2011年4月号
SOLE

ロジスティクス戦略の最適化へOR手法に基づき課題を解決

SOLE 日本支部フォーラムの報告 The International Society of Logistics APRIL 2011  102  二月のフォーラムでは、構造計画 研究所の相澤りえ子製造BPR営業 部技術担当部長をお招きして「ロジ スティクス戦略をサポートする最適化 ソリューション」というタイトルでご 講演いただいた。
ロジスティクスにお ける種々な課題をモデル化し、しくみ の構造や挙動などを試算し、意思決 定に役立てるオペレーションズ・リサ ーチ(OR)の取り組みの一端を解説 していただいた。
講演の概要を報告 する。
(SOLE日本支部幹事・防 衛大学校 宝崎隆祐) 環境問題で課題が複雑化[1]  日本の各業界において、今取り組 まなくてはならない課題の一つに環境 問題がある。
二〇〇五年二月一六日 に「京都議定書」が発効し、日本は 二〇〇八年から二〇一二年の間にC O2などの温室効果ガス排出量を一九 九〇年にくらべて六%削減すること が義務づけられ、さらに、〇九年九 月にはニューヨークの国連気候変動サ ミットにおいて、温室効果ガス排出 量を二〇二〇年までに一九九〇年比 で二五%削減することが我が国の目 標として表明された。
 京都議定書の締結以来、政府は 「エネルギー起源二酸化炭素削減対 策・施策」の一つとして、国内活動の 部門毎に行動指針を挙げ、その実施 を監視し検証していくセクター別ベン チマークアプローチをとっている(図 1)。
PDCA(プラン・ドゥ・チェ ック・アクション)のサイクルをうま く回しながら、各部門の温室効果ガ スを削減していく計画である[2]。
 対象部門は産業部門、民生業務部 門、民生家庭部門、運輸部門、それ とエネルギー転換部門に分かれ、部 門別のCO2削減量の推移は環境省が 毎年発表している。
(図2)。
これを 見ると、〇九年は産業部門における CO2排出量が基準年(九〇年)に対 し一九・九%減少している。
しかし 運輸部門では〇七年のピークからは下 がっているものの、基 準年に対し五・四%増 加しており、さらなる 努力が必要であること が解る。
 政府方針では、ロジ スティクスを含む運輸 部門の行動指針の大項 目として以下の三つの 施策が挙げられている。
●荷主と物流事業者の 協働による省CO2 化の推進 ●モーダルシフト、ト ラック輸送の効率化 等の推進 ●グリーン経営認証制 度の普及促進  しかし、これらの 施策には利害やコスト の絡み合う問題があり、 むずかしい意思決定を しなければならない場 面が多い。
例えば、荷 主である製造業が在庫 削減の為にジャストイ ンタイム方式で少量複 数回輸送により効率化 を図りたいとするのに 対し、CO2の削減を ロジスティクス戦略の最適化へ OR手法に基づき課題を解決 図1 経済産業省「温暖化対策施策の概要について」 産業 課題方向性出 所 : 平 成 19 年 度 年 次 報 告 書 ●エネルギー多消費業種は、既知の対 応策は着手済み ●非装置型業態は、設備投資の都度、 最新の省エネ技術の適時的導入 ●革新的技術開発の重視 ●ベンチマーキングや効果的助成等 による技術開発成果の導入加速化 運輸 ●利便性重視の輸送機関選択傾向 ●荷主、輸送事業者、着荷主等複数の 関係者による協働が必要 ●省エネに関する理解の更なる浸透が必要 技術開発成果の適切な評価・普及促進の ための社会経済システム整備 ─セクター別ベンチマークアプローチ の導入と初期需要の積極的創出等 革新的技術開発の戦略的推進 ─省エネ技術開発戦略の策定 ●改正省エネ法によるエネルギー管理への 理解促進 ●自動車等輸送機器の性能向上 ●ベンチマーク・表示等の活用 ●効果的助成 ●都市、交通等のシステム改革 民生業務民生家庭 ●エネルギーコストが小さい等により 省エネに対するインセンティブ小 ●省エネルギーによるコスト削減効果 が限定的。
長期投資回収必至 ●広報、教育等による一般国民の更なる省エネルギー意識向上 ●エネルギー消費機器性能向上 ●ESCO 等省エネビジネス振興 ●ベンチマーク・表示等の手法の活用多角化 ●効果的助成策 ●都市等のシステム改革 ●豊かさ・利便性を求め、エネルギー 消費する機会が増える傾向 ●ライフスタイルの変化等による影響 大 最先端省エネ機器・技術の市場投入 戦略的省エネ技術開発投資意欲の牽引 技術開発を生かした 普及拡大と市場評価を通じた 持続的なエネルギー効率改善による 世界最先端技術の省エネ国家の維持・発展 《国内省エネ対策の概観》 103  APRIL 2011 術動向センターの高井英造客員研究 官が高度化したロジスティクスに適 用できるORの技術を「科学技術動 向」[3]にまとめている(図3)。
海 外のサプライヤーから資材を調達する ところからスタートして、海外倉庫、 海上輸送、国内受け入れ倉庫、工場、 製品倉庫、陸上輸送、物流センター を経て、卸、小売り店舗、消費者へ と流れるチェインには様々な課題があ るが、高井客員研究官はそれぞれの 場面でORを駆使することで課題を 解決できるであろうと提言している。
 ORとは一言でいえば科学的に最 適な問題解決を行う手法であり、こ こで言う最適とは、例えばCO2排出 量を最小化しつつコストも最小にする 計画であったり、CO2排出量が規定 量以下でコストが最小となる計画であ ったりする。
そしてORのアプローチ で最も重要なことは、モデル化して問 題解決を行い、その解決策を実践に 適用する事である。
 システムの目的を定式化できる問題 であれば、数式でモデル化する。
色々 な要因が複雑に絡み合ったり、求め る最適なシステム状態を評価する為に 時系列的に動的に変化する要素や確 率的な要素を組み入れなければなら ない場合には、システムの動作そのも のをコンピュータ上に再現させること でモデル化する。
そのモデルを使って  低公害車の導入等ハード面で解決 すべき問題もあるが、ハードの運用方 式の改善もまた、全体システムの効果 を最大限に引き出す為の施策として必 要である。
 これらを前提に環境対策計画を策 定し取り組んでいく為には、ロジステ ィクスのチェイン全体を最適化しなけ ればならないが、いずれも適用すべき 対象が複数企 業にまたがっ たり全く新し いしくみの試 みであったり する。
こうし た場合の課題 解決には定量 的な解決と検 証が不可欠で あり、そこで 威力を発揮す るのがオペレ ーションズ・ リサーチ( O R)手法[4] である。
 これについ ては、文部科 学省・科学技 術政策研究所 (NISTE P )・科学技 たルートを回りながら集荷する方式) といった新たな輸送方式を試みなくて はならなくなり、時には製造業に生 産方式からの変革を求めなくてはな らない場面も出てくる。
 モーダルシフトに関しても、運航ス ケジュールに合わせて積み替え等が発 生し、明らかに搬送リードタイム(輸 送時間)が長くなる方向にある。
優先すれば一回の輸送量を大量にし て輸送回数を減らさなければならず、 相反する事になってしまう。
最適解を科学的に求める  そうした相反する課題を解決する 為には、他社との共同配送(複数製 造業企業と複数運送業企業間での共 同配送)やミルクラン方式(決められ 図2 国内二酸化炭素の部門別排出量の推移 出所:国立環境研究所温室効果ガスインベントリオフィス 2010/12/27 (http://www-gio.nies.go.jp/index-j.html) 500 450 350 300 250 200 150 100 50 0 京都議定書の基準年 ‘90 ‘91 ‘92 ‘93 ‘94 ‘95 ‘96 ‘97 ‘98 ‘99 ‘00 ‘01 ‘02 ‘09 〈年度〉 〈CO2排出量(百万t│CO2)〉 ( )は基準年比増減率 (速報値) ‘03 ‘04 ‘05 ‘06 ‘07 ‘08 《産業部門》482→386(19.9%減) 《工業プロセス分野》 62.3→43.4(30.4%減) 《廃棄物分野》 22.7→25.9(14.1%増) 《業務その他部門 (商業・サービス・事業所等)》 164→220(33.6%増) 《エネルギー転換部門 (発電所等)》 67.9→78.8(16.2%増) 《運輸部門(自動車・船舶等)》 217→229(5.4%増) 図3 ロジスティクスの主要な解決課題と対応する オペレーションズ・リサーチ手法の研究開発テーマ 出所:参考文献[4] 戦略的国際物流ネットワーク計画 ロジスティクス・ネットワーク計画 マルチモーダル輸送 グリーンロジスティクス推進 サービス科学による高度化 超広域ネットワーク最適化手法 在庫配置・輸送同時最適化手法 モーダル混合ルート最適化手法 多目的最適化手法 決定科学手法、定性要因評価手法 現実的な解決課題研究を推進するべきOR 手法 モデル構築法の研究開発 海外メーカー海外販社 海外倉庫 港湾倉庫 港湾倉庫 小売店舗 原材料メーカー 消費者 原材料倉庫 部品倉庫 メーカー工場 製品倉庫 メーカー物流センター 部品センター 問屋(卸) 物流センター 物流センター サプライチェーン高度化・広域化への対応 《家庭部門》127→162(26.9%増) APRIL 2011  104 はマルチモーダル特有の要素が加わり 構成要素が多い。
その為、輸送モード の組み合わせや組み合わせの禁止事項 が多くなり、複雑な問題となってくる。
 要素としては、輸送オーダ(輸送 対象の貨物、輸送元、輸送先、輸送 開始可能時間、限界到着時間)、拠 点(配送先、配送元、オーダの積み 替え場所、輸送手段の待機場所とな る点)が挙げられ、運搬路としては 輸送手段が通行できる経路を定義す る為、一つの拠点から拠点までの経 路が複数定義される事になる。
トラッ ク路、貨物列車路、空路、海路があ り、距離が定義され、拠点間で通行 禁止輸送手段も定義できる。
 また、特徴的な要素としてダイヤ グラムを持った特別な運搬路も定義可 能である。
時間帯によって移動でき る時間が異なり、移動時の一回当た りの輸送容量も定義できる。
これら はフェリーや貨物列車のモデル化表現 次の値が最小になることであると定 義している。
総配送遅れ時間×重みα+総配送 コスト×重みβ+(総CO2排出量 −CO2排出量基準値)×重みγ 重みα、重みβ、重みγはその項の 重要度とも呼ぶべき係数で、大きい 方が重要な評価指標となる。
 この重要度は場合により変わってく るものと考えており、配送計画の対 象貨物を何よりも早く送りたいのか、 コストを抑えて配送したいのか、環境 に配慮したいのか、といったその時々 の要求の強さで変わってくる。
 トラック配送計画問題の様な通常の 配送計画モデルにくらべ、このモデル れる意思決定を運用レベルとする[5]。
 ここではロジスティクスチェインの 中にある分類毎の課題(図4)の解 決事例をいくつか挙げて報告する。
1.最適配送計画事例:マルチモー ダルを考慮した最適搬送計画  長距離輸送の際には、環境問題、 コスト削減、時間的制約、物量の制 約の観点から、考えられる搬送手段 を適切に選択していかなければなら ない。
航空、海運、陸運、鉄道など 複数の輸送手段を連携し たマルチモーダル配送を最 適に計画する為には、評価 指標が必要である。
CO2 排出量だけを考えれば図5 に示す様に輸送手段毎にか なりの差がある。
 しかし、経済活動であ る輸送においては必ずしも CO2排出量だけを評価値 にはできないのも事実であ る。
学術界やSCMの研 究団体、サプライチェーン カウンシル(SCC)の推 進する標準化プロセスモデ ル「SOCR」では、ロジ スティクスネットワークの 最適化の標準基準が検討 されている。
 ここでは最適化の基準を 実験を行い、前者は数理計画法、後 者はシステム・シミュレーション法に よって実施する。
最適化モデルの分類  ロジスティクスの最適化を考える 時、意思決定の対象期間によって分 類する事ができる。
一年から数年の 年次以上の視点で行われる意思決定 を戦略レベル、週次や月次の中期の 視点で行われる意思決定を戦術レベル、 分、時間、日次の短期の視点で行わ 図5 輸送機関によるCO2 排出量 航空 内航海運 フェリー・内航海運 鉄道(JR 貨物) 自家用小型トラック 営業用小型トラック 営業用普通トラック 0 100 200 300 400 500 600 700 出所:参考文献[3] 48 180 599 10 13 6 402 図4 ロジスティクスシステムの課題の解決事例 調達 タンカー最適配船計画 グローバル在庫戦術 生産在庫輸送販売 グローバル計画事例 戦略 戦術 需要トレンド分析による在庫管理方式の決定 オンデマンド在庫戦略による在庫管理 最適在庫戦略事例 戦術 運用 物流センターの作業分析 貨物の最適積み付けシステム 物流センターにおける効率化事例 戦術 運用 最適物流拠点計画 マルチモーダルを考慮した最適搬送計画 最適配車計画とITによる運用システム 最適搬送計画事例 戦略 戦術 運用 図6 マルチモーダルモデルの構成要素 地点C 地点B 地点 地点A 105  APRIL 2011 向上にも役立っている(図8)。
3.最適在庫戦略事例:需要トレン ド分析による在庫管理方式の決定  在庫の問題はロジスティクス戦略の 要といえる。
在庫が過多であればキ ャッシュフローが悪化し、在庫スペー スを取り、不良在庫を生む。
反対に、 在庫不足で品切れが起きれば機会損 失と企業ロイヤリティの欠如を招き、 場合によっては航空機での調達輸送 といったコスト高、無駄なCO2排出 を余儀なくされる。
 需要と調達能力を読み、どの拠点 にどれだけの在庫を持つかをうまく計 画して在庫を最適化することが重要 である。
その為には一番に不確実な 要素である品種毎の需要を知り、適 切な在庫管理方法を適用しなければ ならない。
 従来は管理の容易さから、売上額 を基準として上位七〇〜八〇%をA 商品(最重点在庫管理品種)、八〇〜 九〇%をB商品(準重点在庫管理品 種)、それ以下をC商品(非在庫管理 品種)とするABC分析が用いられ る事が多かった。
 しかし、売上額だけを指標として いたのでは本当の需要喚起の仕方(需 要タイプ)等は把握できない。
そこで、 需要タイプの分類方法として売上額 の軸を需要量に置き換え、需要の繰 最大となり、重心がより低いプランと 定義できる。
最適積み付けは通常三 次元で考える必要があり難しい問題 なので、独自のアルゴリズムを採用し て解を得る。
 またグローバル物流を前提として、 積み付けプランや配送貨物の情報を各 拠点で把握する必要がある為、We bシステムでどこからでも情報共有が できる仕組みとなっている。
 計算機で算出された積み付けプラン は三次元で表示され、手操作により 調整も可能で人の感性を取り入れる事 ができるようにもなっている。
結果 はMicrosoft Word形式の作業指示書 として出力され、メモを書き加えてそ のまま現場へ指示を出せる。
現場へ の受け入れ易さもこういったシステム の大切な要件である。
 さらに、段積み制約として上積み 禁止、平置きの指定、同じグループ 貨物は固めて積み重ねる、フォークリ フトのつめ方向を意識した積載方向、 の積載条件を考慮できる。
作成済み の積載プラン上に残っている空間への 追加積載を実施する機能や、積載禁 止エリアの考慮等も可能である。
 このシステムを使うことで効率的な 積み付けプランを指示し、コンテナ本 数を減らすことでむだな配送を減ら すことができる。
積み付け実績のエビ デンスを残せる為、積み付けの信頼性 になった(図7)。
2.物流センターにおける効率化事 例:貨物の最適積み付けシステム  複数の貨物をトラックやコンテナに 積み付けるプランは貨物毎の寸法、積 み付け条件を考慮する必要があり、熟 練者が時間をかけて作成している事 が多く、手間とコストのかかる作業で ある。
構造計画研究所ではこの作業 を簡単にボタン一つで計画策定する仕 組みを開発し、実際に航空貨物企業 や物流企業が採用している。
 最適な積み付けプランとは、コンテ ナ本数、トラック台数を減らすと共に、 安全な積み付け指示がなされるプラン である。
言い換えると、積載効率が に使う事ができる(図6)。
 モデル定義ができると、この構成 要素間の制約条件を満たし、かつ最 適化基準が最小になる様な組み合わ せを算出する事ができ、それが配送 計画となる。
 以上の考え方に沿って開発された配 送計画システム[6]では、結果とし て地図上に配送ルートが表示されると 共にガントチャートで貨物毎に配送手 段と配送計画が表示される。
これに より、環境にやさしいコストのかから ない実質的な配送計画が組めるよう 図7 マルチモーダルを考慮した配送計画の計算結果例 図8 最適積み付けシステムの三次元表示の操作例 画面との対話による操作 APRIL 2011   106  そこで受注オーダから遡り、部品 展開、在庫引き当て、負荷計算を一 括して行うAPSの考え方を適用する 事で、受注オーダを起点としたプル型 生産、引き当てが可能となった。
 この考え方の拠り所となっているの が部品展開表(BOM)である。
あ る製品を作り出すのにどの部品を組み 合わせて行くのかを展開したものであ るが、組み合わせる際の作業時間と 必要資源情報を持たせる事より、部 品展開しながら負荷計算ができ在庫 Reengineering)の旗頭的アルゴリズム として「APS(Advanced Planning and Scheduling)」[7]がある。
 従来はMRP(material requirements planning:資材所要量計画) を用いてオーダから固定リードタイム を遡って資材調達計画を立て、それ を基準として生産能力に応じた負荷 計算をしたうえで生産スケジュールが 策定され、配送計画が決められてい たが、それでは顧客のオーダに対して 同期した対応をとることはできない。
きでないことが解る。
 この分析方法は指標の名前の頭 文字を取り「RFM分析」と呼ば れ、RとはRecency(最終需要時期)、 FはFrequency(需要頻度)、Mは Monetary(需要量)である。
需要の 繰り返し指標はRとFを組み合わせて 数値化する。
 RFM分析は在庫管理の適用基準 になるだけではなく、直近三カ月ほ どのデータを用いて短サイクルで分析 を行い、対象品種の需要 タイプの変化をトレース することで、品種の新規 投入時から売れ筋となり 定常的に売れる時期を過 ぎ終売品となるまでのラ イフサイクルを見る事がで き、商品戦略の為の情報 として活用することもで きる(図9)。
4.グローバル計画事例 :グローバル在庫戦略  在庫をどこにどのくら い持ち、どこから引き当 てを行うかを局所で考え ていたのでは、全体最 適にはなりえない。
製 造分野では最近の生産 計画システムにおけるB P R(Business Process り返し性を持つ直行する軸を指標に加 えて需要タイプを分類する。
 需要の繰り返し性の高い品種は需 要量が少なくても定番品としてきち っとした在庫管理を行うべきである し、需要量が多くても繰り返し性の 少ない品種は在庫量を把握して管理 をするよりは、マーケティング部門や 営業部門の持っている特需に繋がる 情報を用いて受注オーダ品とすべきで あり、常に多くの在庫水準を保つべ 図9 RFM分析による需要タイプの分類 需要の繰返性高 需要の繰返性低 需要量多 需要量少 3類 イメージ 頻繁、少量 機会損失リスク 大 不良在庫リスク 中 管理方式 きちんと在庫管理 営業的には 将来の期待の星 1類 イメージ 頻繁、少量 機会損失リスク 大 不良在庫リスク 小 管理方式 常に切らさない 営業的には 利益を出す商品群 4類 イメージ 頻繁、少量 機会損失リスク 小 不良在庫リスク 大 管理方式 終売品、若い商品 営業的には 品目の統廃合 2類 イメージ 時々、大量に 機会損失リスク 中 不良在庫リスク 大 管理方式 要注商品群 営業的には 他顧客への展開 よく売れる たまに売れる それなりに売れる ほとんど売れていない 図10 サプライチェインBOM 製品デポ在庫 組立完成品 組立ライン 40 分/ 1 個 施盤 20 分/ 1 個、段取り10 分 運搬 組立作業 中間品 材料 加工作業 調達 部品A 部品B 材料A 外注加工 調達 調達 オーダー 引当製品在庫から、運搬、工場内在庫、 中間品、作業、外注、調達までの つながりを全て定義したBOMを使っ て、一貫生産管理を行う 図11 グローバル在庫管理 サプライヤー 生産工場 物流拠点 サプライヤー サプライヤー サプライヤー サプライヤー サプライヤー サプライヤー サプライヤー 生産工場 生産工場 物流拠点 一括輸送 毎火曜日出発 翌月曜入荷 港 毎火曜日出発 翌月曜入荷 一括輸送 港 緊急輸送 緊急輸送 緊急輸送 引き当ても決める事ができる様になっ ている。
 ロジスティクスの中でも、このBO Mを使えば最下流の受注オーダから上 流の在庫を引き当て、配送計画を策 定する事が可能となる。
ここで使用 するBOMは「サプライチェインBO M」と呼ばれ、生産工程を一つの部 品と考え、さらに製品在庫から運搬、 工場内在庫、中間品、外注先、海外 拠点在庫までのつながりを全て定義 したものである(図 10 )。
 これにより、グローバルの在庫拠 点、輸送中在庫、生産仕掛在庫、国 内の資材在庫、生産在庫の中から一 括して引き当てができ、一貫管理が できる。
あらゆる拠点の欠品、負荷 オーバ、消費期限割れ等の情報を直 ちに見る事ができ、全体最適化を実 現できる(図 11 )。
終わりに  本フォーラムではロジスティクスに 内在する課題について、OR手法を 使った解決事例を報告した。
ロジス ティクスの課題は環境問題も加わって 複雑化しており、意思決定がむずか しい。
課題を解決するには簡単に一 つのソリューションを適用すればすむ 訳ではなく、何が問題なのかを紐き、 どういった手法を適用すべきなのかの 検討から始めなくてはならない。
 しかし、問題を解く事のできるモデ ルを策定できれば解決は可能である。
ぜひ、今後も全体最適に向けて課題 解決を図っていきたい。
107  APRIL 2011 次回フォーラムのお知らせ  4月度のフォーラムは、4月13日 (水)日本ユニシス米国情報学研究所 の妻木俊彦教授による講演「要求工 学」を予定している。
このフォーラム は年間計画に基づいて運用している が、単月のみの参加も可能。
1回の参 加費は6,000円。
ご希望の方は事務局 ( s-sogabe@mbb.nifty.ne.jp)まで お問い合わせ下さい。
※ S O L E(The International Society of Logistics:国際ロジスティクス学会)は一 九六〇年代に設立されたロジスティクス団体。
米国に本部を置き、会員は五一カ国・三〇 〇〇〜三五〇〇人に及ぶ。
日本支部では毎 月「フォーラム」を開催し、講演、研究発 表、現場見学などを通じてロジスティクス・ マネジメントに関する活発な意見交換、議論 を行っている。
2010年版 カサイ式 トラック実勢運賃調査 ■媒体名    「2010 年版 カサイ式トラック実勢運賃調査」 ■体裁 A4 判 無線綴じ 153 頁(CD-ROM 付) ■発行 2010 年9月13 日 ■監修 月刊ロジスティクス・ビジネス編集部 ■編集協力      ロジスティクス・サポート&パートナーズ ■発行元 ライノス・パブリケーションズ ■定価 1万500 円(税・送料込み) 業種別トラック運賃の実勢価格が分かる! 1985年以降の実勢運賃の推移が分かる! トラック運賃の仕組みと実態が分かる!  参考文献 [1]城戸恒介、小林大介、川原幹雄、相 澤りえ子、指尾健太郎「海上ロジスティク スにおける環境問題解決アプローチ〜オペレ ーションズ・リサーチ手法の活用〜」 情報 処理 Vol.51 No.3 (2010) [ 2] 経済産業省 政策評価(http:// w w w . m e t i . g o . j p / p o l i c y / p o l i c y _ management/19fy-AR2007/ARpdf/ AR19fy_2_05policy.pdf) [3]日本オペレーションズ・リサーチ学会 ホームページ(http://www.orsj.or.jp/) [4]高井英造「ロジスティクス高度化への オペレーションズ・リサーチの役割」科学技 術動向 no.91(2008) [ 5] 久保幹雄「ロジスティックス工学」 pp.11-20 朝倉書店(2001) [6]大江悠介、山田裕通「複数ビークルに よる物資輸送計画について」二〇〇八年度 日本オペレーションズ・リサーチ学会秋期 研究発表会アブストラクト集 [7]中野一夫「顧客主導型ビジネスモデル CSRP」pp.129-148 ダイヤモンド社(2003)

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