2013年8月号
物流不動産Biz日記
物流不動産Biz日記
第5回 “実は本業は運送会社なんです”
以前も書きましたが、物流施設の仲介は不
動産会社ではなく、物流会社がやるべきだと
私は考えています。
物流施設は住宅や商業施 設などに比べて特殊性が高いため、面積や立 地といった画一的な条件から最適な物件を案 内することはできません。
荷物の特性や物流 フローなどを仲介者が熟知している必要があ るんです。
物流会社こそ適任だと言えます。
そのため我々イーソーコが展開する「物流 不動産Biz」では、全国の物流会社とパー トナー契約を結び、物件探しやテナント探し を手伝ってもらっています。
物流施設の仲介 に、彼らが持つ物流ノウハウとネットワーク を活用すると成約率がぐっと上がります。
仲介が成約すれば、協力してくれた物流会 社にも手数料が入ります。
ただしメリットは それだけではありません。
仲介がきっかけに なって、本業である物流業務の受注に結び付 いたケースが過去にいくつもあります。
ある地方の中堅運送会社A社は、物流不 動産Bizのパートナー企業の一社です。
A 社の地元にはメーカーの生産拠点が数多く集 積しているため、膨大な物流が日常的に発生 しています。
地元の物流会社からすれば、の どから手が出るほど欲しい仕事です。
A社もあるメーカーに狙いを定めて積極的 に工場に足を運び、物流の受託を目指してい ました。
が、思うような成果が出ません。
メ ーカー側の交渉窓口は決定権のない物流担当 者で、いくら良い提案をしても話が一向に進 まなかったんです。
何カ月も粘り強く通いましたが、先方の担 当者の態度はむしろぞんざいになっていきま す。
おそらくA社以外からも多くの売り込み があったので、「またか」とうんざりしてい たのかもしれません。
A社の社長自ら訪れても物流部の課長クラ スに会うのがやっとで、決定権のある役員以 上にアポイントが取れることはありませんで した。
私も倉庫会社で営業マンをしていた時 期があるから分かるのですが、これはA社に 限った話ではなく、物流業界全体に言えるこ とだと思います。
そんな折、たまたまそのメーカーの東京本 社からイーソーコに一本の連絡が入りました。
工場の一部が海外に移転し、それに伴って工 場倉庫にも空きが出てしまった。
そこにテナ ントを誘致してほしいというのです。
早速A社にそのことを伝え、テナント候補 のピックアップを依頼しました。
A社は長年 かけて培った地元ネットワークを駆使し、条 件の合いそうな候補を複数紹介してくれまし た。
その流れで、テナントへの倉庫案内にも A社に立ち会ってもらうことにしたんです。
案内当日はメーカーの役員も同行しました。
物流施設の賃貸借契約は動く金額が大きいた め、決定権者が初期の物件案内から同席する ことが珍しくありません。
物流の業務契約と の大きな違いの一つです。
A社はテナント候補に対し、物流施設のポ イントをプロの目線から的確に説明しました。
その様子を見ていたメーカーの役員はたいそ う驚いたそうです。
無理もありません。
役員 はA社のことをてっきり仲介会社だとばかり 思っていたのです。
A社は役員に「実は本業 は運送会社なんです」と伝え、案内の合間に 物流の状況や困っている内容を雑談ベースで 聞き出し、以前から用意していた改善案も口 頭で伝えました。
その日の物件案内は大成功に終わり、テ ナント候補に好印象を残すことができました。
その後、テナント候補の一つが正式に契約を 結ぶこととなり、A社もメーカーの役員もほ っと一息つきました。
後日、メーカーからA社に連絡があり、役 員を前に物流業務をPRする時間を得ること ができました。
案内時のアドバイスが効いて、 役員の関心を引くことに成功したのです。
そ のまま話はトントン拍子に進み、工場からの 運送をあっさりと勝ち取ることができました。
物流不動産Bizは単に物流施設を紹介す るだけではなく、荷主の信頼を得ることでビ ジネスチャンスを広げてくれるものなんです。
特に、普段は会えない決定権者との接点を持 てるということが大きな特典です。
大谷巌一(おおたに・いわかず) 1957 年生まれ。
高千穂商科 大学卒。
81年東京倉庫運輸入 社。
同社物流部門、不動産部 門を経て2003 年イーソーコ副 社長就任(現職)。
2010年イ ーソーコドットコム会長に就任。
現在に至る。
著書に『これから は倉庫で儲ける!! 物流不動 産ビジネスのすすめ』(日刊工 業新聞社)など。
PROFILE 第5回 “実は本業は運送会社なんです” 65 AUGUST 2013
物流施設は住宅や商業施 設などに比べて特殊性が高いため、面積や立 地といった画一的な条件から最適な物件を案 内することはできません。
荷物の特性や物流 フローなどを仲介者が熟知している必要があ るんです。
物流会社こそ適任だと言えます。
そのため我々イーソーコが展開する「物流 不動産Biz」では、全国の物流会社とパー トナー契約を結び、物件探しやテナント探し を手伝ってもらっています。
物流施設の仲介 に、彼らが持つ物流ノウハウとネットワーク を活用すると成約率がぐっと上がります。
仲介が成約すれば、協力してくれた物流会 社にも手数料が入ります。
ただしメリットは それだけではありません。
仲介がきっかけに なって、本業である物流業務の受注に結び付 いたケースが過去にいくつもあります。
ある地方の中堅運送会社A社は、物流不 動産Bizのパートナー企業の一社です。
A 社の地元にはメーカーの生産拠点が数多く集 積しているため、膨大な物流が日常的に発生 しています。
地元の物流会社からすれば、の どから手が出るほど欲しい仕事です。
A社もあるメーカーに狙いを定めて積極的 に工場に足を運び、物流の受託を目指してい ました。
が、思うような成果が出ません。
メ ーカー側の交渉窓口は決定権のない物流担当 者で、いくら良い提案をしても話が一向に進 まなかったんです。
何カ月も粘り強く通いましたが、先方の担 当者の態度はむしろぞんざいになっていきま す。
おそらくA社以外からも多くの売り込み があったので、「またか」とうんざりしてい たのかもしれません。
A社の社長自ら訪れても物流部の課長クラ スに会うのがやっとで、決定権のある役員以 上にアポイントが取れることはありませんで した。
私も倉庫会社で営業マンをしていた時 期があるから分かるのですが、これはA社に 限った話ではなく、物流業界全体に言えるこ とだと思います。
そんな折、たまたまそのメーカーの東京本 社からイーソーコに一本の連絡が入りました。
工場の一部が海外に移転し、それに伴って工 場倉庫にも空きが出てしまった。
そこにテナ ントを誘致してほしいというのです。
早速A社にそのことを伝え、テナント候補 のピックアップを依頼しました。
A社は長年 かけて培った地元ネットワークを駆使し、条 件の合いそうな候補を複数紹介してくれまし た。
その流れで、テナントへの倉庫案内にも A社に立ち会ってもらうことにしたんです。
案内当日はメーカーの役員も同行しました。
物流施設の賃貸借契約は動く金額が大きいた め、決定権者が初期の物件案内から同席する ことが珍しくありません。
物流の業務契約と の大きな違いの一つです。
A社はテナント候補に対し、物流施設のポ イントをプロの目線から的確に説明しました。
その様子を見ていたメーカーの役員はたいそ う驚いたそうです。
無理もありません。
役員 はA社のことをてっきり仲介会社だとばかり 思っていたのです。
A社は役員に「実は本業 は運送会社なんです」と伝え、案内の合間に 物流の状況や困っている内容を雑談ベースで 聞き出し、以前から用意していた改善案も口 頭で伝えました。
その日の物件案内は大成功に終わり、テ ナント候補に好印象を残すことができました。
その後、テナント候補の一つが正式に契約を 結ぶこととなり、A社もメーカーの役員もほ っと一息つきました。
後日、メーカーからA社に連絡があり、役 員を前に物流業務をPRする時間を得ること ができました。
案内時のアドバイスが効いて、 役員の関心を引くことに成功したのです。
そ のまま話はトントン拍子に進み、工場からの 運送をあっさりと勝ち取ることができました。
物流不動産Bizは単に物流施設を紹介す るだけではなく、荷主の信頼を得ることでビ ジネスチャンスを広げてくれるものなんです。
特に、普段は会えない決定権者との接点を持 てるということが大きな特典です。
大谷巌一(おおたに・いわかず) 1957 年生まれ。
高千穂商科 大学卒。
81年東京倉庫運輸入 社。
同社物流部門、不動産部 門を経て2003 年イーソーコ副 社長就任(現職)。
2010年イ ーソーコドットコム会長に就任。
現在に至る。
著書に『これから は倉庫で儲ける!! 物流不動 産ビジネスのすすめ』(日刊工 業新聞社)など。
PROFILE 第5回 “実は本業は運送会社なんです” 65 AUGUST 2013
