2013年1月号
特集

意識改革 バンダイロジパル ──「これやっちゃダメよ!」活動を徹底

 庫内作業などの基本動作を毎日徹底させる品質 改善活動を全国の物流拠点で展開している。
成果 は社内に公表して従業員に現状を把握させ、改善 への意識を高めている。
「当たり前のことを当たり 前にやるだけではサービスの品質が良くなったとは 言わない」との信念から、各拠点が顧客のイレギ ュラーな依頼にきちんと対応できたかどうか評価 する試みも始めた。
「五〇日間順守」がルール  玩具大手バンダイナムコホールディングス傘下の バンダイロジパル(以下、ロジパル)は、一〇〇% 子会社のロジパルエクスプレス(以下、エクスプレ ス)と連携して物流事業を展開している。
ロジパ ルが荷主への物流改革の企画・提案を、エクスプレ スが現業部門として輸配送や物流管理をそれぞれ 担当。
バンダイナムコグループ内の物流最適化と、 外部顧客の維持・開拓の両立に日々挑んでいる。
 ロジパルが物流サービスを提供する上で基本とし ているKPIが、破損や誤出荷、誤配送などの商 品事故率だ。
KPIを作成するに当たっては、自 社のオペレーションの範囲内で生じたトラブルに加 え、傭車先で起こった破損などの事故についても、 自分たちのものとして件数にカウントしている。
 ロジパルの馬場範夫社長(エクスプレス社長を兼 務)は「傭車先も含めようというのは現場サイドか らの発案。
自分たちだろうが、外部だろうが顧客 からクレームが来たという事実は同じだ。
そういっ た点に現場の人たちが気付いてくれた」と現場の 品質向上への意識の高さを強調する。
現在は「商 品事故の件数を前年度比で半減」を常に全社的な 目標に掲げている。
 目標達成に向け、社内で継続的に進めている各 種運動の一角を占めるのが、二〇〇六年度にスタ ートした「KYD活動」だ。
KYDは「これ(K) やっちゃ(Y)ダメよ!(D)」の頭文字を取った ものだ。
 基本動作の不徹底が原因で商品破損や誤配送、 フォークリフトの事故などが起きないよう、入出荷 やピッキング、検品、工具管理などに関わる一〇〇 程度のチェック項目を設定。
全国にあるロジパル、 エクスプレス両社の拠点一八カ所で、それぞれ業務 内容を考慮しながら、必須の二項目と、自由に選 べる三項目の計五項目を取り組む課題として設定 する仕組みだ。
 各項目の内容を順守できているかどうか、拠点 ごとに担当者が毎日点検。
五〇日間連続して達成 すれば、本社のKYD活動事務局が、その項目に ついては継続して守ることができるとした認定書 JANUARY 2013  22 を発行し、目標の項 目は別のものに変わ る。
 もし五〇日に到 達するまでにチェッ クシートに×が付け ば、再び一日目からのカウントとなり、スタートラ インに戻ることを強いられる。
さらに、ある項目 について本社から認定された後でも、その項目内 容を徹底せずに事故を起こした場合、同じく一か ら再スタートとなる可能性もある。
 チェック項目のラインアップは毎年見直しており、 一二年度は必須項目として、「フォークリフトの始 業前点検」と「貸し出し品管理」の二つを盛り込ん でいる。
一方、選択項目には「入荷時に破損等が ないか必ず確認を行っているか」「荷札は住所・客 先名・着日・品番・品名のチェックを確実に行って いるか」「不安定な積み付けをしていないか」「出 荷のピッキング・検品の際に誰が実施したかサイン が入っているか」「パレットから商品がはみ出して いないか」などのチェックポイントを提示。
各営業 所が自分たちの業務内容などを踏まえ、設定され たもの以外に独自の項目を考えることも可能だ。
 本社から認定された項目が積み重なっていけば、 その拠点が基本動作をきちんと行い、品質向上に 意欲的であることを意味し、拠点自体の評価向上 に繋がる。
また、各拠点が設定目標に対してどの 程度順守できているかの割合は数値化し、定期的 に社内で公開している。
従業員が自分の所属する 拠点の実情を知ることで、業務改善意欲を高める とともに、他の拠点との競争意識を持つ効果も期 待できる。
──「これやっちゃダメよ!」活動を徹底 バンダイロジパル意識改革 馬場範夫社長 23  JANUARY 2013  KYD活動を発案したのは、〇六年度の新入社 員だった。
新人向けのフォローアップ研修で独自の 企画を考えさせたところ、原型となるアイデアが 出され、役員が採用を即断。
先輩社員の意見も取 り入れながら運動の詳細を固め、同年度中にスタ ートした。
 一〇年度には、全社一丸となって品質改善に当 たる環境を醸成しようと、従業員が職場内でチー ムを作り、年一回、庫内作業などの品質向上策の 提案内容を競い合う「Good Quality (GQ)コンテスト」を開始した。
 一一年度には三四のテーマで応募があった。
この うち、最優秀の金賞に選ばれたのは「品質維持・ 向上のための作業ルールを決め、誰もが継続して 守られる活動を実施」のテーマだった。
ピッキング などの作業工程で間違えやすいポイントをまとめた ルールブックを作成し、各現場に常備して守らせる ことで、工程に携わる人が交替しても注意すべき 点が確実に引き継がれるようにするというものだ。
 KYD活動やGQコンテストのほか、「6S活動」 や作業マニュアルの順守など、様々な施策を複合的 に打ってきた結果、一二年度上半期の商品事故率 はカートン単位で〇・〇〇二%と、現状では年度 目標と同水準にある。
ただ、馬場社長は「品質自 体は決して悪いとは思っていないが、これでもま だまだ堂々と胸を張って少ないとは言えない」と、 継続的な取り組みを誓っている。
「無理聞くのがロジパル」目指す  物流品質については、従来はエクスプレス内の 「営業所管理部」が担ってきた。
しかし、ロジパル も3PL以外に、ゲームセンターのアミューズメン ト機器運搬や国際物流を手掛けており、庫内作業 に携わるなど、現場に深くタッチするケースが増え ている。
そのため両社が一体となって品質維持、向 上を図る組織が必要と判断。
ロジパル内に一二年、 新たに「物流品質統括部」を設けた。
 安全への意識を高め、車両事故を抑えてサービ ス品質向上にも繋げようとの狙いから、既に実施 しているトラックドライバーの社内コンテストに加 え、一二年度には、フォークリフトの乗務者につ いても初めてコンテストを実施。
主要拠点に配置 しているフォークリフトの管理責任者約一五人が東 京都内の教習所で一堂に会し、実技(走行、積み 卸し)と筆記(関係法令や機械の構造など)、機器 点検の計三種目で技能や知識水準を競い合った。
 馬場社長は「特に点検は普段から責任者がきち んとやっているかどうかで、スピードや正確さが全 く違ってくる。
日頃取り組んでいる姿勢が如実に 分かる。
責任者には、コンテストで経験したこと を自分の現場に持ち帰り、業務に役立ててもらう」 と意義を解説する。
 同じく一二年度に、新たな物流品質向上策とし て、全国の拠点を対象に、顧客からのイレギュラ ーな要望にどのように応えられたかをチェックし、 各拠点の評価材料とする試みを開始した。
経営幹 部らが参加して毎月開催している「品質向上会議」 で、各営業所や事業所から事例を報告させ、うま く対応できた案件を汲み上げている。
 具体的には、商品を至急発送してほしいとの依 頼を受けてから一時間後に出荷を済ませたり、販 促物の複雑な流通加工作業をミス無く迅速に完了 させたりといった事案だ。
同会議には併せて、急 な要望への対応や普段の業務内容に対して、顧客 からどのような感謝の言葉が寄せられているかも 報告させている。
 馬場社長はイレギュラー事案への対応に力を注ぐ 背景として、「当たり前のことを当たり前にやるだ けでは、品質が良くなったとは言わない。
ミスが 起こりそうなこと、難しいことはやらず事故が減 ったのを果たして品質が向上したと言うのか。
な るべく余計なことはしない、という方向に動いて しまうことがないよう、このような取り組みを始 めた」と説明。
 「無理を聞いて頑張ってくれるのがロジパルだと 言ってもらえるのが、大きなセールスポイントにな る。
顧客のイレギュラーな要請には常にきちんと対 応できるようにしたい」と力説する。
まずは緊急 案件への対応事例を経営側が確実に把握できる道 筋を作った上で、何をもって「イレギュラー」とす るかの定義付けや、そうした事案を評価するため の基準作りを進める方針だ。
    (藤原秀行) バンダイロジパルやロジパルエクスプレスの拠点に設置されて いる「みんなの掲示板」。
営業所別の商品事故率やKYD運動 の現況などが貼り出され、従業員が作業の合間に確認できる よう配慮されている。
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