2012年6月号
特集
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事例研究 生産性の上がった現場を訪ねる 作業毎に設定したKPIで改善活動──ユニー
JUNE 2012 18
自動化で誤出荷ゼロを実現
愛知県犬山市に位置する「犬山ドライ物流セン
ター」は、大手小売チェーン・ユニーの中京地区
における一括物流センターとして、二〇〇九年一
月に誕生した。
延べ床面積五八〇〇坪の二層式で、 約六〇〇〇アイテムを在庫している。
「ドライ」という名の通り、取扱アイテムは加工 食品や飲料、酒類、菓子といった常温商品がメー ン。
納品先は、中京地区および京都、奈良、三重、 滋賀などにある「アピタ」や「ピアゴ」などユニー が展開する六四店舗だ。
同センターができる以前は、ユニーは中京地区だ けでドライセンターを二つ、菓子センターを二つ、 酒センターを一つと、カテゴリー別に物流センター を構えていた。
さらに、〇八年には吸収合併した ユーストアのドライセンター二つも加わり、計七つ もの常温センターを運営していた。
ユニーの営業統括本部IT物流部の村井秀紀物 流担当部長は「この体制はどう考えても非効率で、 グループシナジーを出すためにも、統廃合は避けて 通れなかった。
そこで、ドライ商品に関しては愛 知県の犬山市と大府市に物流センターを設け、そ こに集約した」と説明する。
コンペを実施し、犬山ドライ物流センターの運営 は食品卸の昭和に委託することにした。
ユニーと同 じ愛知県稲沢市に 本拠を構える有力 ベンダーの一社だ。
昭和がユニー専用 の物流センターを 建設し、庫内オペ レーションは物流子会社の昭和冷蔵が3PLとし て管理するというスキームだ。
以下、同センターにおける一連のフローを見てい こう。
まず午前六時から十一時までの午前中は入 庫作業に充てる。
入庫検品はハンディ端末で行い、 間違いが無ければ格納作業に移る。
よく動く特売品や、定番品の中でもAランクに 相当する商品は、一階の直置きエリアやラックに在 庫する。
Aランクの商品でも数量が多く一階に収ま りきらなかった分は、二階にある自動倉庫に入れ る。
BC商品、また店舗からの発注ロットがケー スではなくバラの商品は注文ロット数に小分けし、 二階の棚で保管する。
回転率のいい商品は動線の短い一階、それ以外 は二階に、保管場所を分けることで効率化を図っ ている。
ただし、その見極めが難しい。
同センターを指揮する昭和冷蔵の土方倫雄副セ ンター長は「季節などによって急に売れ出す商品が あったり、反対にピタッと止まる商品もある。
その ため、在庫しておく場所は日々見直す必要がある。
当初は大きく読み間違えたこともあったが、二年、 三年と経験を重ねることで、その精度も上がって きている」と語る。
ピッキングはまず、店舗からの注文情報が庫内の 各エリアにデータで飛ぶ。
ケース出荷する商品は、フ ォークリフトを使って総量ピッキング。
バラ商品は、 重量検品機能の付いたデジタルピッキングカートを 使い、納品する店舗毎にピッキングを行う。
ピッキング済みのケースや折りたたみ式コンテナ (オリコン)は、一階にある自動ソーターへ。
出 荷検品は自動化している。
ソーターの途中でケー スのJANコードを読み込む。
WMS上の出荷情 作業毎に設定したKPIで改善活動 ──ユニー 複数の拠点を統廃合し、中京地区の基幹物流セン ターとして2009年1月に稼働した。
自動倉庫、ソー ター、デジタル・ピッキング・カートなどのマテハン 設備を駆使して、誤出荷ゼロを実現している。
自動 化に頼るだけではない。
生産性を測る指標を作業ご とに設定し、継続的な改善活動に取り組んでいる。
(石鍋 圭) ユニーの村井秀紀 物流担当部長 センター概要 延べ床面積 約5800 坪・2 層式 在庫アイテム数 約6000 物流作業員 約100 人 1 人1 時間当たり平均処理行数 25.1 行(10 年比34.0%増) マテハン 自動倉庫、自動仕分け機、ハンディ端末、WM Sなど 管理手法 5S、フリーロケーションなど 事 例 研 究 生産性の上がった現場を訪ねる 特集 19 JUNE 2012 しているのはそのため。
システムに頼りすぎも良 くないが、人の手が介在するとどうしてもミスが 増える。
一定の自動化は必要だ。
使いこなすまで には多少の時間を要したが、現在の誤出荷はゼロ になっている」と言う。
月に一度の改善会議を実施 昭和冷蔵は一年ほど前から新たな取り組みを開 始している。
KPIに基づく生産性の管理だ。
二 階のラックエリアでは、作業員一人当たり単位時間 当たりの平均ピッキング数を指標にとっている。
同 様にピッキングカート、自動倉庫、自動ソーター、 一階のラックエリア、入庫作業など、それぞれの作 業ごとに指標を設定し、目標管理を行っている。
土方副センター長と四人の「現場リーダー長」が、 月に一度の改善会議で目標達成に必要な施策を検 討する。
現場リーダー長は、各作業を担当する「リ ーダー」および「サブリーダー」に改善策を指導し、 週に一度のミーティングで進捗状況を管理する。
そして、実績を翌月の改善会議で発表する。
そ の作業項目が目標に達成していれば、前月と同様 に次月の目標達成に向けて新たな施策を話し合う。
目標を達成していなければ、なぜ出来なかったか 要因を徹底的に洗い出す。
土方副センター長は「取り組み結果を報奨制度 などに反映しているわけではない。
それでも具体 的な目標を設定することで、現場作業員の意識は 高まる。
周囲のチームとも切磋琢磨するようにな り、作業のスピードと精度が同時に上がる。
また、 作業ごとにベースとなる数値を把握できるように もなり、それを基に作業人員の最適化などを図る こともできるようになった」と説明する。
報と齟齬が無ければ、「SCM(Shipping Carton Marking)ラベル」が自動貼付される。
SCMラベルには納品先の店舗情報が記載され ている。
それを基に商品はソーターの各間口に振り 分けられていく。
ソーターのシュート数は三五。
一 つの間口に二〜三店舗分を割り当てている。
間口に流れてきたケースを、ドライバーがカート ラックにカテゴリー別に格納し、トラックに積み込 む。
トラック一台で一店舗分の配送を基本として いる。
出荷は一日三便体制。
そのうち、午後一時まで に店舗から注文を受信した商品は、当日の午後五 時までに出荷準備を終え、その日の閉店時間まで に店舗に配送する。
「当日便」と呼んでいる。
第二便は午後四時で店舗から注文受信を締め切 り、午後八時頃までに出荷準備を終える。
ただし、 配送するのは翌日の早朝からで、店舗に着くのは 開店前の七時頃になる。
当日便と第二便では定番品をメーンに配送する のに対し、第三便は特売品の専用便となっている。
特売情報は一週間ほど前から物流センターに伝えら れているので、それに合わせて庫内の人員を準備 しておく。
第二便の出荷準備が終わった後の午後 八時頃からピッキング作業に取りかかる。
出荷準備 が終わった特売品は、第二便の後に発送され、店 舗に届くのは正午頃になる。
加工食品、飲料、酒は上記の手順で出荷されて いくが、菓子に関してのみ同センターはTCとして 機能している。
菓子は特に改廃が激しいため、在 庫を置くことを避けた。
店舗からの注文を正午で 締め切り、すぐにベンダーに発注。
三時間後には 商品がセンターに届き、当日便に乗せて店舗に届け ている。
このスピード発注・スピード納品を実現す るため、同センターではEDI(電子データ交換) にネット回線を基本とした「流通BMS」を採用 している。
ユニーの村井物流担当部長は「センター立ち上 げ当初から、とに かく誤出荷を発 生させないでほし いと昭和さんに要 請している。
大型 のマテハンを導入 昭和冷蔵の土方倫雄 副センター長 バラ商品には重量検品機能付きの ピッキングカートを使用 回転率の高いA ランク商品は 1F に在庫 カテゴリー別に整理して トラックに積み込む 自働ソーターの途中で SCM ラベルが貼られる
延べ床面積五八〇〇坪の二層式で、 約六〇〇〇アイテムを在庫している。
「ドライ」という名の通り、取扱アイテムは加工 食品や飲料、酒類、菓子といった常温商品がメー ン。
納品先は、中京地区および京都、奈良、三重、 滋賀などにある「アピタ」や「ピアゴ」などユニー が展開する六四店舗だ。
同センターができる以前は、ユニーは中京地区だ けでドライセンターを二つ、菓子センターを二つ、 酒センターを一つと、カテゴリー別に物流センター を構えていた。
さらに、〇八年には吸収合併した ユーストアのドライセンター二つも加わり、計七つ もの常温センターを運営していた。
ユニーの営業統括本部IT物流部の村井秀紀物 流担当部長は「この体制はどう考えても非効率で、 グループシナジーを出すためにも、統廃合は避けて 通れなかった。
そこで、ドライ商品に関しては愛 知県の犬山市と大府市に物流センターを設け、そ こに集約した」と説明する。
コンペを実施し、犬山ドライ物流センターの運営 は食品卸の昭和に委託することにした。
ユニーと同 じ愛知県稲沢市に 本拠を構える有力 ベンダーの一社だ。
昭和がユニー専用 の物流センターを 建設し、庫内オペ レーションは物流子会社の昭和冷蔵が3PLとし て管理するというスキームだ。
以下、同センターにおける一連のフローを見てい こう。
まず午前六時から十一時までの午前中は入 庫作業に充てる。
入庫検品はハンディ端末で行い、 間違いが無ければ格納作業に移る。
よく動く特売品や、定番品の中でもAランクに 相当する商品は、一階の直置きエリアやラックに在 庫する。
Aランクの商品でも数量が多く一階に収ま りきらなかった分は、二階にある自動倉庫に入れ る。
BC商品、また店舗からの発注ロットがケー スではなくバラの商品は注文ロット数に小分けし、 二階の棚で保管する。
回転率のいい商品は動線の短い一階、それ以外 は二階に、保管場所を分けることで効率化を図っ ている。
ただし、その見極めが難しい。
同センターを指揮する昭和冷蔵の土方倫雄副セ ンター長は「季節などによって急に売れ出す商品が あったり、反対にピタッと止まる商品もある。
その ため、在庫しておく場所は日々見直す必要がある。
当初は大きく読み間違えたこともあったが、二年、 三年と経験を重ねることで、その精度も上がって きている」と語る。
ピッキングはまず、店舗からの注文情報が庫内の 各エリアにデータで飛ぶ。
ケース出荷する商品は、フ ォークリフトを使って総量ピッキング。
バラ商品は、 重量検品機能の付いたデジタルピッキングカートを 使い、納品する店舗毎にピッキングを行う。
ピッキング済みのケースや折りたたみ式コンテナ (オリコン)は、一階にある自動ソーターへ。
出 荷検品は自動化している。
ソーターの途中でケー スのJANコードを読み込む。
WMS上の出荷情 作業毎に設定したKPIで改善活動 ──ユニー 複数の拠点を統廃合し、中京地区の基幹物流セン ターとして2009年1月に稼働した。
自動倉庫、ソー ター、デジタル・ピッキング・カートなどのマテハン 設備を駆使して、誤出荷ゼロを実現している。
自動 化に頼るだけではない。
生産性を測る指標を作業ご とに設定し、継続的な改善活動に取り組んでいる。
(石鍋 圭) ユニーの村井秀紀 物流担当部長 センター概要 延べ床面積 約5800 坪・2 層式 在庫アイテム数 約6000 物流作業員 約100 人 1 人1 時間当たり平均処理行数 25.1 行(10 年比34.0%増) マテハン 自動倉庫、自動仕分け機、ハンディ端末、WM Sなど 管理手法 5S、フリーロケーションなど 事 例 研 究 生産性の上がった現場を訪ねる 特集 19 JUNE 2012 しているのはそのため。
システムに頼りすぎも良 くないが、人の手が介在するとどうしてもミスが 増える。
一定の自動化は必要だ。
使いこなすまで には多少の時間を要したが、現在の誤出荷はゼロ になっている」と言う。
月に一度の改善会議を実施 昭和冷蔵は一年ほど前から新たな取り組みを開 始している。
KPIに基づく生産性の管理だ。
二 階のラックエリアでは、作業員一人当たり単位時間 当たりの平均ピッキング数を指標にとっている。
同 様にピッキングカート、自動倉庫、自動ソーター、 一階のラックエリア、入庫作業など、それぞれの作 業ごとに指標を設定し、目標管理を行っている。
土方副センター長と四人の「現場リーダー長」が、 月に一度の改善会議で目標達成に必要な施策を検 討する。
現場リーダー長は、各作業を担当する「リ ーダー」および「サブリーダー」に改善策を指導し、 週に一度のミーティングで進捗状況を管理する。
そして、実績を翌月の改善会議で発表する。
そ の作業項目が目標に達成していれば、前月と同様 に次月の目標達成に向けて新たな施策を話し合う。
目標を達成していなければ、なぜ出来なかったか 要因を徹底的に洗い出す。
土方副センター長は「取り組み結果を報奨制度 などに反映しているわけではない。
それでも具体 的な目標を設定することで、現場作業員の意識は 高まる。
周囲のチームとも切磋琢磨するようにな り、作業のスピードと精度が同時に上がる。
また、 作業ごとにベースとなる数値を把握できるように もなり、それを基に作業人員の最適化などを図る こともできるようになった」と説明する。
報と齟齬が無ければ、「SCM(Shipping Carton Marking)ラベル」が自動貼付される。
SCMラベルには納品先の店舗情報が記載され ている。
それを基に商品はソーターの各間口に振り 分けられていく。
ソーターのシュート数は三五。
一 つの間口に二〜三店舗分を割り当てている。
間口に流れてきたケースを、ドライバーがカート ラックにカテゴリー別に格納し、トラックに積み込 む。
トラック一台で一店舗分の配送を基本として いる。
出荷は一日三便体制。
そのうち、午後一時まで に店舗から注文を受信した商品は、当日の午後五 時までに出荷準備を終え、その日の閉店時間まで に店舗に配送する。
「当日便」と呼んでいる。
第二便は午後四時で店舗から注文受信を締め切 り、午後八時頃までに出荷準備を終える。
ただし、 配送するのは翌日の早朝からで、店舗に着くのは 開店前の七時頃になる。
当日便と第二便では定番品をメーンに配送する のに対し、第三便は特売品の専用便となっている。
特売情報は一週間ほど前から物流センターに伝えら れているので、それに合わせて庫内の人員を準備 しておく。
第二便の出荷準備が終わった後の午後 八時頃からピッキング作業に取りかかる。
出荷準備 が終わった特売品は、第二便の後に発送され、店 舗に届くのは正午頃になる。
加工食品、飲料、酒は上記の手順で出荷されて いくが、菓子に関してのみ同センターはTCとして 機能している。
菓子は特に改廃が激しいため、在 庫を置くことを避けた。
店舗からの注文を正午で 締め切り、すぐにベンダーに発注。
三時間後には 商品がセンターに届き、当日便に乗せて店舗に届け ている。
このスピード発注・スピード納品を実現す るため、同センターではEDI(電子データ交換) にネット回線を基本とした「流通BMS」を採用 している。
ユニーの村井物流担当部長は「センター立ち上 げ当初から、とに かく誤出荷を発 生させないでほし いと昭和さんに要 請している。
大型 のマテハンを導入 昭和冷蔵の土方倫雄 副センター長 バラ商品には重量検品機能付きの ピッキングカートを使用 回転率の高いA ランク商品は 1F に在庫 カテゴリー別に整理して トラックに積み込む 自働ソーターの途中で SCM ラベルが貼られる
