2012年12月号
ケース
ケース
エフピコ 拠点整備 小売店向け小分けセンターを全国に展開5度の検品で誤出荷率100万分の2を実現
DECEMBER 2012 52
九〇年代から卸の物流を支援
エフピコは弁当や総菜、肉、魚などを販売
する際に用いる食品容器のトップメーカーだ。
二〇一二年三月期の売上高は一五五六億円 で前年比一〇・六%増。
二期連続の二ケタ 成長で、経常利益も前年比十一・〇%増の 一四九億円を確保した。
製品開発力と小売 店に対する提案力を両輪に、不況下でも順調 に業績を伸ばしている。
強度を保ちながら軽量化を実現した容器や、 透明度の高い耐熱容器など、技術力を活か した製品のほか、高級和牛の見栄えを良くす る色柄、傾けてもにぎり寿司が一方へ偏らな いデザインなど、食材をおいしく見せる方法 や使い勝手を追求した製品開発で差別化に成 功している。
東日本大震災後の節電時には、 売り場の照明が暗くても刺身の鮮度が引き立 つ色の容器を開発した。
こうした同社の提案が小売店の商品開発に 直接反映されるケースが増えている。
スーパ ーやコンビニなどから指定された仕様で容器 を用意するだけでなく、小売りがメニューを 決める際に、エフピコの営業担当者が商品の 企画や食材選びの会議に参加して容器につい て技術面からのアドバイスや、規格・デザイ ンの提案を行い、商品開発を支援している。
小売りに対する「物流」の提案力でも同業 他社を圧倒している。
一般に食品容器メーカ ーの物流の守備範囲はケース単位で卸に納品 するまで。
その先の小売店への物流は問屋の 役割だ。
これに対しエフピコは、卸経由の流 通を基本としながらも、自ら資金を投じて店 舗別の小分け・配送基地となる「ピッキング センター(PC)」を各地に展開し、卸の機 能を補う戦略を採ってきた。
エフピコが川下の物流に目を向け始めたの は九〇年代の半ば。
小売業のM&Aが活発化 したのをきっかけに、食品や日用品業界で 中間流通の再編が本格化した時期だった。
容 器業界は市場環境の大きな変化に反応でき ていなかった。
中小の卸が各地に乱立する従 来の構造から抜け出せずにいた。
このままでは規模を拡大し全国化した小売 りのニーズにいずれ対応できなくなる恐れが あった。
危機感を強めたエフピコは、各地の 取引先卸に対して共同物流インフラの整備を 働きかけた。
地域ごとに卸が集まって共配セ ンターを運営する。
エフピコがそれを支援す るという提案だ。
各地で卸の賛同を得て、九〇年代の後半 までに全国に二六カ所の共配センターを開設 した。
これらの拠点からカバーする店舗数は 五〇〇〇店近くに及んだ。
だが共配事業そ のものは決して好調とは言えなかった。
問屋 によってスタンスの違いや地域差があり、全 体をまとめることが難しかった。
拠点の配置 も分散し過ぎていた。
そこで二〇〇〇年に仕切り直しを行った。
エフピコが主たる出資者となり卸三〇社から 小売りに対する提案力を強化するため、物流イ ンフラの整備を急ピッチで進めている。
メーカー主 導で店舗別ピッキングセンターを全国に展開、そ こに自社製品以外の関連資材も品揃えして、誤出 荷率100万分の2という精度で小売店に配送してい る。
同時にSCMの強化を図り、欠品の大幅な抑 制や需要地生産比率の向上によるコスト削減など の成果を上げている。
拠点整備 エフピコ 小売店向け小分けセンターを全国に展開 5度の検品で誤出荷率100万分の2を実現 53 DECEMBER 2012 も出資を受けて共配センターの運営会社とし て「アイ・ロジック」を設立、事業主体を一 本化した。
再スタート後、アイ・ロジックはセンター のスクラップ&ビルドに着手する。
二六カ所 あったセンターを三年間で十一カ所に集約し た。
これによって事業収支は改善した。
し かし、その後、配送先の店舗数は伸び悩ん だ。
卸の多くは物流機能を手放すことに慎重 で、アイ・ロジックへ業務を委託しようとい う卸はなかなか増えなかった。
そこでエフピコは積極策に打って出る。
〇 八年からアイ・ロジックが運営するセンター (PC)への本格的な設備投資に乗り出した。
エフピコは各工場に製品をケース単位で卸 へ出荷するための「配送センター(DC)」を 併設している。
その運営は同社の物流部門に あたる子会社のエフピコ物流が担当している。
アイ・ロジックが最初の三年間に実施した統 廃合は、このDC施設内にアイ・ロジックの PCを吸収する形だった。
これによってDC からPCへの横持ち輸送を不要にした。
しかし、パレット単位の製品を保管する天 井高の高い既存のDC施設は、小分け作業 がメーンのPCには適していない。
オペレー ションの高度化には制約があった。
そこでエ フピコは、アイ・ロジックの設備投資を支援 するかたちでPCの機能強化に動いた。
アイ・ロジックの設立当初から同社の社長 を務め現在はエフピコ物流の社長も兼務する 小泉哲氏は「(エフピコの)トップは、商品 だけでなく物流についても小売りから直接提 案を求められる日が遠からず訪れることを予 見し、思い切った投資を決断してくれた」と 振り返る。
配送先が七〇〇〇店に拡大 物流インフラの整備は急ピッチで進んだ。
〇九年六月に東京・町田市に延べ床面積二 六〇〇坪の「西関東PC」が竣工、続いて 翌一〇年五月に福山工場の敷地内に「福山 PC」が完成。
一一年六月には中部工場の DCを増改築してDCとPCの専用フロアを 整備した。
今年の六月に竣工した関東八千代工場に は、二階に天井高三・五メートル、床面積 三五〇〇坪のPC、三階に天井高八・五メ ートル、四五〇〇坪のDCを設けた。
来年 度も九州にPC、関西にDCとPCを新設す る予定だ。
四年間にわたる設備投資でPC の倉庫面積は延べ約一万坪増えた。
これに合わせてアイ・ロジックのセンター 運営事業も成長軌道を描き始める。
とくにこ こ一〜二年は年間の取扱数量が二割近い伸び を示しているという。
配送先の店舗数は七〇 〇〇店に迫っている。
エフピコは今年度、食 品容器の売り上げだけで一二〇〇億円を予測 しているが、そのうち二五〇億円がPC経 由となる見込みだ。
小売り側が問屋に対しアイ・ロジックのP C経由による取引を希望するケースが急速に 増えている。
「問屋の倉庫を経由せず店舗へ 直接納めることで横持ちや入出庫の手間を省 エフピコ物流とアイ・ロジッ クの小泉哲社長 DCとPC の床面積推移 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 (単位:坪) (前年比) 2008 2009 2010 2011 2012 2013 DC PC 6月 関東 DC&PC 6月 西関東PC 5月 福山PC 6月 中部 DC&PC 6月 九州PC 9月 関西DC&PC(左軸) 139% 127.9% 180.5% DCとPCの合計値(右軸) DECEMBER 2012 54 ける。
コスト面で明らかに有利」と小泉氏は 説明する。
アイ・ロジックは小売店が必要とする容器 や関連資材を一括納品するサービスをセール スポイントの一つにしている。
PCではエフ ピコの製品のほか、ラップやレジ袋などの消 耗品から厨房で使用する長靴まで幅広い商品 を扱う。
自社製品以外の仕入れはグループの エフピコ商事が担当している。
エフピコの製品は汎用品だけで六五〇〇ア イテム(平均的な在庫アイテム数)。
仕入れ 品は地域によって品目や仕入先がまちまちだ が、品数が最も多い関東地区のPCでは在庫 アイテムが六八〇〇を超える。
似通った製品が多く、以前はピッキング作 業をすべて目視で行っていたためミスが発生 しやすかった。
これを改善するためPCの整 備に合わせてバーコード管理を導入した。
エフピコの製品は、ビニール袋単位で小売 店に販売している。
そこで同社の工場から出 荷するすべての製品について、段ボール箱の 中袋単位でバーコードシールを貼付する体制 を三年がかりで整えた。
中袋にバーコードを 貼付したのは食品容器業界初。
他社からの 仕入れ品についても、PCの入荷検収の際に 入荷リストとバーコードシールを発行して同 様に管理できるようにした。
さらに作業の精度を高めるため、スキャン 検品を一次ピッキング・二次ピッキング・梱 包前・出荷準備・車両積載前の計五回にわ Cへの製品の供給計画・在庫計画を立案し ている。
これを受けてエフピコ物流がDCの 在庫・入出荷管理を行う。
システムの運用 で計画の短サイクル化を実現し、在庫や欠品 の抑制が進んだ。
欠品が減った理由はもう一つある。
以前は DCに在庫があるのに「欠品」扱いになって しまうことがしばしばあった。
食品と違い容 器は日付管理が不要なため、?先入れ先出し? という発想に欠け、手前にあるものから先に 出荷する傾向がある。
その結果、倉庫の奥 に追いやられた在庫を探しだせずに、欠品扱 いにしてしまうことがあった。
たって行っている。
最後の車両積載前の検品 は梱包済みのダンボールに貼付した梱包明細 ラベルのバーコードをチェックする。
この徹 底したスキャン検品の導入によって、誤出荷 率一〇〇万分の二という作業精度を実現し た。
PCの機能強化と並行してエフピコはDC の庫腹も年々増やしてきた。
この四年間で一 万八〇〇〇坪増えた。
売り上げ増への対応 のほか、主に工場周辺に賃借している外部倉 庫を撤収する狙いがある。
来年度の計画では 自社保管比率が九五%前後になる見通しだ。
小泉氏は「自社施設の償却費は賃料よりも 安く済む。
オペレーションコストも抑制でき る」とコストメリットを強調する。
欠品は一日二アイテムに減少 リニューアルしたDCでは業務内容を見直 してSCMの強化に取り組んでいる。
その一 つの成果が欠品率の改善だ。
以前は多い時に は一日に一五〇アイテムも欠品することがあ った。
それが現在は全六五〇〇アイテムに対 して欠品は平均でわずか二アイテム。
しかも、 欠品したアイテムも翌日には確実に供給でき るようになった。
販売計画・生産計画・供給計画を一元管 理するSCMシステムを安定稼動にこぎ着け たことでそれが可能になった。
エフピコでは SCM本部が営業部門の販売計画などをも とに工場の生産計画、資材の調達計画、D 一次ピッキング 二次ピッキング 梱包明細ラベルを貼付 検品を5回実施 55 DECEMBER 2012 需要地生産を増やしてきた。
工場の生産設 備と金型との整合性がとれるよう設備側に汎 用性を持たせることによってこれを実現した。
その結果、一一年度は主力商品であるFL B(汎用トレー)で、需要地生産比率を九 七・〇七%という水準に引き上げている。
販売数量によっては金型の移動よりも製 品の転送の方が低コストになるケースもある。
他にもリードタイムなどさまざまな要素を考 慮して最適化を図ることがSCMのテーマに なっている。
需要変動によってDCに欠品が生じた場合 には、ブロック外のDCから顧客へ直送する こともある。
そのコストをいかに抑制するか も課題の一つだ。
宅配便や路線便を利用する と運賃単価が割高になるため、なるべく自社 の拠点間輸送ネットワークに乗せることでコ スト削減を図っている。
昨年度は路線便による出荷比率を〇・一 九%まで抑制できた。
小泉氏は「物流拠点 のネットワークが整備され製品や金型の輸送 網ができあがっていなければ、これだけ自社 比率を高めることはできなかった」と強調す る。
ここ数年の売上規模拡大によってエフピコ のマーケットシェアは三割に近づいた。
シェ アが伸びれば市場に対する供給責任も大きく なる。
「最適な在庫で経営に貢献するだけで は済まされない。
どんな事態が起きても供給 が途絶えない体制を今のネットワーク上でど うやってつくるかが我々の次の課題になる」 と小泉氏は話している。
(フリージャーナリスト・内田三知代) こうしたミスをなくすため、庫内に固定棚 や移動式ラックを設置してロケーション管理 を徹底し、SCMシステムとWMSを連携さ せて在庫の可視化を図った。
工場からDCに 商品を移す際にパレット単位で、四ケタのユ ニークな乱数コードと入庫月を印字したシー ルを貼付する。
フォークリフトの作業者には 四ケタコードとロケーション番号で入出庫指 示を出し、入庫月で先入れ先出しを管理でき るようにしている。
コスト削減効果の大きい「需要地生産」の 拡大でも、SCMが成果を上げている。
エフピコは工場を全国十三カ所に構えてい る。
これに対し販売エリアを七ブロックに分 けて、ブロックごとにDCを設け、各地の需 要に応じて可能な限りブロック内の工場から 製品を引き取るようにしている。
しかし、ブ ロック内の工場で生産していない製品や不足 分はDC間の転送で補充することになる。
需要に応じて金型を転送 同社の製品は嵩もので運賃負担力に乏しい。
品揃えのための転送はできるだけ少なくして、 ブロック内で需給を完結させることが望まし い。
ただし、容器の生産には、それぞれ金 型が必要だ。
需要地での生産比率を上げるた めに高価な金型を全工場に設置すればコスト 負担が増大する。
そこで金型そのものを移動することにした。
同じ金型を工場間で転送して使い回す方法で 北海道工場 全国を網羅する生産・物流ネットワーク 《生産ネットワーク》《物流ネットワーク》 東北工場 関東工場 下館工場 つくば工場 ダックス 筑西工場 山形工場 富山工場 亀岡工場 笠岡工場 神辺工場 福山工場 中部工場 鹿児島工場 ダックス四国 九州工場 南郷工場 北海道PC 東北PC 関東PC 東京PC 西関東PC 新潟PC 広島PC 福山PC 関西配送C 関西PC 中部PC 九州配送C 福山配送C 北海道配送C 東北配送C 中部配送C 東日本ハブC 福岡PC 関東八千代工場 配送C 7 拠点 10 万8000 坪 PC 11 拠点 3 万5000 坪
二〇一二年三月期の売上高は一五五六億円 で前年比一〇・六%増。
二期連続の二ケタ 成長で、経常利益も前年比十一・〇%増の 一四九億円を確保した。
製品開発力と小売 店に対する提案力を両輪に、不況下でも順調 に業績を伸ばしている。
強度を保ちながら軽量化を実現した容器や、 透明度の高い耐熱容器など、技術力を活か した製品のほか、高級和牛の見栄えを良くす る色柄、傾けてもにぎり寿司が一方へ偏らな いデザインなど、食材をおいしく見せる方法 や使い勝手を追求した製品開発で差別化に成 功している。
東日本大震災後の節電時には、 売り場の照明が暗くても刺身の鮮度が引き立 つ色の容器を開発した。
こうした同社の提案が小売店の商品開発に 直接反映されるケースが増えている。
スーパ ーやコンビニなどから指定された仕様で容器 を用意するだけでなく、小売りがメニューを 決める際に、エフピコの営業担当者が商品の 企画や食材選びの会議に参加して容器につい て技術面からのアドバイスや、規格・デザイ ンの提案を行い、商品開発を支援している。
小売りに対する「物流」の提案力でも同業 他社を圧倒している。
一般に食品容器メーカ ーの物流の守備範囲はケース単位で卸に納品 するまで。
その先の小売店への物流は問屋の 役割だ。
これに対しエフピコは、卸経由の流 通を基本としながらも、自ら資金を投じて店 舗別の小分け・配送基地となる「ピッキング センター(PC)」を各地に展開し、卸の機 能を補う戦略を採ってきた。
エフピコが川下の物流に目を向け始めたの は九〇年代の半ば。
小売業のM&Aが活発化 したのをきっかけに、食品や日用品業界で 中間流通の再編が本格化した時期だった。
容 器業界は市場環境の大きな変化に反応でき ていなかった。
中小の卸が各地に乱立する従 来の構造から抜け出せずにいた。
このままでは規模を拡大し全国化した小売 りのニーズにいずれ対応できなくなる恐れが あった。
危機感を強めたエフピコは、各地の 取引先卸に対して共同物流インフラの整備を 働きかけた。
地域ごとに卸が集まって共配セ ンターを運営する。
エフピコがそれを支援す るという提案だ。
各地で卸の賛同を得て、九〇年代の後半 までに全国に二六カ所の共配センターを開設 した。
これらの拠点からカバーする店舗数は 五〇〇〇店近くに及んだ。
だが共配事業そ のものは決して好調とは言えなかった。
問屋 によってスタンスの違いや地域差があり、全 体をまとめることが難しかった。
拠点の配置 も分散し過ぎていた。
そこで二〇〇〇年に仕切り直しを行った。
エフピコが主たる出資者となり卸三〇社から 小売りに対する提案力を強化するため、物流イ ンフラの整備を急ピッチで進めている。
メーカー主 導で店舗別ピッキングセンターを全国に展開、そ こに自社製品以外の関連資材も品揃えして、誤出 荷率100万分の2という精度で小売店に配送してい る。
同時にSCMの強化を図り、欠品の大幅な抑 制や需要地生産比率の向上によるコスト削減など の成果を上げている。
拠点整備 エフピコ 小売店向け小分けセンターを全国に展開 5度の検品で誤出荷率100万分の2を実現 53 DECEMBER 2012 も出資を受けて共配センターの運営会社とし て「アイ・ロジック」を設立、事業主体を一 本化した。
再スタート後、アイ・ロジックはセンター のスクラップ&ビルドに着手する。
二六カ所 あったセンターを三年間で十一カ所に集約し た。
これによって事業収支は改善した。
し かし、その後、配送先の店舗数は伸び悩ん だ。
卸の多くは物流機能を手放すことに慎重 で、アイ・ロジックへ業務を委託しようとい う卸はなかなか増えなかった。
そこでエフピコは積極策に打って出る。
〇 八年からアイ・ロジックが運営するセンター (PC)への本格的な設備投資に乗り出した。
エフピコは各工場に製品をケース単位で卸 へ出荷するための「配送センター(DC)」を 併設している。
その運営は同社の物流部門に あたる子会社のエフピコ物流が担当している。
アイ・ロジックが最初の三年間に実施した統 廃合は、このDC施設内にアイ・ロジックの PCを吸収する形だった。
これによってDC からPCへの横持ち輸送を不要にした。
しかし、パレット単位の製品を保管する天 井高の高い既存のDC施設は、小分け作業 がメーンのPCには適していない。
オペレー ションの高度化には制約があった。
そこでエ フピコは、アイ・ロジックの設備投資を支援 するかたちでPCの機能強化に動いた。
アイ・ロジックの設立当初から同社の社長 を務め現在はエフピコ物流の社長も兼務する 小泉哲氏は「(エフピコの)トップは、商品 だけでなく物流についても小売りから直接提 案を求められる日が遠からず訪れることを予 見し、思い切った投資を決断してくれた」と 振り返る。
配送先が七〇〇〇店に拡大 物流インフラの整備は急ピッチで進んだ。
〇九年六月に東京・町田市に延べ床面積二 六〇〇坪の「西関東PC」が竣工、続いて 翌一〇年五月に福山工場の敷地内に「福山 PC」が完成。
一一年六月には中部工場の DCを増改築してDCとPCの専用フロアを 整備した。
今年の六月に竣工した関東八千代工場に は、二階に天井高三・五メートル、床面積 三五〇〇坪のPC、三階に天井高八・五メ ートル、四五〇〇坪のDCを設けた。
来年 度も九州にPC、関西にDCとPCを新設す る予定だ。
四年間にわたる設備投資でPC の倉庫面積は延べ約一万坪増えた。
これに合わせてアイ・ロジックのセンター 運営事業も成長軌道を描き始める。
とくにこ こ一〜二年は年間の取扱数量が二割近い伸び を示しているという。
配送先の店舗数は七〇 〇〇店に迫っている。
エフピコは今年度、食 品容器の売り上げだけで一二〇〇億円を予測 しているが、そのうち二五〇億円がPC経 由となる見込みだ。
小売り側が問屋に対しアイ・ロジックのP C経由による取引を希望するケースが急速に 増えている。
「問屋の倉庫を経由せず店舗へ 直接納めることで横持ちや入出庫の手間を省 エフピコ物流とアイ・ロジッ クの小泉哲社長 DCとPC の床面積推移 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 180,000 160,000 140,000 120,000 100,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 (単位:坪) (前年比) 2008 2009 2010 2011 2012 2013 DC PC 6月 関東 DC&PC 6月 西関東PC 5月 福山PC 6月 中部 DC&PC 6月 九州PC 9月 関西DC&PC(左軸) 139% 127.9% 180.5% DCとPCの合計値(右軸) DECEMBER 2012 54 ける。
コスト面で明らかに有利」と小泉氏は 説明する。
アイ・ロジックは小売店が必要とする容器 や関連資材を一括納品するサービスをセール スポイントの一つにしている。
PCではエフ ピコの製品のほか、ラップやレジ袋などの消 耗品から厨房で使用する長靴まで幅広い商品 を扱う。
自社製品以外の仕入れはグループの エフピコ商事が担当している。
エフピコの製品は汎用品だけで六五〇〇ア イテム(平均的な在庫アイテム数)。
仕入れ 品は地域によって品目や仕入先がまちまちだ が、品数が最も多い関東地区のPCでは在庫 アイテムが六八〇〇を超える。
似通った製品が多く、以前はピッキング作 業をすべて目視で行っていたためミスが発生 しやすかった。
これを改善するためPCの整 備に合わせてバーコード管理を導入した。
エフピコの製品は、ビニール袋単位で小売 店に販売している。
そこで同社の工場から出 荷するすべての製品について、段ボール箱の 中袋単位でバーコードシールを貼付する体制 を三年がかりで整えた。
中袋にバーコードを 貼付したのは食品容器業界初。
他社からの 仕入れ品についても、PCの入荷検収の際に 入荷リストとバーコードシールを発行して同 様に管理できるようにした。
さらに作業の精度を高めるため、スキャン 検品を一次ピッキング・二次ピッキング・梱 包前・出荷準備・車両積載前の計五回にわ Cへの製品の供給計画・在庫計画を立案し ている。
これを受けてエフピコ物流がDCの 在庫・入出荷管理を行う。
システムの運用 で計画の短サイクル化を実現し、在庫や欠品 の抑制が進んだ。
欠品が減った理由はもう一つある。
以前は DCに在庫があるのに「欠品」扱いになって しまうことがしばしばあった。
食品と違い容 器は日付管理が不要なため、?先入れ先出し? という発想に欠け、手前にあるものから先に 出荷する傾向がある。
その結果、倉庫の奥 に追いやられた在庫を探しだせずに、欠品扱 いにしてしまうことがあった。
たって行っている。
最後の車両積載前の検品 は梱包済みのダンボールに貼付した梱包明細 ラベルのバーコードをチェックする。
この徹 底したスキャン検品の導入によって、誤出荷 率一〇〇万分の二という作業精度を実現し た。
PCの機能強化と並行してエフピコはDC の庫腹も年々増やしてきた。
この四年間で一 万八〇〇〇坪増えた。
売り上げ増への対応 のほか、主に工場周辺に賃借している外部倉 庫を撤収する狙いがある。
来年度の計画では 自社保管比率が九五%前後になる見通しだ。
小泉氏は「自社施設の償却費は賃料よりも 安く済む。
オペレーションコストも抑制でき る」とコストメリットを強調する。
欠品は一日二アイテムに減少 リニューアルしたDCでは業務内容を見直 してSCMの強化に取り組んでいる。
その一 つの成果が欠品率の改善だ。
以前は多い時に は一日に一五〇アイテムも欠品することがあ った。
それが現在は全六五〇〇アイテムに対 して欠品は平均でわずか二アイテム。
しかも、 欠品したアイテムも翌日には確実に供給でき るようになった。
販売計画・生産計画・供給計画を一元管 理するSCMシステムを安定稼動にこぎ着け たことでそれが可能になった。
エフピコでは SCM本部が営業部門の販売計画などをも とに工場の生産計画、資材の調達計画、D 一次ピッキング 二次ピッキング 梱包明細ラベルを貼付 検品を5回実施 55 DECEMBER 2012 需要地生産を増やしてきた。
工場の生産設 備と金型との整合性がとれるよう設備側に汎 用性を持たせることによってこれを実現した。
その結果、一一年度は主力商品であるFL B(汎用トレー)で、需要地生産比率を九 七・〇七%という水準に引き上げている。
販売数量によっては金型の移動よりも製 品の転送の方が低コストになるケースもある。
他にもリードタイムなどさまざまな要素を考 慮して最適化を図ることがSCMのテーマに なっている。
需要変動によってDCに欠品が生じた場合 には、ブロック外のDCから顧客へ直送する こともある。
そのコストをいかに抑制するか も課題の一つだ。
宅配便や路線便を利用する と運賃単価が割高になるため、なるべく自社 の拠点間輸送ネットワークに乗せることでコ スト削減を図っている。
昨年度は路線便による出荷比率を〇・一 九%まで抑制できた。
小泉氏は「物流拠点 のネットワークが整備され製品や金型の輸送 網ができあがっていなければ、これだけ自社 比率を高めることはできなかった」と強調す る。
ここ数年の売上規模拡大によってエフピコ のマーケットシェアは三割に近づいた。
シェ アが伸びれば市場に対する供給責任も大きく なる。
「最適な在庫で経営に貢献するだけで は済まされない。
どんな事態が起きても供給 が途絶えない体制を今のネットワーク上でど うやってつくるかが我々の次の課題になる」 と小泉氏は話している。
(フリージャーナリスト・内田三知代) こうしたミスをなくすため、庫内に固定棚 や移動式ラックを設置してロケーション管理 を徹底し、SCMシステムとWMSを連携さ せて在庫の可視化を図った。
工場からDCに 商品を移す際にパレット単位で、四ケタのユ ニークな乱数コードと入庫月を印字したシー ルを貼付する。
フォークリフトの作業者には 四ケタコードとロケーション番号で入出庫指 示を出し、入庫月で先入れ先出しを管理でき るようにしている。
コスト削減効果の大きい「需要地生産」の 拡大でも、SCMが成果を上げている。
エフピコは工場を全国十三カ所に構えてい る。
これに対し販売エリアを七ブロックに分 けて、ブロックごとにDCを設け、各地の需 要に応じて可能な限りブロック内の工場から 製品を引き取るようにしている。
しかし、ブ ロック内の工場で生産していない製品や不足 分はDC間の転送で補充することになる。
需要に応じて金型を転送 同社の製品は嵩もので運賃負担力に乏しい。
品揃えのための転送はできるだけ少なくして、 ブロック内で需給を完結させることが望まし い。
ただし、容器の生産には、それぞれ金 型が必要だ。
需要地での生産比率を上げるた めに高価な金型を全工場に設置すればコスト 負担が増大する。
そこで金型そのものを移動することにした。
同じ金型を工場間で転送して使い回す方法で 北海道工場 全国を網羅する生産・物流ネットワーク 《生産ネットワーク》《物流ネットワーク》 東北工場 関東工場 下館工場 つくば工場 ダックス 筑西工場 山形工場 富山工場 亀岡工場 笠岡工場 神辺工場 福山工場 中部工場 鹿児島工場 ダックス四国 九州工場 南郷工場 北海道PC 東北PC 関東PC 東京PC 西関東PC 新潟PC 広島PC 福山PC 関西配送C 関西PC 中部PC 九州配送C 福山配送C 北海道配送C 東北配送C 中部配送C 東日本ハブC 福岡PC 関東八千代工場 配送C 7 拠点 10 万8000 坪 PC 11 拠点 3 万5000 坪
