2011年7月号
特集

第3部 配送WG報告──多頻度小口化にメス

配送WG報告──多頻度小口化にメス 過剰頻度、過小ロットは明白  配送最適化WGは、配送頻度・配送ロット問題に 着目した。
 現状のサプライチェーンは、必要のない毎日納品や、 商品が一個しか入っていない通い箱など、過剰頻度、 過小ロットの存在が誰の目にも明らかになっている。
実際、二〇〇〇年代前半まで日本の小売業は店舗の 規模の大小にかかわらず、多頻度小ロットかつ即納 の物流サービスを志向してきた。
それによって店頭の 品切れを抑制することが目的だった。
 しかし二〇〇〇年代後半に入って以降は風向きが 変わり、コスト削減と環境負荷低減が強く求められ るようになっている。
物流最適化の方向性は、従来 の「コスト効率を維持しながらサービスレベルを向上 する」というアプローチから、「消費者サービスを維 持し、配送を効率化する」ことへとシフトした。
 自動発注や発注推奨システムの導入などITが高 度化したこと、また小売業や卸売業の在庫管理能力 が向上したことで、それが可能になってきた。
小売 り自らの主導で配送頻度・配送ロットのサービスレベ ル引き下げを行う先行的な取り組み事例も増加して おり、いずれも成果を挙げている。
 これを受けてWGでは、配送頻度や配送ロットの 見直しを、製配販の立場の違いを超え、業界全体で 見直していくべきだとする意見の一致を見た。
 もっとも、協議会で配送頻度や取引ロットに関す る基準を作り、それを各社に強制するという方法を とることはできない。
小売店の立地、規模によって は細かい頻度やロットで商品を供給しなければならな いこともある。
店舗フォーマットには各社の戦略が反 映されている。
正当な競争条件を阻害することは消 費者利益に適わない。
 そこでWGは、配送最適化の問題意識の整理を経 て、配送効率化を進めるための「基準手順書」の作 成、各社の取り組み事例の分析と共有、今後の検討 課題の抽出に取り組んだ。
こうしたアウトプットをき っかけとして、各社が自律的に配送頻度・配送ロッ トを見直していくことを期待している。
 WGが基準手順書で示したプロセスは、四つのステ ップから構成されている。
「?目的・対象の明確化」、 「?改善計画の作成」、「?取り組みの実施」、「?効果 検証と今後の計画」だ。
これをPDCAサイクルと して繰り返していく。
 各ステップの概要は以下の通り。
?目的・対象の明確化   (1) 問題意識・目的を共有し、 (2) 対象範囲を設定、 (3) 取り組み体制を決める。
 このステップでは (1) 問題意識・目的の共有が、最 も重要なポイントと言える。
共に取り組むパートナー 同士で問題意識や目的が十分に共有されていないと、 十分な成果が出ないことや、取り組みを中断するこ とになりかねない。
  (2) 対象範囲の設定では、改善対象とする商品のカ テゴリーやアイテム、エリアやチャネルなどの流通経 路、そして発注種別(定番、特売、新商品)を明確 にする。
  (3) 取り組み体制では、プロジェクトメンバーの構成 に配慮する。
頻度・ロットの見直しを図るには、双 方の物流・商流の各関係者が集まり、それにシステ ム系のメンバーを加える必要がある。
小売りの場合で あれば店舗側や販売部門の理解を得なければならな いため、店長もしくは販売部の参加がカギになる。
JULY 2011  22  配送頻度、配送ロットを見直して、多頻度小口化に歯止 めをかける。
その必要性に異論を唱えるものはもはやいない。
しかし、改革の具体化は容易ではない。
そこで配送最適化 WGでは、取り組みの「基本手順書」を策定し、さらに先 行事例を周知することで問題意識とノウハウの共有を図った。
?改善計画の作成  このうちステップでは (1) 配送頻度・配送ロットの現 状評価、 (2) 配送頻度・配送ロットの改善案作成、 (3) 改善効果の試算、 (4) コスト削減効果の配分方法の検 討を行う。
  (1) 現状評価では、どのような配送条件が現在設定 されているのか、その結果としてどのような非効率 が生じているのかを具体的に把握し評価する。
  (2) 改善案の作成は、配送頻度の削減、配送ロット の拡大が基本的方向性である。
納品先店舗、物流セ ンターにおける在庫管理・オペレーションとの調整が 必要になる。
  (3) 改善効果の試算は、改善前の実績データの入手 が前提になる。
改善効果は、出荷元のオペレーショ ン、配送、納品先のオペレーションの三つの分野で発 生し得る。
それぞれについて評価することが望まし い。
それが難しい場合でも少なくとも配送について は評価が必要である。
  (4) コスト削減効果の配分方法を、事前に明確にし ておくことが、このステップの最大のポイントになる。
「事前に取引制度のなかで設定」、「事後実績に応じて 配分」、「各自の改善効果を各自が享受」という三つ の方法からケースに応じていずれかを選択する。
?取り組みの実施   (1) 実行手順の明確化、 (2) テスト、 (3) 本格展開を行 う。
配送頻度・配送ロットの見直しによって、受発 注や納品のオペレーションへの影響が予想される場合 には、テストの実施がとりわけ有効である。
?効果検証と今後の計画  取り組み開始から一定期間をおいて効果がどの程 度得られたかを検証する。
「KPI(重要業績評価指 標)」の設定がカギになる。
WGでは図1のKPIを モデルとして提示した。
 効果検証の結果を受けて今後の展開計画を取りま とめる。
同じ対象範囲を深掘りする。
対象範囲を広 げる。
他の関連業務との連動を図るといったアプロー チが有効である。
何が効率を阻害しているのか  この標準手順書の策定のほか、WGでは配送頻度・ 配送ロット以外の理由で、配送のムリ・ムダ・ムラを 発生させている原因を洗い出した。
その結果は図2 の通りだ。
卸〜小売間における「発注リードタイム」、 定番商品の取り扱い中止などを取引先に伝える「カ ット連絡リードタイム」、朝一番に集中している「指 定時間納品」が効率化の障壁となっている。
 こうした問題の背景には、商品供給に関わる「情 報共有・情報連携」の問題が横たわっていることが 指摘できる。
WGではベンダー側の需要予測が外れた 場合に発生する緊急納品、特売による過大な需要変 動、卸売業の在庫情報が共有されていないことによ る横持ち輸送の発生などが報告されている。
 この改善には小売店舗や中間流通における実績情 報・計画情報を製配販で共有することが有効である。
ITCの高度化によって複数の企業がリアルタイムの 現場情報を共有することが今では可能になっている。
そうした情報共有基盤を利用して、製配販が新商品 投入や特売を含む各種の計画を連携させる必要があ るとWGは提言している。
23  JULY 2011 (この記事は流通経済研究所の「配送最適化WG報告書」および同 フォーラムにおけるイトーヨーカ堂の飯原正浩物流企画開発部総括 マネージャーの発表を元に本誌が再構成したものです) 出荷・配送 関連指標 店頭オペレーション 関連指標 DC オペレーション 関連指標 配〜販におけるKPI 製〜配におけるKPI トラック台数 トラック費用 CO2 排出推計量 オリコン入り数 カート積載数 車両積載数 車両積載率 トラック台数 トラック費用 CO2 排出推計量 車両積載数 車両積載率 パレット納品比率 FTL(満載)納品比率 大型トラック納品比率 店舗発注・補充作業人時 店舗品切れ率 店舗在庫高 店舗在庫日数 DC 作業人時生産性 DC 変動費率 DC 作業人時生産性 DC 変動比率 DC 欠品率 DC 在庫高 DC 在庫日数 DC 作業人時生産性 DC 変動費率 出所:製・配・販連携フォーラム配布資料より 図1 配送最適化のKPI 図2 配送のムリ、ムダ、ムラを生み出している要因 配 製 テーマ経路内容配送最適化の意義 リードタイム・納品時間の見直し 情報共有・情報連携 の推進 発注リードタイム カット連絡 リードタイム 時間指定納品 販売実績・在庫情報、 計画情報を正確かつタ イムリーに共有する 時間指定納品のプロセ スを効率化する 定番カットの通知から 実施までの期間に余裕 を持たせる 発注から納品までの リードタイムに余裕を持 たせる 車両手配の効率 化、無駄な在庫 移動の削減 納品車両の待ち 時間短縮、車両 回転数の向上 無駄な在庫移動 の削減、返品の 削減 車両手配の効率 化、無駄な在庫 移動の削減 販〜配 販〜配 販〜配 販〜製 販〜製 〜製 〜 配 特集

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