2012年3月号
特集

第1部 目指せアジアの物流メジャー 韓国パントスロジスティクス──LG グループの圧倒的物量を武器に パントスジャパン 申東 社長

MARCH 2012  30 韓国パントスロジスティクス ──LG グループの圧倒的物量を武器に  韓国LGグループの海外物流をほぼ一手に請け負って いる。
海上フォワーダーとして世界4位の取扱量を誇り、 航空輸送でも仁川空港をハブに年間約180機のチャーター 便を飛ばしている。
分厚いベースカーゴを武器に韓国系 以外の荷主を開拓し、グローバルトップ10入りを目指す。
成田に国際ネット通販の新拠点 ──最大荷主の韓国LGグループとパントスロジス ティクスとの関係は?  「当社はLGグループのハウスフォワーダーですが、 LGグループと直接の資本関係はありません。
オー ナー同士が実の兄弟だったという関係です。
亡くなっ た当社の創業者がLGエレクトロニクスの米国法人 の社長を務めていた時代に、一族の誰かがグループ の貨物を扱う仕事をしようということになって、一 九七七年に当社が設立されました。
当時のLGエレ クトロニクスはGE向けなどのOEM生産がメーン で、韓国からの輸出が当社の主な役割でした」  「ただし、二〇〇〇年代に入るまでは海空ともL Gエレクトロニクスの輸出貨物の三、四割を扱って いるだけでした。
〇二年に体制が大きく変わりまし た。
この年にLGエレクトロニクスとLGケミカルが 海外物流部門を人員ごと当社に移管しました。
その 後もグループの物流の集約が進み、またLGグルー プの事業が拡大していくのに伴って、当社の取扱量 も急速に増えていきました。
現在はLGグループの 海外物流のほぼ一〇〇%を当社が扱っています」 ──日本では物流子会社を売却したり清算したりす るメーカーが増えています。
コスト高だという理由 です。
パントスにも、その心配はありませんか。
 「LGグループのフォワーディング業務は完全な競 争入札です。
海上貨物は一年に一回、航空輸送は三 カ月に一回のペースでオープンビッドがある。
ビッド には欧米や日系のフォワーダーも当然参加してきま す。
どのフォワーダーも地域によって強い弱いがあ りますから、当社に競争力がないルートは他社に取 られてしまいます。
そのため当社は〇二年を契機に グローバルネットワークの拡充を進めてきました」 ──規模の面でパントスよりも大きな物流会社はい くつもあります。
コストだけでは勝てないはずです。
その割には仕事をとれているのでは?  「もちろんビッドは料金だけで判断されるわけでは なく、ITの能力やネットワークを運用する力も評 価の対象になります。
それでもコストパフォーマンス が悪ければ当社が選ばれることはない。
結果として 当社が選ばれているのは競争力があるからです。
実際、 当社の売り上げの内訳はグローバルではLGグループ 向けが七割ですが、三割はそれ以外の一般荷主です。
日本(パントスジャパン)だけでいえばLG向けは 四割で、六割が外販です。
それだけ競争力がある」 ──荷主企業、LGグループのグローバル化はパント スの事業に何をもたらしたのでしょうか。
 「以前は韓国から欧米への輸出が物流のメーンで した。
しかし、その後、東南アジアや中国に工場が 移り、さらにはアジア域内を複雑にモノが行き交う ようになりました。
日本のメーカーも同じでしょうが、 韓国のほうが若干その時期が早かった。
とくにヨーロッ パ、ブラジル、南米、インド、アフリカなどは韓国 のメーカーの方が早かったと思います。
そしてLG グループと同時に当社も世界各地に出て行った。
そ のため現地の物流については他の外資系と比べて一 日の長がある。
そのノウハウを活かして現在、外販 営業をかけています」 ──事業領域としては、やはりフォワーディングが 中心ですか。
 「国内輸送まで含めたドア・ツー・ドアが基本です。
その一部としてフォワーディング機能がある。
調達 物流や構内物流もずっと手掛けてきました。
しかも 従来、当社はアセットを持たない主義だったのです パントスジャパン 申東 社長 第1部 目指せアジアの物流メジャー 31  MARCH 2012 が、現在は少し変わってきていて、自社で通関を切り、 自社倉庫に入れて、自社トラックで配送するところ までやるようになりました」  「日本でも今年から『eビジネス』を始めます。
国際ネット通販の物流です。
当面はアメリカから輸 入して日本の消費者に配送する貨物が対象になりま すが、今後は韓国や中国からの輸入もそこに加わる はずです。
成田に新たに拠点を構え既にトライアル を実施しています。
後は免許次第ですが、今年四月 には本格的にサービスを開始できる見込みです。
日 本国内の末端配送は佐川急便さんと組みました」 ──eビジネスの当面の荷主はLGグループですか?  「違います。
我々から具体名を発表することはで きませんが、荷主としては韓国企業、営業活動はア メリカで行って受託した案件です。
先ほどご説明し たように既に当社はLGグループの海外物流をほぼ 一〇〇%受託しています。
今後、当社が成長してい くには、韓国系以外の荷主を開拓していく必要があ ります。
それによってボリュームを増やしコスト競 争力を付けていくことが、LGグループにとっても メリットになる」  「当社は現在、年間約一八〇万TEUの海上貨物 を扱っています。
これはDHL、キューネ+ナーゲル、 パナルピナに次いで世界第四位です。
航空フォワー ダーとしては、まだ二一位ですが、二〇一〇年にはボー イング七四七のフレーターを約一八〇便チャーターし ました。
アトラス航空、カンタス航空、NCAの三 社を中心に飛行機を借りてキャリアの立場で運航し ているわけです。
そこにはサムスングループや現代 自動車の荷物も積んでいます」 ──二〇二〇年にグローバル物流市場でトップ 10 入 りするという目標を掲げていますね。
 「グローバルに展開するには、やはり規模は必要で す。
そうしないとベースカーゴの薄い地域では勝負 にならない」 日系物流会社に相互補完を提案 ──日本事業は今後どう展開していきますか。
 「このところ日系の荷主企業をどう取り込んでい くかというテーマで、グローバルな社内会議を行っ てきました。
中国、東南アジア、インドネシアなど の生産地に各国のスタッフが集まって、日系企業に 対して戦略的にサービス提供していく方法を検討し ました。
その結果、荷主企業への直接的なアプロー チと並行して、世界各地に進出している日系の物流 会社と協力関係を結んでいく方針を立てました」  「日系物流企業の海外展開は、主要荷主と一緒に 出て行って日本と同じオペレーションを現地で行う というやり方ですから、倉庫の運営には強い。
しか し、国際物流となると、日本の最大手クラス以外で は弱いところが出てくる。
そうしたところに提案し て現地の国際物流を我々が担う」  「一方で日本国内のアセットという点では当社はそ うした日系の物流会社には敵わない。
これから当社 が日本国内に重いアセットを持っても拡張性がない し、そもそも国内のアセットは余っている。
そこで 当社が受託した仕事で日本で必要になる機能は日系 の物流会社に分担してもらう。
そうしたかたちのパー トナーシップを打診していきます」 ──日系の物流企業は必ずしもライバルではない。
 「日本と韓国は似ているところが多い。
競い合う よりも協力し合ったほうがお互いにメリットがある」 ──そうだするとライバルは?  「最大のライバルはDHLだと考えています」  1977年にLGエレクトロニクスの創業者一族が同社のハ ウスフォワーダーとして汎韓物流を創業。
92年、汎韓総合 物流(PanKorea Express)に社名変更。
94年、東京支店 開設。
2001〜02年にかけ、LGエレクトロニクスやLGケミ カルなどから海外物流部門を承継。
これを機にグローバル 化を本格化。
世界各地に拠点を設立していった。
 06年に現在のパントスロジスティクスに社名変更。
世界 36カ国92カ所に現地法人・支店を展開し、グローバル売 上高は約2700億円(2010年度)。
2020年までにグローバ ル物流市場のトップ10入りを目指している。
 日本法人は02年5月にエフエヌエスジャパンを設立。
06 年、親会社の社名変更に伴い、パントスジャパンに商号変 更。
10年度の売上高は34.4億円。
《企業概要》 パントスロジスティクス パントスグループの売上高と取扱量 160 140 120 100 80 60 40 20 0 パントスジャパン資料より 04 年度 05 年度 06 年度 07 年度 08 年度 09 年度 10 年度 40 35 30 25 20 15 10 5 0 (万TEU) (万トン) 35.5 152.2 8.3 28.3 21.0 20.0 14.4 12.1 10.0 海上貨物取扱量(左軸) 売上高(億ドル) 航空貨物取扱量(右軸) 物流大手の 特集

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