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2011年3月号
特集

第3部 3PLが主導する同業種共配外食チェーン 南日本運輸倉庫中堅以下の荷主に絞ってリスク分散

MARCH 2011  40 大型共配センターを新設  首都圏を地盤とする独立系の低温物流会社、南 日本運輸倉庫(以下、南日本)は、一五〇店舗以 下の中小外食チェーンを対象とした共同物流事業 を展開している。
もともと食品卸やコンビニエンス ストア(CVS)を主要荷主としていたが、そこ から軸足を移してきた。
 不況の影響を受け外食産業も市場規模の縮小が 続いている。
それでも外食産業は常に新たな業態 が生まれ、プレーヤーの移り変わりが激しい業界 だ。
自社センターを設置する規模やノウハウが不足 している新興・中小チェーンには、包括的な物流 アウトソーシングのニーズがある。
しかし、物流大 手はまともに相手にはしてくれない。
 南日本はそのニッチを突いた。
中堅以下の荷主 を数多く抱えることで特定荷主に対する依存度を 下げてリスクを分散し、同時に価格決定権を握っ て五%以上の利益率を安定的に確保することに成 功した。
 南日本の大園圭一郎常務は「大手チェーンの仕 事は取引を打ち切られたときのリスクが怖い。
長期 契約を結んでいれば話は別だが、現在の競争環境 を考えるとそれはあり得ない。
また大手は物流子 会社や付き合いの深い物流業者を抱えているため に制約が多い。
われわれが後から割り込めば単価 競争になってしまう。
自分で自分の首を絞めるこ とになる」と説明する。
 同社が現在、共同物流事業の基地とする主なセ ンターは二カ所。
いずれも冷凍、チルド、常温の 三温度帯に対応している。
一つは二〇〇四年四月 に、さいたま市岩槻区浮谷に建設した共配センタ ーだ。
延べ床面積は二八三二坪。
卸経由で受託し ている案件も含めて約一〇社のチェーンが入居し、 フル稼働している。
 さらに昨年七月には同じ岩槻区の長宮に延べ床 面積六〇三〇坪の大型センターを開設した。
荷主 の決まっていない状態で約三五億円をかけて先行 投資した。
稼働率は五割を超える予定が立ってお り、七割まではメドがついているという。
 同社は効率的なオペレーションを設計し、その練 度を上げていくことができれば荷主は付いてくる という発想で、リスクを恐れず先行投資を断行し 南日本運輸倉庫 中堅以下の荷主に絞ってリスク分散  外食チェーン向けに三温度帯汎用センターを建設して、 センター運営から店舗納品まで一括して請け負う。
中堅 以下の荷主を多く集めることでリスクの分散を図ってい る。
自社の営業エリアは首都圏に限定し、日本各地の低 温物流業者を組織することで大手に匹敵するネットワー クを構築している。
           (梶原幸絵) 外食チェーン 第3部 3PLが主導する同業種共配 入出荷バースではJFNの貨物の積み替えも行う仕分けにはデジタルアソートシステムも活用 岩槻区浮谷のセンター。
1日平均1300軒に納品 約7000アイテムをチェーン別に保管する 41  MARCH 2011 業績を拡大してきた。
 配送効率を上げるために、新規案件の立ち上げ に当たっては、外食チェーンの調達パターンや店舗 の立地、物量、納品時間などから情報システムに よって積載率をシミュレーション。
さらに実際の運 行事情などを加味して人の判断による修正を加え、 共配の基本ルートを組んでいる。
 受発注の締め時間と納品時間はチェーンの業態・ 店舗によって異なるが、時間指定の厳しいチェーン もあれば幅のあるチェーンもある。
業態や立地によ ってピークタイムも違う。
その差を利用し、チェー ン側の要望をうまく組み合わせる。
 現場では各チェーン・店舗別の納品ルールにきめ 細やかに対応している。
同じチェーンでも各店舗の バックヤードの構造によって仕分け・納品のルール は違ってくる。
チルドと常温品は仕分けて納品す るのか。
容器にはドライアイスを入れるのか、入れ るとすれば何個か。
 こうした作業をミスなくこなして品質を維持す るために、現場には正社員が三交代制で張り付き、 それぞれ担当フロア・チェーンを決めて作業を管理 している。
浮谷のセンターの場合、現場スタッフは 約一二〇人。
そのうち正社員が約二割を占めてい る。
これ以上、パート比率を上げると品質が劣化 すると判断している。
 車両も自社車両を中心に運行している。
運行車 両一四〇〇台のうち、自社車両は九五〇台。
ドラ イバーは各店舗の要望によって商品の格納作業も行 う。
予め鍵を預かっておき、店舗の閉店後、無人 になる時間帯に作業をすることも少なくない。
傭 車比率をいたずらに上げることはできない。
 営業エリアは首都圏に限定している。
他地域の 要望には全国各地域の独立系低温物流会社で構成 する「オールジャパンチルドフローズンネットワーク (JFN)」で構築した同業者ネットワークで対応し ている。
一九九六年、南日本が中心となって各地 のトップクラスの企業を組織化した。
 会員企業同士が協力し合い、幹線共配と域内共 配を実施している。
「全国津々浦々までの輸配送網 を駆使して店頭まで商品を届ける仕組みが出来上 がっている。
荷主企業の遠方からの調達ニーズに も応えることができる」と大園常務。
 JFNは会員企業の?縄張り〞を明確に分けて いる。
該当エリアの業務はすべて現地の会員企業 に委託する。
現在の会員企業数は三三社。
これを 増やす考えはない。
規模は小さくとも独立系で力 のある、地域の?オンリーワン企業〞だけを選ぶこ とで品質を維持している。
 それでも三三社の売上高を合計すれば、一〇〇 〇億円以上に達する。
車両台数はおよそ六五〇〇 台、保有倉庫面積は七万五〇〇〇坪。
食品物流の 大手とも互角に張り合える規模を誇る。
規模拡大より収益性を重視  ただし南日本の業績は現在、足踏み状態が続い ている。
〇九年八月期、一〇年八月期は売上高、 利益ともに横ばいだった。
共配センターが浮谷の一 カ所のみで、荷主を増やす余地がなかったことが 大きい。
 今期一一年八月期は長宮の新センターが立ち上 がったため、増収を目指す。
「他社との競争も激し くなっているため事業環境は厳しいが、新センタ ーによって器は広がった。
あとは営業を強化して 当社の仕組みと品質について理解してもらい、案 件の受託を増やしたい。
センターへの投資は今後 も続けていく」と大園常務はいう。
 とはいえ、当面は事業規模の拡大よりも収益性 の強化に重点を置いている。
課題の一つが配送効 率の向上。
車両がセンターを出発する時点での積載 率は既に七〜八割に達している。
これ以上、積載 率を上げれば冷蔵・冷凍品質に影響してしまう。
 それでも車両の回転率を上げる余地はある。
面 積当たりの配送密度を上げることができれば、各 ルートの運行距離を短縮して一日二回転させるこ とも可能になる。
設備の稼働率を向上して現場の ローコスト化を徹底し、不況下でも利益率を維持 する考えだ。
特 集 北海道物流センター 仙台物流センター JFN 本部 東京物流センター 名古屋物流センター 大阪物流センター 九州物流センター JFN では33 社が連合し、三温度帯の 幹線・小口共配を全国展開している

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