2010年11月号
特集

第4部 社内教育に血道を上げる3PL

外部から招いて いる。
手間もコ ストもかかる。
しかし、成果は 上がっている。
「これまで当グ ループの営業マ ンは組織営業に 慣れておらず、 個人がバラバラ に動いている印 象だった。
それ が研修後は、そ れぞれの得意分 野を集めてチー ムで営業活動を 実施するように なった。
研修を 通じて営業を始めた案件が、実際に受託に結 びついた例もある」と、SBSホールディン グスの菅原貞眞人事総務部部長兼研修室長は 評価する。
 菅原部長は海上自衛隊の艦艇の艦長などを 経て、二〇〇八年にSBSグループの中核事 業会社、TLロジコムに入社した変わり種だ。
そのマネジメント能力とリーダーシップを買 われ、SBSホールディングスがグループ全 体の人材教育を統括する部署として昨年設置 した研修課(現・研修室)を任された。
 菅原部長が入社した当初のSBSグループ は「極端なことを言えば、同じ会社でも事業 所が違えば隣の事業所が何をやっているの  昨年二月、SBSホールディングスは傘下 の事業会社で3PL営業を担当する課長以下 の管理職および一般社員を対象とする「3P L提案営業育成実践研修(以下、3PL提案 研修)」を実施した。
座学やグループ演習だけ ではなく、顧客に対する実際の提案活動まで カリキュラムに組み込まれているのがその特 徴だ。
 研修期間は約半年、延べ九日間に及ぶ。
各 社から参加した二五人前後の営業マンをほぼ 会社別に六〜七チームに編成し、グループ演 習を含めた講義を三回行う。
四回目に各チー ムで提案営業のターゲットとなる新規案件を 数件設定し、チーム別に講師の指導を受けな がら顧客に対してアプローチをかけていく。
 受講者は日常業務をこなしながら研修に出 席し、毎回テストを受け、山ほどの宿題を出 される。
しかも研修の一環として実際に営業 活動も行うことになる。
そのうち最も進捗状 況の良い案件について、最終回の九日目にプ レゼンテーションを行う。
 その相手を務めるのは、SBSホールディ ングスの鎌田正彦社長をはじめ事業会社各社 の経営トップ、役員など。
グループの経営層 を顧客に見立て、研修チームがプレゼンを行 う。
質疑応答もある。
下手な発表をすれば上司 に恥をかかせる ことになる。
会 場は本番の営業 活動さながらに 緊迫する。
 研修の講師は か、どんな人がいるのかわからない状態だっ た」と振り返る。
 SBSグループは、鎌田社長が一九八七年 に裸一貫で設立した関東即配(現SBSロジ テム)から出発した物流ベンチャーだ。
〇三 年にジャスダックに上場して以降、M&Aを 繰り返し急激に事業規模を拡大させた。
現在 は持ち株会社の傘下に約三〇社が名を連ね、 上場時に約二〇〇億円だった売上高は一二〇 〇億円規模にまで膨れ上がっている。
 しかし、事業拡大のペースにグループとし ての一体化が追いついていなかった。
グルー プの教育機能を統合したのはそのためだっ た。
各事業会社が独自に教育研修を行ってい たのを改めた。
 3PL営業研修は今年七月までの一年半の 間に三期開講し、計七七人が受講した。
主要 な営業マンはほぼ網羅できたので、いったん は終了する。
 研修室ではこの他にも新入社員、管理職、 経営幹部などの階層別に必要な知識・技能を 教育する「階層別研修」、専門知識・技能を教 育する「テーマ別研修」などのグループ統一 の教育メニューを用意している。
グループと しての考え方を統一すると同時に、各事業会 社から参加した受講者が机を並べることで横 の連携強化を図っている。
 現状のグループ統一研修について菅原部長 は「まだ整備中であり、単なる教育プログラ ムの段階に留まっている。
今後は各社の人事 制度と連動させ、昇任などの要件とすること も検討していきたい」と考えている。
SBSグループ──本番さながらの研修で営業力UP NOVEMBER 2010  36 社内教育に血道を上げる3PL 最終日のプレゼンテーションの様子。
鎌田社長(左)も黙ってはいない 菅原貞眞人事総務部 部長兼研修室長 特 集 物流の資格と学校 富士物流──社内大学にパートから幹部候補まで  富士物流の社員数は現在グループで約一〇 〇〇人。
それに対して企業内大学「Pack'n カ レッジ(以下、パックンカレッジ)」の卒業生 は延べ一九七六人を数える。
社員数より多い のは、受講者の対象をパート社員にまで広げ ており、複数回の受講もあるためだ。
 パックンカレッジの開講は二〇〇六年。
そ の目的は現場力の強化だ。
そのためオペレー ションを支えるスタッフすべてを対象にし た。
受講者は自分のスキルや業務内容に応じ て講座を選択できる。
地域格差が出ないよう、 講師が出張し全国で講義を実施している。
 そのカリキュラムは大きく「実務者育成コ ース」と「プロ人材育成コース」に分かれる。
実務者育成コー スを修了しなけ ればプロ人材育 成コースには進 めない。
各コー スは主力の「現 場力育成学部」 をはじめとした 七学部で構成さ れる(図)。
 受講者には学 生証を発行し、 各講座で必ず行 われる試験や修 了研修の合格者 には、卒業証書 を授与する。
正 社員にとっては 各プログラムの修了が昇進試験を受ける際の 資格要件にもなっている。
 講師は社内講師が基本で、あえて中堅社員 を起用している。
教材作成から講義、理解度 テストの実施を通じた学習効果が期待できる ためだ。
講座終了後には受講者からの講義に 対する評価を講師とその上司にもフィードバ ックし、改善を促す。
 現在、同社は人材教育面でも大きな転換期 に立たされている。
同社は〇四年の豊田自動 織機との資本・業務提携をきっかけにTPS (トヨタ生産方式)を導入している。
2S・5 Sから始まり、約二五〇〇におよぶ作業手順 書の作成まで、さまざな改善活動の定着とレ ベルアップに取り組んできた。
 パックンカレッジでも現場力育成学部にT PSの基礎講座を設け、TPS学部も設置し た。
ただし他の学部とは違ってTPS学部は 豊田自動織機の「TPS道場」に受講者を派 遣するかたちをとってきた。
三菱倉庫による TOBの成立に伴い、それを内製化する必要 に迫られた。
 まず社内で使用していたTPSという用語 を「FKS(富士物流改善方式)」に改めた。
これについて豊田自動織機出身の稲場泰雄副 社長は「TPSの取り組みは定着しつつある が、まだまだだ。
しかし、富士物流改善方式 と名付けられるところまでは来ている」と評 価する。
来年には新たに「FKS道場」を発 足させる予定で、現在、教育プログラムの素 案を作成中している。
 これまでもパックンカレッジでは経営課題 の変化に柔軟に 対応し、学部の 新設などを行っ てきた。
脱TP Sと並んで当面 はグローバル化 が最大の課題に なる。
これに対 応して今年七月 にはプロ人材育 成コースに「国 際学部」を開設 した。
 それまで海外 拠点要員の育成については、パックンカレッ ジのような全社研修制度がなかった。
国際統 括部の部門内研修で海外拠点の駐在員のロー テーションのための教育を行う程度だった。
しかし、そのやり方では今後の海外展開のス ピードには追いつかない。
現在の海外駐在員 数は一四人だが、その要員を倍以上に増やす 必要がある。
 そこで海外要員の育成を部門課題から全社 課題に改めた。
全社から国際学部の入学希望 者を募って語学力で選抜し、一六人を集めた。
現在は語学教育を実施中で、次に貿易実務、 最後に海外での実習で仕上げをする予定だ。
 稲場副社長は「従来から当社は人材面でも 親会社に頼らず、現場のリーダーの育成に力 を入れて3PLを拡大していこうと考えてき た」と胸を張る。
人材育成を3PLの差別化 手段と位置付けている。
    (梶原幸絵) 37  NOVEMBER 2010 プロ人材育成コース 経営学部世代交代促進 センター長 育成学部 FKS 学部 国際学部 (新設) 3PL特化 教育の自前化・ カイゼン実践 海外要員育成・ 一貫物流強化※このほか、「フォークリフト道場」などもある 実務者育成コース 現場力 育成学部現場力向上 物流技術学部 ソリューション 営業学部 システム力 強化 企画力・ 構築力強化 稲場泰雄副社長 TPSの「一個流し」の実習

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