2013年8月号
中国鉄道コンテナ輸送
中国鉄道コンテナ輸送
第2回 鉄道コンテナセンター駅の整備戦略 李 瑞雪 法政大学 教授
AUGUST 2013 66
全体に占める割合は約二%にすぎない。
日本 のJR貨物のコンテナ扱い比率(トンベース) が六割にも達しているのとは比ぶべくもない 低水準と言えるだろう。
コンテナ化率の向上が鉄道貨物輸送を高度 化する重要な手段であることは、中国鉄道当 局もかねてから認識してきた。
そのために旧 鉄道部は二〇〇〇年に拠点直行方式のコンテ ナ定期列車(中国語名「集装箱班列」)を導 入し、コンテナ輸送の定時性、迅速性におけ る優位性の獲得を図った。
『中国交通統計年鑑(二〇〇八年)』による と、二〇〇七年時点では、九〇の線路でコン テナ定期列車が運行され、二二〇の都市をカ バーするようになっている。
しかし、運行本 数は十分と言うにはほど遠い。
二〇〇八年に 運行したコンテナ定期列車は合計一万八四一 本で、一路線当たりにすると週平均二、三本 の運行にすぎない。
コンテナ定期列車の発展を阻害する要因と して、鉄道当局がまず問題視したのは荷役 施設の不適合であった。
既存のターミナルは、 継走方式の車扱い列車を前提に設計されてい て、直行方式のコンテナ列車の荷役および編 成には適合しないという問題である。
そこから拠点直行方式のコンテナ列車専用 のターミナルを整備し、それらを鉄道コンテ ナ輸送システムの中核ノードとして全国に配 置するという考え方が生まれた。
これに基づ いて旧鉄道部は、鉄道コンテナセンター駅(中 整備計画策定の背景 中国の貨物輸送機関の中でも鉄道は特別な 存在だ。
トラック運送業や水運業(海運業を 含む)など、ほかの輸送機関が民営化と市場 競争の荒波にさらされてきたのをよそに、鉄 道は二〇一三年三月に国の鉄道部が解体され るまで、計画経済時代の国営独占体制がほぼ 無傷のまま温存されてきた。
旧鉄道部は重要物資の計画輸送や旧正月の 集中的な大量旅客輸送などの特別な役割を盾 に、民営化や分割再編、競争原理の導入など に関わる改革をかたくなに拒み、中央官庁と 巨大国営企業が一体となった独立王国のごと き組織を維持してきた。
その結果、巨額の傾斜的投資が実施されて 高速旅客鉄道が急ピッチで整備されつつある が、その一方で、商業貨物の鉄道輸送サービ スの高度化は後回しにされてきた。
事実、貨 物列車のほとんどは今も到着日時が不明確な 「ヤード継走方式(各地の操車場で方面別に 貨車を組み替えて目的地に運ぶ方式)」によ って運行されており、「拠点直行方式」によ る定期貨物列車は一部で導入されているもの の、その運用は不安定な状態が続いている。
また鉄道貨物輸送のコンテナ化は一向に進 んでいない。
二〇一二年度の鉄道コンテナ輸 送量(空コンテナの回送を除く)は四一七万 TEUにとどまった。
一TEUを二〇トンに 換算した場合の鉄道貨物輸送量(トンベース) 李 瑞雪 法政大学 教授 鉄道コンテナセンター駅の整備戦略 中国鉄道コンテナ輸送 《第2回》 中国では鉄道貨物輸送のコンテナ化率向上を 目指したインフラ整備が着々と進み、高度な機能 を備えた鉄道コンテナセンター駅が各地で次々に 供用を開始している。
しかし、今のところ期待 されたほど利用は広がっていない。
その原因と 打開策について考案する。
李瑞雪(LI, Ruixue) 1992年7月南京大学外国語学 部卒。
2004年3月名古屋大学大 学院国際開発研究科修了、学術博 士( Ph. D)。
2004年4月富山大 学経済学部講師。
06年同准教授。
2012年4月法政大学経営学部教 授、現在に至る。
専門は物流論、 経営戦略論、国際経営論。
67 AUGUST 2013 次着工に移されている。
二〇一三年二月現在、 青島、大連、上海、鄭州、西安、武漢、昆 明、重慶、成都の九カ所で施設が既に稼働し ている。
さらに今年三月にはハルビンが着工、 ウルムチと天津も近く着工する予定だという (図1)。
鉄道コンテナセンター駅の整備計画は、北 米の鉄道会社のコンテナ輸送システムに触発 されて構想したものとされる。
中国の鉄道関 係者の間では、元鉄道相の劉志軍(二〇一一 年に汚職等の疑惑で罷免・逮捕)が訪米中に 視察したアメリカの鉄道コンテナ施設に感銘 を受け、近代的な大型コンテナターミナルの 建設を強く推したことが、同整備計画の実施 につながったと言い伝えられているが、この 説の信憑性は確認できていない。
筆者は二〇一三年二月下旬から三月上旬 にかけて、鄭州、青島、成都の三つのコン テナセンター駅を訪問し、実態調査を実施し た。
また、コンテナセンター駅ネットワーク の建設と運営を担当する中鉄連合国際集装箱 有限公司(中鉄連合国際コンテナ社: China United International Rail Containers Co.,Ltd.=CUIRC)と、鉄道コンテナ輸送事 業の最大手である中鉄集装箱運輸有限公 司( 中鉄コンテナ輸送社: China Railway Container Transport Co., Ltd=RCTC)を訪 問して聞き取り調査を実施した。
以下、現地調査での発見事実を踏まえて、 センター駅の実態を解明した上で、中国鉄道 国語名「鉄道集装箱中心站」)の大規模な整 備計画を立案した。
具体的には、全国の重 要港湾や交通要衝の都市に計一八カ所のコン テナ専用の大規模ターミナルを新規に建設し、 それらを鉄道コンテナ貨物輸送システムの中 心的なノードとして位置付けるという計画で ある。
同計画は『中長期鉄道網規画』(二〇〇四 年一月に国務院全体会議で決定)と『鉄道第 十一次五カ年(〇六〜二〇一〇年)計画』(〇 六年三月に全人代で可決)に盛り込まれ、順 貨物輸送の高度化という視点から、センター 駅の役割と課題について考察を加えたい。
中鉄連合国際コンテナ社の概要 中鉄連合国際コンテナ社は、コンテナセン ター駅の建設と運営を一手に担う組織として 二〇〇七年に設立された鉄道コンテナのター ミナルオペレーターである。
登録資本金は四 二億元で、中鉄コンテナ輸送社を筆頭株主 (出資比率:三六・六七%)に、中国内外の 物流関連企業五社が出資する合弁企業であ る。
中鉄コンテナ輸送社以外の出資者は、香港 系の物流施設開発会社のNWSとLuck Glory、CIMC(中国国際海運集装 箱)、そしてドイツ鉄道(DB)傘下の物流企 業BAHNである。
設立当初は大手船社のC MA─CGMとZIMも出資していたが数年 前に保有株をほかの株主に譲渡し撤退した。
海外の物流会社に資本参加を要請した背景 には、これらの企業からコンテナターミナル運 営やコンテナ輸送に関する先進的なノウハウを 取り入れる意図があったものと推測されるが、 具体的な技術支援や人的支援があるかどうか は不明である。
中鉄連合国際コンテナ社は、本社(総公司) を北京に置き、各地の支社あるいは子会社を 通じてコンテナセンター駅の運営に当っている。
現在、支社は青島、鄭州、西安、武漢、昆 明、重慶、成都の七カ所、子会社は上海と大 出所:中鉄連合国際集装箱有限公司の提供資料より 図1 計画されている鉄道コンテナセンター駅ネットワークとダブル・スタック 定期列車ルート 中国鉄道コンテナ輸送 連の二カ所にある。
各支社・子会社の社長は 本社から派遣されているが、実務担当の副社 長はほとんどが所在地の鉄路局からの出向者 が務めているという。
各支社・子会社の従業 員数はセンター駅の規模によって八〇〜一五 〇人とまちまちである。
現在の九つのセンター駅は、港湾立地型と 内陸立地型の二種類に大別できる。
前者は上 海、大連、青島の三駅で、残りは後者に分類 される。
また内陸立地型のうち、鄭州、武漢、 西安の三駅は中継貨物の取り扱いが比較的多 く、西南地域の昆明、重慶、成都の三駅はオ リジナル貨物がほとんどだという。
そのため、 鄭州、武漢、西安は広域ハブとしての成長を、 西南地域の三駅は当該地域への加工産業の移 転をサポートする物流拠点としての発展が期 待されている。
コンテナセンター駅の仕様と現状 各センター駅は、取扱能力や取扱実績には 大きな違いがあるものの、統一した仕様に基 づいて設計されている(次頁表1)。
駅内に は、横列貫通式の荷役ラインセット(線束) を中心に、事務棟、セキュリティ検査エリア、 一般コンテナヤード、冷凍冷蔵コンテナヤー ド、特殊コンテナヤード、コンテナ修理・洗 浄エリアが配置されている(下写真)。
コンテナターミナルマネジメントシステム、 レール式トランスファークレーン、リーチスタ ッカー、インテリジェントゲート、先進的な がインテリジェントゲートに到着すると自動的 に電子タグが読み取られて、コンテナの受け 取り場所などを表示する指図票が交付される。
同時にヤード内のクレーンにもコンテナ積み付 けの指示情報が届く。
空コンテナを荷主のところに運んでバンニン グし、再びセンター駅に進入する際にも、イ ンテリジェントゲートでコンテナ番号を自動識 別する。
このとき、駅員の目視によるチェッ クも行う。
トレーラーが指定された位置に到 着すると、クレーンによってコンテナが卸さ セキュリティ検査機、コンテナ洗浄機などの 設備が標準装備されている。
荷役作業は半自動化を実現している。
シス テムが荷役対象のコンテナの位置を自動認識 して所定の位置にクレーンを移動。
積み卸し 作業だけをオペレーターが操作する。
従来の 鉄道貨物駅と比べて、機械化、情報化が格段 に進んでおり、荷役能力と作業効率が大幅に 向上したと、センター駅の責任者らは口を揃 えていた。
センター駅の業務の流れも各駅でほとんど 相違がない。
通運業者はまずセンター駅と協 定を結んだ上で、センター駅のシステムにユー ザー名とコンテナトレーラーを登録して電子タ グの交付を受ける。
実際の業務プロセスは、空コンテナのブッ キングから始まる。
通運業者は発駅、到着駅、 貨物種類、貨物量などの情報を「託送伝票」 に記入するか端末に入力して、空コンテナの 予約を申し込む。
それを元に駅側は鉄道コン テナ輸送への貨物適性などをチェックした上 で、空コンテナの引き当てを行い、そのコン テナの番号と予約受付番号を通運業者に交付 する。
通運業者もしくは荷主の自社コンテナ (SOC)を使用する場合は、SOCの番号 をシステムに入力しておく。
空コンテナの予約が完了したら、通運業者 は空コンテナを受け取るためのトレーラーを仕 立てて電子タグを車両に貼付、そのトレーラ ーの車両番号を駅側に知らせる。
トレーラー AUGUST 2013 68 センター駅のインテリジェントゲート 先進的なセキュリティ検査機 センター駅事務棟一階の業務窓口 横列貫通式の荷役ラインセットとトランス ファークレーン れる。
コンテナは列車に積み付けるまでヤー ドで仮置きする。
タイミングが合えば、仮置 きせずに直接列車に積み付けることもあるが、 その比率はまだ低いという。
目的地に到着したコンテナは駅側からの着 荷通知を受けた通運業者がトレーラーを仕立 てて引き取る。
着荷通知を発行してから二四 時間以内は無料留置期間だが、それ以降は保 管料(二〇フィートコンテナ一日当たり三〇 元)が課される。
鉄道側のコンテナを使って いる場合、延長使用料(二〇フィートコンテ ナ一日当たり六〇元)も発生する。
ただし、コンテナ定期列車の利用を促すた めに、特恵的措置を講じているケースもある。
例えば、青島コンテナセンター駅では西安か らのコンテナ定期列車の着荷主に対して、八 日間の無料留置サービスを提供している。
既に述べたように、コンテナセンター駅の開 設はコンテナ定期列車の発展戦略の一環であ り、各センター駅は供用開始以降、コンテナ 定期列車の開通と拡大に取り組んできた。
し かし、いずれのセンター駅でも現状ではコン テナ定期列車の発着本数は限られており、全 体の取扱量に占めるコンテナ定期列車の割合 も低い。
例えば、鄭州コンテナセンター駅では、コ ンテナ定期列車の貨物は全体取扱量の二割以 下で、残りはヤード継走方式で運行される一 般貨物列車扱いである。
青島と成都のセンタ ー駅も、その比率はそれぞれ五割と三割にと どまっている。
この三駅以外のセンター駅も ほぼ似通った状況にあるという(表2)。
今のところコンテナセンター駅は、その本 来の役割を十分に果たすことができていない。
実際、供用中の全てのコンテナセンター駅は 稼働率が低く、慢性的に施設が遊んでいる状 態にある。
69 AUGUST 2013 昆明 上海(1) 重慶 成都 鄭州 大連(2) 青島 武漢 西安 3.4 13.5 4.4 4.7 4.6 6.8 4.3 3.9 3.5 1223 1590 900.6 1236.9 1129.6 1336.3 910 930.9 1024.8 2006/11 2005/12 2009/11 2010/3 2010/4 2010/7 2010/8 2010/8 2010/12 2 4 1 2 1 3 1 1 1 有 有 有 有 無 有 無 無 有 第1 期投資額(億元) 敷地面積(ムー(3)) 供用開始時期 荷役ラインセット数(4) 表1 稼働している鉄道コンテナセンター駅 アセアン商 貿物流園区 内 蘆潮港、洋 山港と35 キロの橋で 連結 重慶鉄路物 流園区と隣 接 成都国際コ ンテナ物流 園区内、青 白江バルク 物流園区に 隣接 中鉄快運、 中鉄特貨、 鄭州鉄鋼物 流基地と隣 接 大連保税 区、鉄道金 港駅、大連 国際集装箱 埠頭の間 (膠州市) 山東国際物 流港内 中鉄快運、 中鉄特貨、 武漢鉄路物 流基地と隣 接、武漢保 税物流セン ターから1.2 キロ 西安国際港 務区内。
中 鉄快運、中 鉄特貨、西 安鉄路物流 基地と隣接 QIC 2011 年度の取扱量 (TEU) 位置 36万 約3 万 26.5万 35万 12.4万 21万 4.2万 10.2万 10万 (推定) 注1)上海のセンター駅は中鉄コンテナ輸送と上海市の共同出資で建設された 注2)大連のセンター駅は中鉄聯合国際コンテナと大連港の共同出資で建設された 注3)ムー=約666.7? 注4)1荷役ラインセット(線束)は、2 本のレールから構成される。
荷役ラインの長さは昆明、上海、重慶、成都では850メートルで、ほかの駅では1050メートルである 出所:ヒヤリングの内容と中鉄聯合国際コンテナ社の提供資料より筆者作成 鄭州 青島 成都 主なコンテナ定期列車 表2 鄭州、青島、成都の3コンテナセンター駅発着の主要なコンテナ定期列車 ?青島─鄭州(週に5列、39両編成(78TEU積)) ?青島─西安(週2列、50両編成(100TEU積)) ?青島─阿拉山口─中央アジア(週に5 列、50 両編成(100TEU 積)) ?青島─霍爾果斯─ロッテルダム(2012 年12月 に試験運行) この1 〜 3のコンテナ定期列車はいずれも青 島コンテナセンター駅、青島駅、黄島駅の3 駅併用の体制となっているが、青島コンテナ センター駅発着は年間2万TEU程度で全体 の10%未満。
近い将来、青島駅のコンテナ 扱い分を全てセンター駅に移転する予定だと いう。
ウルムチ、洛陽、石家荘、成都とのコンテナ 直行列車の開通を検討している。
?成都─広州 (週に5 列、48 両編成) ?成都─上海 (週に3 列、56 両編成) ?成都─阿拉山口─中央 アジア 成都─阿拉山口─ ロシア─ポーランドの ローズ(2012 年12月 に試験運行、本格 運行に向けて準備 中) 出所:ヒヤリングの内容より筆者作成 ?鄭州─連雲港(内貿貨 物がほとんど。
2012 年 後半以来低迷。
現在月 に1 便程度) ?鄭州─青島(2013 年2 月の時点でまだ鄭州東駅 で発着するが同年末まで に鄭州コンテナセンター 駅に移転する予定。
外 貿貨物がほとんど) 成都、ウルムチ、広 州とのコンテナ直行 列車の開通を検討し ている。
AUGUST 2013 70 中国鉄道コンテナ輸送 着するコンテナ船とリンクできるコンテナ列 車を開通することが極めて有力な方策となる。
この意味において、主要港湾付近でコンテナ 埠頭とシームレスに連結するコンテナ列車専 用駅を整備するというアイデアは合理的と言 えよう。
また、上記の推計規模を考慮すれば、そ の施設は大規模なものでなければならないし、 コンテナ列車の輸送力も外航コンテナ船の輸 送量に見合ったものとなる必要がある。
上海、寧波、深圳、青島、天津、広州、 大連に鉄道コンテナセンター駅を設置する計 画は、こうした考え方に基づいたものと理解 するのは妥当であろう。
実際、同計画の骨 子にはこれら港湾立地のコンテナセンター駅 を起点に、コンテナの二段積み輸送が可能な ダブル・スタック定期列車、線路総延長一・ 七万キロの開通が含まれている(図1参照)。
上海のコンテナセンター駅に最初から四本 の荷役ラインセットを設置して一五〇万TE U以上の年間処理能力を持たせたのも、洋山 港から鉄道に流れ出るコンテナと鉄道経由で 洋山港に流れ込むコンテナが膨大な量に上る ことを予想したからに違いない。
コンテナセンター駅の役割と海鉄連運の関 係性は、コンテナセンター駅の建設と運営を 専門的に担当する中鉄連合国際コンテナ社の 略称からもうかがえる。
同社の中国語略称は 「中鉄聯集」で、それに対応する英文略称は 「CR Intermodal」である。
CRとは、中国 財政出動の産物だと厳しく批判する声がある。
確かに上記の九駅のうち、六駅の着工時期が 二〇〇八年に集中したことは、当時の総額四 兆元に上る財政出動と無縁ではなかったであ ろう。
しかし、コンテナセンター駅の整備構想に は、評価すべき合理的な要素も少なくなかっ た。
中国鉄道貨物輸送の高度化を実現するに はコンテナ輸送のインフラ整備は不可欠であ り、その発展戦略においてインターモーダル 輸送とハブ・アンド・スポーク・システムと いう二つのコンセプトが重要な意味を持つこ とは明らかであった。
そして鉄道コンテナセ ンター駅の整備計画は、この二つのコンセプ トに明確に依拠して構想されたものであった。
シー・アンド・レールのインターモーダル 輸送(以下、コンテナ海鉄連運)が鉄道コン テナ輸送の成長の大きな原動力になり得るこ とは、鉄道コンテナ先進国の米国の経験から も実証されている。
米国では現在、コンテナ海鉄連運の輸送量 が、港湾のコンテナ取扱量の四割にも達して いるとされる。
一方の中国はその比率がわず か二%未満という超低水準にとどまっている。
仮に中国で同比率を二〇%程度に引き上げる ことができれば、年間三〇〇〇万TEU以上 の鉄道コンテナ輸送需要が生じると推計され る。
すなわち海鉄連運が順調に広がれば、鉄 道コンテナ輸送は飛躍的に拡大する。
そして海鉄連運の発展には、主要港湾を発 荷役ラインセットは一本当たり最低年間三 〇万TEUの取扱能力がある。
そこから計算 すると、現状の稼働率は最も高い昆明コンテ ナセンター駅で六〇%程度にすぎず、最も低 い上海コンテナセンター駅に至っては、わずか 二・五%という有り様である。
駅内のコンテナヤードは利用率が低いため、 自動車の完成車の一時保管に貸し出されたり、 港湾埠頭の補完的なコンテナヤードとして使 われるなど、本来の目的とは異なる用途に一 時的に転用しているケースも見られる。
今のところ稼働中の九駅のうち、利益が出 るのは取扱量が比較的多い昆明と成都の両駅 だけで、ほかの七駅は程度の差があるものの、 全て赤字が続いているという。
各コンテナセンター駅には、それぞれ六荷 役ラインセット以上を増設することのできる 敷地が確保されている。
しかし、現在のよう な状況が続く限り、増設は困難と思われる。
インターモーダル輸送を起爆剤に 鉄道コンテナ輸送の発展戦略における重要 施策として整備されたコンテナセンター駅が、 なぜ振るわないのか。
以下に鉄道コンテナセ ンター駅の設計思想に立ち戻って、鉄道コン テナ輸送システムにおけるコンテナセンター駅 の機能とあり方を検討してみたい。
コンテナセンター駅の整備に対して、中国 の研究者の間では、元鉄道相など鉄道官僚 の恣意的な立案や二〇〇八〜〇九年の巨額な 71 AUGUST 2013 この仕組みは、コンテナ貨物が域内のコン テナセンター駅に集約されることになるため、 センター駅間のコンテナ定期列車の安定的な 運行につながる。
またセンター駅は、コンテ ナ列車の効率的なマテハンおよびマーシャリン グに加えて、コンテナの一時仮置きやバンニ ング、デバンニングなど付帯サービスも提供 するなど、ハブとしての機能を果たす。
一方のティア2とティア3の取扱駅は、受 け付けたコンテナ貨物を車扱いの列車に編入 せず、センター駅発着の定時運行コンテナ列 車に載せるように、フィーダー機能に徹する。
こうすることによって、定時性のある輸送 サービスを荷主に提供することが可能になる。
荷主の支持をより得やすくなる。
こうして、鉄道コンテナセンター駅の整備 は、インターモーダルとハブ・アンド・スポ ークのシステムの応用を意図するなど合理的 な構想の下で進められている。
しかし、実際に稼働中のコンテナセンター 駅が果たしている機能は極めて限定的であり、 当初の期待通りとは言い難い。
各駅の稼働率 が低い上、コンテナ定期列車も本数が総じて 少ないなど低空飛行が続いている。
青島と上海の港湾立地型の両センター駅の 供用も海鉄連運の拡大につながったとは評価 し難い。
ハブ機能の発揮が期待された鄭州の コンテナセンター駅はコンテナ取扱量が一〇 万TEU台に低迷し、コンテナ定期列車の拡 大も進んでいない。
いうネットワークだ。
センター駅の建設の目的について、中鉄連 合国際コンテナの孟華維副総経理は次のよう に説明する(図2)。
「一八カ所のコンテナセンター駅は、コンテ ナ定期列車の運行のために建設している。
コ ンテナ定期列車は三種類に分けられる。
すな わち、?コンテナセンター駅間を結ぶ直行列 車、?コンテナセンター駅と主要港湾を結ぶ 直行列車(海鉄連運)、?コンテナセンター駅 と国境貿易都市を結ぶ直行列車(国際コンテ ナ定期列車)の三つである」 鉄道を指し、Intermodalは文字通り、インタ ーモーダルのことである。
つまり、同社は海 鉄連運に携わる企業であることを自認し、そ の意志を社名の略称に込めたのであろう。
ハブ・アンド・スポークを鉄道に適用 鉄道コンテナセンター駅の整備構想には、 シー・アンド・レールのインターモーダル輸 送と並んで、ハブ・アンド・スポーク・シス テムを鉄道輸送に取り入れることを意図した 形跡が色濃く見受けられる。
ハブ・アンド・スポーク・システムは海上 輸送と航空輸送において普及しているが、鉄 道輸送における応用は一般的ではない。
しか し、中国の「中長期鉄道網規画」は明らかに 内陸部のコンテナセンター駅を広域的な鉄道 輸送ハブと位置付けている。
実際、旧鉄道部は一八カ所のコンテナセン ター駅を、「ティア1」のコンテナ輸送ノード として整備するのと併せて、約四〇カ所のコ ンテナ専用取扱駅「ティア2」と、約一〇〇 カ所の併用取扱駅「ティア3」を整備し、三 層からなるコンテナ輸送ノード網を構築する ことを計画していた。
ティア1のセンター駅の間でコンテナ定期列 車を走らせる一方で、ティア2とティア3の 取扱駅で受け付けたコンテナは域内のセンタ ー駅に転送してコンテナ定期列車に編入。
到 着したコンテナもその一部はセンター駅での中 継を経てティア2とティア3の取扱駅に運ぶと 鉄道コンテナ・センター駅 (港湾立地型) 鉄道コンテナ・センター駅 (内陸立地型) 鉄道コンテナ取扱駅 (専用駅・併用駅) 国境にある鉄道コンテナ駅 国境 図2 鉄道コンテナ輸送のハブ・アンド・スポーク・システムの概念図 出所:中鉄聯合国際コンテナ社に対するヒヤリング内容を踏まえて筆者作成 海鉄連運 コンテナ定期列車 (幹線輸送) 国際コンテナ 定期列車 コンテナ・ フィーダー輸送 埠頭 コンテナ航路 AUGUST 2013 72 中国鉄道コンテナ輸送 ていない。
鄭州東駅との役割分担もあいまい で、以前から計画されていたコンテナ定期列 車のコンテナセンター駅への移転集約は遅々と して進んでいない。
青島のコンテナセンター駅は既存の黄島駅 らと海鉄連運のコンテナ貨物を取り合う中で、 明らかに劣勢に立たされている。
同一域内に おける駅間競争が繰り広げられた結果として、 個々の駅で取り扱われるコンテナの数は増え ず、コンテナ定期列車が成立しにくい。
この ことは多くのコンテナ定期列車に持続困難な 状況をもたらす要因の一つとなっている。
港湾立地型のコンテナセンター駅とコンテ ナ埠頭との連携にも問題が多い。
青島、上 海両コンテナセンター駅の不振の一因は、コ ンテナ埠頭との距離にあると指摘されている。
両駅は埠頭からそれぞれ五〇キロ、三五キロ と離れるため、ショートドレージ輸送による 連結を余儀なくされている。
それが利便性の 低さとコスト増の原因になり、利用拡大の大 きな障害になっていると言われている。
しかし、より根本的な問題は、埠頭とコン テナセンター駅が別々に運営されている点で あろう。
埠頭とセンター駅が一体的に運営さ れて、同一ターミナル内のようにコンテナを 運搬できれば、利便性は大幅に増し、ハンド リング・コストも削減される。
港湾と鉄道の 垣根を取っ払って、名実ともにインターモー ダルのコンテナターミナルとして運営されるこ とが求められるであろう。
ムに支援された荷役活動とフロント活動(受 付や引き渡しなど)といった点で従来の貨物 駅とは大きく異なるが、貨物の取扱という面 では、ほかの貨物駅と同列に位置付けられて いるのが現状である。
コンテナセンター駅と同一域内のほかの貨 物駅は別々にコンテナ貨物の受け付けと積み 付けを行った上で、上位のマーシャリング・ ターミナルに送り込んでいる。
図2で示され ているようなハブとフィーダーの構造には全 くなっていない。
また、コンテナセンター駅はコンテナ列車 運行の「ターミナル」と銘打たれているもの の、実際にはほかの貨物駅と同様、列車の編 成権を持たず、所属する鉄路局のマーシャリ ング・ターミナル(編組駅)に依存している。
センター駅がコンテナ輸送のハブになるため には、センター駅、ほかの貨物駅、マーシャ リング・ターミナルのそれぞれの機能の再定 義が必要だと著者は考える。
旧鉄道部(現在、中国鉄道総公司)は全体 として鉄道輸送市場を独占してはいるが、内 部の拠点間、事業体間の競争には予想以上 に激しいものがある。
例えば、成都のコンテ ナセンター駅は、成都周辺の楽山駅、徳陽駅、 眉山駅、燕崗駅などとコンテナ貨物を奪い合 っている状態で、これらの駅からフィーダー 供給を受けることがほとんどないという。
同様に、鄭州のコンテナセンター駅も地域 内のコンテナ取扱駅からフィーダー供給を受け 無論、これらの問題をもってコンテナセン ター駅の整備計画は失敗したと断じることは できない。
そのポテンシャルを否定する必要 もない。
しかし、コンテナセンター駅がその 機能を発揮することを阻害している要因の究 明は求められる。
以下に筆者が現地調査で得 た情報を手掛かりに、コンテナセンター駅の 問題点と課題の探索的な析出を試みる。
鉄道コンテナの利用拡大を阻むもの これまで筆者は中国で多くの物流企業幹部 や物流研究者、物流業界団体の責任者等と 鉄道コンテナ輸送および海鉄連運の現状につ いてディスカッションを行ってきた。
彼等の認 識する鉄道コンテナ輸送不振の要因は以下の 三点に集約される。
すなわち?鉄道部門における市場メカニズ ムの欠如、?鉄道輸送能力上の制約、?鉄 道輸送の固有の劣位性(トラック等と比べて) の三つである。
こうした問題認識は中国の研 究者と実務家の間で広く共有され、多くの既 存文献において指摘されている。
かかる問題認識には筆者も異論はないが、 そうした問題との関連を意識しつつも、コン テナセンター駅の機能発揮に直接影響を及ぼ す要因に焦点を絞って論考してみたい。
その一つとしてまず、コンテナセンター駅と ほかの貨物駅、港湾埠頭との連携の不備を指 摘したい。
各地に建設されたセンター駅は確 かに、先進的な荷役装備や高度なITシステ 73 AUGUST 2013 の到着貨物のうち約六割はタイルや石材など の建材である。
これらの例からも明らかなように、現在、 鉄道コンテナで輸送されている荷物には重た い原材料類が多く、コンテナ輸送に向いてい る工業製品の割合は少ない。
製造企業と流通 企業に高度なサービスを提供している物流企 業を周辺に誘致し、これらの企業と協力しな がら貨物構造の多様化、適正化を図ることは、 コンテナセンター駅の役割の強化と鉄道コンテ ナ輸送の成長に寄与するであろう。
そのため には、先述した閉鎖的な関係性を打破し、活 力のある産業集積の形成に最も重要な条件と される「自由な産業と自由な企業」を促進し 保障しなければならない。
一部には好ましい兆しも見受けられる。
成 都のコンテナセンター駅の周辺では、東康運 輸、徳成物流、遠成物流などの有力民間物 流企業が拠点を構えて、鉄道コンテナ輸送サ ービスを顧客企業向けのソリューションに組 み入れようと積極的に取り組んでいる。
また、小口貨物輸送サービスを営む中鉄快 運(CER)と自動車や重量物、冷凍貨物の 輸送を手掛ける中鉄特貨(CRSCS)など 鉄道総公司グループの傘下企業は、コンテナ センター駅に隣接して物流施設を整備するな ど、鉄道物流の一大集積の構築を目指し活発 に動いている。
これらのグループ企業が有機 的に結び付けば、一定のシナジー効果が期待 できるであろう。
そのほとんどは昔から鉄道貨物駅と関係が深 い業者たちで、協定の締結可否の基準や条件 は明確ではない。
長い間、中国の鉄道は輸送能力が大幅に不 足していた。
そのため、鉄道フォワーダーは 貨物駅と特別な関係を築き、車両やコンテナ の予約を優先的に割り当ててもらうことが事 業展開の最大の条件であった。
そして、鉄道 側との特別な関係を背景に大口荷主から業務 委託を取り付けるというのが、多くの鉄道利 用運送事業者に共通するビジネススタイルで あった。
貨物駅と特定フォワーダーとの閉鎖的で不 透明な関係性は、各コンテナセンター駅の供 用開始後もそのまま引き継がれている。
この ような構造は、健全かつ分厚い物流企業集積 の形成を阻害しているものと考えられる。
実際、コンテナ定期列車は特定荷主の大口 貨物に極端に依存し、幅広く小口貨物を集配 する仕組みがなかなか根付かない。
中小規模 の荷主向けにサービスを提供する業者は少な く、混載などのきめ細かいサービスが十分に 開発されていない。
そして貨物構造は極めて硬直的で多様性を 欠いている。
例えば、鄭州のコンテナセンタ ー駅ではセメントなどの建材と鋼材、アルミ インゴットが取扱貨物の六割以上を占めてい る。
成都のコンテナセンター駅の最大仕出し 貨物は無水硫酸ナトリウムで全体の四割ほど を占める。
また、成都のコンテナセンター駅 センター駅周辺に物流企業の集積を コンテナセンター駅の直面するもう一つの 大きな課題は、センター駅を取り巻く物流企 業群の集積である。
ハブを成立させるには、 センター駅の周辺に拠点を構え、集配や混載、 バンニング、デバンニング、保管、流通加工 など多様できめ細かいサービスを荷主に提供 するフォワーダーや3PL企業の存在が極め て重要である。
これらの物流企業群は荷主のニーズに応え るために、コンテナ輸送の長所を生かし、鉄 道輸送固有の短所を克服するような工夫を重 ねていく。
そのことが鉄道コンテナの利用拡 大につながる。
しかし現状では、そうした集 積が十分に形 成されていると は言い難い。
各コンテナセ ンター駅はそれ ぞれ二〇社か ら三〇社のフ ォワーダーと協 定を結び、そ れらに集配機 能を委ねている が、実質的に は上位数社が 大半を占めてい る状態である。
成都のコンテナセンター駅周辺にある物流企業の拠点 ※記事中の写真は全て筆者撮影
日本 のJR貨物のコンテナ扱い比率(トンベース) が六割にも達しているのとは比ぶべくもない 低水準と言えるだろう。
コンテナ化率の向上が鉄道貨物輸送を高度 化する重要な手段であることは、中国鉄道当 局もかねてから認識してきた。
そのために旧 鉄道部は二〇〇〇年に拠点直行方式のコンテ ナ定期列車(中国語名「集装箱班列」)を導 入し、コンテナ輸送の定時性、迅速性におけ る優位性の獲得を図った。
『中国交通統計年鑑(二〇〇八年)』による と、二〇〇七年時点では、九〇の線路でコン テナ定期列車が運行され、二二〇の都市をカ バーするようになっている。
しかし、運行本 数は十分と言うにはほど遠い。
二〇〇八年に 運行したコンテナ定期列車は合計一万八四一 本で、一路線当たりにすると週平均二、三本 の運行にすぎない。
コンテナ定期列車の発展を阻害する要因と して、鉄道当局がまず問題視したのは荷役 施設の不適合であった。
既存のターミナルは、 継走方式の車扱い列車を前提に設計されてい て、直行方式のコンテナ列車の荷役および編 成には適合しないという問題である。
そこから拠点直行方式のコンテナ列車専用 のターミナルを整備し、それらを鉄道コンテ ナ輸送システムの中核ノードとして全国に配 置するという考え方が生まれた。
これに基づ いて旧鉄道部は、鉄道コンテナセンター駅(中 整備計画策定の背景 中国の貨物輸送機関の中でも鉄道は特別な 存在だ。
トラック運送業や水運業(海運業を 含む)など、ほかの輸送機関が民営化と市場 競争の荒波にさらされてきたのをよそに、鉄 道は二〇一三年三月に国の鉄道部が解体され るまで、計画経済時代の国営独占体制がほぼ 無傷のまま温存されてきた。
旧鉄道部は重要物資の計画輸送や旧正月の 集中的な大量旅客輸送などの特別な役割を盾 に、民営化や分割再編、競争原理の導入など に関わる改革をかたくなに拒み、中央官庁と 巨大国営企業が一体となった独立王国のごと き組織を維持してきた。
その結果、巨額の傾斜的投資が実施されて 高速旅客鉄道が急ピッチで整備されつつある が、その一方で、商業貨物の鉄道輸送サービ スの高度化は後回しにされてきた。
事実、貨 物列車のほとんどは今も到着日時が不明確な 「ヤード継走方式(各地の操車場で方面別に 貨車を組み替えて目的地に運ぶ方式)」によ って運行されており、「拠点直行方式」によ る定期貨物列車は一部で導入されているもの の、その運用は不安定な状態が続いている。
また鉄道貨物輸送のコンテナ化は一向に進 んでいない。
二〇一二年度の鉄道コンテナ輸 送量(空コンテナの回送を除く)は四一七万 TEUにとどまった。
一TEUを二〇トンに 換算した場合の鉄道貨物輸送量(トンベース) 李 瑞雪 法政大学 教授 鉄道コンテナセンター駅の整備戦略 中国鉄道コンテナ輸送 《第2回》 中国では鉄道貨物輸送のコンテナ化率向上を 目指したインフラ整備が着々と進み、高度な機能 を備えた鉄道コンテナセンター駅が各地で次々に 供用を開始している。
しかし、今のところ期待 されたほど利用は広がっていない。
その原因と 打開策について考案する。
李瑞雪(LI, Ruixue) 1992年7月南京大学外国語学 部卒。
2004年3月名古屋大学大 学院国際開発研究科修了、学術博 士( Ph. D)。
2004年4月富山大 学経済学部講師。
06年同准教授。
2012年4月法政大学経営学部教 授、現在に至る。
専門は物流論、 経営戦略論、国際経営論。
67 AUGUST 2013 次着工に移されている。
二〇一三年二月現在、 青島、大連、上海、鄭州、西安、武漢、昆 明、重慶、成都の九カ所で施設が既に稼働し ている。
さらに今年三月にはハルビンが着工、 ウルムチと天津も近く着工する予定だという (図1)。
鉄道コンテナセンター駅の整備計画は、北 米の鉄道会社のコンテナ輸送システムに触発 されて構想したものとされる。
中国の鉄道関 係者の間では、元鉄道相の劉志軍(二〇一一 年に汚職等の疑惑で罷免・逮捕)が訪米中に 視察したアメリカの鉄道コンテナ施設に感銘 を受け、近代的な大型コンテナターミナルの 建設を強く推したことが、同整備計画の実施 につながったと言い伝えられているが、この 説の信憑性は確認できていない。
筆者は二〇一三年二月下旬から三月上旬 にかけて、鄭州、青島、成都の三つのコン テナセンター駅を訪問し、実態調査を実施し た。
また、コンテナセンター駅ネットワーク の建設と運営を担当する中鉄連合国際集装箱 有限公司(中鉄連合国際コンテナ社: China United International Rail Containers Co.,Ltd.=CUIRC)と、鉄道コンテナ輸送事 業の最大手である中鉄集装箱運輸有限公 司( 中鉄コンテナ輸送社: China Railway Container Transport Co., Ltd=RCTC)を訪 問して聞き取り調査を実施した。
以下、現地調査での発見事実を踏まえて、 センター駅の実態を解明した上で、中国鉄道 国語名「鉄道集装箱中心站」)の大規模な整 備計画を立案した。
具体的には、全国の重 要港湾や交通要衝の都市に計一八カ所のコン テナ専用の大規模ターミナルを新規に建設し、 それらを鉄道コンテナ貨物輸送システムの中 心的なノードとして位置付けるという計画で ある。
同計画は『中長期鉄道網規画』(二〇〇四 年一月に国務院全体会議で決定)と『鉄道第 十一次五カ年(〇六〜二〇一〇年)計画』(〇 六年三月に全人代で可決)に盛り込まれ、順 貨物輸送の高度化という視点から、センター 駅の役割と課題について考察を加えたい。
中鉄連合国際コンテナ社の概要 中鉄連合国際コンテナ社は、コンテナセン ター駅の建設と運営を一手に担う組織として 二〇〇七年に設立された鉄道コンテナのター ミナルオペレーターである。
登録資本金は四 二億元で、中鉄コンテナ輸送社を筆頭株主 (出資比率:三六・六七%)に、中国内外の 物流関連企業五社が出資する合弁企業であ る。
中鉄コンテナ輸送社以外の出資者は、香港 系の物流施設開発会社のNWSとLuck Glory、CIMC(中国国際海運集装 箱)、そしてドイツ鉄道(DB)傘下の物流企 業BAHNである。
設立当初は大手船社のC MA─CGMとZIMも出資していたが数年 前に保有株をほかの株主に譲渡し撤退した。
海外の物流会社に資本参加を要請した背景 には、これらの企業からコンテナターミナル運 営やコンテナ輸送に関する先進的なノウハウを 取り入れる意図があったものと推測されるが、 具体的な技術支援や人的支援があるかどうか は不明である。
中鉄連合国際コンテナ社は、本社(総公司) を北京に置き、各地の支社あるいは子会社を 通じてコンテナセンター駅の運営に当っている。
現在、支社は青島、鄭州、西安、武漢、昆 明、重慶、成都の七カ所、子会社は上海と大 出所:中鉄連合国際集装箱有限公司の提供資料より 図1 計画されている鉄道コンテナセンター駅ネットワークとダブル・スタック 定期列車ルート 中国鉄道コンテナ輸送 連の二カ所にある。
各支社・子会社の社長は 本社から派遣されているが、実務担当の副社 長はほとんどが所在地の鉄路局からの出向者 が務めているという。
各支社・子会社の従業 員数はセンター駅の規模によって八〇〜一五 〇人とまちまちである。
現在の九つのセンター駅は、港湾立地型と 内陸立地型の二種類に大別できる。
前者は上 海、大連、青島の三駅で、残りは後者に分類 される。
また内陸立地型のうち、鄭州、武漢、 西安の三駅は中継貨物の取り扱いが比較的多 く、西南地域の昆明、重慶、成都の三駅はオ リジナル貨物がほとんどだという。
そのため、 鄭州、武漢、西安は広域ハブとしての成長を、 西南地域の三駅は当該地域への加工産業の移 転をサポートする物流拠点としての発展が期 待されている。
コンテナセンター駅の仕様と現状 各センター駅は、取扱能力や取扱実績には 大きな違いがあるものの、統一した仕様に基 づいて設計されている(次頁表1)。
駅内に は、横列貫通式の荷役ラインセット(線束) を中心に、事務棟、セキュリティ検査エリア、 一般コンテナヤード、冷凍冷蔵コンテナヤー ド、特殊コンテナヤード、コンテナ修理・洗 浄エリアが配置されている(下写真)。
コンテナターミナルマネジメントシステム、 レール式トランスファークレーン、リーチスタ ッカー、インテリジェントゲート、先進的な がインテリジェントゲートに到着すると自動的 に電子タグが読み取られて、コンテナの受け 取り場所などを表示する指図票が交付される。
同時にヤード内のクレーンにもコンテナ積み付 けの指示情報が届く。
空コンテナを荷主のところに運んでバンニン グし、再びセンター駅に進入する際にも、イ ンテリジェントゲートでコンテナ番号を自動識 別する。
このとき、駅員の目視によるチェッ クも行う。
トレーラーが指定された位置に到 着すると、クレーンによってコンテナが卸さ セキュリティ検査機、コンテナ洗浄機などの 設備が標準装備されている。
荷役作業は半自動化を実現している。
シス テムが荷役対象のコンテナの位置を自動認識 して所定の位置にクレーンを移動。
積み卸し 作業だけをオペレーターが操作する。
従来の 鉄道貨物駅と比べて、機械化、情報化が格段 に進んでおり、荷役能力と作業効率が大幅に 向上したと、センター駅の責任者らは口を揃 えていた。
センター駅の業務の流れも各駅でほとんど 相違がない。
通運業者はまずセンター駅と協 定を結んだ上で、センター駅のシステムにユー ザー名とコンテナトレーラーを登録して電子タ グの交付を受ける。
実際の業務プロセスは、空コンテナのブッ キングから始まる。
通運業者は発駅、到着駅、 貨物種類、貨物量などの情報を「託送伝票」 に記入するか端末に入力して、空コンテナの 予約を申し込む。
それを元に駅側は鉄道コン テナ輸送への貨物適性などをチェックした上 で、空コンテナの引き当てを行い、そのコン テナの番号と予約受付番号を通運業者に交付 する。
通運業者もしくは荷主の自社コンテナ (SOC)を使用する場合は、SOCの番号 をシステムに入力しておく。
空コンテナの予約が完了したら、通運業者 は空コンテナを受け取るためのトレーラーを仕 立てて電子タグを車両に貼付、そのトレーラ ーの車両番号を駅側に知らせる。
トレーラー AUGUST 2013 68 センター駅のインテリジェントゲート 先進的なセキュリティ検査機 センター駅事務棟一階の業務窓口 横列貫通式の荷役ラインセットとトランス ファークレーン れる。
コンテナは列車に積み付けるまでヤー ドで仮置きする。
タイミングが合えば、仮置 きせずに直接列車に積み付けることもあるが、 その比率はまだ低いという。
目的地に到着したコンテナは駅側からの着 荷通知を受けた通運業者がトレーラーを仕立 てて引き取る。
着荷通知を発行してから二四 時間以内は無料留置期間だが、それ以降は保 管料(二〇フィートコンテナ一日当たり三〇 元)が課される。
鉄道側のコンテナを使って いる場合、延長使用料(二〇フィートコンテ ナ一日当たり六〇元)も発生する。
ただし、コンテナ定期列車の利用を促すた めに、特恵的措置を講じているケースもある。
例えば、青島コンテナセンター駅では西安か らのコンテナ定期列車の着荷主に対して、八 日間の無料留置サービスを提供している。
既に述べたように、コンテナセンター駅の開 設はコンテナ定期列車の発展戦略の一環であ り、各センター駅は供用開始以降、コンテナ 定期列車の開通と拡大に取り組んできた。
し かし、いずれのセンター駅でも現状ではコン テナ定期列車の発着本数は限られており、全 体の取扱量に占めるコンテナ定期列車の割合 も低い。
例えば、鄭州コンテナセンター駅では、コ ンテナ定期列車の貨物は全体取扱量の二割以 下で、残りはヤード継走方式で運行される一 般貨物列車扱いである。
青島と成都のセンタ ー駅も、その比率はそれぞれ五割と三割にと どまっている。
この三駅以外のセンター駅も ほぼ似通った状況にあるという(表2)。
今のところコンテナセンター駅は、その本 来の役割を十分に果たすことができていない。
実際、供用中の全てのコンテナセンター駅は 稼働率が低く、慢性的に施設が遊んでいる状 態にある。
69 AUGUST 2013 昆明 上海(1) 重慶 成都 鄭州 大連(2) 青島 武漢 西安 3.4 13.5 4.4 4.7 4.6 6.8 4.3 3.9 3.5 1223 1590 900.6 1236.9 1129.6 1336.3 910 930.9 1024.8 2006/11 2005/12 2009/11 2010/3 2010/4 2010/7 2010/8 2010/8 2010/12 2 4 1 2 1 3 1 1 1 有 有 有 有 無 有 無 無 有 第1 期投資額(億元) 敷地面積(ムー(3)) 供用開始時期 荷役ラインセット数(4) 表1 稼働している鉄道コンテナセンター駅 アセアン商 貿物流園区 内 蘆潮港、洋 山港と35 キロの橋で 連結 重慶鉄路物 流園区と隣 接 成都国際コ ンテナ物流 園区内、青 白江バルク 物流園区に 隣接 中鉄快運、 中鉄特貨、 鄭州鉄鋼物 流基地と隣 接 大連保税 区、鉄道金 港駅、大連 国際集装箱 埠頭の間 (膠州市) 山東国際物 流港内 中鉄快運、 中鉄特貨、 武漢鉄路物 流基地と隣 接、武漢保 税物流セン ターから1.2 キロ 西安国際港 務区内。
中 鉄快運、中 鉄特貨、西 安鉄路物流 基地と隣接 QIC 2011 年度の取扱量 (TEU) 位置 36万 約3 万 26.5万 35万 12.4万 21万 4.2万 10.2万 10万 (推定) 注1)上海のセンター駅は中鉄コンテナ輸送と上海市の共同出資で建設された 注2)大連のセンター駅は中鉄聯合国際コンテナと大連港の共同出資で建設された 注3)ムー=約666.7? 注4)1荷役ラインセット(線束)は、2 本のレールから構成される。
荷役ラインの長さは昆明、上海、重慶、成都では850メートルで、ほかの駅では1050メートルである 出所:ヒヤリングの内容と中鉄聯合国際コンテナ社の提供資料より筆者作成 鄭州 青島 成都 主なコンテナ定期列車 表2 鄭州、青島、成都の3コンテナセンター駅発着の主要なコンテナ定期列車 ?青島─鄭州(週に5列、39両編成(78TEU積)) ?青島─西安(週2列、50両編成(100TEU積)) ?青島─阿拉山口─中央アジア(週に5 列、50 両編成(100TEU 積)) ?青島─霍爾果斯─ロッテルダム(2012 年12月 に試験運行) この1 〜 3のコンテナ定期列車はいずれも青 島コンテナセンター駅、青島駅、黄島駅の3 駅併用の体制となっているが、青島コンテナ センター駅発着は年間2万TEU程度で全体 の10%未満。
近い将来、青島駅のコンテナ 扱い分を全てセンター駅に移転する予定だと いう。
ウルムチ、洛陽、石家荘、成都とのコンテナ 直行列車の開通を検討している。
?成都─広州 (週に5 列、48 両編成) ?成都─上海 (週に3 列、56 両編成) ?成都─阿拉山口─中央 アジア 成都─阿拉山口─ ロシア─ポーランドの ローズ(2012 年12月 に試験運行、本格 運行に向けて準備 中) 出所:ヒヤリングの内容より筆者作成 ?鄭州─連雲港(内貿貨 物がほとんど。
2012 年 後半以来低迷。
現在月 に1 便程度) ?鄭州─青島(2013 年2 月の時点でまだ鄭州東駅 で発着するが同年末まで に鄭州コンテナセンター 駅に移転する予定。
外 貿貨物がほとんど) 成都、ウルムチ、広 州とのコンテナ直行 列車の開通を検討し ている。
AUGUST 2013 70 中国鉄道コンテナ輸送 着するコンテナ船とリンクできるコンテナ列 車を開通することが極めて有力な方策となる。
この意味において、主要港湾付近でコンテナ 埠頭とシームレスに連結するコンテナ列車専 用駅を整備するというアイデアは合理的と言 えよう。
また、上記の推計規模を考慮すれば、そ の施設は大規模なものでなければならないし、 コンテナ列車の輸送力も外航コンテナ船の輸 送量に見合ったものとなる必要がある。
上海、寧波、深圳、青島、天津、広州、 大連に鉄道コンテナセンター駅を設置する計 画は、こうした考え方に基づいたものと理解 するのは妥当であろう。
実際、同計画の骨 子にはこれら港湾立地のコンテナセンター駅 を起点に、コンテナの二段積み輸送が可能な ダブル・スタック定期列車、線路総延長一・ 七万キロの開通が含まれている(図1参照)。
上海のコンテナセンター駅に最初から四本 の荷役ラインセットを設置して一五〇万TE U以上の年間処理能力を持たせたのも、洋山 港から鉄道に流れ出るコンテナと鉄道経由で 洋山港に流れ込むコンテナが膨大な量に上る ことを予想したからに違いない。
コンテナセンター駅の役割と海鉄連運の関 係性は、コンテナセンター駅の建設と運営を 専門的に担当する中鉄連合国際コンテナ社の 略称からもうかがえる。
同社の中国語略称は 「中鉄聯集」で、それに対応する英文略称は 「CR Intermodal」である。
CRとは、中国 財政出動の産物だと厳しく批判する声がある。
確かに上記の九駅のうち、六駅の着工時期が 二〇〇八年に集中したことは、当時の総額四 兆元に上る財政出動と無縁ではなかったであ ろう。
しかし、コンテナセンター駅の整備構想に は、評価すべき合理的な要素も少なくなかっ た。
中国鉄道貨物輸送の高度化を実現するに はコンテナ輸送のインフラ整備は不可欠であ り、その発展戦略においてインターモーダル 輸送とハブ・アンド・スポーク・システムと いう二つのコンセプトが重要な意味を持つこ とは明らかであった。
そして鉄道コンテナセ ンター駅の整備計画は、この二つのコンセプ トに明確に依拠して構想されたものであった。
シー・アンド・レールのインターモーダル 輸送(以下、コンテナ海鉄連運)が鉄道コン テナ輸送の成長の大きな原動力になり得るこ とは、鉄道コンテナ先進国の米国の経験から も実証されている。
米国では現在、コンテナ海鉄連運の輸送量 が、港湾のコンテナ取扱量の四割にも達して いるとされる。
一方の中国はその比率がわず か二%未満という超低水準にとどまっている。
仮に中国で同比率を二〇%程度に引き上げる ことができれば、年間三〇〇〇万TEU以上 の鉄道コンテナ輸送需要が生じると推計され る。
すなわち海鉄連運が順調に広がれば、鉄 道コンテナ輸送は飛躍的に拡大する。
そして海鉄連運の発展には、主要港湾を発 荷役ラインセットは一本当たり最低年間三 〇万TEUの取扱能力がある。
そこから計算 すると、現状の稼働率は最も高い昆明コンテ ナセンター駅で六〇%程度にすぎず、最も低 い上海コンテナセンター駅に至っては、わずか 二・五%という有り様である。
駅内のコンテナヤードは利用率が低いため、 自動車の完成車の一時保管に貸し出されたり、 港湾埠頭の補完的なコンテナヤードとして使 われるなど、本来の目的とは異なる用途に一 時的に転用しているケースも見られる。
今のところ稼働中の九駅のうち、利益が出 るのは取扱量が比較的多い昆明と成都の両駅 だけで、ほかの七駅は程度の差があるものの、 全て赤字が続いているという。
各コンテナセンター駅には、それぞれ六荷 役ラインセット以上を増設することのできる 敷地が確保されている。
しかし、現在のよう な状況が続く限り、増設は困難と思われる。
インターモーダル輸送を起爆剤に 鉄道コンテナ輸送の発展戦略における重要 施策として整備されたコンテナセンター駅が、 なぜ振るわないのか。
以下に鉄道コンテナセ ンター駅の設計思想に立ち戻って、鉄道コン テナ輸送システムにおけるコンテナセンター駅 の機能とあり方を検討してみたい。
コンテナセンター駅の整備に対して、中国 の研究者の間では、元鉄道相など鉄道官僚 の恣意的な立案や二〇〇八〜〇九年の巨額な 71 AUGUST 2013 この仕組みは、コンテナ貨物が域内のコン テナセンター駅に集約されることになるため、 センター駅間のコンテナ定期列車の安定的な 運行につながる。
またセンター駅は、コンテ ナ列車の効率的なマテハンおよびマーシャリン グに加えて、コンテナの一時仮置きやバンニ ング、デバンニングなど付帯サービスも提供 するなど、ハブとしての機能を果たす。
一方のティア2とティア3の取扱駅は、受 け付けたコンテナ貨物を車扱いの列車に編入 せず、センター駅発着の定時運行コンテナ列 車に載せるように、フィーダー機能に徹する。
こうすることによって、定時性のある輸送 サービスを荷主に提供することが可能になる。
荷主の支持をより得やすくなる。
こうして、鉄道コンテナセンター駅の整備 は、インターモーダルとハブ・アンド・スポ ークのシステムの応用を意図するなど合理的 な構想の下で進められている。
しかし、実際に稼働中のコンテナセンター 駅が果たしている機能は極めて限定的であり、 当初の期待通りとは言い難い。
各駅の稼働率 が低い上、コンテナ定期列車も本数が総じて 少ないなど低空飛行が続いている。
青島と上海の港湾立地型の両センター駅の 供用も海鉄連運の拡大につながったとは評価 し難い。
ハブ機能の発揮が期待された鄭州の コンテナセンター駅はコンテナ取扱量が一〇 万TEU台に低迷し、コンテナ定期列車の拡 大も進んでいない。
いうネットワークだ。
センター駅の建設の目的について、中鉄連 合国際コンテナの孟華維副総経理は次のよう に説明する(図2)。
「一八カ所のコンテナセンター駅は、コンテ ナ定期列車の運行のために建設している。
コ ンテナ定期列車は三種類に分けられる。
すな わち、?コンテナセンター駅間を結ぶ直行列 車、?コンテナセンター駅と主要港湾を結ぶ 直行列車(海鉄連運)、?コンテナセンター駅 と国境貿易都市を結ぶ直行列車(国際コンテ ナ定期列車)の三つである」 鉄道を指し、Intermodalは文字通り、インタ ーモーダルのことである。
つまり、同社は海 鉄連運に携わる企業であることを自認し、そ の意志を社名の略称に込めたのであろう。
ハブ・アンド・スポークを鉄道に適用 鉄道コンテナセンター駅の整備構想には、 シー・アンド・レールのインターモーダル輸 送と並んで、ハブ・アンド・スポーク・シス テムを鉄道輸送に取り入れることを意図した 形跡が色濃く見受けられる。
ハブ・アンド・スポーク・システムは海上 輸送と航空輸送において普及しているが、鉄 道輸送における応用は一般的ではない。
しか し、中国の「中長期鉄道網規画」は明らかに 内陸部のコンテナセンター駅を広域的な鉄道 輸送ハブと位置付けている。
実際、旧鉄道部は一八カ所のコンテナセン ター駅を、「ティア1」のコンテナ輸送ノード として整備するのと併せて、約四〇カ所のコ ンテナ専用取扱駅「ティア2」と、約一〇〇 カ所の併用取扱駅「ティア3」を整備し、三 層からなるコンテナ輸送ノード網を構築する ことを計画していた。
ティア1のセンター駅の間でコンテナ定期列 車を走らせる一方で、ティア2とティア3の 取扱駅で受け付けたコンテナは域内のセンタ ー駅に転送してコンテナ定期列車に編入。
到 着したコンテナもその一部はセンター駅での中 継を経てティア2とティア3の取扱駅に運ぶと 鉄道コンテナ・センター駅 (港湾立地型) 鉄道コンテナ・センター駅 (内陸立地型) 鉄道コンテナ取扱駅 (専用駅・併用駅) 国境にある鉄道コンテナ駅 国境 図2 鉄道コンテナ輸送のハブ・アンド・スポーク・システムの概念図 出所:中鉄聯合国際コンテナ社に対するヒヤリング内容を踏まえて筆者作成 海鉄連運 コンテナ定期列車 (幹線輸送) 国際コンテナ 定期列車 コンテナ・ フィーダー輸送 埠頭 コンテナ航路 AUGUST 2013 72 中国鉄道コンテナ輸送 ていない。
鄭州東駅との役割分担もあいまい で、以前から計画されていたコンテナ定期列 車のコンテナセンター駅への移転集約は遅々と して進んでいない。
青島のコンテナセンター駅は既存の黄島駅 らと海鉄連運のコンテナ貨物を取り合う中で、 明らかに劣勢に立たされている。
同一域内に おける駅間競争が繰り広げられた結果として、 個々の駅で取り扱われるコンテナの数は増え ず、コンテナ定期列車が成立しにくい。
この ことは多くのコンテナ定期列車に持続困難な 状況をもたらす要因の一つとなっている。
港湾立地型のコンテナセンター駅とコンテ ナ埠頭との連携にも問題が多い。
青島、上 海両コンテナセンター駅の不振の一因は、コ ンテナ埠頭との距離にあると指摘されている。
両駅は埠頭からそれぞれ五〇キロ、三五キロ と離れるため、ショートドレージ輸送による 連結を余儀なくされている。
それが利便性の 低さとコスト増の原因になり、利用拡大の大 きな障害になっていると言われている。
しかし、より根本的な問題は、埠頭とコン テナセンター駅が別々に運営されている点で あろう。
埠頭とセンター駅が一体的に運営さ れて、同一ターミナル内のようにコンテナを 運搬できれば、利便性は大幅に増し、ハンド リング・コストも削減される。
港湾と鉄道の 垣根を取っ払って、名実ともにインターモー ダルのコンテナターミナルとして運営されるこ とが求められるであろう。
ムに支援された荷役活動とフロント活動(受 付や引き渡しなど)といった点で従来の貨物 駅とは大きく異なるが、貨物の取扱という面 では、ほかの貨物駅と同列に位置付けられて いるのが現状である。
コンテナセンター駅と同一域内のほかの貨 物駅は別々にコンテナ貨物の受け付けと積み 付けを行った上で、上位のマーシャリング・ ターミナルに送り込んでいる。
図2で示され ているようなハブとフィーダーの構造には全 くなっていない。
また、コンテナセンター駅はコンテナ列車 運行の「ターミナル」と銘打たれているもの の、実際にはほかの貨物駅と同様、列車の編 成権を持たず、所属する鉄路局のマーシャリ ング・ターミナル(編組駅)に依存している。
センター駅がコンテナ輸送のハブになるため には、センター駅、ほかの貨物駅、マーシャ リング・ターミナルのそれぞれの機能の再定 義が必要だと著者は考える。
旧鉄道部(現在、中国鉄道総公司)は全体 として鉄道輸送市場を独占してはいるが、内 部の拠点間、事業体間の競争には予想以上 に激しいものがある。
例えば、成都のコンテ ナセンター駅は、成都周辺の楽山駅、徳陽駅、 眉山駅、燕崗駅などとコンテナ貨物を奪い合 っている状態で、これらの駅からフィーダー 供給を受けることがほとんどないという。
同様に、鄭州のコンテナセンター駅も地域 内のコンテナ取扱駅からフィーダー供給を受け 無論、これらの問題をもってコンテナセン ター駅の整備計画は失敗したと断じることは できない。
そのポテンシャルを否定する必要 もない。
しかし、コンテナセンター駅がその 機能を発揮することを阻害している要因の究 明は求められる。
以下に筆者が現地調査で得 た情報を手掛かりに、コンテナセンター駅の 問題点と課題の探索的な析出を試みる。
鉄道コンテナの利用拡大を阻むもの これまで筆者は中国で多くの物流企業幹部 や物流研究者、物流業界団体の責任者等と 鉄道コンテナ輸送および海鉄連運の現状につ いてディスカッションを行ってきた。
彼等の認 識する鉄道コンテナ輸送不振の要因は以下の 三点に集約される。
すなわち?鉄道部門における市場メカニズ ムの欠如、?鉄道輸送能力上の制約、?鉄 道輸送の固有の劣位性(トラック等と比べて) の三つである。
こうした問題認識は中国の研 究者と実務家の間で広く共有され、多くの既 存文献において指摘されている。
かかる問題認識には筆者も異論はないが、 そうした問題との関連を意識しつつも、コン テナセンター駅の機能発揮に直接影響を及ぼ す要因に焦点を絞って論考してみたい。
その一つとしてまず、コンテナセンター駅と ほかの貨物駅、港湾埠頭との連携の不備を指 摘したい。
各地に建設されたセンター駅は確 かに、先進的な荷役装備や高度なITシステ 73 AUGUST 2013 の到着貨物のうち約六割はタイルや石材など の建材である。
これらの例からも明らかなように、現在、 鉄道コンテナで輸送されている荷物には重た い原材料類が多く、コンテナ輸送に向いてい る工業製品の割合は少ない。
製造企業と流通 企業に高度なサービスを提供している物流企 業を周辺に誘致し、これらの企業と協力しな がら貨物構造の多様化、適正化を図ることは、 コンテナセンター駅の役割の強化と鉄道コンテ ナ輸送の成長に寄与するであろう。
そのため には、先述した閉鎖的な関係性を打破し、活 力のある産業集積の形成に最も重要な条件と される「自由な産業と自由な企業」を促進し 保障しなければならない。
一部には好ましい兆しも見受けられる。
成 都のコンテナセンター駅の周辺では、東康運 輸、徳成物流、遠成物流などの有力民間物 流企業が拠点を構えて、鉄道コンテナ輸送サ ービスを顧客企業向けのソリューションに組 み入れようと積極的に取り組んでいる。
また、小口貨物輸送サービスを営む中鉄快 運(CER)と自動車や重量物、冷凍貨物の 輸送を手掛ける中鉄特貨(CRSCS)など 鉄道総公司グループの傘下企業は、コンテナ センター駅に隣接して物流施設を整備するな ど、鉄道物流の一大集積の構築を目指し活発 に動いている。
これらのグループ企業が有機 的に結び付けば、一定のシナジー効果が期待 できるであろう。
そのほとんどは昔から鉄道貨物駅と関係が深 い業者たちで、協定の締結可否の基準や条件 は明確ではない。
長い間、中国の鉄道は輸送能力が大幅に不 足していた。
そのため、鉄道フォワーダーは 貨物駅と特別な関係を築き、車両やコンテナ の予約を優先的に割り当ててもらうことが事 業展開の最大の条件であった。
そして、鉄道 側との特別な関係を背景に大口荷主から業務 委託を取り付けるというのが、多くの鉄道利 用運送事業者に共通するビジネススタイルで あった。
貨物駅と特定フォワーダーとの閉鎖的で不 透明な関係性は、各コンテナセンター駅の供 用開始後もそのまま引き継がれている。
この ような構造は、健全かつ分厚い物流企業集積 の形成を阻害しているものと考えられる。
実際、コンテナ定期列車は特定荷主の大口 貨物に極端に依存し、幅広く小口貨物を集配 する仕組みがなかなか根付かない。
中小規模 の荷主向けにサービスを提供する業者は少な く、混載などのきめ細かいサービスが十分に 開発されていない。
そして貨物構造は極めて硬直的で多様性を 欠いている。
例えば、鄭州のコンテナセンタ ー駅ではセメントなどの建材と鋼材、アルミ インゴットが取扱貨物の六割以上を占めてい る。
成都のコンテナセンター駅の最大仕出し 貨物は無水硫酸ナトリウムで全体の四割ほど を占める。
また、成都のコンテナセンター駅 センター駅周辺に物流企業の集積を コンテナセンター駅の直面するもう一つの 大きな課題は、センター駅を取り巻く物流企 業群の集積である。
ハブを成立させるには、 センター駅の周辺に拠点を構え、集配や混載、 バンニング、デバンニング、保管、流通加工 など多様できめ細かいサービスを荷主に提供 するフォワーダーや3PL企業の存在が極め て重要である。
これらの物流企業群は荷主のニーズに応え るために、コンテナ輸送の長所を生かし、鉄 道輸送固有の短所を克服するような工夫を重 ねていく。
そのことが鉄道コンテナの利用拡 大につながる。
しかし現状では、そうした集 積が十分に形 成されていると は言い難い。
各コンテナセ ンター駅はそれ ぞれ二〇社か ら三〇社のフ ォワーダーと協 定を結び、そ れらに集配機 能を委ねている が、実質的に は上位数社が 大半を占めてい る状態である。
成都のコンテナセンター駅周辺にある物流企業の拠点 ※記事中の写真は全て筆者撮影
