商品棟、コスメ 棟の他、三つの出荷棟が建ち並び、ハマキョウが運営 する全五七センターの中でも最大級の規模を誇る。
正 社員五八人、パート・アルバイト約六〇〇人が所属 し、衣料品や生活雑貨等の入荷・保管から出荷まで の一連の業務に従事している。
 ハマキョウが高丘センターの運営を受託したのは二 〇〇七年一〇月。
受託前は荷主である大手通販会社 が自社運営していたが、生産性の向上などを期待し てハマキョウに全面委託した。
センターは荷主の自社 資産で、ハマキョウが賃借するかたちをとった。
既存 の現場スタッフもハマキョウがそのまま受け継いだ。
 受託時から今年三月までセンター長を務めていた岡 村保徳執行役員営業副本部長が真っ先に着手したこ との一つが、引き継いだ人員を直接雇用化すること だった。
受託前の高丘センターでは約五五〇人の現場 作業スタッフが働いていた。
その構成は二五〇人が荷 主の直接雇用、三〇〇人が人材派遣スタッフだった。
 荷主が直接雇用していた二五〇人に関しては、運 営開始時からハマキョウの直接雇用人員として迎え入 れることができた。
しかし、人材派遣スタッフに関し ては、一〇社以上と契約を結んでおり、契約期間な どがそれぞれ異なるといった事情から段階的に切り替 えるしかなかった。
 岡村営業副本部長は「三〇〇人もの人材派遣スタッ フをいっぺんに受け入れ、直接雇用に切り替えるとい うのは当社にとっても初めてのことだった」と振り返 る。
慣れない業務ながらも派遣スタッフとの面談・交 渉、人材派遣会社との月例会議などを繰り返し、今年 五月末には全ての人員を直接雇用化することができた。
 人材派遣会社との月例会議で、まずハマキョウの基 本方針として人材派遣スタッフの活用は考えていない ことを明確に伝えた。
派遣会社としては、契約期間 終了後はスタッフを引き上げて別の派遣先を見つけた いところだ。
ハマキョウにそのまま直接雇用されてし まえば、スタッフの募集・教育コストがフイになる。
 しかし、当時はグッドウィルの違法派遣などが取り 沙汰され、派遣業に強い逆風が吹いていた。
加えて、 高丘センター周辺の製造業者は不況のあおりを受け軒 並み操業レベルを落としていた。
派遣需要は急速に縮 小していた。
結局、雇用確保という観点から人材派 遣会社もハマキョウの直接雇用化を承諾した。
 現場スタッフの直接雇用にこだわった理由を、岡村 営業副本部長は「当社が持つ現場管理の?強み?と人 材派遣とは相容れないからだ」と説明する。
ハマキョ ウの?強み?とは、日替わり班長制・収支日計表・ アコーディオン方式の三つのテクニックを特徴とする。
 「日替わり班長制」はパート・アルバイトを含めて 全員が班のリーダーをローテーションで回すという制 度だ。
班長の役割は朝礼・昼礼での連絡・確認事項 の伝達、作業進捗の管理・報告、作業改善案の提示、 業務終了時の報告など多岐にわたる。
 班長はその日の物量と作業人員数から目標終了時 間を設定し、どうすればその時間内で作業を終えら れるか頭を使わなければならない。
この役割を、仕 事を始めて一週間のアルバイト作業員にも任せる。
業 務に対する参加意欲を全員に持たせることを目的とし ている。
 「目標を達成できれば自信に繋がり、さらに高い目 レイバーマネジメントに挑む  物流センターの庫内作業は非正規社員が担っている。
しかし、労働規制の強化によって派遣は使えなくなり、 パートの時給も上がる。
非正規社員を対象とした労務 管理のコンプライアンスとレイバーマネジメント(作業 者管理)の向上を急がなくてはならない。
その取り組 みを追った。
        (梶原幸絵、石鍋 圭) 第 5 部 特集 新しい物流労務管理 31  DECEMBER 2009 標にチャレンジする。
責任感も生まれる。
失敗すれば 何が問題だったかを考えるようになる。
上からの指示 ではなく、自分達で考える体質が現場の生産性に大 きく貢献している」と岡村営業副本部長は語る。
自 分が班長の時に協力してもらえないと困るため、班長 の日以外の仕事ぶりも良くなるという。
 「収支日計表」は、その日の業務結果をその日のう ちに集計し、翌日以降の作業見直しに活用するため のツールだ。
作業ラインごとに日別の売り上げやコス トの予算を設け、それに対する実績を入力する。
各 作業ラインから上がってきた収支報告を、最後にセン ター全体の収支日計表としてまとめる。
 各センターは翌日の午前中までにまとめた収支日計 表を本社に送ることを義務付けられている。
その結果、 会社全体で、その日が黒字だったのか赤字だったのか を把握できる。
 収支日計表は作業員にも必要に応じて開示される。
「赤字だった場合は何に問題があったのかを究明する。
ミスが多かったのか、そもそも予算の立て方に問題が あったのか。
全員にコスト意識を持たせることが目的 だ」(岡村営業副本部長)。
 各作業ラインの物量に応じて、ムダのない人員配置 をすることを、ハマキョウでは「アコーディオン方式」 と呼んでいる。
高丘センターでは毎週金曜日に行われ る「週間スケジュール確認会」で翌週の物量を予測し、 一週間の作業人員のシフト表を作成している。
予測の 基になる数字は、荷主との間で月に一度開かれる「物 量予測会議」で決定する。
 当日の物量が予測通りなら問題なく作業を進めら れるが、実際には振れてしまうこともある。
とりわ け高丘センターは荷主が通販会社であるため、予期せ ぬ大量発注も多い。
岡村営業副本部長の後任の西尾 昌明センター長は「正確な物量予測のための工夫はし ているが、当日蓋を開けてみたら平準の三、四倍の 物量があったということも珍しくない」という。
 物量が振れた場合は、まずセンター内で調整する。
高丘センターは三つの課に分かれている。
このうち比 較的余裕のある課が人員を回す。
 それでも足りなければ、出勤予定のない作業員に 電話をかけ応援を求める。
高丘センターの作業員には 二種類の休日がある。
完全な休日と、緊急応援要請 の可能性がある休日だ。
作業員本人も電話がかかっ てくる可能性があることを理解しているため、すぐ に駆けつけてくれるという。
 ハマキョウの現場力は、この三本柱によって支えら れている。
いずれも、現場への帰属意識や管理者と の相互理解が無ければ成り立たない。
生産性も自社 雇用のスタッフと派遣では全く違うという。
 「平準の作業員のピッキング枚数が一時間当たり一 五〇枚だとすると、初めて現場に来る新人派遣スタッ フがピッキングできるのは一〇〇枚前後。
数字の上で は三割の生産性ダウンでも、実際にはそれ以上のロス がある。
教育のためにベテラン作業員を張り付かせな くてはいけない。
しかも、作業に慣れてもまた同じ人 が来てくれるとは限らない。
これでは生産性を上げる ことも、帰属意識を持ってもらうこともでない。
ハ マキョウの?強み?は、自社雇用の現場スタッフがい て初めて可能になる」と西尾センター長は説明する。
 改善を重ねて制約を乗り越える ──ティーエルロジコム   S B Sホールディングス傘下で総合物流を行う ティーエルロジコム土浦支店は今年二月、北関東を地 盤とする中堅スーパーのドライ食品専用センター(以 毎週金曜日の「週間スケ ジュール確認会」で翌週のシ フトが決定される パート・アルバイトを問わ ず全員が班長を経験する ハマキョウレックスの 岡村保徳執行役員営業 本部営業副本部長 ハマキョウレックス高 丘センターの西尾昌明 センター長 DECEMBER 2009  32 下、ドライセンター)の現場運営で派遣スタッフをす べて直接雇用に切り替えた。
 ドライセンターは、茨城県かすみがうら市の「中央 DC」(倉庫面積一二一〇坪)と「TL倉庫」(四五〇 坪)、土浦市の「中貫DC」(一二五〇坪)に分散する 三つの拠点から構成される。
土浦支店の主要拠点で、 大手卸を通じて現場運営を二〇年にもわたって請け 負ってきた食品、酒類など卸企業十二社の商品をケー スと小分け・バラに分けて保管。
約一五〇店舗に向 けて出荷している。
 三拠点に所属する現場スタッフは現在、合計約一二 〇人。
このうち正社員は四〇人。
昨年は三拠点で一 〇〇人もの派遣スタッフを使っていたが、今年一月に 直接雇用への切り替えに着手した。
派遣会社・派遣 スタッフと交渉して一部を契約社員とし、併せてパー ト・アルバイトを新規募集して四〇人弱を雇用した。
 「今年七月に抵触日が控えていたこともあるが、派 遣は直接雇用に比べてコストが高い。
昨年は月間四〇 〇〜五〇〇万円かかっていた。
また、直接雇用の人 材はいざというときの踏ん張りが違う」と土浦支店 の大槻直紀業務主任は説明する。
 元々、ドライセンターでは派遣を利用していなかっ た。
しかし出荷先スーパーの店舗拡大戦略に伴い、こ の数年は取扱量の増加に対応しきれなくなってきた。
加えて昨年、酒類の取り扱いを開始したことで物量が 倍近くに膨れ上がったため急遽派遣を大量に受け入れ ることになった。
その後酒類の取り扱いに慣れ、生産 性が戻った段階で直接雇用への切り替えを決定した。
 物量の波動に対応するため、日々の作業計画は綿密 に策定している。
特売については小売りの特売予定 と過去の入出荷実績を基に、卸とTLロジコムでメー カーへの発注量を決めている。
しかしそれ以外の入荷 情報は事前に把握することができない。
出荷量も当日 昼にならないと確定しない。
 このため過去の入出荷量や総在庫数、在庫回転数、 各工程別の作業人時・生産性を蓄積したデータからT Lロジコム側で独自に予測している。
これに基づき、前 週までに人員の配置計画を策定する。
一日を大きく入 荷作業を行う午前と出荷作業の午後に分け、さらに入 荷、ケース商品格納、バラ・小分け商品格納、ケース 商品出荷、バラ・小分け商品出荷等、工程別の繁閑 に合わせて出勤する人員数・時間を調整している。
 現場では作業計画とのズレも生じる。
現場担当者の 進捗管理に加え、フォークリフト・台車に搭載した端 末とハンディターミナルでシステム上でも作業の進捗を 把握している。
これによって作業員一人ひとりが自ら の進捗を判断できる。
 格納・出荷工程は、作業量に応じて棚ごとに受け 持ちの人員を配置している。
進捗管理をする正社員数 人が計画よりも遅れている棚があれば応援に入り、そ れでも足りなければ工程内で早く作業を終えたところ から棚から棚へ人員をシフトしていく。
 さらに正社員はセンター内すべての作業に対応でき るため、工程を超えて移動してパート・アルバイトを フォローする。
作業計画策定時にセンター内の人員で まかないきれないことがわかっている場合には、予め ほかの拠点から応援も呼んでおく。
 こうした人員管理に加え、日々の改善活動にも取り 組んでいる。
ドライセンターの中貫DCが実施した改 善の一つは、今年一〇月に日本ロジスティクスシステ ム協会の「関西物流改善事例大会」で優秀事例に選 出された。
改善テーマは「入荷車輌ジャストインタイ ム化による待機車輌削減」。
入荷待機車両の渋滞を解 消し、それに合わせて人員配置を見直すことで、入荷 小口納品車両用の入荷口。
現在、大口にも対応できる よう整備中 改善の一例。
以前はパレット の管理のために人を置いてい たが、普通のレジに店舗番号 と枚数を打ち込み、レシート を伝票として使用している 入出荷エリア。
以前は写真奥 まで台車が並んでいたが、大 口商品の入荷作業スペースを 確保した 納品業者の時間割と着車早 見表を付けた納品管理ボッ クス。
納品状況と異常が一 目でわかる TLロジコム土浦支店 の大槻直紀業務主任 特集 新しい物流労務管理 33  DECEMBER 2009 を効果的に見直すことができ、5S(整理、整頓、清 掃、清潔、躾)に充てる時間も増やせたという。
 情報をコントローラーに集約 ──ヤマトシステム開発   ヤマトシステム開発はヤマトホールディングスグルー プの情報システムを開発・運用するほか、システムの 外部販売を行っている。
外販比率は六割以上に上る。
情報システムだけでなく、物流現場業務も直接受託・ 運営している。
同社の〇八年度の売上高は五五四億 円。
うち二割以上を物流事業が占めている。
 同社で物流現場の運営に当たるe─ロジトレーシン グソリューションカンパニー事業クリエイトグループの 金丸嘉伸部長は「自分たちで開発したシステムを実際 に現場で動かすことで、現場作業がやりやすいよう ブラッシュアップしていくことができる。
システムと 決済、通信、物流をワンストップで提供することが顧 客のメリットにもつながっている」という。
 物流事業では既に二〇年の実績がある。
二〇〇 〇年頃からは現場オペレーションの原価管理を徹底 するため、物流ABC(Activity Based Costing: 活動基準原価計算)・物流ABM(Activity Based Management:活動基準管理)に取り組んでいる。
 一般的なABC・ABMよりも活動単位を細分化 し、顧客別に各工程・作業のコスト・生産性の見え る化を進めた。
こうして蓄積したデータを、今ではレ イバーコントロール(労働時間スケジュールを調整し、 必要な時間に必要なだけの人員投入を行うこと)に 応用している。
 実際の運用をみてみよう。
物流拠点の一つである 新東京ロジシスセンター(東京都太田区、倉庫面積一 万一二四一平方メートル)では通信機器や通販商品、 作業の生産性を三六・四%向上させた。
 中貫DCが稼働したのは昨年二月。
一〇数万〜二 〇万ケースを保管しているが、用地の制約から入出荷 バースを一カ所にせざるを得ず、バース面積も二〇〇 坪と狭かった。
同時に着車可能な台数は最大六台。
こ れに対して一日の平均入荷車両は三五台。
しかも入 荷はすべて午前中のため、荷降ろし待ち車両が一般 道に並ぶ状態が慢性化していた。
 そこで各運送会社の入荷の平均時刻、平均物量、 パレット・バラの納品形態などから調整を重ね、納品 時間帯をバランスよく指定すると同時に、六つの着車 バースのうち三バースを指定車両用、二バースを納品 頻度の少ない指定外車両用、一バースを両用として割 り当てた。
 さらにセンターの裏側にあった店舗用台車搬入口を、 路線便などの小口納品車両専用の入荷口として整備し た。
同入荷口に隣接する事務所と小分けエリアの人員 を教育し、メーン・バースとは別に検品体制も整えた。
 取り組みの甲斐あって今年二月までに待機車両は ほぼ解消した。
しかし入荷車両台数が一日四〇台を 超えると、再び待機車両が発生してしまった。
そこ で次に、DC構内での商品の格納作業時間を短縮し 車両の回転を上げることにした。
 中貫DCでは午後の出荷用の店舗台車三二〇台が 始業時間までに入荷バースとケースエリアの間に搬入 される。
これがフォークリフトで大口商品を格納する 際、障害になっていた。
まず八〇台分の搬入時間を 午後に変更。
空いたスペースに合わせて三バースを大 口商品の入荷用に改め、納品時間帯とバース指定を変 更して延べ格納時間を一日当たり一〇〇分短縮した。
 「これによって待機車両はすべて解消した」と土浦 支店の赤城康章業務主任。
生産性の向上で人員配置 TLロジコム土浦支店 の赤城康章業務主任 ヤマトシステム開発事 業クリエイトグループの 金丸嘉伸部長 出荷の作業場は基本的に各顧 客共通としている。
写真は通販 商品の出荷作業。
センターから は宅急便を月間8万個、メール 便を2万件送り出す 6階建てのセンターのうち3 〜 5階は保管エリアとしている。
荷役にラックフォークを利用し ているため、棚間隔は1.4m 薬の販促品など三五社のB to B、B to Cの小口物 流を手掛けている。
 物量の波動に対応するため、過去の生産性実績と 週一回の現場ミーティングなどの情報に基づき、前週 までに人員のシフト・作業計画を策定。
顧客からの入 出荷情報を随時反映して更新している。
 さらに実際の現場運営では「コントローラー」と呼 ぶ担当者を置いて作業の進捗管理を行っている。
作 業員は一つの作業を終えると、作業内容と開始・終 了時刻をコントローラーに報告する。
 コントローラーは生産性実績を裏付けとして、セン ター全体と個々の工程別・作業別の状況を見ながら柔 軟に人員を配分していく。
頭の中には各作業・各工 程で必要とされるスキルと、各作業員の持つスキルが 入っている。
それを基に状況判断を繰り返す。
業務 終了後はコントローラーの人員配置の判断が本当に最 適だったのかどうか、データと照らし合わせて検証す る。
その結果を日々の業務にフィードバックする。
 コントローラーは各センターにそれぞれ一人のみ。
あえて進捗情報を一人に集中させている。
誰もがコ ントローラーの業務をできるわけではない。
観察能力、 コミュニケーション能力、経験やカンなどの技能が必 要だ。
「いくらデータがあってもコントローラーの業 務はアナログ的な部分にかかってくるところも大きい。
そうした人間を育てることがセンターにとって重要に なっている」とe─ロジセンターグループ新東京ロジシ スセンターの奥村克明センター長は強調する。
 柔軟な人員投入を実施するには、作業員を多能工 化しておく必要もある。
庫内作業は入荷、補充、ピッ キング、検品、梱包、出荷など多岐にわたる。
しか も顧客によって荷物の扱い方法や手順が異なる。
 「各顧客の入荷から出庫までを一通りやってもらえ ば業務の?タテ?の流れはわかる。
それを別の顧客の 商品に、つまり?ヨコ?に展開していく。
当センター では品質管理の『ISO9001』を取得している。
作業手順を標準化し手順書も備えている。
そうした 仕組みも生かして顧客別にわかりやすく作業マニュア ルを整備した」と奥村克明センター長は語る。
 ここまでやっても、e─ロジセンターグループの小澤 大直グループリーダーは「当社のレイバーコントロール はまだまだ完成とはいえない。
蓄積したデータを、ど のように料理するのが正解なのか模索している段階 だ。
こうした見える化の仕組みは今後、外部顧客か らも必要とされるはず。
可視化した情報の利用方法 の高度化を今後も続けていきたい」と考えている。
 作業員の生産性を?見える化? ──セル・プランニング   セル・ホールディングスで物流業務請負事業を展開 するセル・プランニングの千葉事業所は、食品類を中 心に扱う中堅小売チェーンを荷主としている。
約一二 〇人の作業スタッフが、入荷・保管・ピッキング・検 品・出荷など、荷物をドライバーに引き渡すまでの庫 内作業に従事している。
作業スタッフは全員、セル・ プランニングと直接雇用契約を結んでいる。
 今年三月、同事業所にセル・ホールディングスが約 二年をかけて開発した「ABM(活動基準管理)シ ステム」が導入された。
同事業所の酒巻正美所長は 「勤怠管理やシフト管理に役立つだけでなく、生産性 や作業品質の向上にも大きく貢献するシステムだ」と 説明する。
 現場スタッフは出勤すると携帯端末を渡される。
そ の端末で自分の名札に付いたQRコードを読み込むと、 その個人情報がネット経由でシステムサーバに届けら DECEMBER 2009  34 ヤマトシステム開発e-ロジ センターグループ東京ロジ シスセンターの奥村克明 新センター長 ヤマトシステム開発e-ロジ センターグループの小澤大 直グループリーダー セル・プランニングに導入さ れたABM システムの携帯端 末の画面。
自分がこれから行 う作業内容などを報告する 特集 新しい物流労務管理 れ、出勤のタイムカード代わりとなる。
作業を開始す る際には、これから自分が何の作業をするのかを、携 帯端末の選択肢から選ぶ。
その情報もサーバに届けら れる。
 各作業ラインにはQRコードが設けられている。
そ れを携帯端末で読み込むことで、自分がセンターのど の作業エリアにいるかを通知する。
一つの作業が終わ り、次の作業に移るときも同様の操作をする。
 携帯端末から送られた情報は、即座にパソコン上の 管理画面に反映される。
管理スタッフは全ての現場作 業員が今どこで何をしているのかを、リアルタイムで 把握することが可能だ。
ログインに必要な認証コード とパソコンさえあれば、どこからでも確認することが できる。
「センター全体の作業の進捗が手に取るよう にわかる。
どこか遅れている作業ラインがあれば、余 裕のあるラインから人を回すこともできる」と酒巻所 長は語る。
 現場スタッフは一つの作業を終えると、その作業結 果も携帯端末経由で報告することを義務付けられてい る。
ピッキング作業をしたのであれば、その数量を打 ち込んで送信する。
送られてきたピッキング実績と作 業時間を基に、生産性が指数化されて出てくる。
同 事業所ではこの生産性指数を基に、月に一度の人事 評価を行っている。
 各作業に基準となる生産性指数が定められている。
その基準と実績を照らし合わせて一カ月の時給が決定 される。
ある作業の生産性指数の基準が一〇〇の場 合、実績が一一〇なら基準時給から五〇円アップ、一 二〇なら一〇〇円アップという具合だ。
反対に、実績 が九〇なら時給は五〇円ダウンとなる。
 生産性と合わせて、作業品質も人事評価には加味 される。
いくら手早く作業をこなして生産性を高めて も、ミスが多ければ元も子もない。
検品時に明らかに なったピッキングのミスを、誰が担当したのかも割り 出せる仕組みにしている。
個人のミス率もはじき出し、 生産性と合わせて評価している。
仮に現場スタッフが 虚偽の実績申告をしたとしても、全体の物量などか らすぐに露見してしまうという。
 同事業所の倉田智之所長代理は「生産性の実績が時 給に直結するので、スタッフの作業に対するモチベー ションは高く保たれる。
結果、現場の生産性は上がる ことになる。
同時に、ミスは減点対象になるので丁 寧な仕事を心掛けるようになる。
これは作業品質の 向上に貢献している。
数値を基にした客観的な評価 システムなので、不平や不満も起きない」と、ABM システムの効果を語る。
 指数化された生産性は、シフト管理にも役立ってい る。
千葉事業所では前週実績をもとに一週間の物量 を予測するが、「この日の物量はこれくらいだから何 人くらい必要」という杜撰なシフトの組み方はしない。
例えば同じ一〇人でも、個々の持つ生産性指数によっ てこなせる業務量は大きく変わってくる。
個人の生産 性指数をうまく組み合わせて、最適の人員配置に努 めている。
 同事業所ではABMシステム導入前から生産性の把 握を最重要視していた。
そのため、業務終了後に作業 スタッフに残業代を支払ってまで業務日報を書かせて いた。
しかし、何時からどの作業に従事し、いくつの 実績があったかは記憶に頼る面が多く、現在の体制に 比べれば正確性に欠けていた。
正しい生産性が把握で きなければ、正しい人事評価もシフト管理もできない。
ABMシステムを導入したことで、その精度が飛躍的 に向上した。
今後、セル・ホールディングスでは同シ ステムを他社にも提供していく方針だという。
35  DECEMBER 2009 ABM システムの管理画面。
勤怠状況 だけでなく、個人の生産性まで明確 に把握できる セル・プランニングの 酒巻正美千葉事業所 所長 セル・プランニングの 倉田智之千葉事業所 所長代理

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