2010年10月号
現場改善
現場改善
第93回 商物分離の方針を修正した食品メーカー
61 OCTOBER 2010
生産畑出身の悩める二代目経営者
食品メーカーのS社は年商約二〇億円の中
堅企業である。
約七五〇アイテムの商品を中 京圏の食品スーパーや卸、商店街の食品店な どに納品している。
工場の隣接地に出荷拠点 を構え、横持ちの発生しない効率的な物流フ ローを敷いている。
同社の創業家の二代目、A常務から我々日 本ロジファクトリーに電話が入った。
ルート配 送について相談があるとのことであった。
N LFのことは同業の食品メーカーの知り合いか ら聞いたという。
数日後、我々はS社を訪れた。
本社ビルの 一階から三階は工場になっていた。
場内は整 理整頓が行き届き、清潔感があった。
我々が 通されたミーティングルームにはA常務の他に ルート配送責任者、そして大手食品卸のOB で最近入社したばかりという営業顧問が同席 していた。
S社には大きく二つの出荷形態があった。
一 つは卸や食品スーパーのセンター納品で、こ れには路線便(特別積合便)を利用していた。
そして、もう一つが商店街の、いわゆる?パ パママストア?向けルート配送だ。
今回の依頼 は後者のルート配送における物流業務の負担 軽減であった。
S社のルート配送は営業マンが自分でハンド ルを握る商物一体型であった。
これを外部の 物流会社に委託すべきか、あるいは自社物流 のまま、営業担当と配送担当を切り分けて物 流のあり方を見直すべきか、それとも他に選 択肢があるのか、A常務は悩んでいた。
聞けばS社は創業して約六〇年になるが、こ れまで他社に真似のできない隙間市場を狙っ た商品開発力で暖簾を守ってきたという。
そ してS社の後継者となることが既定路線とな っているA常務は、入社以来ずっと生産畑を 歩んできた。
学生時代から機械いじりが大好きだったとい うA常務は、S社に入ってからも製造機械の 開発とそのオペレーションの改善に没頭し、技 術力の向上にひたすら努めてきた。
それだけ に「正直なところ営業のことはよく分からな い」という。
社外から営業顧問を招き、我々 NLFのようなコンサルティング会社を利用す るのもそのためであった。
一通り話を聞いたうえで我々は、「なぜ物流 事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 青木正一 代表 商店街のパパママストア向けルート配送の商物分離をしたい という依頼が入った。
営業マン一人当たりの売上拡大が狙いだ という。
しかし、商物分離が必ずしも営業活動にプラスになる とは限らない。
まずはプロジェクトの前提を疑ってかかる必要 があった。
商物分離の方針を修正した食品メーカー 第93 回 OCTOBER 2010 62 業務の負担を軽減したいのか」と、A常務に 確認を求めた。
「営業マン一人当たりの売り上 げを上げたい」という返事であった。
そこで さらに「どれくらいの売上増加を望むのか」 と質問を重ねた。
すると「営業マン一人当り 売上増は現状の一・五倍〜二倍。
達成までの 期間は約一年」とのことであった。
それだけ高い目標を一年で実現するのは容 易なことではない。
そもそもルート配送の見 直しや商物分離といった方法では、まず達し 得ない目標だと我々は考えた。
商物分離は非常にデリケートなテーマであ る。
世間一般の事例や我々のコンサルティング 経験を振り返っても、商物分離がすんなりと 成果を挙げるケースは稀だ。
多くは正解の見 つからないまま?分離?と?一体?を繰り返 しているのが実情だ。
商物分離は単なる物流改革ではなく、提案 営業手法の習得や営業マンのスキルアップ、営 業ツールの整備といった営業改革との?両輪? が噛み合ってはじめて効果の期待できる手法 である。
そのことを同席しているメンバーに伝えた。
彼らはその提示に頷き、思案していた。
ニッチ戦略をとるS社は販売戦略において も大手が軽視しがちな商店街の小規模単独店 をチャネルとして重視し、パパママストアのニ ーズにきめ細かく対応してきた。
その配送業 務も単なる納品ではなく、コミュケーション型 の?御用聞き営業?であった。
具体的にはルート配送において以下のよう な業務を行っていた。
a . 先入れ先出しの棚入れ b . 陳列 c . 在庫確認および管理 d . cに基づく補充注文取り(定数納入含む) e . 値付け f . 代金回収 g . 店主との情報交換とコミュニケーションな ど この業務を配送効率を求める物流会社に委 託するのは現実的とは言えなかった。
このう ち「g. 店主との情報交換とコミュニケーショ ンなど」を除けば、最近は物流会社でも対応 するところはあるが、それだけ支払いコスト は増加する。
しかも売上増は多くを期待でき ないので結局、コスト割れしてしまうケースが ほとんどである。
商物分離は得策ではない 我々はS社がエリアとする食品スーパーを覆 面調査で視察して回った。
しかし、S社の商 品はリージョナルチェーンにわずか二アイテム が陳列されていただけで、ナショナルチェーン には一つも見当たらなかった。
S社の販売チ ャネルがパパママストアに大きく偏っているの は明らかだった。
結論として我々はS社の場合には商物分離 は得策ではないと判断した。
その理由は大き く以下の三つである。
?S社のメーンの得意先は規模の小さなB・C ランクの小売店や卸売会社である。
その納 品ではコミュニケーションが重視される。
そ れだけに商物分離によって顧客離れを引き 起こす可能性が高い。
?S社が工場および出荷拠点を置いているエ リアには、納品付帯作業に実績を持つ物流 会社がほとんど見当たらない。
物流会社の 営業資料には対応できることをうたってい ても信頼性は低い。
?きめ細かな納品に対応できる物流会社があ ったとしても、支払物流費はそれだけ高く なってしまう。
また、店舗の視察から我々には一つの疑問 が浮かんでいた。
大手量販店の取り扱ってい ない商品群でなぜ年間二〇億円もの売り上げ が立つのかという疑問である。
食品業界では俗に?単品一〇〇億?と言わ れる。
全国CMなどを打つナショナルブランド 商品であっても、単品の売り上げは一〇〇億 円がほぼ限界という説である。
それと比較す ると知名度もなく販売チャネルの限られてい るS社の年商が二〇億円というのは大き過ぎ るように感じた。
S社にそう伝えたところ、実は同業メーカ ーから生産委託を受けていて、その売り上げ が全体の約三割を占めているとのことであっ た。
我々の疑問が解けると同時に、S社が一 63 OCTOBER 2010 般的な知名度こそなくても、その技術力にお いては業界内で一定の評価を得ていることを 確認できた。
こうしてS社のプロジェクトは「ルート配送 の見直しと商物分離」から「S社の強みを活 かした売上拡大」へと軌道修正を行うことに なった。
そしてS社の「強み」としては以下 の六点が挙げられた。
?生産技術力と生産量への対応力──多様な 商品形状、少ロットなどの依頼に小回りよ く対応できる ?包装およびパッキング技術──他社ブランド 製品にも柔軟に対応できる ?同業者への知名度が高い ?衛生管理の徹底ができている──ちなみに A常務は土日・祝日にも出社して、楽しそ うに機械の清掃に当たっていることも多い という。
?高付加価値型商品を手がけている ?素材が良い──国産原料一〇〇% こうして軌道修正された売上拡大プロジェ クトのテーマは以下の三つに絞られた。
(1) 営業マン一人当たり生産性の向上 現有戦力でどれだけ売り上げを伸ばせるか に挑戦する。
そのために?サンプルツールの見 直しと、?S社商品を使ったレシピの作成を 実施する。
(2) 販売チャネルの開発 ?S社の技術力を活かして老人介護向け商 品を開発し、老人介護施設(大手専業ベンダ ー経由含む)を開拓する。
?弁当、給食会社 向け業務用商品を開発し販路を開拓する。
? 工場が集積しているため社食需要があり、給 食会社も多いCエリアを新たに商圏とする。
(3) 売上に伴う納品インフラづくり 従来S社では新規顧客や新規エリアの開拓 に当たって、誰が運ぶかという点が大きな制 約となっていた。
納品体制を整備することで ボトルネックを解消する。
生産・営業・物流の一体改革が実現 このプロジェクトはもう間もなく終了とな る。
結果としてS社の営業マン一人当たり売 り上げは、当初A常務が掲げた一・五倍には 届かなかったが一・三倍強に増加した。
同業 他社からの生産委託の増加、そして老人介護 施設向けの新規口座開設が売上増に寄与した かたちだ。
このうちとくに老人介護施設との口座開設 は、営業部門だけではなく生産部門、物流部 門が一丸となって成し遂げた成果であった。
生産部門はその技術力を生かし、気管詰ま りへの配慮、歯ごたえ、栄養価など、老人介 護施設向け食品に特有の制約を一つひとつク リアして新商品を開発した。
物流面では、納品時の手洗い、白衣への着 替え、納入商品の検温などの業務が新たに発 生した。
S社は自社での対応は困難と判断し、 ここでは商物分離を選んだ。
専業ベンダーとの 協議を重ね、老人介護施設への納品作業を外部 委託したのである。
こうしてS社のプロジェクトは確かな実を結 ぼうとしている。
これもS常務の経営手腕と言 うべきなのだろう。
S常務は「営業の事は良くわからない」と自 分の弱点を客観的に評価して、それを包み隠さ ず公言することで周囲を巻き込んでいった。
そ の反面、自分が得意とするものづくりにおいて は、自ら率先して組織を牽引することで、ニッ チ戦略をいっそう強化しているのである。
老舗 の暖簾はS常務なりのやり方でしっかりと受け 継がれていくことになるだろう。
あおき・しょういち 1964年生まれ。
京都産 業大学経済学部卒業。
大手 運送業者のセールスドライ バーを経て、89 年に船井 総合研究所入社。
物流開発 チーム・トラックチームチー フを務める。
96年、独立。
日本ロジファクトリーを設 立し代表に就任。
現在に至る。
HP:http://www.nlf.co.jp/ e-mail:info@nlf.co.jp
約七五〇アイテムの商品を中 京圏の食品スーパーや卸、商店街の食品店な どに納品している。
工場の隣接地に出荷拠点 を構え、横持ちの発生しない効率的な物流フ ローを敷いている。
同社の創業家の二代目、A常務から我々日 本ロジファクトリーに電話が入った。
ルート配 送について相談があるとのことであった。
N LFのことは同業の食品メーカーの知り合いか ら聞いたという。
数日後、我々はS社を訪れた。
本社ビルの 一階から三階は工場になっていた。
場内は整 理整頓が行き届き、清潔感があった。
我々が 通されたミーティングルームにはA常務の他に ルート配送責任者、そして大手食品卸のOB で最近入社したばかりという営業顧問が同席 していた。
S社には大きく二つの出荷形態があった。
一 つは卸や食品スーパーのセンター納品で、こ れには路線便(特別積合便)を利用していた。
そして、もう一つが商店街の、いわゆる?パ パママストア?向けルート配送だ。
今回の依頼 は後者のルート配送における物流業務の負担 軽減であった。
S社のルート配送は営業マンが自分でハンド ルを握る商物一体型であった。
これを外部の 物流会社に委託すべきか、あるいは自社物流 のまま、営業担当と配送担当を切り分けて物 流のあり方を見直すべきか、それとも他に選 択肢があるのか、A常務は悩んでいた。
聞けばS社は創業して約六〇年になるが、こ れまで他社に真似のできない隙間市場を狙っ た商品開発力で暖簾を守ってきたという。
そ してS社の後継者となることが既定路線とな っているA常務は、入社以来ずっと生産畑を 歩んできた。
学生時代から機械いじりが大好きだったとい うA常務は、S社に入ってからも製造機械の 開発とそのオペレーションの改善に没頭し、技 術力の向上にひたすら努めてきた。
それだけ に「正直なところ営業のことはよく分からな い」という。
社外から営業顧問を招き、我々 NLFのようなコンサルティング会社を利用す るのもそのためであった。
一通り話を聞いたうえで我々は、「なぜ物流 事例で学ぶ 現場改善 日本ロジファクトリー 青木正一 代表 商店街のパパママストア向けルート配送の商物分離をしたい という依頼が入った。
営業マン一人当たりの売上拡大が狙いだ という。
しかし、商物分離が必ずしも営業活動にプラスになる とは限らない。
まずはプロジェクトの前提を疑ってかかる必要 があった。
商物分離の方針を修正した食品メーカー 第93 回 OCTOBER 2010 62 業務の負担を軽減したいのか」と、A常務に 確認を求めた。
「営業マン一人当たりの売り上 げを上げたい」という返事であった。
そこで さらに「どれくらいの売上増加を望むのか」 と質問を重ねた。
すると「営業マン一人当り 売上増は現状の一・五倍〜二倍。
達成までの 期間は約一年」とのことであった。
それだけ高い目標を一年で実現するのは容 易なことではない。
そもそもルート配送の見 直しや商物分離といった方法では、まず達し 得ない目標だと我々は考えた。
商物分離は非常にデリケートなテーマであ る。
世間一般の事例や我々のコンサルティング 経験を振り返っても、商物分離がすんなりと 成果を挙げるケースは稀だ。
多くは正解の見 つからないまま?分離?と?一体?を繰り返 しているのが実情だ。
商物分離は単なる物流改革ではなく、提案 営業手法の習得や営業マンのスキルアップ、営 業ツールの整備といった営業改革との?両輪? が噛み合ってはじめて効果の期待できる手法 である。
そのことを同席しているメンバーに伝えた。
彼らはその提示に頷き、思案していた。
ニッチ戦略をとるS社は販売戦略において も大手が軽視しがちな商店街の小規模単独店 をチャネルとして重視し、パパママストアのニ ーズにきめ細かく対応してきた。
その配送業 務も単なる納品ではなく、コミュケーション型 の?御用聞き営業?であった。
具体的にはルート配送において以下のよう な業務を行っていた。
a . 先入れ先出しの棚入れ b . 陳列 c . 在庫確認および管理 d . cに基づく補充注文取り(定数納入含む) e . 値付け f . 代金回収 g . 店主との情報交換とコミュニケーションな ど この業務を配送効率を求める物流会社に委 託するのは現実的とは言えなかった。
このう ち「g. 店主との情報交換とコミュニケーショ ンなど」を除けば、最近は物流会社でも対応 するところはあるが、それだけ支払いコスト は増加する。
しかも売上増は多くを期待でき ないので結局、コスト割れしてしまうケースが ほとんどである。
商物分離は得策ではない 我々はS社がエリアとする食品スーパーを覆 面調査で視察して回った。
しかし、S社の商 品はリージョナルチェーンにわずか二アイテム が陳列されていただけで、ナショナルチェーン には一つも見当たらなかった。
S社の販売チ ャネルがパパママストアに大きく偏っているの は明らかだった。
結論として我々はS社の場合には商物分離 は得策ではないと判断した。
その理由は大き く以下の三つである。
?S社のメーンの得意先は規模の小さなB・C ランクの小売店や卸売会社である。
その納 品ではコミュニケーションが重視される。
そ れだけに商物分離によって顧客離れを引き 起こす可能性が高い。
?S社が工場および出荷拠点を置いているエ リアには、納品付帯作業に実績を持つ物流 会社がほとんど見当たらない。
物流会社の 営業資料には対応できることをうたってい ても信頼性は低い。
?きめ細かな納品に対応できる物流会社があ ったとしても、支払物流費はそれだけ高く なってしまう。
また、店舗の視察から我々には一つの疑問 が浮かんでいた。
大手量販店の取り扱ってい ない商品群でなぜ年間二〇億円もの売り上げ が立つのかという疑問である。
食品業界では俗に?単品一〇〇億?と言わ れる。
全国CMなどを打つナショナルブランド 商品であっても、単品の売り上げは一〇〇億 円がほぼ限界という説である。
それと比較す ると知名度もなく販売チャネルの限られてい るS社の年商が二〇億円というのは大き過ぎ るように感じた。
S社にそう伝えたところ、実は同業メーカ ーから生産委託を受けていて、その売り上げ が全体の約三割を占めているとのことであっ た。
我々の疑問が解けると同時に、S社が一 63 OCTOBER 2010 般的な知名度こそなくても、その技術力にお いては業界内で一定の評価を得ていることを 確認できた。
こうしてS社のプロジェクトは「ルート配送 の見直しと商物分離」から「S社の強みを活 かした売上拡大」へと軌道修正を行うことに なった。
そしてS社の「強み」としては以下 の六点が挙げられた。
?生産技術力と生産量への対応力──多様な 商品形状、少ロットなどの依頼に小回りよ く対応できる ?包装およびパッキング技術──他社ブランド 製品にも柔軟に対応できる ?同業者への知名度が高い ?衛生管理の徹底ができている──ちなみに A常務は土日・祝日にも出社して、楽しそ うに機械の清掃に当たっていることも多い という。
?高付加価値型商品を手がけている ?素材が良い──国産原料一〇〇% こうして軌道修正された売上拡大プロジェ クトのテーマは以下の三つに絞られた。
(1) 営業マン一人当たり生産性の向上 現有戦力でどれだけ売り上げを伸ばせるか に挑戦する。
そのために?サンプルツールの見 直しと、?S社商品を使ったレシピの作成を 実施する。
(2) 販売チャネルの開発 ?S社の技術力を活かして老人介護向け商 品を開発し、老人介護施設(大手専業ベンダ ー経由含む)を開拓する。
?弁当、給食会社 向け業務用商品を開発し販路を開拓する。
? 工場が集積しているため社食需要があり、給 食会社も多いCエリアを新たに商圏とする。
(3) 売上に伴う納品インフラづくり 従来S社では新規顧客や新規エリアの開拓 に当たって、誰が運ぶかという点が大きな制 約となっていた。
納品体制を整備することで ボトルネックを解消する。
生産・営業・物流の一体改革が実現 このプロジェクトはもう間もなく終了とな る。
結果としてS社の営業マン一人当たり売 り上げは、当初A常務が掲げた一・五倍には 届かなかったが一・三倍強に増加した。
同業 他社からの生産委託の増加、そして老人介護 施設向けの新規口座開設が売上増に寄与した かたちだ。
このうちとくに老人介護施設との口座開設 は、営業部門だけではなく生産部門、物流部 門が一丸となって成し遂げた成果であった。
生産部門はその技術力を生かし、気管詰ま りへの配慮、歯ごたえ、栄養価など、老人介 護施設向け食品に特有の制約を一つひとつク リアして新商品を開発した。
物流面では、納品時の手洗い、白衣への着 替え、納入商品の検温などの業務が新たに発 生した。
S社は自社での対応は困難と判断し、 ここでは商物分離を選んだ。
専業ベンダーとの 協議を重ね、老人介護施設への納品作業を外部 委託したのである。
こうしてS社のプロジェクトは確かな実を結 ぼうとしている。
これもS常務の経営手腕と言 うべきなのだろう。
S常務は「営業の事は良くわからない」と自 分の弱点を客観的に評価して、それを包み隠さ ず公言することで周囲を巻き込んでいった。
そ の反面、自分が得意とするものづくりにおいて は、自ら率先して組織を牽引することで、ニッ チ戦略をいっそう強化しているのである。
老舗 の暖簾はS常務なりのやり方でしっかりと受け 継がれていくことになるだろう。
あおき・しょういち 1964年生まれ。
京都産 業大学経済学部卒業。
大手 運送業者のセールスドライ バーを経て、89 年に船井 総合研究所入社。
物流開発 チーム・トラックチームチー フを務める。
96年、独立。
日本ロジファクトリーを設 立し代表に就任。
現在に至る。
HP:http://www.nlf.co.jp/ e-mail:info@nlf.co.jp
