2023年3月号
特集
特集
国交省 ステークホルダーの協調領域を特定
24年問題をチャンスに変える
──SIPスマート物流サービスは国交省の政策に、どのように位置付けられているのでしょうか。
「現在の『大綱(総合物流施策大綱2021年度〜2025年度)』には、『①簡素で滑らかな物流』『②担い手にやさしい物流』『③強くてしなやかな物流』という三つの柱が掲げられています(図)。
SIPは、そのうち①で目指す『物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化』、とりわけ『物流・商流データ基盤等』にあたる連携領域です」 「SIPには物流DXのベースとなる技術開発、研究開発をしてもらっていることになります。
2024年問題も残すところ1年となり、データ連携して積載率を向上するといった取り組みに産業界は今まさに追われているところです。
私が現職に就いたのは22年4月でSIP最後の1年でしたが、それまでSIPで積み上げてきたものがなかったら、もっと右往左往していただろうと思います。
その先見の明に感謝しています」 ──SIPは内閣府主導の取り組みです。
国交省にはどのような役回りが求められたのでしょうか。
「スマート物流サービスではまず物流業界と他業界の関係者を集めて間を取り持つことがわれわれの役割の一つでした。
またSIPが始まった18年以降も物流にはコロナをはじめ大きな変化があったので、それをプロジェクトメンバーに伝えていくことが重要でした」 ──国交省にとっては荷主とアクセスする良い機会になったのでは。
「それはイエスです。
国交省としても『グリーン物流パートナーシップ』をはじめ従来から荷主を巻き込んだ取り組みを進めてきましたが、各省がバラバラにやるのではなく連携することで、物流業界の実情を大変よく理解してもらえるようになりました。
省庁連携という点で今はとても良い体制にあります。
これを生かしていきたい。
2024年問題をはじめ物流業界は今ピンチを迎えているわけですが、これをチャンスに変えていきたいと考えています」 ──物流政策課は特定の業界を所管しているわけではないため、許認可権を持ちません。
どのようなアプローチが可能ですか。
「業法に基づかない方法で政策ツールを検討していくことが求められます。
しかし、そのために今までできなかったことを進められるという面もあるかと思います。
2024年問題を訴求していくのもそうですし、標準化もそうです」 「こうした取り組みは詰まるところ、『協調領域』を特定していく作業なのだと思います。
私は過去に自動運転技術を担当していた時期がありました。
自動車の世界もメーカー同士が普段から激しく競争し合っているわけですが、それでも国交省と経産省が一緒になって協調できる領域を特定していき、オールジャパンで自動運転を進めていこうという取り組みでした」 「これは思いの外、スムーズに事が進みました。
もちろん細かな対立はありましたが、自動車のOEMメーカーは会社数が限られているのでまとまりやすかった。
それと比べると物流は関係者が本当に多い。
輸送もあれば倉庫もあれば荷主もいる。
また荷主にも発荷主がいて着荷主がいる。
そういう多くの関係者がいるなかで協調領域を探していく難しさを感じています」 「その点では今回、『SIP物流標準ガイドライン』をまとめることができたのは大きな成果だと評価しています。
ここに来るまでには恐らくさまざまな困難があったはずです。
ガイドラインへの準拠を事業者に呼びかけて次につなげていくことが、われわれの使命だと受けとめています」 ──従来の標準とは何が違うのでしょうか。
「SIP標準はオールジャパンを念頭に置いています。
荷主との連携もちろん、例えば重量勝ちの荷物と容積勝ちの荷物のマッチングなど、業界をまたいだデータ連携が必要な場面が増えています。
その共通ルールができたということです。
もちろん現時点でSIP標準がすべてをカバーしているとは言い切れないし、使っているうちに直していかなければならないところも当然出てくる。
だからこそ、絶えずガイドラインを見直していく体制を整えた。
21年の秋に『バージョン1・0』を発行して、それで実際に1年回してみて、22年秋には既に『バージョン2・0』が出ています。
そうやってみんなで使っていくことで共通言語ができてくる。
その結果として、データ連携が広がっていく」 ──今年3月末でSIP第2期は終わりますが、第3期のプログラムには物流は採用されませんでした。
「それでも23年度の国交省予算では、物流事業者のDX・GX投資に対する金融支援として財政投融資から20億円の枠を確保しました。
これまで財政投融資が使えるのは倉庫やターミナルなどの施設整備だけだったのですが、事業者のニーズを汲んでそれをソフトやロボットにも広げるように昨年夏から財務省に相談させてもらってきました。
SIPを通じて深まった経産省、農林省との関係もこれからさらに生かしていきます」
「現在の『大綱(総合物流施策大綱2021年度〜2025年度)』には、『①簡素で滑らかな物流』『②担い手にやさしい物流』『③強くてしなやかな物流』という三つの柱が掲げられています(図)。
SIPは、そのうち①で目指す『物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化』、とりわけ『物流・商流データ基盤等』にあたる連携領域です」 「SIPには物流DXのベースとなる技術開発、研究開発をしてもらっていることになります。
2024年問題も残すところ1年となり、データ連携して積載率を向上するといった取り組みに産業界は今まさに追われているところです。
私が現職に就いたのは22年4月でSIP最後の1年でしたが、それまでSIPで積み上げてきたものがなかったら、もっと右往左往していただろうと思います。
その先見の明に感謝しています」 ──SIPは内閣府主導の取り組みです。
国交省にはどのような役回りが求められたのでしょうか。
「スマート物流サービスではまず物流業界と他業界の関係者を集めて間を取り持つことがわれわれの役割の一つでした。
またSIPが始まった18年以降も物流にはコロナをはじめ大きな変化があったので、それをプロジェクトメンバーに伝えていくことが重要でした」 ──国交省にとっては荷主とアクセスする良い機会になったのでは。
「それはイエスです。
国交省としても『グリーン物流パートナーシップ』をはじめ従来から荷主を巻き込んだ取り組みを進めてきましたが、各省がバラバラにやるのではなく連携することで、物流業界の実情を大変よく理解してもらえるようになりました。
省庁連携という点で今はとても良い体制にあります。
これを生かしていきたい。
2024年問題をはじめ物流業界は今ピンチを迎えているわけですが、これをチャンスに変えていきたいと考えています」 ──物流政策課は特定の業界を所管しているわけではないため、許認可権を持ちません。
どのようなアプローチが可能ですか。
「業法に基づかない方法で政策ツールを検討していくことが求められます。
しかし、そのために今までできなかったことを進められるという面もあるかと思います。
2024年問題を訴求していくのもそうですし、標準化もそうです」 「こうした取り組みは詰まるところ、『協調領域』を特定していく作業なのだと思います。
私は過去に自動運転技術を担当していた時期がありました。
自動車の世界もメーカー同士が普段から激しく競争し合っているわけですが、それでも国交省と経産省が一緒になって協調できる領域を特定していき、オールジャパンで自動運転を進めていこうという取り組みでした」 「これは思いの外、スムーズに事が進みました。
もちろん細かな対立はありましたが、自動車のOEMメーカーは会社数が限られているのでまとまりやすかった。
それと比べると物流は関係者が本当に多い。
輸送もあれば倉庫もあれば荷主もいる。
また荷主にも発荷主がいて着荷主がいる。
そういう多くの関係者がいるなかで協調領域を探していく難しさを感じています」 「その点では今回、『SIP物流標準ガイドライン』をまとめることができたのは大きな成果だと評価しています。
ここに来るまでには恐らくさまざまな困難があったはずです。
ガイドラインへの準拠を事業者に呼びかけて次につなげていくことが、われわれの使命だと受けとめています」 ──従来の標準とは何が違うのでしょうか。
「SIP標準はオールジャパンを念頭に置いています。
荷主との連携もちろん、例えば重量勝ちの荷物と容積勝ちの荷物のマッチングなど、業界をまたいだデータ連携が必要な場面が増えています。
その共通ルールができたということです。
もちろん現時点でSIP標準がすべてをカバーしているとは言い切れないし、使っているうちに直していかなければならないところも当然出てくる。
だからこそ、絶えずガイドラインを見直していく体制を整えた。
21年の秋に『バージョン1・0』を発行して、それで実際に1年回してみて、22年秋には既に『バージョン2・0』が出ています。
そうやってみんなで使っていくことで共通言語ができてくる。
その結果として、データ連携が広がっていく」 ──今年3月末でSIP第2期は終わりますが、第3期のプログラムには物流は採用されませんでした。
「それでも23年度の国交省予算では、物流事業者のDX・GX投資に対する金融支援として財政投融資から20億円の枠を確保しました。
これまで財政投融資が使えるのは倉庫やターミナルなどの施設整備だけだったのですが、事業者のニーズを汲んでそれをソフトやロボットにも広げるように昨年夏から財務省に相談させてもらってきました。
SIPを通じて深まった経産省、農林省との関係もこれからさらに生かしていきます」
