2011年6月号
特集
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第4部 日雑品の物流は大手卸頼みが鮮明に
JUNE 2011 26
日雑品の物流は大手卸頼みが鮮明に
とび職が自動倉庫を応急処置
Paltac(パルタック)の米内進常務執行役員
物流本部長は「当社は次々と起こるトラブルに短期
間で対処し、店舗への供給をとにかく続けることが
できたと自負している」と東日本大震災の対応を振
り返る。
専用センターが被災した小売りの物流機能をパル タックの汎用センターで代行したのはもちろん、代 替の専用センターを求める小売りには外部倉庫を急 遽手当てし、そのオペレーションから配送まで請け負 った。
小売りの拠点間輸送も小売り側で手配がつかなけ ればパルタックが代わってトラックをかき集めた。
さ らにはメーカーに代わって関東や静岡で荷物を集荷 し東北に輸送する調達物流までサポートした。
「小売りがセンター運営を任せている物流会社でも、 そのセンターの機能を回復するところまでは何とかす るだろう。
しかし、普段委託を受けていない配送ま でとなると難しい。
しかし我々なら商品を店頭に届 けることを念頭に、あらゆる対策を打つ。
全方位的 に小売りさんをバックアップできたというところで、 卸と物流会社の差が明確に出たと思う」と米内常務 はいう。
パルタック自身、震災で無傷だったわけではない。
同社が全国一六カ所に配置した汎用型の大規模物流 センター「RDC(Regional Distribution Center)」 のうち、二拠点は東北にある。
このうち宮城県岩沼市の「RDC仙台」は津波の 直撃を受けて壊滅状態に陥った。
昨年稼働したばか りの「RDC東北」(岩手県花巻市)も、強い揺れ のために自動倉庫などが損傷した。
自動倉庫を修理するのに、普通のやり方では少な く見積もっても一週間はかかる。
しかも地震直後は メンテナンス業者の手配もつかない。
そこでゼネコン の協力を得て、とび職に現場に入ってもらい、応急 修理を施した。
その結果、RDC東北は二日程度で 業務を再開、RDC仙台の代替出荷も始めることが できた。
関東でも埼玉県加須市の「加須物流センター」で 火災が発生し、出荷停止を余儀なくされた。
千葉県 浦安市の「RDC東京」では液状化に見舞われた。
その他のセンターでもマテハンが損傷するなどの被害 を受けた。
それでも加須物流センター以外は東北と同様に、 必要最低限の修理を行い、一〜二日で業務を再開し た。
加須物流センターの出荷機能は得意先別に「R DC東京」、「RDC横浜」、「RDC群馬」に振り替 えた。
燃料不足にも直面した。
配送トラックの燃料は数 日分しか蓄えがなかった。
パート社員の通勤の足に も支障が出た。
軽油・ガソリンの元売りや商社にパル タックから直接問い合わせを行い、各地の需給情報 を収集。
同時に全国の配送業者と連絡を取った。
四 国の配送業者が確保した軽油をタンクローリーで東北 の配送業者に送るよう手配するなど、全国ネットワ ークを駆使して軽油・ガソリンを東北に送り込んだ。
次に起こったのはRDC東北での出荷量の急増だ。
RDC仙台や小売り専用センターの代替分の出荷に 加え、物資不足から受注が増加した。
現地のホテル と食料を手配して全国から社員を応援に派遣し、出 荷作業に当たった。
関東でも計画停電の影響が出た。
停電とその前後 の時間は業務を停止せざるを得なかったが、これも 震災後の日用雑貨品の供給は、二大卸のパルタック とあらたにかかっていた。
自社専用センターが使えな くなった小売りはもちろん、燃料不足で輸送手段を断 たれたメーカーも大手卸2社に泣きついた。
他に頼れる ところはなかった。
(梶原幸絵) 第4部 特 集 27 JUNE 2011 センターの人員を増やすことで対応した。
といって も、闇雲に人員を投入したわけではない。
各センタ ーでの作業工数をすべて計算した上で、必要な人数 を計算した。
同社は各センターの受注量、在庫、スタッフごと の作業生産性などの情報をすべて“見える化”し、 一元管理している。
その情報をベースにした。
緊急 時であってもムダは許さなかった。
情報共有の仕組みは随所に活きた。
本社の災害対 策本部と全国の支社・拠点ではテレビ会議を重ねた。
そこで吸い上げた各地の情報を全社的に共有するこ とで、有効な対策を打つことができた。
配送業者を始めとする業務委託先にも助けられた。
米内常務は「ゼネコンさんなども含めて大いに協力 してもらった。
日頃の付き合いとコミュニケーション がものをいったと思う。
社内外で“チームパルタッ ク”として組織の力を活かし、一丸となって走るこ とができた」という。
BCPの見直しを開始 パルタックのライバル、あらたもまた大きな役割を 果たした。
あらたの岩渕晋明執行役員経営戦略室室 長は「当社の物流拠点は主要なものだけでも全国で 三四拠点。
地域密着という考え方で、物流拠点の過 度な集約は実施していない。
このため、東北でも各 拠点が機能を補い合うことができた」と説明する。
同社は東北では八戸、秋田、仙台、山形、福島の 五支店に物流拠点を併設している。
停電のために拠 点によっては、数日から一週間にわたって出荷作業 が止まった。
天井の崩落によって自動倉庫が損傷す るなどの被害も発生。
福島県田村市の福島支店は福 島第一原子力発電所の影響で一時閉鎖を余儀なくさ れた。
それでも福島以外では停電から復旧した支店から 順次マテハンの応急修理や点検を行い、出荷を再開。
復旧した支店から他支店の機能を代替していった。
福島支店についても、三月下旬に稼働を再開するま で山形支店や新潟支店、関東の主要拠点などが分担 してバックアップを行った。
関東の物流拠点ではマテ ハンの損傷などの被害を受けたが、これも概ね三月 一四日には出荷を再開している。
緊急対応が一段落した現在は震災の教訓を今後に 活かすために次の対策を練っている。
過去の災害と 東日本大震災との大きな違いは?複数拠点・広範囲 で被害が発生したこと、?トラックの燃料不足や道 路網の寸断など外部のインフラが麻痺したこと、の 二点に集約される。
「以前からBCPを整備していたこともあり、あ る拠点が機能を停止しても近隣の拠点がカバーする 体制は整えていた。
しかし今回のようなケースはま ったく想定しておらず、その場で臨機応変に判断し て対応していくしかなかった。
今後は域内だけでな く、広域で代替出荷を行うためのマニュアルを整備 したい。
外的なリスク要因も想定に加えようと考え ている」とあらたの岩渕執行役員。
今回の震災で起きたトラブルとそのために実施し た対策を整理し、優先順位を付けてBCPの見直し を進めていくという。
物流拠点への投資や拠点の再 構築を行うに当たっても、震災を念頭にネットワーク と設備を検討する。
加えて、物流拠点の物理的な災害対策も強化する。
具体的には自家発電装置の導入、天井の崩落からマ テハンを保護するための予防措置などを考えている という。
本社 支社、RDC (大規模最先端物流センター) 支店、営業所 パルタックの拠点網 RDC東北 RDC仙台 RDC群馬 RDC東京 RDC横浜 加須物流センター パルタックの米内 進常務執行役員物 流本部長 あらたの岩渕晋明 執行役員経営戦略 室室長
専用センターが被災した小売りの物流機能をパル タックの汎用センターで代行したのはもちろん、代 替の専用センターを求める小売りには外部倉庫を急 遽手当てし、そのオペレーションから配送まで請け負 った。
小売りの拠点間輸送も小売り側で手配がつかなけ ればパルタックが代わってトラックをかき集めた。
さ らにはメーカーに代わって関東や静岡で荷物を集荷 し東北に輸送する調達物流までサポートした。
「小売りがセンター運営を任せている物流会社でも、 そのセンターの機能を回復するところまでは何とかす るだろう。
しかし、普段委託を受けていない配送ま でとなると難しい。
しかし我々なら商品を店頭に届 けることを念頭に、あらゆる対策を打つ。
全方位的 に小売りさんをバックアップできたというところで、 卸と物流会社の差が明確に出たと思う」と米内常務 はいう。
パルタック自身、震災で無傷だったわけではない。
同社が全国一六カ所に配置した汎用型の大規模物流 センター「RDC(Regional Distribution Center)」 のうち、二拠点は東北にある。
このうち宮城県岩沼市の「RDC仙台」は津波の 直撃を受けて壊滅状態に陥った。
昨年稼働したばか りの「RDC東北」(岩手県花巻市)も、強い揺れ のために自動倉庫などが損傷した。
自動倉庫を修理するのに、普通のやり方では少な く見積もっても一週間はかかる。
しかも地震直後は メンテナンス業者の手配もつかない。
そこでゼネコン の協力を得て、とび職に現場に入ってもらい、応急 修理を施した。
その結果、RDC東北は二日程度で 業務を再開、RDC仙台の代替出荷も始めることが できた。
関東でも埼玉県加須市の「加須物流センター」で 火災が発生し、出荷停止を余儀なくされた。
千葉県 浦安市の「RDC東京」では液状化に見舞われた。
その他のセンターでもマテハンが損傷するなどの被害 を受けた。
それでも加須物流センター以外は東北と同様に、 必要最低限の修理を行い、一〜二日で業務を再開し た。
加須物流センターの出荷機能は得意先別に「R DC東京」、「RDC横浜」、「RDC群馬」に振り替 えた。
燃料不足にも直面した。
配送トラックの燃料は数 日分しか蓄えがなかった。
パート社員の通勤の足に も支障が出た。
軽油・ガソリンの元売りや商社にパル タックから直接問い合わせを行い、各地の需給情報 を収集。
同時に全国の配送業者と連絡を取った。
四 国の配送業者が確保した軽油をタンクローリーで東北 の配送業者に送るよう手配するなど、全国ネットワ ークを駆使して軽油・ガソリンを東北に送り込んだ。
次に起こったのはRDC東北での出荷量の急増だ。
RDC仙台や小売り専用センターの代替分の出荷に 加え、物資不足から受注が増加した。
現地のホテル と食料を手配して全国から社員を応援に派遣し、出 荷作業に当たった。
関東でも計画停電の影響が出た。
停電とその前後 の時間は業務を停止せざるを得なかったが、これも 震災後の日用雑貨品の供給は、二大卸のパルタック とあらたにかかっていた。
自社専用センターが使えな くなった小売りはもちろん、燃料不足で輸送手段を断 たれたメーカーも大手卸2社に泣きついた。
他に頼れる ところはなかった。
(梶原幸絵) 第4部 特 集 27 JUNE 2011 センターの人員を増やすことで対応した。
といって も、闇雲に人員を投入したわけではない。
各センタ ーでの作業工数をすべて計算した上で、必要な人数 を計算した。
同社は各センターの受注量、在庫、スタッフごと の作業生産性などの情報をすべて“見える化”し、 一元管理している。
その情報をベースにした。
緊急 時であってもムダは許さなかった。
情報共有の仕組みは随所に活きた。
本社の災害対 策本部と全国の支社・拠点ではテレビ会議を重ねた。
そこで吸い上げた各地の情報を全社的に共有するこ とで、有効な対策を打つことができた。
配送業者を始めとする業務委託先にも助けられた。
米内常務は「ゼネコンさんなども含めて大いに協力 してもらった。
日頃の付き合いとコミュニケーション がものをいったと思う。
社内外で“チームパルタッ ク”として組織の力を活かし、一丸となって走るこ とができた」という。
BCPの見直しを開始 パルタックのライバル、あらたもまた大きな役割を 果たした。
あらたの岩渕晋明執行役員経営戦略室室 長は「当社の物流拠点は主要なものだけでも全国で 三四拠点。
地域密着という考え方で、物流拠点の過 度な集約は実施していない。
このため、東北でも各 拠点が機能を補い合うことができた」と説明する。
同社は東北では八戸、秋田、仙台、山形、福島の 五支店に物流拠点を併設している。
停電のために拠 点によっては、数日から一週間にわたって出荷作業 が止まった。
天井の崩落によって自動倉庫が損傷す るなどの被害も発生。
福島県田村市の福島支店は福 島第一原子力発電所の影響で一時閉鎖を余儀なくさ れた。
それでも福島以外では停電から復旧した支店から 順次マテハンの応急修理や点検を行い、出荷を再開。
復旧した支店から他支店の機能を代替していった。
福島支店についても、三月下旬に稼働を再開するま で山形支店や新潟支店、関東の主要拠点などが分担 してバックアップを行った。
関東の物流拠点ではマテ ハンの損傷などの被害を受けたが、これも概ね三月 一四日には出荷を再開している。
緊急対応が一段落した現在は震災の教訓を今後に 活かすために次の対策を練っている。
過去の災害と 東日本大震災との大きな違いは?複数拠点・広範囲 で被害が発生したこと、?トラックの燃料不足や道 路網の寸断など外部のインフラが麻痺したこと、の 二点に集約される。
「以前からBCPを整備していたこともあり、あ る拠点が機能を停止しても近隣の拠点がカバーする 体制は整えていた。
しかし今回のようなケースはま ったく想定しておらず、その場で臨機応変に判断し て対応していくしかなかった。
今後は域内だけでな く、広域で代替出荷を行うためのマニュアルを整備 したい。
外的なリスク要因も想定に加えようと考え ている」とあらたの岩渕執行役員。
今回の震災で起きたトラブルとそのために実施し た対策を整理し、優先順位を付けてBCPの見直し を進めていくという。
物流拠点への投資や拠点の再 構築を行うに当たっても、震災を念頭にネットワーク と設備を検討する。
加えて、物流拠点の物理的な災害対策も強化する。
具体的には自家発電装置の導入、天井の崩落からマ テハンを保護するための予防措置などを考えている という。
本社 支社、RDC (大規模最先端物流センター) 支店、営業所 パルタックの拠点網 RDC東北 RDC仙台 RDC群馬 RDC東京 RDC横浜 加須物流センター パルタックの米内 進常務執行役員物 流本部長 あらたの岩渕晋明 執行役員経営戦略 室室長
