ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2010年11号
特集
Report 本誌記者体験記ロジスティクス管理3級を受けてみた

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

NOVEMBER 2010  28 ロジスティクス管理3級を受けてみた  10月3日、中央職業能力開発協会の実施する「ロ ジスティクス管理」3級試験を受験した。
これから試 験を受けようとする読者に向けて、問題を解くに当 たっての留意事項、試験会場の様子、そして気にな る試験結果をリポートする。
     (梶原幸絵) 受験料が一〇〇〇円以上値上げ  九月下旬のある日、私はうんざりしていた。
中央職 業能力開発協会(JAVADA)のビジネス・キャリ ア検定の一つ、「ロジスティクス管理」三級の二〇〇九 年度後期試験の過去問を解いていたのだ。
 きっかけは本誌〇八年十二月号の資格特集だった。
その取材を通じてなぜか私は、何か資格試験を受けた いと考えた。
それを社内でふっと漏らしたところ、耳 ざとい編集長が聞きつけ、受けるなら記事を書け、と いうことになったのだった。
 その後、二年もの歳月が経ってしまったのは怠慢以 外の何物でもない。
気付けば受験申請期間が終わって いた、の繰り返しだった。
しかし今度こそは、と今年 の七月二九日。
ようやく重い腰を上げた。
 久しぶりに受験申請の案内を見ると、受験料が上 がっている。
三級は四二〇〇円から五五〇〇円に、二 級は五二五〇円から六八〇〇円になっている。
問題数 は五〇問から四〇問に減り、試験時間も一二〇分から 一一〇分へと変更されていた。
 原因は昨年十一月、行政刷新会議が実施した事業 仕分け第一弾だ。
これまでビジネス・キャリア検定は 厚生労働省がJAVADAと都道府県職業能力開発 協会に委託するかたちで実施されていた。
それが事業 仕分けの対象となり、国の委託事業としては「廃止」 との判定が下された。
 このため検定の存続が危ぶまれていたが、JAVA DAの受験案内によると、基本的な枠組みは維持し た上で引き続き公的資格試験として実施していくとい う。
受験料の値上げも国の支援がなくなったことが影 響しているようだ。
 申請の際、少し悩んだ末、三級と二級のうち三級を 受けることにした。
三級試験は基礎的な部分に重点が 置かれているという。
今や私も物流業界での記者経験 は八年。
しかし実務経験がないという不安があった。
二級になると独学だけでなく、認定講座などを受けた 方がいいと聞いていたこともあった。
 七月末から試験日の一〇月三日まで二カ月もの時間 があったはずだが、気付けば試験四日前。
取り寄せて おいた標準テキストを読もうとするが、全部読んでい る時間はない。
そこで、いきなりJAVADAのホー ムページに掲載されている過去問を解いてみることに した。
問題 物流サービス管理に関する次の記述のう ち、正しいものを選びなさい。
ア.物流サービスが明文化されていない場合に は、作業担当者に個々に聞くなどしてサー ビス実態を把握する必要がある。
イ.物流サービスの評価では、顧客と契約した サービスの実態が契約どおりであるかを定 性的に把握することが必要である。
ウ.物流サービスレベルと物流コストとの間には、 一般的にはトレードオフの関係は存在しな い。
エ.顧客の要望に対してどれだけ臨機応変に対 応できているかが、物流サービスの評価で は最も重視される基準である。
 正解はア。
ウとエは常識的に考えてすぐ切れるが、 一見、イも正しそうに見える。
しかし、物流サービス の評価は「定性的」ではなく「定量的」になされなけ ればならない。
数値で把握しなければしっかりとした 管理はできない。
Report 本誌記者体験記 29  NOVEMBER 2010  こうした問題が事例問題も含めて延々、五〇問続 く。
問題の問いの「〜を選びなさい」の〜の部分に は、「正しいもの」、「誤っているもの」のほか、「最も 適切なもの」、「適切なもの」、「不適切なもの」、「最も 不適切なもの」がちりばめられていて非常に神経を使 う。
問題文を読むだけでも時間がかかる。
 内容としては、JAVADAのホームページに掲載 されている出題範囲(図)からまんべんなく出題さ れている。
運転免許試験ほどのいやらしさはないが、 思ったよりも難しい。
 問題を解き終わるまでにかかった時間は四五分。
〇 九年度の試験時間は一二〇分のため、七五分余る計算 だ。
しかし本番であればもう少し時間をかけて検討し たであろう問題も多くあった。
本番なら問題を解き終 わるまでに六〇分、見直しに六〇分、と考えると一二 〇分はちょうどいい、というよりも受験者に優しい時 間設定の印象だ。
 気になる点数はというと、一〇〇点満点中、八六 点。
合格基準は得点率六〇%程度。
普通に考えれば 合格するはずだ。
ここでいつもならば気が抜けてしま うところだが、今回ばかりは違う。
八六点を取れたの は、たまたまかもしれない。
キャリア八年の記者が三 級落ちちゃいました、では恥ずかしすぎる。
 そこで間違えた問題に該当する部分だけ、標準テキ ストを読むことにした。
過去問題集があれば回答に併 せて解説があるからそちらを読めばいいのだが、あい にくホームページには問題と解答が載っているだけな ので、テキストを参照するしかない。
 テキストは学習のポイントや理解度チェック問題な どもあり、非常にわかりやすい。
それでも元来、教科 書を読むのが嫌いなのでかなりの苦痛を伴ったが、一 応ノルマとしていた部分は読み終えた。
 そして試験当日。
会場となる都内の大学校舎に向 かった。
私が試験を受ける教室ではロジスティクス管 理三級と総務二級の検定の試験者が一緒になってい た。
教室内の受験者の人数は大体一五〇〜二〇〇人。
年齢層は四〇歳代までの人が多そうだ。
このほか学生 風の人や五〇代以上と覚しき人も散見された。
問題を解き終えた退出者が続々  いよいよ試験が始まった。
試験時間と問題数が変わ り、事例問題が最後にまとめられていたほかは過去問 と大きな違いはない。
過去問と同じように解いていけ ばいい。
緊張しながら回答を進めていたところ、何と 試験開始後約三五分で退出する受験者がいた(試験開 始後三〇分間から終了一〇分前までは退出できる)。
 もう終わった人がいるのか。
自分のペースで解けば いいとわかっていても、焦る焦る。
気を取り直して問 題に戻ったが、開始後約四五分でまた二人が退出。
一 時間を過ぎて以降は、バラバラと皆退出していく。
 結局、気が散っていたのか問題文を丁寧に読みすぎ たのか、回答を終えるまでに一時間一〇分かかった。
あとの四〇分は見直しに充てて最後まで居残っていた のだが、終了後に周囲を見回すとお仲間は最初に教室 内にいた受験者の半分以下、いや、おそらく三分の一 程度だった。
 試験二日後の一〇月五日、JAVADAのホーム ページに正解がアップされた。
持ち帰った試験問題を 見て採点すると、四〇問中、九問も間違えていた。
八 〇点満点中六二点。
得点率七七・五%。
一応勉強し たのに得点率が下がっているのはどういうことであろ うか。
合格発表は十一月五日だ。
マークミスさえなけ れば、あるいは今年の問題が簡単で合格基準が上がっ てさえいなければ合格のはずだが‥‥。
ロジスティクス管理3 級で出題される専門知識 ?. ロジスティクス管理の概要 II.在庫・システム・コスト管理の概要 III.物流情報システムの概要 出所:中央職業能力開発協会(JAVADA) 1.物流の概念と物流管理 物流の基本概念 物流管理の基礎知識 物流と関連部門との関わり 2.物流サービス管理 物流サービスの基本概念 物流サービス管理のステップ 物流における品質管理の基礎知識 3.物流政策と関連法規 我が国の物流政策の動向 物流活動に関わる各種法律の基礎知識 1.在庫管理 在庫管理の目的 在庫管理手法 適正在庫量の決定 在庫分析 棚卸 2.物流システム管理 物流システムの基礎知識 物流データ分析 物流拠点設定 委託先管理 物流システムの効率化 3.物流コスト管理 物流コストの基礎知識 運賃・倉庫料金体系と計算方法 物流コストの計算方法 物流におけるコストトレードオフ 1.物流情報システムの概念 物流情報システムの目的と特徴 基幹システムと物流情報システムとの関連 物流情報システム設計の基本 2.業務別物流情報システム 受注処理システムの基礎知識 発注処理システムの基礎知識 倉庫管理システムの基礎知識 輸配送管理システムの基礎知識 特 集 物流の資格と学校

購読案内広告案内