2011年2月号
ケース
ケース
ゼビオ 3PL
FEBRUARY 2011 52
販管費を抑えて効率経営
大手スポーツ用品チェーンのゼビオは二〇
〇一年三月期以来、九期連続で増収を続け
ている。
一〇年三月期の連結売上高は一六 三七億円(前期比六・二%増)。
長く業界ト ップに君臨するアルペンの一八八七億円(同 〇・六%減)を急追している。
利益率も高い。
ゼビオの過去五期の売上高 営業利益率は平均七・五%で、アルペンの 四・七%を三ポイント近く上回っている。
原 価率はゼビオのほうが高いが、低い販管費率 が利益率の差となってあらわれている。
ローコスト運営に徹する物流も、堅調な業 績に寄与してきた。
同社の鈴木修一物流企画 室室長は、「当社の物流コストは、すでに一 般的な小売業の水準を大幅に下まわっている。
さらに向こう一年ぐらいで、売上高物流費比 率を一%以内にしていきたい」という。
ゼビオグループが手掛ける小売り業態は主 に四つある。
?「ゼビオ」本体が全国で展開 しているスポーツ用品店、?子会社の「ヴィ クトリア」が首都圏を中心に展開するスポー ツ用品店、?同じく子会社の「ゴルフパート ナー」が手掛ける中古ゴルフ用品の売買、そ して?英国最大のSPA(製造小売業)であ る「ネクスト」との提携によるファッションブ ランド店の展開、である。
二〇一〇年に広範囲にわたる物流改革を実 施して、これらの業態の物流管理を統合する と共に、庫内オペレーションを自社運営から アウトソーシングに切り替えた。
それ以前は、 「ゼビオ」と「ネクスト」の物流を自社所有 の物流拠点「本宮流通センター」(福島県本宮 市)で処理し、グループ会社の「ヴィクトリ ア」と「ゴルフパートナー」はそれぞれ独自 のセンターを構えていた。
これを改め、仕入れ先から店舗に直接納品 される商品以外、物流上の在庫を本宮流通セ ンターに集約し、ここから全国の店舗に出荷 する体制へと移行した。
同センターの庫内運 営は大手物流事業者のセンコーに全面的に委 託し、現場の実務はセンコーの3PL子会社 であるロジ・ソリューションに委ねた。
〇一年一月からセンター内のDCを新体制 で運営しはじめ、四月にはここにゴルフパー トナーの物流機能を統合。
五月にセンター内 で手掛けているTCの運営も新体制に移行し た。
そして七月になるとヴィクトリアの物流 統合に着手した。
千葉県に構えていた既存物 流センターを閉鎖し、まずはDC機能を統合。
TC機能については過渡的な措置として本宮 ローコストオペレーションを武器に高い利益率を誇 っている。
2010年には物流センターの運営を全面的 にアウトソーシングに切り替えると共に、M&Aで傘 下に納めた複数のチェーンストアの物流を統合した。
3PLパートナーにはセンコーを選んだ。
売上高物流費 比率1%以内の達成を目指している。
3PL ゼビオ 自社センターの運営をセンコーに委託 買収したチェーンストアの物流を統合 ゼビオの鈴木修一物流企画室 室長 53 FEBRUARY 2011 近郊の営業倉庫で手掛けるようにした。
さらに同年一〇月には、西日本の店舗をカ バーするTCとして「西日本ロジスティクスセ ンター」(西日本LC)を大阪市内に稼働させ た。
対象店舗がまだ三〇弱と少ないため、今 のところセンコーの子会社である東京納品代 行の施設の一部を使っているが、将来的には DC機能を分散し東西二拠点体制に移行する ことも視野に入れている。
ゼビオグループの現在のビジネスモデルで特 筆すべきはゴルフパートナーとの共存だ。
中 古ゴルフ用品の仕入れを強化するため、従来 は新品だけを扱っていたゼビオとヴィクトリア の店頭でも中古品の買い取りを開始。
これを 本宮流通センターに集めて再生し、全国のゴ ルフパートナーの店舗に送り込んで販売する という体制作りを進めている。
新品と中古品の店舗ネットワークを融合す ることで、中古品を店舗で売った代金を元手 に新品を買ってもらうといった相乗効果を狙 っている。
これに伴い物流部門には、動脈物 流だけでなく、中古品を店舗から回収する静 脈物流まで含めて物流機能を高度化すること が求められるようになった。
小売り主導でサプライチェーン再編 ゼビオは一九七三年に福島県いわき市で創 業した。
当初は紳士服店を展開していたが、 その後、段階的にスポーツ用品店へと主力業 態をシフトさせてきた。
九〇年代に入ると一 フロアが三〇〇〇平方メートルを超える大型 スポーツ店を積極的に展開しはじめ、有力小 売りチェーンとして台頭した。
〇五年には同業大手のヴィクトリアを、〇 八年にはゴルフパートナーを買収し、グルー プに迎え入れた。
一〇年九月末時点のグルー プの店舗数は、北海道から鹿児島まで全国に 三一一(ゼビオ関連一四九、ヴィクトリア関 連六一、ゴルフパートナー九六など)を数え る。
これに加えてゴルフパートナーのフランチ ャイズ店が全国に一六六店ある。
近年は成長とともに複雑化したグループの 物流管理を一元化し、グループ企業間の相乗 効果を得る必要に迫られていた。
物流センタ ーの運営を全面的にアウトソーシングした背 景にも、ゼビオの物流部門がそうした戦略的 な業務に専念したいという事情があった。
それまでの同社の物流管理は?自前主義? の色合いが強かった。
中核拠点である本宮流 通センターでは、作業こそ物流専業者に委託 していたが、基本的にはゼビオの物流部門が 現場まで管理していた。
物流部門に所属する 七人のスタッフが、外部の物流事業者を介し て約一四〇人のパート社員などを活用して物 流現場を切り盛りしていた。
自ら物流現場の管理まで手掛けるようにな ったのは九二年のこと。
当時はメーカーが小 売り店舗に商品を直接納品するのが当たり前 で、小売業が本格的な物流機能を整える必要 はなかった。
しかし、ゼビオは国内外で独自 の仕入れルートの開拓を本格化し、とくに海 外からの商品調達の強化を図った。
「ノーブランドの商品であれば、たとえば国 内で一〇〇円かけて調達していたものを、海 外では二〇円で直接仕入れるといったことが 可能だった。
ただ海外から商品を輸入すると なると、国内で保管して店舗に送り込むため の物流機能が不可欠だった」と、当時は商品 部に所属し海外での買い付けに奔走していた 物流企画室の鈴木室長は振り返る。
そこで九二年に福島県本宮市に約二万三 〇〇〇平方メートルの土地を購入。
延べ床面 00/3 01 /3 02 /3 03 /3 04 /3 05 /3 06 /3 07 /3 08 /3 09 /3 10 /3 11 /3 (見込み) (月期) 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 営業利益率(%) 売上高・営業利益(百万円) ゼビオの連結業績の推移 売上高 営業利益 営業利益率 FEBRUARY 2011 54 積二万平米余りの四階建ての倉庫を新設し て、海外で調達する商品の自社管理を開始し た。
その三年後には、店舗増や業態の多様化 に対応するため、同じ敷地内にもう一棟、同 規模の倉庫を竣工した。
その後、〇二年になると店舗の後方支援を 強化する狙いから一括物流の導入に踏み切っ た。
本宮流通センターの一部にTC機能を備 えた「東日本ロジスティクスセンター」(東日本 LC)を設置。
ここでも自社による現場運営 に軸足を置きながら、それまでは店舗に直接 納品されていた商品の一部を通過型の一括物 流で処理しはじめた。
もっとも当時のスポーツ用品業界は、いま 以上にメーカーが優位だった。
しかも有力メ ーカーは自ら店舗に直接納品できる物流イン フラを備えている。
〇二年にゼビオが一括物 流をスタートさせたときにも大手有力メーカ ーは対象から除外せざるをえなかった。
大手メーカーは店舗直納という商慣行は今 も変わっていない。
現在、ゼビオの店舗で扱 っている商品のうち、東西の「LC」を経由 している割合は全体の六割程度。
残り四割は 依然としてメーカー直納だ。
この状況にメス を入れ、小売り主導でサプライチェーンを再 構築していくことも、ゼビオが物流改革に踏 み切った理由の一つだった。
業者選定の決め手はコストと現場力 将来の経営ビジョンまで視野に入れた物流 流通業者向けに運営している既存センターを 紹介してもらい、ゼビオの物流担当者が約二 〇カ所にわたって現場に足を運んで視察した。
提案を実践できるだけの現場力を本当に備え ているのか、改善活動に対する姿勢はどうか、 荷主の評判はどうか、といった事柄をチェッ クしていった。
年が明けた〇九年一月末までに八社を四社 に絞り込み、続いてこの四社を対象とする二 次コンペを開催した。
「一次コンペで提案され た数字は、われわれの満足のいく水準には達 していなかった。
二次コンペでは主にコスト を再提案してもらった」と鈴木室長。
その結 果を踏まえて、センコーを3PLパートナー 改革だけに、これを実現するための時間と労 力は惜しまなかった。
在庫管理をいかに高度 化し、どうやってコスト競争力を高めていく か。
ロジスティクスの?あるべき姿?を描く ため、〇八年から構想の立案を本格化した。
まずは戦略策定を支援してもらうコンサル タントを選ぶコンペを開催した。
複数の提案 を吟味したうえで、〇八年八月から野村総合 研究所の指導を受けはじめた。
それから約三 カ月かけて物流を全面的にアウトソーシングす るという基本方針を策定。
具体的な計画書に まとめた。
3PLパートナーを選定する物流 コンペで用に約一〇〇ページにも及ぶ「RF P」(要件定義書)も作成した。
当初の計画では、物流コンペから先は、コ ンサルタントの手を借りずにゼビオの物流部門 だけで仕切るつもりだった。
しかし、「物流 事業者の最終的な評価でも、外部の中立的な 人たちに入ってもらうほうが得策」との判断 から、結局、物流コンペが終わるまで野村総 研に手伝ってもらうことにした。
〇八年十一月、物流コンペのための事業者 説明会を開いた。
ゼビオが所有する本宮流通 センターを施設・人材とも引き続き活用する ことなどを前提条件として、流通分野で受託 実績のある有力3PL企業に一通り声をかけ た。
それまでセンターで作業管理を手掛けて いた協力物流業者からも提案を募った。
声をかけた物流事業者八社すべてがコンペ に応札してきた。
それぞれの入札企業からは、 店舗納品はオリコンが基本 店舗別仕分けは種まき方式 基幹拠点の「本宮流通センター」(福島県本宮市) 取扱商品は長尺モノが多い 庫内に自動化機器は少ない 55 FEBRUARY 2011 蓄積されている。
これをゼビオ向けにカスタ マイズして導入することにした。
ゼビオとセンコーの契約期間は三年半。
こ の三年間は毎年、センコーが改善していくべ き物流コストの数値目標を契約のなかで約束 している。
「初年度は厳しいと思うが、二年 目以降は二〇〇人を超える作業者の生産性を 高めたり、庫内のレイアウトを見直すなどし て効率化できるはず。
次の契約更新のときに コンペを開くことなく継続できるようにがん ばってほしい」と鈴木室長は期待している。
本社物流部門は企画機能に集中 センターを停止することなく新体制に移行 する必要があったため、初年度にできること は限られていた。
それでもセンコーはすでに、 作業手順を見直したり、庫内空間を立体的に 活用するなどして徐々に作業効率を高めてい る。
ゼビオが従来から使っていたSCMラベ ル(荷札)に印字する情報に手を加えて、作 業を効率化しつつ、店舗で荷受けする際の負 担を減らせる工夫も施した。
センター内のマテハンは、荷物の移動を省 力化するローラーコンベヤと固定ラック、あ とはフォークリフトぐらい。
「物流はあくまで も店舗を支援するためのもの。
物流のための 物流には絶対にしない」(鈴木室長)という信 念から、自動化機器などの大規模なマテハン 設備は従来から使ってこなかった。
それだけ にセンコーにはソフト面のノウハウや人材活用 の高度化が求められている。
物流の全面的なアウトソーシングに踏み切 るまで、ゼビオの物流部門は現場管理に追わ れ、戦略策定などの業務には手が回らなかっ た。
今回の物流改革を経て、ようやく本来の 仕事に専念できる体制が整った。
3PLパートナーとの新たな役割分担にメ ドがついた〇九年四月の段階で、ゼビオはそ れまで「業務推進部」の中にあった物流管理 組織を「物流部門」として独立させた。
一 〇年四月には組織の名称を「物流部門」から 「物流企画室」に変更。
名実ともに、企画部 門へと組織の役割を衣替えした。
現場管理か ら解放されたゼビオの物流企画室のメンバー は、すでに仕入れ先との折衝など戦略的な分 野に活動の中心をシフトしている。
スポーツ用品専門の小売りチェーンとして、 ゼビオの業界シェアはまもなく一〇%に達す る。
シェア一〇%という数字は、小売業者が 調達先に対して大きな影響力を発揮しはじめ る閾値とも言われる。
依然としてメーカーの 発言力が強いスポーツ用品業界にあって、商 慣行を変えていく突破口が開ける。
それだけにゼビオの物流部門には今後、流 通全体の効率化まで視野に入れながら物流を 高度化していける人材が求められる。
「戦略 的に商品を動かすための体制は整った。
次の 私の課題は、物流と商流を両方わかる人材を 社内に育てていくこと」と鈴木室長は考えて いる。
(フリージャーナリスト・岡山宏之) に選ぶことを五月末に内定した。
選定の理由は、まず何よりもコスト競争力 に秀でていたこと。
またセンコーが二〇年以 上にわたって小売りチェーン向けに運営して いる既存センターで毎週欠かさず「物流品質 改善会議」を開催しているといった現場力も 高く評価できた。
物流ネットワークなどのイ ンフラもほぼ満足できるものだったし、コン ペを通じてセンコーの経営陣が積極的に参加 してくる熱意も伝わってきた。
本宮流通センターを運営するWMS(倉庫 管理システム)には、センコーが自社開発し た「ベストパートナーシステム」(BPS)を新 たに採用した。
このシステムには過去にセン コーが手掛けてきたセンター運営のノウハウが 全国で買い取った中古 クラブを「ゴルフパート ナー」の店舗に再分配 英国最大のSPA「ネ クスト」との提携店舗 も約20 店を展開中 「ゼビオ」以外の業態の物流も同一拠点で手掛けている
一〇年三月期の連結売上高は一六 三七億円(前期比六・二%増)。
長く業界ト ップに君臨するアルペンの一八八七億円(同 〇・六%減)を急追している。
利益率も高い。
ゼビオの過去五期の売上高 営業利益率は平均七・五%で、アルペンの 四・七%を三ポイント近く上回っている。
原 価率はゼビオのほうが高いが、低い販管費率 が利益率の差となってあらわれている。
ローコスト運営に徹する物流も、堅調な業 績に寄与してきた。
同社の鈴木修一物流企画 室室長は、「当社の物流コストは、すでに一 般的な小売業の水準を大幅に下まわっている。
さらに向こう一年ぐらいで、売上高物流費比 率を一%以内にしていきたい」という。
ゼビオグループが手掛ける小売り業態は主 に四つある。
?「ゼビオ」本体が全国で展開 しているスポーツ用品店、?子会社の「ヴィ クトリア」が首都圏を中心に展開するスポー ツ用品店、?同じく子会社の「ゴルフパート ナー」が手掛ける中古ゴルフ用品の売買、そ して?英国最大のSPA(製造小売業)であ る「ネクスト」との提携によるファッションブ ランド店の展開、である。
二〇一〇年に広範囲にわたる物流改革を実 施して、これらの業態の物流管理を統合する と共に、庫内オペレーションを自社運営から アウトソーシングに切り替えた。
それ以前は、 「ゼビオ」と「ネクスト」の物流を自社所有 の物流拠点「本宮流通センター」(福島県本宮 市)で処理し、グループ会社の「ヴィクトリ ア」と「ゴルフパートナー」はそれぞれ独自 のセンターを構えていた。
これを改め、仕入れ先から店舗に直接納品 される商品以外、物流上の在庫を本宮流通セ ンターに集約し、ここから全国の店舗に出荷 する体制へと移行した。
同センターの庫内運 営は大手物流事業者のセンコーに全面的に委 託し、現場の実務はセンコーの3PL子会社 であるロジ・ソリューションに委ねた。
〇一年一月からセンター内のDCを新体制 で運営しはじめ、四月にはここにゴルフパー トナーの物流機能を統合。
五月にセンター内 で手掛けているTCの運営も新体制に移行し た。
そして七月になるとヴィクトリアの物流 統合に着手した。
千葉県に構えていた既存物 流センターを閉鎖し、まずはDC機能を統合。
TC機能については過渡的な措置として本宮 ローコストオペレーションを武器に高い利益率を誇 っている。
2010年には物流センターの運営を全面的 にアウトソーシングに切り替えると共に、M&Aで傘 下に納めた複数のチェーンストアの物流を統合した。
3PLパートナーにはセンコーを選んだ。
売上高物流費 比率1%以内の達成を目指している。
3PL ゼビオ 自社センターの運営をセンコーに委託 買収したチェーンストアの物流を統合 ゼビオの鈴木修一物流企画室 室長 53 FEBRUARY 2011 近郊の営業倉庫で手掛けるようにした。
さらに同年一〇月には、西日本の店舗をカ バーするTCとして「西日本ロジスティクスセ ンター」(西日本LC)を大阪市内に稼働させ た。
対象店舗がまだ三〇弱と少ないため、今 のところセンコーの子会社である東京納品代 行の施設の一部を使っているが、将来的には DC機能を分散し東西二拠点体制に移行する ことも視野に入れている。
ゼビオグループの現在のビジネスモデルで特 筆すべきはゴルフパートナーとの共存だ。
中 古ゴルフ用品の仕入れを強化するため、従来 は新品だけを扱っていたゼビオとヴィクトリア の店頭でも中古品の買い取りを開始。
これを 本宮流通センターに集めて再生し、全国のゴ ルフパートナーの店舗に送り込んで販売する という体制作りを進めている。
新品と中古品の店舗ネットワークを融合す ることで、中古品を店舗で売った代金を元手 に新品を買ってもらうといった相乗効果を狙 っている。
これに伴い物流部門には、動脈物 流だけでなく、中古品を店舗から回収する静 脈物流まで含めて物流機能を高度化すること が求められるようになった。
小売り主導でサプライチェーン再編 ゼビオは一九七三年に福島県いわき市で創 業した。
当初は紳士服店を展開していたが、 その後、段階的にスポーツ用品店へと主力業 態をシフトさせてきた。
九〇年代に入ると一 フロアが三〇〇〇平方メートルを超える大型 スポーツ店を積極的に展開しはじめ、有力小 売りチェーンとして台頭した。
〇五年には同業大手のヴィクトリアを、〇 八年にはゴルフパートナーを買収し、グルー プに迎え入れた。
一〇年九月末時点のグルー プの店舗数は、北海道から鹿児島まで全国に 三一一(ゼビオ関連一四九、ヴィクトリア関 連六一、ゴルフパートナー九六など)を数え る。
これに加えてゴルフパートナーのフランチ ャイズ店が全国に一六六店ある。
近年は成長とともに複雑化したグループの 物流管理を一元化し、グループ企業間の相乗 効果を得る必要に迫られていた。
物流センタ ーの運営を全面的にアウトソーシングした背 景にも、ゼビオの物流部門がそうした戦略的 な業務に専念したいという事情があった。
それまでの同社の物流管理は?自前主義? の色合いが強かった。
中核拠点である本宮流 通センターでは、作業こそ物流専業者に委託 していたが、基本的にはゼビオの物流部門が 現場まで管理していた。
物流部門に所属する 七人のスタッフが、外部の物流事業者を介し て約一四〇人のパート社員などを活用して物 流現場を切り盛りしていた。
自ら物流現場の管理まで手掛けるようにな ったのは九二年のこと。
当時はメーカーが小 売り店舗に商品を直接納品するのが当たり前 で、小売業が本格的な物流機能を整える必要 はなかった。
しかし、ゼビオは国内外で独自 の仕入れルートの開拓を本格化し、とくに海 外からの商品調達の強化を図った。
「ノーブランドの商品であれば、たとえば国 内で一〇〇円かけて調達していたものを、海 外では二〇円で直接仕入れるといったことが 可能だった。
ただ海外から商品を輸入すると なると、国内で保管して店舗に送り込むため の物流機能が不可欠だった」と、当時は商品 部に所属し海外での買い付けに奔走していた 物流企画室の鈴木室長は振り返る。
そこで九二年に福島県本宮市に約二万三 〇〇〇平方メートルの土地を購入。
延べ床面 00/3 01 /3 02 /3 03 /3 04 /3 05 /3 06 /3 07 /3 08 /3 09 /3 10 /3 11 /3 (見込み) (月期) 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 営業利益率(%) 売上高・営業利益(百万円) ゼビオの連結業績の推移 売上高 営業利益 営業利益率 FEBRUARY 2011 54 積二万平米余りの四階建ての倉庫を新設し て、海外で調達する商品の自社管理を開始し た。
その三年後には、店舗増や業態の多様化 に対応するため、同じ敷地内にもう一棟、同 規模の倉庫を竣工した。
その後、〇二年になると店舗の後方支援を 強化する狙いから一括物流の導入に踏み切っ た。
本宮流通センターの一部にTC機能を備 えた「東日本ロジスティクスセンター」(東日本 LC)を設置。
ここでも自社による現場運営 に軸足を置きながら、それまでは店舗に直接 納品されていた商品の一部を通過型の一括物 流で処理しはじめた。
もっとも当時のスポーツ用品業界は、いま 以上にメーカーが優位だった。
しかも有力メ ーカーは自ら店舗に直接納品できる物流イン フラを備えている。
〇二年にゼビオが一括物 流をスタートさせたときにも大手有力メーカ ーは対象から除外せざるをえなかった。
大手メーカーは店舗直納という商慣行は今 も変わっていない。
現在、ゼビオの店舗で扱 っている商品のうち、東西の「LC」を経由 している割合は全体の六割程度。
残り四割は 依然としてメーカー直納だ。
この状況にメス を入れ、小売り主導でサプライチェーンを再 構築していくことも、ゼビオが物流改革に踏 み切った理由の一つだった。
業者選定の決め手はコストと現場力 将来の経営ビジョンまで視野に入れた物流 流通業者向けに運営している既存センターを 紹介してもらい、ゼビオの物流担当者が約二 〇カ所にわたって現場に足を運んで視察した。
提案を実践できるだけの現場力を本当に備え ているのか、改善活動に対する姿勢はどうか、 荷主の評判はどうか、といった事柄をチェッ クしていった。
年が明けた〇九年一月末までに八社を四社 に絞り込み、続いてこの四社を対象とする二 次コンペを開催した。
「一次コンペで提案され た数字は、われわれの満足のいく水準には達 していなかった。
二次コンペでは主にコスト を再提案してもらった」と鈴木室長。
その結 果を踏まえて、センコーを3PLパートナー 改革だけに、これを実現するための時間と労 力は惜しまなかった。
在庫管理をいかに高度 化し、どうやってコスト競争力を高めていく か。
ロジスティクスの?あるべき姿?を描く ため、〇八年から構想の立案を本格化した。
まずは戦略策定を支援してもらうコンサル タントを選ぶコンペを開催した。
複数の提案 を吟味したうえで、〇八年八月から野村総合 研究所の指導を受けはじめた。
それから約三 カ月かけて物流を全面的にアウトソーシングす るという基本方針を策定。
具体的な計画書に まとめた。
3PLパートナーを選定する物流 コンペで用に約一〇〇ページにも及ぶ「RF P」(要件定義書)も作成した。
当初の計画では、物流コンペから先は、コ ンサルタントの手を借りずにゼビオの物流部門 だけで仕切るつもりだった。
しかし、「物流 事業者の最終的な評価でも、外部の中立的な 人たちに入ってもらうほうが得策」との判断 から、結局、物流コンペが終わるまで野村総 研に手伝ってもらうことにした。
〇八年十一月、物流コンペのための事業者 説明会を開いた。
ゼビオが所有する本宮流通 センターを施設・人材とも引き続き活用する ことなどを前提条件として、流通分野で受託 実績のある有力3PL企業に一通り声をかけ た。
それまでセンターで作業管理を手掛けて いた協力物流業者からも提案を募った。
声をかけた物流事業者八社すべてがコンペ に応札してきた。
それぞれの入札企業からは、 店舗納品はオリコンが基本 店舗別仕分けは種まき方式 基幹拠点の「本宮流通センター」(福島県本宮市) 取扱商品は長尺モノが多い 庫内に自動化機器は少ない 55 FEBRUARY 2011 蓄積されている。
これをゼビオ向けにカスタ マイズして導入することにした。
ゼビオとセンコーの契約期間は三年半。
こ の三年間は毎年、センコーが改善していくべ き物流コストの数値目標を契約のなかで約束 している。
「初年度は厳しいと思うが、二年 目以降は二〇〇人を超える作業者の生産性を 高めたり、庫内のレイアウトを見直すなどし て効率化できるはず。
次の契約更新のときに コンペを開くことなく継続できるようにがん ばってほしい」と鈴木室長は期待している。
本社物流部門は企画機能に集中 センターを停止することなく新体制に移行 する必要があったため、初年度にできること は限られていた。
それでもセンコーはすでに、 作業手順を見直したり、庫内空間を立体的に 活用するなどして徐々に作業効率を高めてい る。
ゼビオが従来から使っていたSCMラベ ル(荷札)に印字する情報に手を加えて、作 業を効率化しつつ、店舗で荷受けする際の負 担を減らせる工夫も施した。
センター内のマテハンは、荷物の移動を省 力化するローラーコンベヤと固定ラック、あ とはフォークリフトぐらい。
「物流はあくまで も店舗を支援するためのもの。
物流のための 物流には絶対にしない」(鈴木室長)という信 念から、自動化機器などの大規模なマテハン 設備は従来から使ってこなかった。
それだけ にセンコーにはソフト面のノウハウや人材活用 の高度化が求められている。
物流の全面的なアウトソーシングに踏み切 るまで、ゼビオの物流部門は現場管理に追わ れ、戦略策定などの業務には手が回らなかっ た。
今回の物流改革を経て、ようやく本来の 仕事に専念できる体制が整った。
3PLパートナーとの新たな役割分担にメ ドがついた〇九年四月の段階で、ゼビオはそ れまで「業務推進部」の中にあった物流管理 組織を「物流部門」として独立させた。
一 〇年四月には組織の名称を「物流部門」から 「物流企画室」に変更。
名実ともに、企画部 門へと組織の役割を衣替えした。
現場管理か ら解放されたゼビオの物流企画室のメンバー は、すでに仕入れ先との折衝など戦略的な分 野に活動の中心をシフトしている。
スポーツ用品専門の小売りチェーンとして、 ゼビオの業界シェアはまもなく一〇%に達す る。
シェア一〇%という数字は、小売業者が 調達先に対して大きな影響力を発揮しはじめ る閾値とも言われる。
依然としてメーカーの 発言力が強いスポーツ用品業界にあって、商 慣行を変えていく突破口が開ける。
それだけにゼビオの物流部門には今後、流 通全体の効率化まで視野に入れながら物流を 高度化していける人材が求められる。
「戦略 的に商品を動かすための体制は整った。
次の 私の課題は、物流と商流を両方わかる人材を 社内に育てていくこと」と鈴木室長は考えて いる。
(フリージャーナリスト・岡山宏之) に選ぶことを五月末に内定した。
選定の理由は、まず何よりもコスト競争力 に秀でていたこと。
またセンコーが二〇年以 上にわたって小売りチェーン向けに運営して いる既存センターで毎週欠かさず「物流品質 改善会議」を開催しているといった現場力も 高く評価できた。
物流ネットワークなどのイ ンフラもほぼ満足できるものだったし、コン ペを通じてセンコーの経営陣が積極的に参加 してくる熱意も伝わってきた。
本宮流通センターを運営するWMS(倉庫 管理システム)には、センコーが自社開発し た「ベストパートナーシステム」(BPS)を新 たに採用した。
このシステムには過去にセン コーが手掛けてきたセンター運営のノウハウが 全国で買い取った中古 クラブを「ゴルフパート ナー」の店舗に再分配 英国最大のSPA「ネ クスト」との提携店舗 も約20 店を展開中 「ゼビオ」以外の業態の物流も同一拠点で手掛けている
