2012年12月号
特集
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Case study 物流事業 日本アクセス──ロジスティクス事業を収益の柱に
DECEMBER 2012 44
食のフルマーケットで勝負する
日本アクセスでは売上高と物流事業などで取り
扱っている物量の通過金額を足し合わせた数字を
「総事業規模」と呼んでいる。
これによると現在の 同社の総事業規模は約三兆五〇〇〇億円で、その 内訳は売上高が約一兆六〇〇〇億円、通過額が一 兆九〇〇〇億円となっている。
これを五兆円に拡大させることを当面の目標に 掲げている。
そのために従来メーンターゲットとし てきたスーパーマーケットに留まらず、外食や中食、 生鮮など食品関連市場全体に主戦場を広げる。
食 品小売市場の規模は現在約三〇兆円だが、関連市 場まで含めると約八〇兆円にまで広がる。
日本アクセスはもともと、チルドやフローズンと いった低温商品の領域では絶対的な強みがある。
同 社の前身である雪印アクセスは、雪印乳業(現: 雪印メグミルク)の子会社として、雪印グループの 販社機能を担っていた。
そのルーツからもわかる 通り、牛乳やチーズ、アイスクリームといった低温 製品の扱いでは長い経験を積んでいる。
低温インフラも充実している。
現在、同社の事 業所数は約三二〇。
そのうちの七割が低温設備を 備えている。
ライバルの三菱食品や国分と比較し ても圧倒的だ。
二〇〇四年に筆頭株主が雪印から伊藤忠商事に 変わったことに伴い、社名を現在の日本アクセスに 変更。
〇六年にはほぼ完全子会社となった。
翌〇 七年に同じく伊藤忠商事のグループ会社、西野商事 と合併。
西野商事はドライ食品に強みを持つ加食卸 で、当時の売上高は三〇〇〇億円を超えていた。
この合併により、日本アクセスの売上高は一兆 円を突破。
もともと強みのあったチルドとフローズ ンにドライも加わったことにより、三温度帯をバラ ンス良く扱えるようになった。
これを境に、三菱 食品や国分と肩を並べる大手食品総合卸へとその ステージを進めた。
さらに昨年、伊藤忠商事はグループ傘下の食品中 間流通事業でもう一段の再編を断行している。
日 本アクセスを基軸に、伊藤忠フレッシュ、ユニバー サルフード、ファミリーコーポレーションの三社を段 階的に統合した。
この統合により、それまでのア クセスに不足していた生鮮食品、業務用食品、物 流の機能が大幅に強化された格好だ。
このうち伊藤忠フレッシュは生鮮品、特にマグロ を中心とする水産品に強みを持つ。
売上高は約五 七五億円。
合併前のアクセスの生鮮商品の売上は 二二一億円程度だったが、伊藤忠フレッシュから 引き継いだ商権分を合算することで約五五〇億円 にまで拡大した。
両者の合併効果は単純な足し算だけでは留まら ない。
例えば、日本アクセスが加工食品メーカーと 組み、マグロに合わせた調味料などをPBとして 製造し、マグロと一緒に得意先に提案するなどの 活動も実施している。
その調味料の原料調達には 親会社である伊藤忠商事のパイプを活用するなど、 グループを挙げてのシナジーを追求している。
ユニバーサルフードは業務用食品が主力だ。
売 上高は約一五〇億円とアクセス全体の業績自体に 与える影響は決して大きいとは言えない。
ただし、 同社の合併を機に、業務用の分野で新たな取り組 みがスタートしている。
昨年一〇月に大手食品メーカーや業務用メーカ ー、原料メーカーなど約一四〇社が参加する「ア 日本アクセス ──ロジスティクス事業を収益の柱に 昨年3 月、日本アクセスは同じ伊藤忠商事グループの物 流会社、ファミリーコーポレーションを吸収合併した。
こ れにより、同社のロジスティクス事業は、食品物流大手の キユーソー流通システムやニチレイロジと伍す規模に拡大し た。
これまで商流の附帯サービスとして位置付けていた物 流を、収益の柱に育てる方針を固めている。
( 石鍋 圭) Case study 物流事業 45 DECEMBER 2012 なる一二九〇億円を計上。
売上高に占める割合も 八・二%と、アクセス全体におけるプレゼンスが急 激に高まっている。
対外的に見ても、ニチレイロジグループ(一一年 度売上高:一四九五億円)やキユーソー流通システ ム(同:一四〇一億円)など食品物流大手二社と 比較しても全く遜色のない規模だ。
卸という表の 顔に隠れて目立たないが、食品市場をドメインと する巨大物流企業が誕生したと見て良い。
日本アクセスのロジスティクス事業を管轄する中 井忍常務執行役員は「これまで当社にとって物流 サービスは商流をサポートする一機能に過ぎなかっ たが、FC社の吸収合併を機に大きく位置づけを変 えた。
商流とは切り離した純粋な物流事業を、収 益の柱の一つとして育てていく」と語る。
同社のロジスティクス事業の内訳は大きく二つ。
小売の専用センターの運営および店舗納品を受託 する「3PL」と、主にメーカー物流を受託する 「ロジスティクス営業」だ。
現状では3PL事業が ロジスティクス事業の売上の約九割を占めている。
3PL事業で活用する拠点を、同社では「MD センター」と呼んでいる。
その他に「支店・物流 センター」があるが、こちらは基本的に帳合の絡 む商品を在庫・出荷する拠点で、その在庫費用や 客先に届ける配送費はアクセスが負担する。
いわば コストセンターだ。
3PL事業におけ るアクセスの強みは、 潤沢な低温インフラ とそれを活用したオ ペレーションのほか、 卸としてのバックボ クセス業務用市場開発研究会」を立ち上げた。
メ ーカーとの協力体制を構築して業務用食品市場を 深耕し、商品開発とマーケティング力を強化するの が目的だ。
大手食品物流企業が誕生 昨年合併した三社の中で異彩を放つのが、ファ ミリーコーポレーション(FC)の存在だ。
他の二 社の業態が卸であるのに対し、同社だけは物流企 業。
同じく伊藤忠グループのファミリーマート向け の物流サービスが主力で、売上規模は約七〇〇億 円にのぼる。
FC社の合併により、日本アクセスの一一年度 の「ロジスティクス事業」は前年比一二九%増と ーンを挙げることができる。
中井常務は「コンペ でRFP(提案依頼書)を荷主からもらって、こ ちらから改善策を提案する時、卸として培ってき た “リテールサポート” の能力が非常に強みになる。
店のバックヤードの状況はもちろん、店頭の売場 面積、棚と棚との間隔、商品の陳列方法などまで を踏まえて、最適な物流を提案することができる。
通常の物流企業には無い機能だ」と説明する。
新たな取り組みも始める。
アクセスは専用センタ ーを運営してペイする最低限のラインを、通過額で 五〇億円、店舗数で二〇店舗と踏んでいるが、そ の規模に満たない小売チェーンも専用センターを志 向する傾向がある。
そのニーズに対応するため、複 数のチェーンの物流を束ねる「汎用MDセンター」 の受託・運営を今後推進していく方針だ。
ロジスティクス営業の売上高は一一年度実績で まだ一三〇億円に過ぎないが、伸びしろは大きい。
「小売りに比べて、メーカーの物流は手つかずの部 分がかなりある。
それだけに効率化のニーズも多 く、効果も挙げやすい。
しかも3PL事業で使っ ているトラックや拠点を使い回すことで、ロジ営業 は実質ノンアセットで展開できる。
一つ一つの案件 規模は決して大きくないが、利益率の高いビジネ スだ」と中井常務は判断している。
今期はロジスティクス事業の売上を一五〇〇億 円にまで伸ばす計画だ。
さらに、数年内には売上 二〇〇〇億円、利益一〇〇億円の達成を目指して いる。
ライバルの三菱食品は近年、物流事業への 意欲が停滞している。
国分はもともと帳合至上主 義で、そもそも物流に重きを置いていない。
アク セスが押し進める総合卸型の物流事業に、注目が 集まっている。
中井忍常務執行役員 伊藤忠商事グループの食品中間流通 日本アクセス 1 兆5820 億円 総合食品卸 西野商事 3300 億円(当時) ドライ食品主力 伊藤忠フレッシュ 575 億円(当時) 生鮮食品主力 07年4月合併 11年10月経営統合 11年3月合併 11年3月連結子会社化 (株式98%取得) 06年にほぼ完全子会社化 ファミリーコーポレーション 703 億円(当時) 物流事業 ユニバーサルフード 150 億円(当時) 業務用食品卸 伊藤忠食品 6054 億円 総合食品卸 ドライ分野 チルド分野 フローズン分野 その他分野 ロジスティクス事業 その他事業 613,087 38.8 104.3 538,588 34.0 108.2 281,791 17.8 110.1 18,564 1.2 101.3 129,035 8.2 229.2 885 0.1 114.3 11年度の売上構成 売上高(百万円) 構成比(%) 前年比(%) 伊藤忠商事 勝つのは誰だ 食品SCM 特集
これによると現在の 同社の総事業規模は約三兆五〇〇〇億円で、その 内訳は売上高が約一兆六〇〇〇億円、通過額が一 兆九〇〇〇億円となっている。
これを五兆円に拡大させることを当面の目標に 掲げている。
そのために従来メーンターゲットとし てきたスーパーマーケットに留まらず、外食や中食、 生鮮など食品関連市場全体に主戦場を広げる。
食 品小売市場の規模は現在約三〇兆円だが、関連市 場まで含めると約八〇兆円にまで広がる。
日本アクセスはもともと、チルドやフローズンと いった低温商品の領域では絶対的な強みがある。
同 社の前身である雪印アクセスは、雪印乳業(現: 雪印メグミルク)の子会社として、雪印グループの 販社機能を担っていた。
そのルーツからもわかる 通り、牛乳やチーズ、アイスクリームといった低温 製品の扱いでは長い経験を積んでいる。
低温インフラも充実している。
現在、同社の事 業所数は約三二〇。
そのうちの七割が低温設備を 備えている。
ライバルの三菱食品や国分と比較し ても圧倒的だ。
二〇〇四年に筆頭株主が雪印から伊藤忠商事に 変わったことに伴い、社名を現在の日本アクセスに 変更。
〇六年にはほぼ完全子会社となった。
翌〇 七年に同じく伊藤忠商事のグループ会社、西野商事 と合併。
西野商事はドライ食品に強みを持つ加食卸 で、当時の売上高は三〇〇〇億円を超えていた。
この合併により、日本アクセスの売上高は一兆 円を突破。
もともと強みのあったチルドとフローズ ンにドライも加わったことにより、三温度帯をバラ ンス良く扱えるようになった。
これを境に、三菱 食品や国分と肩を並べる大手食品総合卸へとその ステージを進めた。
さらに昨年、伊藤忠商事はグループ傘下の食品中 間流通事業でもう一段の再編を断行している。
日 本アクセスを基軸に、伊藤忠フレッシュ、ユニバー サルフード、ファミリーコーポレーションの三社を段 階的に統合した。
この統合により、それまでのア クセスに不足していた生鮮食品、業務用食品、物 流の機能が大幅に強化された格好だ。
このうち伊藤忠フレッシュは生鮮品、特にマグロ を中心とする水産品に強みを持つ。
売上高は約五 七五億円。
合併前のアクセスの生鮮商品の売上は 二二一億円程度だったが、伊藤忠フレッシュから 引き継いだ商権分を合算することで約五五〇億円 にまで拡大した。
両者の合併効果は単純な足し算だけでは留まら ない。
例えば、日本アクセスが加工食品メーカーと 組み、マグロに合わせた調味料などをPBとして 製造し、マグロと一緒に得意先に提案するなどの 活動も実施している。
その調味料の原料調達には 親会社である伊藤忠商事のパイプを活用するなど、 グループを挙げてのシナジーを追求している。
ユニバーサルフードは業務用食品が主力だ。
売 上高は約一五〇億円とアクセス全体の業績自体に 与える影響は決して大きいとは言えない。
ただし、 同社の合併を機に、業務用の分野で新たな取り組 みがスタートしている。
昨年一〇月に大手食品メーカーや業務用メーカ ー、原料メーカーなど約一四〇社が参加する「ア 日本アクセス ──ロジスティクス事業を収益の柱に 昨年3 月、日本アクセスは同じ伊藤忠商事グループの物 流会社、ファミリーコーポレーションを吸収合併した。
こ れにより、同社のロジスティクス事業は、食品物流大手の キユーソー流通システムやニチレイロジと伍す規模に拡大し た。
これまで商流の附帯サービスとして位置付けていた物 流を、収益の柱に育てる方針を固めている。
( 石鍋 圭) Case study 物流事業 45 DECEMBER 2012 なる一二九〇億円を計上。
売上高に占める割合も 八・二%と、アクセス全体におけるプレゼンスが急 激に高まっている。
対外的に見ても、ニチレイロジグループ(一一年 度売上高:一四九五億円)やキユーソー流通システ ム(同:一四〇一億円)など食品物流大手二社と 比較しても全く遜色のない規模だ。
卸という表の 顔に隠れて目立たないが、食品市場をドメインと する巨大物流企業が誕生したと見て良い。
日本アクセスのロジスティクス事業を管轄する中 井忍常務執行役員は「これまで当社にとって物流 サービスは商流をサポートする一機能に過ぎなかっ たが、FC社の吸収合併を機に大きく位置づけを変 えた。
商流とは切り離した純粋な物流事業を、収 益の柱の一つとして育てていく」と語る。
同社のロジスティクス事業の内訳は大きく二つ。
小売の専用センターの運営および店舗納品を受託 する「3PL」と、主にメーカー物流を受託する 「ロジスティクス営業」だ。
現状では3PL事業が ロジスティクス事業の売上の約九割を占めている。
3PL事業で活用する拠点を、同社では「MD センター」と呼んでいる。
その他に「支店・物流 センター」があるが、こちらは基本的に帳合の絡 む商品を在庫・出荷する拠点で、その在庫費用や 客先に届ける配送費はアクセスが負担する。
いわば コストセンターだ。
3PL事業におけ るアクセスの強みは、 潤沢な低温インフラ とそれを活用したオ ペレーションのほか、 卸としてのバックボ クセス業務用市場開発研究会」を立ち上げた。
メ ーカーとの協力体制を構築して業務用食品市場を 深耕し、商品開発とマーケティング力を強化するの が目的だ。
大手食品物流企業が誕生 昨年合併した三社の中で異彩を放つのが、ファ ミリーコーポレーション(FC)の存在だ。
他の二 社の業態が卸であるのに対し、同社だけは物流企 業。
同じく伊藤忠グループのファミリーマート向け の物流サービスが主力で、売上規模は約七〇〇億 円にのぼる。
FC社の合併により、日本アクセスの一一年度 の「ロジスティクス事業」は前年比一二九%増と ーンを挙げることができる。
中井常務は「コンペ でRFP(提案依頼書)を荷主からもらって、こ ちらから改善策を提案する時、卸として培ってき た “リテールサポート” の能力が非常に強みになる。
店のバックヤードの状況はもちろん、店頭の売場 面積、棚と棚との間隔、商品の陳列方法などまで を踏まえて、最適な物流を提案することができる。
通常の物流企業には無い機能だ」と説明する。
新たな取り組みも始める。
アクセスは専用センタ ーを運営してペイする最低限のラインを、通過額で 五〇億円、店舗数で二〇店舗と踏んでいるが、そ の規模に満たない小売チェーンも専用センターを志 向する傾向がある。
そのニーズに対応するため、複 数のチェーンの物流を束ねる「汎用MDセンター」 の受託・運営を今後推進していく方針だ。
ロジスティクス営業の売上高は一一年度実績で まだ一三〇億円に過ぎないが、伸びしろは大きい。
「小売りに比べて、メーカーの物流は手つかずの部 分がかなりある。
それだけに効率化のニーズも多 く、効果も挙げやすい。
しかも3PL事業で使っ ているトラックや拠点を使い回すことで、ロジ営業 は実質ノンアセットで展開できる。
一つ一つの案件 規模は決して大きくないが、利益率の高いビジネ スだ」と中井常務は判断している。
今期はロジスティクス事業の売上を一五〇〇億 円にまで伸ばす計画だ。
さらに、数年内には売上 二〇〇〇億円、利益一〇〇億円の達成を目指して いる。
ライバルの三菱食品は近年、物流事業への 意欲が停滞している。
国分はもともと帳合至上主 義で、そもそも物流に重きを置いていない。
アク セスが押し進める総合卸型の物流事業に、注目が 集まっている。
中井忍常務執行役員 伊藤忠商事グループの食品中間流通 日本アクセス 1 兆5820 億円 総合食品卸 西野商事 3300 億円(当時) ドライ食品主力 伊藤忠フレッシュ 575 億円(当時) 生鮮食品主力 07年4月合併 11年10月経営統合 11年3月合併 11年3月連結子会社化 (株式98%取得) 06年にほぼ完全子会社化 ファミリーコーポレーション 703 億円(当時) 物流事業 ユニバーサルフード 150 億円(当時) 業務用食品卸 伊藤忠食品 6054 億円 総合食品卸 ドライ分野 チルド分野 フローズン分野 その他分野 ロジスティクス事業 その他事業 613,087 38.8 104.3 538,588 34.0 108.2 281,791 17.8 110.1 18,564 1.2 101.3 129,035 8.2 229.2 885 0.1 114.3 11年度の売上構成 売上高(百万円) 構成比(%) 前年比(%) 伊藤忠商事 勝つのは誰だ 食品SCM 特集
