2013年1月号
グローバル物流市場の実像

最終回 Part 7 わが国フォワーダーの展望

73  JANUARY 2013 世界の物流企業トップ 50 社  米ジャーナル・オブ・コマース誌によると二 〇一一年の「世界の輸送とロジスティクス企業 トップ五〇社」(注1)の総収入は、前年より 八・四%増えて、六五〇六億ドル(約五二兆円) に達したという。
うち3PLが二三二〇億ドル (約一九兆円)と三六%のシェアを占めている。
 五〇社の業種別内訳は、3PLが二〇社、船 社が一五社、鉄道六社、パーセル(宅配便)が 六社など(図1)。
各国別の企業数を見るとア メリカが十二社と最も多く、次いで日本が七社、 ドイツとフランスがそれぞれ六社、中国が四社、 スイスが三社と続く。
 図2に各国別のキャリアと3PLの数を示し た。
3PLではドイツとフランスがいずれも四 社、アメリカが三社、日本とスイスが各二社で ある。
地域別に見るとドイツ、フランスをはじ めとするヨーロッパに十二社の3PLが集中し ているのが目立つ。
 なお、表1にトップ五〇社のランキングを列 記した。
上位一〇社のうち3PLは一位のDH L、五位のDBシェンカー、七位のキューネ+ ナーゲルの三社。
日本企業でトップ五〇入りし たのは、船社として八位に日本郵船、十一位に 商船三井、一六位に川崎汽船。
宅配便はヤマト ホールディングスが十三位、SGホールディング スが二一位。
3PLは日通が二〇位、日立物流 が三六位であった。
 次の表2は米アームストロング&アソシエイツ 社による一一年の「トップ二五グローバルフレ イトフォワーダー」である。
前年との比較では、 DHL(フォワーディングとサプライチェーン部 門のみ)、キューネ+ナーゲル、DBシェンカー、 パナルピナのトップ4の順位に変動はなかった。
 二番手グループ以下では、TNTロジスティ クスを前身とするCEVAが六位から五位、日 通が十一位から六位、近鉄が一五位から十二位、 オーストラリアのトールが二三位から一七位に ランクを上げている。
また、ドイツのダクサー が二五位に新たに加わり、UPSが五位から一 〇位に順位を下げている。
 わが国からは日通、近鉄、郵船ロジスティク ス、山九の四社がランク入りし、アメリカから 四社、韓国から二社が入っているが、欧州は十 一社とここでも圧倒的なシェアを占めている。
日系フォワーダーの海外展開の特徴  わが国フォワーダーの海外進出については、少  本連載の最終回として、わが国フォワーダーの展 望に焦点を当てる。
これまでのように日系荷主の海 外展開に付いていくだけでは、もはや成長は望めない。
海外の市場に深く食い込み、現地荷主を獲得するた め、M&Aを本格化する必要がある。
日本特有のき め細かなサービスはグローバル市場でも武器になる。
グローバル物流市場の実像 〜新たな可能性の探求に向けて〜 平田義章 国際ロジスティクスアドバイザー Part 7 わが国フォワーダーの展望 最終回 図1 世界の輸送とロジスティクス企業トップ50(業種別) 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 3PL 船社 鉄道 パーセル トラック インター モーダル 20 15 6 6 2 1 出所:Top 50 Global Transportation and Logistics Companies, SJ Consulting Group / The Journal of Commerce, October 1, 2012より作成 ひらた・よしあき 1956年大阪外国語大 学卒業、日本通運国際輸送事業部長、米 国日通副社長などを経て独立。
在米16年、 現在、JIFFA(国際フレイトフォワーダーズ 協会)「国際複合輸送士資格認定講座」講 師、日本機械輸出組合国際貿易円滑化委員 会アドバイザーなど。
著書に『21世紀の国 際物流』(文真堂・共著)、その他国際輸送 とロジスティクス関連論文、研究報告書多 数。
日本貿易学会、日本港湾経済学会会員。
PROFILE JANUARY 2013  74 し古い資料になるが〇四年に日本大学が行った 「我国における航空貨物運送の実態調査」(注 2)が参考になる。
 同アンケート調査では、荷主企業に対して次 のような質問を行っている。
 「ヨーロッパの総合フレイトフォワーダー、郵 便事業者、アメリカの大手インテグレーターなど は企業買収などにより積極的に企業規模の拡大 とサービスの多角化を図っています。
御社はわ が国のフォワーダーに対して何を期待しますか」  これに対し荷主は次のように答えている。
●外国企業の買収を含め積極的に現地化を推進 図2 世界の輸送とロジスティクス企業トップ50(キャリアと3PL の国別シェア) アメリカ 日本 ドイツ フランス 中国 スイス カナダ 韓国 デンマーク オランダ シンガポール オーストラリア チリ クウェート 出所:Top 50 Global Transportation and Logistics Companies, SJ Consulting Group / The Journal of Commerce, October 1, 2012より作成 12 10 8 6 4 2 0 3 2 4 4 1 2 1 1 1 1 1 1 1 1 3 1 2 2 2 2 9 5 3PL キャリア 表1 世界の輸送とロジスティクス企業トップ50( 2011) 出所:Top 50 Global Transportation and Logistics Companies, The Journal of Commerce, October 1,2012より作成 (単位:百万USドル) 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 会社 DHL UPS フェデックス A. P. モラー・マースク DB シェンカー MSC キューネ+ナーゲル 日本郵船 ユニオン・パシフィック BNSF 商船三井 CMA CGM ヤマトホールディングス SNCF ジオディス チャイナ・ コスコ・ ホールディングス 川崎汽船 CSX ボロレ ノーフォーク・サザン 日本通運 SGホールディングス TNT CEVAロジスティクス ネプチューンオリエント・ ラインズ カナディアン・ナショナル 国 ドイツ アメリカ アメリカ デンマ−ク ドイツ スイス スイス 日本 アメリカ アメリカ 日本 フランス 日本 フランス 中国 日本 アメリカ フランス アメリカ 日本 日本 オランダ オランダ シンガポール カナダ 業種 3PL パーセル パーセル 船社 3PL 船社 3PL 船社 鉄道 鉄道 船社 船社 パーセル 3PL 船社 船社 鉄道 3PL 鉄道 3PL パーセル パーセル 3PL 船社 鉄道 収入 55,697 53,105 41,323 37,906 27,535 22,107 22,104 21,731 19,557 19,548 15,925 14,677 13,719 13,116 12,625 11,996 11,743 11,211 11,172 10,953 10,298 10,081 9,593 9,211 9,130 順位 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 会社 C.H. ロビンソン・ワールドワイド トール・ホールディングス ハパック・ロイド ハンジン・シッピング DSV パナルピナ DPD /ジオポスト シノトランス ヒュンダイ・マーチャントマリン ハンブルク・スード 日立物流 エクスペダイターズ・ イ ンターナショナル オリエントオーバーシーズ ダクサー コン・ウェイ ジェフコ カナディアン・パシフィック CSAV グループ ノルベール・ダントルサングル UTi ワールドワイド YRC ワールドワイド J.B.ハント アジリティ チャイナ・ シッピング・ コンテナライン レヌス 国 アメリカ オーストラリア ドイツ 韓国 デンマーク スイス フランス 中国 韓国 ドイツ 日本 アメリカ 中国 ドイツ アメリカ フランス カナダ チリ フランス アメリカ アメリカ アメリカ クウェート 中国 ドイツ 業種 3PL 3PL 船社 船社 3PL 3PL パーセル 3PL 船社 船社 3PL 3PL 船社 3PL トラック 3PL 鉄道 船社 3PL 3PL トラック トラック 3PL 船社 3PL 収入 8,741 8,695 8,491 8,283 8,162 7,331 7,236 6,778 6,711 6,641 6,164 6,150 6,012 5,983 5,290 5,262 5,235 5,152 4,975 4,914 4,869 4,527 4,418 4,376 4,174 75  JANUARY 2013 し、荷主企業のグローバルな活動に対応でき るよう海外ネットワークの拡大とサービスの 多様化を図るべき=七一・七%(うち年間売 上五〇〇〇億円以上の大手荷主からの回答は 七八・九%) ●必ずしも外国化する必要はない。
日本の荷 主企業に日本語で荷主の要望に即応する日本 的なサービスを提供すればよい=一六・四% (同十二・三%)  一方、フォワーダーを対象とした設問、「わが 国のエア・フレイトフォワーダーはどのような戦 略の展開を図るべきでしょうか」に対するフォ ワーダー各社の回答は以下の通りである。
●海運も含め、着実に日系企業のニーズに対応 できるロジスティクスの総合サービスの拡大に 努める=七一・〇% ●文化の相違もあり欧米のようなM&Aによる シェア拡大は現実的でない=二九・〇% ●海外企業を買収し積極的にグローバル市場へ 進出する=九・七%  荷主とフォワーダーとの間には、国際市場へ の進出についての考え方に多少の相違が見ら れる。
すなわち、荷主はフォワーダーに対して ?外国企業の買収を含め積極的に現地化を進め る?ことを要望しているが、フォワーダー側で は?海外企業を買収し積極的にグローバル市場 へ進出する?という回答よりも、?欧米のよう なM&Aによるシェア拡大は現実的でない?と する声のほうが多い。
 また、〇五年に東京で開催された「物流分野 の人材教育・育成に関する国際シンポジウム」 (注3) では、わが国のフォワーダーについて、 表2 世界のトップ25フレイトフォワーダー(2011) (単位:百万USドル、メトリック・トン) 順位 (前年度順位) フォワーダー国 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 DHL サプライチェーン/グローバルフォワーディング キユーネ+ナーゲル DB シェンカー・ロジスティクス パナルピナ CEVA ロジスティクス 日本通運 シノトランス エクスペダイターズ・インターナシヨナル SDV /ボロレロジスティクス UPS サプライチェーンソリューション DSV 近鉄エクスプレス アジリティ ヘルマン・ワールドワイドロジスティクス パントス・ロジスティクス UTi ワールドワイド トール・ホールディングス ダムコ 郵船ロジスティクス ジオディス C.H. ロビンソン・ワールドワイド 現代グロービス ケリー・ロジスティクス 山九 ダクサー (1) (2) (3) (4) (6) (11) (7) (8) (9) (5) (10) (15) (14) (16) (12) (17) (23) (18) (13) (19) (20) (24) (21) (25) ( −) ドイツ スイス ドイツ スイス オランダ 日本 中国 アメリカ フランス アメリカ デンマーク 日本 クウェート ドイツ 韓国 アメリカ オーストラリア デンマーク 日本 フランス アメリカ 韓国 ホンコン 日本 ドイツ ネット収入 20,900 6,676 6,315 1,672 6,310 1,625 1,183 1,896 1,357 6,545 1,835 546 1,357 720 2,412 1,704 5,080 757 2,445 1,765 1,632 8,588 1,240 560 4,700 グロス収入 32,160 22,181 20,704 7,358 9,602 20,313 6,769 6,150 6,785 8,923 8,170 3,321 4,410 3,593 2,412 4,914 6,432 2,752 3,881 5,890 10,336 8,588 2,060 2,689 5,925 海運TEU 2,724,000 3,274,000 1,763,.000 1,310,000 783,378 706,441 7,979,000 892,682 750,000 500,000 727,861 550,377 550,000 672,569 1,625,098 484,000 520,000 750,000 450,000 420,000 262,117 466,318 620,000 710,000 321,000 航空トン 2,447,000 1,073,000 1,149,000 848,000 550.000 656,797 397,200 786,620 520,000 862,000 262,362 1,131,444 490,000 439,720 216,653 410,000 145,000 110,000 337,130 210,000 50,000 17,408 173,000 18,060 50,000 出所:Top 25 Global Freight Forwarders, Armstrong & Associatesより作成 JANUARY 2013  76 とって必ずしも脅威ではない。
なぜなら日本の フォワーダーは顧客のほとんどが日本の荷主だ から」というものである。
 二〇〇〇年代の初頭まで、つまり日本の経済 活動が活発でアジア市場において一定のシェア を確保していた時代には、日本のフォワーダー の買収を模索する外国の投資会社や銀行が少な くなかった。
しかし、その後、日本経済は停滞 し、日本のフォワーダーの国際市場におけるシ ェアも拡大しているとは言えない。
それだけ企 業の投資価値も減少していると推測される。
 日本のフォワーダーの海外進出は一九六〇年代 に始まり、以来約五〇年が過ぎた。
その間、フ ォワーダーは日系荷主の海外進出に呼応するかた ちで海外での活動を展開してきた。
九〇年代の バブル崩壊後には一時戦線を縮小した時期もあっ たが、その後は経済のグローバル化が進み、中国 をはじめアジアに生産拠点がシフトしていくなか、 日本のフォワーダーもアジア進出を加速させた。
アメリカの3PLコンサルタントが次のように述 べていた。
 「この発言が無礼になってしまったらご容赦願 いたいが、我々は日本の大手フォワーダーが日 本的であることを止めるのを待ってきた。
日本 のフォワーダーはいつになったら荷送人、荷受 人とも日系荷主ではないサプライチェーンを運 営するようになるのかということである。
今や オランダの某社がどうだとか、スイスのキュー ネ+ナーゲルが云々とかいう話ではなく、物の 見方は世界的かつ中立的になってきている。
実 際そうした(欧州系の)フォワーダーは自らグ ローバル化しており、ほとんど出身国のアイデ ンティティーを失っている」  海外のフォワーダーは日本のフォワーダーを どのように見ているのであろうか。
筆者の知る 限り、彼らの意見は共通している。
「日本の大 手フォワーダーの海外市場での活動は評価する。
しかし、日本のフォワーダーの存在はわが社に  国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFF A)の資料によると(注4)、一二年一月現在 で、日本のフォワーダーの企業数は四〇六社で あり、海外四六カ国に進出し、計三二八六の拠 点を展開している。
 拠点数を主要地域別にみると北米の四六九、 欧州の四〇五に対し、アジアが二三〇三 (うち 中国が一一三七)と突出している。
アジア拠点 の急増は言うまでもなく日系荷主のニーズを反 映したものだが、そのほとんどが合弁を含む自 力進出であり、企業買収の例は少ないことに注 意する必要がある。
 欧米では九〇年代以降、極めて活発にM&A を通じたシェアの拡大が実施されてきた。
ノン・ アセットベースのサービスをコアとする国際フレ イトフォワーダーのどこもが、物理的な作業を 伴うコントラクト・ロジスティクスなどへの進出 に積極的というわけではない。
 それでも、ドイツポストは企業買収によって フォワーディングやロジスティクス分野における 速攻的なシェア拡大作戦を展開し、また輸出入 のフォワーディング業務を核とするヨーロッパの 伝統的なフォワーダーだったキューネ+ナーゲル も、米・欧の倉庫系3PLを買収することで コントラクト・ロジスティクス分野へのスピーデ ィーな進出を果たした。
そして同社は今日、世 界一〇〇カ国に一〇〇〇カ所以上の拠点を展開 し、六万三〇〇〇人の従業員を擁するメガフォ ワーダーへと変身を遂げている。
わが国フォワーダーの強み  日本のフォワーダーが特徴とする「きめの細 表3 フレイトフォワーダーの品質評価 順位総合スコア 1 2 3 4 5 6 7 8 9 平均 49.99 47.61 47.34 47.21 46.42 46.30 46.07 46.00 44.62 44.57 パイロット・フレイトサービス  近鉄エクスプレス 米国日本通運 フェデックス・トレードネットワークス キューネ+ナーゲル エクスペダイターズ・インターナショナル AIT ワールドワイドロジスティクス  ヘルマン・ワールドワイドロジスティクス エクセル(DHL) 出所:29th Annual Quest for Quality Awards, Logistics    Management 表4 3PL の品質評価 順位総合スコア 1 2 3 4 5 8 9 17 18 平均 61.53 49.70 48.58 48.53 48.38 47.19 46.97 45.32 45.23 45.03 ユニソン・ロジスティクス ヘルマン・ワールドワイドロジスティクス 日本通運 ランドスター フェデックス・サプライチェーンサービス キューネ+ナーゲル・ロジスティクス エクセル(DHL) UPS サプライチェーンソリューション パナルピナ 出所:29th Annual Quest for Quality Awards, Logistics    Management 77  JANUARY 2013 かい」対応を評価しているのは、日本の荷主だ けではない。
フォワーダーにパーソナルな感度の 高いサービス(the sensitive , personal touch) を求めているのは欧米の荷主も同様だ。
 米ロジスティクス・マネジメント誌が主催す る物流業界の品質評価賞「Annual Quest for Quality Awards(注5)」の一二年の結果を以 下に紹介する。
 まず、フレイトフォワーダー部門では、一位 がアメリカのパイロット・フレイト、二位が近鉄 エクスプレス、三位が米国日通、四位がフェデ ックス、五位がキューネ+ナーゲル、六位がエク スペダイターズで、欧米の列強が並ぶ中二位と 三位に日本勢がランクインしている(表3)。
 3PL部門でも、一位の米ユニソン・ロジス ティクス(Unyson Logistics)、二位の独ヘルマ ン・ワールドワイドロジスティクス( Hellmann Worldwide Logistics)に続き、日通が三位に ランクされている(表4)。
アメリカのフォワー ダーや3PL市場では日系企業の品質が高く評 価されているのである。
 日本的な荷主密着型のビジネスは利益を出す ことが容易ではないとされる。
そのためにTN Tは経済効果のあるネットワークビジネスに専念 するとして、ロジスティクスとフォワーディング 部門を売却した。
しかし、その結果はどうだっ たか。
本業として特化したエクスプレス部門も最 後はUPSに買収されてしまった。
 荷主のビジネスが新興国を巻き込んで拡大し ていく中、従来のポイント・トゥー・ポイント の効率輸送に加え、サプライチェーンの最適運 営を可能とする付加価値サービスの高度化が要 求されている。
これに伴い荷主のサプライチェ ーンの効率化に寄与するフレイトフォワーダーの 機能はあらためて評価されている。
 日本のフォワーダーが世界市場で活躍するチ ャンスは十分にあるはずだ。
日本市場と日本の 荷主企業の活動を基盤としながらも、アジアの みならず今後の開発が期待される他の新興国市 場まで羽を伸ばし、欧米フォワーダーに対抗で きる戦略を策定し、それを実行していかなくて はならない。
M&Aのアクセルを踏め  フォワーダーの進むべき方向性は過去数十年 変わっていない。
六〇年代に海外進出を始めた 当初から、日系荷主だけでなく現地荷主を顧客 にできない限り、新たな発展は期待できないこ とを日本のフォワーダーも自覚していた。
しか し、日本的な経営風土は欧米のフォワーダーの ような果敢なM&Aを許さず、これまで海外で は専ら日系荷主の対応のみに終始してきた。
 その結果として日本経済の成長鈍化ととも に、日本のフォワーダーは国際市場における自 らのポジションを失うことになってしまった。
今 後もわが国の経済がしばし停滞を続けるとすれ ば、わが国のフォワーダーも本格的に販路を海 外に求めていかざるを得ない。
 最近では一部に、新市場に参入するため日本 のフォワーダーが外国企業を買収するケースも 見られるようになってきた。
とりわけ新興国市 場への進出には現地ノウハウが必須であり、現 地フォワーダーの買収は効果的である。
 ただし、フォワーダー同士の統合には企業文 化の相違が留意すべき大きな要因となる。
欧米 では既に企業買収によるシェアの拡大が日常的 な手法となっているが、その成功には資金力だ けでなく企業買収にかかわる企業統治能力が求 められることを認識しなければならない。
 もちろん、シェアの拡大はM&Aが全てでは ない。
実際、アメリカの代表的フォワーダー、エ クスペダイターズは大型買収には関与していな い。
人材の確保と独自路線の構築による自律成 長によって自らのシェア拡大に成功している。
 しかし、自力拡大には時間を要する。
時代とと もにフォワーダーの生き残り戦略も変化している。
フォワーダーにM&Aは馴染まないとするわが国 固有の思考から脱却し、新たなビジネスモデルを 構築する必要があると筆者は考えている。
(1)注 "Logistics Drives Transport Growth – Top50 Global Transportation and Logistics Companies", The Journal of Commerce, October , 二〇一二年 一月。
(2) 『我国における航空貨物運送の実態調査』日本 大学経済学部産業経営研究所、研究代表者小林 晃、二〇〇四年一二月、第三章問一〇、第四章問 一〇。
(3) 『物流分野の人材教育・育成のあり方に関する 国際シンポジウム』国土交通省国土交通政策研究 所、二〇〇五年二月、パネルディスカッション、八 二ページ。
(4) 『わが国フォワーダーの海外進出状況』日本イン ターナショナルフレイトフォワーダーズ協会、二〇一 二年三月。
(5) "29th Annual Quest for Quality Awards", Logistics Management誌による二〇一二年の二月 から五月までのサーベイ結果。
四七〇九人の読者の 回答による。

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