2011年4月号
特集

分析 ライバル比較:在庫と物流費

APRIL 2011  12 ハム・ソーセージ  丸大食品の対売上高物流費(配送費) 比率が突出している。
二〇一〇年三月 期の連結売上高一九六七億円に対し、 「配送費」は一九七億円で、売上高比 率は一〇・三%にも達している。
しかも、 〇一年三月期の五・九二%から一〇期連 続の上昇だ。
 同業界の事業は大きく生肉と加工食 品に分かれる。
うち生肉は取り扱いが 特殊で他の商品との混載も難しいこと から、各社とも自社物流が中心となっ ている。
一方の加工食品は基本的に外 部委託。
そのため加工食品事業の比率 が高い丸大食品の支払い物流費は元々 他社に比べて高い水準にあった。
 そこにセンターフィー負担の増加が追 い打ちを掛けた。
チェーンストアの専用 センターへの納品が加工食品で増加し ていることから、丸大食品は他社以上 の影響を被っている。
丸大食品の配送比率が一〇期連続で上昇  一方、業界最大手の日本ハムの物流 費(運送費、包装運送費)比率は〇四 年三月期をピークに低下傾向にある。
他の三社とは違うトレンドを描いている。
これは〇五年三月期から本格化した大 規模な物流改革の成果。
 従来はグループ企業も含め全国数百カ 所の営業所に分散していた製品在庫を 全国一五カ所の物流センターに集約す る改革を地域ごとに進めてきた。
地域 別に五社あった物流子会社は〇六年四 月に統合し、配送ネットワークも見直し た。
その効率化効果で近年の燃料費の 高騰による運賃値上げやセンターフィー 負担の増加を吸収した。
 ただし、在庫水準はこのところ高止 まりしている。
食肉相場の値上がりを 見越して近年は在庫を積み上げる傾向 にあったが、今後は在庫水準の適正化 が課題になりそう。
在庫回転期間の推移(連結) 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率(連結) 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0.0 注)日本ハム:運送費、包装運送費(同社のみ単独決算 の数値) 伊藤ハム:発送配達費 プリマハム:包装運搬 費 丸大食品:配送費 伊藤ハム日本ハム 丸大食品 プリマハム 伊藤ハム 丸大食品 10.5 5.92 プリマハム 日本ハム ビール  キリンの在庫回転期間が一〇年間で 二倍以上に膨らんでいる。
事業構造の 変化によるところが大きい。
キリンは 〇七年のホールディングス化と前後して、 食品や医薬品などの分野でM&Aや新 会社の設立を国内外を問わず積極的に 繰り返している。
ビールよりも在庫期 間の長い商品群が増えたことが、在庫 回転期間を押し上げている。
 国内のビール事業だけ見れば、ライバ ルとの差はほとんどない。
現に〇七年 度までのキリンビール単体とアサヒビー ル単体の在庫回転期間を比較すると、 ほぼ同水準で推移している。
またアサ ヒも今年七月を目処にホールディングス 化を予定している。
 キリンはこの一〇年、グループの 需給・物流機能の統合を進めてきた。
二〇〇〇年一月にキリン物流を発足さ せると、キリンビバレッジなどグループ キリンの在庫回転期間が一〇年間で二倍以上に 三社の配車窓口を集約。
その後も工場 の構内物流や出荷作業などの物流業務 を段階的にアウトソーシングしてきた。
 〇二年秋からはキリンビバレッジが 行っていた地域レベルの需給・物流管 理業務をキリンビールへ集約し、〇九年 三月には、この需給・物流管理業務を キリンビールからキリン物流へと移管し ている。
受注以降の全ての業務を一元 化する体制を整えた。
 アサヒビールも取扱商品の多様化に 伴い、在庫管理方法の見直しを進めて いる。
出荷数だけでなく、出荷頻度と いう要素を新たに取り入れて商品別の 安全在庫量を算出する独自の在庫管理 システムを構築し、在庫削減活動にあ たっている。
 両社とも国内物流は既に成熟してい る。
今後はグローバルレベルでの最適化 に取り組むことになる。
在庫回転期間の推移(連結) 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 注)アサヒビール:運搬費、キリンホールディングス:運搬費 注)キリンホールディングスは07 年7 月に純粋持ち株会社制に移行 アサヒビール アサヒビール キリンホールディングス キリンホールディングス サッポロホールディングス 1.10 0.43 3.51 2.51 分 析 ライバル比較:在庫と物流費 特 集 在庫管理“勝者と敗者” 13  APRIL 2011 繊 維  東洋紡の売上高物流費比率が二〇〇 八年度から増加している。
〇九年度の 同比率は〇七年度に比べ〇・三七ポイ ント上昇し、二・七二%となった。
背 景には連結売上高の減少に加え、同社 が業態転換を進めてきたことがある。
 衣料用繊維が輸入超過に転じて以降、 国内繊維市場は低迷している。
繊維各 社は不採算分野の合理化や撤退、生産 拠点の海外移転を進める一方で、成長 性の高い非繊維部門に経営資源をシフ トしてきた。
中でもデジタル家電や自 動車産業向けのフィルム・機能樹脂の 拡大に力を注いでいる。
 東洋紡の〇九年度のフィルム・機能 樹脂事業の売上高比率は、〇七年度に 比べ四・八ポイント上昇し三六・〇% に達した。
反対に、衣料繊維事業の比 率は五・六ポイント低下の二七・七% になっている。
衣料繊維に比べてフィ 事業構造の転換で東洋紡の物流費比率が上昇 ルムや機能樹脂の物流単価は割高にな るため、コストが嵩んでいる。
 一方、帝人では在庫回転期間、売上 高物流費比率ともに堅調に推移してい る。
〇六年には主力のポリカーボネート 樹脂などを生産する帝人化成が、国内 外の生産・販売拠点を結ぶSCMシス テムを導入した。
グローバルな在庫情報 を一元管理することにより、商品が工 場から販社に届くまでのすべてのプロ セスの見える化を実現したという。
 東レは〇六年から物流改革に取り組 み、〇五年度に二・〇〇%だった売上 高物流費比率を〇九年度には一・七六% に引き下げている。
以前は東レ本体と グループ会社が別々に物流効率化に取 り組んでいたのを、グループ全体で最 適化を図る体制に切り替えた。
今年四 月からは新たに九つの「革新・変革プ ロジェクト」をスタートさせる計画だ。
在庫回転期間の推移(連結) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 2.9 2.7 2.5 2.3 2.1 1.9 1.7 1.5 注)東レ:保管費及び運送費、帝人(03 年4月持ち株会社化): 運賃諸掛、東洋紡:運送保管費 東レ 東洋紡 帝人 東レ 東洋紡 2.72 1.76 帝人 紙・パルプ  九〇年代から二〇〇〇年代半ばにか けて、紙・パルプ業界ではM&Aや事 業統合が活発化。
それに合わせて主要 プレーヤーたちの在庫は減少していった。
しかし近年では業界再編の動きも沈静 化しており、在庫水準は増加基調に転 じている。
 それでも最大手、王子製紙の売上高 物流費比率はこの一〇年間にわたって 改善傾向にある。
同社は〇一年一〇月 に傘下の物流子会社五社を統合し、新 たに王子物流を発足させて、輸配送手 配や元請け機能だけでなく、本社の物 流管理機能までを移管した。
 同社はピーク時、二五〇以上もの国 内消費倉庫を抱えていたが、この統廃 合を進めることなどで物流費と在庫削 減を同時に実現した。
さらに〇五年四 月に王子物流と富士臨海倉庫を合併さ せるなど、グループ全体の物流効率化 業界再編による合理化の流れに終止符 を図った。
 一方の日本製紙グループ本社も〇七 年四月、物流子会社の日本製紙物流、 大昭和ロジスティクス、日本板紙物流 を統合している。
 それまで事業別、地域別に進めてき た物流を一元化した。
消費地倉庫の集 約や関係代理店との共同物流などにも 取り組み、物流費を削減させてきた。
紙・ パルプへの需要量が落ち込むのと並行 して同社の在庫も積み上がったが、生 産能力の調整などで足下の在庫環境は 好転している。
 なお王子製紙と日本製紙の売上高物 流費比率の水準には大きな差が見られ るが、これは会計処理など違いによる もの。
また在庫回転期間は王子製紙の ほうが低い水準だが、これは景気の影 響を受けにくい段ボールの取り扱い比 率が高いためと推測される。
在庫回転期間の推移(連結) 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 12.0 10.0 8.0 6.0 4.0 2.0 0 注)王子製紙:運賃諸掛、保管費、日本製紙グループ本社: 運賃諸掛、大王製紙:保管・運送費 王子製紙 王子製紙 日本製紙グループ本社 日本製紙グループ本社 12.12 10.02 5.67 APRIL 2011  14 化 学 医薬品  化学業界の在庫は二〇〇〇〜〇一年 度にかけ、景気減速のために悪化した が、〇二年度以降は削減が順調に進ん だ。
一九九〇年代後半から活発化した 業界再編によって各社の「選択と集中」 が大きく進み、その後に展開された生 産の合理化や物流体制の見直しも効果 を上げたようだ。
 〇五年度以降は中国・アジアなどの 新興国で需要が急拡大。
各社は生産設 備を増強し、工場をフル稼働させて、 在庫の積み増しに動いた。
ところが 〇八年に世界同時不況に直面して、強 気の在庫投資が裏目に出た。
 自動車やエレクトロニクス産業をは じめとする顧客企業の需要減に減産の ペースが追いつかず、各社は巨大な在 庫を抱え込むことになる。
これに伴い、 〇八年度〜〇九年度の売上高物流費比 率は、在庫の保管費用が増加し、なお  売上高物流費比率は武田薬品工業、 アステラス製薬ともに改善が進んでいる。
医薬品業界の物流は、この一〇年でサー ビス品質重視からコスト削減志向へと 大きく舵を切った。
その結果が如実に 表れている。
 政府の医療費抑制政策の煽りを受け て国内市場の伸び率が鈍化したことに 加え、大手外資メーカーの台頭なども あり、日本の医薬品メーカーの競争環 境は年々厳しさを増している。
少しで も多くの経営資源を事業の核である医 薬品の研究開発に充てるため、物流を 含むあらゆる分野でコスト削減が進め られてきた。
 その代表的な施策が、自家物流から アウトソーシングへのシフトだ。
これに いち早く取り組んだのは旧山之内製薬 (現在のアステラス製薬)。
二〇〇四年 に全国四カ所に構えていた物流センター 強気の投資が裏目に出て二期連続で指標が悪化業界全体に物流アウトソーシングの波 かつ売上高が減少したこともあり、二 年連続で大幅に上昇する結果となった。
 それでも二〇一〇年度に入って以降 は回復傾向にある。
一〇年度第3四半 期時点の三社の在庫水準はリーマン前 の〇七年度に比べるとまだ〇・一〜〇・ 二カ月上回っているが、ほぼ正常な水 準に戻っているという。
 物流の合理化に改めて取り組む動き も目立っている。
三井化学では〇七年 から〇八年にかけて3PLを本格的に 導入した。
〇八年には一〇〇%子会社 の三井化学物流を本体に吸収合併し、 オペレーションを担当していた子会社四 社も〇九年九月までにすべて物流専業 者に売却している。
さらに〇九年、本 社に本部級の組織として「SCM室」 を新設。
傘下に物流管理、購買、シス テム企画などの部署を編入し、在庫水 準の最適化に取り組んでいるという。
を売却し、物流子会社も解散。
三菱倉 庫をパートナーに選定し、物流業務を委 託した。
現在は東西二カ所の物流セン ターを軸に運営し、独自の物流管理マ ニュアルを積み上げている。
 武田薬品工業も〇七年一〇月に物流 子会社の武田物流を解散。
アステラス 同様、三菱倉庫に物流業務をアウトソー シングしている。
 一方、医薬品の中間流通はメディパ ルHD、アルフレッサHD、スズケン、 東邦HDの四社にほぼ集約された。
物 流合理化の動きと相まって、医薬品メー カーの在庫は二〇〇〇年代半ばまでは 順調に減少してきた。
 しかし、直近ではその動きに一服感 が見られる。
医薬品は生命に直結する だけに欠品が許されない。
特定のカテ ゴリーであえて在庫を積み増すことも あるという。
在庫回転期間の推移(連結) 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 注)三菱化学:運輸費、三菱ケミカルHD:運輸費(04 年 度までは三菱化学の数値)、三井化学:運賃・保管費、住 友化学:07 年度まで運送費、08 年度以降は運送費及び保 管費 三菱ケミカルHD 三井化学 三井化学 住友化学 三菱ケミカルHD 住友化学 在庫回転期間の推移(連結) 2.0 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率(連結) 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 注)武田薬品工業:運送・保管費、アステラス製薬:運送 費及び保管費 注)アステラス製薬の05 年度以前は山之内製薬の業績を基に 作成 アステラス製薬 アステラス製薬 武田薬品工業 武田薬品工業 エーザイ 第一三共 特 集 在庫管理“勝者と敗者” 15  APRIL 2011 日雑・化粧品  花王の指標が悪化している。
独自の 需給管理方式を確立したことで九〇年 代末から〇三年度まで漸減傾向にあっ た在庫は〇四年度以降、上昇に転じて いる。
同様に〇三年度には五・二〇% だった売上高物流費比率が〇九年度に は五・九一%まで上昇した。
 同社は八六年に開始した「トータルコ ストリダクション(TCR)」と呼ぶ全 社業務革新によって毎年数十億円から 一〇〇億円規模の原価低減を継続させ ている。
直近の〇九年度も「荷造り及 び配送費」を前年比約四二億円削減した。
 しかし、景気後退による売り上げの 減少にコスト削減が追いついていない。
商品単価の下落や流通チャネルの多様 化も効率化の足を引っ張っている。
ま た〇六年にカネボウ化粧品を子会社化 したことによって同社の販管比率は五 ポイント近く上昇し、収益性は悪化す 花王の指標悪化をよそにライオンが効率改善 る傾向にある。
 一方、ライオンの売上高物流費比率 は花王とは逆のベクトルを示している。
〇六年度以降、一貫して改善傾向にあ る。
この間に同社は生産拠点を集約し、 製造サイクルを月次から旬次に短縮。
在 庫日数を減らした。
物流面では工場か ら卸の大型流通センターへの直送化を進 め、コスト構造改革を図った。
その結果、 デフレや景気後退の影響は花王と変わら ないものの、売り上げ規模の減少を上 回る効率化効果を実現している。
 資生堂の在庫は〇二年度に大きく改 善され、その後も堅調に推移している。
同社は〇一年以降、「店頭基点」を合い 言葉とするサプライチェーン改革に取り 組み、在庫削減と欠品率の低減を両立 させてきた。
〇七年四月には物流子会 社の資生堂物流サービスを日立物流に 売却して物流費を大きく削減している。
在庫回転期間の推移(連結) 1.8 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率(連結) 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 注)花王:荷造及び発送費、ライオン:運送費及び保管費 資生堂 ライオン ライオン 花王 花王5.91 4.71 タイヤ  住友ゴム工業の売上高物流費比率が 二〇〇六年度を境に大きく跳ね上がっ ている。
その要因として、海外におけ る事業戦略の方針転換が挙げられる。
 従来は各国の代理店への売り切りの 比率が高かった。
そのため在庫管理や 物流コストの負担は軽く済んだ。
しか し近年は積極的に現地販売子会社を設 立し、自前主義への転換を図っている。
その結果が物流費比率の上昇となって 現れている。
 それに対してライバルのブリヂストン と横浜ゴムの売上高物流費比率はほぼ 横ばいで推移し、世界同時不況に見舞 われた〇八年度から〇九年度にかけて はやや改善している。
 ブリヂストンは従来から原料調達から 製造、販売までの「垂直統合」戦略を 進めている。
原料の調達までを内製化 することで、市場価格高騰の影響を回 海外戦略転換で住友ゴムの物流費比率が上昇 避しようとする狙いだ。
今後も原料レ ベルの研究や物流などの最適化を進め ていくという。
 横浜ゴムは〇七年六月に「タイヤ物 流本部」を設立。
物流部門を生産や販 売と同格の組織にして、サプライチェー ンの効率化を進めた。
同社は一九七〇 年代から物流部門が工場の生産量を決 定するという体制を整えていた。
とこ ろが事業環境が変化していく中で、こ の先進的な考え方は近年は影を潜めて いた。
 九〇年代半ばからはBPR(ビジネス・ プロセス・リエンジニアリング)プロジェ クトを実施。
およそ一〇〇億円をかけ て情報システムを構築したが、期待し たような在庫削減は実現しなかった。
タイヤ物流本部の設立は、停滞したB PRプロジェクトのエンジンをかけ直す 意味合いも担っているという。
在庫回転期間の推移(連結) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 注)ブリヂストン:販売運賃、住友ゴム工業:運送費、 倉庫料及び梱包費、横浜ゴム:運賃及び保管費 住友ゴム工業 住友ゴム工業 ブリヂストン ブリヂストン 横浜ゴム 横浜ゴム 2.34 APRIL 2011  16 ガラス  日本板硝子の物流費が二〇〇六年度 に急増している。
売上高物流費比率は 一年間で四・六六%から六・七八%にま で悪化。
その後も上昇が続き、〇九年 度には七%を上回っている。
 在庫水準も〇七年度以降は悪化の一 途を辿っている。
〇六年度に一・三三カ 月だった在庫回転期間は〇九年度には 二・一七カ月となっている。
 同社は〇六年六月に英ピルキントン 社を買収している。
ピルキントン社は当 時ガラス業界で世界三位の規模を誇り、 売上高は日本板硝子の二倍以上にも達 していた。
?小が大を呑む?買収により、 世界六位だった日本板硝子のシェアは旭 硝子に次ぐ二位に躍進した。
 買収前までの日本板硝子の海外拠点 はマレーシアとベトナムのみだったが、 このM&Aにより、ピルキントン社が抱 える欧米市場の豊富な生産拠点を活用 大型M&Aを機に日本板硝子の在庫水準が悪化 できるようになり、同社のグローバル化 は一気に進展した。
 自動車や建設向けの旺盛な需要を追 い風に大幅増産を進めたが、両社のサ プライチェーンを整理・コントロールす る前に世界同時不況が勃発。
その対応 に追われているというのが実情だ。
 旭硝子の売上高物流費比率は総じて 横ばいを堅持しているが、近年の在庫 回転期間は上昇傾向にある。
この一〇 年で最も低い水準にあった〇三年度で は一・四二カ月だったが、〇九年度には 二・一一カ月となっている。
 サブプライムローン問題やリーマン ショックの影響で主力の板ガラスや自動 車向けガラスに加え、営業利益の半分 以上を稼ぎ出している電子・ディスプ レイ事業分野でも需要が大きく減退し たことが、在庫水準の悪化に拍車をか けたと見られる。
在庫回転期間の推移(連結) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 注)旭硝子:運送費及び保管費、日本板硝子:運送保管費 旭硝子1.42 2.11 6.78 4.66 旭硝子 日本板硝子 日本板硝子 鉄 鋼  大手三社の在庫はほぼ同じ軌道を描 いている。
二〇〇五年度まで減少し、 それ以降は増加に向かっている。
 鉄鋼業界の市場規模は〇七年まで急 拡大していた。
新興国向けの建設や自 動車需要を追い風に、鉄鋼メーカー各 社も成長を遂げてきた。
旺盛な需要に 応えるため、各社は高炉や生産ライン をフル操業して戦略的に在庫を積み増 してきた。
 ところが〇八年後半の世界同時不況 で事態は一変。
建設用、工業製品用鉄 鋼の需要は急落し、鉄鋼自体の価格も 大きく下がった。
メーカー各社は高炉 を休止するなどして大減産に踏み切っ たが需要の減少幅には追いつかず、売 れる見込みのない在庫が大量に滞留す る結果となった。
 売上高物流費比率を見ると、新日本 製鐵の数値が〇五年度まで大きく改善 世界同時不況で各社に不良在庫が滞留 している。
この間に同社では物流子会 社の日鐵物流が中心となり、全国一〇 拠点の構内物流から港湾物流、海上輸 送、自動車輸送まで一貫輸送体制を整 え、恒常的に改善活動を行ってきた。
 しかし〇六年度からは上昇に転じて いる。
鉄鋼の取り扱いは増えたものの、 物流の効率は悪化してしまった。
〇六 年一〇月に物流子会社を地域別に再編 するなどして、テコ入れを図っている。
 〇二年に川崎製鉄と日本鋼管(NK K)が経営統合して誕生したJFEホー ルディングスは、発足初年度から物流コ ストの削減に成功している。
川崎製鉄 とNKKは統合前の二〇〇〇年から一 部の製鉄所間で物流、補修、購買部門 で提携しており、担当者ベースでは互 いのサプライチェーンの情報が共有され ていた。
充分な準備期間が、拠点の集 約やトラックの積載率向上を実現させた。
在庫回転期間の推移(連結) 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率(連結) 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 注)新日本製鐵:販売運賃及び荷役等諸掛、JFEホールディ ングス:製品発送関係費、神戸製鋼所:運搬費 新日本製鐵 新日本製鐵 JFE ホールディングス JFE ホールディングス 神戸製鉄所 神戸製鉄所 特 集 在庫管理“勝者と敗者” 17  APRIL 2011 産業機械  日立建機の在庫水準が急激に悪化し ている。
二〇〇七年度に二・四三カ月だっ た在庫回転期間は〇九年度に四・七カ 月となり、二倍近くに膨らんだ。
 建機業界は過去一〇年間、景気変動 の影響をもろに受けてきた。
〇一年度 から〇二年度はバブル崩壊以降の建機 需要の縮小に米同時多発テロやIT不 況が加わって、在庫水準が悪化した。
 これに伴い、各社は生産能力を絞り 込んだが、〇三年頃から新興国で鉱山 向けなど大型の建機需要が急拡大。
生 産投資を大幅に抑えた状態のまま〇四 年度を迎えたため、今度は急激な需要 増への対応に追われることになる。
〇 四年度、日立建機では生産部品の供給 が追いつかず、工場内で仕掛品が滞留 する事態も発生した。
 同年度に日立建機の在庫が増えたの は、中国での需要を見誤り、現地で完 日立建機の在庫回転期間が二年間で二倍に 成車がだぶついたことも大きい。
需要 の中心が新興国に移り、売れ筋が鉱山 向けにシフトしたため、過去の経験則 が役に立たなくなっていた。
 コマツはそうした課題に対応するた め、需要予測の精度向上に力を注いで きた。
車両に搭載したGPSやセンサー などによって販売後の建機の稼働状況 を把握する「KOMTRAX(コムト ラックス)」と呼ばれるシステムで、建 機のリアルタイムの稼働状況や代理店の 在庫を把握し、需要予測に活用している。
 一方、クボタの単体の売上高物流費 比率は大きく改善している。
同社は鉄 管などを手掛ける水・環境システム部 門を中心に、大規模な事業構造改革を 行ってきた。
物流面でも各地で構える 製品の置き場を通過型に改め、事業部 間の共同配送も実施しするなど、効率 化を進めた成果が表れたようだ。
在庫回転期間の推移(連結) 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(単体) 5.5 5.0 4.5 4.0 3.5 3.0 2.5 注)クボタ:荷造運送費と支払保管料の合計、日立建機: 荷造運搬費、コマツ:07 年度まで運送費、08 年度以降は 運搬費 日立建機 日立建機 クボタ クボタ コマツ コマツ 4.70 2.43 電 線  三社とも二〇〇〇年代半ばまで大き く在庫を削減し、それ以降は上昇傾向 が続いている。
主な顧客としている自 動車や電気機器の需要低迷が、そのま ま売上高物流費比率や在庫回転期間に 反映されている。
 この一〇年で電線業界の事業環境は 大きく変化した。
一九九〇年代半ばま では各社とも電力・通信向けの電線事 業を主力としていたが、市場の縮小と ともに光通信分野にシフトしている。
また自動車や電子、金属分野などの ウェートが年々高まり、現在ではこれ ら非電線事業が多くの電線メーカーに とって収益の柱となっている。
 最大手の住友電気工業の稼ぎ頭は ワイヤーハーネスやブレーキシステムと いった自動車関連部品だ。
二〇〇一年 にフィアットの子会社、〇二年に日産 系列の部品会社のワイヤーハーネス事 自動車・電気機器の需要減が在庫悪化に直結 業、〇六年にフォルクスワーゲンの子会 社を相次いで買収するなど、自動車関 連を強化・再編し続けてきた。
 古河電気工業は〇三年度から光ファ イバーの製造工程にトヨタ生産方式(T PS)を本格導入し、仕掛品や製品在 庫を低減させた。
 部品の組み立てが工程の大半を占め る自動車と違い、光ファイバーの製造 工程には燃焼や溶解など化学反応を含 む工程が多数含まれる。
そのため、ま ず限られた工程でのみカンバン方式を採 用するスモールスタートを選択し、運用 の熟練に合わせて適用の幅を広げ、在 庫の合理化を続けている。
 三社のうち在庫回転期間が最も短い フジクラは電子電装分野への注力が目 立っているが、同社も古河電工と同様、 TPSを生産工程に導入してきた経緯 がある。
在庫回転期間の推移(連結) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率(連結) 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 注)住友電気工業:荷造費、運送費及び販売諸経費、古 河電気工業:荷造費及び運送費、フジクラ:荷造運搬費 住友電気工業 住友電気工業 古河電気工業 古河電気工業 フジクラ フジクラ APRIL 2011  18 家 電 重 電  家電製品をメーンとするパナソニック、 ソニー、三洋電機の三社の在庫回転日 数は、〇四年度〜〇五年度を境として 圧縮から増加傾向に転じている。
新興 国を始めとする海外売上高比率の急拡 大が理由の一つに挙げられる。
サプラ イチェーンが複雑に分散し、リードタイ ムも長期化した。
 しかし、これに対応して各社はサプ ライチェーンの管理機能の一元化を進め てきた。
その結果、先の世界同時不況 では、一般的にはグローバル化の進んだ 企業ほど大きな打撃を受けたとされる にも拘わらず、家電三社の在庫回転期 間には自動車や建機ほどの増加はみら れなかった。
 なかでもソニーは需要が大幅に減退 した〇九年度に在庫の圧縮に成功して いる。
世界同時不況後の在庫調整を一 年足らずで済ませ、一〇年度第3四半  東芝の改善が目立っている。
日立製 作所、東芝、三菱電機の在庫回転期間 (連結)は九〇年代後半には、ほぼ同じ 水準だった。
それが現在はかなりの差 がついている。
 九〇年代のバブル崩壊以降、東芝は 他社に先行して事業の選択と集中を進 めた。
二〇〇〇年代には半導体と原子 力への巨額投資を行う一方で、財務体 質の改善に取り組んだ。
とりわけ家電 事業では、〇三年の家電事業の分社化 に合わせて全国に散在していた物流拠 点を集約するなどの在庫削減策を断行 した。
 さらに〇八年には棚卸資産と売掛債 権の圧縮を狙い、「キャッシュ・コンバー ジョン・サイクル(CCC)」を全社的 な業績評価指標に位置付けた。
CCC は売掛金と在庫の回転日数から、買掛 金の回転日数を引いて求める指標で、 グローバル最適化で先んじたソニー事業構造改革進んだ東芝がライバルをリード 期時点の在庫回転期間は一・一一カ月と 大幅に改善している。
 グローバルサプライチェーンの最適化 で、ソニーは他の日本企業の先手を打っ てきた。
〇三年に物流子会社と部品調 達会社を統合してソニーサプライチェー ンソリューション(SSCS)を設立。
SSCSに物流管理機能をすべて移管 し、国内外のグループの生産・販売物 流機能の集約を進めた。
 その後〇九年には本社に再び物流部 門を設置、各事業部門に対する物流サ イドの発言力を強め、一元管理体制を 強化した。
 同様に、パナソニックも〇七年、本 社に「グローバルロジスティクス本部」 を新設し、国内と海外に分かれていた 物流管理を統合している。
今後は子会 社化した三洋電機との統合効果をどれ だけ出せるかが注目される。
日数が少ないほど現金を生み出す力が 大きいことを意味する。
全社で徹底的 に取り組んだ改革の結果、〇七年度に 三四日だった同社のCCCは〇九年度 には二七・八日と一カ月を切るレベルに まで改善された。
 三社の売上高物流費比率(単体)に 目を向けると、〇四年度から〇八年度 に三菱電機の数値が大きく改善してい るのが目立つ。
 同社は製造現場で業務のムダを徹底 的に排除する「JIT改善活動」を 〇六年度に物流現場まで拡大した。
例 えば電子機器の工場では放送設計を見 直して材料の使用量や保管スペースを 大幅に削減し、国際物流では工場間の 輸送を共同化するなど、多くの施策を 積み上げた。
その結果、〇六年度から 三年間で一五%の物流費削減に成功し ている。
在庫回転期間の推移(連結) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(単体) 2.0 1.6 1.2 0.8 0.4 0 注)パナソニック:運送費、三洋電機:保管運搬費、ソニー: 07 年度まで運賃及び荷造費、08 年度以降は荷造運賃 ソニー ソニー パナソニック パナソニック 三洋電機 三洋電機 在庫回転期間の推移(連結) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(単体) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 注)日立製作所:荷造及び発送費、東芝:荷造費・運搬費・ 保管費、三菱電機:荷造費・運賃と運賃・保管料・賃借料 の合計 三菱電機 日立製作所 東芝 三菱電機 日立製作所 東芝 特 集 在庫管理“勝者と敗者” 19  APRIL 2011 自動車 複写機  自動車業界の在庫水準(連結ベース) は、〇五年度から上昇傾向が顕著になっ ている。
背景には海外事業の急速な拡 大があるようだ。
工場の進出国で一〇 〇%部品を調達するのは技術、コスト の面で必ずしも最善ではない。
新興国 市場の台頭によって生産・販売地域の 分散・拡大も続き、地域間の部品・完 成車の供給が増加した。
 日本からの輸出も増大した。
先進国 での堅調な需要に加え、新興国でも販 売が急増したため、現地工場をフル稼 働させても供給が追いつかず、日本へ の依存度が高まった。
 これに伴い、単体の売上高物流費比 率は〇五年度から〇八年度にかけて上 昇している。
燃油価格の高騰と海上輸 送運賃の上昇も影響した。
円安で輸出 売上高が目減りしたことも大きかった という。
しかし、これらの要因が世界  リコーのSCMが不況下でも威力を 発揮している。
世界同時不況によって 他の三社の在庫は軒並み増加しているが、 リコーの在庫回転期間は〇八年度こそ わずかに増加したものの、〇九年度は ほぼ横ばいを堅持している。
 リコーは一九九九年に「SCM推進 室」、二〇〇〇年に「全社構造改革検 討委員会」を設け、SCMの構築・高 度化を柱に全社を挙げての業務プロセ ス改革に徹底して取り組んできた。
組 織横断的な多くの施策を積み上げ、リー ドタイムや在庫の削減を具体化してきた。
 業務プロセスの改革に合わせて、情 報システムも積極的に活用している。
需要変動に迅速に対応するため、アス プローバ社の生産スケジューラーを導入 し、月次生産を週次生産に切り替えた。
また、全世界の日次在庫を二日後に把 握できる「グローバル在庫ビューワ(G 新興国市場の急拡大で在庫が増加世界同時不況を乗り超えたリコーのSCM 同時不況で一気に逆転し、単体売上高 物流費比率は〇九年度に下落した。
 自動車業界では円高によって生産の 海外移転が一段と進む公算が大きい。
今後も単体売上高物流費比率は下落傾 向が続くと推測される。
 在庫については世界同時不況後の生 産調整が〇九年度にほぼ完了し、一〇 年度は適性化する見込みだが、中長期 的には予断を許さない。
 自動車業界のグローバルサプライ チェーンは大きく変わる可能性がある。
日産自動車は、既に主力小型車「マー チ」の生産を日本と英国からタイ、イ ンド、中国、メキシコに全面移転した。
日本で販売するマーチはタイからの逆輸 入、欧州へはインドから輸出する。
人 件費の割安な低コスト国で大量生産を 行うためのロジスティクスの再構築が急 がれている。
IV)」システムを自社で開発し、在庫 状況を的確に分析して改善策を打つ体 制も整えてた。
   こうしたきめ細やかな生・販・在の 管理によって、リコーの在庫回転期間 は〇三年度には一カ月を切るレベルに まで改善。
海外での販売網の拡大といっ た増加要因もあったが、ほぼ一カ月の 水準を維持してきた。
 コニカミノルタホールディングスでは、 在庫水準、売上高物流費比率ともに大 きく低下している。
コニカとミノルタが 経営統合した〇三年度以来、同社は思 い切った収益構造の改革を進めてきた。
〇六年には祖業のカメラ・写真関連事 業からの撤退に踏み切っている。
改革 によって業績は拡大し、今では企業再 編の成功例の一つに数えられる。
その 成果は在庫水準と物流コストにも表れ ているようだ。
在庫回転期間の推移(連結) 1.6 1.4 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(単体) 4.0 3.5 3.0 2.5 2.,0 1.5 注)トヨタ自動車:運賃諸掛、ホンダ:運送費、日産自動車: 運賃及び発送諸費(04 年度以降は非公表) トヨタ トヨタ 日 産 日 産 ホンダ ホンダ 在庫回転期間の推移(連結) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(連結) 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 注)キヤノン:発送費及び取扱手数料、リコー:発送運送費 (06 年度に会計処理方法を変更)、セイコーエプソン:運送費 (03 年6 月上場、05 年度は非公表)、コニカミノルタHD:運 送保管料(02 年度まではコニカの数値) コニカミノルタ コニカミノルタ キヤノン キヤノン セイコーエプソン セイコーエプソン リコー リコー APRIL 2011  20 特 集 在庫管理“勝者と敗者” コンピューター 印 刷  富士通、NECの二社はいずれもト ヨタ生産方式をコスト構造改革の柱とし て位置付けている。
NECは二〇〇〇 年に、富士通は〇三年にグループ全体 を対象とした本格的な導入をスタート させた。
その結果、両社とも二〇〇〇 年代前半には大幅な在庫削減を実現し ている。
 しかし、二〇〇〇年代の後半に入っ て以降は明暗が大きく分かれている。
それまで両社の在庫は経年推移のトレ ンドだけでなくその水準もほぼ同レベル にあった。
ところが〇五年度以降、N ECの在庫削減は止まり、在庫回転期 間は一・二カ月前後の横ばいで推移して いる。
一方の富士通はその後も継続し て在庫水準を切り下げている。
 この間に富士通は不採算事業の売却 や生産委託などを積極的に進め、情報 通信機器メーカーからソリューションベ  大日本印刷(DNP)と凸版印刷は、 印刷技術を活かして事業の多角化を進 めてきた。
その事業領域は印刷のほか、 I Cカード、食品向けなどの包装材、 住宅建材、エレクトロニクスと多岐にわ たっている。
 中でも両社がこの一〇年、成長分野 と位置付け、積極的な投資を続けてき たのがエレクトロニクス事業だ。
同事業 の主力は液晶テレビや携帯電話用のカ ラーフィルターと「フォトマスク」と呼 ばれる半導体用の部材。
 このうちカラーフィルターでは、〇五 年頃から液晶パネルメーカーの需要拡大 に歩調を合わせて工場を建設し、こぞっ て生産能力を引き上げてきた。
フォトマ スクについても同様で、両社とも企業 買収を実施し、事業規模を拡大している。
 両社の在庫水準(連結)が上昇に転 じたのは、ちょうどこの時期にあたる。
事業構造改革の進捗で在庫水準に格差エレクトロニクス事業拡大で在庫が増加 ンダーへのビジネスモデル改革を急いだ。
〇四年には一〇〇%子会社の富士通ロ ジスティクスを当時のエクセル・ジャパ ン(現DHLサプライチェーン)に売却 し、物流面でも完全なノンアセット型に 転換した。
 一方のNECはパソコン/サーバーで 国内トップシェアを握っていることもあ り、環境変化やグローバル化への対応で は遅れをとったとされる。
物流面でも 重装備の物流子会社を傘下に抱えてい ることから、環境変化への対応には制 約がある。
 NECの売上高物流費(荷造運送費) 比率は〇八年度に半減しているが、こ れは経費の計上方法を変更したことが 理由で、コスト構造に大きな変化があっ たわけではない。
富士通と比較した時 の事業構造改革の遅れが、物流面にも 大きく影響している。
本業の印刷事業や包装事業は受注生産 が基本であるため、原材料のほか在庫 を持つ必要はない。
 しかし、カラーフィルターやフォトマ スクは完成品や半製品の在庫を抱える必 要がある。
しかも、需要は最終製品の 売れ行きに左右される。
短期間に大き く変動するという特性を持つため、正 確な予測を立てることは難しい。
結果、 在庫が増加したと推測される。
 単体の売上高物流費比率は、DNP が凸版よりも大幅に低い水準にある。
カラーフィルターの工場や製造ラインは 顧客の工場の隣接地や工場内に建設さ れることが多く、同製品の物流費はわ ずかだという。
このため、それ以外の 事業の物流費で差がついた可能性がある。
DNPは印刷事業で出版物とカタログ、 チラシなどの共同配送を積極的に行い、 物流費の削減に努めているとしている。
在庫回転期間の推移(連結) 2.0 1.6 1.2 0.8 0.4 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) 1.8 0.78 (カ月) 売上高物流費比率(単体) 1.9 1.7 1.5 1.3 1.1 0.9 0.7 0.5 注)富士通:荷造費・運賃・保管料、NEC:荷造運送費 0.77 1.16 0.81 富士通 NEC NEC 富士通 在庫回転期間の推移(連結) 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 (年度) (%) (カ月) 売上高物流費比率の推移(単体) 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 注)大日本印刷:発送費、凸版印刷:07 年度まで支払運賃、 08 年度以降は運賃 大日本印刷 大日本印刷 凸版印刷 凸版印刷

月刊ロジスティクス・ビジネス

購読のお申し込みはこちらから