2011年3月号
SOLE
SOLE
SOLE日本支部・研究会報告自発的動機が育むプロダクト・プロセス革新
SOLE 日本支部フォーラムの報告
The International Society of Logistics
MARCH 2011 78
SOLE日本支部は今年度のテー
マの一つ「プロダクト・プロセス革新」
について研究会を設置し、事例検証
を含む調査研究を開始した。
本研究 会は「事業価値向上はプロダクト・プ ロセス革新により実現できる」との 仮説の下で活動し、特に加工組立分 野、流通分野を対象に取り組む方針 だ。
今年度の活動の狙いとその進め 方を報告する。
(SOLE日本支部 曽我部旭弘) 「プロダクト・プロセス革新」と 「事業改善のABC三層構造」 事業とは、顧客に有効なプロダク ト(製品・サービス)を創出し、効率 的なロジスティクス(調達、製造、供 給)プロセスを整え、顧客満足と関係 者の便益を得る活動である。
事業価 値を向上するには、 (A) 自らの特技(コア技術)を活かし てより有効なプロダクトを磨き、 (B) これを効率的に作り届けるプロセ スを整え、プロダクト・プロセス両 面からライフサイクル全般に亘って マネジメントする事業の場・ビジネ スモデルを構築し、 (C) 実施(事業・経営)する ことが必要である。
従来どちらかといえば既にある (C) プ ロダクトの事業経営改善を進めてきた が、本格的な事業価値向上は (C) だけ ではなく、その手前の (B) 事業の場・ ビジネスモデルを作り替えたり、 (A) コ ア技術を活かしたプロダクトを再設 計・改良する事業改善(事業価値向 上)を合わせた三層構造で初めて実 現できる。
RAMS研究会ではこれ について事例を検証・記述してゆく。
更に、事業改善の根底には事業に 関わるメンバーの拘り・大切にしたい こと、やむにやまれぬ状況、取り組 みのきっかけなど、いわゆる?やる 気?(自発的動機モチベーション)があ るということにも考察を加えたい。
事業に関わるネットワークの全体像 をみると、企業は幾つかの事業で構 成され、事業毎に事業の場(ビジネス モデル)があり、さらに事業の場で自 己のカバーする範囲がある。
事業分 担の範囲では、各人は事業の場(ビ ジネスモデル)の中で有効なプロダク トを作り出すという役目を効率的に果 たせなければ、これらのネットワーク に参加することはできない。
種々な関 係者(ステークホルダー)が連携し有 効適切にネットワーク運用されてこそ、 最終ユーザー・顧客に向かって意義あ るビジネスが実現することになる。
事業を四プロダクトタイプの システムモデルとして記述 その事例として個別事業(個別企 業)を取り上げてゆく場合、事例か ら何を学ぶか、どんな学び方をすれ ばよいかを意図しておくことが大切 である。
即ち、どんな業界で、どの ような顧客に、どんなプロダクト(製 品・サービス)を開発・改良し、どの ようなプロセスで卓越したビジネスと してまとめ上げているか、 (A) コア技術、 (B) ビジネスモデル、 (C) 経営マネジメン トを同時並列的に自発的に改善・改 革を繰り返しているか、についての 全体システムのスケッチ(記述)が必 要である。
事業の全体システムを記述できれば、 自分の携わる事業のどこをどのよう に変革してゆけばよいか、改良・改 善対象、ポイントをつかむことにつな がる。
又、新事業開発・開拓でも事 業化の着想やアイデアを設計図書に落 とし込むことができるようになる。
そのために、まず事業を大きく四 タイプに分類する。
世の中には数多の 事業があり、産業分類・呼称も産業 統計分類など種々あるが、事業のプ ロダクトの性格・整え方を考察して (?) 加工組立:プロダクトが部品構成 樹林(ツリー)体系で表現できる 機械・電機など工業製品を扱う (?) 装置プロセス:原材料を調達し、 装置で加工する衣・食・エネルギ ーなどを扱う (?) 流通:必要とする財・サービスを 企画し、調達し、販売する (?) イベント:ユーザーが求めるサービ スの仕様がその都度異なる で表現することにした(図)。
これら四タイプのうち、特に(?) 加 工組立と (?) 流通を中心に研究を進め たい。
自発的動機が育む プロダクト・プロセス革新 SOLE日本支部・研究会報告 79 MARCH 2011 開発が続けられた。
即ち、そこには 構想・戦略企画と調達、補給、整備 運用の知恵が集約・更新されている ということである。
この軍需システムが欧米ではチェー ンストア経営に活かされている。
例 えばウォルマートやコストコだ。
これ らの企業の活動実態をみると、軍で 開発されたロジスティクス活動の設計、 運用の整え方や技術が随所に盛り込ま れていることが分かる。
しかも、ここ二〇〜三〇年でイン ターネットを中核とするIT技術が発 達したことによって、そのシステムに は磨きがかかり、顧客に提供するプ ロダクトのQCDの総てに亘って他社 との格差が拡大している。
ファスト・ファッション通販から 流通革新の事例を検証 果たして我が国の流通各社は中国、 インドなど新興国の場で欧米各社や 地元企業と互角に闘うことができる だろうか。
市場において顧客に提供 できるプロダクトと競争優位性を継続 的に実現できる事業システムを構築し てゆくことが求められている。
「流通の戦略シリーズ」(全八巻、ダ イヤモンド社)が刊行され、「商品有 りき店舗有りき」の変革が叫ばれたの は一九七一年のことである。
しかし、 その後四〇年もの長きに亘り、抜本 再編成が進んでいる。
しかし、辺境 の国の伝統・文化・習慣のもとで運 用されている業界業種・業態ではグ ローバル対応が困難となり、事業縮 小・廃止に追い込まれているケースが 目立ってきた。
事業を再構築してグ ローバル市場を開拓するためには、他 社の事例の「学び方」を変えること が必要である。
民需チェーンストアマネジメントと 軍需ライフサイクルマネジメント 流通分野では、欧州産業革命で一 八九〇年代に創出されたチェーンスト ア経営がその後の事業経営の基本型 となっている。
それは開発したプロダ クト(製品・サービス)を如何に効率 的に顧客ユーザーに使用してもらうか を主題とした経営システムともいえる。
プロダクトを開発・企画・準備し、 消費者に効率的に使ってもらう。
そ の根底にはマス・マーチャンダイジン グ(プロダクトを企画する機能)とロ ジスティクス(プロダクトを調達、供 給、維持する)の両機能を本部で強 烈に計画調整し、対象エリア拠点で 実現する人工的なシステムが存在する。
片方、軍需面では一九三〇〜四 〇年代から防衛、災害などに必要な 働き・機能の達成状況を想定しその ための能力を巨大システムとして企 画・準備し、運用管理するシステム してきたからである。
しかし現在、日本は中国を筆頭と する新興国の台頭に戸惑っているよ うに見える。
世界第二位の経済大国 の座も中国に明け渡すことが確実にな っている。
それは自らを磨き、事業 を磨き、世界で貢献してゆくための シナリオ・姿が描けなくなっているた めではなかろうか。
国際競争にさらされてきた業界・ 企業では、それなりに業界・事業の グローバル市場開拓に向け 「学び方」を変える 日本は何故、バブル崩壊から二〇 年という歳月を経ても、デフレ・低 成長から脱出できないのだろうか。
戦後、日本が資源の少ない極東の 辺境の地で奇跡的な復興を遂げ世界 第二位の経済大国にまで成長できた のは、世界からあらゆることを学び、 次々と種々な業界で種々な事業を開拓 業界分類・プロダクト・タイプと2000 年GDP 製 造 業 プロダクト・タイプ2000 年GDP 加工 組立装置 イベント プロセス流通額 (兆円) 構成 (%) 5 カ年 伸び率 ●主たるプロダクト ○補完プロダクト 2000 年GDP とは、その業界の規模表現 (特に5 カ年の伸び率は、増減傾向に着目) 食品 ● ○ 繊維 ● ○ パルプ・紙 ● ○ 化学 ● ○ 石油・石炭 ● ○ ゴム ● ○ 窯業 ● ○ 鉄鋼 ● 非鉄金属 ● 金属製品 ● ● ○ 機械 ● 電気機器 ● ○ 輸送用機器 ● ○ 精密機器 ● ○ その他製造 ● ● ○ 建設業 ● ○ ● 40 7.4 -9.1 商売(卸売り・小売) ● ● 74 14.1 -6.8 鉱業 ● 1 0.1 -37.2 農林・水産 ● 10 1.8 -4.8 電気・ガス・水道 ● ○ 14 2.7 1.9 金融・保険 ○ ● 33 6.1 3.9 不動産業 ○ ● 62 11.5 -3.1 運輸・通信 ○ ● 37 6.9 -1.3 サービス業 ○ ● 109 20.4 16.4 政府・サービス ○ ● 49 9.1 16.2 536 100.0 ── 119 22.2 -2.8 MARCH 2011 80 フローを中心とする現場の認識がき っちりできて、マーチャンダイジング 機能とロジスティクス機能をバランス よく再設計し準備し実施することで ある。
事業に関わる人々が自発的に 事業を改善・改革することを支援す るコンセプト・コンテンツの整理・提 供は可能だと考えている。
き出さなければならないのは明白だ。
商物を分離して世界中どこへでも求 められる場所に部品を直送し、真に 世界産直が可能な部品専業者として 事業システム開発に取り組まざるを得 ない状況になっている。
事例を語れても 事業を設計できるか? こうした状況を踏まえ、加工組立 分野では建設機械部品・自動車部品 などで事業改善に取り組んでいる事 例を捉え若干の解釈付けをしてゆく。
ただし、事業者ではない外部者が発 表・報告した資料・データをもとに するため、事業再構築の動機・事業 改善の取り組みを表面的・部分的に しか捉えられない可能性もあること を覚悟して、考察しようとしている。
考察の視点や構造化のポイントを活か せることを願っている。
SOLE日本支部は、ロジスティ クスを基盤として事業改善(事業価 値向上)につなげるビジネス・ナレッ ジ(知恵)を交流できる小さなナシ ョナル・センターを目指している。
民 需・軍需の区別なく、事業をイメー ジし、設計、運用、改善に携わる人 が集い研鑽できる場を提供したい。
事業システム開発・改善で大切な ことは、対象とする事業の環境・状 況が的確に把握でき、マテリアル・ メーカーなど部品事業メーカーを頂点 とする産業構造を支え、その基盤を 担ってきた。
しかし現在、完成品メ ーカーが新興国で現地化を進めるの に伴い、そうした従来の工程加工連 携による部品加工製造ネットワーク体 制(フルセット型)は崩壊しつつある。
完成品メーカー・部品事業メーカ ーは、改良設計、試作、量産準備を 含めすべてを元請け可能な委託先へ 部品購入先を切り替えている。
中小 の部品製造業者に今求められている のは、顧客の指示通りにモノを作るこ とではなく、部品工程加工を連携さ せる中間・元請化である。
このため、工程加工に慣れ親しん できた加工業者は事業縮小か、そう でなければ自ら元請けとなるために 能力を磨き直し東アジアの現地顧客に 向けて完品部品(セット部品)を取り 扱う事業能力を持つのか、について 選択を迫られている。
与えられた与件・条件でただ部品 加工をすればよい時代はもはや過ぎ 去っている。
ところが多くの中小部 品製造業者はどうしてよいか分から ない。
冒頭に挙げた事業改善の三層 構造に取り組まなければならないの だが、気の遠くなるような道のりを 思い、戸惑っているのである。
しかし、分かっていても動けない とは言わずに、一歩でも二歩でも動 的な変革がないまま今日に至っている。
結果、流通業の競争力は衰え、例え ば我が国のGMSでは、ドライグロサ リーの分野で粗利二二〜二八%でも 利益を残すことができない。
これに 対してウォルマートなどは粗利十三〜 一五%でも充分な利益を上げている。
辺境の国、日本で室町時代から育 まれ商品経済によって培われた商業 (卸売り・小売り)の分野が、自己変 革しながらグローバル対応してゆく中 でどう変化してゆけばよいか。
これ からの課題である。
また、製販配三 層が小売業態革新をどのように進め てゆけばよいのか。
新興国・新市場 を含めて熟慮してゆく時代に突入し ている。
グローバル化とは、相手を素朴に理 解することから始まる。
彼我の違い を認めた上で、低コスト・高サービス を提供できる業態開発(店舗・売り 場を含めて)が求められている。
そ の事例として、まずファスト・ファッ ション通販などに的を絞って高成長の 裏舞台を眺めて見ることから流通に からむ事例検証を進める。
加工組立革新では部品製造・部 品調達から事例を検証 製造業では、我が国は部品大国で あり、中小の部品加工業(一部組み 立て)が完成品メーカー、一次部品 次回フォーラムのお知らせ 3月度のフォーラムは、3月8日 (火)「海上自衛隊第三術科学校見 学」を予定している。
このフォー ラムは年間計画に基づいて運用し ているが、単月のみの参加も可能。
1回の参加費は6,000円。
ご希望 の方は事務局(s-sogabe@mbb. nifty.ne.jp)までお問い合わせ下 さい。
※ S O L E(The International Society of Logistics: 国際ロジスティクス学会) は一 九六〇年代に設立されたロジスティクス団体。
米国に本部を置き、会員は五一カ国・三〇 〇〇〜三五〇〇人に及ぶ。
日本支部では毎 月「フォーラム」を開催し、講演、研究発表、 現場見学などを通じてロジスティクス・マネ ジメントに関する活発な意見交換、議論を行 っている。
今年度はメーン・テーマの「システム設計 改善(事業価値向上のためのロジスティクス 変革)」を実践してゆくに当たって、 (A) ロジス ティクス基盤技術、 (B) RAMS活動改善・ アセットマネジメント、 (C) プロダクト・プロ セス革新、 (D) システムモデル、のサブ・テー マを設定し、調査研究を重ねている。
本研究 会は「事業価値向上はプロダクト・プ ロセス革新により実現できる」との 仮説の下で活動し、特に加工組立分 野、流通分野を対象に取り組む方針 だ。
今年度の活動の狙いとその進め 方を報告する。
(SOLE日本支部 曽我部旭弘) 「プロダクト・プロセス革新」と 「事業改善のABC三層構造」 事業とは、顧客に有効なプロダク ト(製品・サービス)を創出し、効率 的なロジスティクス(調達、製造、供 給)プロセスを整え、顧客満足と関係 者の便益を得る活動である。
事業価 値を向上するには、 (A) 自らの特技(コア技術)を活かし てより有効なプロダクトを磨き、 (B) これを効率的に作り届けるプロセ スを整え、プロダクト・プロセス両 面からライフサイクル全般に亘って マネジメントする事業の場・ビジネ スモデルを構築し、 (C) 実施(事業・経営)する ことが必要である。
従来どちらかといえば既にある (C) プ ロダクトの事業経営改善を進めてきた が、本格的な事業価値向上は (C) だけ ではなく、その手前の (B) 事業の場・ ビジネスモデルを作り替えたり、 (A) コ ア技術を活かしたプロダクトを再設 計・改良する事業改善(事業価値向 上)を合わせた三層構造で初めて実 現できる。
RAMS研究会ではこれ について事例を検証・記述してゆく。
更に、事業改善の根底には事業に 関わるメンバーの拘り・大切にしたい こと、やむにやまれぬ状況、取り組 みのきっかけなど、いわゆる?やる 気?(自発的動機モチベーション)があ るということにも考察を加えたい。
事業に関わるネットワークの全体像 をみると、企業は幾つかの事業で構 成され、事業毎に事業の場(ビジネス モデル)があり、さらに事業の場で自 己のカバーする範囲がある。
事業分 担の範囲では、各人は事業の場(ビ ジネスモデル)の中で有効なプロダク トを作り出すという役目を効率的に果 たせなければ、これらのネットワーク に参加することはできない。
種々な関 係者(ステークホルダー)が連携し有 効適切にネットワーク運用されてこそ、 最終ユーザー・顧客に向かって意義あ るビジネスが実現することになる。
事業を四プロダクトタイプの システムモデルとして記述 その事例として個別事業(個別企 業)を取り上げてゆく場合、事例か ら何を学ぶか、どんな学び方をすれ ばよいかを意図しておくことが大切 である。
即ち、どんな業界で、どの ような顧客に、どんなプロダクト(製 品・サービス)を開発・改良し、どの ようなプロセスで卓越したビジネスと してまとめ上げているか、 (A) コア技術、 (B) ビジネスモデル、 (C) 経営マネジメン トを同時並列的に自発的に改善・改 革を繰り返しているか、についての 全体システムのスケッチ(記述)が必 要である。
事業の全体システムを記述できれば、 自分の携わる事業のどこをどのよう に変革してゆけばよいか、改良・改 善対象、ポイントをつかむことにつな がる。
又、新事業開発・開拓でも事 業化の着想やアイデアを設計図書に落 とし込むことができるようになる。
そのために、まず事業を大きく四 タイプに分類する。
世の中には数多の 事業があり、産業分類・呼称も産業 統計分類など種々あるが、事業のプ ロダクトの性格・整え方を考察して (?) 加工組立:プロダクトが部品構成 樹林(ツリー)体系で表現できる 機械・電機など工業製品を扱う (?) 装置プロセス:原材料を調達し、 装置で加工する衣・食・エネルギ ーなどを扱う (?) 流通:必要とする財・サービスを 企画し、調達し、販売する (?) イベント:ユーザーが求めるサービ スの仕様がその都度異なる で表現することにした(図)。
これら四タイプのうち、特に(?) 加 工組立と (?) 流通を中心に研究を進め たい。
自発的動機が育む プロダクト・プロセス革新 SOLE日本支部・研究会報告 79 MARCH 2011 開発が続けられた。
即ち、そこには 構想・戦略企画と調達、補給、整備 運用の知恵が集約・更新されている ということである。
この軍需システムが欧米ではチェー ンストア経営に活かされている。
例 えばウォルマートやコストコだ。
これ らの企業の活動実態をみると、軍で 開発されたロジスティクス活動の設計、 運用の整え方や技術が随所に盛り込ま れていることが分かる。
しかも、ここ二〇〜三〇年でイン ターネットを中核とするIT技術が発 達したことによって、そのシステムに は磨きがかかり、顧客に提供するプ ロダクトのQCDの総てに亘って他社 との格差が拡大している。
ファスト・ファッション通販から 流通革新の事例を検証 果たして我が国の流通各社は中国、 インドなど新興国の場で欧米各社や 地元企業と互角に闘うことができる だろうか。
市場において顧客に提供 できるプロダクトと競争優位性を継続 的に実現できる事業システムを構築し てゆくことが求められている。
「流通の戦略シリーズ」(全八巻、ダ イヤモンド社)が刊行され、「商品有 りき店舗有りき」の変革が叫ばれたの は一九七一年のことである。
しかし、 その後四〇年もの長きに亘り、抜本 再編成が進んでいる。
しかし、辺境 の国の伝統・文化・習慣のもとで運 用されている業界業種・業態ではグ ローバル対応が困難となり、事業縮 小・廃止に追い込まれているケースが 目立ってきた。
事業を再構築してグ ローバル市場を開拓するためには、他 社の事例の「学び方」を変えること が必要である。
民需チェーンストアマネジメントと 軍需ライフサイクルマネジメント 流通分野では、欧州産業革命で一 八九〇年代に創出されたチェーンスト ア経営がその後の事業経営の基本型 となっている。
それは開発したプロダ クト(製品・サービス)を如何に効率 的に顧客ユーザーに使用してもらうか を主題とした経営システムともいえる。
プロダクトを開発・企画・準備し、 消費者に効率的に使ってもらう。
そ の根底にはマス・マーチャンダイジン グ(プロダクトを企画する機能)とロ ジスティクス(プロダクトを調達、供 給、維持する)の両機能を本部で強 烈に計画調整し、対象エリア拠点で 実現する人工的なシステムが存在する。
片方、軍需面では一九三〇〜四 〇年代から防衛、災害などに必要な 働き・機能の達成状況を想定しその ための能力を巨大システムとして企 画・準備し、運用管理するシステム してきたからである。
しかし現在、日本は中国を筆頭と する新興国の台頭に戸惑っているよ うに見える。
世界第二位の経済大国 の座も中国に明け渡すことが確実にな っている。
それは自らを磨き、事業 を磨き、世界で貢献してゆくための シナリオ・姿が描けなくなっているた めではなかろうか。
国際競争にさらされてきた業界・ 企業では、それなりに業界・事業の グローバル市場開拓に向け 「学び方」を変える 日本は何故、バブル崩壊から二〇 年という歳月を経ても、デフレ・低 成長から脱出できないのだろうか。
戦後、日本が資源の少ない極東の 辺境の地で奇跡的な復興を遂げ世界 第二位の経済大国にまで成長できた のは、世界からあらゆることを学び、 次々と種々な業界で種々な事業を開拓 業界分類・プロダクト・タイプと2000 年GDP 製 造 業 プロダクト・タイプ2000 年GDP 加工 組立装置 イベント プロセス流通額 (兆円) 構成 (%) 5 カ年 伸び率 ●主たるプロダクト ○補完プロダクト 2000 年GDP とは、その業界の規模表現 (特に5 カ年の伸び率は、増減傾向に着目) 食品 ● ○ 繊維 ● ○ パルプ・紙 ● ○ 化学 ● ○ 石油・石炭 ● ○ ゴム ● ○ 窯業 ● ○ 鉄鋼 ● 非鉄金属 ● 金属製品 ● ● ○ 機械 ● 電気機器 ● ○ 輸送用機器 ● ○ 精密機器 ● ○ その他製造 ● ● ○ 建設業 ● ○ ● 40 7.4 -9.1 商売(卸売り・小売) ● ● 74 14.1 -6.8 鉱業 ● 1 0.1 -37.2 農林・水産 ● 10 1.8 -4.8 電気・ガス・水道 ● ○ 14 2.7 1.9 金融・保険 ○ ● 33 6.1 3.9 不動産業 ○ ● 62 11.5 -3.1 運輸・通信 ○ ● 37 6.9 -1.3 サービス業 ○ ● 109 20.4 16.4 政府・サービス ○ ● 49 9.1 16.2 536 100.0 ── 119 22.2 -2.8 MARCH 2011 80 フローを中心とする現場の認識がき っちりできて、マーチャンダイジング 機能とロジスティクス機能をバランス よく再設計し準備し実施することで ある。
事業に関わる人々が自発的に 事業を改善・改革することを支援す るコンセプト・コンテンツの整理・提 供は可能だと考えている。
き出さなければならないのは明白だ。
商物を分離して世界中どこへでも求 められる場所に部品を直送し、真に 世界産直が可能な部品専業者として 事業システム開発に取り組まざるを得 ない状況になっている。
事例を語れても 事業を設計できるか? こうした状況を踏まえ、加工組立 分野では建設機械部品・自動車部品 などで事業改善に取り組んでいる事 例を捉え若干の解釈付けをしてゆく。
ただし、事業者ではない外部者が発 表・報告した資料・データをもとに するため、事業再構築の動機・事業 改善の取り組みを表面的・部分的に しか捉えられない可能性もあること を覚悟して、考察しようとしている。
考察の視点や構造化のポイントを活か せることを願っている。
SOLE日本支部は、ロジスティ クスを基盤として事業改善(事業価 値向上)につなげるビジネス・ナレッ ジ(知恵)を交流できる小さなナシ ョナル・センターを目指している。
民 需・軍需の区別なく、事業をイメー ジし、設計、運用、改善に携わる人 が集い研鑽できる場を提供したい。
事業システム開発・改善で大切な ことは、対象とする事業の環境・状 況が的確に把握でき、マテリアル・ メーカーなど部品事業メーカーを頂点 とする産業構造を支え、その基盤を 担ってきた。
しかし現在、完成品メ ーカーが新興国で現地化を進めるの に伴い、そうした従来の工程加工連 携による部品加工製造ネットワーク体 制(フルセット型)は崩壊しつつある。
完成品メーカー・部品事業メーカ ーは、改良設計、試作、量産準備を 含めすべてを元請け可能な委託先へ 部品購入先を切り替えている。
中小 の部品製造業者に今求められている のは、顧客の指示通りにモノを作るこ とではなく、部品工程加工を連携さ せる中間・元請化である。
このため、工程加工に慣れ親しん できた加工業者は事業縮小か、そう でなければ自ら元請けとなるために 能力を磨き直し東アジアの現地顧客に 向けて完品部品(セット部品)を取り 扱う事業能力を持つのか、について 選択を迫られている。
与えられた与件・条件でただ部品 加工をすればよい時代はもはや過ぎ 去っている。
ところが多くの中小部 品製造業者はどうしてよいか分から ない。
冒頭に挙げた事業改善の三層 構造に取り組まなければならないの だが、気の遠くなるような道のりを 思い、戸惑っているのである。
しかし、分かっていても動けない とは言わずに、一歩でも二歩でも動 的な変革がないまま今日に至っている。
結果、流通業の競争力は衰え、例え ば我が国のGMSでは、ドライグロサ リーの分野で粗利二二〜二八%でも 利益を残すことができない。
これに 対してウォルマートなどは粗利十三〜 一五%でも充分な利益を上げている。
辺境の国、日本で室町時代から育 まれ商品経済によって培われた商業 (卸売り・小売り)の分野が、自己変 革しながらグローバル対応してゆく中 でどう変化してゆけばよいか。
これ からの課題である。
また、製販配三 層が小売業態革新をどのように進め てゆけばよいのか。
新興国・新市場 を含めて熟慮してゆく時代に突入し ている。
グローバル化とは、相手を素朴に理 解することから始まる。
彼我の違い を認めた上で、低コスト・高サービス を提供できる業態開発(店舗・売り 場を含めて)が求められている。
そ の事例として、まずファスト・ファッ ション通販などに的を絞って高成長の 裏舞台を眺めて見ることから流通に からむ事例検証を進める。
加工組立革新では部品製造・部 品調達から事例を検証 製造業では、我が国は部品大国で あり、中小の部品加工業(一部組み 立て)が完成品メーカー、一次部品 次回フォーラムのお知らせ 3月度のフォーラムは、3月8日 (火)「海上自衛隊第三術科学校見 学」を予定している。
このフォー ラムは年間計画に基づいて運用し ているが、単月のみの参加も可能。
1回の参加費は6,000円。
ご希望 の方は事務局(s-sogabe@mbb. nifty.ne.jp)までお問い合わせ下 さい。
※ S O L E(The International Society of Logistics: 国際ロジスティクス学会) は一 九六〇年代に設立されたロジスティクス団体。
米国に本部を置き、会員は五一カ国・三〇 〇〇〜三五〇〇人に及ぶ。
日本支部では毎 月「フォーラム」を開催し、講演、研究発表、 現場見学などを通じてロジスティクス・マネ ジメントに関する活発な意見交換、議論を行 っている。
今年度はメーン・テーマの「システム設計 改善(事業価値向上のためのロジスティクス 変革)」を実践してゆくに当たって、 (A) ロジス ティクス基盤技術、 (B) RAMS活動改善・ アセットマネジメント、 (C) プロダクト・プロ セス革新、 (D) システムモデル、のサブ・テー マを設定し、調査研究を重ねている。
