2010年7月号
現場改善
現場改善
第90回 印刷E社の物流フロー改善プロジェクト
JULY 2010 78
急成長で物流問題が顕在化
E社は年商約一〇〇億円の中堅印刷会社だ。
特定業界のカタログやプロモーションツール、見 本等を作成・販売している。
顧客は全国に分布 しているが、東京本社一カ所に機能を集中させ ている。
販売不振に喘ぐ同業他社をしり目にE社の売 り上げは増加傾向にある。
とりわけ不況期に入 ってから事業拡大のペースに拍車がかかってい る。
営業ツールに工夫を凝らし、コンサルティ ング営業を徹底したことが奏功している。
その反面、物量の増大によって物流機能は疲 弊し、品違いなどのクレームが顕在化していた。
このままでは、せっかく獲得した顧客を失って しまうという危機感から、営業担当役員のA氏 をリーダーとして、トップダウンで物流改革プ ロジェクトを立ち上げることになった。
そのサ ポート役が弊社日本ロジファクトリー(NLF) の役どころだ。
プロジェクトのテーマは「物流フローの改善」 だった。
モノの流れをスムーズにしようという ものだ。
具体的には?入荷予定数量を事前に把 握することで現場作業の混乱を回避する。
?製 品の滞留を減らし在庫回転を高める。
?港(横 浜港)、倉庫(厚木)での入荷、出荷の待ち時 間を削減する、という内容であった。
これらの改善テーマであれば正攻法のアプロ ーチが適用できる。
成果も比較的早期に挙がる だろうと見込んでいたのだが、詳しく話を聞い てみると、E社には他にも物流管理に関する重 要な課題があった。
その一つは、E社の物流を長らく管理してき た担当者C氏が近く定年退職し、その後を任せ られる人材が社内にいないことだった。
C氏の 後継者を至急確保しなければならなかった。
またE社のメーンの協力物流会社は、いわゆ る?乙仲?と呼ばれるローカルな海貨業者であ った。
E社の求めるサービスレベルや提案能力 を備えているとはとても思えなかった。
しかし E社はその会社の他に有力な物流会社や3PL とのつながりを全く持っていなかった。
物流フローの改善という表向きのテーマより も、むしろこれらの課題の解決ほうが本質的な 問題だと筆者には思えた。
これらの課題を解決 できれば、物流フローの問題は自ずと解消され ていくはずだ。
そこでプロジェクトメンバーとのミーティング を二回行った後で、今回のプロジェクトの実施 項目と我々NLFのサポート内容を次のように 三つに整理してE社に提示したのであった。
事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 青木正一 代表 不況を追い風にして売り上げを伸ばすE社。
物量の急増にオ ペレーションが追いつかず顧客からのクレームが頻発するように なっていた。
危機感を持った営業部門が主導して物流フローの 改善に着手した。
クレームの原因を探っていくと、そこには予 想した以上に根深い問題が横たわっていた。
印刷E社の物流フロー改善プロジェクト 第90 回 あおき・しょういち 1964年生まれ。
京都産 業大学経済学部卒業。
大手 運送業者のセールスドライ バーを経て、89 年に船井 総合研究所入社。
物流開発 チーム・トラックチームチー フを務める。
96年、独立。
日本ロジファクトリーを設 立し代表に就任。
現在に至る。
HP:http://www.nlf.co.jp/ e-mail:info@nlf.co.jp 79 JULY 2010 1.自社改善 ?あるべき姿としての新しい物流フローの作成 ?着地点分析による最適物流拠点の設定 ?イレギュラー業務の改善(それによって協力 物流会社のスムーズな変更を可能にし、協力 物流会社に対する交渉優位性を獲得する) ?入荷情報の精度向上および入荷情報の活用 方法の指導 ?物流管理および運用の基本ルールの設定 ?その他 2.協力物流会社の見直し ?候補会社のリストアップ ?コンペ開催要項の作成 ?データ開示に必要な物流データ整備サポート ?コンペ事務局サポート ?NLFの提供する「物流事業者評価表」に 基づく物流会社の評価、選定 ?その他 3.物流管理者の採用サポート ?後任に求められる能力、実績、人物像、条 件などの抽出 ?採用媒体の選定(自社採用の場合) ?外部紹介会社の選定 これら項目を実施するに当たっては、いくつ か留意すべきポイントがあった。
一つは既存の 協力会社との関係性だ。
既存の協力会社をい きなり切るような真似はすべきではない。
思わ ぬトラブルに発展する恐れがある。
まずは既存の協力物流会社と協議して、先方 に改善を求めるところからスタートする。
ただ し、期間を明確に区切る。
具体的には二カ月の 猶予を与えて、その期間内に協力会社の自主的 な改善が成果を挙げれば良しとする。
進捗が見 られなかった場合にコンペを実施するという段 取りを提案した。
トップダウンで取引条件改革 それと並行して自社改善に取り組んだ。
まず は新しい物流フローの整備だ。
既存の物流フロ ーは、近く定年を迎える物流担当者C氏が長い 年月をかけて構築したものだった。
当然ながら C氏はプロジェクトメンバーの一人であり、ミ ーティングにも毎回出席してもらった。
C氏に関して筆者には少し不安があった。
物 流フローの改革は、過去のC氏の仕事の否定と いう側面を持つことになる。
C氏としては面白 いわけがない。
場合によっては、C氏が改革の ブレーキになるかも知れないと懸念した。
しかし、それは杞憂だった。
毎回のミーティ ングでC氏はこれまで自分がやってきたことを 説明すると同時に、?やり切れなかったこと?、 ?手を着けられなかったこと?などを客観的に 開示してくれた。
C氏は自分の過去の仕事を肯定も否定もせ ず、正確に伝え残そうとし、改善できるところ は引き続き協力するといった姿勢を貫いた。
そ んな人物に出会うことは珍しい。
もともとC氏 が誠実であることに加え、長年務め上げた会社 に対する愛情もあるのだろう。
そのお陰で物流 フローの整理は思いのほか順調に進んだ。
それとは反対に、予想以上にやっかいだった のがイレギュラー業務の改善だ。
これまでにE 社は協力物流会社から何度も取引を断られてい た。
いずれも「E社さんの仕事は日々の物量の 変動が大きく、イレギュラー業務が頻発するの でもうこれ以上、対応できません」という理由 だった。
しかし、イレギュラー業務はどんな会社の物 流でも少なからず発生するものである。
過去の E社の協力会社のリストを見ると、そこには名 前を聞いたこともない独立系の乙仲ばかりが並 んでいる。
イレギュラー業務が頻発するのはE 社だけに原因があるのではなく、既存の協力会 社の対応力にも問題があったのではないかと推 測した。
ところが、蓋を開けてみて驚いた。
E社の 物流フローは受注から出荷指示のプロセスまで、 すべてが?何でもあり?で、運用ルールという ものが一切なかった。
顧客の要請次第で業務内 容がコロコロ変わるため、イレギュラー業務の 発生も?メガトン級?であった。
これにトップダウンでメスが入った。
「わがま まを言う顧客は切っても良い」とトップが号令 を下したことで、営業と顧客との納品条件交渉 が急ピッチで進められた。
この分野では圧倒的 なシェアを持つE社ならではの荒療治といえる が、この取引条件改革で失った顧客は結局、皆 無であった。
その結果、イレギュラー業務の七 割が解消された。
JULY 2010 80 物流の整備で営業力が向上 残り三割の改善、そして物流フローの最適化 の仕上げには、やはり協力会社の力が必要であ った。
協力会社に当初約束した通り、タイムリ ミットとした二カ月目でいったんプロジェクト の中間総括を行い、そこで協力会社の見直しが 必要か否かを協議した。
結論としては「必要」であった。
これにはプ ロジェクトリーダーで営業担当役員のA氏の強 い意向が働いていた。
現状を分析した結果、ク レームが多発した原因は主にE社にあり、協力 会社のせいでないことは分かった。
しかし、前 述のようにE社の売り上げは年々拡大し、それ に伴い協力会社に求める要件も高度化している。
E社が次のステージに進むには、新たな要求に 対応できる物流パートナーの選定が不可欠だと いう判断だった。
筆者もその考えに賛同した。
E社に限らず、物流パートナーの選定はリスト アップの段階で九〇%は決まってしまうもので ある。
そしてE社が顧客ターゲットとする特定 業界もしくは印刷物というカテゴリーには、そ の分野に強いとされる専門知識を持った物流会 社が複数存在している。
しかし、E社はそれらの物流会社と話し合い の機会さえ持ったことがなかった。
過去に数多 くの物流会社から仕事を断られてきたことがト ラウマになっていた。
今回のプロジェクトはト ラウマを払拭する良い機会となるはずだ。
このプロジェクトは現在、物流パートナーの 選定段階にあり、まだ進行中である。
しかし、 既に大きな効果が現れている。
自主改善によっ て物流フローがスムーズなったことで、E社が 強みとする営業力がいっそう向上した。
営業が 自社の物流に不安を抱えたまま顧客と交渉して いるようでは説得力など持ち得ない。
その不安 が解消されつつある。
また物流担当者C氏の後任には、中途採用で はなく、営業部の中堅社員を充てることになっ た。
物流の専門家を外部に求めるよりも、E社 の製品、顧客特性を理解している社内のスタッ フに、一から物流を習得させるほうが有効だと いう判断だ。
物流の専門性はパートナーに託し、 E社は本業に特化するという考え方で、これも 筆者に異論はなかった。
急成長によって顕在化 した物流問題にメドつけたことで、E社の快進 撃はまだまだ続きそうだと期待している。
イレギュラー業務の要因分析フォーマット(例) 在庫数量が合わない 納品遅れ 商品不良 納品モレ 別商品振替 紛失 商品破損 入力ミス ピッキングミス(作業ミス) 検品モレ 入荷時不良 破損 ピッキングミス(作業ミス) 作業案件違い 作業方法の変更 規定外の指示ルート コンテナの積み方 規定外の発注方法 規定数量の超過 (指示)データ未着 入荷遅れ 伝票作成遅れ 指示変更 マテハン機器の故障 商品破損 出荷指示の取り消し 在庫数量が合わない 納入遅れ 出荷行き先変更 出荷数量変更 出荷キャンセル (変更)データ未着 規定外報告頻繁な電話対応など(頻繁の度合いは担当者判断) 棚卸誤差 ピッキングと検品人員が同じ場合 ピッキングと検品人員が別の場合 実施前 時間外・方法 データ未着 旧出荷削除後再入力 個数入力変更 EDI 入力削除作業 予定数量格差対応 欠品対応 誤出荷対応 事故品(不良品) 対応 作業のやり直し 荷崩れ対応 追加発注 作業開始待ち 梱包作業の棚戻し、 仮置き 再入力業務 その他規定外対応 処理内容 要因 責任の所在 補足
特定業界のカタログやプロモーションツール、見 本等を作成・販売している。
顧客は全国に分布 しているが、東京本社一カ所に機能を集中させ ている。
販売不振に喘ぐ同業他社をしり目にE社の売 り上げは増加傾向にある。
とりわけ不況期に入 ってから事業拡大のペースに拍車がかかってい る。
営業ツールに工夫を凝らし、コンサルティ ング営業を徹底したことが奏功している。
その反面、物量の増大によって物流機能は疲 弊し、品違いなどのクレームが顕在化していた。
このままでは、せっかく獲得した顧客を失って しまうという危機感から、営業担当役員のA氏 をリーダーとして、トップダウンで物流改革プ ロジェクトを立ち上げることになった。
そのサ ポート役が弊社日本ロジファクトリー(NLF) の役どころだ。
プロジェクトのテーマは「物流フローの改善」 だった。
モノの流れをスムーズにしようという ものだ。
具体的には?入荷予定数量を事前に把 握することで現場作業の混乱を回避する。
?製 品の滞留を減らし在庫回転を高める。
?港(横 浜港)、倉庫(厚木)での入荷、出荷の待ち時 間を削減する、という内容であった。
これらの改善テーマであれば正攻法のアプロ ーチが適用できる。
成果も比較的早期に挙がる だろうと見込んでいたのだが、詳しく話を聞い てみると、E社には他にも物流管理に関する重 要な課題があった。
その一つは、E社の物流を長らく管理してき た担当者C氏が近く定年退職し、その後を任せ られる人材が社内にいないことだった。
C氏の 後継者を至急確保しなければならなかった。
またE社のメーンの協力物流会社は、いわゆ る?乙仲?と呼ばれるローカルな海貨業者であ った。
E社の求めるサービスレベルや提案能力 を備えているとはとても思えなかった。
しかし E社はその会社の他に有力な物流会社や3PL とのつながりを全く持っていなかった。
物流フローの改善という表向きのテーマより も、むしろこれらの課題の解決ほうが本質的な 問題だと筆者には思えた。
これらの課題を解決 できれば、物流フローの問題は自ずと解消され ていくはずだ。
そこでプロジェクトメンバーとのミーティング を二回行った後で、今回のプロジェクトの実施 項目と我々NLFのサポート内容を次のように 三つに整理してE社に提示したのであった。
事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 青木正一 代表 不況を追い風にして売り上げを伸ばすE社。
物量の急増にオ ペレーションが追いつかず顧客からのクレームが頻発するように なっていた。
危機感を持った営業部門が主導して物流フローの 改善に着手した。
クレームの原因を探っていくと、そこには予 想した以上に根深い問題が横たわっていた。
印刷E社の物流フロー改善プロジェクト 第90 回 あおき・しょういち 1964年生まれ。
京都産 業大学経済学部卒業。
大手 運送業者のセールスドライ バーを経て、89 年に船井 総合研究所入社。
物流開発 チーム・トラックチームチー フを務める。
96年、独立。
日本ロジファクトリーを設 立し代表に就任。
現在に至る。
HP:http://www.nlf.co.jp/ e-mail:info@nlf.co.jp 79 JULY 2010 1.自社改善 ?あるべき姿としての新しい物流フローの作成 ?着地点分析による最適物流拠点の設定 ?イレギュラー業務の改善(それによって協力 物流会社のスムーズな変更を可能にし、協力 物流会社に対する交渉優位性を獲得する) ?入荷情報の精度向上および入荷情報の活用 方法の指導 ?物流管理および運用の基本ルールの設定 ?その他 2.協力物流会社の見直し ?候補会社のリストアップ ?コンペ開催要項の作成 ?データ開示に必要な物流データ整備サポート ?コンペ事務局サポート ?NLFの提供する「物流事業者評価表」に 基づく物流会社の評価、選定 ?その他 3.物流管理者の採用サポート ?後任に求められる能力、実績、人物像、条 件などの抽出 ?採用媒体の選定(自社採用の場合) ?外部紹介会社の選定 これら項目を実施するに当たっては、いくつ か留意すべきポイントがあった。
一つは既存の 協力会社との関係性だ。
既存の協力会社をい きなり切るような真似はすべきではない。
思わ ぬトラブルに発展する恐れがある。
まずは既存の協力物流会社と協議して、先方 に改善を求めるところからスタートする。
ただ し、期間を明確に区切る。
具体的には二カ月の 猶予を与えて、その期間内に協力会社の自主的 な改善が成果を挙げれば良しとする。
進捗が見 られなかった場合にコンペを実施するという段 取りを提案した。
トップダウンで取引条件改革 それと並行して自社改善に取り組んだ。
まず は新しい物流フローの整備だ。
既存の物流フロ ーは、近く定年を迎える物流担当者C氏が長い 年月をかけて構築したものだった。
当然ながら C氏はプロジェクトメンバーの一人であり、ミ ーティングにも毎回出席してもらった。
C氏に関して筆者には少し不安があった。
物 流フローの改革は、過去のC氏の仕事の否定と いう側面を持つことになる。
C氏としては面白 いわけがない。
場合によっては、C氏が改革の ブレーキになるかも知れないと懸念した。
しかし、それは杞憂だった。
毎回のミーティ ングでC氏はこれまで自分がやってきたことを 説明すると同時に、?やり切れなかったこと?、 ?手を着けられなかったこと?などを客観的に 開示してくれた。
C氏は自分の過去の仕事を肯定も否定もせ ず、正確に伝え残そうとし、改善できるところ は引き続き協力するといった姿勢を貫いた。
そ んな人物に出会うことは珍しい。
もともとC氏 が誠実であることに加え、長年務め上げた会社 に対する愛情もあるのだろう。
そのお陰で物流 フローの整理は思いのほか順調に進んだ。
それとは反対に、予想以上にやっかいだった のがイレギュラー業務の改善だ。
これまでにE 社は協力物流会社から何度も取引を断られてい た。
いずれも「E社さんの仕事は日々の物量の 変動が大きく、イレギュラー業務が頻発するの でもうこれ以上、対応できません」という理由 だった。
しかし、イレギュラー業務はどんな会社の物 流でも少なからず発生するものである。
過去の E社の協力会社のリストを見ると、そこには名 前を聞いたこともない独立系の乙仲ばかりが並 んでいる。
イレギュラー業務が頻発するのはE 社だけに原因があるのではなく、既存の協力会 社の対応力にも問題があったのではないかと推 測した。
ところが、蓋を開けてみて驚いた。
E社の 物流フローは受注から出荷指示のプロセスまで、 すべてが?何でもあり?で、運用ルールという ものが一切なかった。
顧客の要請次第で業務内 容がコロコロ変わるため、イレギュラー業務の 発生も?メガトン級?であった。
これにトップダウンでメスが入った。
「わがま まを言う顧客は切っても良い」とトップが号令 を下したことで、営業と顧客との納品条件交渉 が急ピッチで進められた。
この分野では圧倒的 なシェアを持つE社ならではの荒療治といえる が、この取引条件改革で失った顧客は結局、皆 無であった。
その結果、イレギュラー業務の七 割が解消された。
JULY 2010 80 物流の整備で営業力が向上 残り三割の改善、そして物流フローの最適化 の仕上げには、やはり協力会社の力が必要であ った。
協力会社に当初約束した通り、タイムリ ミットとした二カ月目でいったんプロジェクト の中間総括を行い、そこで協力会社の見直しが 必要か否かを協議した。
結論としては「必要」であった。
これにはプ ロジェクトリーダーで営業担当役員のA氏の強 い意向が働いていた。
現状を分析した結果、ク レームが多発した原因は主にE社にあり、協力 会社のせいでないことは分かった。
しかし、前 述のようにE社の売り上げは年々拡大し、それ に伴い協力会社に求める要件も高度化している。
E社が次のステージに進むには、新たな要求に 対応できる物流パートナーの選定が不可欠だと いう判断だった。
筆者もその考えに賛同した。
E社に限らず、物流パートナーの選定はリスト アップの段階で九〇%は決まってしまうもので ある。
そしてE社が顧客ターゲットとする特定 業界もしくは印刷物というカテゴリーには、そ の分野に強いとされる専門知識を持った物流会 社が複数存在している。
しかし、E社はそれらの物流会社と話し合い の機会さえ持ったことがなかった。
過去に数多 くの物流会社から仕事を断られてきたことがト ラウマになっていた。
今回のプロジェクトはト ラウマを払拭する良い機会となるはずだ。
このプロジェクトは現在、物流パートナーの 選定段階にあり、まだ進行中である。
しかし、 既に大きな効果が現れている。
自主改善によっ て物流フローがスムーズなったことで、E社が 強みとする営業力がいっそう向上した。
営業が 自社の物流に不安を抱えたまま顧客と交渉して いるようでは説得力など持ち得ない。
その不安 が解消されつつある。
また物流担当者C氏の後任には、中途採用で はなく、営業部の中堅社員を充てることになっ た。
物流の専門家を外部に求めるよりも、E社 の製品、顧客特性を理解している社内のスタッ フに、一から物流を習得させるほうが有効だと いう判断だ。
物流の専門性はパートナーに託し、 E社は本業に特化するという考え方で、これも 筆者に異論はなかった。
急成長によって顕在化 した物流問題にメドつけたことで、E社の快進 撃はまだまだ続きそうだと期待している。
イレギュラー業務の要因分析フォーマット(例) 在庫数量が合わない 納品遅れ 商品不良 納品モレ 別商品振替 紛失 商品破損 入力ミス ピッキングミス(作業ミス) 検品モレ 入荷時不良 破損 ピッキングミス(作業ミス) 作業案件違い 作業方法の変更 規定外の指示ルート コンテナの積み方 規定外の発注方法 規定数量の超過 (指示)データ未着 入荷遅れ 伝票作成遅れ 指示変更 マテハン機器の故障 商品破損 出荷指示の取り消し 在庫数量が合わない 納入遅れ 出荷行き先変更 出荷数量変更 出荷キャンセル (変更)データ未着 規定外報告頻繁な電話対応など(頻繁の度合いは担当者判断) 棚卸誤差 ピッキングと検品人員が同じ場合 ピッキングと検品人員が別の場合 実施前 時間外・方法 データ未着 旧出荷削除後再入力 個数入力変更 EDI 入力削除作業 予定数量格差対応 欠品対応 誤出荷対応 事故品(不良品) 対応 作業のやり直し 荷崩れ対応 追加発注 作業開始待ち 梱包作業の棚戻し、 仮置き 再入力業務 その他規定外対応 処理内容 要因 責任の所在 補足
