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2009年12月号
ケース

ライダー・システム 世界同時不況

DECEMBER 2009  46 世界同時不況 ライダー・システム トラックリース事業をメーンに国際展開 3PL部門はリストラで黒字転換果たす  住宅メーカーの積水ハウスは業界で初めて、新築 施工現場で発生する廃棄物のゼロエミッションを達 成した。
現場で分別を行い、集荷拠点を経由して 自社のリサイクル施設に回収する仕組みを作ること で、廃棄物の発生量を大幅に削減した。
さらに部 材の設計段階から発生抑制を図るため、回収時に ICタグで廃棄物情報を収集するシステムの構築を めざしている。
設備投資を半減してキャッシュを確保  日本において、米ライダー・システム社は 3PL企業としてのイメージが強い。
地元米 国でも複数のロジスティクス専門誌が過去に 何度も同社を全米ナンバーワンの3PL企業 に選んでいる。
しかし、実際には同社は創業 時からトラックのリース事業を柱とし、利益 の大部分を同事業で生み出してきた。
 ライダーは三つの事業部門を持つ。
一つが トラックのリース事業であるフリート・マネ ジメント・ソリューションズ(FMS)部門。
もう一つは3PL事業であるサプライチェー ン・ソリューションズ(SCS)部門。
そし てトラックの貸切輸送事業であるデディケー テッド・コントラクト・キャリッジ(DCC) 部門だ。
 主業のFMS部門では、法人顧客を中心 にトラックやトレーラー、トラクターなどを、 メンテナンス込みで長期リースしている。
リ ースの契約期間は一カ月から一年に設定して いる。
米国内における同業他社には、Uホー ルやバジェット・トラック・レンタル、それ にライダーと同様に3PL事業も手掛けるペ ンスキー傘下のペンスキー・トラック・リー シング──などがある。
 ライダーの創業は一九三〇年代にさかのぼ る。
創業者のジェームズ・ライダー氏が、ト ラック一台で建設現場にコンクリートを運ん だのがはじまりだ。
 その数年後、二〇台近くに増えたトラック のうち、五台をマイアミの飲料メーカーにリ ースしたことから業容を拡大する足掛かりを つかんだ。
七〇年代にイギリスに進出を果た した時の事業も、トラックのリースだった。
 これと並行してトラックの貸切輸送も四〇 年代から手掛けており、その一部が3PL業 務へと進化していった。
しかし、同社が買収 を通じて本格的に3PL業務に乗り出すのは 九〇年代のこととなる(図1)。
 現在も、FMS部門が同社の売上高全体の 七割以上を占めている。
SCSとDCCは残 りの二割強に過ぎない。
利益率の面から見て も、これまでFMS部門が同社の成長のエン ジンだった。
二〇〇八年の決算でみれば、営 業利益の九割近くをFMS部門で上げてい る。
同部門の〇四年から〇八年までの五年間 の営業利益率は十一〜十三%という高水準 にあった(同社は営業利益率を算出する分母 に、Revenue =総売上高ではなくOperating Revenue=純売上高を置いている。
総売上高 から傭車費用などの外注費や燃料費を引いた ものが純売上高)。
それに対して、3PL事 業のSCS部門の利益率は三〜五%で推移し てきた。
ちなみに貸切輸送のDCC部門は五 〜九%だった。
 今年の第3四半期の決算は大幅な減収減益 となった(図2)、総売上高が十二億五六六 〇万ドル(一一三〇億九四〇〇万円、前年 同期比二〇・三%減)、営業利益が四四三〇 米ライダー・システム社は、トラックのリース事 業をメーンに3PLや貸切輸送事業を国際的に展開し ている最大荷主GMの経営破綻では大きな打撃を 被り、ヨーロッパ大陸と南米市場からの撤退を余儀 なくされた。
しかし、ライバル企業からヘッドハン ティングした大物経営者の指揮の下、リストラを断 行し業績は好転に向かっている。
47  DECEMBER 2009 万ドル(同六一・五%減)、最終利益が二四 〇〇万ドル(同六五・八%減)、潜在株式調 整後一株当たりの利益は〇・四三ドル(同六 五・三%減)だ。
 同社のグレッグ・スウェートン会長兼CE O(最高経営責任者)は、昨年秋以降の米 国発の世界同時不況によって荷動きが低迷し、 トラックのリース事業や3PL事業の足を引 っ張ったと説明する。
しかも「経済成長や荷 動き、顧客の活動のレベルにおいて持続的な 回復傾向は依然として見えてこない」という。
 業績が回復するという確固たる見通しが立 たないため、リース車両の購入や企業買収な どの投資案件を絞ったり、予定していた株式 の買い戻しを延期するなどしてキャッシュフ ローの確保に努めている。
 今年第3四半期までの投資額の累計は三億 一六〇〇万ドル。
前年同期の七億ドル台に比 べて半分以下に抑えている。
その結果、四億 五二〇〇万ドルのキャッシュフローを確保し た。
前年同期末に比べて、一億八六〇〇万 ドル増えたことになる。
 スウェートンCEOは、「当社のキャッシュ フローを増加させる能力は(同業他社との) 大きな差異化要因であり、厳しい現在の経済 状況の中で、経営に安定感をもたらしている」 と語る。
 同社の株価を過去二年でみれば、それまで 七〇ドル前後で推移していた株価が、昨年秋 の不況以来下降し今年三月には二〇ドル台に まで下げた。
しかしその後持ち直して、四〇 ドル前後で安定してきた。
 過去五年の業績の推移は、〇七年までは総 売上高、利益ともに順調に伸ばしてきた。
し かし、〇八年は減収減益となり、その傾向が 今年も続いている(図3)。
GMの破綻で大きな打撃  ライダーの3PL事業(SCS)の特徴は、 輸送事業をきっかけにして荷主に食い込み、 そこから荷主の本業以外の業務を最大限に吸 収することにある(ワールプールの囲み記事 参照)。
インバウンド(調達物流)の業務から 始まり、センター業務全般、輸送業者の管理、 運賃の支払い業務、SCMの全体設計──ま でとその守備範囲は広い。
主要 荷主の動きに対応して、海外進 出も果たしている。
 SCS部門は現在、米国内に 一〇〇社強の荷主企業を抱えて いる。
自動車産業を筆頭に、ハ イテク産業、家電産業、日用雑 貨産業、飲料産業──と幅広い 産業をカバーしている。
主要荷 主にはイーストマン・コダック やボーイング、アルカテル・ル ーセント──などの大手企業が 名を連ねる。
 その中でも同社の最大の強み は自動車産業にあり、最大手の 顧客はゼネラルモーターズ(G 総売上高 12 億5660 万ドル −20.3% フリートMS 9 億1190 万ドル −21.8% サプライチェーンS 2 億9870 万ドル −21.6% デディケーティッドCC 1 億2060 万ドル −14.2% 相殺 −7470 万ドル ―― 営業経費合計 12 億1240 万ドル −17.1% 営業経費 5 億7610 万ドル −27.1% 人件費など 3 億1350 万ドル −9.1% 傭車代 5290 万ドル −18.2% 原価償却 2 億2050 万ドル 3.4% 車両売却益 −330 万ドル ―― 機材レンタル 1630 万ドル −13.3% 支払利子 3570 万ドル −8.9% その他 −240 万ドル ―― リストラ関連 310 万ドル ―― 営業利益 4430 万ドル −61.5% 法人税 −1580 万ドル ―― 継続事業からの収入 2850 万ドル −60.9% 中断事業による損失 −450 万ドル ―― 最終利益 2400 万ドル −65.8% 潜在株式調整後1 株当たりの利益 0.43 ドル −65.3% 図2 2009 年第3 四半期の業績 マイアミでジェームス・ライダー氏がト ラック一台で輸送業者を創業 創業者のライダー氏引退、この年の売上 高が10 億ドルを超える オランダで合弁企業を立ち上げて、欧州 大陸進出を果たす イギリスでリース業務を開始してヨー ロッパ進出を果たす ドイツでトラックリース業を開始、カナ ダでトラック輸送を開始 インバウンド・ロジスティクス誌に5 年 連続で3PL企業ナンバーワンに選ばれる フォーチュン誌に最も称賛されるトラッ ク企業に選ばれる SCS 事業において、ヨーロッパと南米市 場から撤退を表明 トラックのリース事業を開始 トラックの貸切輸送を開始 ライダー・システム社を法人登録 ニューヨーク株式市場に上場 正式に国際部門を立ち上げる LogiCorp を買収して3PL事業を開始 アルゼンチンとブラジルで業務を開始 1933 年 1938 年 1945 年 1955 年 1960 年 1971 年 1977 年 1978 年 1988 年 1992 年 1994 年 1995 年 1997 年 2002 年 2008 年 図1 ライダー略史 DECEMBER 2009  48 M)だ。
GMとの取引は九〇年代にさかのぼ る。
GMが日本車に対抗する戦略車として投 入した「サターン」を生産するイリノイ州の 工場でのSCM業務を受託したのが皮切りだ。
その後、段階的にGMとの取引を拡大してい った。
当時、GMが生産拠点を人件費の安い 南米に移していったのを機に、ライダーも南 米へと出ていった。
 それだけに世界同時不況とGMをはじめと する米国の自動車産業の混乱は、ライダーに 多大な影響をもたらした。
大打撃を受けたラ イダーは従来の事業戦略を大幅に見直す必要 に迫られた。
うち、半分は自動車産業関連の業務だった。
 二〇年近くかけて積み上げてきた海外事業 の一部から全面的に撤退し、力を入れる地域 を北米とアジア、それに英国に絞った。
しか も、このうち英国においては、FMS部門と DCC部門だけを残し、SCS部門は撤退す ることを決めた。
 今年の第1四半期、SCS部門は一九〇 万ドルの赤字に陥った(前年同期は八三〇万 ドルの黒字)。
第1四半期の営業利益の減少 分のうち、七二〇万ドルが北米の自動車産業 の業務の落ち込みによるものであり、三五〇 万ドルが南米とヨーロッパからの事業撤退に よる落ち込みだったという。
 それでも第2四半期には、SCS部門の営 業利益を二八〇万ドルの黒字(同六八〇万ド ル)として、営業利益率を一・一%(同一・ 五%)に戻した。
さらに、直近の第3四半 大物を迎入れ3PL事業を立て直し  同社がSCS部門の立て直しの切り札とし て白羽の矢を立てたのが、現在、SCSと DCCの両部門を統括するグローバル・サプ ライチェーン担当のジョン・ウィルフォード社 長だ。
 ウィルフォード社長は、大手トラック運送 のコンソリデーティッド・フリートウェイズ (現コンウエイ)で二〇年以上働き、九〇年代 前半から同社の3PL部門であるメンロー・ ワールドワイドのトップとして活躍してきた。
米3PL業界を牽引してきた立役者の一人だ。
ライダーはそのウィルフォード氏を〇八年五 月に役員の一人に迎え入れた。
 その直後に世界同時不況が襲った。
もと もとSCSとDCC部門の業務には密接な関 連があり、ウィルフォード氏のスカウトは同 社長の下で二部門を有機的に結びつけること で業務の効率化を図ろうとする狙いがあった。
その手腕が早速、試されることになった。
 ウィルフォード社長を含むライダーの経営 陣が選んだ道は、海外事業の大幅な縮小だ った。
〇八年十二月、ブラジル・アルゼンチ ン・チリでの3PL事業からの即時撤退と、 ヨーロッパにおける3PL事業から漸次撤退 することを決めた。
 撤退を表明した南米とヨーロッパでの売上 高は、〇七年ベースで約二億ドルとなり、全 体の売上高の三%を占めていた。
二億ドルの 2004 2005 2006 2007 2008 70 60 50 40 30 20 10 0 図3 過去5 年の業績推移 (年) 最終利益・右軸 総売上高・左軸 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 (億ドル) (万ドル) 企業概要 社 名 ライダー・システム 本 社 米フロリダ州マイアミ 創 業 1933年 代表者 グレッグ・スウェートン会長兼CEO 総売上高 62億374万ドル (5583億3700万円) 最終利益 1億9988万ドル (179億8900万円) 従業員数 2800人 (注)2008年12月期の数字 図4 49  DECEMBER 2009 期には、営業利益を一五一〇万ドル(同一五 八〇万ドル)として、利益率を六・〇%(同 四・九%)に乗せている。
 過去五年の同部門の利益率が三〜五%であ ったことと比べると、第3四半期の六%がど れほど好成績であったかがわかる。
またFM Sの利益率が 五・三%(同十三・五%)と 低迷したこともあり、SCS部門の健闘ぶり が際立つ結果となった。
 ウィルフォード社長は第3四半期の業績に 関してこう語る。
 「(SCS部門の利益率が高くなった)理由 は三つある。
一つは、自動車関連の物流セン ター内で、業務の効率化に取り組んで、人と 機材を業務量に合わせて投入することで、コ ストを大幅に削減したことだ。
二つ目は、自 動車産業全体ではまだ業務量の落ち込みが続 いているが、一部のメーカーでは業務が増え てきたこと。
三つ目は、これまで利益率に問 題があった大型の物流センターで大規模な業 務フローの見直しを行ったことだ」  またウィルフォード氏は、これまでの経験 則から、3PL業務における営業利益率は通 常で四〜五%であり、景気が右肩上がりの時 ならそれが五〜六%に上がる、と述べている。
 まだ景気に底打ち感のない米国で、四半期 ベースとはいえ六%の利益率を上げたことは 高く評価できる。
今後どこまでこの傾向が続 くのかに注目が集まる。
(ジャーナリスト 横田増生) 1ドル= 90円で換算 ワールプールの補修部品管理を包括受託 専用拠点を設置し年平均七%のコスト削減に貢献  米大手家電メーカーのワールプール・コー ポレーションは、二〇〇一年にサプライ チェーン業務のアウトソーシングに踏み切っ た。
その一環として、補修部品のSCM業 務をライダー・システムに全面的に委託した。
 ライダーはそれまでも、ワールプールの輸 送業務に深くかかわってきた。
インバウン ド(調達物流)やアウトバウンド(販売物 流)、それに補修部品の輸送業務でも高い評 価を受けていた。
またワールプール以外の大 手製造業者からセンター業務を請け負って いた実績も評価された。
 ワールプールはそれまでインディアナ州北 部に自前の補修部品専用のセンターを置き、 その周辺に四カ所の梱包や組み立て用のセ ンターを持っていた。
部品ベンダーは計五 カ所のセンターにばらばらに納品する必要が あった。
 ワールプールの社内でも、梱包や組み立 てといったプロセスが別のセンターに分かれ ていたために、センター間の横持ち輸送が 発生していた。
そのコストと作業効率の問 題に加え、部品の在庫を把握することが難 しいという大きな課題を抱えていた。
 しかし、ワールプールは当時、全社的に 「ネット5」と呼ぶコスト削減プログラムを 進めていた。
各部門がそれぞれ前年比で経 費を五%削減することが求められていた。
とても自社で新しい物流センターに投資す るような環境にはなかった。
 そこでアウトソーシングを決断した。
製造 業であるワールプールが本業ではないサプラ イチェーン業務に注力するより、3PL企 業にアウトソーシングしたほうが、サービス レベルも向上するはずだという判断も働いた。
 ライダーは、ワールプールのためにイン ディアナポリス国際空港に隣接する場所に 八〇万平方フィート(七万二〇〇〇平方 メートル)の専用センターを立ち上げた。
同センターでライダーは、部品の荷受けから、 仕分け、ピッキング、梱包、出荷までを請 け負っている。
 このアウトソーシング以降、ワールプール は補修部品のサプライチェーン業務にかかる コストを、毎年平均七%のペースで削減し ている。
サービスレベルも、ワールプールが 自社運営した時と比べて格段に向上してい るという。
 ワールプールは五つのKPI(重要業績 評価指標)を使って、ライダーの業務を管 理している。
?正確な配達、?在庫の正確 さ、?フィルレート(納品数量÷注文数量)、 ?リードタイム、?出荷当たりのコスト─ ─だ。

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