2013年1月号
SOLE

二〇二〇年:日本企業のベトナム展開

SOLE 日本支部フォーラムの報告 The International Society of Logistics JANUARY 2013  82  「ベトナム進出完全ガイド―ベトナ ム最新事情と投資貿易実務」(カナリ ア書房)の著者で、進出支援コンサル タントの会川精司・会川アジアビジ ネス研究所代表を招いて、二〇一一 年五月に開催したSOLE日本支部 フォーラムの講演内容を紹介する。
ベトナムの基礎知識  ベトナムと言えば、いまだに屈強 なベトコン、貧困、ボートピープル、 共産主義国といったマイナスイメージ を持つ方も多いかもしれない。
しかし、 「ドイモイ(市場経済化政策)」の進 んだ現在のベトナムは、安全、清潔、 かつ親日的であり、日本にとって政 治経済上重要な「戦略的パートナー」 となっている(図1)。
 実は日本とベトナムは古くから密接 な関係があった。
七五二年にはベト ナム僧「仏哲」が鑑真に従い、奈良 東大寺大仏開眼供養に参列した記録 が残っている。
また、阿部仲麻呂は 七六一年に安南都護府節度使(長官) として現在のハノイへ赴任している。
それ以降も、日本への第三次元寇の 中止はベトナムが元を破ったことによ るものだったし、一七世紀には朱印 船貿易の拠点としてベトナム中部のホ イヤンに日本人町が繁栄した。
 二〇世紀に入っても、日露戦争後 にベトナム維新会による日本への留 学(ドン・ズウ:東遊)運動が起こり、 多数の留学生が来日している。
第二 次大戦中は日本軍のベトナム進駐時の 米の略奪により、二〇〇万人の民衆 が餓死したという不幸な歴史もあった。
 ちなみに、日本外務省は毎年シン ガポールの調査機関に委託してアジア の国民意識調査を行っているが、こ れによると日本を一番信頼し、頼り にする国として、ベトナムはインドネ シア・フィリピンと並んでおり、かつ 第二次大戦の日本に対する悪い印象 が一番少ないのもベトナムだという報 告がされている。
 この理由は上記の東遊運動による 日本に対する親しみと尊敬の念もある だろうが、大戦前の六〇年にわたる フランスの収奪の歴史および大戦後の 三〇年にわたるフランスからの独立戦 争、それに続く米国との戦争という、 ベトナムの過酷な近代史を考慮すれば 合点のいく話だろう。
 現在のベトナムの政治体制は、共 産党の一党支配である点は変わらな いものの、二〇〇六年四月大会以降、 南部改革派が躍進し、改革・開放路 線の強化が推進されている。
 司法・行政の特徴としては、法制 が未整備かつ運用が不透明で、判例 法に基づかない点が指摘できる。
行 政官の勉強不足もあり、その場の裁 量行政が行われ、贈収賄が横行して いる。
 これらは、長い中国の影響、フラ ンスの植民地政策に加え、ベトナム 戦争の影響により判例の蓄積がなさ れなかった点が大きな原因であると考 えられている。
余談ではあるが、ベ トナム法の知識をベースに工夫をすれ ば、有利な方向に相手行政官を誘導 できると考えることも可能である。
産業構造の課題と優位性  図2のとおり、ベトナムの今後の可 能性の大きさは中国やタイとの比較か らも容易に見て取れる。
 近代史に起因するベトナムの産業 構造を見てみると、一九世紀後半か ら一九四五年までは、植民地経済の 時代であった。
清朝政府がフランス に割譲した後、フランス植民地として 収奪を受けた。
その後一九七五年ま では、対仏独立戦争・ベトナム戦争 の時代であり、これによってベトナム は他の東南アジア諸国がなし得た第二 次世界大戦後の復興の好機を逸して しまう。
ベトナムの近代化が遅れた第 一の理由である。
二〇二〇年:日本企業のベトナム展開 図1 ベトナム社会主義共和国の概要 政治体制 政体:社会主義共和国 元首:チュン・タン・サン 議会:一院制、議員数500 名(2011 年5月改選) 行政区画:5 特別市(中央直轄:ハノイ、 ホーチミン【人口7,123千人】、ハイフォン、ダナン、 カントー) 及び 59 地方省 一般事情 面積:33 万㎢(日本の90%) 人口:85,789 千人 (2009 年12月推定) 首都:ハノイ(2009 年12月推定6,449 千人) 民族:キン族86%、他53の少数民族 言語:ベトナム語 宗教:大乗仏教80%、カトリック、カオダイ教他 経済 (2010 年現在) 主要産業:農林水産業、鉱業、軽工業 一人当たり名目GDP:1,174ドル 貿易収支:赤字126 億ドル 83  JANUARY 2013 ており、二〇一五年までに関税を完 全撤廃する予定(自動車のみ二〇一 八年)となっている。
今後もさらな る貿易の自由化や域内取引の拡大が 進むものと考えられる。
 日本との関係では、ODAによる インフラや基幹産業の整備を中心とし て、日越投資協定や日越共同イニシ アティブを通して投資環境の改善が活 発に進められている。
最後に中国で あるが、領土問題等も存在するもの の、中国華南経済圏のベトナム北部 進出のための華南越回廊の整備が進 んでいる。
面白いのは台湾企業群で、 歴史的に関係が深い南部ベトナムへの 集中的な投資が見られる。
 結論として、ベトナムは世界の生 産拠点として依然「消去法」で残る 国である、と言えるであろう。
投資環境と日系企業の動向  各国の投資動向を概観すると、国 連によるベトナム制裁時代には、シン ガポールがリー・クワンユー首相のリ ーダーシップの下で投資を行っていた。
日本は、一九九一年の国交正常化後、 九三年の経済協力の実施とともに投 資を再開した。
第一次のピークは再 開から九七年まで。
計画経済的な押 し付けやインフラおよび法制度の未整 備が嫌気され、タイ通貨危機以降は 投資が急激に減少した。
 二〇〇六年度報告: ?中国、? インド、?タイ、?ベトナム、?米 国  二〇〇八年度報告: ?中国、? インド、?ベトナム、?ロシア、? タイ  二〇一〇年度報告: ?中国、? インド、?ベトナム、?タイ、?ブ ラジル  このうち二〇一〇年度の報告によ ると、ベトナムが有望な理由としては、 ?安価な労働力、?現地市場の成長 性、?優秀な人材となっている。
? の安価な労働力の例として、ある日 系下着メーカーの〇七年時点の加工 賃比較では、ベトナムを一〇〇とす ると、中国が一四〇、タイが一五二 であった。
また、?優秀な人材の例 として、ある日系製造業のベトナム 工場では低離職率と高修業能力によ り、中国では難しかったセル方式の採 用が可能となった。
 一方、ベトナムの課題としては、 ?インフラが未整備、?管理職クラ スの人材確保が困難、?法制の運用 が不透明、?労働コストの上昇、? 他社との激しい競争となっている。
 地政学的課題について、第一にア セアン諸国との関係では、一九九五 年にアセアン加盟を果たし、アセアン 域内自由貿易協定(AFTA)に基 づく段階的な関税引き下げを実施し  社会主義共和国の成立により南北 統合が実現すると、ソ連の指導による 社会主義計画経済の時代に移る。
ソ 連邦による戦略四品目の無償提供は、 ベトナムに基幹産業や裾野産業を育成 する上では足枷になった。
近代化の遅 れた第二の要因である。
さらに、この 間、カンボジア侵攻・中越戦争によ り西側諸国からの経済・技術援助が 一切受けられなかったことを、第三の 要因として指摘することができる。
 かかる近代化の後遺症を残しなが らも、ベトナムは一九八六年からの ドイモイ(刷新)政策により社会主 義市場経済に移行し、西側諸国の経 済支援を受け入れ、漸く地域統合へ も積極的に参加するようになった。
 国際協力銀行のアンケートによる と、日本の製造業約六〇〇社の今後 三年間の有望事業展開国として、ベ トナムは次の通り中国やインドに次ぐ 地位を保っている。
図2 中国、タイ、ベトナムのマクロ経済比較 比較事項 面積(千㎢) 人口(100 万人) 実質GDP 成長率(%) 名目GDP 総額(10 億ドル) 一人当たりのGDP(ドル) 国際貿易収支(100 万ドル) 外貨準備高(10 億ドル) 自動車生産台数(1000 台) 対日貿易総額(100 万ドル) 対日輸出額(100 万ドル) 対日輸入額(100 万ドル) 中国(対越比) 9,600(29 倍) 1,335(16 倍) 10.3 5,878(61 倍) 4,382(4 倍) 254,200 2,866(205 倍) 14,000(117 倍) 297,768(18 倍) 121,061(16 倍) 176,707(20 倍) タイ(対越比) 513(1.6 倍) 63(0.7倍) 7.8 319(3倍) 4,992(4 倍) 14,031 168(12倍) 1,600(13 倍) 58,272(4 倍) 20,417(3 倍) 37,855(4 倍) ベトナム 329 86 6.8 97 1,174 -12,610 14 120 16,750 7,730 9,020 2010年度各国統計資料より、自動車生産台数は各国自動車工業会資料より作成  第二次のピークは二〇〇三年の日 越投資協定調印以降で、市場開放政 策と外国投資の導入強化に転換したこ とが功を奏している。
なお、二〇〇 一年以降の各国の投資認可額は、? 韓国、?台湾、?日本の順であるが、 投下資本率は日本がダントツのトップ である。
これは、日本企業のしっかり した計画と実行力が、ベトナム政府か ら高い評価を受けている証しである。
 次に、日系企業のビジネス展開例 を説明する。
二〇一〇年十二月末現 在のベトナム日本商工会(北部)は 会員総数四〇二社(うち製造業二一 一社、運輸業三二社)、ホーチミン日 本商工会(南部)は会員総数四九三 社(うち製造業二四四社、運輸業三 九社)、ダナン日本商工会(中部)は 会員総数四七社(うち製造業二〇社、 運輸業六社)であり、ほぼ半数が製 造業で、運輸業は一割弱である。
 組立製造業を例に取ると、北部は トヨタ、ホンダ、キヤノン等の大手 企業および関連企業が、南部は独立 系企業および中小企業群が多く進出 している。
業種別にみると、北部は 最大手の自動車組立の国内志向産業 および自動車部品の大手加工輸出型 産業の進出が顕著であり、南部は熱 帯地方および比較的乾燥した特徴を 捉えた繊維縫製・食品加工等の加工 輸出型が増加している。
また、WT O加盟後は、特に南部で国内市場の 参入強化を狙った現地合弁あるいは 販社事業などが増加している。
日系製造業の成功例と失敗例  成功例として第一に挙げられるの は、自動車・電気・事務機器部品の 加工組立業である。
アセアン、日本、 中国向けに輸出して高収益を記録し ている。
成功要因としては、華南経 済圏化と中央政府の誘致強化、そし ていわゆるキヤノン効果(北部への工 場進出に合わせて調達先も北部のサプ ライヤーに変更した)による「勢いの 北部」と、南部工業発展の歴史+イ ンフラ整備+メコンの豊饒による「成 熟の南部」に分けられる。
 第二に南部を中心として、労働者 の「目と手と集中力」を有効活用し て各社とも収益を増やしている繊維 縫製・雑貨と、新鮮・豊富な原材料 と低廉勤勉な労働力を組み合わせ競 争力抜群な食品製造業が挙げられる。
 その他、特筆すべき点として、ハ ノイ工科大学、ホーチミン工科大学、 ホーチミン自然科学大学は優秀な人材 を輩出しており、日系製造業との産 学協同開発も進めている。
これらの取 り組みは、低賃金の労働力のみではな いモノ作りのパートナーとしてのベト ナムを目指すために大変重要である。
 一方、失敗例としては、一九九〇 年代半ばごろには、ベトナム政府との 関係強化を目論んだ国営企業との採 算性を度外視した合弁事業が、本来 の目的を達成できず不採算で撤退する 例が、主に大手商社に見られた。
大 手製造業では、政府の支援に頼り過 ぎた合弁事業が、期待した関税障壁 などの優遇を受けられず不採算で撤 退する例もあった。
 二〇〇〇年代に入って以降は、中 小企業が現地に派遣したスタッフの能 力・知識不足により、地元行政や取 引先あるいは従業員に翻弄され、撤 退や経営者の交代という失敗を引き 起こすケースが多い。
これに対しては、 最低限の知識として、労務管理、法 JANUARY 2013  84 図3 インドシナ・ベトナムのロジスティクス展開 (注目されるインドシナ経済回廊) モーラミャイン チェンマイ バンコク プノンペン ホーチミン コンケン ダナン ハノイ 南寧 広州 華南越回廊 南北回廊 東西回廊 第2東西回廊 律実務、税務会計について事前に十 分勉強してから管理者を派遣するこ とで、ある程度防ぐことが可能であ ろう。
インドシナ・ベトナムの ロジスティクス展開  インドシナの経済回廊は図3の通り、 広州〜ハノイの華南越回廊、ダナン〜 モーラミャインの東西回廊、バンコク 〜ホーチミンの第二東西回廊、昆明 〜チェンマイ〜バンコクの南北回廊な どが最近注目を浴びている。
また、主 な都市間の距離、所要日数、陸上・ 海上の運送コストは図 4の通りである。
 注目される今後の開 発としては、北部では 現在中心として使用し ているハイフォン港が浅 いため、二〇一五年以 降、日本のPPPプロ ジェクトでハイフォン沖 にラク・フエン新港を 建設予定である。
南部 でもホーチミンの海沿 いに日本の円借款によ るカイメップ新港が建 設中であり、現在より 大型の船舶の航行が可 能となる。
WTO加盟と 外資系企業への影響  二〇〇六年十一月、 WTOは一般理事会を 開き、ベトナム政府が 十二年間悲願としてき たWTO加盟を承認し た。
そして翌〇七年一月にベトナム はWTOの一五〇番目の正式加盟国 となった。
その影響としては次の三点 が挙げられる。
 第一に、外資系企業のビジネスチ ャンス拡大である。
今後の関税引き 下げやサービス分野での市場開放に より、外資企業は、?ベトナムへの 製品輸出の拡大、?ベトナム国内に おける生産時の原材料仕入れコスト の削減、?流通(〇九年一月全面開 放)・サービス分野への参入が期待で きる。
それにより、従来の「安価・ 優秀な労働力を生かした輸出加工拠 点」+「八六〇万人の内需を市場と した事業展開」を志向する企業が増 加すると考えられる。
 第二に、国内市場における勢力図 の変化である。
外資系流通・サービ ス業は、ベトナム国内への販売網形 成が可能になる。
それにより、国内 市場志向の国内企業および既存外資 企業はこれまで築いてきた地位を脅 かされるリスクが増大する。
 第三に、輸出加工型外資企業に対 する、優遇税制・優遇措置の撤廃で ある。
計画投資省は二〇一二年に輸 出企業に対する優遇税制の撤廃を発 表した。
今後ベトナム政府が、輸出 奨励に代わる優遇策をいかに用意す るのか、あるいは新規進出企業をい かに呼び込んでいくのかに注目する必 要がある。
二〇二〇年に向けた 投資環境と市場戦略  ベトナム政府は年率七〜七・五% の経済成長により、国民一人当た りの所得を二〇一五年に二〇〇〇ド ル、二〇二〇年に三〇〇〇ドルまで 引き上げるという数値目標を掲げ、中 間・富裕層の増加を図ろうとしてい る。
そのために、二〇二〇年までの 一〇年間で次の政策の実現を目指し ている。
?インフラ強化と重基幹産業基盤整 備による原材料輸入国からの脱却 ?経済成長(中間・富裕層の増加) ?WTO加盟による流通・金融保 険・不動産開発・サービスなどの 市場開放 ?裾野産業の充実 ?法制度改革・行政手続きの合理化 ?ベトナム人ワーカー不足の解消 ?ベトナム人中堅管理職・高級技術 者育成  拡大が予想されるベトナム市場に対 し、日本企業としては、どのような 進出戦略が必要となるのであろうか。
ロジスティクス業のみならず、荷主で ある様々な業界の動向を踏まえ、以 下に二〇二〇年に向けた業界別の見 通しを解説する。
?車両組立産業: 85  JANUARY 2013 図4 インドシナ主要都市間物流事情 基幹都市名距離 所要日数運送コスト 陸上輸送 所要日数運送コスト 海上輸送 広州⇔ハノイ バンコク⇔ハノイ バンコク⇔ホーチミン ハノイ⇔ホーチミン バンコク⇔ヤンゴン 1,190? 1,555? 913? 1,800? 945? 2日 3〜4日 2日 3〜4日 3日 US$3,000 US$4,200 US$1,390 US$1,200 US$730 4〜6日 10〜15日 4〜6日 6〜8日 1カ月 US$1,500 US$2,000 US$580 US$750 US$1,130  自動車は、二〇一八年までにアセ アンからの完成車の輸入関税が撤廃 される。
したがって、年産一〇余万 台のベトナム自動車産業は大半が撤 退するのではないか。
二輪車は、年 産三六〇万台の生産台数と国産化九 〇%を達成済みであり、国内市場の みならず海外向け輸出も含め将来的 にも有望である。
?家電組立産業:  一〇数年にわたり現地部品調達率 の向上に努めてきた冷蔵庫・洗濯機 などの製品は、国内市場および海外 市場向けの競争力を保持する。
一方、 LCDテレビなどの輸入原材料調達 率の高い(非労働集約型)製品製造 は、生産は海外に依存し、現地では 販社を強化する体制をとることになる。
?軽工業的輸出加工産業:  労働集約型かつ多品種少量型産 業(縫製・刺繍、革加工、木工、水 産・食品、自動車・家電部品など) は引き続き競争力を維持する。
特に 二〇一五年以降は鉄鋼・化学品原材 料の国産化により競争力がさらに増 強され、二〇二〇年には貿易収支の 黒字化が達成されるかもしれない。
?流通・サービス・不動産分野:  台湾・韓国・欧米系の「MODE RN TRADE(MT市場)」の 積極的進出とベトナム人による「パパ ママストア(GT市場)」が発展する。
二〇一五年のアセアンからの関税撤 廃および日本企業の市場参入を阻ん でいるENT(市場経済需要テスト) が緩和される。
地方行政と現地の信 頼できるパートナーとの協業による参 入が有効である。
?卸売・貿易分野:  ベトナム国内市場開放および輸出 入貿易市場の拡大による卸売・貿易 分野の多くのビジネスチャンスの具体 化が可能となろう。
?建設分野:  ベトナム政府の基幹産業・大型プ ロジェクトビジネスおよび日系企業の ベトナム進出による建設プロジェクト が拡大する。
これに応じて建設関連 の電装・空調・内装などの工事分野 も拡大する。
?ロジスティクス分野:  港湾の新設をはじめ各種の大型プロ ジェクト、卸売・貿易および進出企 業の工場建設により、材料・製品輸 出入の物流拡大が見込まれ、新規参 入企業も引き続き増加する。
JANUARY 2013  86 あいかわ・せいじ 1972年、日商岩井(現・双日)入社。
以来、32年間にわたりプラント輸 出・経済協力・海外事業運営等の 機械部門にて活躍。
その間、南米 ブラジル・中東イエメン・ベトナムに 計16年間駐在。
04年12月、会川 アジアビジネス研究所を設立して代 表に就任。
現在に至る。
PROFILE 次回フォーラムのお知らせ  次回フォーラムは2013年1月9日 (水)、東京・霞ヶ関の商工会館6階で開 催する。
「個別・イベント型工程管理」を テーマとするシムトップスの伊藤昭仁氏 の講演などを予定している。
このフォー ラムは年間計画に基づいて運営している が、単月のみの参加も可能。
一回の参加 費は6000円。
お問い合わせは事務局 (s-sogabe@mbb.nifty.ne.jp)まで。
「ベトナムのバイク社会」  バンコクの人口千人当たりの自動車生 産台数は一四〇万台、バイクが一三〇 万台であるのに対し、ホーチミンの自動 車生産台数は一二万台弱、バイクはな んと三七〇万台。
まさにバイク天国であ る。
おかげでホーチミン市の自動車は何 時もバイクに囲まれ護送されるように走 るため、時速三〇?を超えることがで きない。
何とも自動車の運転手にとって はストレスの溜まるバイク社会である。
 これは、一九世紀にフランスが植民地 として治める時、サイゴンの人口を三〇 万人として都市を設計・建設したが、現 在のホーチミンの人口は六〇〇万人余に 膨張していることが理由の一つである。
 日本から初めて出張で来るビジネスマ ンは、このバイクの群衆を見て、「この 人達はどこに行くのでしょう」と必ず質 問する。
共稼ぎが多く食事もほとんど外 食のためとか、家に空調が無いから夕涼 みなどと答えるのだが、昼の仕事時間も 大量のバイクが走りまわっており、回答 になっていないといつも悩んでいる。
 熱帯のホーチミンは暑いためもあろう が、五〇m先でも市民はバイクを使い、 バイクに乗っていないのは「物乞い」と 「観光客」のみであるという冗談も定着 している。
 ところで、ベトナム政府は全国のバイ ク運転手にヘルメット着用を義務付ける 法律を二〇〇七年から施行した。
筆者 もサイゴン人の官憲に対する反発精神と 暑さからせいぜい遵守するのは半数程度 だろうと予測していたが、なんと九八% の遵守率であった。
理由は何回でも徴収 できる約一五ドルの罰金のせいだと思わ れる。
 お陰で旧正月(テト)を控えた交通警 察官のチップ収入の目論見は大きく外れ たようである。
(会川精司著「ベトナム進出完全ガイド 改訂版」より) column

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