2013年11月号
特集
特集
第4部 グループ横断営業チームを全国展開
NOVEMBER 2013 24
ウェブサイトが有望荷主を連れてくる
ウェブサイトを開くと「社長 島耕作」が仕事で
頭を悩ませている。
彼に次々と降り掛かる問題に 対して、ヤマトグループが最も適した解決のアイ デアや手法を提案していく。
このストーリー仕立 ての「Yamato Solutions.com」(ヤマトソリュー ションズ ドットコム=以下、ドットコム)がヤマト グループの法人営業の強力なマーケティングアーム となっている。
東証一部上場企業の経営企画担当役員や通販 会社トップなど、これまで接点が持ちにくかった 荷主企業のキーパーソンからドットコムを介して直 接問い合わせが入る。
それをヤマトHDの「ソリ ューション・ラボ」で対応し、各グループ会社の 適切な担当者に案件を回す。
ソリューション・ラボは二〇一一年一月に発足 した新しい組織だ。
現在の陣容はHD所属の五人 とグループ会社からの三人を合わせた八人体制で 展開している。
ソリューション・ラボの吉村一幸 マネージャーは「今のマンパワーでは捌ききれな いほどの案件がドットコムに寄せられている。
し かも、筋のいい案件、大型で長期にわたって携わ れる実現性の高い案件が多い。
ドットコムの開設 でSDや営業が直接コンタクトできる層とは違う 層にアクセスできるようになった」と言う。
先日は中堅通販会社から宅急便の出荷方法につ いて問い合わせが入った。
内容を聞いていくうち に、その会社は出荷業務よりもむしろロジスティ クス面で課題を抱えていることが分かった。
一連 の課題を抜本的に解決するソリューションを提案 することで、新規受注に結び付いた。
ソリューション・ ラボの役割は大きく 二つ。
一つはドット コムをツールとする 広報戦略とPR活 動だ。
ソリューショ ン・ラボで広報戦 略を担当する梅本 浩平マネージャーは 「物流には直接タッ チしていない経営 者にも響くように専 門用語は極力使用せず、普遍性のある経営課題を 取り上げて、かみ砕いた表現・内容でソリューシ ョンを解説するようにしている」と言う。
今年四月にはサイトのリニューアルを実施した。
膨大な情報の掲載はかえって使い勝手が悪いとい う判断から、スキームの詳細や具体的な事例をい くつも並べるようなことは避けて、事業の成長ス テージや展開に合わせた課題を前面に出すよう工 夫した。
顧客目線のコンテンツ作りを意識している。
ソリューション・ラボのもう一つの役割は「ジ ョイント・セールス・チーム(JST)」の活動支 援だ。
JSTはグループに横串を指すことを目的 に設置されたグループ横断の営業チームだ。
グル ープ各社のサービスを有機的に結び付けてソリュ ーションに組み立てる。
一部のエリアで五年ほど 前から始まった活動を二〇一〇年に全国化した。
現在は全国一〇カ所の支社ごとに「支社JST」 を置き、支社長をリーダーに毎月一〜二回、当該 エリアの各グループ会社のメンバーが集まって会議 を行っている。
その下部組織として全国六九の主 グループ横断営業チームを全国展開 ヤマトグループの法人営業が変わる。
宅急便の個数と 単価の話に終始していた従来の商談を卒業し、グループ の総合力を生かしたソリューション営業に本格的に移行 する。
ヤマトホールディングス(HD)に設置した「ソリュー ション・ラボ」がその指揮を執り、全国に組織した「JST」 が実働部隊となる。
(鳥羽俊一) 4 ソリューション・ラボの 吉村一幸マネージャー ソリューション・ラボの 梅本浩平マネージャー 25 NOVEMBER 2013 いれば遅かれ早かれ価格競争に巻き込まれてしま うのが目に見えていた」と振り返る。
ソリューション・ラボはJSTの活動レベルを 一定水準まで引き上げる必要があると考えた。
ま ずはSDに対して顧客に密着して情報を収集する ようにJSTが意識付けを行うことを要請した。
もっとも、SD一人ひとりにグループのソリュ ーションを全て理解させようとしても無理がある。
「そこでまずはフッキングレベル。
こんなようなポ イントについては聞いて持って返ってきてほしい、 こんなネタがあったら教えて等、JSTのメンバ ーが具体的にSDにお願いするところから始めた。
さらにSDが気付いていない情報、SDでは集め られない情報をJSTからSDに発信するように した」と吉村マネージャーは言う。
管支店にも「主管JST」を置いている。
ヤマトグループ各社が提供するサービスは今や二 〇〇にも上る。
従来はそれらが各事業、エリアで 完結し、グループとして有効に活用できていなか った。
そのためJSTで、個別案件の報告や各社 のサービスを知るための勉強会などを行ってきた。
しかし、取り組みのレベルにはJST間やメン バー間で大きな格差があった。
同じことがSDに も言えた。
全国五万五〇〇〇人のSDが収集して くる最前線の顧客情報は、ヤマトにとって貴重な 営業ソースだ。
しかし、顧客情報の収集能力と熱 意には個人差が大きかった。
吉村マネージャーは「昔ながらの出口営業から 抜けきれず、顧客に言われたことだけをやってい るようなケースが多かった。
そのやり方を続けて 営業チームのヘルプデスクとして JSTに対しては、ソリューション・ラボから 情報を提供した。
マクロ情報、そのエリアの地域 特性やマーケット情報などを整理してレポートを 作成するほか、ソリューション・ラボのメンバー が全国を回り各地のJSTの会議に出席して一緒 に知恵を絞っている。
各エリアにはそれぞれシンボリックな荷主がいる。
その企業の案件を受注することで、そのエリアに おける物流会社としての認知度や評価が高まる。
その後の営業活動を有利に展開できる優良荷主だ。
どうすればそうした荷主を落とせるのか。
その 荷主の事業概要、戦略、市場におけるポジション、 商慣行など、ソリューション・ラボが物流の枠を 超える幅広い荷主情報を集めて、JSTのメンバ ーと共にアプローチの方法や提案内容を練る。
活動が浸透してくるに連れてソリューション・ ラボがJSTのヘルプデスクの役割を果たすよう になってきた。
梅本マネージャーは「グループで 取り組んだ方が良さそうな案件、エリアをまたぐ 案件で課題が生じたとき、あるいは営業活動で困 った時には気軽に連絡をもらえるようになった」 と手応えを感じている。
JSTの活動報告会として各支社単位で年二回 「グループエリア戦略ミーティング」を開催してい る。
ヤマトHDやグループ会社のトップ層が出席 する前で、そのエリアのJSTのメンバーが事例 を発表する。
「経営陣との距離が近くなり、営業 マンのモチベーション向上だけでなく、的確なア ドバイスを受けることも大きい」と吉村マネージ ャーは評価している。
クロネコヤマト独走 特集 Yamato Solutions.com 「単純な取引なのに、相手が海外となると手間も コストもスピードも諦めるしかないのか?」──。
ヤマトグループのYamato Solutions.comで は、百戦錬磨の社長・島耕作ですら頭を悩ませ るビジネスの難問に、ヤマトグループの持つ豊富 なリソース、ノウハウを集結して応えることを実 例を踏まえながらうたっている。
彼に次々と降り掛かる問題に 対して、ヤマトグループが最も適した解決のアイ デアや手法を提案していく。
このストーリー仕立 ての「Yamato Solutions.com」(ヤマトソリュー ションズ ドットコム=以下、ドットコム)がヤマト グループの法人営業の強力なマーケティングアーム となっている。
東証一部上場企業の経営企画担当役員や通販 会社トップなど、これまで接点が持ちにくかった 荷主企業のキーパーソンからドットコムを介して直 接問い合わせが入る。
それをヤマトHDの「ソリ ューション・ラボ」で対応し、各グループ会社の 適切な担当者に案件を回す。
ソリューション・ラボは二〇一一年一月に発足 した新しい組織だ。
現在の陣容はHD所属の五人 とグループ会社からの三人を合わせた八人体制で 展開している。
ソリューション・ラボの吉村一幸 マネージャーは「今のマンパワーでは捌ききれな いほどの案件がドットコムに寄せられている。
し かも、筋のいい案件、大型で長期にわたって携わ れる実現性の高い案件が多い。
ドットコムの開設 でSDや営業が直接コンタクトできる層とは違う 層にアクセスできるようになった」と言う。
先日は中堅通販会社から宅急便の出荷方法につ いて問い合わせが入った。
内容を聞いていくうち に、その会社は出荷業務よりもむしろロジスティ クス面で課題を抱えていることが分かった。
一連 の課題を抜本的に解決するソリューションを提案 することで、新規受注に結び付いた。
ソリューション・ ラボの役割は大きく 二つ。
一つはドット コムをツールとする 広報戦略とPR活 動だ。
ソリューショ ン・ラボで広報戦 略を担当する梅本 浩平マネージャーは 「物流には直接タッ チしていない経営 者にも響くように専 門用語は極力使用せず、普遍性のある経営課題を 取り上げて、かみ砕いた表現・内容でソリューシ ョンを解説するようにしている」と言う。
今年四月にはサイトのリニューアルを実施した。
膨大な情報の掲載はかえって使い勝手が悪いとい う判断から、スキームの詳細や具体的な事例をい くつも並べるようなことは避けて、事業の成長ス テージや展開に合わせた課題を前面に出すよう工 夫した。
顧客目線のコンテンツ作りを意識している。
ソリューション・ラボのもう一つの役割は「ジ ョイント・セールス・チーム(JST)」の活動支 援だ。
JSTはグループに横串を指すことを目的 に設置されたグループ横断の営業チームだ。
グル ープ各社のサービスを有機的に結び付けてソリュ ーションに組み立てる。
一部のエリアで五年ほど 前から始まった活動を二〇一〇年に全国化した。
現在は全国一〇カ所の支社ごとに「支社JST」 を置き、支社長をリーダーに毎月一〜二回、当該 エリアの各グループ会社のメンバーが集まって会議 を行っている。
その下部組織として全国六九の主 グループ横断営業チームを全国展開 ヤマトグループの法人営業が変わる。
宅急便の個数と 単価の話に終始していた従来の商談を卒業し、グループ の総合力を生かしたソリューション営業に本格的に移行 する。
ヤマトホールディングス(HD)に設置した「ソリュー ション・ラボ」がその指揮を執り、全国に組織した「JST」 が実働部隊となる。
(鳥羽俊一) 4 ソリューション・ラボの 吉村一幸マネージャー ソリューション・ラボの 梅本浩平マネージャー 25 NOVEMBER 2013 いれば遅かれ早かれ価格競争に巻き込まれてしま うのが目に見えていた」と振り返る。
ソリューション・ラボはJSTの活動レベルを 一定水準まで引き上げる必要があると考えた。
ま ずはSDに対して顧客に密着して情報を収集する ようにJSTが意識付けを行うことを要請した。
もっとも、SD一人ひとりにグループのソリュ ーションを全て理解させようとしても無理がある。
「そこでまずはフッキングレベル。
こんなようなポ イントについては聞いて持って返ってきてほしい、 こんなネタがあったら教えて等、JSTのメンバ ーが具体的にSDにお願いするところから始めた。
さらにSDが気付いていない情報、SDでは集め られない情報をJSTからSDに発信するように した」と吉村マネージャーは言う。
管支店にも「主管JST」を置いている。
ヤマトグループ各社が提供するサービスは今や二 〇〇にも上る。
従来はそれらが各事業、エリアで 完結し、グループとして有効に活用できていなか った。
そのためJSTで、個別案件の報告や各社 のサービスを知るための勉強会などを行ってきた。
しかし、取り組みのレベルにはJST間やメン バー間で大きな格差があった。
同じことがSDに も言えた。
全国五万五〇〇〇人のSDが収集して くる最前線の顧客情報は、ヤマトにとって貴重な 営業ソースだ。
しかし、顧客情報の収集能力と熱 意には個人差が大きかった。
吉村マネージャーは「昔ながらの出口営業から 抜けきれず、顧客に言われたことだけをやってい るようなケースが多かった。
そのやり方を続けて 営業チームのヘルプデスクとして JSTに対しては、ソリューション・ラボから 情報を提供した。
マクロ情報、そのエリアの地域 特性やマーケット情報などを整理してレポートを 作成するほか、ソリューション・ラボのメンバー が全国を回り各地のJSTの会議に出席して一緒 に知恵を絞っている。
各エリアにはそれぞれシンボリックな荷主がいる。
その企業の案件を受注することで、そのエリアに おける物流会社としての認知度や評価が高まる。
その後の営業活動を有利に展開できる優良荷主だ。
どうすればそうした荷主を落とせるのか。
その 荷主の事業概要、戦略、市場におけるポジション、 商慣行など、ソリューション・ラボが物流の枠を 超える幅広い荷主情報を集めて、JSTのメンバ ーと共にアプローチの方法や提案内容を練る。
活動が浸透してくるに連れてソリューション・ ラボがJSTのヘルプデスクの役割を果たすよう になってきた。
梅本マネージャーは「グループで 取り組んだ方が良さそうな案件、エリアをまたぐ 案件で課題が生じたとき、あるいは営業活動で困 った時には気軽に連絡をもらえるようになった」 と手応えを感じている。
JSTの活動報告会として各支社単位で年二回 「グループエリア戦略ミーティング」を開催してい る。
ヤマトHDやグループ会社のトップ層が出席 する前で、そのエリアのJSTのメンバーが事例 を発表する。
「経営陣との距離が近くなり、営業 マンのモチベーション向上だけでなく、的確なア ドバイスを受けることも大きい」と吉村マネージ ャーは評価している。
クロネコヤマト独走 特集 Yamato Solutions.com 「単純な取引なのに、相手が海外となると手間も コストもスピードも諦めるしかないのか?」──。
ヤマトグループのYamato Solutions.comで は、百戦錬磨の社長・島耕作ですら頭を悩ませ るビジネスの難問に、ヤマトグループの持つ豊富 なリソース、ノウハウを集結して応えることを実 例を踏まえながらうたっている。
