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2011年11月号
特集

第4部 海外の物流企業を買う

NOVEMBER 2011  24 海外の物流企業を買う インド進出が中堅以下にまで拡大  日系物流企業のインド進出ラッシュが始まってい る。
M&Aアドバイザリーを務めるプライスウォーター ハウスクーパース(PwC)の金澤信隆トランザクショ ンサービスディレクターは「既に中国進出は一巡した 感がある。
今はインドの物流企業を買収したいとい う問い合わせが一番多い。
四〜五年前に大手の進出 が始まり、それが現在は中堅以下にまで広がってき ている」という。
 当初は“世界の工場”と呼ばれていた中国とは違っ て、インドは輸出基地としてよりも内需向けが有望 と目されている。
しかし、人件費が中国の約半分と いわれるインドの国内オペレーションに日本人スタッ フを投入しても割に合わない。
規制や税制も複雑で、 現地の人間でないと管理も難しい。
そのため現地企 業の買収が有力な進出手段となっている。
 インドには売却価格で一〇億円〜五〇億円規模の 中堅クラスの物流会社に売り物が多い。
日系企業が 進出の足がかりとするには手頃感がある。
またイン ドのオーナー経営者の多くは、株を売却した後も経営 を続けたいと考えている。
日本の物流企業もそれを 望む傾向があり、相性はいい。
 内外トランスライン(NTL)は今年一月、イン ド・ニューデリーに本拠を置くロジスティクス・プラ ス・インディアを買収した。
年商約八億円の中堅物 流会社で米国・インド間のフォワーディングの他、国 内主要都市に拠点を構え、倉庫事業を行っている。
 NTLの戸田徹社長は「当社は現在、海上貨物の 輸出混載専業から3PL事業を柱の一つとする総合 フレートフォワーダーへの脱皮を図っている。
同時に、 連結売上高を三年間で約一・五倍の一八〇億円に拡 大する計画だ。
これまでは自律成長を重視してきた が、時代は変わった。
今後はM&Aも積極的にしか けていく」という。
 NTLは戸田社長が一九八〇年に個人で創業した 独立企業で、コンテナ一本分に満たない小口の輸出 貨物に特化するニッチ戦略で事業基盤を築いた。
現 在、日本発の海上輸出混載市場ではトップシェアを握 り、〇八年十一月には東証二部上場を果たしている。
リーマンショックでは大きな影響を被ったものの、創 業から三〇年に渡って事業は順調に成長してきた。
 しかし、「日本の輸出貨物はもう伸びない。
過当競 争で乱売も横行している。
今後も当社が成長を維持 していくには、事業領域を思い切って拡大する必要 がある。
株式の公開を決めたのもそのためだ」と戸 田社長。
危機感を持って大手とのグローバル競争に挑 む。
インドが主戦場の一つになる。
 日立物流も昨年、インドの航空・海上フォワーダー で売上高約七四億円(〇八年三月期)のフライジャッ クを買収している。
これに先立つ〇七年十一月に日 立物流はニューデリーに日立物流(インド)を設立し、 既に現地で3PL事業を展開していた。
そのうえ新 たに現地企業を買収した狙いを、同社の鈴木登夫社 長は次のように語る。
 「フライジャックも、〇七年にチェコで出資したE SA社も、彼等の営業力が魅力だった。
現地荷主の 獲得がキーだ。
当社も含めて日系物流会社の海外事 業の荷主は日系ばかり。
しかし、現地市場の中心に いるのは、やはり現地企業だ。
そこにアクセスでき ない限り、マスはつかめない。
いつまで経っても海 外事業は自立できない」  日本の物流企業の海外展開は、今のところ主要荷 主に対する付帯サービスの域を出ていない。
利益が出  物流事業のグローバル化が海外の国内オペレーション へと深化を進めている。
同時にその対象エリアが中国・ 東南アジアから、インドや東欧諸国に広がっている。
し かし、新興国におけるオペーションに日本人スタッフを 投入すれば利益は出ない。
現地企業の買収と統合が課 題になっている。
       (大矢昌浩、梶原幸絵) 第 4 部 25  NOVEMBER 2011 進め、大手小売りのKPI(重要業績評価指標)な どに沿って改善を続けてきた。
 時間はかかったが、品質の向上に伴って業績は拡大 してきた。
グローバルに事業を展開するアイスクリー ムメーカーや現地の大手小売業などの荷主を獲得。
同 社のセンターはもともとポーランド北西部のズニンの みだったが、〇九年八月に中南部のラドムスコに新セ ンターを開設した。
 今年八月には、ドイツ系大手スーパーのカーフラン ドの全国一四八店舗への配送業務も開始した。
さら には英スーパー最大手のテスコから、大型店舗への配 送に加え、小型店舗一二五店舗への配送業務を受託 した。
今後は南西部に保管機能を備えたクロスドック 施設を設置し、ポーランド全土をカバーする配送網を 確立する考えだ。
 ニチレイロジグループの海津常務は「現地には当社 よりも安く仕事を請け負うところがいくらでもいる。
しかし安かろう悪かろうでは長続きしない。
そうし たところを使っていた荷主がウチに来るようになって きた」と胸を張る。
ニチレイロジに指名で買収が持ち 込まれるケースも増えている。
 同社の欧州事業の二〇一一年三月期の売上高は前 期比一〇・四%増の一億三八〇〇万ユーロ(一三九 億三八〇〇万円、一ユーロ=一〇一円換算)、営業利 益は一六・七%増の七〇〇万ユーロと好調だ。
一六 年三月期にはさらに売上高を三三%上積みし、営業 利益については四割以上の増加を目指す。
 ニチレイロジにはともに欧州へ進出する日系荷主 はいなかった。
それでもリスクをとって市場に乗り 込んだことで、現地の国内事業で継続的に利益を上 げることのできるビジネスモデルを確立することに成 功した。
るのは国際輸送だけで、人件費の割安な新興国の国 内事業はどこも持ち出しだ。
ただし、例外もある。
品質で現地の有力荷主を獲得  ニチレイロジグループは現在、欧州の冷蔵倉庫業界 で第八位の地位にある。
荷主企業は現地企業が大半 を占めている。
オランダに置く持ち株会社の下、欧 州各国の低温物流会社一〇社をM&Aで傘下に収め た。
これらの会社を通して欧州に輸入される食品の 物流や、現地の流通大手を荷主とする低温物流の一 括受託を行っている。
 買収した一〇社の社名と組織、経営体制、従業員 はすべて残している。
社長も現地人。
買収前の経営 者がそのまま留任するケースも多い。
しかし、単な る投資家として現地企業を買収しているわけではな い。
日本国内と同様に、物流品質の向上をグループ 経営の最大の軸に位置付けている。
 同社の海津和敏常務執行役員海外事業推進部長は 「九〇年代初めにオランダに駐在していた当社の社員 は、事務所の席に座る間もないほど各社の拠点を飛 び回り、物流品質に対する意識を浸透させていった。
初期の段階でそこまで中に入り込んでいなければ、今 の欧州事業はなかった」という。
 中でも〇四年に買収したポーランドのフリゴロジス ティクスでは苦労した。
欧州の他の会社では現在、四 半期に一度の社長会などを通じて品質管理を行って おり、昨年六月にフランスで買収したゴドフロア・グ ループを除けば、日本人駐在員は置いていない。
 これに対してポーランドでは今も日本人駐在員を 残している。
それだけ品質に関して問題が多かった。
これを改善するために経営層の指導だけでなく、現 地のマネージャーレベルにまで入り込んで意思共有を 特 集 ニチレイロジグループの 海津和敏常務執行役員 海外事業推進部長 PwCの金澤信隆トラ ンザクションサービス ディレクター NTLの戸田徹社長 会社名立地事業内容設備能力(m3) 計 ニチレイロジグループの欧州展開 ユーロフリゴ冷蔵倉庫 冷蔵倉庫 冷蔵倉庫 ニチレイ・ホールディング・ オランダ テルモトラフィック・ オランダ 持ち株会社 利用運送、 フォワーディング ─ ─ テルモトラフィック・ ─ ドイツ ユーロフリゴ・フェンロ ゴドフロア・グループ4 社 ヒワ社 冷蔵倉庫、 実運送 利用運送、 フォワーディング オランダ(フェンロ2 拠 点、ルールモンド) オランダ(ロッテルダ ム、フェンロ) ドイツ(ハンブルク他6 事業所) ポーランド(ズニン、 ラドムスコ) フランス(カルピケ、コロ ンベール、ルアーブル) オランダ(ロッテルダム 2 拠点) オランダ(ロッテルダム) オランダ(ロッテルダム) ポーランド(ワルシャワ) ベルギー(アントワープ) フランス(アラス) 英国(ルートン) 冷蔵倉庫、 利用運送 27 万7000 50 万8900 39 万 21 万500 9 万8868 148 万5268 フリゴロジスティクス

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